平成29年2月10日法務省民商第16号について

台湾国籍で、沖縄県に在住している方から合同会社設立登記の申請依頼を受けました。10月1日設立予定です。

宣誓供述書を作成して、台湾の公証人・外務省の認証を受けてもらおうと思っていましたが、コロナ禍により、台湾と沖縄を結ぶ飛行機が10月24日までないそうです。どうすれば良いんだろうと、下の通達を根拠に沖縄の公証センターで宣誓認証を受けるべく進めていますが、下の通達の対象は、署名証明書のみと読めます。

こういう場合、どうなるんでしょう。

                               法務省民商第16号

                               平成29年2月10日

法務局民事行政部長殿

地方法務局長殿

           法務省民事局商事課長(公印省略)

「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について(依命通知)

標記について,本日付け法務省民商第15号民事局長通達が発出され,平成28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達(以下「通達」という。)が一部改正されたところですが,通達の運用に当たっては,下記の点に留意するよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

                記

1 通達第3に定める外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があるとして,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した署名が本人のものであることの証明書をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる具体例は,次のとおりである。

当該外国人の本国に署名が本人のものであることを証明する制度自体がなく,当該国の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲を含む。以下同じ。)において署名が本人のものであることの証明書を取得することができない場合。

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当該国の本国官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

当該外国人の本国においては署名が本人のものであることの証明書の取得が可能であるが,当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名が本人のものであることの証明書を取得することができない場合

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない場合(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含む)。

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない旨が記載されていれば足りる。

2 署名が本人のものであることの証明書を当該外国人の本国の日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していないため当該証明書を取得することができない場合又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含む。)には,日本以外の国における本国官憲において当該証明書を取得することが可能であっても,外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があるものされた。この場合には,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び署名が本人のものであることの日本の公証人の作成した証明書をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当該外国人の本国の日本における領事又は日本における権限がある官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回答があった旨又は日本に当該外国人の本国官憲がない旨が記載されていれば足りる。

電子商取引及び情報財取引等に関する準則 Ⅰ-1

司法書士以外の方から時々聞く言葉に、「法律で決められずに、先例や政令、通達などでやややこしくなっている。もっと明確に簡易にすべき(そうすれば誰でも出来るようになる)」があります。デジタル化の流れの中で、特に商業・法人登記については公開情報の範囲も広がってきていて、利用する方にとっては、選択肢が広がって良い事だと感じます。

 実際に利用者の中でも、情報は公開されていることを教えてると、自分でやってみる方と、公開されていることは知っているけれど専門家に任せたいと言われる方に分かれます。

 ただ、その流れとは逆に見えてしまうのですが、他の事業分野においても大枠は法律で決めておいて、細かいところは準則やガイドラインで決めていく、ということが多くなっていると感じます。良い悪いは分かりませんが、行政権が強くなっているのは事実だと感じます。理由としては、判例を待っていたらこの変化の速い時代に間に合わない、世界に後れを取る、などがあるのかもあしれません。

 ただし、登記手続きにおいては照会に対する回答という形を採っている場面も多くあり、実務で実際に困った箇所に適宜応答していくという、仕組みが一定部分あります。そういった意味では諮問機関や委員会で決める経済産業省の仕組みと、法務省の通達などでは意味合いが違ってくると感じます。

 この準則は全部はで400ページ近くあり、この中から自分の生活、事業に関する部分を読み取って理解できる方が多くいるとは私には分かりませんでした。結局専門家に依頼することになるのかなと感じることもあります。

 

https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828001/20200828001.html

令和2年8月

経済産業省

はじめに

法令は、それが制定・改正された当時における技術を前提としている。このため、新たな技術の登場は、法令の規律が前提としていた紛争実態などの事実に変化をもたらす。この結果、技術の進歩に応じた柔軟な法令解釈が求められるとともに、こうした解釈では対応できない事項については新たな法令の構築が求められることとなる。

インターネットの登場は、電子商取引をはじめとした新たな経済行為を産み出している。ところが、民法をはじめとする現行法の大半はこうした新たな技術を前提とせずに制定されているため、電子商取引について、現行法がどのように適用されるのかその解釈が明確であるとは必ずしも言い難く、当事者が安心して電子商取引に参加できる法的な環境にあるとは言えない。本来であるならば、現行法の解釈に関して不明確な事項があれば、判例の積み重ねによって合理的なルールが自ずと明らかになるのであるが、当面、こうした司法による判例の

積み重ねが迅速に進むことにのみ期待することは難しい。

この準則は、電子商取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのか、その解釈を示し、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的とするものである。もとより、個別具体的な事例において現行法がどのように適用されるのかを最終的に判断するのは裁判所であることは言うまでもないが、この準則が一つの法解釈の叩き台となることにより、新しいルール形成の一助になることを願っている。

また、この準則は、電子商取引等をめぐる様々な論点について、消費者団体、事業者団体や、総務省・法務省・消費者庁・文化庁など関係府省からのオブザーバーの方々の御助言を頂きながら、産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT 利活用ビジネスに関するルール整備ワーキンググループにおいて取りまとめいただいた提言を踏まえ、経済産業省が現行法の解釈についての一つの考え方を提示するものであり、今後電子商取引をめぐる法解釈の指針として機能することを期待する。

さらに、この準則は、電子商取引等をめぐる取引の実務、それに関する技術の動向、国際的なルールメイクの状況に応じて、柔軟に改正されるべき性格のものと考えている。また、基本的な考え方を示すとともに、具体的事例における考え方も示したいと考えている。そのために、実際に電子商取引等に関わっている事業者や消費者から、具体的な事例について、考え方を広く募りたい。この準則の中で幾つか具体例を挙げているが、これ以外にも更に適当なものがあれば、是非以下へ御提案いただきたい。

<電子商取引及び情報財取引等に関する準則についての連絡先>

経済産業省商務情報政策局情報経済課

FAX 03-3501-6639

電子メール ecip-rule@meti.go.jp

略称一覧

本準則における略称の表記は、次のとおりである。

法律名

略称 正式名称

景品表示法 不当景品類及び不当表示防止法

個人情報保護法 個人情報の保護に関する法律

資金決済法 資金決済に関する法律

通則法 法の適用に関する通則法

電子契約法 電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律

特定商取引法 特定商取引に関する法律

特定電子メール法 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

独占禁止法 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

不正アクセス禁止法 不正アクセス行為の禁止等に関する法律

プロバイダ責任制限法 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発

信者情報の開示に関する法律

預金者保護法 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な

機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律

判例集

略称 正式名称・出版元

民録 『大審院民事判決録』司法省

民集 『最高裁判所民事判例集』最高裁判所判例調査会

刑集 『最高裁判所刑事判例集』最高裁判所判例調査会

高民 『高等裁判所民事判例集』最高裁判所判例調査会

下級民集 『下級裁判所民事裁判例集』最高裁判所事務総局民事局

無体例集 『無体財産権関係民事・行政裁判例集』法曹会

集民 『最高裁判所裁判集民事』最高裁判所事務総局

判時 『判例時報』法曹会

判タ 『判例タイムズ』判例タイムズ社

判自 『判例地方自治』ぎょうせい

金判 『金融・商事判例』経済法令研究会

新聞 『法律新聞』法律新聞社

目次

Ⅰ章 電子商取引に関する論点………………………………………………………1

Ⅰ-1 オンライン契約の申込みと承諾…………………………………….6

Ⅰ-1-1 契約の成立時期 …………………………………………….6

Ⅰ-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤 …………………………………..12

Ⅰ-1-3 ワンクリック請求と契約の履行義務……………………………….17

Ⅰ-2 オンライン契約の内容 ………………………………………….23

Ⅰ-2-1 ウェブサイトの利用規約の定型約款該当性…………………………23

Ⅰ-2-1-1 利用規約の定型約款としての契約への組入れ…………………….23

Ⅰ-2-1-2 定型約款となる利用規約の開示 ………………………………30

Ⅰ-2-1-3 定型約款となる利用規約の契約締結後の変更…………………….32

Ⅰ-2-2 事業者間契約と定型約款……………………………………..35

Ⅰ-2-3 定型約款の規定が適用されない利用規約の契約への組入れと契約締結後の規

約変更…………………………………………………..38

Ⅰ-2-4 価格誤表示と表意者の法的責任………………………………..50

Ⅰ-2-5 契約中の個別条項の有効性 …………………………………..55

Ⅰ-2-6 自動継続条項と消費者契約法第10条等 ………………………….59

Ⅰ-3 なりすまし …………………………………………………..66

Ⅰ-3-1 なりすましによる意思表示のなりすまされた本人への効果帰属…………..66

Ⅰ-3-2 なりすましによるインターネット・バンキングの利用 ……………………71

Ⅰ-4 未成年者による意思表示………………………………………..75

Ⅰ-5 インターネット通販における返品 …………………………………..86

Ⅰ-6 インターネットショッピングモール運営者の責任………………………..91

Ⅰ-7 アプリマーケット運営事業者の責任…………………………………95

Ⅰ-8 プラットフォーム上のユーザー間取引………………………………100

Ⅰ-8-1 ユーザー間取引に関するプラットフォーム事業者の責任………………100

Ⅰ-8-2 取引当事者間の法的関係 ……………………………………105

Ⅰ-8-3 インターネット・オークション及びフリマサービスにおける売買契約の成立時期 109

Ⅰ-8-4 「ノークレーム・ノーリターン」特約の効力………………………….112

Ⅰ-8-5 売主に対する業規制………………………………………..114

Ⅰ-8-6 ユーザー間取引に関するプラットフォーム事業者に対する業規制 ……….119

Ⅰ-8-7 シェアリングエコノミーと兼業・副業に関する就業規則 ………………..122

Ⅰ-9 オンライン懸賞企画の取扱い ……………………………………128

Ⅰ-10 共同購入クーポンをめぐる法律問題について ……………………….132

Ⅰ-11 AI スピーカーを利用した電子商取引………………………………140

Ⅰ-11-1 AI スピーカーが音声を誤認識した場合 ………………………….142

Ⅰ-11-2 AI スピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合 ………………145

Ⅱ章 インターネット上の情報の掲示・利用等に関する論点 …………………. 147

Ⅱ-1 ソーシャルメディア事業者の違法情報媒介責任……………………….150

Ⅱ-2 他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題点 ………………156

Ⅱ-3 P2Pファイル共有ソフトウェアの提供……………………………….165

Ⅱ-4 ウェブ上の広告………………………………………………171

Ⅱ-4-1 景品表示法による規制 ……………………………………..171

Ⅱ-4-2 特定商取引法による通信販売に係る広告規制 …………………….178

Ⅱ-5 ドメイン名の不正取得等………………………………………..182

Ⅱ-6 インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害 ……………………188

Ⅱ-7 ID・パスワード等のインターネット上での提供…………………………191

Ⅱ-8 インターネットと肖像権・パブリシティ権等……………………………195

Ⅱ-9 インターネットと著作権…………………………………………202

Ⅱ-9-1 インターネット上の著作物の利用 ………………………………202

Ⅱ-9-2 サムネイル画像と著作権 …………………………………….208

Ⅱ-9-3 著作物の写り込み…………………………………………215

Ⅱ-9-4 eラーニングにおける他人の著作物の利用 ……………………….221

Ⅲ章 情報財の取引等に関する論点……………………………………………. 225

Ⅲ-1 ライセンス契約の成立とユーザーの返品等の可否 …………………….229

Ⅲ-1-1 情報財が媒体を介して提供される場合………………………….229

Ⅲ-1-2 情報財がオンラインで提供される場合 ………………………….238

Ⅲ-1-3 重要事項不提供の効果 …………………………………….241

Ⅲ-2 当事者による契約締結行為が存在しないライセンス契約の成立 …………..244

Ⅲ-3 ライセンス契約中の不当条項 ……………………………………249

Ⅲ-4 ライセンス契約終了時におけるユーザーが負う義務の内容 ………………253

Ⅲ-5 ソフトウェアの契約不適合責任 …………………………………..256

Ⅲ-6 SaaS・ASPのためのSLA(Service Level Agreement)………………….262

Ⅲ-7 ソフトウェアの使用許諾が及ぶ人的範囲…………………………….266

Ⅲ-8 ユーザーの知的財産権譲受人への対抗 ……………………………275

Ⅲ-9 ソフトウェア特許権の行使と権利濫用 ………………………………281

Ⅲ-10 使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェア(体験版ソフトウェア、期間制限ソフトウェア等)の制限の解除方法を提供した場合の責任……………………290

Ⅲ-11 データ集合の利用行為に関する法的取扱い………………………..300

Ⅲ-12 デジタルコンテンツ…………………………………………..307

Ⅲ-12-1 デジタルコンテンツのインターネットでの提供等における法律問題について 308

Ⅲ-12-2 デジタルコンテンツ利用契約終了後のデジタルコンテンツの利用 ……..311

Ⅲ-12-3 電子出版物の再配信を行う義務 ……………………………..318

Ⅲ-12-4 オンラインゲームにおけるゲーム内アイテムに関する権利関係 ……….322

Ⅲ-13 データ消失時の顧客に対する法的責任……………………………326

Ⅲ-14 ブロックチェーン技術を用いた価値移転……………………………329

Ⅳ章 国境を越えた取引等に関する論点 (国際裁判管轄及び適用される法規

に関して) ……………………………………………………………………………. 331

Ⅳ-1 日本の事業者と国外事業者の間の取引…………………………….334

Ⅳ-2 消費者と事業者の間の国境を越えた取引(特に消費者保護法規の適用)…….344

Ⅳ-2-1 日本の消費者が国外事業者と取引する場合……………………..344

Ⅳ-2-2 日本の事業者が国外消費者と取引する場合……………………..350

Ⅳ-3 日本の事業者の国外消費者に対する生産物責任……………………..353

Ⅳ-4 インターネット上の国境を越えた名誉・信用の毀損、プライバシー侵害 ………357

Ⅳ-5 インターネット上の国境を越えた著作権侵害 …………………………362

Ⅳ-6 国境を越えた商標権行使 ………………………………………365

Ⅳ-7 外国判決・外国仲裁判断の承認・執行 ……………………………..371

Ⅳ-8 国境を越えた取引に関する公法規制の適用範囲 ……………………..379

Ⅰ章 電子商取引に関する論点

(1)本章の目的

電子商取引は取引の一形態である以上、取引を規律する法令が当然に適用される。その一方で、インターネットその他のコンピュータ・ネットワークを利用して行われるという電子商取引の特性から、具体的場面において、法令がどのように適用されるかが必ずしも明確でない場合がある。

現在では、インターネットショッピングモールやオークションサイトを通じた有体物である商品の売買を目的とする取引に加え、電磁的なコンテンツ(ソーシャルゲーム、オンラインゲームなどと呼ばれるネット上でプレイされるゲームや、スマートフォン用アプリなど)の提供、販売等を目的としたオンラインで完結する取引も行われるようになっている。さらに、今後は、シェアリングエコノミー、マッチングサービスなどと呼ばれる新たなビジネスモデルの下での取引

