『月刊登記情報』2024年3月号(748号)

『月刊登記情報』2024年3月号(748号)一般社団法人 金融財政事情研究会

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CONTENTS

 法窓一言 今年始まる新制度と司法書士の対応

東京司法書士会会長 千野隆二

 司法書士が法的支援だけではなく、IT面のサポート役としても機能していくこと。犯罪による収益移転防止法の改正により、確認項目が多くなる取引が増えるケースがあること、相続登記申請の義務化への対応。

公正証書に係る一連の手続のデジタル化―令和5年改正公証人法等の解説

法務省大臣官房会計課長(前法務省民事局総務課長) 村松秀樹

法務省民事局付兼総務課登記所適正配置対策室長 遠藤啓佑

法務省民事局総務課法務専門官 植月結可

法務省民事局総務課公証係長 山内 一

令和5年6月14日公布

民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00336.html

令和5年3月公証実務のデジタル化に関する実務者との協議会

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00062.html

 公証人法施行規則の改正待ち。

 公正証書遺言の証人もウェブ参加可能。

保証医師宣明公正証書については例外(民法465条の6など。)。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑶

法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 条例などに基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地について

みなし墓地について

墓地、埋葬等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000048_20220617_504AC0000000068

第二十六条 この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。

商業登記規則逐条解説 第15回

法務省民事局商事課長 土手敏行

商業登記法

(登記記録の閉鎖等)

第五十四条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 商号廃止の登記

二 商号の登記をした者の営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記

三 会社の商号以外の商号の登記の抹消

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

用紙から記録へ。

 閉鎖・・・それ以降当該登記記録に何らの登記もしないことを明らかにする(片岡貞敏「商業登記規則逐条解説(29)」商事法務1381号42頁)。

第五十五条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 未成年者又は後見人に関する消滅の登記

二 未成年者又は後見人の営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合を除く。)

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 後見人が退任(辞任・解任含む)して新たな後見人が選任された場合の新後見人の登記は、新後見人について新たな後見人の登記をすべきであり、退任後見人の登記に変更することはできない。・・・属人的な登記。

(数人の支配人の登記)

第五十六条 会社以外の者から数人の支配人の登記の申請があつたときは、各支配人について各別の登記記録に登記をしなければならない。

 事業の種類・・・選択できる商号の数・・・営業主である商人が、支配人に委任した商号の数・・・・登記できる支配人の登記の数。

(登記記録の閉鎖等)

第五十七条 会社以外の者の支配人に関する次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 支配人の代理権の消滅の登記

二 支配人を置いた営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記(登記所の管轄区域内にその支配人を置いた他の営業所がある場合を除く。)

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 破産法258条1項

(個人の破産手続に関する登記の嘱託等)

第二百五十八条 個人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、次に掲げるときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を登記所に嘱託しなければならない。

一 当該破産者に関する登記があることを知ったとき。

二 破産財団に属する権利で登記がされたものがあることを知ったとき。

(会社の支配人を置いた営業所の移転等の登記)

第五十八条 会社の支配人を置いた本店又は支店について移転、変更又は廃止があつたときは、本店又は支店に関する移転、変更又は廃止の登記の申請と支配人を置いた営業所に関する移転、変更又は廃止の登記の申請とは、同時にしなければならない。

 本店の移転などの登記と、支配人を置いた営業所の移転等の登記の同時申請義務の規定。住居表示の実施も含む。

特定目的会社登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000010037

(商業登記規則の準用)

第三条 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項及び第二項、第二条から第六条まで、第九条第一項、第三項から第七項まで及び第十一項から第十三項まで、第九条の二から第九条の四まで、第九条の五第一項から第三項まで、第五項及び第六項、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条、第五十八条から第六十条まで、第六十一条第一項から第八項まで、第六十五条、第六十六条第一項、第六十七条第一項、第六十八条、第七十条から第七十二条まで、第七十四条、第七十五条、第八十条から第八十一条の二まで、第九十三条、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十二条、第百十四条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、特定目的会社の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同規則第六十一条第一項中「定款の定め」とあるのは「定款若しくは資産流動化計画の定め」と、「、定款」とあるのは「、定款、資産流動化計画」と、同規則第九十三条中「会社法第九百三十三条第五項」とあるのは「資産の流動化に関する法律第百三十四条第四項(同法第百四十四条第二項において準用する場合を含む。)」と読み替えるものとする。

(会社の支配人の登記の抹消)

第五十九条 会社の支配人の登記は、会社の解散の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。

 清算会社について、会社法489条2項、6項3号、482条2項。

 破産的続き開始決定がされ、その旨の登記がされた後の支配人の印鑑証明書交付について。

(準用規定)

第六十条 第五十二条の規定は、会社以外の者の支配人の登記について準用する。

 会社以外の支配人の登記申請時における。追加的な添付書面の定め。

(添付書面)

第六十一条 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。

2 登記すべき事項につき次の各号に掲げる者全員の同意を要する場合には、申請書に、当該各号に定める事項を証する書面を添付しなければならない。

一 株主 株主全員の氏名又は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあつては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。次項において同じ。)及び議決権の数

二 種類株主 当該種類株主全員の氏名又は名称及び住所並びに当該種類株主のそれぞれが有する当該種類の株式の数及び当該種類の株式に係る議決権の数

3 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の数)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。

一 十名

二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数

4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。

5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。

6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑

二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑

三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

10 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。

11 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

 1項2項、3項、10項は通則的な定め。4項から9項、11項は具体的な登記申請ごとの定め。

 

目で見る筆界の調査・認定事例第5回 既提出の地積測量図により筆界を認定した事案

名古屋法務局総括表示登記専門官 角間隆夫(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接土地の所有者に相続が発生しており、相続人がいない事例。

 人証・・・分筆当時の土地所有者の供述。

 物証…ブロック塀、L字型側溝。

 相続財産管理人を選任しなくても、表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)に該当する事案であれば、登記官が筆界認定することができる。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第 6 回 心理的アセスメント

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 観察法、が印象に残りました。もっというと観察が必要だと思いました。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント

第59話 会社のたたみ方②~解散・清算手続のポイント

司法書士法人鈴木事務所 司法書士 鈴木龍介

 期限付き解散の可否、清算人の権限、清算期間、税務上の解散事業年度など、

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑹

司法書士 末光祐一

 ハイリスク取引への対応について。別途本人確認情報などの補完。

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

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誤りがあれば、指摘願います。修正します。

・臨時株主総会議事録

 議案として、募集株式(みなし優先株式)発行及び総数引受契約承認の件。

 募集株式の数(会社法199条1項1号)として、当会社普通株式(みなし優先株式)の株数。

 割当方法は、別紙「投資契約書」において割り当て、総数引受契約(会社法205条)により行う。

 議案として、定款一部変更の件。定款附則において優先株式に転換することを予定している株式であることを定める。

・株主名簿

備考欄に、みなし優先株式であることの記載。

・投資契約書

契約書名にみなし優先株式であることを明記。

 定義条項に、みなし優先株式の定義記載。発行会社により一定の要件を満たす優先株式(発行会社の普通株式以外の種類株式をいう。以下同じ。)の発行が行われた場合に、全株主の合意により当該優先株式と同種の優先株式に転換されることを予定している普通株式

