不動産学会2022年度シンポジウム「民事基本法制の見直しと所有者不明土地問題」メモ

日本本不動産学会2022年度春季全国大会シンポジウム            

主 催 公益社団法人日本不動産学会

後 援

(予定)      国土交通省、独立行政法人都市再生機構、独立法人住宅金融支援機構

一般社団法人不動産協会、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、

公益社団法人全日本不動産協会、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会、

一般社団法人不動産流通経営協会、一般社団法人全国住宅産業協会、

一般社団法人不動産証券化協会、一般財団法人民間都市開発推進機構、

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、公益財団法人不動産流通推進センター

                            (順不同)

2022年5月30日(月)

13:00~13:20 2021年度業績賞表彰式

13:30~16:15 シンポジウム

インターネット(Zoom)配信

一般公開・無料

開催趣旨         「民法等の一部を改正する法律案」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」が令和3年4月に成立した。これにより、相続登記の義務化、相続財産の管理・清算や遺産分割の促進、共有物の使用・管理・変更・分割ルールの合理化、相隣関係規定の見直し、所有者不明土地・建物管理人や管理不全土地・建物管理人の制度の導入、相続によって取得した土地の国庫帰属の申請など、所有者不明土地の発生を予防し、利用・管理の円滑化を図るための民事基本法制の枠組みが整備された。

 所有者不明土地問題に関しては、2018年度春季全国大会シンポジウム、日本不動産学会誌122号での特集など、不動産学会においても活発に研究、議論が行われてきた。これらの成果を踏まえつつ、本シンポジウムでは、所有者不明土地問題の現状と課題を把握するとともに、今般の法改正の意義、効果、課題等について、実務,学界,多様な専門分野の立場から,多角的に議論する。

プログラム    パネリスト:(五十音順)    

      今川 嘉典(司法書士,日本司法書士連合会前会長)  

      大谷 太(法務省大臣官房参事官)   

      小柳 春一郎(獨協大学法学部教授) 

      中川 雅之(日本大学経済学部教授、(公社)日本不動産学会理事)   

      吉田 修平(弁護士、(公社)日本不動産学会理事)   

      吉原 祥子(公益財団法人東京財団政策研究所 研究員・研究部門主任)      

コーディネーター:  

      藤原 徹(横浜市立大学客員研究員、株式会社トポロジ執行役員)   

      松尾 弘(慶應義塾大学大学院法務研究科教授、(公社)日本不動産学会理事)

不動産登記の国際比較

保険制度がない。

レジストレーションシステム(手続きが堅い・訴訟リスク減)・・・人口密度の高い国(シンガポール等)

レコーディングシステム(手続きが柔軟・訴訟リスク増)・・・日本・インド

レジストレーションシステムに移行しようとしている日本は合理的か。

登記の強度と(手続きと訴訟等)コスト

・・・・・・・・・・・・・・

土地について、宅地、雑種地

建物について、研究所,病院,診療所,劇場,映画館,遊技場,競技場,競馬場,給油所などについてレコーディングシステムを採用することは可能なのかなと思いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

訴訟コストについて・・・相手方を探すコスト

相続人申告登記制度の意義・・・相続登記の単純義務化への緩衝。登記ではなく申出?

「不動産の登記義務ってあるんですか?」という問い合わせへの答え

過料があるという意味ではある、と答えることがいいのかも。

所有不動産記録証明書制度について、今後システム上

・改製原戸籍等の提供で、旧姓での請求も併せて認めること。

・(改正原)戸籍の附票(の除票)に記載されている全ての住所について、請求を認めること。

・表題部のみの登記がされている土地建物についても、対象に含めることが可能になるか。

・・・今後、使いやすいシステムを作るようにする。

・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

フランスの判例

H28.12.21広島高裁松江支部判決

国の行政処分

権利の濫用との関係

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000025_20230427_000000000000000

(承認に関する意見聴取)

第八条 法務大臣は、第五条第一項の承認をするときは、あらかじめ、当該承認に係る土地の管理について、財務大臣及び農林水産大臣の意見を聴くものとする。ただし、承認申請に係る土地が主に農用地(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地又は採草放牧地をいう。以下同じ。)又は森林(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第一項に規定する森林をいう。以下同じ。)として利用されている土地ではないと明らかに認められるときは、この限りでない。

所有者不明土地・建物管理人や管理不全土地・建物管理人の制度

コスト減

不動産事業者なら、購入する感覚で管理する?

