渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第6章民事信託の支援者(専門職) 

  • 渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
  • 第6章 民事信託の支援者(専門職) 

P223、士業者の業務拡大のための民事信託組成の受注競争もあり、士業者だけによる民事信託の規律の維持は難しいかもしれない。―中略―地域金融機関こそ民事信託センターとなる可能性がある。との記載があります。地域金融機関にも受注競争はあり、どちら中心センターを担うのに相応しいか、という問題ではなく、依頼者が選択肢を持てることが大切だと考えます。

P225、書面作成だけで事足りる遺言書の作成等とは異なる。について・・・遺言は執行があるので、書面作成だけで事足りるとはいい難いのかなと思いました。

P230、(司法書士が代理申請の付随業務として、不動産事業者の作成した信託契約書を修正する場合もあるかもしれない)、について・・・不動産事業者が作成した信託契約書をみたことがなかったので、そういう場合にも対処できるようにしたいと思いました。併せて不動産事業者が信託の権利義務関係の図(スキーム等といわれるもの)ではなくて、信託契約書(信託財産に属する財産は金銭と不動産になるかと思います。)を作成できる根拠は、宅地建物取引業法になるのか分かりませんでした。

P233、民事信託の会計ソフトや管理ソフトも開発されつつある、について・・・

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P214、そこで、民事信託組成支援における最大の問題点の1つは、民事信託組成を支援する士業者の多くは、信託法の理論は知り得ても(これは書籍等で勉強可能である)、信託実務の実際の内容は知り得ないということだ。について・・・知り得ない、というか体験し得ない、というところではないかと思います。法律が禁止している事項について、最大の問題点の一つ、として指摘できるのか、分かりませんでした。信託会社や受託者経験者に訊く、など手探りでも最善を目指してやっていくことでは足りないのか、分かりませんでした。

P237、信託監督人は、信託監督人自体が、適切に監督され、何らかの形で支援される立場である必要がある(信託監督人が受託者と結託して不正を働き、あるいは、監督を懈怠さればどうなるか)。について・・・信託監督人は、何らかの形で支援される立場である必要がある、という箇所が、誰から、どのような支援を受ける立場なのか、根拠は何か、分かりませんでした。

P240、多数の士業による開かれたネットワークが必要である、に同感です。ただし、実務上逆の方向に行っているので、これを修正するのは困難だと感じます。士業報酬の低廉化の流れに同感です。金融機関の民事信託報酬が一種の基準として働くと考えます。

P246、司法書士を監督する司法書士会の監督・監視体制を早急に整備・充実させる必要がる。について・・・反対です。日本司法書士会連合会も司法書士行為規範に民事信託に関する条項を入れたあと、日本弁護士連合会のようなガイドライン作成の動きはありません。指針は個々の司法書士事務所(司法書士法人)ごとで作成するしかないと思います。問題が起きた場合は、懲戒委員会などにゆだねることが現状取り得る実務だと思います。

 研修に関しては少し力を入れる必要があるとは思います。参考にするとすれば、(公益)成年後見センター・リーガルサポートの研修体制かなと思います。

 東京地判平成28年7月25日判タ1435号215頁について。

 Q222民事信託の任意団体、について。民事信託について公的団体は存在しない、という事実はもっと知られていいと思います。その結果、どの団体に属していようと、民事信託に関して責任を取るのは、個々の民事信託支援者ということになります。

 運営主体者役員などを確認することで、それら任意団体の公益性の有無を見抜きたい、の記載について。任意団体なので、広義の公益性は多少どの団体にもあるのでしょうが、公益籍の軽重を見抜いたとして、直接責任を負うのは、利用者に直接接する専門家なので、委任契約書や見積書の説明を聞きながら判断することが妥当だと考えます。

P301、不動産の賃貸や売買などの場合と同様、宅建士の人々による信託不動産重要事項説明書のようなものが、リーズナブルな費用で取得できるようになるのが、信託不動産の流通にとって望ましいかもしれない。の記載について同感です。