本件株式の発行及び取得条項

 本件株式がみなし優先株式に該当する場合には、の記載。普通株式と併せて発行することも想定されているのかなと思いました。

他は、投資契約書(普通株式)と同じ。

みなし優先株式に関する株主間合意書

 みなし優先株主に関する定義がされています。投資契約書で定義されているみなし優先株式を取得した者として、参加契約書とみなし優先株式に関する株主間合意書、当事者一覧及び連絡先にみなし優先株主と記載されている者、とされています。

 新規株主等について、定義がされています。株主間合意書以外の者で、新たに発行会社の株主等になる者、とされています。

 適格株式発行の定義がされています。いくつか要件があります。適格株式発行の要件となる最低調達額は1億円と設定されています。

 適格株式発行の定義がされています。募集株式の発行(会社法199条~)に要件がいくつか追加されています。次回の種類株式による資金調達時を想定した設定になっているようです。

 議決権有、参加型、取得請求権付株式(会社法2条1項18号)、後から発行する優先株式よりもみなし優先株式の払込み価格が低く設定され、みなし優先株主が有利であること。

 主要みなし優先株主の定義がされています。みなし優先株式の議決権総数の過半数を有する1、または2以上のみなし優先株主、とされています。過半数を有する2人以上のみなし優先株主というのがどのような状態なのか、個人Aと法人がみなし優先株主で、法人の代表者兼100%株主が個人Aの場合なのかな、と思いました。

 買取の定義がされています。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059

第八条 3項以外略

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

第2条

優先株式への転換条項です。1項は株式等の発行による資金調達を行うことになった場合のみなし優先株主への通知義務です。

 2項は、発行会社が適格株式発行を行うこととなった場合のみなし優先株主の手続協力義務と発行会社と経営株主がみなし優先株主の代理人となって手続きできることを規定しています。

 3項は、みなし優先株式が優先株式に転換される場合の計算です。みなし優先株式の数を、適格株式発行として発行された優先株式の、定款で定めた残余財産分配額で割った数が優先株式に転換されます。

 4項は、適格株式発行の要件を満たさない株式発行の場合の、主要みなし優先株主の権利に関する規定です。

第3条

 投資関連契約の締結です。適格株式発行がされる場合に、みなし優先株主と発行会社が投資関連契約を締結しているときは、適格株式発行に必要な手続に協力(契約内容変更や破棄。)やする義務があると定められています。

第4条

 株式等の譲渡制限です。譲渡機関は主要みなし優先株主となっています。株式を譲渡しようとする場合、株式の譲渡制限が定められているとき(会社法107条1項1号)、であれば、定款・登記記録上の承認機関とともに、主要みなし優先株主の承認も必要となってきます。譲渡人が経営株主、非経営株主等及びみなし優先株主と会社法上の種類株式とは区別されて限定されているので、登記事項になるのか、私はならないような感触を持ちましたが(会社法108条1項4号)、分かりませんでした。

第5条

 後から新規株主等が生じた場合の規定です。発行会社は、契約当事者という立場に加えて、この契約書でみなし優先株主の代理人として、新規株主等と参加契約を締結する定めとなっています。

 また発行会社以外の他の株主が株式を他の者に譲渡する場合、この契約書に従った契約をすることが条件となっています。

第6条

 発行会社によるみなし優先株式の買取請求権の規定です。株主総会の決議は不要ですが、全部取得条項付株式(会社法108条1項6号)と似たような構造になっているという印象を受けました。

第7条

 発行会社の株主に対する株式売却を、一定の条件が生じた場合に強制する条項です。発行会社の発行済株式総数の3分の2以上を保有する株主(複数名で3分の2以上の保有比率となる場合を含む。)の承諾と、事前通知が条件となっています。

第8条

1項

 経営株主以外の特定の者並びにその者の子会社及び関連会社が、発行会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる発行会社の株式の譲渡が行われた場合の規定です。

1,当該譲渡を行った者のみが発行会社の株主と仮定する。

2,譲渡の対価の層が鵜を残余財産の総額とみなす。

3、定款に定める規定に従って、残余財産の分配を行うことに、みなし優先株主は同意する。

定めになっています。

2項

 発行会社が消滅会社となる合併又は子会社となる株式交換、株式移転又は株式交付(但し、これらの組織再編直前の発行会社の総株主が、存続会社又は完全親会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる場合を除く。について、1項と同じ規定です。

3項

 残余財産の分配が金銭以外の場合の評価方法です。合理的かつ客観的な評価を行うと定められていますが、詳細な方法は分かりませんでした。

4項

 発行会社の事業の全部又は重要部分を第三者に譲渡する事業譲渡、吸収分割、新設分割等を行われる場合、主要みなし優先株主は、発行会社に対して解散請求することが出来ると定められています。

 発行会社に反対する権利はなく、解散及び清算手続きを行うと定められています。

5項

 8条に基づく残余財産の分配や発行会社の解散が行われる場合の、各当事者の手続協力義務が定められています。

6項

みなし規定が2つあります。

1つ目

 みなし優先株式は、適格株式発行のイに該当する募集株式の発行に該当するという定款の定めがあるとみなす規定です。

第1条第6号(イ)②「適格株式発行」とは、以下の条件を全て満たす募集株式の発行をいう。

ア  募集株式の発行による払込金額の合計額が100,000,000円 以上であること

イ  以下の要件を全て満たす優先株式の発行であること

① 議決権を有すること

② 発行会社の解散時に、残余財産から当該株式の払込金額相当額が普通株主に先立って分配され、同分配後の残余財産の分配についても、転換比率を調整のうえ計算した額で普通株式の株主と共に参加する内容の残余財産の分配を受ける権利が規定されていること

③ 取得請求権付株式(当該株式を取得するのと引換えに株主に対して発行会社の普通株式を交付する条項を含むものに限る。)であること

④ 優先株式の1株当たりの払込金額が、みなし優先株式の1株当たりの払込金額よりも高いこと

2つ目

 適格株式発行のイに該当する募集株式の発行より発行された株式については、残余財産の分配について1,優先株主、2、普通株主、3優先株主・普通株主の同順位、の順で受け取る、と定められています。