が更に展開していくことも予想されている。そのようなビジネス形態の変容に伴い、それぞれの取引の成立から完了までのプロセスが対面取引と比較して複雑化してきたが、それに対する法令適用の考え方が不明瞭であるために取引当事者間に混乱や争いが生じることがあった。

このように、情報技術の発展を背景として電子商取引の態様が急速に進化し続ける中、電子商取引を行う健全な事業者の予見可能性を高め、紛争を回避するとともに、悪質事業者による被害からの消費者の救済をも視野に入れ、消費者相談の現場における適切な指針ともなるように、電子商取引をめぐる諸問題に検討を加えるのが本章である。本章の読者としては、電子商取引を行う事業者(ECサイト)・関連サービスを提供する事業者に加え、電子商取引から発生する消費者紛争の解決支援を行う相談員等も想定している。

(2)各論点の概要

「I-1 オンライン契約の申込みと承諾」では、コンピュータ・ネットワークを介しオンラインで行われる契約が、どの時点で成立するか、また、どのような場合に契約不成立若しくは無効、取消し可能となるかにつき、解説を行っている。

「I-1-1 契約の成立時期」は、電子商取引における契約の成立時期及び意思表示の到達時期を解説している。あわせて承諾通知の「到達」の意義を、具体例を示して明らかにする。

「I-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤」は、クリックミスなどの消費者の操作ミスの法的取扱いの解説である。錯誤に関する民法第95条第1項第1号の適用を前提とした電子契約法第3条の規律の概要を説明しており、同条における事業者による「確認措置」の具体例と合わせ、確認措置を不要とする消費者の表明の有無の判断基準も示している。

「I-1-3 ワンクリック請求と契約の履行義務」は、全国の消費生活センター等に非常に多くの相談が寄せられていた「ワンクリック詐欺」と言われる架空請求に対する法的対応のあり方を解説するものである。消費者紛争の解決に資するように、契約不成立や無効・取消しといった様々な反論と、それらが認められるための判断基準を列挙している。

「I-1 オンライン契約の申込みと承諾」が主に契約の成立に関する論点であるのに対し、「I-2 オンライン契約の内容」は契約の内容に関わる問題を取り上げている。

「I-2-1 ウェブサイトの利用規約の定型約款該当性」では、民法第548条の2ないし民法第548条の4において定められている定型約款に関する規定が、ウェブサイトの利用規約にどのように適用されるのかにつき、解説を行っている。

「I-2-1-1 利用規約の定型約款としての契約への組入れ」は、民法第548条の2に基づいて定型約款の内容が契約の内容とみなされるための要件について説明する。

「I-2-1-2 定型約款となる利用規約の開示」は、民法第548条の3に基づいて、利用規約が定型約款となる場合に、定型約款準備者が相手方から利用規約の内容を開示するように請求された場合の規律を示す。

「I-2-1-3 定型約款となる利用規約の契約締結後の変更」は、民法第548条の4に基づいて、利用規約が定型約款となる場合に、利用規約を変更したとき変更後の利用規約の条項について個別に相手方と合意しなくとも契約の内容の変更が認められるための要件について解説する。

「I-2-2 事業者間契約と定型約款」は、定型約款についての民法の規定(民法第548条の2ないし民法第548条の4)が事業者間取引にも適用されることを確認するとともに、どのような場合に事業者間取引でも定型約款についての民法の規定が適用されるのかについて検討している。

「I-2-3 定型約款の規定が適用されない利用規約の契約への組入れと契約締結後の規約変更」は、ウェブサイト上の利用規約が定型約款とならない場合について、その利用規約が契約に組み入れられるための基準、及び契約に組み入れられた利用規約の変更と契約の内容の変更との関係について解説する。

「I-2-4 価格誤表示と表意者の法的責任」は、電子商取引サイトで事業者が誤って低い価格を表示した場合に、その表示した価格での販売義務の有無に関し、契約不成立や錯誤の主張可能性について、解説をする。

「I-2-5 契約中の個別条項の有効性」は、サイト利用規約が契約に組み入れられる場合であっても、規約中の個別条項が無効とされる場合について、消費者契約法の内容を中心に解説している。

「I-2-6 自動更新条項と消費者契約法第10条等」は、オンライン販売において、利用規約中に自動継続条項が設けられている場合について、主として消費者契約法第10条との関係について検討している。

「I-3 なりすまし」は、非対面取引である電子商取引において特徴的に問題となる当事者のなりすましについての規律を解説するものである。

「I-3-1 なりすましによる意思表示のなりすまされた本人への効果帰属」では、電子商取引において、ID・パスワードの冒用や、クレジットカード情報の不正使用によって契約が締結された場合等に、冒用された本人に責任が生じるかという問題について表見代理法理を基礎として一般的な規律を解説している。

「I-3-2 なりすましによるインターネット・バンキングの利用」は、ID・パスワードの冒用が問題となるが、I-3-1とは異なり既に成立した預金契約に基づく「弁済」の有効性の問題であるため、別途、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する」者に対する弁済(民法第478条)を基礎とした法的規律を明らかにしている。

「1-3-3 なりすましを生じた場合の認証機関の責任」は、電子署名法に基づく認証機間の認定制度に関連し、認証機間の本人確認が不十分であったことに起因するなりすましにより、第三者が損害を受けた場合の責任をテーマとしたものである。

「I-4 未成年者による意思表示」では、未成年者も電子商取引の当事者になり得る状況において、未成年者取消しに関する規律を整理している。オンラインゲーム等の利用による高額課金の問題が背景として意識されている。取消権制限事由については、処分を許された財産等について触れた上、判断の難しい「詐術」に関しては、年齢確認画面の設定も一要素としつつ、できるだけ詳細にその判断基準を示すことを意図した。

「I-5 インターネット通販における返品」は、特定商取引法第15条の3に基づく「法定返品権」を中心として、インターネット通販において返品が可能な場合について整理を行ったものである。

「I-6 インターネットショッピングモール運営者の責任」は、消費者がインターネットショッピングモールとモールへの出店事業者をモール運営者と誤認した場合等のモール運営者の責任範囲について整理している。

「I-7 アプリマーケット運営事業者の利用者に対する責任」では、主にアプリマーケット利用者との関係でアプリマーケット運営事業者に生じ得る法的責任を整理している。

「I-8 ユーザー間取引(インターネット・オークション、フリマサービス等)」は、プラットフォームを介して行われるユーザー間での取引に関する問題を取り扱っている。

「I-8-1 ユーザー間取引に関するプラットフォーム事業者の責任」は、電子的にユーザー間取引の場(ユーザー間取引プラットフォーム)を提供しているサービスの運営事業者(プラットフォーマー)に関し、利用者間の取引においてトラブルが発生した場合の法的責任を整理したものである。

「I-8-2 取引当事者間の法的関係」では、ユーザー間取引プラットフォームを利用した取引における売主と買主の間のトラブルについて、売主が買主に負う法的責任を中心として一般的な解説をしている。このような取引当事者間のトラブルに関連する問題として、「I-8-3 インターネット・オークション及びフリマサービスにおける売買契約の成立時期」では、インターネット・オークションにより商品が落札された場合に売買契約が法的にいつ成立したと考えられるのかという問題について、「I-7-4 「ノークレーム・ノーリターン」特約の効力」では、ユーザー間取引プラットフォームを利用した取引においてしばしば見られる「ノークレーム・ノーリターン」特約の有効性について、それぞれ具体的に解説をしている。

I-8-5 売主に対する業規制」では、ユーザー間取引プラットフォームを利用して取引を行おうとする売主が、特定商取引法、景品表示法、古物営業法の規制の対象となる場合を整理している。

I-8-6 ユーザー間取引に関するプラットフォーム事業者に対する業規制」では、ユーザー間取引プラットフォームの運営事業者が特定商取引法、古物営業法の規制の対象となる場合を整理している。

I-8-7 シェアリングエコノミーと兼業・就業に関する就業規則」では、シェアリングエコノミーサービスを通じて収入を得ることにつき、兼業禁止規定に関する就業規則との関係で留意すべき点を整理している。

I-9 オンライン懸賞企画の取扱い」は、インターネットのウェブサイト、SNS又はスマートフォン等のアプリ上で消費者に対する懸賞企画を行う場合の景品表示法上の取扱いについて解説したものである。

I-10 共同購入クーポンをめぐる法律問題」は、共同購入クーポン(一定時間内に一定数が揃えば購入者が大幅な割引率のクーポンを取得することができる手法)に関して、クーポンサイト運営事業者(共同購入クーポンのインフラを提供するサービス事業者)、加盟店(共同購入クーポンに記載のサービスを提供する店舗)、クーポン購入者(共同購入クーポンを購入する者)間の法律関係を分析するものである。

I-11 AIスピーカーを利用した電子商取引」では、AIスピーカー(スマートスピーカー)の提供元とAIクラウドのサービス事業者とが同一の場合における、AIスピーカーを利用した電子商取引に関する問題を取り扱っている。

I-11-1 AIスピーカーが音声を誤認識した場合」は、AIスピーカーが実際には発注がないのに発注があったと誤認識して発注処理をした場合、発注者にはどのような救済が与えられるかを解説したものである。

I-11-2 AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合」は、発注者がAIスピーカーで音声発注をしようとして、うっかり言い間違えをしてしまったため、発注者の意図と異なる物品が発注された場合に、発注者にどのような救済が与えられるのかを解説したものである。

Ⅰ-1 オンライン契約の申込みと承諾最終改訂:令和2年8月

Ⅰ-1-1 契約の成立時期

【論点】

電子商取引において契約はどのような要件の下でいつ成立するのか。

電子商取引において意思表示が相手方に到達するのはいつか。

1.考え方

(1)契約の成立要件と成立時期

①契約の成立要件と成立時期

契約は、申込みと承諾の合致によって成立する。申込みに対して承諾がなされた時点で、契約は成立する。

一方当事者の表示・通知が「申込み」ではなく「申込みの誘引」に当たると解される場合、それに対する相手方の意思表示が申込みに当たると解されるため、その意思表示の時点では契約は成立しない。

②契約の成立時期についての利用規約上の条項の影響

当事者間で事前に会員登録等がなされている場合、その会員登録において同意された利用規約に通知・表示の意義(何が申込みや承諾に当たるのか)や契約の成立時期等の定めがあるときには、その定めに従っていつ契約が成立することになるのか解釈される。

当事者間で事前に会員登録等がされていない場合には、その通知・表示の意義や契約の成立時期が相手方に明示されている、あるいはその通知・表示の意義について利用規約等の規定に従うことについての黙示の合意が認定され得る等の事情がない限り、一般的基準(内容の特定性、相手方の重要性、履行の可能性等)に従って、何が申込みや承諾に当たるのか判断される。

(2)意思表示の到達時期

①電子メールで意思表示が行われる場合

申込み・承諾の通知の受信者が指定した又は通常使用するメールサーバー中のメールボックスに読み取り可能な状態で記録された時点である。

ⅰ)通知の受信者のメールサーバー中のメールボックスに記録された時点

(通知が到達したと解される例)

・通知が一旦メールボックスに記録された後にシステム障害等により消失した場合

(通知が到達しなかったと解される例)

・相手方のメールサーバーが故障していたために通知が記録されなかった場合

ⅱ)読み取り可能な状態で記録された時点

(通知が到達しなかったと解される例)

・送信された通知が文字化けにより解読できなかった場合

・添付ファイルによって通知がなされた場合に相手方が復号して見読できない場合(相手方が有していないアプリケーションソフトによって作成されたため、復号して見読できない場合など)

②端末等に意思表示が表示される場合

相手方の端末等の画面上に通知が表示された時点である。

2.説明

(1)電子商取引における契約の成立要件及び成立時期

①契約の成立要件と成立時期

民法上、契約の成立には、申込みと承諾の意思表示の合致が必要とされている。申込みとは、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示である(民法第522条)。承諾とは、契約を成立させることを目的として、特定の申込みに対してなされる意思表示である。申込みに対して承諾がなされた時点で、契約は成立する。

なお、「本メールは受信確認メールであり、承諾通知ではありません。在庫を確認の上、受注が可能な場合には改めて正式な承諾通知をお送りします。」といったように、契約の申込みへの承諾が別途なされることが明記されている場合などは、受信の事実を通知したにすぎず、そもそも承諾には該当しないと考えられる1。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1 東京地裁平成17年9月2日判決・判時1922号105頁は、インターネットショッピングモールでの商品の売買契約において、利用者からの購入申込みに対してモール運営事業者が返信した受注確認メールはモール運営事業者が送信したものであり、権限ある売主(出品者)が送信したものではないから権限あるものによる承諾がなされたと認めることはできない、と判断した。また、受注確認メールの趣旨について、買い手となる注文者の申込みが正確なものとして発信されたかをサイト開設者が注文者に確認するものであり、注文者の

申込みの意思表示の正確性を担保するものにほかならない、と指摘している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

②「申込み」と「申込みの誘引」の違い

申込みは、契約を成立させることを目的とする確定的な意思表示であり、この申込みに対して相手方の承諾があれば契約が成立する。これに対して、相手方に申込みをさせようとする意思の通知は、申込みの誘引と呼ばれる。申込みの誘引に対して相手方が意思表示をしても、その相手方の意思表示は申込みとなるため、その相手方の意思表示の時点では契約は成立しない。

例えば商品の販売が行われているウェブサイトにおいて、当該ウェブサイト上にある注文ボタンをクリックすることにより商品を注文するという購入申込みシステムとなっている場合、当該ウェブサイトにおける商品・価格の掲載や注文ボタンの表示等が販売の「申込み」に当たると解されると、購入希望者による注文ボタンのクリックは「承諾」の意思表示となるので、そのボタンのクリックにより、承諾のデータが到達した時点で契約が成立する。これに対して当該商

品・価格の掲載や注文ボタンの表示が購入の「申込みの誘引」に当たると解されると、購入希望者による注文ボタンのクリックは購入の「申込み」の意思表示となるので、その申込みに対して売主が承諾の意思表示を行うまでは、契約は成立しない。

申込みと申込みの誘引は、一般的に、相手方が登場するまで契約するかどうかの決定を留保する必要性がどの程度あるのかによって区別される(留保する必要性が高ければ「申込みの誘引」に当たり、留保する必要性が低ければ「申込み」に当たると解される可能性が高い)。

具体的には、内容の特定性2、相手方の重要性3、履行の可能性4等の要素を考慮して、個別具体的に判断される。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2 締結しようとする契約の主たる内容が特定されていない場合は、契約するかどうかの決定を留保する必要性は高く、特定されている場合は、留保する必要性は低い。

3 誰と契約するかが重要である場合は、契約するかどうかの決定を留保する必要性が高く、相手方の属性が契約締結において重要でない場合は、留保する必要性は低い。

4 物品の通信販売のように履行能力を超えて大量の注文が殺到する可能性がある場合は、契約するかどうかの決定を留保する必要性が高く、ライセンスのかかっていないデジタルコンテンツの場合は、履行能力を超えた注文を観念できないので決定を留保する必要性が低い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

