令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)第11035号損害賠償請求事件を踏まえた相談業務と委任契約書について

相談シート(民事信託支援業務)

氏名フリガナ                        

氏名                             

住所                               

電話番号 (     )                      

その他の連絡先(写真やファイルを添付送信可能なメールアドレスなど) 

                                     

                                   

目的(例)

□ ご自身の認知症や疾病への備え。

□ 障がいを持つ子どもや孫の生活保障のため。

□ 共有の不動産があり、管理・処分を1本化したい。

  • その他                        

ご自身が所有する財産

種類種類備考(金額等)
不動産  
預貯金  
保険  
   
   

ご自身が負担中の負債等

項目金額備考(借入先等)
借入金  
連帯保証  
   
   

ご自身の月別収支

収入項目金額支払い項目金額
    
    
    
    
    
    
合計 合計 

1、スケジュール

その1 現状把握

 確認検討
自身の財産・健康状態□ 健康状態
□ 資産の種類と現状
□ どのように活かす
□ 将来の具体的な課題
家族・親族関係□ これまでの関係資産を託せる人  
□個人  
□家族で法人設立  
□信託銀行・信託会社

その2 今後に向けて

 10年前10年後20年後
自身の生活
不動産・お金の行方

その3 他の方法と比較

方法メリット留意点
法定後見・家庭裁判所の監督・本人のための制度
・家族のための制度ではない
任意後見・予め代理する範囲を決めることができる。
・後見監督人の監督
・家庭裁判所の監督  
・本人のための制度
・家族のための制度ではない
ゆいごん・亡くなるまで、資産を動かす必要がない
・遺留分減殺の順序を定めることが可能
・金銭で遺留分を支払うことが可能
・手続に時間がかかる可能性がある。

2、設定手続

 手続の順番設定手続に関わる人専門家
家族信託の説明□ 他の方法や何もしないことと比べて、今後の方向性をつかむ                      □ 司法書士が業務として可能な範囲の説明
□ 他の方法の紹介
□ 他の方法への移行、併用
□ 遺留分の確認
□ 信託口口座開設の状況説明
□ 課題の有無
□ 課題別に他の専門家の紹介・連携 
情報の収集・子どもや孫の生活保障に充てる予定の資産の資料で、現状を把握
□ 金銭(      )   
不動産(     )   
□登記事項証明書   
□固定資産評価証明書

□ 保険
□ 必要書類・情報を確認
□ 道路や建築年数が古い建物、形状が複雑な土地など現地確認
□ 関係者と面談  
・必要な時は変更
□ 他の方法を利用
□ 他の方法を併用
見積書□ 項目についての説明□ 実費
□ 専門家報酬

↑ 相談毎に、

無償の場合、相談者と司法書士事務所との情報の共有。事務所で持つ情報については相談者の署名。

有償の場合、項目毎に請求書・領収書の発行。

民事信託・家族信託を利用するかの判断 □委任契約書(相談業務の終了)

設計案□ 生活の節目ごとに確認・想定される場面ごとに説明
□ 図面(委託者・受託者・受益者・信託財産に属する財産の変更に伴う信託口口座・登記・保険等の財産所有名義、財産管理上の手続き名義の変更)
□ 書式
契約書(案)□ 読み合わせ
□ 分からない箇所
□ 表現を変えたい箇所
□ 修正      
関係機関□ 金融機関
□ 公証センター・公証人役場
□ 保険会社など
□ 口座開設・借入れ予定等について事前確認
□ 事前確認の報告、説明
□ 同行
契約書(案)の最終確認□ 事前確認に基づく修正
・民事信託支援業務の委任契約終了
□ 契約書の読み合わせ
□ 関係者全員の同意
  □ 意思確認
公証人役場 公証センター
□ 公正証書
□ 契約書の保全
□ 高齢者の場合、判断能力の有無に関する一定の予防
□ 同行
関係機関へ 手続き →スタート□ 必要書類準備
□ 金融機関での通帳作成
□ 不動産について登記申請
□ 計算の開始
□ 登記手続き
□ 運営支援
      
      

委任契約書(例)[1]

 【依頼者氏名】、【受託司法書士氏名】は、以下の通り、委任契約を締結する。

第1条(受任の範囲)

 【依頼者氏名】は【受託司法書士氏名】に対し次の事務(以下「本件民事信託支援業務」という。)の処理を委任し、【受託司法書士氏名】はこれを受任した。

(1)民事信託[2]契約書(案)の作成

(2)民事信託契約書(案)に基づく公証人との公正証書作成の調整[3]及び支援[4]

(3)民事信託契約書(案)に基づく信託口口座[5]開設の調整[6]

(4)信託契約公正証書に基づく、不動産登記代理申請及び商業法人登記代理申請

(5)信託契約公正証書に基づく、信託財産に属する財産の受託者への名義変更手続きの支援[7]

(6)前各号の事務処理のため必要な戸籍謄抄本、住民記載事項証明書、固定資産評価証明書等官公署等の発行に係る証明書類の請求および受領

(7)上記に付随する一切の業務

  