 また、主要みなし優先株主に権利が与えられています。

主要みなし優先株主は、上の2つのみなし規定に関して疑義があるときに、発行会社に対して、発行会社が発行したみなし優先株式の全てを、適格株式発行の要件を満たす優先株式に転換することを請求できる権利が付与されています。

第9条

 主要みなし優先株主の発行会社に対する、決算情報などの情報提供請求権が規定されています。

第10条

契約の各当事者が表明保証を行う定めです。

第11条

 契約の各当事者が秘密保持義務を負う規定です。

第12条

 契約の各当事者への通知先に関する定めです。

第13条

 他の契約との関連性を定める規定です。2項で、抵触する場合はこの契約が優先することが規定されています。契約日の前後を問わない規定です。

第14条

 費用は、原則として発行会社が負担するという規定です。

第15条

 契約の終了、契約の効力停止の定めです。

第16条

 準拠法は日本法、第一審の管轄は発行会社の本店所在地を管轄する地方裁判所とする定めです。

株式の内容の変更に関する株主全員の合意書・同意書

・株主全員でなくても良い。

・発行会社が代理権構成を取ることも可能であるが、法令、先例通達がないため分からないことが説明されています。・・・みなし優先株主にとって不利になることはないこと、民法108条の規定から可能である可能性が高いと思われます。

参考

中小企業庁

中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報令和4年12月22日更新

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションWG11回令和5年4月11日(火)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230411/startup11_agenda.html

BAMBOO INCUBATOR 投資契約書雛形『ANGELs』

https://bambooincubator.jp/template/angels

BAMBOO INCUBATOR 投資契約書雛形『ANGELs』

誤りなどありましたら、指摘願います。

構成

普通株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

・登記申請書

・臨時株主総会議事録

・株主リスト

・払込みがあったことを証する書面

・資本金計上証明書

・株主名簿

・投資契約書(普通株式)

みなし優先株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

投資契約及び株主間契約

・投資契約書(みなし優先株式)

・みなし優先株式に関する株主間合意書

発行時書式

・臨時株主総会議事録

・株主リスト

・払込みがあったことを証する書面

・資本金計上証明書

・株主名簿

優先株式への転換時書式

・合意書・同意書(転換)

・臨時株主総会議事録(転換)

経済産業省 第8回 スタートアップ・イノベーションワーキング・グループ  議事次第

令和5年3月2日(木)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230302/startup08_agenda.html

普通株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

 ・登記申請書(会社法915条)

法務省 1-20 株式会社変更登記申請書(募集株式発行)

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-20

に準じた形になっています。

 添付書類に、株主総数引受契約書兼投資契約書(商号登記法56条)がありませんが、臨時株主総会議事録の別紙として提供する方法を採っています。臨時株主総会で私なら、登記すべき事項に原因年月日の欄を追加すると思いました。

・臨時株主総会議事録

 総数引き受け契約(会社法205条)、払込期日の方法です。総数契約書兼投資契約書で合意した株式の数を、募集株式の数の下限としています。

・株主リスト

 株主総会の年月日を記載してください、の等は、株主総会の決議の省略(会社法319条)を指しているのかなと思いました。

・株主名簿

 会社法121条の通り。

・投資契約書

 総数引受契約書(会社法205条)を兼ねています。

 定義の条項について

 反社会的勢力の分量が多いです。企業が今後、証券取引所に上場する可能性を考えた場合の細かい定義だと思います。

 官公庁、証券取引所などから出ている反社会的勢力の定義で、同じような定義を探すことが出来ませんでした。

 経営株主の定義があります。説明がある別紙には、所在地、名称、連絡先の記載欄があります。経営株主という名前から、取締役などの業務を執行する役員で、一定の割合の株式を持っている人のことを指すと想定されます。一定の割合、が過半数を指すのか、それとも発行会社によって、投資家に説明が出来れば何パーセントでも良いのか、分かりませんでした。

 資金使途条項について

 原則として発行会社は、投資家に説明した事業を遂行する目的にのみ使用、例外として事業内容を大幅に変更する場合で、投資家との協議を経たときは、可能としています。ここで協議を行う投資家は、全ての投資家を指していると思われます。投資家との協議を得て、同意を得られた場合は可能だと思いますが、同意を得られなかった場合は、発行会社が株式を買い取るのか、分かりませんでした。

 発行会社及び経営株主による事実の表明及び保証条項において

 信用状況に悪影響を及ぼすべき、の、べき、が分かりませんでした。裁判その他の法的手続又は行政・税務その他の手続、について、その他の手続として、どのような手続が考えられるのか、分かりませんでした。

 反社会的勢力に関与していないことを表明保証する特別利害関係者等、どのような立場の人なのか、分かりませんでした。

 事業の全部又は重要な一部の休廃止又は第三者への譲渡もしくは経営の委任がないことを表明保証しています。事業の重要な一部の休廃止について、休止・廃止しても経営に不都合がなければ良いのではないか、と思いましたが、私に根拠があるわけではないので、分かりませんでした。

 100万円を超える債務の不履行がないことの表明保証は、金額が分かりやすくて良いなと思いました。 

 投資家の事前の承諾を得ていない、合併、事業譲渡、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付、発行会社の主要株主(発行会社の発行済株式総数の10%以上にあたる株式を所有する株主をいう。以下同じ。)の異動、その他の企業再編又は企業譲渡行為についての交渉又はその準備の事実がないことについて、表明保証する条項となっています。主要株主の定義が出てきます。定義条項の2条に置いても良いのかなと思いました。交渉や準備に関しても、投資家の事前の承諾が必要なのだなと思いました。

 払込みの条件条項について

 書面により、というところが気になりましたが、13条で電磁的記録(Eメール等)でもよいと手当てされています。

 発行行会社及び経営株主が交付した書面及び提供した資料もしくは情報が、払込期日現在においても、重要な点において真実かつ正確であることを表明保証しています。重要な点と重要でない点は、どのように分けるのか、分かりませんでした。次号の、重大な悪影響を及ぼす事態が発生していないこと、の重大な悪影響を及ぼす事態、についても同じくです。

 事前通知条項について

 投資家に事前通知するのは、取締役会または株主総会の何日前でも良いのか、気になりました。投資家に事前通知を要する事項に株式分割が入っていないのは、株主が損をすることはないからかな、と思いました。株式併合が入っていないのは、株主総会で決議するから良い、という考えなのかなと思いました。

 経営株主の兼業、競業避止義務条項について

 経営株主は、投資家の事前の承諾がある場合は兼業可能とされています。経営株主が、兼業の承諾を求めたときの全ての投資家、という意味だと思います。競業避止義務条項についても同じ基準だと思われます。

