企業の競争力を高めるリーガルリスクマネジメント

2022年3月18日(金)

日本組織内弁護士協会 LRM研究会 座長

渡部 友一郎弁護士(Airbnb Japan 法務本部長)

1: 共通の枠組みの必要性

2: リスク特定/分析/評価/対応

3: 5×5のリスクマトリクス法

Q:なぜリーガルリスクマネジメントを学ぶ必要がどこにあるのか           

A:組織経営と法務機能の統合、社会構造の変化(Society 5.0)、認知バイアスの点。

Q:ISO31022を読んでもイメージがわかない。

A:「リスク特定→分析→評価→対応」がコア・プロセス。

Q:鉛筆と紙があればできる「5×5のリスクマトリクス法」                 

A:事前課題を取り上げて、法律家や法務部門がどのように取り組めばよいか解説

リーガルリスクマネジメントのプロセス (第5.1-5.5)

1: 共通の枠組みの必要性

企業の競争力を高める=健全なリスクテイク=リスクテイクに共通の枠組みが必要

組織経営と法務機能の統合

組織経営と法務機能の統合、社会構造の変化  (Society  5.0)、認知バイアス

(1)    認知バイアス

●     確証バイアス:自分の先入観と矛盾する証拠を意識せずに排除

●     アンカリング:1つの情報を重視

●     損失回避:現状維持・慎重に傾く誤りを犯していることに気がつかない!

(2)    解決方法

●     「合理的思考によって他人の直感の欠陥を指摘し、その判断を改めることができる」

●     「さまざまな意見やスキルをプロセスに取 り入れること」

問題の所在

企業の競争力を高める=健全なリスクテイク。ところが、意思決定に有害な「法的リスクがあります(完)」というアドバイスが危険である。すべての法律の専門家の助言にあてはまる。

例:本件では○○法第○条に抵触する法的リスクが特定できます。この法的リスクを「起こりやすさ」と「結果の大きさ」の2つの横軸縦軸でリスク分析すると、XXXという高い発生の蓋然性と、YYY例えば刑事罰というリスクがあります。法的リスク評価を行うと、既存のリスク管理策ではXXXの点で十分ではなく、法務としてはこのままの状態では法的リスクは取れないと助言します。

しかし、リスク対応として、ZZZ及びAAAを同時に講じられれば残留リスクは許容できるレベルにまで低減できる可能性があります。ZZZとAAAのほかに取りうるリスク対応 策の選択肢がないか、この後お電話で相談できないでしょうか。法務も解決策を一緒に見つけたいです。

ISO31022の内容は抽象的な部分も多いが、まずリーガルリスクの特定 /分析/評価/対応から始める

Phase 1 リスク特定

●     リスクを発見し、認識し、記述するプロセス(ISO31000 6.4.2、ISO31022 5.3.2.1)

●     ISO31022の附属書A、附属書B、附属書Eが参考になる。

Phase 2 リスク分析

●     リスクの性質及び特徴(特質)を理解し、リスクレベル(=リスクの大きさ)を決定するプロセス

(ISO31000 6.4.3参照)。分析の成果は、後続の「リーガルリスク評価」及び「リーガルリスク対応」へのインプットととなる(ISO310222 5.3.3.1参照)。

●     「事象の起こりやすさ」および「結果の性質及び大きさ」の2要素が分析の中心となるが、これに限られない(ISO31000 6.4.3)。詳細は、渡部友一郎「リーガルリスクマネジメントの先行研究と新潮流」国際商事法務48巻6号(2020)795-796頁 Ⅲ 2 及び 3 を参照。

Phase3 リスク評価

●     リスク評価は、リスク及びリスクの大きさが、受容可能か又は許容可能かを決定するために、リスク分析の結果をリスク基準(=目安とする条件)とを比較するプロセス(ISO31000 6.4.4、ISO31022 5.3.4 参照)。

●     リスク評価は(組織の意思)決定を裏付けるものであり、どの部分に追加の措置を講じるかを決 定するために役立つ。

𐆑     例:さらなる活動を行わない、リスク対応の選択肢を検討する、さらなるリスク分析を続行する、既存の管理策(control)を維持する、(事業やプロジェクトの)目的を再考する。

Phase 4 リスク対応

●     リスク対応とは、リスクに対応するための選択肢を選定し、実施するプロセス(ISO310006.5.1、ISO31022 5.4参照)リスク対応の選択肢の選定、リスク対応の計画及び実施、 対応の有効性の評価、残留リスクが許容可能かの判断、許容できない場合、さらなる対応の実施(ISO31000 6.5.1.ISO31022 5.4.1参照)

●     リスク対応の選択肢:例として、活動を開始・継続しない決定をする、機会を追求するためにリスクを取る又は増加させる、リスク源を除去する、起こりやすさや結果を変える、リスクを共有する(契約、保険など)、リスクを保有するなど。

コミュニケーション、協議及び学習(ISO31022 5.5.2)

●     リーガルリスクマネジメントのプロセスの各段階でにおいて…ステークホルダによるリーガルリスク及び組織への影響の完全な理解のために、時宜を得た方法でコミュニケーション及び 協議をする。

●     組織全体でリスクマネジメント文化を築くための学習

その他にも、モニタリング及びレビュー(同 5.5.3)、記録作成及び報告(同 5.5.4)

リーガルリスクの特定

それはリーガルリスク??を自問自答する。

リーガルリスク vs. ビジネスリスクの区分をもっともっと徹底する。

クリスタルクリアな助言に するには、ビジネス的意見を分ける。

過大なリスク見積もりになっていないか

結果の起こりやすさ【1〜5】

X社が民事訴訟を構えて来る可能性は現実的にどれほどあるのか?制限条項違反の発生可能性はどれくらいあるのか?

