会報「信託」[1]の記事からです。
委託者の地位の移転については、信託業法が適用される信託と、適用されない信託で分けて考えられています。委託者の地位って何だろう、というところについては記載がありませんでした。
・追加信託の法律構成
P11「委託者以外の第三者が、事後的に、信託財産に属する財産を追加する必要性があると考え、受託者との間で合意をして信託財産に属する財産を移転し、かつ、その者が新たな受益者となる場合も想定されるが、この場合には、受託者への財産移転と共に、信託の変更(受益者の追加)」がされたものと解する。」
受託者との間で合意をして第三者の所有する財産を信託財産に属する財産に追加する、と書くのかなと感じました。私は、信託の変更ではなく新しい信託行為と捉えた方がしっくりときます。
・清算受託者を残余財産受益者または帰属権利者にする定め
利益相反行為かについて、信託法182条3項、183条3項を根拠に利益相反行為にはあたらないという解釈がされています。信託法182条3項については、根拠になり得ると思いました。株式会社(会社法504条)の場合に、残余財産が株主に帰属すのと比べると早めに誰かの所有に帰属させる必要があると考えているのかなととも感じます。
信託法183条3項が根拠となり得るのかについて、私には分かりませんでした。上と同じく、信託(法)は、終了した場合に早めに誰かの所有に帰属させることを希望しているんじゃないかと考えると、あまり関係がないようにも思えます。清算受託者が第2次受託者の場合は、信託行為の当事者ではないので、残余財産分配請求権を放棄することが出来ます。
[1] 283号 2020年8月 (一社)信託協会
委託者の地位