 経営株主が自己の責に帰すべき事由により発行会社の取締役を辞任又は退任する場合には、発行会社は、(いつの時点の?全ての?)投資家と事前協議が必要とされています。辞任届を会社に提出する前に、投資家と協議をすれば、辞任の承諾を得られなくても辞任することが出来るものと思われます。投資家にとって、不意打ちにならないように、この役員が辞めるのではあれば、株式を誰かに譲渡しよう、など考える時間と機会を与えるものための条項だと想定します。

 株式の譲渡及び買取り条項について

 買取対象株式の定義が出てきます。第2条の定義条項においても良いのかなと思いました。この条項でしか使わないため、あえて第2条に置いていないかもしれません。

 買取り対象株式の価額調整に関する条項があります。

 5つある計算方法のうち、一番高い価額とされており、投資家にとって不利にならないような条項になっていると思います。

 株式の譲渡条項について

 この条項にある第三者とは、経営株主による事実の表明及び保証条項で定められている、発行会社、経営株主を含む発行会社の取締役、監査役、従業員、株主、取引先、顧問その他のアドバイザー及び特別利害関係者等、以外の人を指しているのかなと思いました。それとも、発行会社以外を第三者、としているのかもしれません。

 通知条項について

 この条項で、契約書の中で書面と定められていたものが、全て電子メールとの併用が可能となります。

 契約の終了条項について

 投資家が発行会社の株主とならなかった場合と、投資家が発行会社の株主でなくなった場合が規定されています。投資家が発行会社の株主とならなかった場合は、臨時株主総会で募集株式の発行を決議して、投資契約を締結した後、払込み期日の前後に、何かしらの事実があった場合などが考えられます。表明保証違反、払込みがされなかった(会社法209条)、など。投資家が発行会社の株主でなくなった場合は、株式を譲渡した場合などが考えられます。

 発行会社が証券取引所に株式の上場申請を行った場合には、一度契約は失効し、上場できなかった場合は、上場申請日に遡って契約は有効になることが定められています。この契約書は株式総数引き受け契約を含んでいるので、発行会社の発行済み株式の総数も減り、登記等も申請する必要があるのかなと思いましたが、上場できなかった場合の対応や投資家・発行会社の意思も想像すると違和感があります。事前通知条項などが失効する意味なのかなと思いました。

 エンジェル税制等条項について

 第一基準日・・・租税特別措置法施行規則第18条の15第8項第1号イ

 1項は、投資家による表明保証に関する規定です。

租税特別措置法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332M50000040015

(特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等)

第十八条の十五

8 法第三十七条の十三第二項に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類(第三号に掲げる書類にあっては、同条第一項に規定する控除対象特定株式を取得した日の属する年中の同号イからハまでに掲げる事項の記載があるものに限る。)とする。

一 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める書類

イ 法第三十七条の十三第一項第一号に掲げる株式会社に該当する特定中小会社(中小企業等経営強化法施行規則第八条第五号イ又はロに該当する会社に限る。)が発行した特定株式である場合 当該特定中小会社から交付を受けた都道府県知事の当該特定株式に係る基準日(第一項各号に掲げる特定株式の区分に応じ当該各号に定める日をいう。ハ、ニ、次号及び第十項において同じ。)において(1)から(3)までに掲げる事実の確認をした旨を証する書類((4)に掲げる事項の記載があるものに限る。)

(1) 当該特定中小会社が中小企業等経営強化法施行規則第八条各号に掲げる要件に該当するものであること。

(2) 当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者による当該特定株式の取得が、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者と当該特定中小会社との間で締結された第四項第一号に定める契約に基づき払込みによりされたものであること。

(3) 当該特定株式が特例控除対象特定株式(施行令第二十五条の十二第八項に規定する特例控除対象特定株式をいう。以下この条において同じ。)に該当する場合には、当該特定中小会社が第十項第一号に定める要件に該当するものであること。

(4) 当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者の氏名及び住所(国内に住所を有しない者にあっては、所得税法施行規則第八十一条第一号又は第二号に定める場所。以下この号において同じ。)、払込みにより取得がされた当該特定株式の数及び当該特定株式と引換えに払い込むべき額並びにその払い込んだ金額

(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)

第四十一条の十九 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、次の各号に掲げる株式会社(以下この項において「特定新規中小会社」という。)の区分に応じ当該各号に定める株式(以下この項において「特定新規株式」という。)を払込み(当該株式の発行に際してするものに限る。以下この項及び次項において同じ。)により取得(第二十九条の二第一項本文の規定の適用を受けるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)をした場合において、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者(当該取得をした日においてその者を判定の基礎となる株主として選定した場合に当該特定新規中小会社が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該株主その他の政令で定める者であつたものを除く。)がその年中に当該払込みにより取得をした特定新規株式(その年十二月三十一日において有するものとして政令で定めるものに限る。以下この条において「控除対象特定新規株式」という。)の取得に要した金額として政令で定める金額(当該金額の合計額が八百万円を超える場合には、八百万円)については、所得税法第七十八条(同法第百六十五条第一項の規定により準じて計算する場合を含む。)の規定を適用することができる。この場合において、同法第七十八条第一項中「支出した場合」とあるのは「支出した場合又は租税特別措置法第四十一条の十九第一項(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)に規定する特定新規株式を同項に規定する払込みにより取得(同項に規定する取得をいう。以下この項において同じ。)をした場合」と、同項第一号中「の額」とあるのは「の額及びその年中に取得をした租税特別措置法第四十一条の十九第一項に規定する控除対象特定新規株式の取得に要した金額として同項に規定する政令で定める金額」と、同条第四項中「控除は」とあるのは「控除(租税特別措置法第四十一条の十九第一項の規定による控除を含む。)は」とする。

一 中小企業等経営強化法第六条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社(その設立の日以後の期間が一年未満のものその他の財務省令で定めるものに限る。) 当該株式会社により発行される株式

二 内国法人のうちその設立の日以後五年を経過していない株式会社(第三十七条の十三第一項第二号に規定する中小企業者に該当する会社であることその他の財務省令で定める要件を満たすものに限る。) 当該株式会社により発行される株式で同号イ又はロに掲げるもの

三 第三十七条の十三第一項第三号に掲げる指定会社 当該指定会社により発行される株式

四 国家戦略特別区域法第二十七条の五に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成二十七年法律第五十六号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

五 内国法人のうち地域再生法第十六条に規定する事業を行う同条に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で地域再生法の一部を改正する法律(平成三十年法律第三十八号)の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

2 前項の規定の適用を受けた控除対象特定新規株式及び当該控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式で、その適用を受けた年中に払込みにより取得をしたものについては、第三十七条の十三第一項及び第三十七条の十三の二第一項の規定は、適用しない。