第2条(司法書士報酬等)

  【依頼者氏名】は、【年月日】見積書の定めに合意した。

 2 本件委任事務の処理に関する費用は、【依頼者氏名】の負担とする。

第3条(情報の提供、説明および保持)

 1 【受託司法書士氏名】は、本件民事信託支援業務を遂行するにつき【依頼者氏名】対して、次の情報を提供する。

(1)民事信託契約書(案)に基づく公証人との公正証書作成の調整において、公証人から修正案などが示された場合の情報

(2)民事信託契約書(案)に基づく信託口口座開設の調整その他の信託内融資など信託の目的、受託者の権限に対する金融機関の対応について、金融機関からの返信に関する情報

(3)信託契約公正証書に基づく、信託財産に属する財産の受託者への名義変更手続きの支援について、【受託司法書士氏名】に対して連絡が来た場合の情報

(4)その他の本件民事信託支援業務を遂行するにつき必要な戸籍謄本、住民票写し、固定資産評価証明書等、官公署等の発行に係る証明書類を受領した場合の情報

2 【受託司法書士氏名】は、本件民事信託支援業務に関して知り得た秘密を、正当な理由なく第三者に漏らしてはならない。

第4条(契約の終了)

 1 依頼者氏名】、【受託司法書士氏名】は、いつでも本契約を終了させることができる。

 2 本契約は、次の事由により終了する。

   (1)【依頼者氏名】または【受託司法書士氏名】の死亡

   (2)【依頼者氏名】または【受託司法書士氏名】が補助、保佐、後見開始の審判を受けたとき

第5条(契約終了後の措置)

1 契約終了後は、【依頼者氏名】、【受託司法書士氏名】ともに権利義務を清算する。

2 費用の清算については、【年月日】見積書の項目について業務が完了している項目について【依頼者氏名】が【受託司法書士氏名】に対して支払う。

3 業務が完了していない項目については、次の場合、【依頼者氏名】が【受託司法書士氏名】対して支払う。

(1)【受託司法書士氏名】が立替払いしている費用

(2)【受託司法書士氏名】が書類作成、相談、関係機関同行などで時間を費消しているもの【年月日】見積書に定める時間・書類ごとの報酬

 4 契約終了が【受託司法書士氏名】の情報提供義務、説明義務違反に基づく場合、【依頼者氏名】は、前各号に基づく項目について費用を支払う義務を負わない。

第6条(契約に定めのない事項)

本契約に記載のない事項は、【依頼者氏名】と【受託司法書士氏名】が協議の上、これを決定する。

 【依頼者氏名】と【受託司法書士氏名】は、本委任契約の合意内容を十分に理解したことに相互に確認し、その成立を証するため本契約書2通を作成し、それぞれ保管する。

   年   月  日

依頼者

住   所 〒                               

氏   名                               

電話番号                                

    (その他の連絡先)                        

生年 月日          年     月   日 

司法書士

   所 在 〒                   

   氏 名 司法書士                   

参考

『家庭の法と裁判』 2021年12月号vol.35日本加除出版         


[1] 他に任意後見契約、遺言公正証書などを併用する場合でも、契約終了時点を明確にするため、委任契約書は別に作成する。

[2] 大垣尚司、新井誠『民事信託の理論と実務』平成28年日本加除出版P2「委託者以外の物が尾受託者となる信託行為(他社信託)のうち、信託(受託者)の引受けが営業としてなされる結果商行為となる信託行為(協議の商事信託または営業信託【商法502条1項13号】)以外のもの(民事他者信託)と委託者が受託者となる信託行為(自己信託)のうち、信託業法に基づく登録(信託業法50の2条)が不要なもの(民事自己信託)、ならびに、営業として信託の引受けにあたるが、信託業法に基づく免許・登録(信託業法3条、同法7条)が不要なもの(適用除外信託、信託業法2項1項括弧書、信託業法施行令1の2条)の3つの信託の思総称。

[3] メールによる文言などの調整を指す。

[4] 公証センター(公証人役場)への同席を指し、嘱託代理を含まない。

[5] 令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)第11035号損害賠償請求事件において示されている【1】受託者を預金者とし【2】外観上、当該受託者の名義と区別できる表示が付され、【3】当該金融機関において、内部システム上、当該受託者の個人名義の預貯金口座(固有財産に属する預貯金口座)に係るCIF(Customer Information File。顧客情報ファイル)コードとは別異のCIFコードが備えられる、内部手続上、当該預金口座とは異なる取扱いがされる旨の規定が設けられるなど、当該預金口座から分離独立した取扱いがされる預金口座、の要件を満たす口座。

[6] 信託口口座開設予定の金融機関が利用可能な手段(メール・FAX等)での事前調整、同行支援を指す。信託口口座開設手続の代理を含まない。

[7] 手続方法の説明、手続情報作成の支援、手続が必要な機関への同行を指す。手続代理を含まない。

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