沖縄県司法書士会信託登記研修

沖縄県司法書士会信託登記研修

令和6年2月22日

「民事信託に関する登記」

第3期民事信託士 川田光子司法書士

第1 信託目録

第2 信託の終了に伴う登記

第3 信託期間中の登記

第4 おわりに

不動産登記法97条の構造(信託の登記の登記事項)

第九十七条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨

 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨

 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨

 信託の目的

 信託財産の管理方法

 信託の終了の事由

十一 その他の信託の条項

 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。

 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

2項について、平成19年9月28日法務省民二第2048号通達

 1項8号から11号までは抽出、という用語について、どのような方法なのか気になりました。条項の中で必要な部分を抜き出すのか、条項全てを抜きだすのか、どちらかになると思います。要約するのは、要約する人の主観による割合が大きくなり、登記官も判断することが出来ないため、難しいのではないかと思います。

不動産登記法97条1項11号

 信託の設定(年月日信託契約を締結した旨)の条項が必要か・・・任意条項です。後続登記に必要となることがあるのか、公示する必要があるのか・・・信託行為の年月日、委託者、受託者は、他の条項により公示されるので、分かりませんでした。

 信託行為に、全ての信託財産を記載する必要があるのか・・・各不動産につき、信託目録が作成されるので、不要かなと思いました。共同担保目録のような機能を果たすのかもしれませんが、一つの不動産が信託財産に属する財産ではなくなった場合、他の不動産全てについて変更登記の申請が必要なため、あえて記録する必要は、あまりないのではないかと思いました。

 残余財産の帰属権利者(信託法183条)として、〇年〇月〇日○○地方法務局種族公証人○○作成同年○○号、と記載することができるか?

・・・登記はされる。理由は却下事由に該当しないから、という消極的理由。

 当初受託者および後任受託者の指定方法について、記載する必要があるか。・・・不動産登記法97条1項1号で受託者は記載事項とされているので、当初受託者の記載は不要ではないかと思いました。後任受託者の指定方法については、後続登記申請に係わるため、必要だと思いました。

 受託者は、信託不動産に関し、受益者又は委託者を債務者とする抵当権等の担保を設定する登記手続、担保権を変更・抹消する登記手続等を行うことができる、という条項について。・・・登記手続は登記官が行う事務であり(不動産登記法9条)、受託者が可能なのは、登記の申請に限られるものと考えらえられます。

 受託者は、信託契約前に設定された根抵当権(債務者は、現在の受益者又は委託者ではない)の登記を抹消する申請をすることができるか。について・・・事前に入手できる条項であり、根抵当権の登記事項が特定されていれば、可能であると考えられます。その他信託の目的を達成するために必要であると受託者が判断する一切の行為を行うこと、と定めていた場合、信託の目的から総合判断することになると思われ、受益者の不利益にもならないことから抹消登記が可能と判断される可能性もありますが、上記のとおり事前に入手できる情報は、信託行為で特定することが望ましいと思われます。

 契約期間中に受益者に相続が発生した場合における本信託の受益者は、所定の様式による届け出書を受託者に提出することにより、指定することができる、という条項について・・・受益者が亡くなっているので、本信託の受益者はその時点でいないのではないかと思われます。そのように考えると、所定の様式による届け出書を受託者に提出するのは誰か?何を指定するのか分かりませんでした。

登録免許税7条2項の構成

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000035

(信託財産の登記等の課税の特例)

第七条 1項略

2 信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であって、

かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、

当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあっては、

当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、

当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあっては、合併)による財産権の移転の登記又は登録と

みなして、この法律の規定を適用する。

参考

・平成29年6月22日付 東京国税局審理課長回答「信託契約の終了に伴い受益者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

・平成30年12月18日付名古屋国税局審理課長回答「信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

 

 みなし受益者(信託法183条6項)は、登録免許税法7条2項の受益者といえるのか。について・・・原則として受益者(信託法2条1項6号)ではありません。信託法183条6項により、信託の清算中に限り、受益者とみなされ、信託の清算中に限り、登録免許税法7条2項の適用を受けると考えられます。登録免許税法7条2項の、信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合は、清算は終了していると思われるので、受益者に当たらなくなると考えらえます。