所有者と管理人の権限間の関係

共有・相隣関係

ガイドライン

(公社)日本不動産学会誌Vol.36 No.2(141)P4~「民事基本法制の見直しと所有者不明土地問題」

加工所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議第10回

日時:令和4年5月27日(金)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai10/gijisidai.html

議事

各省の検討状況等について

基本方針(案)について

配付資料

資料1-1国土交通省提出資料

資料1-2法務省提出資料

資料1-3総務省提出資料

資料2-1所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針(案)

資料2-2所有者不明土地等問題 対策推進の工程表(案)

決定等

所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針

所有者不明土地等問題 対策推進の工程表

所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針

令和4年5月27日

所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議

 所有者不明土地は、相続が生じても登記がされないことなどを原因として発生し、管理の放置による環境悪化を招くほか、公共事業の用地買収、災害の復旧・復興事業の実施や民間の土地取引の際に、所有者の探索に多大な時間と費用を要するなど、国民経済にも著しい損失を生じさせており、人口減少・超高齢社会、相続多発時代を迎えようとする中、社会全体の生産性を向上させるためにも、所有者不明土地等問題の解決は喫緊の課題となっている。

 このため、これまでに制定された法律及び今国会において成立した法律の円滑な施行を図るとともに、別添工程表のとおり、更なる住民基本台帳ネットワークシステムの活用による所有者不明土地の解消や円滑な利用の促進等の重要課題については、今後、さらに具体的な検討を進め、来年の通常国会に必要となる法案を提出するなど、期限を区切って着実に対策を推進する。

1 新しい法制度の円滑な施行

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「特措法」という。)について、今国会での改正により拡充、新設された内容を含め、制度の周知、地方公共団体等への財政的支援や人的支援、長期相続登記等未了土地の解消作業を進める。

 農地、林地についても農業経営基盤強化促進法や森林経営管理法等について、制度の普及啓発を図り、農地や森林経営管理の集積・集約化を促進する。

 また、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づき、表題部所有者不明土地の解消作業を着実に進める。

 土地基本法の一部を改正する法律(以下「改正土地基本法」という。)に基づき、土地の基本理念、責務、土地基本方針等について、地方公共団体等に対する普及啓発を図るとともに、所有者不明土地等問題の解消に向けた各種施策の一体的実施のため、組織・定員を含めた体制の強化や予算要求等を検討する。

2 土地所有者等の責務

 土地の公共性を踏まえ、改正土地基本法の土地の利用・管理に関する土地所有者等の責務や基本理念について、広く国民、土地所有者等に周知する。また、土地基本方針のフォローアップや更新を図りながら、関係省庁が連携して、令和3年に見直された民事基本法制や、今国会で改正された特措法の着実な施行をはじめ土地所有者等の責務を具体化する施策を一体的に検討・推進していく。

3 地籍調査の加速化及び法務局地図作成事業の推進

 土地の適切な利用の基礎データとなり、登記にも反映される地籍調査に関し、令和2年の国土調査法等の改正により導入した新たな調査手続・調査手法の普及のための職員の派遣等、地籍調査を円滑かつ迅速に実施するための地方公共団体への支援を推進するとともに、必要な予算の確保に努め、地方公共団体の取組を後押しする。さらには、第7次国土調査事業十箇年計画の中間年(令和6年)で行うこととされている計画の検証・見直しを見据え、調査手法等の改善に係る地方公共団体や民間事業者等のニーズを汲み取り、これを踏まえて、国と地方の役割分担を含め、関係省庁が連携しつつ、より円滑かつ迅速に地籍調査を推進する方策について検討し、当該計画の目標の達成に向けた所要の改善措置を講じる。

 また、土地に関する重要な情報基盤である登記所備付地図の整備に向けて、法務局の地図作成事業について、大都市部での実施や地域の防災・減災対応等のニーズを踏まえた重点化と効率化の検討を進めるとともに、筆界保全標の設置に着実に取り組む。

4 民事基本法制の円滑な施行に向けた準備等

 土地所有権の内容は法令の制限に服し、公共の福祉優先の理念に基づく立法が妨げられないことを前提に、令和3年に民法、不動産登記法等が改正されるとともに、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が制定された。

 具体的には、相続登記や住所等変更登記の申請義務化、相続登記の申請義務を簡易に履行するための相続人申告登記や所有不動産記録証明制度の新設、職権により住所等変更を登記に反映させる仕組み等により、不動産登記情報の最新化を図る方策や相続等により取得した土地を一定の要件の下で国庫に帰属可能とする制度など所有者不明土地の発生を予防する仕組みと、不明共有者がいる場合に金銭供託等により共有関係を解消する方策、所有者不明土地・建物に特化した財産管理制度や管理不全土地・建物の管理制度、長期間経過後に法定相続分で遺産分割を行う仕組み、ライフライン設置のための隣地使用を可能とする相隣関係規定の整備など、所有者不明土地等を円滑に利用する仕組みが構築された。