リスクスコアの見積もり合計:◯〜◯リーガルリスクの評価

ビジネスにとってDigestableかつ自分のバイアスに特に留意する。

信託は「分別管理」と「信認関係」で成り立つ―いま一度、大阪高裁平成20年の判決を考える―

信託フォーラム[1]の遠藤英嗣弁護士「信託は「分別管理」と「信認関係」で成り立つ―いま一度、大阪高裁平成20年の判決を考える―」からです。

平成20年9月24日大阪高等裁判所判決

平成19(ネ)2775号敷金返還請求権確認等請求事件

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=37345

竹中悟人稿『信託契約の成立要件についての覚書』/『信託研究奨励金論集35号』2014年11月p63

https://www.shintaku-kyokai.or.jp/profile/business/research/resultingpaper.html

平成11年11月8月不動産で営業

平成12年4月25日,Z電鉄と控訴人,控訴人と被控訴人は,それぞれ出店予約契約書及び関連する覚書を作成

平成12年6月26日Z電鉄と被控訴人が、不動産賃貸借契約締結

平成12年6月26日被控訴人と控訴人が、不動産転貸借契約締結

平成17年3月7日被控訴人、控訴人に対し委任契約を終了する旨の意思表示

平成17年4月30日Z電鉄と控訴人が、不動産賃貸借契約合意解約

平成17年5月5日控訴人が民事再生の申立

平成19年7月27日被控訴人、敷金返還請求権について債権処分禁止等仮処分命令決定

平成19年9月5日Z電鉄供託

裁判所の判断

・被控訴人とZ電鉄との間で,直接の賃貸借契約が成立したとは認めることができない。

・賃貸借契約とこれに基づく転貸借契約とは別個のものであり、転貸借契約に基づき転貸人に交付された敷金を、転借人の信託財産として転貸人が管理しているということは観念できない。

・敷金返還請求権を、転借人を委託者かつ受益者とし,原賃借人兼転貸人を受託者とする信託財産であると認定できるような特段の事情があるということはできない。

筆者は、人とのつながりが重要な家族信託において、「信認関係」こそが最も大事な要件だとして強調しているのである。

その他の契約(例えば委任契約)と比較して、信託行為における信認関係がどのように違うのか、分かりませんでした。

そこで、目的の全部取り換える変更や、既存の信託の目的に新たな目的を追加する場合でも全く異質のものになるような変更は、信託行為の変更とは言えまい。

 前者の、目的の全部取り換える変更は受益者の生活状況が変わったり、受益者そのものが変わったりする場合にはあり得るのではないかなと思いました。後者の、既存の信託の目的に新たな目的を追加する場合でも全く異質のものになるような変更は、信託行為全体で判断して矛盾している場合は、記事記載の通り、難しいと感じました。

こうしてみると、信託の本質と信託の成立要件は、直結しているとみることができよう。要は、信託法2条1項にうたわれている要件では、信託の基本的構造を言い表すことはできないことがはっきりとしてきた。

 そこに、付け加えるのは、1は信託設定意思であり、2は受託者に課せられた信認義務と分別管理義務であり、3は信認関係の確立だといえよう。

信託の本質、という言葉が、私には今でもわかりません。信託法2条1項に記載されているのは定義であり、基本的構造を全て表すことはできないのではないかと思いました。

信認義務、というのは、どのようなものなのか分かりませんでした。


[1] 17号、2022年4月(株)日本加除出版P123~

令和 3年不動産登記法改正

令和 4年5月16日きんざいオンラインスクール

司法書士 今川嘉典(石川県司法書士会)

参考

・法務省民事局「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」令和3年12月版

https://www.moj.go.jp/content/001360808.pdf

(以下「ポイント」という。)

・法制審議会民法・不動産登記法部会における資料及び議事録-ネット上で公開-(以下「部会資料」・「部会議事録」という。)

・「Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法―松村秀樹法務省民事局総務課長(前同局民事第二課長)・大谷太法務省大臣官房参事官編著」-一般社団法人金融財政事情研究会・(株)きんざい-(以下「Q&A」という。)

 令和3年改正法

1.「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」

・令和3年4月21日成立、同月28日公布

2.施行期日

「民法等の一部を改正する法律」

・原則 公布の日から 公布の日から 2年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 (附則第 1条本文)

→令和 5年 4月 1日施行 (令和 3年 12月 14日政令)

・相続登記の義務化等3年以内(附則第 1条第 2号)

→令和 6年 4月 1日施行 (令和 3年 12月 14日政令)

・住所氏名等 の変更登記義務化

5年以内 (附則第 1条第 3号)

→今後政令により決定される。令和8年4月頃か

「相続土地国庫帰属法」  2年以内 (附則 1)

→令和 5年 4月 27日施行 日施行  (令和 3年 12月 14日政令)

 所有者不明土地

1.「所有者不明土地問題研究会 」(座長増田寛也氏)平成 29年 12月 13日の最終報告 (以下「最終報告」という。)

・「推計で九州本島の面積に相当する土地が所有者不明である」

2.最終報告の根拠

・国土交通省 国土交通省 国土交通省 平成 28年度地籍調査( 563 市区町村における計622,608筆の調査)の結果からの推計

→不動産登記簿で土地所有者等の所在が確認できない土地の割合が、全体の20.1%

上記のうち、相続登記の未了が原因(66.7%)、住所変更登記の未了が原因 、(32.4%)

住民票や戸籍等で調査をしてもなお所在不明あった土地は 住民票や戸籍等で調査をしてもなお所在不明あった土地は0.41%

最終報告における付言「ここでの対象は、「所有者台帳(不動産登記簿等)により、所有者が直ちに判明しない、又はいても所有者に連絡がつかない土地」であり別途調査をすれば判明するケースも多く、対象地全てが直ちに問題というわけではない。」

令和元年住民基本台帳法施行令の改正により、住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150 年に延長

住民基本台帳法施行令

(保存)

第34条 市町村長は、除票又は戸籍の附票の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から150年間保存するものとする。

2項、3項 省略

→「調査に要するコストの問題」

「多数共有者における合意形成の困難さの問題」

不動産登記情報の更新(登記情報を最新のものとすること)

