外国籍の人に関する通達の整理

・領事の所在地国を限定せず、日本以外の国に駐在する本国の領事も含まれる。

・外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、署名証明書を取得することができないときは、

登記の申請書に押印すべき者の作成したその旨の上申書と

当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した署名証明書

の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書に代えることができる。

やむを得ない事情の具体例

①当該外国人の本国に署名証明書の制度自体がなく、本国官憲において署名証明書を取得することができない場合

②当該外国人の本国においては署名証明書の取得が可能であるが、当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名証明書を取得することができない場合

③当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない場合

・日本に住所を持っていない外国人が、株式会社設立のための通帳を作成する場合、日本人などに委任して日本人名義の通帳を作成して、お金を払い込み、会社設立後に会社名義にしても良い。

(内閣府規制改革推進会議 第2回行政手続部会 議事次第資料1より抜粋)

外国企業等から見た課題の例

1.法人設立登記関連 

日本に住所がない外国人の場合は、印鑑証明書の代わりに、サイン証明書を取得することが必要。 

株式会社の設立登記のためには、金融機関に資本金を払い込み、その証明書類を提出することが必要であるが、外国法人や日本に居住していない代表者が銀行外国語原文の資料について、日本語の翻訳の提出が求められる。口座を開設することは困難。

登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の

作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて(通達)

平成28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達

法務局長,地方法務局長宛て

改正 平成29年2月10日法務省民商第15号

第1 商業登記規則第9条関係

1 登記の申請書に押印すべき者が印鑑を提出する場合には,印鑑を明らか

にした書面に商業登記規則(昭和39年法務省令第23号。以下「規則」

という。)第9条第1項各号に定める事項のほか,氏名,住所,年月日及

び登記所の表示を記載し,押印したもの(以下「印鑑届書」という。)を

もって行い(同項),当該印鑑届書に押印した印鑑につき市町村長(特別

区の区長を含むものとし,地方自治法(昭和22年法律第67号)第25

2条の19第1項の指定都市にあっては,市長又は区長若しくは総合区長

とする。以下同じ。)の作成した証明書で作成後3月以内のものを添付し

なければならないとされている(規則第9条第5項第1号)。

2 外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)が申請書に押印

して登記の申請をする場合における印鑑の提出についても,1の手続によ

る。この場合において,印鑑届書の署名が本人のものであることの当該外

国人の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲を含む。

以下同じ。)の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印鑑

証明書の添付に代えることができる。

なお,あらかじめ登記所に印鑑を提出していない外国人が登記の申請を

する場合(会社の支店の所在地において登記の申請をする場合を除く。)

には,当該登記の申請書又は委任状の署名が本人のものであることの本国

官憲の証明が必要である。

第2 規則第61条関係

1 株式会社の設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請

書には,設立時取締役又は取締役会設置会社における設立時代表取締役若

しくは設立時代表執行役(以下「設立時取締役等」という。)が就任を承

諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付し

なければならず,取締役又は取締役会設置会社における代表取締役若しく

は代表執行役(以下「代表取締役等」という。)の就任(再任を除く。)

の登記の申請書に添付すべき代表取締役等が就任を承諾したことを証する

書面の印鑑についても,同様とされている(規則第61条第4項及び第5

項)。

外国人が設立時取締役等又は代表取締役等に就任した場合において,当

該設立時取締役等又は代表取締役等が就任を承諾したことを証する書面に

署名しているときは,当該就任を承諾したことを証する書面の署名が本人

のものであることの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長

の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

2 規則第61条第6項本文の規定により,同項各号に掲げる場合の区分に

応じ,それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を

添付すべき場合において,当該各号に規定する書面に外国人である議長又

は取締役若しくは監査役が署名しているときは,当該書面の署名が本人の

ものであることの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の

作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

3 規則第61条第8項本文の規定により,代表取締役若しくは代表執行役

又は取締役若しくは執行役が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町

村長の作成した証明書を添付すべき場合において,当該辞任を証する書面

に外国人である代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役

が署名しているときは,当該辞任を証する書面の署名が本人のものである

ことの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印

鑑証明書の添付に代えることができる。

第3 日本の公証人等の作成した証明書

外国人の署名につき本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村

長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる場合において,当該

外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から,当該署名が本人

のものであることの本国官憲の作成した証明書を取得することができない

ときは,その旨の登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び当該

署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住し

ている国の官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印

鑑証明書の添付に代えることができる。なお,署名が本人のものであるこ

との証明書を日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発

行していないため当該証明書を取得することができない場合又は日本に当

該外国人の本国官憲がない場合には,日本以外の国における本国官憲にお

いて当該証明書を取得することが可能であっても,やむを得ない事情があ

るものとして取り扱ってよい。

法 務 省 民 商 第 1 6 号

平成29年2月10日

法 務 局 民 事 行 政 部 長 殿

地 方 法 務 局 長 殿

法務省民事局商事課長

(公 印 省 略)