③サイト利用規約により契約の成立時期等が規定されている場合

電子商取引を行う場であるウェブサイトには、利用規約、利用条件、利用契約等の形で取引条件に関する記載されていることがある(以下「サイト利用規約」という。)。サイト利用規約には、契約の成立や効力に関して規定している場合がある。

例えば「商品を御注文いただいた場合、お客様からの御注文は、当サイトに対する商品購入についての契約の申込みとなります。御注文の受領確認と御注文内容を記載した『御注文の確認』メールが当サイトから送信されますが、お客様からの契約申込みに対する当サイトの承諾は、当サイトから商品が発送されたことをお知らせする『御注文の発送』メールがお客様に送信されたときに成立します。」などと利用規約に記載されている場合がある。このようなサイト利用規約上の条項が、ウェブサイトの利用者の注文を申込みと解するか承諾と解するか

の判断に影響を与えるか、という問題がある。

ⅰ)事前に利用規約への同意を含めた会員登録等がなされている場合

ウェブサイトで電子商取引を行う場合、売買契約等の個別の取引を行う前に、当該ウェブサイトを通じた取引について会員登録等を利用者が行うことがある。

この利用者による会員登録は、当該ウェブサイトを通じた(複数の)個別取引についてウェブサイト運営者と利用者を当事者として締結された基本契約としての性質を有していると考えられる5。個別取引における契約の成立や効力に関わる条項を含むサイト利用規約がこの基本契約に組み入れられる場合6、当該ウェブサイトを通じた個別取引に関してウェブサイト運営者が行う当該ウェブサイト上の表示、及びそれに対する利用者の注文の意味は、そのサイト利用規約

上の条項に従って解釈される。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

5 本準則Ⅰ-2-1-1「利用規約の定型約款としての契約への組入れ」参照。

6 本準則Ⅰ-2-1-1「利用規約の定型約款としての契約への組入れ」参照。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ⅱ)事前に会員登録等のサイト利用に関する明示的な合意がなされていない場合

事前にウェブサイト利用についての会員登録等がなされていない場合であっても、当該ウェブサイト上の表示において、その表示が申込みであるか否かが明示されている、あるいは契約の成立時期について明示されている等の場合には、当該ウェブサイト上の表示は、それに従って性質決定がされ得る。

また、利用者に対して、個別の取引を行う前の段階で、契約の成立時期等についてのサイト利用規約の条項が開示されている場合には、会員登録等が明示的になされていなくとも、その部分についての黙示の合意が認定される場合も考えられる。その場合には、ウェブサイト上の表示及びそれに対する利用者の注文の意味は、利用規約上の条項に従って解釈される。

他方、ウェブサイト上の表示の意味が明示されておらず、かつ契約の成立時期等についての黙示の合意も認定できない場合、当該ウェブサイト上の表示、及びそれに対する利用者の注文の意味は、前記②に示した一般的基準に従って、通常の意思表示の解釈の手法に基づいて解釈されることになる。

(2)意思表示の「到達」の意義

意思表示の到達の時期について民法には明文の規定はないが、意思表示の到達とは、相手方が意思表示を了知し得べき客観的状態を生じたことを意味すると解されている。すなわち、意思表示が相手方にとって了知可能な状態におかれたこと、換言すれば意思表示が相手方のいわゆる支配圏内におかれたことをいうと解される(最高裁昭和36年4月20日第一小法廷判決・民集15巻4号774頁、最高裁昭和43年12月17日第三小法廷判決・民集22巻13号2998頁)。

電子的な申込みや承諾の通知の到達時期については、相手方が通知に係る情報を記録した電磁的記録にアクセス可能となった時点をもって到達したものと解される。例えば電子メールにより通知が送信された場合は、通知に係る情報が受信者の使用に係る又は使用したメールサーバー中のメールボックスに読み取り可能な状態で記録された時点であると解される。具体的には、次のとおり整理されると考えられる。

①相手方が通知を受領するために使用する情報通信機器をメールアドレス等により指定していた場合や、指定してはいないがその種類の取引に関する通知の受領先として相手方が通常使用していると信じることが合理的である情報通信機器が存在する場合には、通知がその情報通信機器に記録されたとき、②①以外の場合には、宛先とした情報通信機器に記録されただけでは足りず、相手方がその情報通信機器から情報を引き出して(内容を了知する必要はない。)はじめて到達の効果が生じるものと解される。

なお、仮に申込者のメールサーバーが故障していたために通知が記録されなかった場合は、申込者がアクセスし得ない以上、通知は到達しなかったものと解するほかない。

他方、通知が一旦記録された後に何らかの事情で消失した場合であっても、記録された時点で通知は到達しているものと解される。

(3)「読み取り可能な状態」の意義

①送信された通知が文字化けにより解読できなかった場合(なお、解読できないか否かについては、単に文字化けがあることのみではなく、個別の事例に応じて総合的に判断されることとなる。

例えば文字コードの選択の設定を行えば復号が可能であるにもかかわらず、それを行わなかったために情報を復号することができない場合のように、当該取引で合理的に期待されている相手方のリテラシーが低いため、情報の復号ができない場合には、表意者(通知の送信者)に責任がなく、この要件は、相手方が通常期待されるリテラシーを有していることを前提として解釈されるべきであると考える。)や、②相手方が有していないアプリケーションソフト(例えばワープロソフトの最新バージョン等)によって作成されたファイルによって通知がなされたために復号して見読することができない場合には、相手方の責任において、その情報を見読するためのアプリケーションを入手しなければならないとすることは相当ではなく、原則として、相手方が復号して見読可能である方式により情報を送信する責任は表意者にあるものと考えられる。したがって、相手方が復号して見読することが不可能な場合には、原則として通知は不到達と解される。

(4)端末等の画面に意思表示が表示される場合

インターネット通販等の場合、ウェブブラウザやアプリを通じて申込みがなされ、承諾もウェブブラウザやアプリ上の表示でなされることがある。例えばウェブサイト運営者によって端末等の画面上に商品の表示(申込みの誘因)がなされ、それに対して利用者が端末等の画面上の定型フォーマットに商品名、個数、申込者の住所・氏名等の必要事項を入力し、これを送信することにより申込みの意思表示が発信され、この申込通知がウェブサーバーに記録された後、申込者の端末等の画面に承諾した旨又は契約が成立した旨が自動的に表示されるシステムが利用される場合がある。

このように端末等の画面を通じて通知が発信された場合についても、前記(2)で示した意思表示の到達の意義及び電子メールの場合における通知の到達時期と同様の視点で考えるのが相当である。すなわち、端末等の画面上の通知が相手方に到達した時点とは、相手方が意思表示を了知し得べき客観的状態を生じた時点、すなわち読み取り可能な状態で申込者(受信者)の支配領域に入った時点と考えられる。前述の例においては、ウェブサーバーに申込データが記録された時点で申込みの効力が発生し、これに応答する承諾データが申込者側に到達の上、申込者の端末等の画面上に承諾通知が表示された時点で承諾の効力が発生、すなわち契約が成立したと解することになる。また、承諾通知が端末等の画面上に表示されていれば足り、申込者がそれを現認したか否かは承諾通知の到達の有無には影響しない。他方、通信障害等何らかのトラブルにより申込者の端末等の画面に承諾通知が表示されなかった場合は、原則として承諾通知は不到達と解される。

ちなみに、前記①に示したように、「お申込みありがとうございました。在庫を確認の上、受注が可能な場合には改めて正式な承諾通知をお送りします。」といったように、契約の申込みへの承諾通知が別途なされることが明記されている場合などは、受信の事実を通知したにすぎず、そもそも承諾には該当しないと考えられるので、注意が必要である。

なお、承諾通知が端末等の画面上に表示された後、契約成立を確認する旨の電子メールが別途送信される場合もあるが、この場合も契約の成立時期はあくまで承諾通知が表示された時点であり、後から電子メールが到達した時点ではない。他方、承諾通知が端末等の画面に表示されなかった場合、契約成立を確認する旨の電子メールが送信されていれば、それが到達した時点で契約は成立している。

最終改訂:令和2年8月

影山克典「IT化に関する施策と司法書士実務」

登記情報[1]の記事です。

情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律などの一部を改正する法律[2]

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/digital.html

未来投資 戦 略 2017―Society 5.0 の実現に向けた改革―平成 29 年6月9日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf

未来投資戦略 2018

―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革― 平成 30 年6月 15 日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

成長戦略実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2020.pdf

成長戦略フォローアップ 令和2年 7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2020.pdf

規制改革推進に関する答申 令和2年7月2日

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20200702/200702honkaigi01.pdf

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ps2020.pdf

経済財政運営と改革の基本方針2020 令和2年7月17日

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/2020_basicpolicies_ja.pdf

上の政策が大体掲載されているページ

首相官邸 政策会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kettei.html

オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する報告書 2020/3/31

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200417002/20200417002-3.pdf

規制改革制度ワーキングチーム 第18回各府省情報化専任審議官等連絡会議合同会議(資料2-2)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/densi/dai33/siryou2-2.pdf

金融業界における書面・押印・対面手続きの見直しに向けた検討会

https://www.fsa.go.jp/singi/shomen_oin/index.html

目指すもののうち、司法書士実務に関係があると思われる考え方など

・行政手続・・・窓口に行かない。同じ情報を出すことがない。本人確認をオンラインで行う。一部について、電子申請の義務化、マイナンバーカード普及のための施策。

・商業登記・・・法務局への届け出印を持っていない法人の登場。グレーゾーン解消制度(本店移転登記)。

・代理、署名押印・・・代理申請における当事者の電子署名の省略、クラウド型の電子署名、電子署名ではなく、IDとパスワードで本人であることを担保する。

書面・対面なしで完結させている取引(住宅ローン契約の電子化、ブロックチェーンによるデリバティブ取引、電⼦発注(⼯事受発注電⼦化)など。)。

・不動産登記・・・不動産売買契約をオンラインで行う場合の本人確認(特に意志の確認)。相続登記の自動化の可能性。相続人が被相続人が名義人となっている不動産を法務局に照会できる制度を創設予定。戸籍等のオンライン(代理)申請。デジタル遺言(アメリカ合衆国フロリダ州、ネバダ州にて利用開始予定)。

添付情報のオンライン化+提出

・裁判手続、執行手続・・・申立てから終了までのオンライン化を目指す。

・家事事件・・・オンラインによる面会交流。

諸外国

アメリカ、韓国、ドイツ、スイス。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

動きが速いのかどうなのか、判断出来ませんでした。書類も100ページ以上のものがほとんどなので、概要と目次と気になる部分を読むことで済ませました。

私はこちらの考えです。

──2014年以前から、政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を熱望していたのでしょうか。それとも学生運動を通じて、その重要性に気付いたのでしょうか?DXに対する政府の態度はどのように変化しましたか。

わたしたちは、デジタルに“トランスフォーム”(変換)するとは考えていません。どちらかというと従来のアナログのプロセスをより多くの人に届くように“増幅”していると考えています。「デジタルトランスフォーメーション」は何かを奪うものではないんです。たとえば、電子署名法を導入したときも、台湾で広く使われている木彫りの「印鑑」が「もう使えません」とは言いませんでした。印鑑は継続して使えます。電子署名も、印鑑も、どっちでもいいんです。ちなみに、印鑑の電子化を受けてマルチタッチの電子印鑑を生産するイノベーターもいて、印鑑を携帯電話のスクリーンに押しあてると電子印鑑として使えるというものです。それは“トランスフォーム”(変換)ではなく、既存の文化を「増幅」することを意味しています。

https://note.com/blkswn_tokyo/n/ne3513163c79b

・気になること

・電子国家といわれているエストニア(人口約133万人)について

新型コロナ感染症(covid19)について、数字だけ見ると、対応できているのか分からないこと。

感染者数2,272 死亡者数63 回復者数2,024

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

貧困率や格差が相対的に高い。

https://www.globalnote.jp/post-2498.html?cat_no=604

・アメリカについて

新型コロナ感染症(covid19)についてはニュースを読む通り。分断、格差については、Black Lives Matterを読む通り。

・韓国について

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200824001000882

https://www.globalnote.jp/post-2594.html?cat_no=604

・ドイツ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-07/QEP0TLDWLU6I01

https://www.globalnote.jp/post-2520.html?cat_no=604

・スイス

https://www.globalnote.jp/post-2791.html?cat_no=604

デジタル化は方法の1つなんだろうなと、ぼんやり考えています。自分の業務のうち、試すことが出来るものは試していきたいです。

・最近話題になっていたこと(特に支持しているわけではありません。)

リーガルテック企業の方が何度も取り上げていた自由研究

文部科学大臣賞 「知ってる?はんこってなんで押さなきゃいけないの―日本の特別な文化―」

https://concours.toshokan.or.jp/wp-content/uploads/contest-data/230002/?fbclid=IwAR3MoHjyWk2-6Cr58CcuqtOtX5lxI1ARjz2_MNTCi5lVhFWWW3HivtkEVKE#p=51


[1] 705号 2020.8きんざいP25~

[2] 影山克典「デジタル手続法は司法書士実務をどう変えるか」市民と法118号3項~

合同会社の社員、業務執行社員、代表社員の変更(試訳)

業務執行社員、代表社員:法人(株式会社)

The executive employees, The representative employees: The Corporation

【合同会社の社員、業務執行社員、代表社員の変更(職務執行者が社員、業務執行社員、代表社員になる)】

【Changing of executive officers, representative employees, and executive officers of the GK(Executors become The employees, The executives, and The representatives)]

総社員の同意書

The consent form of all employees.

1.社員【退社社員 商号A】は、その持分の全部である【持分の価額】円を【加入社員X・氏名】に譲渡して本会社を退社し、これを譲り受けた【加入社員X・氏名】は、同時に加入すること。

1. The employee [leaving employee, The trade name A] transferred the entire [The equity value] yen to [The participating employee X/name], left the company, and took over [The joining employee X/name]. To join at the same time.

  新加入社員の氏名、住所、出資の目的及び価額

The name, address, purpose of investment and price of new employee.

  【加入社員X・住所】

[The participant X/Address]

 【加入社員X・氏名】  【出資の価額】円  全部履行

[Participating employee X/Name] [Value of investment] Yen.

1.定款第○条の【退社社員 商号A】を削除

定款第○条に次の事項を加えること。

1. Deleted [Leaving employee trade name A] in Article ○Article of Articles of The Incorporation

Add the following items to Article ○ of the Articles of The incorporation.

【加入社員X・住所】

[The participant X/Address]

有限責任社員 【加入社員X・氏名】  【出資の価額】円

The limited Liability Employee [The Enrolled Employee X/Name] [The value of cntribution] Yen.

1.定款第○条を変更。

Changed Article ○ of the Articles of The incorporation.