3.法改正の目的

「不動産登記情報の更新(登記情報を最新のものとすること)」

「土地の適正な利用と管理の促進」

「自ら利用・管理できない土地を手放す制度の創設」

→相続登記の義務化等の不動産登記法の改正

遺産分割を一部制限するための民法の改正

共有制度、財産管理制度及び相隣関係等を見直すための民法の改正

相続土地国庫帰属法

4.土地所有者の基本的責務

土地基本法の改正(令和2年改正法)

(土地所有者等の責務)

第6条 土地所有者等は、第2条から前条までに定める土地についての基本理念(以下「土地についての基本理念」という。)にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有する。

2 土地の所有者は、前項の責務を遂行するに当たっては、その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。

3 土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならない。

  不動産登記法の改正 (相続登記の申請義務付けと「相続人申告登記」)

(相続等による所有権の移転登記申請)

第 76条の 2 所有権の登記名義人に ついて相続開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続開始があっことを知り、かつ、当該所有権を取得したこと知った日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)より所有権を取得した者も、同様とする。

2 前項前段の規定による登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされたもの限る。次条第4項において同じ。)がされた後に遺  産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。

3 前 2項の規定は、代位者その他の者の申請又嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

(過料)

第 164 条 第 36条、第 37条第 1項若しくは第2 項、第 42条、第 47条第 1項(第 49条第 2項において準用する場合を含む。)、第 49条第 1項、第 3項若しくは第 4項、第 51条第 1項から第 4項まで、第 57条、第 58条第 6項若しくは第 7項、 第 76条の 2第 1項若しくは第 2項又は第 76条の 3第 4項の規定による申請をすべき義務がある者正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円 以下の過料に処する。

2 省略

(相続人である旨の申出等)

第 76条の 3 前条第1項の規定により所有権移転登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより登記官に対し所有権の名義人について相続が開始した旨及び自ら当該所有権の登記名義人である旨を申し出ることができる。

2 前条第 1項に規定する期間内に申出をした者は、同前条第 1項に規定する

所有権の取得(当該申出の前にされた遺産分割を除く。)に係る所有権の移転登記を申請する義務を履行したものとみなす。

3 登記官は、第 1項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。

4 第 1項の規定による申出をした者は、その後遺産分割によって所有権を取得したとき(前条第1項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したとき除く。)は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。

5 前項の規定は、代位者その他申請又嘱託により、同項の登記がされた場合には、適用しない。

6 第1項の規定による申出手続及び第3項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

我が国の登記制度の根本原理としては、登記は私的自治の原則により申請人が任意に行えばよいことされている。

(登記が物権変動の対抗要件とされている(民法177条)こともその理由である。相続登記においても、同様に義務とはなっていない。

→登記に義務を課すということは画期的な出来事である。

1.義務履行期間における主観的要件

・自己のために相続開始があっことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。(76条 の 2第 1項)

数次相続の場合

以下のケースにおけるD・Eの義務履行期間は

・「甲が不動産を所有していたこと」

・「Cが甲の相続人一であること」

・「D・Eが Cの相続人であること」

・「甲及び Cが死亡したこと」の各事実を知った時から開始する。

【令和 3年 3月 28 日日本司法書士会連合会研修会「 相続登記の義務づけをめぐる不動産登記法の改正構想と司法書士実務の課題」山野目章夫早稲田大学教授

2. 「相続人である旨の申出」制度創設

・「相続人申告登記」と呼ばれる。

・相続人申告登記をした者は、登記申請義務を履行したものとみなす。(76条の 3第 2項)

法定相続分による登記をすることによっても、義務の履行になる。

3. 遺産分割があった場合

遺産分割があった場合は、遺産分割のから3年以内に登記をしなければならない。(76条の2第1項)

相続人申告登記をした場合、遺産分割による登記義務は残る。 (76条の 3第 2項括弧書き)

相続人申告登記をしたに遺産分割があった場合は、遺産分割の日から3年以内 に登記をする義務が発生。(76条の3第4項)

★法定相続分による登記をした場合も、同じ。(76条の2第2項)

→【部会資料 (60)2頁】・【第24回部会議事録 27頁~32頁】・【ポイント5頁、7頁】・【Q&A 278 頁~285頁他】

4. 相続人申告登記 の内容

・所有権の移転の登記ではなく、報告的な登記であり、付記登記となる。二次相続の場合は、付記登記の付記となる。【登記記載例:別添「 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し-法務省」2頁】

・持分は登記しない。

・申出人が法定相続の一人であることが分かる限度での戸籍謄抄本を提供すれば足りる。 登記名義人の同一性確認は、他のシステムと連携を利用して、登記官が職権で調査する。

・登記官は、申出をした相続人のみを登記し、申出をしていない他の相続人の登記はしない。

・申出をした相続人のみが義務履行となり、申出をしていない他の相続人義務不履行状態は続く。

・代理による申出は認める。

・申出人の住所・氏名変更の申出があった場合には、登記官が職権で登記をする予定。(住所・氏名変更の義務化対象ではない。)

→相続人申告登記の内容につき【ポイント4頁】・【 部会資料 (19)14頁】・【 Q&A 270 頁 ~277 頁】

★相続人申告登記の申出をしても、法定単純承認にはならない。【第10回部会 議事録 2頁】(相続人申告登記と同様に、法定相続分よる登記をしても単純承認にはならい。【Q&A 272頁】)

5. 相続人申告登記制度創設の意味

・単純義務化した場合の実効性

・相続登記の義務化と法定相続分による登記

・簡易な手続きの創設

6.過料の制裁

「主観的要素」と「正当理由」

・当事者への配慮、不意打ち・不公平回避策

・登記官の形式的審査権と「主観要素」、「正当理由」の判断

過料措置の内容

・手順

ア)登記官が、登記申請義務違反の事実(主観的要件の充足や正当な理由の不存在を含む。)を職務上把握

イ)あらかじめ相続人に対して登記申請をするよう催告

ウ)それでもなお登記申請をすべき義務負う者が理由もなく登記を留保

エ)裁判所に対する過料事件の通知(過料通知)

