照会事例から見る信託の登記実務(20)

登記情報[1]の横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(20)」から考えてみたいと思います。

登録免許税法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000035

(信託財産の登記等の課税の特例)

第七条 信託による財産権の移転の登記又は登録で次の各号のいずれかに該当するものについては、登録免許税を課さない。

一 委託者から受託者に信託のために財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録

二 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託の信託財産を受託者から当該受益者(当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る。)に移す場合における財産権の移転の登記又は登録

三 受託者の変更に伴い受託者であつた者から新たな受託者に信託財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録

2 信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であつて、かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあつては、当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあつては、合併)による財産権の移転の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。

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当初の委託者及び受益者から、順次、変更の経緯を時系列に登記させる必要性は乏しいと考えています。おそらく、誌友の皆様の多くも登記申請時点の最新の内容を記載すべきという考えであって、時系列に順次、変更の登記をするといった発想は持っていないのではないでしょうか。

私は、権利変動の過程を登記(するのであれば)申請することが必要だと考えていたので、これまで考えていたことが間違いだったのかもしれません。

もっとも、登録免許税法7条1項2号の規定は、文理解釈上、委託者の所有する不動産を信託財産とする場合に限定するものとは読めないので、結論としては、照会者の意見のとおり、信託財産の処分により不動産を取得した場合であっても適用を受けることになると思われます。

現在の運用では、そうなるのかなと思いました。

不動産登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。

一 承役地についてする地役権の登記

二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの

四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

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つまり、同項の趣旨は、受託者から委託者の相続人への相続による財産権の移転の登記とみなすことにあることから―略―

相続登記その他の一般承継、包括承継の申請と、権利変動の過程が同一視出来るかで判断することは妥当だと思います。

信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/sonota/181200/index.htm


[1] №723.2022年2月号(一社)金融財政事情研究会P38~

インターネット上に引用するのは除名で、有料で「生徒」に配布するのはOK?

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