  第○条 社員【加入社員X・氏名】は、業務執行社員とし、当会社の業務を執行する。

Article ○ The employee [Enrolled The employee X/Name] shall be the executive officer and execute the business of the company.

  • 代表社員【退社社員・商号A】が退社、退任

定款第○条を変更。

1. The representative employee [Leaving rhe employee, trade name A] leaves the company and retires.

Changed Article ○ of the Articles of the incorporation.

第○条 当会社の代表社員は、【社員X・氏名】とする。

Article ○ The representative employee of this company shall be [The employee X/Name].

② 代表社員は社長とし、当会社を代表する。

② The representative employee is the president and represents the company.

私たちは、全てに同意する。

We agree with everything.

   【同意日付】

[The agreement date]

     【商号】

[The trade name]   

   社  員  【退社社員A・商号A】   (印)

The company employee [The leaved employee A/The trade name A] (mark)

  加入社員  【加入社員X・氏名】   (印)

The enrollment employee [The enrollment employee X/Name] (mark)

【株券を発行する旨の定めの廃止】臨時株主総会議事録(試訳)

Minutes of Extraordinary General Meeting of Shareholders

1.日  時:【総会開催日】【総会開催時刻】

1. Date: [General Assembly Date] [General Assembly Time]

2.場  所:【本店所在場所】当会社本店会議

2. Venue: [Location of main store] Meeting room of our main store

3.出 席 者:発行済株式の総数          【発行済株式数】株

       この議決権を有する総株主数     【株主総数】名

       この議決権の総数          【総株主の議決権数】個

       本日出席株主数(委任状出席を含む) 【出席株主数】名

       この議決権の個数          【出席株主の議決権数】個

3. Attendees: Total number of issued shares

[Number of issued shares] shares

Total number of shareholders with this voting right

[Total number of shareholders]

Total number of voting rights

[Number of voting rights of all shareholders]

Number of shareholders present today (including attendance of proxy)

[Number of attending shareholders]

The number of voting rights

[Number of voting rights of attending shareholders]

4.議  長:代表取締役 【代表取締役A・氏名】

4. Chairman: Representative Director [Representative Director A/Name]

5.出席役員:取締役【代表取締役A・氏名】、【取締役B・氏名】、【取締役C・氏名】

       監査役 【監査役P・氏名】

5. Attending officers: Directors [Representative Director A/Name], [Director B/Name], [Director C/Name]

Auditor [Auditor P/Name]

6.会議の目的事項並びに議事の経過の要領及び結果:

   議長は、開会を宣し、上記のとおり定足数に足る株主の出席があったので、本総会は適法に成立した旨を述べ、議案の審議に入った。

第1号議案 定款一部変更の件

  議長は、当会社の下記事項の廃止又は変更等を含め、別紙のとおり定款を一部変更したい旨を述べ、その理由を詳細に説明した。

  議長がその賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれに賛成した。

  よって、議長は、別紙のとおり定款を一部変更することに可決された旨を宣した。

   (1)株券を発行する旨の定めの廃止

当会社は株券廃止会社であり、会社法第218条第1項の公告、通知手続は適法に完了済みです。  

6. The purpose of the meeting, the outline of the proceedings and the results:

The Chair declared the opening of the meeting and, as mentioned above, the quorum of shareholders attended, and stated that this General Meeting was legally concluded, and began to discuss the bill.

Proposal No. 1 Partial amendment of articles of incorporation

The Chairman stated that he would like to partially change the Articles of Incorporation as shown in the attached sheet, including the abolition or change of the following matters of the Company, and explained the reason in detail.

When the chair asked the pros and cons to the council, they unanimously agreed with it.

Therefore, the chairman declared that he was approved to partially change the articles of incorporation as shown in the attached sheet.

Record

First bill

Abolition of the provision to issue stock certificates

This company is a stock certificate abolition company, and the public notice and notification procedures of Article 218, Paragraph 1 of the Companies Act have been legally completed.

7.閉  会:議長は【総会閉会時刻】閉会を宣言した。

 以上、本議事録を作成し、議事録作成者が次に記名押印する。

   【総会開催日】

     【商号】臨時株主総会

              議事録作成者 【代表取締役A・氏名】 (印)

7. Closing: The chairman declared [closing time of the general meeting].

As above, this minutes is created, and the minutes creator then stamps the name.

[General meeting date]

[Business name] Extraordinary general meeting of shareholders

Minute creator [Representative Director A/Name] (mark)

商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会~有識者による議論の取りまとめ~(仮訳)

20200721 法務省HP閲覧

令和2年7月

商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会参加有識者

(座長)早 稲 田 大 学 大 学 院 法 務 研 究 科 教 授 岩 原 紳 作

一 般 社 団 法 人 全 国 銀 行 協 会

コ ン プ ラ イ ア ン ス 部 長 阿 部 耕 一

弁 護 士 ( 第 二 東 京 弁 護 士 会 ) 片 山 達

東 京 大 学 大 学 院 法 学 政 治 学 研 究 科 教 授 加 藤 貴 仁

一 橋 大 学 法 学 研 究 科 教 授 角 田 美 穂子

司 法 書 士 ( 京 都 司 法 書 士 会 ) 内 藤 卓

 

第1 背景となる国内外の情勢

1 法人の実質的支配者を把握することは,国際的要請であり,マネー・ローンダリング/テロ資金供与防止の観点から,各国において取組が進められている。そのような取組が十分に行われていない国においては,その国の企業,特に金融機関が海外取引を行うに当たって取引の相手方である金融機関からリスクが高いとの評価を受け取引コストが増大する事態を招き得る。そのため,その取組状況については,各国の金融機関も高い関心を有している。

2 法人の実質的支配者の把握を含め,マネー・ローンダリング/テロ資金供与対策に関する国際的な取組の推進について,大きな役割を担っているのが FATF(金融活動作業部会)である。FATF は,1989 年に G7 アルシュ・サミット経済宣言を受け設立が合意された政府間枠組みであり,マネー・ローンダリング/テロ資金等の脅威撲滅のため,国際基準の策定,加盟国に対して効果的な遵守や体制の構築の促し等を行っている。

FATF は,加盟国が遵守すべき包括的かつ一貫性のある枠組みを示す「勧告」を行っており,各国によるその遵守状況については,法令,執行手段,権限ある当局の権限及び手続といった技術的観点から評価されることとなる。さらに,FATF は,各国のマネー・ローンダリング/テロ資金等対策の有効性に関する指標である「直接的効果」(Immediate Outcome, IO) も作成しており,各国はこの観点からも評価されることとなる。

法人の実質的支配者の把握に関する主な勧告及び直接的効果としては,勧告 10,勧告 24,直接的効果5が挙げられ,その内容は次のとおりである。

① 勧告 10

この勧告は,金融機関が,一定の場合に,顧客管理措置をとることを求めるものであり,顧客管理として次の事項を含む措置を求めるものである。

「受益者の身元を確認し,金融機関が当該受益者が誰であるかについて確認できるように,受益者の身元を照合するための合理的な措置をとる。この中には,金融機関が法人及び法的取極めについて当該顧客の所有権及び管理構造を把握することも含まれるべきである。」

なお,この義務は,勧告 22 により,一定の条件の下で,指定非金融業者及び職業専門家にも適用されることとなっている。

② 勧告 24

この勧告は,法人の透明性及び真の受益者に関して,次の事項を含む措置を求めるものである。「各国は,資金洗浄又はテロ資金供与のための法人の悪用を防止するための措置を講じるべきである。各国は,権限ある当局が,適時に,法人の受益所有及び支配について,十分で,正確なかつ時宜を得た情報を入手することができ,又はそのような情報にアクセスできることを確保すべきである。」

また,FATF は,技術的観点のみならず,有効性の観点からも評価を行うこととしており,実質的支配者の把握の関係では次の指標を設定している。

③ 直接的効果5(IO5)

直接的効果5は次のとおり定められている。「資金洗浄及びテロ資金供与を目的とした法人及び法的取極めの濫用が予防されており,また,実質的支配者に関する情報が権限ある当局に支障なく入手可能となっている。」

3 FATF は,各国による勧告 24 を遵守するための取組を促進するため,2019年 10 月,推奨すべき取組の紹介等を内容とする「法人の実質的支配者に関するベストプラクティス(Best Practices on Beneficial Ownership forLegal Persons)」(以下「FATF ベストプラクティス」という。)を公表した。

FATF ベストプラクティスでは,複数の情報源(登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach),会社を情報源とする手法(the CompanyApproach),既存の情報源を活用する手法(the Existing InformationApproach))を組み合わせることが,法人が犯罪目的で悪用されることを防止し,法人の実質的支配に関する透明性を十分に確保するための方策を実施するために効果的であるとして,推奨されている。

登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach)とは,法人の登録機関において,法人の実質的支配者に関する最新の情報を取得し保持するものである。

会社を情報源とする手法(the Company Approach)とは,会社に,株主又は構成員のリストを保持し,更新することにより,当該会社の実質的支配者に関する最新の情報を取得し保持することを求めるものである。

既存の情報源を活用する手法(the Existing Information Approach)とは,法人の実質的支配者を特定するために当該法人の実質的支配に関して収集された既存の情報を活用するものである。

4 我が国においては,法人の実質的支配者を把握するためには,公証人が定款認証を行う際に嘱託人に対し設立される株式会社等の実質的支配者となるべき者の申告を求める取組を行っており,この取組は FATF ベストプラクティスに取り上げられるなど国際的にも評価を受けている。また,犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成 19 年法律第 22 号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)の下で,金融機関を始めとする特定事業者(犯罪収益移転防止法第2条第2項に規定する特定事業者をいう。以下同じ。)が顧客の実質的支配者を確認する取組を行っている。

その上で,法人の設立後の継続的な実質的支配者の把握については更なる取組を行う必要があり,この点に関しては,権限ある当局が更新された法人の実質的支配者情報にアクセスできるようにすることは,国際的要請であり(勧告 24 参照),また,一般社団法人全国銀行協会が加盟行に対して行ったアンケートにおいても,法人の設立後の継続的な実質的支配者の把握,実質的支配者情報の登記事項への追加,金融機関による登録されている実質的支配者情報への直接のアクセス等を実現するための取組を行うことを求める意見が多かった。

5 法人の実質的支配者の把握に関する国際的動向をみると,欧州では,2015年の EU 指令(2015/849)により,加盟国には,①加盟国内で設立された会社等の法人に,自己の実質的支配者について,正確,最新かつ十分な情報を取得し保持することを義務付けること及び②実質的支配者情報へのアクセスを容易にするために,これらの法人の実質的支配者に関する情報を集める一元的な登録機関を設立することなどが求められている。

さらに,2018 年の EU 指令(2018/843)により,加盟国には,実質的支配者情報へのアクセス権者を拡大することや,実質的支配者の確認義務者に自己の情報と登録情報との齟齬を発見した場合の登録機関への報告義務を課すことなどが求められている。

イギリス(EU 加盟当時),ドイツ,フランス等の EU 加盟国等では,これらの EU 指令に沿った取組が行われており,既に FATF の第4次相互審査(審査結果は 2018 年 12 月公表)を受けているイギリスは,勧告 24 及び IO5について,高い評価を受けている。イギリスは,2007 年の第3次相互審査においては,現在の勧告 24 に相当する当時の勧告 33 に関して PC の評価を受けていた(当時 IO の指標はなかった。)が,2018 年の第4次相互審査では,勧告 24 に関して LC の評価を,直接的効果5に関して Substantial の評価を受けている(※)。なお,日本は,2008 年の第3次相互審査において,当時の勧告 33 について NC の評価を受けている。

※ 勧告の評価は,上から,C(Compliant), LC(Largely Compliant), PC(PartiallyCompliant), NC(Non-Compliant)の4段階。

勧告 24 に関しては,C の評価を受けた国は未だ存在せず,実際に与えられた評価の中では LC が最も高い評価となっている。

直接的効果の評価は,上から,High, Substantial, Moderate, Low の4段階。

これに対し,アメリカでは,連邦,州いずれのレベルにおいても実質的支配者情報の登録制度は存在しないようである。

欧州各国及びアメリカの制度の概要は次のとおりである。

※「BO」は,実質的支配者の略。

「R24」は,勧告 24 の略。

「IO5」は,直接的効果5の略。

6 以上の情勢に照らし,設立後の法人の実質的支配者の継続的な把握に関する取組を行うため,商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進について検討を行うことは有益であると考えられたことから,法務省民事局長によって本研究会が立ち上げられ,財務省及び金融庁からもオブザーバー参加を得て会合が行われた。

第2 議論の前提及び検討課題

1 議論の前提

(1) 顧客の実質的支配者の確認に関する犯罪収益移転防止法の枠組み

特定事業者は,顧客等との間で特定取引等を行うに際して,当該顧客等が法人(国,地方公共団体,上場会社等を除く。)である場合には,当該顧客等の代表者等から申告を受ける方法によりその事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定めるもの(以下「実質的支配者」という。)の本人特定事項(氏名,住居及び生年月日)の確認を行わなければならないこととされている(犯罪収益移転防止法第4条第1項第1号,第4号,第5項,犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成 20 年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号。以下「犯罪収益移転防止法施行規則」という。)第 11 条第1項)。

そして,当該取引がなりすましの疑いのある取引,偽りの疑いのある取引,特定国等(イラン,北朝鮮)居住者等との取引,外国の重要な公的地位を有する者(PEPs)との取引といったハイリスク取引である場合には,特定事業者は,申告された実質的支配者と顧客との関係を株主名簿,有価証券報告書等の書類によって確認しなければならないこととされている(犯罪収益移転防止法第4条第2項,犯罪収益移転防止法施行規則第 14条第3項)。

実質的支配者の意義については,次のとおりである(犯罪収益移転防止法施行規則第 11 条)。なお,国,地方公共団体,上場会社等及びその子会社は,実質的支配者該当性の判断においては,自然人とみなされる(同条第4項)。

ア 顧客が株式会社等の犯罪収益移転防止法施行規則第 11 条第2項第1号に規定する資本多数決法人(以下「資本多数決法人」という。)の場合

次の①から④までのうちいずれかの者が実質的支配者となる。

① 当該法人の議決権の総数の2分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型①」という。)

② ①の者がいない場合において,当該法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型②」という。)

③ ①及び②の者がいない場合において,出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型③」という。)

④ ①から③までの者がいない場合には,当該法人を代表し,その業務を執行する自然人(以下「実質的支配者類型④」という。)

イ 顧客が資本多数決法人以外の法人の場合

次の①又は②の者が実質的支配者となる。

① 次の(A)又は(B)の者が実質的支配者となる

(A) (a)又は(b)の者が実質的支配者となる。

(a) 当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の2分の1を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人

(b) (a)の者がいない場合において,当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の4分の1を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人