3 第一項の規定の適用を受けた場合における控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式の取得価額の計算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

租税特別措置法施行令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000043

(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)

第二十六条の二十八の三 法第四十一条の十九第一項に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。

一 法第四十一条の十九第一項に規定する特定新規株式(以下この条において「特定新規株式」という。)を払込み(同項に規定する払込みをいう。以下この条において同じ。)により取得(同項に規定する取得をいう。以下この条において同じ。)をした日として財務省令で定める日において、財務省令で定める方法により判定した場合に当該特定新規株式を発行した特定新規中小会社(同項に規定する特定新規中小会社をいう。以下この条において同じ。)が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該判定の基礎となる株主として財務省令で定める者

二 当該特定新規株式を発行した特定新規中小会社の設立に際し、当該特定新規中小会社に自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人(以下この項において「特定事業主であつた者」という。)

三 特定事業主であつた者の親族

四 特定事業主であつた者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

五 特定事業主であつた者の使用人

六 前三号に掲げる者以外の者で、特定事業主であつた者から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの

七 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族

八 前各号に掲げる者以外の者で、特定新規中小会社との間で当該特定新規株式に係る投資に関する条件を定めた契約として財務省令で定める契約を締結していないもの

 1項1号では、投資家が寄付金控除の適用を受けようとする場合、その前提条件(発行会社と資本上の関係があること、親族ではないこと。)を表明保証しています。

租税特別措置法

特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)

第二十九条の二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第二百三十八条第二項の決議(同法第二百三十九条第一項の決議による委任に基づく同項に規定する募集事項の決定及び同法第二百四十条第一項の規定による取締役会の決議を含む。)により新株予約権(政令で定めるものに限る。以下この項において「新株予約権」という。)を与えられる者とされた当該決議(以下この条において「付与決議」という。)のあつた株式会社若しくは当該株式会社がその発行済株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係その他の政令で定める関係にある法人の取締役、執行役若しくは使用人である個人(当該付与決議のあつた日において当該株式会社の政令で定める数の株式を有していた個人(以下この項及び次項において「大口株主」という。)及び同日において当該株式会社の大口株主に該当する者の配偶者その他の当該大口株主に該当する者と政令で定める特別の関係があつた個人(以下この項及び次項において「大口株主の特別関係者」という。)を除く。以下この項、次項及び第六項において「取締役等」という。)若しくは当該取締役等の相続人(政令で定めるものに限る。以下この項、次項及び第六項において「権利承継相続人」という。)又は当該株式会社若しくは当該法人の取締役、執行役及び使用人である個人以外の個人(大口株主及び大口株主の特別関係者を除き、中小企業等経営強化法第十三条に規定する認定新規中小企業者等に該当する当該株式会社が同法第九条第二項に規定する認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画(当該新株予約権の行使の日以前に同項の規定による認定の取消しがあつたものを除く。)に従つて行う同法第二条第八項に規定する社外高度人材活用新事業分野開拓に従事する同項に規定する社外高度人材(当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画に従つて当該新株予約権を与えられる者に限る。以下この項において同じ。)で、当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の同法第八条第二項第二号に掲げる実施時期の開始の日(当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の変更により新たに当該社外高度人材活用新事業分野開拓に従事することとなつた社外高度人材にあつては、当該変更について受けた同法第九条第一項の規定による認定の日。次項第二号において「実施時期の開始等の日」という。)から当該新株予約権の行使の日まで引き続き居住者である者に限る。以下この条において「特定従事者」という。)が当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等又は当該特定従事者との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権(当該新株予約権に係る契約において、次に掲げる要件(当該新株予約権が当該取締役等に対して与えられたものである場合には、第一号から第六号までに掲げる要件)が定められているものに限る。以下この条において「特定新株予約権」という。)を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権に係る株式の取得をした場合には、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さない。ただし、当該取締役等若しくは権利承継相続人又は当該特定従事者(以下この項及び次項において「権利者」という。)が、当該特定新株予約権の行使をすることにより、その年における当該行使に際し払い込むべき額(以下この項及び次項において「権利行使価額」という。)と当該権利者がその年において既にした当該特定新株予約権及び他の特定新株予約権の行使に係る権利行使価額との合計額が、千二百万円を超えることとなる場合には、当該千二百万円を超えることとなる特定新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益については、この限りでない。

1項各号、2項以下略―

 1項2号は、投資家が、大口株主、大口株主の特別関係者、取締役等、権利承継相続人に該当しないことを表明保証する規定です。

租税特別措置法施工令

(特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等)

第二十五条の十二

8 法第三十七条の十三第一項の居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年中に取得をした同項に規定する控除対象特定株式(同項第一号又は第二号に掲げる株式会社でその設立の日以後の期間が五年未満の株式会社であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの(次項及び第十項第一号ロにおいて「特例株式会社」という。)の特定株式に係るものに限る。以下この項において「特例控除対象特定株式」という。)の取得に要した金額の合計額につき同条第一項の規定の適用を受けた場合において、当該適用を受けた金額として財務省令で定める金額(以下この項において「適用額」という。)が二十億円を超えたときは、その適用を受けた年(以下この項及び次項において「適用年」という。)の翌年以後の各年分における所得税法第四十八条の規定並びに所得税法施行令第二編第一章第四節第三款及び第百六十七条の七第四項から第七項までの規定並びに第二十五条の十二の四第四項の規定の適用については、これらの規定により当該各年分の必要経費又は取得費に算入すべき金額の計算の基礎となる当該適用年に法第三十七条の十三第一項の規定の適用を受けた特例控除対象特定株式(以下この条において「特例適用控除対象特定株式」という。)に係る同一銘柄株式一株当たりの同令第百五条第一項の規定により算出した取得価額は、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額とし、当該同一銘柄株式一株当たりの同令第百十八条第一項の規定により算出した必要経費に算入する金額及び取得費に算入する金額は、当該控除に準じて計算した金額とする。

一 当該特例適用控除対象特定株式に係る同一銘柄株式一株当たりの当該適用年の十二月三十一日における所得税法施行令第百五条第一項の規定により算出した取得価額

二 当該特例適用控除対象特定株式に係る適用年の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を当該適用年の十二月三十一日において有する当該特例適用控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の数で除して計算した金額

イ 当該適用年において当該特例適用控除対象特定株式以外の特例適用控除対象特定株式(ロにおいて「他の特例適用控除対象特定株式」という。)がない場合 適用額から二十億円を控除した残額

ロ 当該適用年において他の特例適用控除対象特定株式がある場合 適用額から二十億円を控除した残額に、当該特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額(第三項の規定により計算される同項に規定する取得に要した金額をいう。ロにおいて同じ。)と当該他の特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額との合計額のうちに占める当該特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額の割合を乗じて計算した金額

