登記研究921号(令和6年11月号)、テイハン
https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html
【論説・解説】
■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(2)第2 関係法令と施行通達の解説
法務省民事局付 森 下 宏 輝
法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之
法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介
不動産登記規則
https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_5-Se_2-Ss_4
(代替措置等申出)
第二百二条の四 1項から5項まで略。
6代替措置等申出書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
一申出人が代替措置等申出書又は委任状に記名押印した場合におけるその印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)が作成するものに限る。)その他の申出人となるべき者が申出をしていることを証する書面
二申出人の氏名又は住所が法第百十九条第六項の登記記録に記録されている者の氏名又は住所と異なる場合にあっては、当該者であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した書面がない場合にあっては、これに代わるべき書面)
三代理人によって代替措置等申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面
7前項第一号の規定は、申出人が同号の書面(印鑑に関する証明書を除く。)を登記官に提示した場合には、適用しない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。
8第三十七条及び第三十七条の二の規定は、代替措置等申出をする場合について準用する。
9第五十三条の規定は、申出人が代替措置等申出書及びその代替措置等申出添付書面を送付する場合について準用する。
印鑑証明書を提出する場合、作成期限はない。・・・申出人の置かれている状況により、最新の印鑑証明書を取得することができない事情などが考えられるから。
代理によって申出を行う場合の委任状の記載条項例・・・代替措置等申出に関する一切の件。代替措置等の申出に不備がある場合に、当該代替措置等の申出を取下げ、又は補正すること。原本還付請求受領に関する一切の件
登記されている氏名、住所に変更があった場合、前提としての氏名、住所変更登記申請は不要。現在の氏名、住所とつながりを証する情報の提供は必要。
登記申請の添付書類を、代替措置等申出の添付書面として援用することは出来ない。→同じ書類が必要なときは、2通準備。
(立件)
第二百二条の五登記官は、代替措置等申出書が提出されたときは、これを立件しなければならない。
2前項の場合には、登記官は、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録しなければならない。
3登記官は、第一項の規定により立件をする際、代替措置等申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならない。
色々な人から登記事項証明書などの請求がある度、登記事項証明書を公示用住所に書き換えて作成するという継続的な職権発動を伴うので、登記申請における受付ではなく、立件という言葉が用いられる。
(調査)
第二百二条の六登記官は、代替措置等申出があったときは、遅滞なく、申出に関する全ての事項を調査しなければならない。
2登記官は、前項の場合において、必要があると認めるときは、申出人又はその代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、申出人となるべき者が申出をしているかどうか又は法第百十九条第六項に規定する場合に該当する事実の有無を調査することができる。
3登記官は、前項に規定する申出人又は代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。
4登記官は、第二項の規定による調査をしたときは、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。前項の嘱託を受けて調査をした場合についても、同様とする。
5前項後段の場合には、嘱託を受けて調査をした登記所の登記官は、その調査の結果を記録した調書を嘱託をした登記官に送付しなければならない。
調査は原則として申出人に対して行い、代理人のみを出頭させて調査の対象とすることはない。
■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第126回)247 一般社団法人の解散と基金の返還について
一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第四章 清算 第四節 債務の弁済等(基金の返還の制限)第二百三十六条基金の返還に係る債務の弁済は、その余の清算一般社団法人の債務の弁済がされた後でなければ、することができない。は、清算一般社団法人に関する定めであり、第二章 一般社団法 第五節 基金第二款の基金の返還(基金の返還)第百四十一条、(代替基金)第百四十四条の適用はない。参考、熊谷 則一『【第2版】逐条解説一般社団・財団法人法』2021、全国公益法人協会、P466からP476
■Q&A不動産表示登記(97)
(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美
第四章 建物(区分建物) 第一節 登記事項
Q268 規約の設定はどのようにするのか。
建物の区分所有等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069#Mp-Ch_1-Se_1
(区分所有者の団体)第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
(書面又は電磁的方法による決議)
第四十五条 この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。
2この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。
3この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。
4第三十三条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第一項及び第二項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
5集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。
■逐条解説不動産登記規則(50)
元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史
第99条 地 目
第九十九条 地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。
地積は量的、地目は質的な特定の要素。
田と畑の違い・・・工作に当たり用水を利用するかどうか。
宅地については不動産登記事務取扱手続準則69条。
用悪水路・・・用水路のうち、かんがい用・使用後の水をはいせつするための水路(不動産登記事務取扱手続準則68条16号)。