(B) 出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人がある場合には,当該自然人

② ①の者がいない場合には,当該法人を代表し,その業務を執行する自然人

(2) 金融庁マネロンガイドラインの枠組み

金融庁が平成 31 年4月に作成した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下「金融庁マネロンガイドライン」という。)においては,金融機関による顧客管理における実質的支配者の確認に関して,「顧客及びその実質的支配者の本人特定事項を含む本人確認事項,取引目的等の調査に当たっては,信頼に足る証跡を求めてこれを行うこと」とされている。

そして,この「信頼に足る証跡」に関して,何を,いかなる方法で確認・勘案すべきかについては,最低水準を画一的に全ての顧客に当てはめるのではなく,リスクが高い場合についてはより深く,証跡を求めて確認を行うなど,リスクに応じた対応を図るべきであると考えられている(金融庁マネロンガイドラインに関するパブリックコメントの結果である「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」15 頁参照(※))。

※ https://www.fsa.go.jp/news/30/20180206/gaiyou.pdf

(3) 銀行による顧客の実質的支配者の確認の実務

銀行による顧客の実質的支配者の確認は,次のとおり,犯罪収益移転防止法の枠組みに沿って行われている。

ア 犯罪収益移転防止法第4条第2項のハイリスク取引の場合

ハイリスク取引の都度,実質的支配者の本人特定事項については申告にもとづいて,実質的支配者と顧客との関係については,株主名簿や有価証券報告書等の法令に定められた書類によって確認されている。

イ 通常の特定取引の場合

実質的支配者の本人特定事項及び実質的支配者と顧客との関係について,顧客の申告に基づき確認されている。

なお,通常の特定取引の場合であっても,各銀行は,その運用の中で,取引開始時や継続的顧客管理の中で,実質的支配者と顧客との関係や,実質的支配者の本人特定事項について,リスクに応じて信頼に足る証跡となる資料を確認することがある。

(4) 公証人の行う定款認証における実質的支配者となるべき者の申告

株式会社等の法人を設立する際に,公証人が行う定款認証において,起業者(嘱託人)は,公証人に対し,当該株式会社等の実質的支配者となるべき者及びその者の暴力団員等への該当性を申告するものとされている(公証人法施行規則(昭和 24 年法務府令第9号)第 13 条第4項)。

公証人は,申告された実質的支配者について,定款その他の資料によってその実質的支配者の該当性を判断するとともに,当該実質的支配者が暴力団員等に該当していないかを確認し,また,申告された実質的支配者の実在性等を本人確認の書面により確認している。

また,公証人は,定款認証後に,嘱託人の求めに応じて,嘱託人から受けた申告の内容及びその内容を審査した結果嘱託拒否事由が認められないと判断して定款を認証した旨を証明する「申告受理及び認証証明書」を発行している。

(5) 商業登記所

商業登記の事務については,当事者の営業所の所在地を管轄する(登記事務委任されている場合を含む。)法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が登記所としてつかさどっており(商業登記法(昭和 38 年法律第 125 号)第1条の3),この登記所がいわゆる商業登記所である。商業登記所は,令和2年6月1日時点で,全国に 84 箇所存在する。

設立後の法人の基礎的な情報は,商業登記所に登記されており,当該業務を担う登記官は,商業・法人登記の分野において高度な専門性を有している。

2 検討課題

本件研究会の課題は,商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進策として,法人の申出により,商業登記所が,当該法人が作成した実質的支配者リスト(実質的支配者について,その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいう。)について,所定の添付書面によりその内容を確認して写しを作成し,写しであることの認証を付す制度(以下「本制度」という。)を創設することについて,その必要性及び制度の内容について検討を行うものである。

検討課題に関する論点は次のとおりである。

(1) 本制度を創設する必要性

ア 国際的には,EU 加盟国等の制度のように,法人,実質的支配者,実質的支配者情報の確認義務者などに一定の義務を課し,実質的支配者情報を登録機関に集め,その正確性を確保するものもある中で,法人が任意に利用することを前提とした本制度は,利用を見込むことができるか。

イ 本制度は,どのような場面で利用されることが想定されるか。

(2) 本制度の対象

ア 本制度を利用することができる法人について,資本多数決法人である株式会社及び特例有限会社のみを対象とすることについてどのように考えるか。

イ 本制度の対象とする実質的支配者の類型について,商業登記所の業務に馴染む種類の書面による審査が可能である実質的支配者類型①及び実質的支配者類型②のみを対象とし,また,株主が外国会社である場合を制度の対象としないことについてどのように考えるか。

(3) 実質的支配者リストの写しを発行する事務のフロー

本制度について,次の事務フローとすることについてどのように考えるか。

① 本制度を利用しようとする法人(以下「申出法人」という。)が実質的支配者リストを作成し,所定の添付書面とともに商業登記所の登記官に提出し,実質的支配者リストの保管及び写しの交付の申出をする。

② 申出を受けた登記官は,添付書面及び商業登記所の保有する情報等に基づき実質的支配者リストの内容を調査し,それらの内容が合致していることを確認したときは,実質的支配者リストをスキャンして保管するとともに,申出法人について,実質的支配者リストが保管されている旨を登記簿に付記し,その上で,当該法人に対し,実質的支配者リストの写しに登記官が写しであることの認証を付したものを交付する。

(4) 申出された実質的支配者情報の正確性を確認する方法

ア 申出された実質的支配者について,実質的支配者の該当性を確認するために,どのような添付書面の提出を求めるべきか。

- 現在の銀行の顧客の実質的支配者確認の実務を参考に,株主名簿の写し,確定申告書(法人税)別表二の明細書の写し,公証人の発行する申告受理及び認証証明書等の提出を求める考え方(案①)や,

これまでの銀行実務とは異なる確認方法によることとし,第三者が証明を付した株主名簿の写し等の提出を求める考え方(案②)があり得るが,いずれの考え方に拠るべきか。

- 実質的支配者が法人の議決権を間接に保有する場合において,上位会社及び実質的支配者の協力が得られない場合の取扱いをどのようにすべきか。

 

- 申出された実質的支配者の本人確認の書面の提出を求めるべきか。

イ 虚偽の申出がされた場合の制裁としては,どのようなものが考えられるか。

(5) 実質的支配者リストの記載事項

実質的支配者リストには,いかなる事項を記載すべきか。

(6) 本制度を利用する法人の理解を促進する方法

本制度が法人の実質的支配者把握のための効果的な制度として機能するためには,本制度を利用する法人の間に本制度に関する理解が広まり,十分に利用されることが必要であるところ,そのような理解を促進する方法としてどのようなものが考えられるか。

(7) 想定される実質的支配者リストの写しの需要の大きさ

本制度は,どのような法人が,どのような場面,頻度で利用することが想定されるか。

(8) 商業登記所で管理する実質的支配者情報へのアクセス

実質的支配者リストは,個人情報を含むものであり,申出法人のみが交付を請求することができる制度とすることはいかがか。

(9) 根拠法令

本制度については,法務省令に規定を設けることとしてはいかがか。

(10) その他将来の課題

本制度は,まずは,来年度中を目途に実施することができる事項について,迅速に導入することが考えられるが,その後の将来の課題としては更にどのようなものが考えられるか。

第3 議論の取りまとめ

1 本制度開始時の本制度の在り方

(1) 本制度を創設する必要性

ア 登録機関を情報源とする手法を整備する必要性

法人の実質的支配者の把握については,前述のとおり,国内外から要請されている。我が国においては,特定事業者が個別に顧客の実質的支配者の確認を行っている。また,公証人が定款認証を行う際に,設立される株式会社等の実質的支配者となるべき者及びその暴力団員等への該当性について確認を行っており,この取組については,FATF ベストプラクティスに取り上げられるなど国際的にも評価を得ている。

他方で,前記第1の5掲記の EU 加盟国等の取組等の先進的な他国の取組と比較すると,法人設立後の一元的かつ継続的な実質的支配者の把握が課題として残されていることがうかがわれ,そのような課題への取組を行うことについては,銀行業界からも要請されている。

本制度は,上記課題について,商業登記所による取組を行うものであり,前記第1の3掲記の三つの手法のうち登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach)に該当し,法人の実質的支配者情報の把握に関する確度と精度を高める取組として,我が国における他の手法による取組と相まって,国際的にも,前向きな施策として受け止められ得るものである。

本制度は,法人が自己の実質的支配者を証明するために適宜利用することができるほか,銀行が顧客の実質的支配者を確認する際に,顧客の申告内容の正確性を確認するための資料として,必要に応じて,提出を求めるという形で利用することも可能となる。そこで,国内の銀行業界からも,顧客の実質的支配者を確認する際の「信頼に足る証跡」として実質的支配者リストの写しを利用することができるようになることにより,実質的支配者の確認の信頼性が高まることが期待されている。

イ 商業登記所を登録機関とする必要性

商業登記所は,法人の基礎的な情報を登記する業務(商業・法人登記)を担う機関であり,当該業務を担う登記官は,商業・法人登記の分野において高度な専門性を有しているため,商業登記所は,設立後の法人の実質的支配者情報の継続的な把握を行う機関として適していると考えられる。

商業登記所の登記官が実質的支配者リストの写しを発行する際に確認する添付書面について,現在各銀行がそれぞれ行っている実質的支配者の確認において各顧客ごとに個別に提出を求めている書面を参考に定めることとした場合にも,専門性を有する商業登記所の登記官が実質的支配者情報を確認するハブとなって統一的な添付書面をもって判断を行うことにより,個々の金融機関が窓口でその都度確認を行っている現状に比べ,運用の統一性及び一定レベルの判断水準が担保されることにより信頼性が向上するとともに金融機関及び顧客の負担が軽減し,社会全体のコストが低減するとともに,取引がより迅速に行われる効果が期待される。

ウ 小括

本制度は,法人が任意に利用することを前提とする制度であり,EU 加盟国等の制度のように関係当事者に義務を課すものではないが,後述のとおり,我が国における実質的支配者把握の仕組み全体の中で適切に位置付けられることにより,法人の実質的支配者の確認の信頼性を高めるものであり,本制度を導入することの意義は大きいと考えられる。

(2) 本制度の対象

ア 制度の対象となる法人の種類及び実質的支配者の類型

本制度は,商業登記所による新たな取組であり,また,一般的に商業登記所は,その業務に馴染む種類の書面による審査により行うことができる業務を担う機関であると考えられてきたことに照らし,まずは,資本多数決法人である株式会社及び特例有限会社のうち,その実質的支配者が実質的支配者類型①及び実質的支配者類型②であるものを対象とし,また,株主が外国会社である場合を対象としないこととして開始するという進め方は,適切であると考えられる。

他方で,合同会社等の資本多数決法人以外の法人,株式会社及び特例有限会社のうち実質的支配者が実質的支配者類型③又は実質的支配者類型④のもの,株主が外国会社であるものについても,実質的支配者の一元的かつ継続的な把握が課題であることは同様である。

そこで,本制度の対象外となった法人や実質的支配者の類型については,将来の課題として,本制度導入後の運用状況も踏まえて,その在り方について検討を行うことが相当である。

その際には,登記所の業務は,一般的に,その業務に馴染む種類の書面による審査により行うものとされているところ,資本多数決法人以外の法人の実質的支配者の確認については,貸借対照表や損益計算書等の収益の配当や財産の分配の状況を明らかにする資料を確認する必要があり,また,最初の段階の審査で,出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有する自然人の有無を確認する必要があることなどから,より実体的な審査が必要になるものの,書面による審査は可能であることなども考慮して,登記所の業務に適するか否か,また,仮に適さない場合にはどのような機関が担うべきであるかなどを含め検討を行う必要がある。

イ 本制度の対象となる取引の類型

本制度は,犯罪収益移転防止法第4条第2項のハイリスク取引,通常の特定取引のいずれの類型の取引についても利用することが可能である。

(3) 実質的支配者リストの写しを発行する事務フロー

実質的支配者リストの写しの発行の事務フローに関し,第2の2(3)掲記のとおり,申出法人が作成した書面について登記官がその正確性を添付書面により確認するものとすることは,一般的な商業登記の事務フローとも整合するものである。

また,登記官が申出のあった実質的支配者リストをスキャンして保管することについても,商業登記所において,実質的支配者情報を保管するものであり,実質的支配者を継続的に把握する観点から効果的な取組であると考えられる。

さらに,登記官が,申出法人について,実質的支配者リストが保管されている旨を登記簿に付記することについても,後述のとおり,本制度の利用を促進する効果があると考えられる。

(4) 申出された実質的支配者情報の正確性を確認する方法

申出の際に申出法人から提出される実質的支配者リストの正確性を登記官が確認する方法については,現在の銀行の顧客の実質的支配者確認の実務を参考に,株主名簿の写し,確定申告書(法人税)別表二の明細書の写し,公証人の発行する申告受理及び認証証明書等の提出を求める考え方(案①)を採用すべきである。

その上で,実質的支配者が法人の議決権を間接に保有する場合における実質的支配者と法人の関係や,実質的支配者の本人特定事項に関する確認の在り方については,実務上のニーズにも照らしながら,引き続き検討を行うべきである。

申出法人が虚偽の資料を用いるなどして申出を行った場合には,個別の事案に応じて,関係法令に基づき制裁が科され得る。例えば,申出法人が株主名簿に虚偽の記載をした場合には,会社法(平成 17 年法律第 86 号)第 976 条第7号の規定により 100 万円以下の過料に処せられることになる。

(5) 実質的支配者リストの記載事項

実質的支配者リストは,犯罪収益移転防止法の枠組みの下で金融機関等の特定事業者が顧客の実質的支配者について確認し,確認記録として一定期間保存しなければならない事項を網羅している必要があり,次の事項を記載することが相当である(別添実質的支配者リストサンプル参照)。

- 申出法人の商号,本店所在地,会社法人等番号

- 実質的支配者情報を確認した時点

- 作成者

- 実質的支配者の該当事由

- 実質的支配者の本人特定事項として,氏名(及びふりがな),住居,国籍等,生年月日,性別

- 実質的支配者が有する申出法人の議決権割合及び間接保有の有無

- 実質的支配者が申出法人の議決権を間接保有する場合には,支配関係図

- 実質的支配者該当性に関する添付書面の種類

- 実質的支配者の本人確認の書面の種類

(6) 本制度を利用する法人の理解を促進する方法

本制度については,法人が自己の実質的支配者を証明するために利用することができるほか,銀行が顧客の実質的支配者を確認する際に,顧客の申告内容の正確性を確認するための資料として,顧客に実質的支配者リストの写しの提出を求めるという形で利用されることが想定されているところ,そのような運用を行うためには,銀行の顧客による本制度の理解を深めることが重要である。

この点に関しては,まず,前記第3の1(3)掲記のとおり,本制度を利用した法人については,実質的支配者リストが保管されている旨が登記簿に付記され,登記事項証明書にもその旨を記載することを想定しているため,申出法人は,金融機関以外の当事者と取引を行う際に,取引の相手方から,求めがあれば実質的支配者リストの写しを提出することのできる透明性の高い会社であると認識される。そのため,その信頼性が向上するという事実上の利点を当該法人が享受し得るものであり,このことにより,一定程度本制度の意義についての理解が広まると考えられる。