催告に応じて登記申請がされた場合は過料通知をしない

登記申請義務の履行期間経過後に登記申請がされたことにより、登記官が登記申請義務違反の事実を把握したような場合でも、直ちに過料通知の対象とならない(登記申請義務の履行期間の経過とともに過料の制裁を恐れて登記申請がされなくなるといった事態を回避する。

→【ポイント9頁】・【 第16回部会議事録38頁】・【第23回部会議事録19頁】・ 【部会資料(19)14頁】・【第10回部会議事録 2頁】・【部会資料(60)3頁】・ 【Q&A300頁】

・過料手順等の詳細は、法務省令で定められる。

 本改正による過料の規律は、厳罰化を目的とするものではない。

正当理由

「正当な理由」の具体的類型は、通達等において明確化されるが、現時点では以下の例が考えられている。【ポイント9頁】・【Q&A298 頁】

・数次相続が発生して人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人把握に多く時間を要する。

・遺言の有効性や産範囲等が争われている。

・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情がある。

・申請義務を負う相続人 が DV 被害者等であり、避難を余儀なくされている。

・経済的困窮のため手続費用を負担できない。

「登記官が申請義務違反の事実を職務上把握する」とは、どのような場合か。

・登記申請義務履行期間経過後に登記申請がされた場合

・遺言に 基づく登記申請の際、当該が他不動産ついても当該遺言が他の不動産についても当該申請人に取得させる内容ものであった場合

→【 Q&A300 頁】

過料制度導入の意味

・「理念的・訓示的な義務」 と過料の制裁を伴う具体的な義務」

・相続人に対する強い意識付け

・各種負担軽減策をパッケージで導入

→【 Q&A296 &A296頁】

 相続登記の義務化へ対応

・遺産分割協議を経た登記、法定相続人による登記、相続人申告登記の選択

・優先すべき手続は?

→法定相続分による登記は、遺産の未分割状態をそのまま公示する暫定的な登記手続きである。

→相続人申告登記は、何らかの事情により直ちに登記ができない場合の救済的な手続きである。

遺産分割協議の促進

 相続登記の義務規定に係る経過措置

施行期日において、現に相続登記未了となっている不動産も、相続登記の義務化の対象とする。(附則5条6項)

・第 76条の2第1項の義務

→「知った日又は施行日のいずれか遅い日」 から3年

・第 76条の2第2項の義務

→「分割の日又は施行日のいずれか遅い日」から3年

不動産登記法の改正( その他新しい規律1)

(1) 遺産分割に関する見直し(民法の改正)

(期間経過後の遺産分割における相続)

第 904 条の3 前3条の規定は、相続開始時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

一 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

二 相続開始の時から始まる10年の期間満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得事由が相続人にあった場合おいて、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の 分割の請求をしたとき。

・相続開始の時から10年経過した後にする遺産の分割については、民法第903条(特別受益)、904条の2(寄与分)を含めた具体的相続分の主張ができない。

遺産分割協議自体に期間制限を設ける規律は置かないこととされた。

10年の期間経過後に、相続人間で具体的相続分による分割をするとの合意がされた場合には、協議によるケースや調停・審判によるケースでも、その合意に

よることができる。【部会資料(51)20頁】・【Q&A250頁】

・「やむを得ない事由」(第2号)【Q&A249頁】

→10年を経過する直前に遺産分割の申立て取下げがされた場合

【部会資料 (42)8頁】

→相続人に遺産分割協議をする判断能力がなく、成年後見人等が選任されていない場合

→遺産分割禁止特約や遺産分割禁止の審判がある場合

→相続開始後10年を経過してから相続の放棄がされて相続人となった場合

相続の開始を知らなかったという主観的事情のみでは認められない。

・関連する法改正(遺産分割調停、審判の申立て取下げに関する改正)

家事件手続法

(申立ての取下げ制限)

第 199 条 省略

2 第82条第2項の規定にかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から10年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければその効力を生じない。

(家事調停の申立て取下げ)

第 273 条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又一を取り下げることができる。

2 前項の規定にかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から10年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければその効力を生じない。

3 省略

施行日 令和5年4月1日

経過措置

施行期日において、現に相続が開始しているものについて、「相続開始の時から10年を経過する時又は法の施行の時から5年の経過する時のいずれか遅い時」

までに遺産分割をしない場合は、具体的相続分を主張できない。

(2) 住所・氏名等の変更登記申請義務付け

(所有権の登記名義人氏等変更申請)

第76条の 5 所有権の登記名義人の氏若しくは名称又住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又住所についての変更登記を申請しなければならない。

(過料)

第 1264条 1項省略

2 第 76条の 5の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処する。

・自然認及び法人とも規律の対象なる。

・過料措置については、相続登記の義務と同様である。

・転々と住所変更をする場合もあり、負担が大きくないか。

(3) 登記官による職権(死亡情報の登記・住所変更等)

 自然人の場合【部会資料 (53)15 頁】・【部会資料 (57)13 頁】

登記官による、住基ネット等から死亡情報、住所・氏名の変更情報等の取得

登記官による、住所・氏名の変更職権登記

→登記官による、死亡した旨の符号の職権登記

・新たに所有権の登記名義人となる者は、登記申請の際に、生年月日等の情報(検索用情報)を必ず提供

・生年月日の他、氏名の振り仮名、外国人の場合のローマ字表記等も継続検討

・法施行時において既に所有権の登記名義人となっている者は、検索用情報を任意に提供

・登記官は、住基ネッットから【年に1回程度 】定期的に情報を入手し、死亡の事実や住所・氏名の変更事等を把握する。

・検索用情報は、公示しない。

登記名義人が自然であるときは、あらかじめ「通知」をし、申出があるときに限り職権登記を行う。

「検索用情報の提供」・「通知」・「申出」については、インターネット利用も検討されている。【ポイント14頁】

 法人の場合

登記官による、商業・法人システムから、本店・商号の変更情報の取得

→登記官による、本店・商号の変更の職権登記

・所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号を登記事項とする。

・法施行時において既に所有権の登記名義人となっている法人については、登記官が職権で、会社法人等番号を追加する変更登記をする。(附則5条5項)