 今後、令和5年以降の施行に向けて、新制度の内容や遺産分割の重要性、令和4年度から拡充された相続登記の免税措置等について国民に十分かつ丁寧な周知を図るとともに、政省令等事項や具体的運用を速やかに定める。具体的には、相続人申告登記に係る具体的な内容や、申請義務違反に過料を科すための要件の具体的な類型などに関する政省令等の検討を進める。また、帰属制度が積極的に活用されるよう、土地を国庫に帰属させるための要件や審査手順、負担金の額などに関する政省令等の検討を進めるとともに、土地を地域で有効活用するための地方公共団体等との連携などを、きめ細やかに検討し明確化していく。  

 更に、法務局や帰属土地の管理官庁の体制整備や新たな仕組みの導入に必要となるシステム開発等を行う

 法定相続情報証明制度の円滑な運用や、法務局における遺言書の保管制度の活用などにより、相続登記を促進する。

5 多様な土地所有者の情報を円滑に把握する仕組み

 関係行政機関や民間事業者が土地所有者に関する情報を円滑に把握できるよう、令和3年に、登記所が他の公的機関(住民基本台帳ネットワークシステム、商業登記等)から、土地所有者の死亡や住所等変更情報を入手し、個人情報保護にも配慮しつつ、不動産登記情報の最新化に繋げる仕組みや、海外に居住する土地所有者の日本国内における連絡先を登記事項とするなどの仕組みが導入された。今後、これらの仕組みの円滑な施行に向けて、法務局の体制整備や不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステム等との円滑な連携を可能とする実効性のあるシステム整備を進める。

 特措法に基づき地域福利増進事業を実施する場合の土地所有者の探索や、法務局による土地の所有者の調査に際して、住民基本台帳ネットワークシステムを活用することにより、迅速かつ効率的に土地所有者等に係る最新の情報を把握することが可能となるよう、次期通常国会での住民基本台帳法の改正案の提出に向け検討する。

 また、行政機関等に対して戸籍情報を電子的に提供する戸籍情報連携システムの整備を着実に進め、令和5年度中に運用を開始する。

 不動産登記簿をはじめ、行政目的ごとに整備されている土地に関する各種台帳間の双方向での情報連携を促進することにより、所有者探索の容易化・事務負担の軽減を図るなど、土地情報連携の高度化を進める。

 固定資産課税台帳の情報を特措法等の規定に基づき情報提供できる仕組みについて、今後とも、関係省庁が連携して、拡充していく取組を推進する。

 こうした仕組みを構築するまでの間も、地方公共団体の協力による登記手続の促進や、関係機関から地方公共団体への照会による所有者情報の把握の取組を進める。

6 所有者不明土地等の円滑な利活用・管理、土地収用手続の円滑な運用

 所有者不明土地を取り巻く社会経済情勢の変化やこれまでの制度改正を受け、国土審議会のとりまとめにおいて、特措法の見直しの方向性として、所有者不明土地の利用の円滑化の促進を図るため地域福利増進事業を使いやすくすることや、管理の適正化を図るため市町村長が活用できる仕組みを創設すること、こうした施策に地域が一体となって取り組むための体制の構築が示されたことを踏まえ、今国会において特措法が改正されたところである。

 具体的には、地域福利増進事業の対象事業の拡充(地域の災害対策に関する施設や再生可能エネルギー発電設備の整備)や使用権の上限期間の延長等、管理不全

 状態の所有者不明土地について、市町村長が勧告、命令、代執行を行うことを可能とする制度や民法の管理不全土地管理命令を市町村長が請求可能とする特例、所有者不明土地や低未利用土地の適正な利用、管理等に取り組む法人を指定する制度の創設等が措置されたところである。

 今後、措置された制度について、市町村をはじめとする地域の関係者が積極的に活用することができるよう、周知徹底を図るとともに、土地政策推進連携協議会の設置など関係機関の体制整備や、必要となる予算の確保に努める。

 併せて、長期相続登記等未了土地解消作業について、令和4年度から、民間事業者からの要望受入れをはじめとする見直しが行われたことを踏まえ、地方公共団体等との連携をさらに強化しつつ、土地の利活用に繋がる取組を更に推進する。また、表題部所有者不明土地解消作業について、解消効果の高い対象土地選定の仕組みや困難度の高い所有者探索等の作業を迅速化する方策を検討・実施する。