(帰属権利者)

第百八十三条 1項から5項略

6 帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。

信託終了後の登記の目的、申請人、登録免許税法7条2項の適用について。

・令和6年1月10日民二第16号民事局民事第二課長回答信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について(通知)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その他の検討事項

・民事信託を利用して、委託者兼受益者の兄弟に軍用地料などを暦年贈与することができるのか、について・・・定期金給付契約に該当しない条項を定める必要があると考えられます。

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm

・民事信託を活用して受託者以外の者が金融機関で住宅ローンを組む際に、委託者兼受益者所有の土地に担保設定することができるのか?・・・信託行為に明確に記載され、信託目録に記録されている場合、可能だと考えます。なお、私なら担保設定の際に、受益者の承諾情報の提供があることを要件とします。

・ 民事信託を活用して受託者または受託以外の者が住宅を購入、建築する際に、現金の贈与を適法に行うことができるか?について・・・信託の目的が何なのか分かりませんが、必要な条項は次のようなものが考えられます。

 受益者として、受託者、受託者以外の者を入れること。

 贈与時の信託財産の残額に対して、いくらまで贈与できるのか、具体的な計算式があること。

・節税のためにアパート建築のための信託内借入のために、民事信託を活用することについて・・・分かりませんでした。

 受託者が信託財産である土地に受託者所有の賃貸不動産を建築したいと考え、信託内容を変更して利益相反行為を予め許容する定めを信託契約書に追加して変更登記を行い、その後、信託した土地を担保にして賃貸不動産の建築資金借入を行えるか、について・・・信託内容は誰が変更したかによる面もあると考えます。私なら担保設定時に受益者の承諾書があることを要件とします。

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第5章

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。

  • 第5章 民事信託・家族信託の定義、分類、歴史

 P170、沖縄の家制度の長子相続における家族信託の活用などの事例もあり、について・・・沖縄の家制度、というものが門中を指すのかムートゥ家を含むのか分かりませんが、賛否有り、出生率の低下と共に、現在、制度とまで認識されているのか、分かりませんでした。また著者がP163などで、家族信託は財産管理の制度、と記載しているように、(長子)相続のために活用できる制度なのか、同じくP163などで記載されている、受託者の財産管理に対する自覚、が必要な信託制度を、無条件に長子を受託者にすることに活用できるのか、分かりませんでした。

 P175からP176、信託契約書上、追加信託条項が存在しないと、委託者は追加信託を行うことができないという意見もある。しかし、かような信託条項が存在しない場合でも、委託者と受託者の合意で追加信託が可能とならないのだろうか(委託者の判断能力がある限り、新たな信託の設定と併合あるいは信託の変更等を行って追加信託できないのであろうか)。について・・・信託法上、追加信託条項の定めが必要とする条文はなく、信託財産(信託法2条3項)は、当初信託財産のみとしていないので、可能と考えます。

 Q192からP193、確かにアパート建築とアパート経営を稼働させるための民事信託自体はあり得るわけだが、それが、結果として相続税対策となったとしても、あくまでも信託は、第一義的に当該アパートの管理・処分による受益者の生活支援等が目的となろう。について・・・受託者による借入条項、担保設定許容の条項がある場合に、結果として相続税対策となった、という表現は受け入れられるのか、分かりませんでした。

 P194、信託の終了事由が生じた場合、ただちに受益権は消滅するのか否か、という疑問の声が民事信託の実務家から聞かれることがある。について・・・信託の清算が結了するまでは、受益権は消滅しないと考えます(信託法176条)。

 P213、2014年には、日司連が新井誠教授の紹介によって、金融法務で知られる大垣尚司教授の参加を得て、日司連ホールにて、シンポジウム「民事信託の利用促進~成年後見制度との併用~」を開催する(2014年3月1日)。講師の大垣教授から、民事信託の信頼性とは、それをバックアップし、サポートする専門家に対する信頼性であると指摘され、支援業務のコンセプトを再確認する契機であった。について