→法人からの任意の簡便な方法による申出を受けて、登記官が職権登記をすることが予定されている【ポイント15頁】

規律

(情報の提供求め)

第151条 登記官は、職権による登記をし、又は第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)に関する情報の提供求めることができえる。

固定資産課税台帳情報も対象とする予定。【 Q&A288頁】

(職権による氏名等の変更登記)

第76条の6 登記官は、所有権の名義人の氏名若しく名称又住所について変更があったと認めるべき場合には、法務省令で定めるところにより、職権で氏名若しくは称又住所ついての変更登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出あるときに限る。

(所有権の登記名義人について符号表示)

第 76条の 4 登記官は、所有権の名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

「所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)」との規律について

・法人の場合は、現時点では適用を見送る。【部会資料 (38)10頁】【Q&A289頁】

(所有権の登記事項)

第73条の2 所有権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次とおりとする。

1 所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和昭和38年法律第125号)第7条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

2号 省略

2項 省略

(4) 所有不動産記録証明制度の創設

(所有不動産記録証明書の交付等)

第119条の2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明証書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前2項の交付請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第3項及び第4項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

1 請求権者

・所有権の登記名義人 (1項)

・相続人その他の一般承継人(2項)

  • 1,2とも法人対象

・任意代理人【部会資料 (60)9 頁】・【Q&A325頁】

・不在者財産管理人、相続財産管理人、遺言執行者、破産管財人これらに類する法定代理人(不動産の管理権限を有する者に限る)【部会資料 (60)10 頁】

「所有権の登記名義人に準ずるものとして法務省令で定めるもの」(1項括弧書)

→将来、表題部所有者などを対象とすることも可能なように省令で定めることとした。【部会資料 (53)23 頁】・【ポイント 11頁】・【Q&A323頁】

 証明の意味、形式、その他

・請求された登記名義人の氏名又は名称及び住所等の情報に基づいてシステム検索を行った結果・あくまで情報が一致したものの目録としての証明であり、 不動産の網羅性には限界あり【部会資料(60)9頁】

・記録がないことの証明書も交付(1項括弧書)

・法務大臣の指定する法務局(3項)

・郵送による請求を認める。【部会資料(60)10頁】

 相続登記の義務化等に係る制度の概観

登記官による、住基ネットから死亡、住所、氏名の変更等の情報の取得(自然人)

商業・法人登記システムから本店・商号の変更情報の取得(法人)

・登記官による、住所・氏名、本店・商号の変更の職権登記

・登記 官による、死亡した旨の符号の職権登記

・所有不動産記録証明書制度の利用

・相続登記・相続人である旨の申出制度(相続人申告登記)

・遺産分割に関する見直し(民法の改正)

・相続により取得した土地の国庫帰属制度

表題部所有者について

・表題部所有者に関しては、 所有権登記名義人に係る規律と同様の規律を設けず、将来的課題とする。【部会資料 (57)19頁】

相続等により取得した土地の所有権国庫へ帰属関する法律ついて

 土地の所有者は、法務大臣に対し、土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができる。(2条1項)

行政処分である。

承認申請者(2条1項、2項)

・相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)によりその土地の所有権の全部又 に一部を取得した者に限る。

・共有持分の国庫帰属は認めない(共有者が全員で行う)。

・相続等以外の原因により共有持分を取得した共有者も、相続等に共有持分を取得した共有者と共同して承認の申請をすることができる。【ポイント22頁】

「手数料」及び「管理に要する10年分の標準的な費用の額を勘案して政令で 定めるところにより算定した額(負担金)」を納付しなければならない。(3条2項、10条)

参考:200㎡の宅地の10年分の管理費用は約80万円

粗放的な管理で足りる原野約20万円【ポイント21頁】

国庫帰属した土地が、仮に10年以内に売却されたとしても、負担金は返却されない。【Q&A378頁】

 承認申請者が負担金を納付したときに、土地の所有権が国庫に帰属する。(11条 1項)

主に農用地又は森林として利用されている土地は農林水産省、それ以外の土地は普通財産として財務省が管理する。

 法務大臣の権限の一部を法務局又は地方法務局の長に委任する。(15条)

 以下の事項のいずれかに該当する場合は、承認申請をことができなない。(2条 3項)

・当該要件は却下事由となる(4条 1項)

1)建物の存する土地

2)担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

3) 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

4)土壌汚染対策法2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地

5) 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲につて争いある土地

「本文3、5の境界は所有権界を意味するが、それが特定されていることを判断するために承認申請者に提出を求める資料としては、土地の区画を現地において明らかにする能力(現地復元性)を備えている登記所付地図(国土調査において作成された地籍図、土地改良図等の土地所在図、登記所備付地図(国土調査において作成された地籍図、土地改良区図等の土地所在図、登記所備え付地図作成作業により法務局が作成した地図等)や積測測量図が考えられる。

これらが存在し、現場に境界標等の明確な目印があり、承認申請者が境界は図面のとおりであり争いがないと述べているような土地であれば、境界の確認に当たって周辺住民からの聴き取り調査までは必要がない場合もあると考えられる。

登記所備付地図が存在しない場合には、地積測量図ほどの精度は有しない図面であっても、国庫帰属後の 土地の管理機関が管理を要する土地の範囲を認識できる程度に所有権界が明らかあり、管理費用の算出可能な 範囲を認識できる程度に所有権界が明らかであり、管理費用の算出が可能な程度に所有権界が明らかであり、管理費用の算出が可能な範囲を認識できる程度に地積が示されている図面(例えば、現況測量(境界標や工作物を基に土地を測量して、現況の面積求めたり、平面図を作成したりする測量をいう。)により作成された図面等)が必要であると考えられる。