公衆用道路・・・一般人が通行するために使われている土地(不動産登記事務取扱手続準則68条21号、登記研究177号P44、昭和37年6月20日民事甲第1605号民事局長回答「公衆用道路(個人所有)の地目の定め方について)
農地について、登記研究405号P63、昭和56年8月28日法務省民三第5402号民事局長通達「登記簿上の地目が農地である土地について農地以外の地目への地目の変更の登記申請があつた場合の取扱いについて」、登記研究 429号P120、1983年9月30日質疑応答六三〇四「地目変更の時期について」、登記研究352号P104、1977年3月20日質疑応答五三四六「中間地目変更登記の可否について」
■商業登記の変遷(67)
司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)
第9章 商業登記に関する文献等の歩み
第1節 文 献
4.先例集
5.実務書
信山社『商業登記法釋義(電子書籍)日本立法資料全集別巻1327』2022
■民事信託の登記の諸問題(38)
渋 谷 陽一郎
第260 信託監督人の表示は一般的な登記事項となり得るのか
不動産登記法97条1項11号により、却下事由には該当しないと考えます。ただし、本記事は、信託監督人の表示を一般的な登記事項として、信託目録に積極的に登記できるか、という意味なのかもしれません。
第261 何が望ましい信託監督人の登記の表示なのか
信託監督人、住所等、氏名・名称が特定という意味で望ましいと考えます。信託監督人になるべきものと指定された者、と登記することも可能だと考えます。根拠は信託法131条です。
どちらの表示でも、取引に入ろうとする第三者は、信託契約書、変更があれば変更を証する情報による権利義務の確認と、信託監督人本人の本人確認、意思確認を行うことになると考えます。信託監督人と登記されていても、登記されている者は自身が信託監督人とされていることを知らない可能性があります。
第262 士業者の表記は可能なのか
士業者の肩書については、登記できないという理由はないと考えます。法人が信託監督人になる場合、株式会社、一般社団法人等を登記することはできない理由がないのと同じ理由となります。士業者が強制加入団体に加入していることは、登記事項と関係ないのではないかと考えます。なお省略は信託監督人の意思により自由だと考えます。
第263 信託監督人の就任承諾前に登記できるのか
就任承諾前に関しては、信託法131条の文言通り、信託監督人となるべき者、という表示になると考えます。
第264 受託者の処分行為に対する同意権者としての信託監督人の表示
第265 信託監督人の権限伸長の可否
信託監督人の権限の伸長・拡大について、消極論も信託法132条1項の条文上、あり得ると考えます。実務が信託監督人の権限の伸長・拡大で今後も動いていき、信託不動産の取引に支障をきたすようなことがない場合、積極論に固まる方向になるのではないかと考えます。
【資 料】
■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(14)
第2章 株式会社の登記
第12節 代表取締役
1 選 定
登記研究221号P46、昭和41年1月20日民事甲第271号民事局長回答 「代表取締役の選住について」
登記研究529号P31、1992年2月29日発行 吉戒 修一:法務省民事局第四課長、門野坂 修一:法務省民事局付、渡部 房男:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:佐賀地方法務局総務課長(前法務省民事局第四課補佐官)、片岡 貞敏:法務省民事局第四課係長、吉越 満男:法務省民事局第四課係長、植田 和男:法務 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(40)」・・・取締役の予選も論点。予選をせざるを得ない事情も必要。
登記研究416号P133、1982年8月30日質疑応答【六一一九】「代表取締役の重任の日について」
権利義務代表取締役の規定(会社法351条)は適用されるが、前提としての取締役の任期満了退任日は、原則として代表取締役の退任日。
2 辞 任
登記研究808号P111、平成27年2月20日法務省民商第18号法務省民事局長通達「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」
登記研究809号P59、佐藤 真紀子:法務省民事局民事第一課総括係長(前法務省民事局商事課商業法人登記第一係長)【論説・解説】「平成27年改正商業登記規則等に基づく商業・法人登記事務の取扱いについて」
辞任の登記の前提として、住所の変更登記が必要な場合。
3 権利義務
登記研究91号P30、昭和30年4月26日民事甲第673号民事局長回答 九二八「商業登記事務の取扱について」
取締役としての権利義務を有する場合と代表取締役としての権利義務を有する場合は一致しない。
登記研究 204号 46頁 昭和39年10月3日 民事甲第3197号 民事局長回答 ◎三〇四八 代表取締役の変更の登記について
代表取締役としての権利義務を有する者が代表取締役を退任日とその原因について。
登記研究503号P189、平成元年9月5日法務省民四第3520号民事局長回答「代表取締役の変更登記申請の受否について」
代表取締役としての権利義務を有する者の解任の可否。
4 死 亡
登記研究182号P157、昭和37年6月28日民事甲第1650号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議福島地方法務局本局直轄管内及び支局管内事務協議会決議
登記研究646号P117、2001年11月30日【商業登記の栞】(8・有限会社の代表取締役)
特例有限会社の定款の定めによる代表取締役が死亡した場合の変更の登記の申請は、後任の代表取締役から申請。
5 代表取締役の住所
登記研究808号P142、平成27年3月16日法務省民商第29号法務省民事局商事課長通知「内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて【解説付】」
代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記申請の受理の可否。
登記研究329号P67、1975年4月20日第六部質疑・応答五一五二「重任する代表取締役の住所が登記簿の記載と抵触する場合の登記の受否」
6 印鑑証明書の添付省略
登記研究609号P166、平成10年2月10日法務省民四第270号民事局第四課長通知「代表取締役の変更の登記の申請書に添付すべき印鑑証明書の添付の省略が認められる場合について〔解説付〕」
登記研究270号P72、1970年5月20日第五部質疑・応答四八二五「同時になされた代表取締役の改印届と当該代表取締役の重任による変更の登記申請書の印鑑について」
登記研究241号P68、1967年12月20日第五部質疑・応答四五〇四「印鑑証明書の添付について」
取締役会設置会社の株式会社で、代表取締役の就任による変更登記の申請書に添付されている取締役会議事録の印鑑と登記申請時に提出されている印鑑が同一の場合、就任する代表取締役個人の印鑑証明書の省略の可否。
【訓令・通達・回答】
▽不動産登記関係
〔6248〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第551号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
▽供託関係
〔6249〕出入国管理及び難民認定法第37条の2第2項の規定による領置物件等の公売に係る代金の供託に関する手続について(令和6年6月10日付け法務省民商第108号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長依命通知)