沖縄県司法書士青年の会第2回業務研修会2022.2.24(木)
宮澤智史司法書士
●空き家のままにしておくと…→ “負”動産に
●空き家(予備軍)を利活用(予防)すると…→“富”動産に
家族の未来・地域の未来のために我々が提案できることを一緒に考えていきましょう
負動産と富動産、分けるのは難しいのかなと感じました。
2なぜ空き家は問題なの?活用した方がいいそのワケとは?
(1)防災上の問題
(2)防犯上の問題
(3)環境衛生上の問題
(4)風景・景観上の問題
(5)行政上の問題
(6)お金の問題
長野県の空き家の状況
総務省の平成30年住宅・土地統計調査では長野県の空き家率は19.5%
全国平均は13.6%
順位は、1番の山梨県、2番の和歌山県に次いで3番目。
.長野県の5軒に1軒は空き家
沖縄県の空き家の状況
総務省の平成30年住宅・土地統計調査では沖縄県の空き家率は10.4%
順位は、47番の埼玉県に次いで46番目。
.沖縄県の10軒に1軒が空き家
10軒に1軒は空き家、というのは意外でした。
2033年には日本の3軒に1軒が空き家という予測も…
(1)相続
(2)売る
(3)貸す
(4)贈与
(5)成年後見
(6)遺言~遺言執行
日本の住宅は使い捨て?
家の値段とは
平均寿命沖縄県男性80.27歳(36位)女性87.44歳(7位)
健康寿命沖縄県男性71.98歳(25位)女性75.46歳(10位)
民事信託
お父さん【委託者】
息子【受託者】
お母さん・お父さん【受益者】
◎メリット
・将来、認知症になっても目的に沿った財産の処分ができる。
・信託の目的によっては、運用や担保設定も可能。
・委託者の意思に基づき、信託の変更や終了が可能。
・取り決めにより、受益者の変更が先の先まで可能。
・贈与税がかからない。
贈与税は、かかる、課税されても信託をする場合もあるのかなと思いました。
デメリット
・財産の処分や運用等の取り決めに限定される。→ 身上監護については、取り決めができない。
・所得の損益通算ができなくなる。
・信託自体に節税効果はない。
・受託者が悪いことをしようと思えば可能。
空き家対策としての民事信託
・ギリギリまで住み慣れた家に住み続けられる
・認知症になって施設入所したとしても家を処分(売る・貸す)して施設費用を捻出できる
・建て替えすることも可能
・後見人をつけなくて済む
→空き家予備軍対策と信託は親和性が高い!
ここら辺は、金融機関など外部機関との関係もあるので、説明する際は気を付けたいと思います。
空き家対策としての民事信託
成年後見だと?→自宅の売却は家裁の許可が必要。自宅売却のためだけに、成年後見人をつけるのは重い…
・家族が後見人に選ばれると?毎年、財産目録や収支の報告
・第三者が選ばれると?第三者の後見人が全ての財産を管理報酬が毎年発生し、これが亡くなるまで続く
信託は万能ではない。
→代替可能な他の制度はないか検討
→他の制度と組み合わせを検討例)遺言、任意後見、贈与、代理人カード等
「自分の家族だったら信託する?」
現状と登記を合わせていく作業
例)高齢の親名義の収益不動産(アパート等)を、実質的に子が管理しているケース
・投資行為と後見制度は相性がよくない。
・何十年も先のことは誰にも分からない。
・委託者兼受益者の死亡により、信託を終了するのが基本でいいのでは。
・正解はない。
・アンダーコントロールな内容で。
・信託の終了までサポートする体制で。
どの財産を信託し、どの財産を信託しないか
・信託の目的(主に認知症対策)によって、必要な財産のみを限定的に信託する。
・信託できない財産もある(農地、負債等)
・信託不要の財産については遺言作成。
受託者に少しでも不安があるなら信託しない
・「信託」→「信じて託す」→信じられないなら信託しちゃダメ。
・受益者代理人、受託者監督人も必要最低限(必要なケースはもちろんありますが)
・信託の当事者以外の家族にも要説明・納得
受託者に不安がない場合、というのがあるのかなと感じました。
信託契約書をどう作るか
・ひな型は参考程度に
・最初は共同受任か、同業、場合によっては、税理士等の他士業にもチェック依頼。
・公正証書にすることで、意思確認・契約内容にダブルチェックが入る。
・私署証書でも確定日付や宣誓認証を取る。
さいごに
・自分の家族に信託は使えるか否か
・使える場合、家族に提案してみる
・セミナー資料、提案書の作成
・契約書の作成
・登記申請書、信託目録の作成
・登記費用の見積(報酬規程)作成(設定~終了時)
・発展的な研究(事業承継、親亡き後、ペット等々)