道垣内弘人『信託法―現代民法別巻―』→『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』第3章信託財産と受託者による取引のメカニズム

道垣内弘人『信託法―現代民法別巻―』2017年、有斐閣と、同氏著『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』2021年、有斐閣の比較です。

『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』2021年、有斐閣を基準にしています。

誤りなどがあれば、指摘願います。

第3章信託財産と受託者による取引のメカニズム

P81 追加

同法21条1項6号イ二重かっこ部分が、「信託財産に属する財産について権利を設定し又は移転する行為」から生じた権利に係る債務は、取消しがされない限り、信託財産責任負担債務であるとしているのも、そのような行為が信託財産に効果の帰属するものであることを前提としている。」

→受託者の信託のためにする意思について、信託法21条1項6号を根拠とする事例の解説。

P86 追加

むしろ、受託者の権限範囲が「信託の目的の達成のために必要な行為」に限定されることを前提としたうえ、それに該当するか否かの解釈が相手方にとっては容易ではないため、特に保護範囲を拡大したと捉えるべきであろう。

→信託法27条についての解釈についての追記。

P92 追加

さらに、ここにいう「第三者」には、競合行為となる契約の相手方だけでなく、当該相手方から給付された目的物の転得者を含むと解されるところ、そのような転得者の地位は、介入権の行使によって何ら影響を受けることはない。このことも信託法32条4項ただし書が定めていると解される。当該転得者は、競合行為につき介入権が行使されるか否かは分からないのであり、その主観的態様とは無関係に保護されなければ妥当ではないのである(民法545条1項ただし書きの「第三者」と同様に解される)。

→信託法32条4項で保護される第三者の範囲について追記。

P93 追記

固有財産の計算でした場合は、相手方の債務が未履行であれば、その請求権が信託財産に帰属することになり、

→計算する財産の属性と、給付される財産の属性の関係について、追記。

P93、P94 変更・追加

・受託者の利害関係人の計算でした場合の効果について。

・相手方からの給付目的物が、転得者に移転された場合の、財産の属性と介入権の関係について。

・介入権行使の効果。

P110 追加

信託財産と固有財産または他の信託財産に属する同種の財産を物理的に区分せず、しかし、割合を明らかにして管理しているときは、当然にその割合による共有になるのであり、信託法18条1項後段・2項の規律は、現在の割合が不明であるときに適用される。

→信託法18条1項後段・2項が適用される場面について、追記。

P111 追記

このような状態になるのは、信託法17条・18条が適用される場合に限らない。たとえば、受託者が、ある不動産について、その共有部分を信託財産に属する財産として取得するに至ることもありうる。

→信託法19条の適用場面について、追記。

P112 変更

・信託法19条2項が適用される場面の相互関係について、文章の整理。

P114 追加

・信託法19条3項が適用される場面について、追記。受託者に義務がある場面について追記。

P121 追加

つまり、信託法24条2項にいう「これによって生じた損害」とは「これによって信託財産に生じた損害」と解すべきことになる。

→信託法24条2項の整理。

P122 追加

・信託財産責任負担債務について、序説の追記。

P133 追加

すでに受益権を他者に譲渡した、すべての旧受益者の悪意が要求されているのは、仮に譲受人が悪意であるときに取消しが可能であるならば、善意の受益者も悪意者には受益権を事実上譲渡できなくなり、譲渡の相手方が限定されてしまうことになってしまうが(信託の設定が取り消されてしまうのであれば、譲受人は受益権の譲渡を受けない)、それは、善意の受益者には損害を加えないようにするという趣旨に反するからである。そして、取消債権者が、全部の者が悪意であることの立証責任を負う。

→信託法11条について、全ての旧受益者に悪意が必要とされる理由と、立証責任を負う者の説明。

P139 削除

・信託法11条関連。債権者が悪意の場合について、削除

P139~ 変更

・自己信託の特例について、変更。信託法11条と、23条2項、3項、5項との関係について整理。

P142 変更

・信託法11条4項の悪意の受益者について、取消しの対象となる行為、相手方となる受益者、取消しの効果について整理。

P143 変更

・信託法11条4項と民法424条3項、民法424条の5との平伏を取るための整理。

P114 追加

・信託法11条5項に基づく請求を行う要件について、追記。

P146 追加

・信託登記の意義について追記。

P152 追加

・信託口口座の開設について追記。

P157、P158 追加

・要件が満たされていない場合の相殺について、追記。

P164 追加

・投資信託および貸付信託が、限定責任信託に関する適用除外であることの追記。

P170 追加

・限定責任信託の変更の効力要件について、追記。

P175 追加

・信託法226条の責任を負わない場合、責任追及の根拠として民法704条を追加。

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