なお、登記所備付地図の有無にかかわらず、境界の特定の有無を判断するに当たたっては、法務局や関係行政機関の職員が現地調査に赴き承認申請者が提出する図面を基にして境界の確認行うとともに、場合よっては周辺住民からの聴き取り等の調査を実施することも想定されており、境界は提出図面のみで特定されるものではないと考えられる。それを前提にした上で、承認申請者にどのような資料の提出等を求めるかについては、承認申請者に係る費用の負担も踏まえて引き続検討する。

【部会資料 (54)6頁】

以下の事項のいずれにも該当しない場合は、法務大臣は、承認をしなければならない。(5条)

・崖(勾配、高さその他事項について政令で定める基準に該当するものに限る 。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

・除去しなければ土地 の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

・隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの

・上に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

粗放的な管理で足りるものに限定している。

8 見直し規定

・政府は、この法律の施行後 5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。(附則 2)

 不動産登記法の改正(その他新しい規律2)

外国に住所を有する登記名義人の在把握ため方策

(所有権の登記事項)

第73条の2 所有権の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1 省略

2 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

3 省略

・連絡先の登記を必須とすることはできない。

「連絡先なし」の登記を認める。 その要件等については、省令で規律する。

【ポイント17頁】 【部会資料 (53)20頁】

・連絡先として第三者の氏名又は名称及び住所等を登記する場合には、当該第三者の承諾があることを要件とする。【部会資料 (60)8頁】

・連絡先となる者の氏名又は称及び住所等の登記事項に変更があった場合には、所有権の登記名義人のほか、連絡先として登記されている者が単独で変更で登記の申請をすることができる。【部会資料 (60)8頁】

・連絡先である第三者が死亡した場合、又は辞任した場合も含めて「連絡先なし」とする変更の登記をする。【第23回部会議事録 回部会議事録 40頁】

・外国人だけでなく、外国に住所を有する日本人も規律の対象となる。【第23回部会議事録 40頁】

・国内に住所を有する者が住所変更した場合は、その住所変更の登記につき義務が課され、かつ連絡先の登記をしなければならない。【部会資料 (57)16頁】

「施行までに十分な期間を設けることで担い手の確保(登記申請時の資格者代理や取引時に関与した不動産業者なども考えられる。)の準備も可能となるものと考えられる。【部会資料 (35)13 頁】

「広く国内における連絡先となる者が具体的に登記されるよう、不動産関連業者や資格者代理人(司法書士、土地家屋調査等)が協力しならこの制度の定着に向けて積極的に関与していく必要がある」【部会資料 (57)16 頁】

不動産関連業者・司法書士等が給源となることを期待【ポイント17頁】【Q&A3 17頁】

実効性は十分でないが、できる限りの方策をとるという方針。

→「他に有効で実現が可能な解決策も直ちには見当たらないと考えられる。」【部会資料 (53)20頁】

 DV 被害者等の保護ため住所情報公開見直し

(登記事項証明書の交付等)

第 119 条 省略

2~5 省略

6 登記官は、第1項及び第2項の規定にかわらず、登記登録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度の心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者から申出があったときは、法務省令で定めるころにより、第 1項及び第2項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定め

る事項を記載しなければならない。

制度概要

・被害者等であることの公的な証明書を添付することが前提

・登記事項証明書は住所に代わる連絡先を表示し、不動産登記情報としては現 不在の住所情報を記録

・本人に対しては現住の住所を記載した証明書を交付する仕組みを検討予定。 【部会資料 (12)8 12)8頁】

登記名義人の住所に代わって登記事項証明書等に記載する住所の例【部会資 料(53)24頁】

・ 登記名義人の親族・知人等の住所

・委任を受けた弁護士事務所や被害者支援団体等の住所

・法務局の住所

対象者の範囲拡大【部会資料 (12)8頁】

・「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」対象被害者

・「ストーカー行為等の規制に関する法律」対象被害者

・「児童虐待の防止等に関する法律」対象被害者

・その他被害者(事態等の公的機関が証明書を発行することが前提)も検討

 不動産登記法の改正( その他新しい規律 3)

1 遺贈による所有権の移転の登記の手続簡略化

(判決による登記等)

第 63条 省略

2 省略

3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転登記は、第60条の規定にかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

2 法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化

要綱

(法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化)

法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続を簡略化するため、法定相続分での相続登記がされている場合において、更正の登記によることができるものとした上で、次に掲げる登記をするときは、登記権利者が単独で申請することが出来るものとし、これを不動産登記実務の運用により対応するものとする。

1 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記

2 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記

3 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記

4 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

3 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化

(1)除権決定による登記の抹消

(除権決定による登記の抹消等)

第 70条 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第99条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

2 前2項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又買戻の特約に関する登記であり、かつされた存続期間又は買戻が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請すべき者の所在が 判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

3 前2項の場合において、非訟事件手続法第106 条第1項に規定する除権判決があったときは、第 60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第1項の抹消を申請することができる。

4 第1項に規定する場合おいて、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。

同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されときも、同様とする。

4 買戻しの特約

(買戻しの特約に関する登記の抹消)

第69条の2 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、第 60条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

5 解散した法人の担保権に関する登記の抹消手続の簡略化

(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)

第70条の 2 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から30年を経過し、かつ、その法人の解散の日から30年を経過したときは、第60条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

6 附属書類の閲覧制度見直し

(登記簿の附属書類写しの交付等)

第121条 1項省略

2 何人も、登記官に対し手数料を納付して、登記簿の附属書類のうち前項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の閲覧を請求することができる。

3 何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第1項の図面を除き電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項おいて同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。

4 前項の規定にかかわらず、登記を申請した者は、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができる。