さらに,銀行の顧客の理解を促進するためには,本制度が,我が国における実質的支配者情報把握の仕組み全体の中で適切に位置付けられることが重要である。そこで,今後,金融庁マネロンガイドラインを含め,我が国の仕組み全体の中で,本制度が適切に位置付けられるよう,銀行業界,金融庁と連携して更に検討を進めていくことが必要である。

また,本制度の意義について理解を広めるために,関係機関が連携して周知を行うことも必要であると考えられる。周知に当たっては,公的機関を装ったフェイクメール等によって利用者に被害が生ずるというような事態の発生を防止することにも留意すべきである。

(7) 実質的支配者リストの写しの利用が想定される場面

令和元年 12 月末時点の株式会社及び特例有限会社の数は約 345 万 5000社であるところ,本制度は,主に,これらの法人が,特定事業者と取引を行う際に利用することが想定される。

いかなる場合に実質的支配者リストの写しの提出が求められるかについては,特定事業者の運用に委ねられることとなるが,顧客との取引開始時や,継続的顧客管理を行う中で,公的機関による客観的かつ統一的な判断が必要となる場合等に求められることになると考えられる。

 

(8) 商業登記所で管理する実質的支配者情報へのアクセス

実質的支配者情報は,個人情報を含むプライバシー性の高い情報であることから,本制度の導入に当たっては,申出法人のみが交付を請求することができる制度とすることが考えられる。

その上で,将来的には,商業登記所の管理する実質的支配者情報へのアクセス権者の拡大について,本制度の運用状況もみながら,更なる制度改正を行うことを含め,検討を行うことが相当である。

(9) 根拠法令・施行時期

本制度については,まずは,法務省令により,令和3年度中を目途に,速やかに制度導入を実施することが相当である。

その上で,将来的には,本制度開始後の運用状況もみながら,より根本的な制度改正を行うことの要否についても検討を行うことが相当である。

2 本制度導入後の課題

本制度導入後の運用状況を踏まえつつ,次の事項について更に検討を行うことが相当である。

・ 資本多数決法人以外の法人に関する実質的支配者の把握の在り方

・ 株式会社及び特例有限会社の実質的支配者類型③及び実質的支配者類型④の実質的支配者の把握の在り方

・ 株主が外国法人である場合の実質的支配者の把握の在り方

・ 実質的支配者,実質的支配者が法人の議決権を間接に有している場合における上位会社,実質的支配者の確認義務者等から,実質的支配者情報の提供を受けることができる仕組みの在り方

・ 商業登記所の管理する実質的支配者情報へのアクセス権者の範囲

・ 商業登記所に保管される実質的支配者リストの保管の在り方

・ 実質的支配者変更の適時の把握の在り方

・ オンラインによる実質的支配者リストの保管及び写しの交付の手続の実施

・ 申出法人の申出内容に関する正確性の確認における,AI の導入等 IT 技術の活用

第4 おわりに

法人の実質的支配者を把握することは,国際的要請であり,各国は,知恵を絞り,リスクの評価,ビジネスの効率性,プライバシーの要請など,それぞれが置かれている異なる状況に適しており,かつ,より効果的な制度の実現に向けて取り組んでいる。また,我が国においてそのような取組を行うことは,金融機関が円滑に海外取引を行うための環境整備にも資するなど,我が国の企業による国際的な経済活動を支える制度的インフラを整備することにも資するものである。

本制度は,法人の実質的支配者を把握するための複数の手法のうち,我が国ではこれまで十分に活用されてこなかった,登録機関を情報源とする手法(theRegistry Approach)により,設立後の法人の実質的支配者の継続的把握という残された課題について取組を行うものであり,その意義は大きい。

今後,まずは,本制度を円滑かつ速やかに導入することが重要であり,その上で,本制度の運用状況や国際的動向もみながら,更なる取組に向けた検討を行っていくことが期待される。

 

Information on the effective ruler of a corporation in a commercial registryStudy Group on Grasping Promotion-Summary of discussions by experts-July 2nd Reiwa

Page 2

Information on the effective ruler of a corporation in a commercial registryExperts participating in study group on grasp promotion(Chair) Professor Waseda University College of Law Legal StudiesrockGen HaraProductGeneral corporate judicial person National Banking AssociationGeneral Manager of ComplianceAPartoneAttorney (The Second Tokyo etropolitan Attorneys Association)PieceMountainReachProfessor, Graduate School of Law and Politics, University of TokyoAdditionTakashi FujiJinHitotsubashi University Faculty of Education Research CourseMihoko KakudaJudicial scrivener (Kyoto Judicial Scrivener Association)WithinWisteriaTable.

3

1Domestic and international situation as the first background1 It is an international request to know the effective ruler of a corporation, and moneyEfforts are being made in each country from the viewpoint of preventing the financing of tendering/terrorism.ing.

In a country where such efforts are not adequately implemented,

Finances that companies, especially financial institutions, are counterparties of overseas transactionsInstitutions may be evaluated as high risk and transaction costs may increase.

It, Therefore, the financial institutions of each country are highly interested in the status of their efforts.doing.2 Money laundering/terrorist financing, including the understanding of the effective ruler of the corporation plays a major role in promoting international efforts regarding measures the FATF (Financial Activities Working Group).

The FATF announced in 1989 that the G7 Arsh SaIt is an intergovernmental framework that has been agreed to be established after receiving the Mitt Economic Declaration.Establish international standards and make member countries also promotes effective compliance and system construction.

The FATF provides a “comprehensive and coherent framework for Member States to observe.

The status of compliance by each country is subject to laws, enforcement measures,It will be evaluated from a technical perspective such as the powers and procedures of the competent authorities.

In addition, the FATF is responsible for dealing with money laundering/terrorism financing in each country.”Direct effect” (Immediate Outcome, IO), which is an index of effectiveness, was also created.

Each country is evaluated from this perspective.The main recommendations and direct effects regarding the grasp of the effective ruler of a corporation are: Recommendation 10, Recommendation 24, and Direct Effect 5 are listed, and the contents are as follows.

① Recommendation 10This Recommendation states that financial institutions may, in certain cases, take customer control measures.What is required and what is required of customer management including the following items: Is.“The beneficiary’s identity is confirmed and the financial institution determines who the beneficiary is.Rational steps to verify the identity of the beneficiary,

so that to take. This includes financial institutions that are legally and legally should also include understanding the ownership and management structure of the. “It should be noted that, according to Recommendation 22,

This obligation is subject to designated non-financial conditions under certain conditions.It will also apply to traders and professionals.

② Recommendation 24This Recommendation contains the following with regard to corporate transparency and true beneficiaries: It is a request for measures.”Countries prevent abuse of corporations for money laundering or terrorist financing2Measures should be taken to Each country has legal authority sufficient, accurate and timely information about the beneficial ownership and control of a person to obtain or access such information should be secured.

“The FATF also evaluates not only from the technical point of view but also from the perspective of effectiveness.

4The following indicators are set in relation to the grasp of the effective ruler.

③ Direct effect 5 (IO5)

Direct effect 5 is defined as follows.”Abuse of legal entities and legal arrangements for money laundering and terrorist financing information on the substantive ruler that is being prevented is also available to competent authorities. It is available without any problems.

“3 The FATF is committed to promoting efforts by countries to comply with Recommendation 24 in 2019.

In October 2010, “Introduction of recommended measures, etc.

Best Practices on Beneficial Ownership for legal Persons)” (hereinafter referred to as “FATF Best Practices”)It was the FATF best practices include multiple sources (registrativeMethod (the Registry Approach), a method using the company as the information source (the CompanyApproach), a method of utilizing existing information sources (the Existing InformationApproach)) can be used by a corporation for criminal purposes.

Measures to prevent and ensure sufficient transparency regarding the substantive control of corporations recommended as effective for implementation.

The Registry Approach is a method of registering a corporation. Acquire and maintain the latest information regarding the effective ruler of the corporation at the recording agency is something. The Company Approach is a method of making a company a shareholder.

Or by maintaining and updating the list of members, It seeks to obtain and maintain up-to-date information about distributors.

With the method of utilizing existing information sources (the Existing Information Approach)In relation to the substantive control of a corporation in order to identify the substantive ruler of the corporation.

It utilizes the existing information collected.4 In Japan, in order to know the actual ruler of a corporation, a notary public with a substantial ruler of a stock company, etc.

established for a trustee when the articles of incorporation are certified effort are being made to request the declarations of those who should be, and this is the FATF best plan.

Has received international acclaim, including being taken up by Curtis. Also crimeAct on Prevention of Revenue Transfer by Law (Law No. 22 of 2007.

 

3Profit Transfer Prevention Law”. ), a specific business operator such as a financial institution (criminalRefers to a specified business operator stipulated in Article 2, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Profit of Offense. same as below. )Is working to identify the actual ruler of the customer.

In addition, regarding the continuous grasp of the effective ruler after the establishment of the corporation, And the competent authorities have been updated in this regard.

Providing access to information about the effective substance of a corporation is an international requirement. (See Recommendation 24), and the General Bankers Association of JapanIn the questionnaire conducted by the grasping, adding substantial ruler information to the entry, registered by a financial institution take action to realize direct access to the information on the actual rulerThere were many opinions that asked for things.5.

Looking at international trends regarding the grasp of the effective ruler of a corporation, In accordance with the EU Directive (2015/849) of 2015, member countries are accurate, up-to-date, and sufficient information about the effective ruler of the corporation to obtain and retain information on the effective rulers of these legal entities is collected to facilitate the process.

It is required to establish a unified registration agency.

In addition, according to the 2018 EU Directive (2018/843), Member States expand the number of people who have access to information, and if you find any discrepancies between your information and your registration information, you will be required to report to the registration agency.

Is required. In the EU (when the EU joined), Germany, France, etc. Is being implemented in line with the EU Directive of the UK has received the inspection results (December 2018), and is recommended by Recommendation 24 and IO5.

It is highly evaluated. The United Kingdom is in the third round of mutual examination in 2007In this case, the PC is evaluated for Recommendation 33 at that time, which is equivalent to Recommendation 24 at present.

I had received it (there was no IO indicator at that time), but at the 4th mutual examination in 2018Evaluates LC for Recommendation 24 and Substantial for direct effect 5.

Has been evaluated (*). In addition, Japan wasTherefore, NC is evaluated for Recommendation 33 at that time.*The recommendations are evaluated from the top, C (Compliant), LC (Largely Compliant), PC (PartiallyCompliant), NC (Non-Compliant) 4 stages.

With regard to Recommendation 24, no country has received a C rating yet among the evaluations, LC has the highest evaluation.

The evaluation of the direct effect is from the top, High, Substantial, Moderate, and Low. On the other hand, in the United States, it is practical at both the federal and state levels.

 

further seems to be no registration system for ruler information. The outline of the system in each European country and the United States is as follows.

*”BO” is an abbreviation for the actual ruler.

“R24” is an abbreviation for Recommendation 24.

“IO5” is an abbreviation for direct effect 5.6 In light of the above situation, regarding the continuous grasp of the effective ruler of the corporation after its establishment order to make efforts to improve since it was considered to be beneficial to consider his study group was launched by the chairman and was also observed by the Ministry of Finance and the Financial Services Agency.A meeting was held with participation.

Assumption and subject of discussion assumptions of 1 discussion(1) Framework of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds for Confirmation of Substantial Ruler of CustomerWhen a specified business operator conduct specified transactions with a customer, etc.

Is a corporation (excluding countries, local governments, listed companies, etc.)Substantially managing the business by the method of receiving a report from a representative such as a customer what is specified by an ordinance of the competent ministry as having a relationship that allows control(Hereinafter referred to as “substantial ruler.”) Personal identification items (name, residence and year of birth)It is said that it is necessary to confirm the date and time (prevention of transfer of criminal proceeds).To prevent the transfer of profits by crime, Article 4,

Paragraph 1, Item 1, Item 1, Item 4, Item 5Law Enforcement Regulations (2008 Cabinet Office, Ministry of Internal Affairs, Ministry of Justice, Ministry of Finance, Welfare)Ministry of Labor, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Ministry of Economy, Trade and Industry, Ministry of Land, Infrastructure, and Transport Ordinance No. 1. Below “criminal proceeds

 

FiveTransfer Prevention Law Enforcement Rules”. ) Article 11, paragraph 1).

Then, the transaction concerned may be a transaction suspected of impersonation or a transaction suspected of being false.

By trade, transactions with residents of specific countries (Iran, North Korea), important foreign public and it is a high-risk transaction such as a transaction with a person with a position (PEPs), The Specified Business Operator shall use the shareholder list, It is supposed to be confirmed by documents such as securities reports(Article 4 Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds, Regulation No. 14 of the Enforcement Act on Prevention of Transfer of Criminal Profit)Article 3).

The significance of the effective ruler is as follows (prevention of transfer of criminal proceeds)Law Enforcement Regulations Article 11). In addition, the country, local public bodies, listed companies, etc. and their child associations company is considered to be a natural person in the determination of whether it is a substantial ruler (ArticleItem 4).

A. If the customer is a corporation, etc.In the case of a majority voting corporation (hereinafter referred to as a “majority voting corporation”)CombinedAny one of the following ① to ④ becomes the effective ruler.

① Direct or interim voting rights exceeding one-half of the total voting rights of the corporation.If there is a natural person who is recognized as having the contact person, Below, it is called “substantial ruler type ①”. )

(2) If there is no person (1), a quarter of the total voting rights of the corporation natural person who is recognized as having one or more voting rights directly or indirectly there is, the natural person concerned (hereinafter referred to as “substantial ruler type ②”)

③ If there is no person of ① and ②, investment, loan, transaction, and others recognized as having a dominant influence on the business activities of the corporation.If there is a natural person who is assigned (hereinafter, “substantial ruler type ③”)Say. )

④ If there is no person from ① to ③, represent the relevant corporation andNatural person who executes duties (hereinafter referred to as “substantial ruler type ④”)When the customer is a corporation other than the majority voting corporationThe following (1) or (2) will be the effective ruler.

① The following (A) or (B) will be the effective ruler(A) The person in (a) or (b) becomes the effective ruler.

(a) Revenue from the business of the corporation or total amount of property related to the business the right to receive a dividend of more than one half of theIf there is a natural person that is recognized as having the natural person,

(b) Revenue from the business of the corporation in the absence of person (a)6Or, the dividend of profit exceeding one-quarter of the total amount of property related to the business or a natural person who is recognized as having the right to receive the distribution of property there is, the natural person(B) Support the business activities of the corporation through investment, financing, transactions, and other relationships.

 

If there is a natural person recognized as having a co-ordinated influence, Natural person② If there is no person of ①, execute the business on behalf of the corporation.The natural person(2) Financial Services Agency Maneron Guideline Framework“Money laundering and terrorism,” created by the Financial Services Agency in April 2019.Guidelines for financing measures” (hereinafter referred to as “Financial Services Agency Manneron Guideline”. ), substantive control over customer management by financial institutions.

