市民と法[1]の連載信託契約書から学ぶ民事信託支援業務(1)、渋谷陽一郎「日弁連ガイドラインの概要と依頼者は誰かという問題(1)」からです。
参考
しかし、そのような法改正運動への阻害要因が、これまで司法書士集団の中に存在してきた民事信託支援業務を行う人々(のビジネス思考、過剰宣伝、過剰報酬、SNS濫用その他)に対する嫌悪感である。
そのような嫌悪感は、公益意識の高い司法書士の人々の間を中心として、随分と以前から存在し、司法書士会総体としての一貫性ある民事信託支援業務の研究の蓄積(規律化)を阻んできた。
公益意識の高い司法書士の人々が、民事信託支援業務を行う人々(のビジネス思考、過剰宣伝、過剰報酬、SNS濫用その他)に対して嫌悪感を持っていると断言するのは、難しいと考えられます。
公益意識の高い司法書士の人々、については、日本司法書士会連合会の民事信託推進委員の中でも、同じ司法書士会員に対して、有料サブスクリプションサービスを展開しています。
信託の学校
会費について
入会金 2万円(税抜)
月会費 3500円(税抜)
入会した日が属する月の月会費は、入会金の中に含まれます。
入会後1年間は、任意退会ができませんので、ご注意ください。
ビジネス思考、については、業務として行う以上、価値を感じてもらえる依頼者に対しては、対価をいただかなければ司法書士事務所の経営は成り立たないのではないかと考えられます。
過剰宣伝、過剰報酬、SNS濫用その他、については、渋谷陽一郎先生の過去の記事から推測すると過剰、濫用というより誤用、という意味だと思います。その点は同感です。
なお、ガイドラインに従う場合、受託者候補者からの依頼については、受任を拒絶すべきなのか、あるいは、説得して委託者から受任すべきか、という問題を生じうる。
受託者候補がいない席で、委託者候補に直接説明後、委託者候補から受任する、という流れになるものと考えれます。
司法書士をもって、家族信託信託組成時における親族間の調整役であると考えた場合、(後日、紛争を生じた場合、紛争に巻き込まれ、非弁と主張されるリスクも踏まえて)家族の構成員間で意見対立を生じた場合、本当に、家族の構成員それぞれの調整役をに担えるのか、という問題を生じる。
事実上、結果として調整役になれた場合はあると思いますが、文書として調整役であると記載することはできないと考えられます。
記事の著者が、組成、という用語を利用するようになったのはいつ頃からか、気になりました。法律整序事務に、組成が入るのでしょうか。
日司連の考えから―司法書士行為規範から―
―中略―
なお、委託者の推定相続人たる兄弟姉妹が、割合を異にする第二次受益者であり、あるいは、推定相続人の一部が受益者に指定されず、利害対立が潜むような場合、また、甥姪、孫が第三次受益者に指定されている場合など、どのようにして信託関係者それぞれ(全員)に配慮するのか、(それは可能なのか。将来の受益者にも配慮するのか。全員への配慮ができない場合の司法書士の責任は何か)などの難問を生じよう。
将来の受益者にも配慮するのか。・・・・信託行為時に話が分かる状態であれば、話はすると思います。
全員への配慮ができない場合の司法書士の責任は何か。・・・行為規範の違反となり、懲戒処分の対象となることが考えらます。配慮について、その他信託関係人の範囲や、どのようなことが行うのかが分からないので、個別具体的な判断に委ねられるものと思われます。努力義務ではないところが特徴だと感じます。
なお、司法書士法上の根拠はなく、市民から必要されているからやっている、という考えが日司連では有効のようです。
民事信託支援業務は、司法書士法3条、司法書士法施行規則31条業務ではない。市民から必要とされてやっている。成年後見人就任と同じ。
金融機関における民事信託サポート実務
信託口座・・・金融機関が受託者の場合、使い分けている金融機関もある。
信託口口座・・・信託行為が発効していること。
犯罪による収益の移転防止に関する法律による取引確認等。対象:受託者、委託者、受益者
投資一任運用商品・・・委託者の投資意向確認
株式・・・金融仲介紹介
清算事務について第三者に委託することができる、の定めがあるときのみ。
債務引受の文言、信託契約書への記載。
信託法21条1項3号
信託法21条1項5号
信託法21条2項の反対解釈とは?
委託者所有土地に受託者名義の建物を建てる場合に借入れを行うケース。
司法書士行為規範
委託者への情報提供義務
弁護士
依頼者は委託者
監督機関の設置
継続的関与の必要性
委託者が抵当権付き不動産を信託
する場合(譲渡=名義変更)は、担保権者(金融機関)の同意が実務上必要です。
ローン契約書及び抵当権設定契約書には、担保物件の譲渡は貸主の書面による承諾が
必要と規定されています。事前に貸主との同意がなければ請求失期状態。
民事信託専用クレジットカード(受託者VISAカード)
インターネットバンキング・・・運用は信託行為に定めが必要。金銭のみの信託の場合に使える可能性。
法人受託者には制限
受託者の清算事務受任サービスの提供・・・亡くなったときに委託者はいない。
民事信託サポートシステム・・・B/S,P/L、帳票などの作成サポート。アプリケーションではない。
金銭と預貯金で受託者の管理方法を分ける条項を定める方法。
信託口口座での運用商品取引
適合性の原則
(適合性の原則等)
金融商品取引法40条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
一 金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとなっており、又は欠けることとなるおそれがあること。
二 省略
【条項例】(判例タイムズ1487号「信託契約のモデル条項例 ⑸」)
(信託の変更)
第25条 信託法149条1項から3項の規定に代えて,信託の目的に反しないこと及び受益者 の利益に適合することが明らかであるときに限り,受託者は,信託監督人の同意を得て,書面又は電磁的記録による意思表示により信託を変更することができる。
信託契約により、委託者の財産は受託者の所有になるため、信託財産に属する財産は、委託者が死亡した際の委託者の相続財産にならない。あくまでも、信託契約に基づき、残余財産が帰属権利者等に承継されることになる(信託契約による財産の承継は相続ではない)。
例えば、信託財産に属する不動産を複数の帰属権利者が承継することになっていた場合、その分割手続は遺産分割(民法906条以下)ではなく、共有物分割になる(民法256条)。
[1] 139号、2023年2月、民事法研究会、P101~