 1項3号は、投資家が株式取得後に株式の数の変更があった場合、発行会社へ報告することを表明保証する規定です。ただし書きとして、寄付金控除を受けようとする適用年に、特定株式の取得に要した金額が20億円以下の場合は、報告しなくても良い、としています。

 20億円を超えることはあまりないと思われるので、報告義務が生じることはないのかなと思いました。

 2項は発行会社による誓約事項です。

 1号は、投資家が寄付金控除を受ける場合には、必要な書類を作成し、投資家に交付することを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000400074_20230401_505M60000400021

(特定新規中小企業者に係る株式の払込みの確認)

第十一条 法第七条の規定による確認を受けようとする法第六条に規定する特定新規中小企業者は、その発行する株式を払込みにより取得した個人ごと(第九条第一項の確認を受けた特定新規中小企業者が、その発行する株式の払込みの期日又はその期間を複数回定めた場合にあっては、個人及び当該期日又は当該期間ごと)に、様式第六による申請書一通を都道府県知事に提出するものとする。

2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付するものとする。

一 当該特定新規中小企業者(第九条第一項の確認を受けていないもの及び同項の確認を受けた後にその主たる事務所を他の都道府県に移転したものに限る。以下この号において同じ。)が法第六条に規定する要件に該当することを証する書類として次に掲げる書類

イ 登記事項証明書

ロ 基準日(第一項に規定する株式の払込みの期日(払込みの期間を定めた場合にあっては、出資の履行をした日)又は当該株式が当該特定新規中小企業者の設立に際して発行された場合は、当該設立の日(当該特定新規中小企業者が第八条第五号ハに該当する会社である場合は、当該設立の日の属する年十二月三十一日)をいう。ニ及び第二号イからハまでにおいて同じ。)におけるその株主名簿

以下略―

 2号は、投資家が払込みを行う際において、発行会社が寄付金控除を受けることが出来る会社であることを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

第十条 前条第一項の規定による確認を受けようとする新規中小企業者は、同項の確認に加え、次に掲げる要件のいずれかに該当することについて、都道府県知事の確認を受けることができる。この場合においては、前条第二項の様式第一による申請書に代えて、様式第二による申請書を都道府県知事に提出するものとする。

一 設立の日以後の期間が一年未満の会社(設立事業年度を経過していないものに限る。)であって、事業の将来における成長発展に向けた事業計画を有するもの

二 次のイ及びロのいずれにも該当するものであること。

イ 設立の日以後の期間が五年未満の会社であって、設立後の各事業年度における営業活動によるキャッシュ・フロー(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)第百十二条第一号に掲げる営業活動によるキャッシュ・フローをいう。)が零未満であるもの

ロ 次の(1)から(4)までのいずれかに該当するもの

(1) 設立の日以後の期間が一年未満の会社(設立事業年度を経過しているものに限る。)であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの又は第八条第五号イ(2)若しくは(3)に該当するもの

(2) 設立の日以後の期間が一年以上二年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの、売上高成長率が百分の百二十五を超えるもの又は第八条第五号イ(3)に該当するもの

(3) 設立の日以後の期間が二年以上三年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの又は売上高成長率が百分の百二十五を超えるもの

(4) 設立の日以後の期間が三年以上五年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの

以下略―

 3号は、発行会社が設立の日から一定の期間を経過していないことなどを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

第十二条 第八条第五号イ又はロ及び第六号イ又はロに掲げる要件に該当する特定新規中小企業者(第十条第一項の確認を受けていないものに限る。)は、前条第一項の確認に加え、第十条第一項第一号又は第二号に該当することについて、都道府県知事の確認を受けることができる。この場合においては、前条第一項の様式第六による申請書に代えて、様式第七による申請書を都道府県知事に提出するものとする。

2 第十条第二項及び第三項の規定は、前項の確認の申請について準用する。この場合において、第十条第二項中「同条第二項」とあるのは「同条第一項」と、同条第三項中「新規中小企業者」とあるのは「特定新規中小企業者」と、「様式第五」とあるのは「様式第十二」と読み替えるものとする。

4号は、投資家が寄付金控除を受けようとする場合、都道府県知事による確認書を交付することを誓約しています。

租税特別措置法施行規則第18条の15

8項

三 当該特定株式を発行した特定中小会社(当該特定中小会社であつた株式会社を含む。)から交付を受けた当該特定株式を払込みにより取得をした当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者が有する当該特定中小会社の株式の当該取得の時(当該取得の時が二以上ある場合には、最初の取得の時)以後の当該株式の異動につき次に掲げる事項がその異動ごとに記載された明細書

イ 異動事由

ロ 異動年月日

ハ 異動した株式の数及び当該異動直後において有する株式の数

ニ その他参考となるべき事項

以下略―

 5号は、株式の異動についての明細書を、投資家に交付することを誓約しています(投資家が税制上の減免を求めるときには、それに応じた様式。)

6号は、発行会社に、投資契約が終了するような事実が生じた場合は、その事実を証する書面を作成し、投資家に交付することを誓約しています。

 7号は、発行会社が、投資家が寄付金控除を受けることが出来る状態であることを確認できる情報、書類を投資家に交付することを誓約しています。

参考

中小企業庁 投資契約書のひな形について

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

経済産業省 エンジェル投資に対する措置

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/investment.html

弁護士法人アインザッツ エンジェル税制の体系について

https://einsatz.law/blog/angel-tax-system/

一般社団法人Fintech協会

20231208_スタートアップに対する株式投資にかかる契約書雛形の公表について_FAJ-1

https://fintechjapan.org/news/14365/

令和5年度商業登記分野研修会 「各種法人の役員変更登記の横断的整理~任期を制するものは、顧客の人気も制す~」

日本司法書士会連合会、令和5年度商業登記分野研修会 「各種法人の役員変更登記の横断的整理~任期を制するものは、顧客の人気も制す~」2024年2月19日

第2講各種法人の役員変更

第1部 商業登記・企業法務対策部委員、日高啓太郎

一般社団・一般財団法人~株式会社との比較

一般財団法人は、法人状態区に、理事会・監事・評議員・評議員会を置く法人である旨は登記事項ではない・・・設置しないといけないから。

一般社団法人等登記規則 別表第二(一般財団法人登記簿)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000010048

公証人法施行規則13条の4

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324M50000001009

 設立時には定款認証のため、実質的支配者申告書の提出(定款認証時)を行うのに、役員変更などの登記申請時には社員リストなどの提供が必要ないのは何故なんだろう、と思いました。