Regarding the confirmation of the person concerned, “a book that includes matters that identify the customer and his/her substantial rulerWhen investigating matters such as person confirmation items and transaction purposes, seek a reliable trail.

To do this.”And what is the method of confirming and confirming this “trustworthy trail”?As for whether to take this into consideration, apply the lowest standard uniformly to all customers.

Instead, go deeper when the risk is high and ask for a trail is thought that measures such as taking measures should be taken according to the risks (financial as a result of public comment on Agency Manerolon Guidelines, FSA’s approach to the outline and comments of the statement” on page 15 (*).* Https://www.fsa.go.jp/news/30/20180206/gaiyou.pdf

(3) Practice of confirmation of the actual control of the customer by the bank confirmation of the effective ruler of the customer by the bank is as follows.It is carried out according to the legal framework.In the case of high-risk transactions under Article 4, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal ProfitFor each high-risk transaction based on the declaration, regarding the relationship between the effective ruler and the customer,

Confirmed by legally required documents such as books and securities reports there is.In the case of normal specific transactions to identify the substance of the substance and the relationship between the substance and the customer this has been confirmed based on the customer’s declaration.In addition, even in the case of ordinary specific transactions, each bank at the beginning of transactions and in continuous customer management, the relationship between the actual ruler and the customer and the actual reliable evidence of the qualitative ruler’s identity, depending on the risk 7 May check the material that becomes.

(4) Declaration of a person who should be a substantial ruler in the certification of articles of incorporation by a notary public when establishing a corporation such as a stock company,

The contractor (subcontractor) becomes a substantial ruler of the stock company, etc.

with respect to the notary public.It is supposed to declare the appropriateness of the person to be a person who should be a person and the person who acts like a gangster.(Notarization Law Enforcement Regulations (Law Office Ordinance No. 9 of 1948) Article 13 Paragraph 4).

The notary shall based on the Articles of Incorporation and other materials, report the declared effective ruler.

And determine the appropriateness of the actual ruler, Confirm whether you are not a gangster, etc., and also report the actual ruler identity of the person is confirmed by a document confirming the identity.

In addition, the notary public shall, after certification of the articles of incorporation, accept the request from the contractor at the request of the contractor.

As a result of examining the contents of the filing declaration and its contents, the reason for refusal of the contract is not recognized.”Declaration acceptance and certification certificate” certifying that the articles of incorporation have been certifiedIssuing.

(5) Commercial registry office regarding the business of commercial registration, the location of the business office of the party is under the jurisdiction (registrationIncluding cases in which administrative work is delegated. ) Legal Affairs Bureau or District Legal Affairs Bureau or this these branch offices or their branch offices are in charge of registration (commercial registration Law (Law No. 125 of 1958), Article 1-3), this registration office is a business registry office. As of June 1, 2012, there are 84 commercial registration offices nationwide.

Exists here. The basic information of the corporation after establishment is registered in the commercial registry office, The Registrar in charge has a high level of expertise in the field of commercial/corporate registration.

There is.2 Examination subject task of this study group is to collect information on the effective ruler of a corporation in a commercial registry.

As a grip promotion measure, the commercial registration office created it by the request of the corporation.

Substantial Ruler List (Regarding the substantive ruler, refers to a document containing information regarding availability. ) According to the prescribed attachment system that confirms the contents, creates a copy, and certifies that it is a copy (below is called “this system” below. ) Of the need and systemThe, the contents will be examined.The issues on the issues to be examined are as follows.

(1) The necessity of establishing this system. Internationally, like the systems of EU member states, corporations, substantive rulers, We impose certain obligations on those who are required to confirm qualitative ruler information, and8In in some cases, the information is collected by the registration agency and the accuracy is ensured.

Is it possible to anticipate the use of this system on the premise of intentional use?In what situations is this system expected to be used?

(2) The target of this systemOh, about corporations that can use this system, we are capital majority corporationHow to target only limited stock companies and special limited liability companies?

Do you think(A) Regarding the types of substantive rulers covered by this system, the business of the commercial registry officeSubstantial ruler type that allows for a written examination that is familiar to the businessAnd substantive ruler type ② only, and the shareholders are foreign companiesWhat do you think about the case not being subject to the system?

(3) Workflow for issuing a copy of the Substantive Ruler ListHow do you think about this system as the next work flow?Ruka?

(1) The entity that intends to use this system (hereinafter referred to as the “application entity”) is actually an official ruler list and register it at the commercial registry with the attached documents.

Submit to the public office to request the storage and copy of the Substantive Ruler List.

(2) The Registrar who received the request is the attached document and information held by the Commercial Registry Office, etc.

The contents of the Substantive Ruler List based onIf it is confirmed that theIn addition to controllingIs added to the register, and on that basis, a substantial ruler is given to the corporation.

Deliver a copy of the list with a certificate of registration by the registrarIt(4) Method of confirming the accuracy of the requested Substantive Ruler InformationA. Confirming the applicability of a substantial controller regarding the proposed substantial controllerWhat kind of attachment should be requested in order to do so?-Refer to the current practice of confirming the effective control of the bank’s customers, and register the shareholder list.

A copy of the statement of final tax return (corporate tax) Appendix 2Approach (plan 1) for requesting acceptance of declaration and submission of certification certificate, It is assumed that the confirmation method is different from the conventional bank practice, and the third party there is a way of thinking (draft ②) of requesting the submission of a copy of a certified shareholder register.

Which idea should be used?– In cases where the effective ruler indirectly holds the voting rights of the corporation, What should be done when the cooperation of the subsidiary company and the actual ruler cannot be obtained? Should it be?

9-Should we ask for a written confirmation of the identity of the claimed Substantive Ruler?(A) What are the possible sanctions for making false statements?Is it done?

(5) Items to be included in the Substantive Ruler ListWhat should be included in the substance list?

(6) How to promote understanding of corporations using this systemThis system functions as an effective system for grasping the effective ruler of a corporation.To do this, understanding about this system will spread among corporations that use this system, Promote such understanding where it needs to be fully utilized what kind of method can be considered?

(7) The expected size of demand for a copy of the expected list of effective rulership corporation can be used by any corporation in any occasion and at any frequency.Is it supposed?

(8) Access to information on effective rulers managed by the commercial registry officeThe effective ruler list contains personal information and is only exchanged by the requesting corporation.How about having a system that allows you to request an attachment?

(9) Ground lawRegarding this system, how about making provisions in the Ordinance of the Ministry of Justice?

(10) Other future issuesThis system will first focus on the items that can be implemented by the end of next year.Therefore, it is possible to introduce it quickly, but as a future issue after that, it will be furtherWhat can you think of?

Summary of the third discussion1 Ideal way of this system at the start of this system(1) Necessity of establishing this systemThe need to develop a method that uses the registration agency like the information sources mentioned above, it is necessary to know the effective ruler of a corporation from Japan and overseas. Being contracted.

In Japan, a specific business operatorChecking the ruler. In addition, when the notary public certifies the articles of incorporation, To a person who should become a substantial ruler of a stock company and its gang members the FATF Ves.

It has been internationally acclaimed, such as being featured in industry practices.

On the other hand, in the case of other advanced compared with the efforts, It seems that grasping is left as an issue,

 

TenThe banking industry is also demanding that these measures be taken.

This system deals with the above issues by the commercial registry office.

Among the three methods described in the first 3 above, the method of using the registration agency as the information source.

Corresponding to the law (the Registry Approach)As an approach to improve the accuracy and precision of gripping, other methods in JapanIn combination with the efforts byIs possible.

This system can be used by corporations to prove their effective control.In addition, the bank can assist in identifying the customer’s effective control.If necessary, as a material for confirming the accuracy of the customer’s declaration content, It can also be used in the form of requiring submission.

Therefore, The banking industry is also using “a credible testimony” when identifying the actual ruler of a customer.So that a copy of the Substantive Ruler List can be used as a “trace” Is expected to increase the reliability of confirmation of the actual ruler. Has been.

The necessity of using the commercial registry as a registration agencyA commercial registry office is a business that registers basic information about a corporation (commercial/corporate registration)The Registrar who is responsible forSince it has a high degree of specialization, the commercial registry office is a corporation after its establishment.

Considered to be suitable as an institution that continuously grasps information on the actual ruleravailable.

When the Registrar of Commercial Registries issues a copy of the Substantive Ruler List, Regarding the attached document to be approved, the substantive support that each bank is currently carrying out.

Refer to the document that each customer is required to submit when confirming the distributorEven if it is decided to stipulateBecome a hub to confirm the information of the effective ruler with a uniform attachmentBy making a judgment, each financial institution confirms at the counter each time.

Compared to the current situation, operational uniformity and a certain level of judgment are guaranteed.

Will improve reliability and reduce the burden on financial institutions and customers.Reduce the cost of society as a whole, and the transactions can be carried out more quickly.The expected effect is expected.C SummaryThis system is based on the premise that corporations can use it voluntarily.

It does not impose obligations on related parties like the system of allies, but will be described later.

As shown in the figure, it is appropriate in the overall system for grasping the actual ruler in Japan. By placing it in the

 

11It is expected that the introduction of this system will be of great significance.

It(2) Target of this systemA. Types of legal entities subject to the system and types of effective rulership system is a new initiative by the commercial registry office, the registry office may conduct a written examination of a type that is familiar to its work.

In light of what has been considered to be the institution responsible for the work that can be done, first of all, Of the stock companies and special limited companies that are majority voting companies, Consider that the ruler is a substantive ruler type ① and a substantive ruler type ②.

Like an elephant, and also when the shareholders are foreign companies process of starting is considered appropriate.

On the other hand, corporations other than capital majority corporations such as joint-venture companies, corporations and special casesSubstantial ruler of the limited company is a substantive ruler type ③ or substantive rulerSubstantial ruler for type ④ and foreign shareholdersIt is also the case that the centralized and continuous grasp of the issue is an issue.

Therefore, regarding the types of corporations and substantive rulers who are not covered by this system, However, as a future issue, considering the operational status after the introduction of this system,It is considerable to examine the way of life.

At that time, the work of the registry office is generally a type of book familiar to the work.Since it is supposed to be carried out by face-to-face examination, For confirmation of the effective ruler of the outside corporation, see the balance sheet or income statement.

It is necessary to check the materials that clarify the status of dividend distribution and property distribution.

Necessary, and in the first stage of the examination, investment, financing, transactions and other relationshipsWhether there is a natural person who has a dominant influence on the business activities of the corporation throughTherefore, a more substantive examination is required.

However, in consideration of the fact that a written examination is possible, Whether it is suitable for work, and if it is not, what kind of organizationIt is necessary to consider including whether it should be carried.B. Types of transactions covered by this system this system are for high-risk transactions under Article 4, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds, usually can be used for any type of specific transaction ofIt(3) Business flow for issuing a copy of the effective ruler list regarding the business flow for issuing a copy of the Substantive Ruler List, see 2(2)(2)As described above, the registrar must correct the accuracy of the document prepared by the applicant corporation.

It should be confirmed in the attached document that it is a general business registration office work flow.

 

12-It is also consistent with.In addition, the registrar scans and saves the list of effective rulers requestedAs for what to do, information on the effective ruler is stored at the commercial registry office.

And effective measures from the perspective of continuously grasping the actual ruler.It is believed that there is.

In addition, the registrar shall maintain a list of effective rulers for the proposed corporation.

Regarding the fact that the information is added to the register, as described below, It is thought to have the effect of promoting use.

(4) Method of confirming the accuracy of the requested Substantive Ruler InformationThe accuracy of the actual list of rulers submitted by the requesting corporation at the time of application is registered.

For information on how the clerk can confirm, see Determining Substantive Control of Current Bank Customers.

Copy of shareholder register, statement of final tax return (corporate tax), Schedule 2A copy of the document, acceptance of the declaration issued by the notary, and submission of a certification certificate method (plan 1) should be adopted.

In addition, if the effective ruler indirectly holds the voting rights of the corporation, The relationship between the effective ruler and the corporation, Regarding the way of confirmation, we will continue to check it in light of practical needs.

The debate should be done. If the applying corporation makes an application using false materials, etc.

Depending on the case, sanctions may be imposed in accordance with relevant laws and regulations. For example, the requesting corporationIs false in the shareholder registry, the Companies Act (Law No. 86 of 2005)According to the provisions of Article 976 No.7, fines of 1 million yen or less will be imposed.

It(5) Items to be included in the Substantive Ruler ListThe list of effective rulers is a financial institution under the framework of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds.

As a confirmation record, the specific business operator, etc., confirms the actual control of the customer.

It is necessary to cover the items that must be stored for a certain period of time.

It is appropriate to describe the matters (see the attached sample of substantial rulerSee).-Trade name of the requesting corporation, head office location, corporate corporation number, etc.-At the time of confirming the effective ruler information- Author-The reason for the effective ruler-Name (and furigana), residence, etc.Nationality, date of birth, gender-Proportion of voting rights of the proposed corporation owned by the effective ruler and whether or not there is indirect holding13-If the effective ruler indirectly holds the voting rights of the proposed corporation, engagement-Types of attached documents regarding eligibility as a substantial ruler-Type of the ment confirming the identity of the substantive ruler(6) How to promote understanding of corporations using this system this system is used by corporations to prove their own effective control.

In addition to the ability of the bank to identify the effective control of the customer, As a material for confirming the accuracy of the declaration content of the is expected to be used in the form of requesting a copy of the list.

However, in order to carry out such operations, the customer of the bank must manage the system.

It is important to deepen the solution.

Regarding this point, first of all, as described in the above 3(1)Regarding the corporations used, it is registered that the list of effective rulers is stored.

It is added to the book, and it is assumed that it will be stated in the entry certificate.

Therefore, the applying corporation, when conducting transactions with parties other than financial institutions, By hand, a copy of the Substantive Ruler List will be submitted if requested.

Recognized as a highly transparent company. Therefore, its reliability is improvedThe corporation can enjoy the de facto advantage of doing so.

By doing so, it is believed that understanding of the significance of this system will be spread to some extent.

Furthermore, in order to promote the understanding of bank customers, this system will be adopted in Japan.

Be properly positioned within the overall system for grasping the actual ruler information.

And are important. Therefore, in the future, including the FSA Mannion Guidelines, In order for this system to be properly positioned in the overall national structure, It is necessary to further study in cooperation with the Financial Services Agency.

Also, in order to spread the understanding of the significance of this system, related organizations will work together.

It is considered necessary to publicize the information. To inform, public institutionsIt is said that fake emails posing as users will cause damage to users.

Care should also be taken to prevent the occurrence of a situation.

(7) When it is assumed that a copy of the effective ruler list will be usedAs of the end of December 2019, the number of joint-stock companies and special limited companies was approximately 3,455,000.

As a company, this system is mainly based on the fact that these corporations deal with specified businesses. It is expected to be used when doing.