5項省略

「令和3年度民法・不登法改正の概要に関する研修会」

沖縄県司法書士会

20220514

法務省大臣官房 大谷太参事(資料は研修日以前)

令和6年4月1日施行

令和5年4月1日施行

相続人その他一般承継人は、被相続人その他承継人に係る本証明書ついて交付請求可能

公布(令和3年4月28日)後5年以内施行

(※2)条文上は「権利能力を有しないこと」されてるが、差当たり、法務省令で必要性の高い自然人を対象とする予定

公布(令和3年4月28日)後5年以内施行

<施行日 前に相続が発生していたケース> 改正法附則第5条第6項

住所等の変更があったときは、法務局側から所有権の登記名義人に対し、住所等の変更登記をすることについて確認を行い、その了解(「申出」と扱う)を得たときに、登記官が職権に変更の登記をする。

施行日とそれぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から法定の期間(2年間)がスタートする。

氏名・住所→電話持ってますが。

国内連絡先となる者については、自然人でも法人でも可(不動産関連業者・司法書士等が給源となることを期待)

※ この制度が定着するまでの間は、連絡先がない旨の登記も許容する予定

現地調査までは不要

令和5年4月1日施行

DV被害者等についても相続登記や住所変更登記等の申請義務化対象となるこに伴い、現在の取扱いにつて必要な見直しをた上で、DV被害者等保護のための措置を法制化

令和6年4月1日施行

砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・屋上防水等の大規模修繕工事は、基本的に共有物の形状又は効用著しい変更を伴わなものに当たると考えられる。

通常は 2週間程度

例)A、B、C、D、E共有 (持分各5分の1)の砂利道につき、A・Bがアスファルト舗装をすること(軽微変更=管理)について他の共有者に事前催告をしたが、D・Eは賛否を明らかにせず、Cは反対した場合には、裁判所の決定を得た上で、AとBは、アスファルト舗装をすことができる(A、B、Cの持分過半数である3分の2決定 。)。

※ 賠償金取得者が同時履行の抗弁を主張しない場合であっても、共有物分割訴訟の非事件的性格(形式的成訴訟)から 、裁判所の裁量で引換給付を命ずるのことも可能。

※ この他に、共有物の分割について共有者間で協議をすることがきなない場合(例:共有者の一部が不特定・所在不明である場合 )においても、裁判による共有物分割をすることができ明確化(新民法 258 条)

3か月以上の異議届出期間等の経過が必要。

※事案に応じて現地調査が求められる。

最短10か月から6か月へ

○個々の相続人具体的相続分 =

( ①みなし相続財産の価額(相続財産の価額+特別受益の総額-寄与分の総額)

×② 法定相続分又は指定相続分)-

③個々の相続人の特別受益(生前贈与等)価額

+④個々の相続人寄与分価額

共有者(相続人を含む。)は、相続開始時から 10 年を経過したときに限り、持分取得・譲渡制度により、所在等不明相続人の共有関係を解消することができる。

第2回民事信託実務入門―信託契約条項を書くための準備・検討―

信託フォーラム[1]の金森健一弁護士「第2回民事信託実務入門信託契約条項を書くための準備・検討」からです。

まず、預金取扱金融機関が常に譲渡の承諾をしないとは言い切れない(得意客であれば名義変更に応じるところもあると聞く。)。

初めて聴く金融機関の実務運用でした。

信託財産目録に預貯金口座が記載されたとしても、預貯金債権に譲渡禁止特約(現在の譲渡制限特約)が付されていることは、「少なくとも銀行取引につき経験のある者にとっては周知の事柄に属する」ことを踏まえれば、預貯金債権そのものを対象とするのではなく、預貯金口座に預け入れてある金銭を信託財産とするのが当事者の意思であると解釈することは十分可能である(実務の大半ではおそらくそのように扱われて金銭が移転していると思われれる。譲渡できないものをあえて信託財産としたと解することに意味があるとは思えない。)。

「少なくとも銀行取引につき経験のある者にとっては周知の事柄に属する」について、委託者予定者・受託者予定者その他の民事信託に関係する方(第3次受益者予定者等)についても周知の事実なのか、分かりませんでした。

最高裁判所第一小法廷昭和48年7月19日判決昭和47(オ)111預金支払請求

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52073

譲渡禁止の特約のある債権の譲受人は、その特約の存在を知らないことにつき重大な過失があるときは、その債権を取得しえない。

国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000141

(受給権の保護)

第二十四条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000115

(受給権の保護及び公課の禁止)

第四十一条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

2 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。

それでは、委託者がその名義口座で受け取った金銭を信託財産とすることはできるか。信託財産の追加(追加信託に限られない。)の法律構成如何に検討すべき点は異なると思われる。検討は、別の機会としたいが、少なくとも「委託者の行為」が必要になるのであり、委託者に属する財産の移転を受託者が独断で行うことはできないことは、最低限踏まえるべきであろう。

 少なくとも「委託者の行為」が必要になる、に関しては、分かりませんでした。このような運用をした場合、委託者が信託行為の当初に信託財産に属する財産とした財産がなくなった場合、信託は終了となります(信託法2条1項)。

 委託者の地位の移転(信託法146条)により、信託財産に属する金銭については、信託行為後に受益者から拠出が可能になるような条項を設けることが必要だと思います。

社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413AC0000000075_20210901_503AC0000000037

(振替口座簿の記載又は記録事項)

第百二十九条

3 振替口座簿中の各口座(顧客口座を除く。)には、次に掲げる事項を記載し、又は記録する。五 加入者が信託の受託者であるときは、その旨及び前二号の数のうち信託財産であるものの数

(信託財産に属する振替株式についての対抗要件)

第百四十二条 振替株式については、第百二十九条第三項第五号の規定により当該振替株式が信託財産に属する旨を振替口座簿に記載し、又は記録しなければ、当該株式が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。