「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市

町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いにつ

いて」の一部改正について(依命通知)

標記について,本日付け法務省民商第15号民事局長通達が発出され,平成

28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達(以下「通達」とい

う。)が一部改正されたところですが,通達の運用に当たっては,下記の点に

留意するよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

1 通達第3に定める外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があ

るとして,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び日本の公証人

又は当該外国人が現に居住している官憲の作成した署名が本人のものである

ことの証明書をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えること

ができる具体例は,次のとおりである。

(1) 当該外国人の本国に署名が本人のものであることを証明する制度自体が

なく,当該国の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲

を含む。以下同じ。)において署名が本人のものであることの証明書を取

得することができない場合

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該国の本国官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明

書を発行していない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

(2) 当該外国人の本国においては署名が本人のものであることの証明書の取

得が可能であるが,当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する

当該外国人の本国官憲では署名が本人のものであることの証明書を取得す

ることができない場合

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官

憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行してい

ない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

(3) 当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がな

い場合(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含

む。)

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない

旨が記載されていれば足りる。

2 署名が本人のものであることの証明書を当該外国人の本国の日本における

領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していないため当該証明書

を取得することができない場合又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合

(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含む。)に

は,日本以外の国における本国官憲において当該証明書を取得することが可

能であっても,外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があるも

のされた。この場合には,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及

び署名が本人のものであることの日本の公証人の作成した証明書をもって,

市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当

該外国人の本国の日本における領事又は日本における権限がある官憲に確認

したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回

答があった旨又は日本に当該外国人の本国官憲がない旨が記載されていれば

足りる。

法 務 省 民 商 第 4 1 号

平成29年3月17日

法 務 局 長 殿

地 方 法 務 局 長 殿

法務省民事局長

( 公 印 省 略 )

株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項

の規定による払込みがあったことを証する書面の一部として払込取扱機

関における口座の預金通帳の写しを添付する場合における当該預金通帳

の口座名義人の範囲について(通達)

株式会社の設立の登記の申請において,発起設立の場合には,設立時代表取

締役又は設立時代表執行役の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証

する書面に,払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その

他払込取扱機関が作成した書面のいずれかを合てつしたものをもって,会社法

(平成17年法律第86号)第34条第1項の規定による払込みがあったこと

を証する書面(商業登記法(昭和38年法律第125号)第47条第2項第5

号)として取り扱って差し支えないものとされている(平成18年3月31日

付け法務省民商第782号当職通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱

いについて」第2部第1の2(3)オ(イ))ところですが,当該預金通帳の口

座名義人の範囲については,下記のとおり取り扱うこととしますので,事務処

理に遺憾のないよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

1 預金通帳の口座名義人として認められる者の範囲

預金通帳の口座名義人は,発起人のほか,設立時取締役(設立時代表取締

役である者を含む。以下同じ。)であっても差し支えない。

払込みがあったことを証する書面として,設立時取締役が口座名義人であ

る預金通帳の写しを合てつしたものが添付されている場合には,発起人が当

該設立時取締役に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書

面を併せて添付することを要する。

2 発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合の特

登記の申請書の添付書面の記載から,発起人及び設立時取締役の全員が日

本国内に住所を有していないことが明らかである場合には,預金通帳の口座

名義人は,発起人及び設立時取締役以外の者であっても差し支えない。

払込みがあったことを証する書面として,発起人及び設立時取締役以外の

者が口座名義人である預金通帳の写しを合てつしたものが添付されている場

合には,発起人が当該発起人及び設立時取締役以外の者に対して払込金の受

領権限を委任したことを明らかにする書面を併せて添付することを要する。

3 発起人からの払込金の受領権限の委任

1及び2の場合における発起人からの払込金の受領権限の委任について

は,発起人全員又は発起人の過半数で決する必要はなく,発起人のうち一人

からの委任があれば足りる。

全国商工会連合会が提出した資料

(出典:内閣府規制改革推進会議2017年4月27日閲覧、平成28年11月21日第5回行政手続部会 議事次第)