When is it required to provide a copy of the Substantive Ruler List?

Depending on the operation of the specific business, the transaction with the customer beginsAt times, and during ongoing customer management, objective and unified judgments by public institutions are made.It is considered that it will be required in cases such as where disconnection is required.

 

14(8) Access to information on effective rulers managed by the commercial registry officeSubstantial ruler information is information with high privacy including personal information.

Therefore, when introducing this system, only the requesting corporation requests the grant.It is conceivable to have a system that allowsIn addition, in the future, it will be necessary to access information on the actual ruler controlled by the commercial registry office.

With regard to the expansion of access rights, further system reforms will be carried out while checking the operation status of this system.

It is considered to conduct a study, including to perform positively.

(9) Basis law and enforcement time regarding this system, first of all, by the Ordinance of the Ministry of Justice, aiming for the middle of the third year of Reiwa,It is reasonable to introduce the system promptly.

On top of that, in the future, while seeing the operational status after the start of this system,It is also appropriate to consider whether or not it is necessary to revise the system.

2 Issues after introducing this system based on the operational status after the introduction of this system, the following items will be further examined.

It is considerable.

・How to grasp the actual ruler regarding corporations other than capital majority corporations・Substantial ruler type ③ and practical ruler types of stock companies and special limited liability companies to grasp the actual ruler of type ④・How to grasp the actual ruler when the shareholders are foreign corporations・In the case where the effective ruler has the voting right of the corporation indirectly information on the actual ruler is sent from the higher-ranking company in theHow to be able to receive the provision-Scope of persons who have access to the information on the actual rulers managed by the commercial registry・How to store the list of effective rulers stored in the commercial registry・How to grasp the change of the effective ruler in a timely manner・Online procedures for storing and issuing a copy of the Substantive Ruler ListImplementation・IT technology, such as the introduction of AI, in the confirmation of the accuracy of the contents of the requesting corporation.

Use of surgeryFourth conclusionIt is an international requirement to know the substantive ruler of a corporation, and each country has to limit its wisdom.

Risk assessment, business efficiency, privacy requirements, etc.To achieve a more effective system that is suitable for different situations.Are working together. In addition, it is imperative for financial institutions to make such efforts in Japan.It contributes to the improvement of the environment for smooth overseas transactions, and15It also contributes to the development of institutional infrastructure that supports interdisciplinary economic activities.

This system is one of the multiple methods for grasping the effective ruler of a corporation in Japan.A method that uses a registration agency as an information source, which has not been fully utilized until now (theRegistry Approach) to continuously grasp the actual ruler of the corporation after establishmentThe remaining issues will be addressed and their significance will be great.

In the future, first of all, it is important to introduce this system smoothly and promptly.

Then, while looking at the operating status of this system and international trends, we will study for further efforts.Expected to continue.

取締役会議事録と電子署名

商業登記規則第102条第5項第2号(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する法務大臣が定める電子証明書について

法務省HP 2020年6月17日閲覧

第3 電子証明書の取得

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html#05

  • 添付書面情報作成者が印鑑提出者でない場合
  • 添付書面に市町村の印鑑証明書が必要とされているもの・添付書面に認証者の認証が必要とされている場合の,認証者に関するもの

上の2つの条件を満たす場合、下の企業が提供するクラウド型電子契約サービスを利用することが出来ます。

・「Cybertrust iTrust Signature Certification Authority」

(サイバートラスト株式会社)

(弁護士ドットコム株式会社が被認証者になっているものに限る。)

https://www.cloudsign.jp/media/20200615-syougyoutouki/

・「GlobalSign CA 2 for AATL」

(GMOグローバルサイン株式会社)

(添付書面情報作成者本人又はGMOクラウド株式会社が被認証者になっているものに限る。)

私は未だ利用したことがなく、商業登記でクラウド型電子認証の施された取締役会議事録が持ち込まれたこともありません。

サイトを読む限りですが、順序を想定します。

例:取締役会議事録の場合

  • 取締役会を開催して議事録を作成する。
  • 作成された議事録をPDF化して、1人の取締役が、各取締役のメールアドレスを記載し、サービス提供者に送る。
  • サービス提供者は、各取締役のメールアドレスにPDF化された取締役会議事録を閲覧することが出来るURLを送信する。
  • 各取締役は、内容を確認後に押印(ワードの文字入り図形のようなもの)する。
  • 全ての取締役の押印が完了したら、サービス提供者が電子署名及び認証業務に関する法律による電子署名(オプションとしてタイムスタンプもある)を行う。
  • サービス提供者は、自社のクラウド(データセンター・サーバー)に取締役会議事録を保存し、各取締役が確認、保存出来る状態にする。

司法書士に持ち込まれた場合

  • 企業から、取締役会議事録とサービス提供者の電子証明書が、メールか印刷された形で提出される。
  • 確認後、他に必要な情報があれば作成・収集し、押印か電子署名を求める。委任状には、企業が電子署名及び認証業務に関する法律による電子署名による電子署名を行う。
  • 申請用総合ソフトを使用して登記申請する。

というような形になると思います。

株券を発行する旨の定款の定めの廃止

株券を発行している株式会社が、株券を発行しない株式会社に変更する場合、定款に定められた方法による公告と、株主などに対する通知が必要です[1]

例 官報の場合(縦書き)

定款変更につき通知公告

 当社は、○○年○○月○○日付で株券を発行する旨の定款の定めを廃止することに致しましたので公告します。

 ○○年○○月○○日

 本店の場所

株式会社○○ 代表取締役 ○○

インターネット版官報のご利用にあたって

https://kanpou.npb.go.jp/guidance.html

プラス 株主名簿上の株主に対する通知(同じ内容)。

・株券提供公告(会社法219条[2])は必要か

「株主が、会社に株券を返す公告も必要じゃないか。」と質問されました。

株主が、会社に株券の提供をお願いする公告は必要ありません。会社法219の要件に当てはまらないからです。


[1]

(株券を発行する旨の定款の定めの廃止)(Abolition of Provisions of Articles of Incorporation That Share Certificates Be Issued)

第二百十八条 株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。

Article 218 (1) If a Share Certificate-Issuing Company intends to effect an amendment to the articles of incorporation to abolish provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes), it must give public notice of the following matters, and give separate notice thereof to each shareholder and each Registered Pledgee of Shares no later than two weeks prior to the day on which such amendment to the articles of incorporation takes effect:

一 その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨

(i) a statement to the effect that the Stock Company abolishes the provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes);

二 定款の変更がその効力を生ずる日

(ii) the day on which the amendment to the articles of incorporation will take effect; and

三 前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨

(iii) a statement to the effect that the share certificates of such Stock Company become invalid on the day provided for in the preceding item.

2 株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。

(2) Share certificates representing the shares of a Share Certificate-Issuing Company become invalid on the day provided for in item (ii) of the preceding paragraph.

3 第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、同項第一号及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。

(3) Notwithstanding the provisions of paragraph (1), in cases where a Share Certificate-Issuing Company that does not issue share certificates for any of its shares intends to effect an amendment to the articles of incorporation to abolish provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes), it is sufficient to notify the shareholders and Registered Pledgees of Shares of the matters listed in item (i) and item (ii) of that paragraph no later than two weeks prior to the day provided for in item (ii) of that paragraph.

4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(4) A public notice may be substituted for the notice under the provisions of the preceding paragraph.

5 第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。

(5) In the cases provided for in paragraph (1), pledgees of shares (excluding Registered Pledgees of Shares) may, no later than the day immediately preceding the day provided for in item (ii) of that paragraph, demand that the Share Certificate-Issuing Company state or record the matters listed in each item of Article 148 in the shareholder register.

[2]

(株券の提出に関する公告等)(Public Notice in Relation to Submission of Share Certificate)第二百十九条 株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(第四号の二に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下この条において「株券提出日」という。)までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。

Article 219 (1) In cases where a Share Certificate-Issuing Company carries out an act listed in the following items, it must, more than one month prior to the day when such act takes effect (in cases of performing the act listed in item (iv)-2, the Acquisition Day prescribed in Article 179-2, paragraph (1), item (v); hereinafter the day is referred to as the “Share Certificate Submission Day”), give public notice to the effect that share certificates representing the shares provided for in each of such items be submitted to such Share Certificate-Issuing Company before the Share Certificate Submission Day, and a separate notice to such effect to each shareholder and each Registered Pledgee of Shares thereof; provided, however, that this does not apply in cases where the Share Certificate-Issuing Company does not issue share certificates for any of its shares:

一 第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)

(i) amendments to the articles of incorporation to create provisions of the articles of incorporation with respect to the matters listed in Article 107, paragraph (1), item (i): All shares (or, for a Company with Class Shares, the class shares that have provisions with respect to such matters);

二 株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)

(ii) consolidation of shares: All shares (or, for a Company with Class Shares, the class shares under Article 180, paragraph (2), item (iii));

三 第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式

(iii) acquisitions of Shares Subject to Class-Wide Call provided for in Article 171, paragraph (1): Such Shares Subject to Class-Wide Call;

四 取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式(iv) acquisitions of Shares Subject to Call: Such Shares Subject to Call;

四の二 第百七十九条の三第一項の承認 売渡株式

(iv)-2 approval set forth in Article 179-3, paragraph (1): Shares Subject to the Cash-Out;五 組織変更 全部の株式

(v) Entity Conversion: All shares;

六 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式(vi) Merger (but only if the Stock Company disappears in the merger): All shares;

七 株式交換 全部の株式

(vii) Share Exchanges: All shares;

八 株式移転 全部の株式(viii) Share Transfers: All shares.

2 株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、株券提出日までに当該株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該株券の提出があるまでの間、当該行為(第二号に掲げる行為をする場合にあっては、株式売渡請求に係る売渡株式の取得)によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。

(2) In cases where a Share Certificate-Issuing Company performs the acts listed in the following items, if a person fails to submit the share certificates to the Share Certificate-Issuing Company by the Share Certificate Submission Day the person specified in each of those items may refuse to deliver Monies, etc. to the shareholders of the shares pertaining to the share certificates by that act (in cases of performing acts listed in item (ii), acquisition of Shares Subject to Cash-Out pertaining to Demand for Cash-Out) until the share certificates are submitted:

一 前項第一号から第四号までに掲げる行為 当該株券発行会社

(i) acts listed in the items (i) through (iv) of the preceding paragraph: the Share Certificate-Issuing Company;

二 第百七十九条の三第一項の承認 特別支配株主

(ii) approval set forth in Article 179-3, paragraph (1): Special Controlling Shareholders;三 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社

(iii) Entity Conversion: Membership Company after Entity Conversion prescribed in Article 744, paragraph (1), item (i);

四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社

(iv) merger (but only if the Stock Company disappears in the merger): the Company Surviving the Absorption-type Merger as prescribed in Article 749, paragraph (1) or the Company Incorporated in the Consolidation-type Merger as prescribed in Article 753, paragraph (1);

五 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社

(v) Share Exchange: The Wholly Owning Parent Company Resulting from the Share Exchange as prescribed in Article 767; and

六 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社

(vi) share transfer: The Wholly Owning Parent Company Incorporated in a Share Transfer as prescribed in Article 773, paragraph (1), item (i).

3 第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。

(3) Share certificates representing the shares provided for in each item of paragraph (1) become invalid on the Share Certificate Submission Day.

4 第一項第四号の二の規定による公告及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。(4) The cost of public notice and notice pursuant to the provisions of paragraph (1), item (iv)-2 is paid by the Special Controlling Shareholder.

バーチャルオンリー型取締役会という言葉

バーチャルオンリー型取締役会とは、何のことなんだろう、と思っていたらzoom(テレビ電話会議システム[1])等を用いて行う取締役会のことのようです。

バーチャルオンリー型取締役会は適法に開催可能か?

https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/e3eee243817bc958d7133dd62883595d

 取締役会議事録に開催場所を記載する必要があることから(会社法施行規則会社法施行規則101条第3項第1号ニ)考える必要があるのかなと思いましたが、考える必要はないと感じます。

 そもそもzoomなどを使っていても、参加者は現実の場所にいるので、その場所をそれぞれ記載すれば良いからです。なので、バーチャルオンリー型取締役会というのは存在しないと考えられます。

バーチャルオンリー型取締役会は適法に開催可能か?

http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/archives/9602809.html

場所を「オンライン」と記載出来るか、というのも無理だと思います。取締役はオンライン上にいるわけではないからです。ほとんどの場合、モニターの前にいます。

会議を開催するには、最低1人以上の人が必要で、開催場所はその人に紐づいていると思います。
なので、開催場所を単に会議が行われた(ような)場所、と考えるとオンラインという記載や、議長のみ所在場所を記載するということも考えることが出来ます。

ハイブリッド出席型というのもあるようです。私はこれも無理だと思います。

議長のみ場所を書いても、他の取締役がどこにいるのか分からなければ、定足数に関わってきます。

上記の点よりも関心があることは、

  • 議事録に、出席者の音声が即時に他の出席者全員に伝わり、相互に適時的確な意見表明が可能な仕組みとなっていることを確認した。」のような文を入れること[2]
  • 取締役会をzoomなどで行うのであれば、取締役会議事録もデジタルで作成可能な環境を作って、必要な人には紙で渡せるようにすることだと思います。

[1] 登記研究662号p171

[2] 会社法369条4項ほか

合同会社の登記記録(仮訳)

Registration of the limited liability company
合同会社の登記
商号
Trade Name 合同会社横浜菓子本舗
Godo-kaisha Yokohamakashihonpo
本店
Location of the Head Office 横浜市戸塚区戸塚町20番地
20,Totsuka-Cho,Totsuka-ku,Yokohama-City
公告をする方法
Method of Public Notice 官報に掲載してする
Public notice of this Company shall be given in the Official Gazette
(Kampo).
会社成立の年月日
The date of the incorporation of the company 平成19年10月1日
October 1, 2007
目的
Business Purpose 1 和菓子の製造販売
1, Production and selling of Wagashi
2 上記に附帯する一切の事業
2, To act any and all lawful purposes incidental to the purposes set forth above.
資本金の額
Capital 金500万円
JY 5,000,000
社員に関する事項
The names of the Company’s Members, and the names and addresses of the Company’s Representative Members and the representative in Japan are;
業務執行社員 
The member who execute the business
甲野商事株式会社
Kounosyouji Kabushiki-kaisha
業務執行社員 
Th e member who execute the business
山田 太郎
Taro Yamada
横浜市中区山下町15番地
15,Yamashita-Cho,Naka-Ku,Yokohama-city
代表社員 
Representative Member
甲野商事株式会社
Kounosyouji Kabushiki-kaisha
横浜市中区山下町15番地
15,Yamashita-Cho,Naka-Ku,Yokohama-city
職務執行者
Executive Manager 
田中 次郎
Jiro Tanaka
登記記録に関する事項
Registration Record
設立Incorporation
平成19年10月1日登記
October 1, 2007 Recording