 ・・・シンポジウムには私も参加しました。大垣尚司教授からは、信託業法2条により士業が受託者になることは現行法上、不可能であること、士業が関与するとすれば信託監督人・受益者代理人就任、契約書の標準化は可能であること、会社法と信託法との比較、民事信託を高齢化社会の文脈でとらえた場合、実務上適法で社会から必要とされる具体的類型(親亡き後のための信託、成年後見を補完する遺言代用信託、事業承継信託、死後事務のための信託、新しい家族の在り方を支援する信託等)が示されました。

 杉谷範子司法書士等による一般社団法人を受託者とした民事信託の実務報告について、後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法91条)を利用しなくてもよかった(同じ機能を果たせた)のではないか、など議論も交わされています。なお、当時公証人であった遠藤英嗣弁護士は、遺言信託を民事信託の基本としていました。

 Q180、2014年から2015年にかけて、センターに集結していた司法書士の一部が分裂する。について。・・・zoomでの同時配信を希望しても無視されていた地方の司法書士としては、当時、何も事情を知らないまま研修講師や研究報告を行っていた司法書士の一部が(一社)民事信託推進センターからいなくなりました、東京のごく限られた中で決まったことだと思います。

 私が知っている限り、どちらが悪い、正しいということはなく、どっちもどっち、だと感じました。むしろその後、事情を知った後に、お互い「とある士業」などの名称を用いて批判合戦をしていたのは、法律事務に携わる者として、私は無意味だと思いました。実名で批評出来ないのではあれば、建設的な議論は出来ないからです。

家族信託の相談会その64

お気軽にどうぞ。

2024年2月29日(木)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

登記研究911号(令和6年1月号)テイハン

登記研究911号(令和6年1月号)テイハン

■新年を迎えて

法務省民事局長 竹内努

 令和6年4月1日施行の改正後民法777条について。今後の立法課題、区分所有法制の見直し、家族法制の見直し、担保法制の見直し、船荷証券等の電子化に関する商法等の見直し、成年後見制度の見直し。

【論説・解説】■民事基本法制の立法動向について

法務省大臣官房審議官 松井信憲

一 はじめに

二 令和5年通常国会で成立した法律の概要

 1 いわゆる仲裁関連三法について

 2 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00336.html

 3 戸籍法の一部改正について

・総務省令和5年8月28日

 氏名の振り仮名法制化に伴う住民記録・印鑑登録・戸籍附票システム標準仕様書の検討

https://www.soumu.go.jp/main_content/000898401.pdf

三 現下の立法課題の概要

 1 区分所有法制の見直し

 2 家族法制の見直し

 3 担保法制の見直し

 4 船荷証券の電子化のための見直し

 5 公益信託法の見直し

 信託財産を金銭に限定しない、受託者を信託会社に限定しない、特定調整庁による許可・監督制の議論。

 6 違憲決定への対応

令和5年10月25日最高裁判所大法廷決定について。

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(5)

法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗、法務省民事局民事第二課補佐官河瀬貴 之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長清水玖美

第2 本要領の概要

 10 第10節 承認申請の審査(承前)

  ⑶ 第3 調査事項

・登記上の地目と、申請土地の現況を表す「種目」が異なる場合について、不動産登記法37条。

・実地調査において測量は実施しない理由・・・所有権界に争いがないことを確認すれば足りるから。

・建物の判断基準(不動産登記規則111条)。

・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律2条3項2号の、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地について・・・地方公共団体等がマンホールや電柱を設置するために土地のごく一部に利用権を設定しているような場合は、「使用及び収益を目的とする権利」には該当しないものと考えられる。

・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則13条、隣接地所有者への通知について・・・再度の通知に対して返答がない場合は、異議のないものとして取り扱う。書面のみで要件不足の場合、実地調査などで補う。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第117回)、一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神﨑満治郎

医療法人会計基準

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428M60000100095

(金額の表示の単位)