2 前項に規定する振替口座簿への記載又は記録は、政令で定めるところにより行う。

しかし、金銭消費貸借契約等において、抵当不動産が債権者に無断で譲渡されたときは、返済についての期限の利益を喪失する旨の特約が付されているのが通常である。信託により不動産は、委託者(債務者)から受託者へ譲渡される(信託法3条1号。)。信託を利用するにあたっては、債権者(金融機関)の許可を得られるか事前に確認するようにしたい。

 委託者(債務者)から受託者へ譲渡される(信託法3条1号。)、の部分は、委託者(設定者)から受託者へ譲渡される、ではないかなと思いました。

 記事とは関係がないのですが、信託行為について金融機関の事前チェックを受けていますが、信託目録の記録事項については受けていません。この辺りは、他の地域・金融機関ではどういう運用なのか、気になりました。

信託法では、消極財産は当初信託財産にならないと整理され、委託者が負う債務を信託財産とすることはできない。債務引受を行い、かつ、当該債務が信託財産責任負担債務(信託法2条9項)となるように要件(同法21条1項各号)を充足させることになる。

 債務引受を行い、について債務引受が必要なのか、どのような趣旨なのか分かりませんでした。委託者の固有財産への影響を一切排除したいということだとすれば、債務引受に加えて(連帯)保証人になっている場合は、それらを外すことも必要だと思います。

信託法(平成十八年法律第百八号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108

(信託の方法)

第三条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。

一 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法

(定義)

第二条 

2 この法律において「信託行為」とは、次の各号に掲げる信託の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。

9 この法律において「信託財産責任負担債務」とは、受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務をいう。

(信託財産責任負担債務の範囲)

第二十一条 次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。

一 受益債権

二 信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利

三 信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの

四 第百三条第一項又は第二項の規定による受益権取得請求権

五 信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属するものによって生じた権利

六 信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属しないもののうち、次に掲げるものによって生じた権利

イ 第二十七条第一項又は第二項(これらの規定を第七十五条第四項において準用する場合を含む。ロにおいて同じ。)の規定により取り消すことができない行為(当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が信託財産のためにされたものであることを知らなかったもの(信託財産に属する財産について権利を設定し又は移転する行為を除く。)を除く。)

ロ 第二十七条第一項又は第二項の規定により取り消すことができる行為であって取り消されていないもの

七 第三十一条第六項に規定する処分その他の行為又は同条第七項に規定する行為のうち、これらの規定により取り消すことができない行為又はこれらの規定により取り消すことができる行為であって取り消されていないものによって生じた権利

八 受託者が信託事務を処理するについてした不法行為によって生じた権利

九 第五号から前号までに掲げるもののほか、信託事務の処理について生じた権利

(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)

第九十条 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

一 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託

二 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託

2 前項第二号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

民法(明治二十九年法律第八十九号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の三 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

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この条項は、私はこれまで付けていなかったので、付けないといけないなと思います。

“委託者に属する特定の財産(所有権等)を受託者に移転する、後は受託者の好きにして構わない”というのは、信託の目的を欠く単なる無償譲渡(贈与)になりかねない。財産を譲り受けて管理をする受託者が達成を目指すべき目的が委託者において存在するかを確認することになる。

 もし、“委託者に属する特定の財産(所有権等)を受託者に移転する、後は受託者の好きにして構わない”と定めたとして、単なる無償譲渡(贈受託者に)になりかねない、というのは、少し違和感を感じました。理由は、信託法2条、同法14条同法26条、27条、同法29条から47条、同法92条、同法163条から167条などの存在です。

上記(ア)の例は、誰が受益者であるのかが不明である。「受託者及びその直系血族」は管理の主体とされている。明確ではないが、仮に、同人らが利益帰属主体でもあるとなると、信託の本質(信託法8条)を欠くことを目的とするもので、信託の目的と認められないと思われる。

私が読んだ限りですが、受益者は○○家ではないかと思いました。受益者を誰と特定することが必要なのか、分かりませんでした。信託行為に記録されているのではないかと思います[2]

信託目的の機能として、受託者が信託事務を行う上での指針となり、その権限の外延を画する機能を挙げる見解がある。この観点からすると、受託者が信託財産の管理(保全)、処分又は運用のいずれまでをすることができるとするかを明らかにしておくべきである。

 保全、運用に関しては、明らかにする必要があるかもしれません。管理、処分に関しては、信託法2条1項において一定の目的に従い可能とされているので、制限される場合のみ記載することで足りるのではないかと思います。

信託の存在を限界づけるための信託目的―中略―たとえば、不動産所有者の認知症対策のみをする場合

 信託の目的で抽象的に定めるのではなく、信託の終了事由で具体的に定めることで足りるのではないかなと思いました。

 不動産所有者の認知症対策のみをする場合、という民事信託・家族信託があるのか、私には分かりませんでした。

信託法は、委託者、受託者及び受益者の合意により信託の変更をすることができるとする(149条1項)。委託者や受益者はほとんどの場合個人であろうから、変更権者が意思表示することが出来なくなったときの備えを考えることになる。

 変更権者から委託者を外せばよいのではないかなと思いました(信託法149条3項)。任意後見人(代理権目録への記録を含む。)、後見人等との関係について、信託行為への記載。

そのため、一個の受益権を複数人で準共有している場合は、信託法105条ただし書が許容する別段の定めをおいても適用されず、準共有に関する民法の規律(264条、251条及び252条)に従い意思決定をするのである。「受益者」と称される者に対し与えるのが「受益権」であるのか「受益権の持分」であるのかは明確に区分して、それに見合うルールを定めるようにしたい。

 受益権の単位は、信託行為によって定めることが出来る[3]ので、基準日と受益権1個の価格、評価方法について信託行為で定めておけば、「受益権の持分」というのは生じないのではないと考えます。


[1] 17号,2022年4月,日本加除出版P137~

[2] 道垣内弘人『信託法【現代民法別巻】』有斐閣、2017年、P44,P293、P391

[3] 道垣内弘人『信託法【現代民法別巻】』有斐閣、2017年、P323

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