Ⅱ.その他、規制・行政手続について負担と感じていることについて

「行政手続きの簡素化」に関するアンケート調査結果

2016 年 10 月期の景気動向調査の付帯調査として実施した。 

■調査期間 2016 年 10 月 25 日~11 月 10 日

■調査対象 商工会の経営指導員

■回答商工会数 159 商工会

■回答方法 WEB アンケート(選択記入方式、一部記述) 

1.中小・小規模事業者が負担を感じている行政手続き項目(複数回答可)

<回答数 635>

負担を感じている行政手続き項目 回答数

①補助金や助成金の申請等に関する手続き 117

②社会保険(労働保険、厚生年金、健康保険)に関する手続き 102

③税務申告に関する手続き(事業開始、電子申請、納付、書類保存等) 90

④労務に関する手続き(就業規則、36 協定等) 85

⑤会社の登記に関する手続き(設立、役員選任、定款変更等) 75

⑥飲食店、建設、運輸業等の営業許可に関する手続き 52

⑦知的財産に関する手続き(出願、審査等) 45

⑧公共入札に関する手続き 36

⑨外国人雇用(技能実習生含む)に関する手続き(在留資格等) 31  

2.負担を感じている内容(複数回答可)

<回答数 548>

負担を感じている内容 回答数

①申請書類の記入が多い、分かりにくく煩雑 123

②添付書類が多い(書類作成や収集に手間がかかる、用途不明の書類の要求等) 116

③手続きに要する時間が長い、所要時間が不明 72

④手続き方法が分かりにくい(相談窓口の不足、サポート対策が不十分等) 67

⑤手続きが不透明(審査基準が分かりにくい、部署・担当者ごとに基準が異なる) 59

⑥複数の行政機関・部門から類似の書類を要求される 47

⑦手数料・更新料が高い 38

⑧オンラインでの資料提出・様式の取り寄せができない 23

(株)琉球銀行の役員の変更

 

4月28日付で、(株)琉球銀行の役員の変更のお知らせが出ています。代表取締役は再任でも題名に入るんですね。定時株主総会で承認決議されると、正式に決まります。

「役員に関する事項」
「資格」取締役

「氏名」取締役氏名

「原因年月日」日付重任
「役員に関する事項」

「資格」取締役

「氏名」新取締役氏名】

「原因年月日」日付就任

「役員に関する事項」

「資格」取締役

「氏名」取締役氏名

「原因年月日」日付退任

「役員に関する事項」

「資格」代表取締役

「住所」代表取締役住所

「氏名」代表取締役氏名

「原因年月日」日付重任

「役員に関する事項」

「資格」監査役

「氏名」監査役氏名

「役員に関するその他の事項」(社外監査役)

「原因」日付就任


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(株)琉球銀行「代表取締役および役員の異動に関するお知らせ」
2017年4月28日

オーナー率

琉球新報2017年5月2日

司法書士安里長従先生の記事より

沖縄県企業のオーナー率(72,8%)が都道府県別で下から2番目。意外でした。一番下が東京都(68.9%)なので、実質1番と考えられます。ちなみにオーナー率は、帝国データバンクの定義に基づくと、代表者名と筆頭株主が一致した企業。

沖縄ってオーナー系が多そうだという意識は、私も持っていたので意外でした。ちゃんと調べてみないと。記事では、理由は歴史的・構造的と書かれています。

医療法人が行う吸収合併の登記が遅れた場合の取扱いについて

登記の日時によって考えないといけないことが出てくるんですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・

出典:国税庁HP(2017年5月8日閲覧)

別紙1 事前照会の趣旨及び事前照会に係る取引等の事実関係

当法人(3月決算の医療法人)は、他の医療法人(3月決算)を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を行うため、平成29年4月1日を合併期日とする合併契約書を取り交わすとともに、所轄官庁の認可を受けて合併の登記を行うこととしました。しかしながら、平成29年4月1日は土曜日で登記所が閉庁されているため、次の開庁日である4月3日(月曜日)に登記申請を行い、同日に所定の登記がなされます。なお、本件合併は適格合併に該当することを照会の前提とします。