第六条 貸借対照表等に係る事項の金額は、千円単位をもって表示するものとする。

・平成19年3月30日医政指発第0330003号厚生労働省医政局指導課長通知「医療法人における事業報告書等の様式について」

https://www5.cao.go.jp/npc/wg-shiryou/3kai/pdf/3.pdf

■Q&A不動産表示登記(87)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新井 克美

 主である建物と附属建物の合体した場合の登記について。共有名義建物について、大正8年8月1日民第2926号民事局長回答。

 登記の可否、合体の登記または登記事項の変更申請か、について。不動産登記事務取扱手続準則95条など。

■商業登記の変遷(57)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 申請人、申請方式、申請書について。当事者出頭主義から廃止へ。原則書面申請を維持(商業登記法17条1項、登記申請の方式)。現行商業登記規則102条1項の申請書情報について、本記事を読むまで、申請情報だと思い込んでいました。

■民事信託の登記の諸問題(28)、渋 谷 陽一郎

 P84以降に記載されている、一定の第三者、について登記事項として事業承継の場合の債務者が法人とする場合が例示されています。家族経営である合同会社の中で、委託者兼受益者と受託者が、どのような地位(業務執行社員、代表社員など)の場合でも、必要であれば、利益相反取引の承認議事録があれば可能なのか、分かりませんでした。

 私なら委託者兼受益者の孫を債務者として、信託不動産(土地)に抵当権設定を行い、建物を建てて、一部を委託者兼受益者の居住用に充てる場合を示すかなと思います。または、信託不動産(建物・委託者兼受益者居住の収益不動産)の修繕のため、この信託における、残余財産の帰属権利者と指定されている孫が債務者となる場合です。

 信託の目的と法人の目的について。

 P86、信託の目的違反が甚だしい行為であっても、一応、有効なものとして、その効果を信託財産の帰属させることができるのか、これに対して確定的な結論があるのだろうか。について・・・信託法166条1項から考えてみます。本条文は信託終の終了原因を定めているので、一応は有効なものとして、信託財産に帰属させることも出来るように読めますが、それは受託者の事実上の行為によって、信託財産の性質(金銭・不動産etc.)上、信託財産に帰属することも出来る、というように思います。法的に有効か無効かとは別の問題だと考えます。

【資 料】 

会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(4)

平成29年2月10日法務省民商第15号民事局長通達「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について。登記研究 833号P91

 外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情がある場合、日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していない場合の取扱いを追加。

平成29年2月10日法務省民商第16号民事局商事課長依命通知「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について、登記研究833号P98。

 平成29年2月10日法務省民商第15号民事局長通達の署名証明書の要件について。

 登記事項中、商号に使用できる文字、記号などについて。

【法 令】

法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令(令和5年5月12日法務省令第27号)

・添付書類の期間制限の廃止。

・市町村町その他の公務員が、職務上作成していない請求人の証明書(マイナンバーカードなど。)の追加。

・法人でない社団・財団が、遺言書情報証明書の交付請求を行う場合の規定の追加。

民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和5年12月15日政令第356号)

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6214〕司法書士による本人確認情報の作成について(令和5年3月30日付け法務省民二第556号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長通知)

〔6215〕租税特別措置法第77条及び第77条の2並びに東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第40条の2の2の規定により読み替えて適用される租税特別措置法第77条の規定による登録免許税の税率の軽減措置に係る証明書の様式について(令和5年3月31日付け法務省民二第562号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)

〔6216〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続登記等の申請義務化関係)(令和5年9月12日付け法務省民二第927号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽遺言書保管関係

〔6217〕法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令の施行に伴う遺言書保管事務の取扱いについて(令和5年5月12日付け法務省民商第100号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の各証明書の交付請求,モニターによる遺言書の閲覧請求を行うことが出来る法務局が、全国の法務局、支局にて可能に。出張所は未対応。

〔6218〕遺言書保管事務の監査について(令和5年6月12日付け法務省民商第118号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 令和5年6月12日施行。

令和5年9月12日法務省民二第927号通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続登記等の申請義務化関係)」

 催告書・通知書の様式など。

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