大規模一般社団法人

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000048

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 略

二 大規模一般社団法人 最終事業年度(各事業年度に係る第百二十三条第二項に規定する計算書類につき第百二十六条第二項の承認(第百二十七条前段に規定する場合にあっては、第百二十四条第三項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。)に係る貸借対照表(第百二十七条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時社員総会に報告された貸借対照表をいい、一般社団法人の成立後最初の定時社員総会までの間においては、第百二十三条第一項の貸借対照表をいう。)の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上である一般社団法人をいう。

 大規模一般社団法人は、初めて知りました。資本金制度がないため、負債要件で判定。

一般社団法人の評議員会の決議

(評議員会の決議)

第百八十九条 評議員会の決議は、議決に加わることができる評議員の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

・・・緩和は不可。

(理事の任期)

第六十六条 理事の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、定款又は社員総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。

社員総会議事録

(議事録)

第五十七条 社員総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

2 一般社団法人は、社員総会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。

3 一般社団法人は、社員総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

4 社員及び債権者は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(社員総会の決議の省略)

第五十八条 理事又は社員が社員総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき社員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなす。

2 一般社団法人は、前項の規定により社員総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその主たる事務所に備え置かなければならない。

3 社員及び債権者は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

4 第一項の規定により定時社員総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時社員総会が終結したものとみなす。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則

(社員総会の議事録)

第十一条 法第五十七条第一項の規定による社員総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。

2 社員総会の議事録は、書面又は電磁的記録(法第十条第二項に規定する電磁的記録をいう。第六章第四節第二款を除き、以下同じ。)をもって作成しなければならない。

3 社員総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。

一 社員総会が開催された日及び場所(当該場所に存しない理事、監事、会計監査人又は社員が社員総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。

二 社員総会の議事の経過の要領及びその結果

三 次に掲げる規定により社員総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

イ 法第七十四条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)

ロ 法第七十四条第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)

ハ 法第百二条

ニ 法第百五条第三項

ホ 法第百九条第一項

へ 法第百九条第二項

四 社員総会に出席した理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称

五 社員総会の議長が存するときは、議長の氏名

六 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

4 次の各号に掲げる場合には、社員総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。

一 法第五十八条第一項の規定により社員総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項

イ 社員総会の決議があったものとみなされた事項の内容

ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称

ハ 社員総会の決議があったものとみなされた日

ニ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

二 法第五十九条の規定により社員総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項

イ 社員総会への報告があったものとみなされた事項の内容

ロ 社員総会への報告があったものとみなされた日

ハ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

 理事会を設置している一般社団法人の代表理事の選定の方法

 社員総会で代表理事を選定する場合、定款に記載。・・・根拠が分かりませんでした。

(理事会の権限等)

第九十条 理事会は、すべての理事で組織する。

2 理事会は、次に掲げる職務を行う。

一 理事会設置一般社団法人の業務執行の決定

二 理事の職務の執行の監督

三 代表理事の選定及び解職

3 理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。

4項以下略

 理事会非設置法人における代表理事の選定の方法など

 代表理事のみ辞任して、理事に留まることは可能。

(一般社団法人の代表)

第七十七条 理事は、一般社団法人を代表する。ただし、他に代表理事その他一般社団法人を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2 前項本文の理事が二人以上ある場合には、理事は、各自、一般社団法人を代表する。

3 一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。)は、定款、定款の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を定めることができる。

4項以下略

・議事録押印者の定款の定め

 (理事会の決議)

第九十五条 1項、2項略

3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

4項以下略

5 理事会の決議に参加した理事であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

・平成14 年12 月18 日民商3044 号回答(登記研究662号P171)

第2部 商業登記・企業法務対策部委員 立花 宏「医療法人、社会福祉法人、NPO法人、労働者協同組合~横断的整理」

社団型の医療法人

各種法人等登記規則

組合等登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029

・理事

(設立の登記)

第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 目的及び業務

二 名称

三 事務所の所在場所

四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

六 別表の登記事項の欄に掲げる事項

(変更の登記)

第三条 組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、出資若しくは払い込んだ出資の総額又は出資の総口数の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。

3 第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から三月以内にすれば足りる。

・理事長

医療法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000205

第四十六条の五 医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。

2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によって選任する。

3項から8項略

9 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。

第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。

2項略

第四十六条の六の二 理事長は、医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

2項3項略

平成15年4月22日民商第1223号民事局商事課長通知

・社員総会

 年に2回、定時社員総会を開催することを想定。

厚生労働省モデル定款例

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135131.html

第17 条 理事長は、定時社員総会を、毎年○回、○月に開催する。

 社員総会決議の省略(みなし決議)の規定は法令にない。

社会福祉法人

 役員

社会福祉法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000045

(役員の資格等)

第四十四条 第四十条第一項の規定は、役員について準用する。

2 監事は、理事又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。

3 理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。

(理事会の権限等)

第四十五条の十三 理事会は、全ての理事で組織する。

2 理事会は、次に掲げる職務を行う。

一 社会福祉法人の業務執行の決定

二 理事の職務の執行の監督

三 理事長の選定及び解職

3 理事会は、理事の中から理事長一人を選定しなければならない。

4項以下略

厚生労働省 社会福祉法人 モデル定款例

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html

(役員<及び会計監査人>の任期)

第一九条 理事又は監事の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとし、再任を妨げない。

2 理事又は監事は、第一五条に定める定数に足りなくなるときは、任期の満了又は辞任により退任した後も、新たに選任された者が就任するまで、なお理事又は監事としての権利義務を有する。

3 会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、その定時評議員会において別段の決議がされなかったときは、再任されたものとみなす。>

(備考一)

会計監査人を置いていない場合、<>内は不要。

(備考二)

理事の任期は、定款によって短縮することもできる(法第45条)。

 法第45条に基づき、補欠理事又は監事の任期を退任した理事又は監事の任期満了時までとする場合には、第1項の次に次の一項を加えること。

2 補欠として選任された理事又は監事の任期は、前任者の任期の満了する時までとすることができる。

理事会議事録

(理事会の運営)

第四十五条の十四

1項から5項略

6 理事会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもつて作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあつては、当該理事長)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

NPO法人

役員

特定非営利活動促進法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC1000000007

第十五条 特定非営利活動法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。

(理事の代表権)

第十六条 理事は、すべて特定非営利活動法人の業務について、特定非営利活動法人を代表する。ただし、定款をもって、その代表権を制限することができる。

 登記する資格は、理事。理事長ではない。

労働者協同組合

 労働者協同組合法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC1000000078

役員

(役員)

第三十二条 組合に、役員として理事及び監事を置く。

2 理事の定数は三人以上とし、監事の定数は一人以上とする。

3 役員は、定款で定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。

4 理事は、組合員でなければならない。ただし、設立当時の理事は、組合員になろうとする者でなければならない。

5 組合員の総数が政令で定める基準を超える組合は、監事のうち一人以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。