法人税法第14条第1項第2号は、法人が事業年度の中途において合併により解散した場合には、その事業年度開始の日から合併の日の前日までの期間をみなし事業年度とすると規定し、法人税基本通達1-2-4は、同号の「合併の日」とは、合併の効力を生ずる日(新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日)をいうとしています。

ところで、医療法人が行う合併については、医療法第57条以下に規定されているところ、同法第58条の6(効力の発生)において、「吸収合併は、吸収合併存続医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令に定めるところにより合併の登記をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されていますので、本件合併の効力を生ずる日、すなわち合併の日は平成29年4月3日となります。

そうすると、当該他の医療法人(被合併法人)は、本件合併により解散するところ、事業年度開始の日である平成29年4月1日と合併の日の前日である平成29年4月2日の2日間についてみなし事業年度が生ずることとなり、当該みなし事業年度の損益に係る決算を組んで確定申告書を提出する必要があります。なお、当該他の医療法人(被合併法人)は、4月1日及び2日において損益(申告所得)が生じることを前提としています。

この場合、平成29年4月1日と2日の2日間に生じる損益について、合併法人である当法人の事業年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日までの1年間)の損益に合算して申告することとして差し支えないかご照会いたします。

なお、照会の趣旨として、国税庁HPでは、株式会社が行う新設合併等について、登記所の閉庁により、その登記が遅れた場合には、被合併法人の合併の日の前日を含む事業年度の損益については、新設合併設立法人に帰属させる取扱いが認められているところ(国税庁HP「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて(平成19年4月)」)、本照会のように、医療法人が行う吸収合併についても同様の取扱いが認められるか疑義が生じたため、照会を行うものです。

別紙2 事前照会者の求める見解の内容及びその理由

1  会社法においては、株式会社が新設合併を行う場合、その効力の発生日は新設法人の成立の日(登記の日)とされるとともに、新会社はその成立の日において、新設合併消滅会社の権利義務を承継することとされています(会社法754)。このような会社法の規定との整合性を図って、法人税基本通達1-2-4では、新設合併設立法人の設立登記の日を「合併の日」とすることとしています。

  ところで、会社が事業年度開始の日を合併期日として新設合併を行おうとしても、当該事業年度開始の日が休日等である場合には、合併の登記が受け付けられず、新設合併設立法人の設立登記の日が遅れることがあり、このような場合には、事業年度開始の日から新設会社の登記の日の前日までのみなし事業年度が生じることから、当該みなし事業年度に係る申告書を提出する必要があります。

ただし、合併期日がたまたま休日であったため登記申請ができず、やむを得ず翌日に申請したような場合に、1日又は2日間だけの損益を切り出して通常の決算とは別の決算を組むということは、企業の決算実務に多大な事務負担を負わせることとなるため、一定の要件を満たす場合には、当該損益については新設合併設立法人に帰属させる取扱いが認められているところです(国税庁HP「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて(平成19年4月)」)。

2  本件合併は、医療法人が行う吸収合併ですが、2株式会社が行う新設合併と同様にその効力発生日は登記日とされていること、2合併期日とした事業年度開始の日がたまたま休日であったため登記申請ができないという事情があること、22の事情があるにもかかわらず、2日間だけの損益を切り出して通常の決算とは別の決算を組むことの事務負担という点において、株式会社が行う新設合併の場合と同様の状況にあると考えられます。

  したがって、株式会社が行う新設合併の場合と同様に、本件合併についても、次の(1)から(3)までの要件を満たす場合には、次の(2)に掲げる損益の帰属による確定申告書の提出が認められるものと考えます。

(1)合併期日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条≪行政機関の休日≫に規定する休日に当たるため、その休日後の最初に執務が行われた日に本件合併の登記申請がされたこと

(2)本件合併により解散する他の医療法人(被合併法人)の平成29年4月1日と2日の2日間の損益については、照会法人(合併法人)と当該他の医療法人(被合併法人)との間において照会法人(合併法人)に帰属する旨の合意がなされ、その旨を記載した書類の写しを当該他の医療法人(被合併法人)のみなし事業年度の確定申告書に添付すること

(3)本件合併が非適格合併に該当しないものであること

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