一 当該組合の組合員以外の者であること。

二 その就任の前五年間当該組合の理事若しくは使用人又はその子会社(組合が総株主(総社員を含む。)の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。第六十三条第一項第四号ロにおいて同じ。)の過半数を有する会社をいう。同号において同じ。)の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、執行役若しくは使用人でなかったこと。

三 当該組合の理事又は重要な使用人の配偶者又は二親等内の親族以外の者であること。

6 理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超えるものが欠けたときは、三月以内に補充しなければならない。

(代表理事)

第四十二条 理事会は、理事の中から組合を代表する理事(以下この章及び次章において「代表理事」という。)を選定しなければならない。

2項以下略

機関

(総会の招集)

第五十八条 通常総会は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。

(総代会)

第七十一条 組合員の総数が二百人を超える組合は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。

(理事会の権限等)

第三十九条 組合は、理事会を置かなければならない。

(理事会の決議)

第四十条

4 組合は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

・・・理事会のみ、みなし決議可能。

選挙と選任の違い 法令用語研究会編『法律用語辞典』有斐閣、2012年

選挙・・・特定の地位に就くべきものを多数人によって選定する行為及びその手続の総称通常投票によって行われる。近代的民主国家では、多くの国家機関を選挙によって選任すべきものとし、かつ、その選挙については、普通、直接、秘密、平等を保障している。国会議員、地方議会の議員及び地方公共団体の長の選挙については公職選挙法が規定する。

選任・・・一般にある人を、ある地位又は任務に就かせること。選挙による場合を含んだ広い意味で用いられる。

投票・・・選挙や採決などに際して、選定や賛否の意思表示としての票を投ずること。公職選挙法上の投票、衆参両議院規則上の投票地方自治法上の議会の解散の請求に関する投票などの制度がある。

 選挙は、投票で決める。選定は、選挙を含む色々な方法を使って決める。例えば定款で定める、ある者の提案に対する同意など。

 (役員の任期)

第三十六条 理事の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。

2 監事の任期は、四年以内において定款で定める期間とする。

3 設立当時の役員の任期は、前二項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年を超えてはならない。

4 前三項の規定は、定款によって、これらの規定の任期を任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

BAMBOO INCUBATOR『エンジェル投資の教科書: 普通株・みなし優先株・J-KISS・令和5年改正エンジェル税制の活用 Kindle版』

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第1章エンジェル投資とは 

・ベンチャーキャピタルによる投資とエンジェル投資の違い。

ピポットに対する寛容度。

ピポット・・・事業内容やビジネスモデルなどについて方針転換すること。

経済産業省

Devotion Open Lab 2022イベントレポート vol.3 「EdTechサポーター(VC・CVC)の本音」2023年1月30日

https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/edvationopenlab/event-03/

起業家にとって、エンジェル投資家と出会える場面が限られる。

・一般的な中小企業に対する出資とエンジェル投資との違い

 エンジェル税制を使える可能性。

新たな措置 経済産業省 2024年2月16日

https://www.meti.go.jp/press/2023/02/20240216001/20240216001.html

⑤スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)を特例的に可能とします。

 沖縄県では、中小企業がファンド(有限責任事業組合)を設立し、出資を行う動きもみられます。

SCOM株式会社

 主に種類株式(無議決権・種類株主総会の決議が必要な事項有。)で出資。会社法108条1項3号、2項3号、会社法323条。

・上場株式投資との違い

 エンジェル投資家の方が、どうなるか見通しが立ちにくい事業に対して投資する機会が多いため、リスクが高い。

・エンジェル投資家のコミュニティ

NAC| 名古屋のエンジェル投資家とスタートアップのコミュニティ

関西エンジェルピッチ

 https://k-a-c.jp/

Power Angels 金額が大きい

https://power-angels.com/

Angel Port

https://angl.jp/

PROTOCOL

https://protocol.ooo/

沖縄県でも作りたいと思いました。人口規模や私の力から、出来るのか分かりませんが。

・エンジェル税制について

優遇措置は大きい。周知や手続支援が必要。

第2章スタートアップのバリュエーション 

スタートアップについて

沖縄県 

おきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアムでは、下のように定義されています。

https://startup-lagoon.okinawa/%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%82%bd%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%82%a2%e3%83%a0%e3%81%ae%e6%b4%bb%e5%8b%95/

スタートアップとは、全く新しいビジネスモデルを開発し、短期間で急激な成長を遂げて株式公開や事業売却等により事業の成功を狙う企業を指しており、スモールビジネス (※2)は対象としていません。

・・・短期間、急激、という用語が抽象的な印象を受けました。

BAMBOO INCUBATOR『スタートアップ支援業務の教科書: 税理士、公認会計士、司法書士、行政書士、社労士、弁護士、弁理士が今すぐスタートアップ支援業務に取り組むべき理由』2022年2月

 上の電子書籍では、一般的な企業と比較したうえで、外部株主が存在するもしくは登場する可能性がある、その株主は金銭的な見返りを期待する株主(VCなど。)、としています。

・・・具体的で分かりやすいと思いました。貸付(デッド)のみ、貸付を主として資金調達するスタートアップはいないのだろうか、と思いました。・・・ある。エンジェル投資家によるものではなく、日本政策投資銀行などによるスタートアップ企業向けの貸付。

第3章エンジェル投資の手法 

新株予約権の特徴・・・お金を払う回数、何個買うかの計算、発行までのスピード、行使できるタイミング。

 次回資金調達の額が1億円に設定されるのは、何か根拠があるのか、観衆なのか分かりませんでした。

・みなし優先株式・・・会社法109条2、155条3号、156条1項、160条1項、199条1項。

・投資する企業の探し方

 インベスターピッチというのは、沖縄県でいうと、下のようなイベントなのかなと思いました。

OIST-Lifetime

https://lp.lifetime-ventures.com/olse-entrepreneurs-application-jp

  Startup Elevate 2024

   創業初期から世界を目指すヘルスケア/サステナビリティスタートアップと投資家を繋ぐ招待制カンファレンス

 残余財産の分配が果たす機能について。

 投資契約は、投資家のためのもの。投資契約の契約書の種類について。エンジェル税制適用条項。

第4章エンジェル税制の活用

優遇措置A、優遇措置B、プレシード特例。所得税が減る可能性。所得額・投資額・他の株式譲渡益によって変わる。

経済産業省 エンジェル税制について

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/investment.html

法人の設立経過年数要件、外部資本要件、手続時期について。

・・・事前確認制度を利用するのが良いと思いました。

 

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