 所有者不明土地等と共通の課題がある空き家対策との連携については、これまでも、所有者不明土地・建物に特化した財産管理制度や管理不全土地・建物の管理制度を創設することや、地域福利増進事業等において朽廃空き家のある所有者不明土地を利活用できるよう拡充することなどにより進めてきたところだが、今後、さらに一体的に推進する。また、区分所有建物の取り扱い、民間による開発や空き家・空き地の利活用等にも配慮し、連携して検討を行う。

 とりわけ、今後急増することが見込まれる老朽化マンション等の老朽化区分所有建物対策として、区分所有法制の抜本的な見直しに向けた検討を行う。具体には、所有者不明マンション等に特化した財産管理制度の創設、出席者のみの多数決による決議を可能とする仕組みの創設等のマンション等の管理の円滑化を図る方策や、建替え要件の緩和、多数決による売却等の新たな再生手法の創設等の老朽化マンション等の再生の円滑化を図る方策、今後の災害の発生を見越した被災マンション等の再生の円滑化を図る方策について検討を進め、今年度中できるだけ速やかに論点整理を取りまとめる。

 共有者による私道の円滑な利用や管理が可能となるよう、民法の共有制度の見直しを踏まえた共有私道ガイドラインの改訂を速やかに行い、その周知徹底を図る。

 土地売却に伴う分筆登記や地積更正登記等を円滑化し、土地利用を促進するため、隣地所有者が不明の場合など一定の場合に、隣地所有者の立会いがなくとも法務局の調査に基づき筆界認定を行い、分筆登記等を可能とする仕組みを法務局で導入することとし、本年中のできるだけ早い時期から全国の法務局での運用を開始する。

 公共事業の迅速な実施に向け、収用手続の合理化・迅速化のための新制度の円滑な運用、適用事例等の横展開を図るとともに、地方公共団体の実務を支援する。

7 関連分野の専門家等との連携協力

 所有者不明土地等問題は、関連分野の専門家等と地方公共団体、地域コミュニティ等と関係行政機関が連携しつつ、これらの意見等を十分踏まえながら対応する。

所有不動産記録証明制度

所有不動産記録証明制度

令和8 年4 月までに施行(所有者不明土地ガイドブック~迷子の土地を出さないために!~令和4(2022)年3月国土交通省)

不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20260427_503AC0000000024#Mp-Ch_5

第119条の2  何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明証書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前2項の交付請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第3項及び第4項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

1 請求権者

・所有権の登記名義人 (1項)

相続人その他の一般承継人(2項)

1,2とも法人対象

任意代理人【部会資料 (60)9 頁】・【Q&A325頁】

代理申請の場合・・・委任者の実印が押印された委任状及び印鑑登録証明書(例えば、3か月以内に取得したものに限定する。)の提供がある場合には、受任者宛ての送付を可能とするといった手法を併用することも考えられる。

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案 (案) (2)

https://www.moj.go.jp/content/001339375.pdf

・不在者財産管理人、相続財産管理人、遺言執行者、破産管財人これらに類する法定代理人(不動産の管理権限を有する者に限る)【部会資料 (60)10 頁】

「所有権の登記名義人に準ずるものとして法務省令で定めるもの」(1項括弧書)

将来、表題部所有者などを対象とすることも可能なように省令で定めることとした。【部会資料 (53)23 頁】・【ポイント 11頁】・【Q&A323頁】

 証明の意味、形式、その他

・請求された登記名義人の氏名又は名称及び住所等の情報に基づいて全国全てでシステム検索を行った結果・あくまで情報が一致したものの目録としての証明であり、 不動産の網羅性には限界あり【部会資料(60)9頁】

記録がないことの証明書も交付(1項括弧書)

・・・相続放棄・成年後見申立手続、生活保護申請手続き(無資産証明書)等に利用可能?電子化が必要?

・法務大臣の指定する法務局(3項)

郵送による請求を認める。【部会資料(60)10頁】 郵送による本人申請請求の場合・・・本人確認書類の写しを送付させた上で、対象不動産の登記に記録された本人の住所地(所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人による交付請求の場合にはその本人の住所証明書類の原本に記載された住所地)宛てに送付するなどして、請求者本人が確実にその書類を取得するように配慮することが考えられる。

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案 (案) (2)

https://www.moj.go.jp/content/001339375.pdf

不動産IDとの連携はあるか?

私は、現在の不動産IDルールガイドラインの通りに進むのであれば、難しいと思います。理由としては、不動産IDの目的が不動産事業者の取引の円滑、行政の職務(防災、災害対応)となっており、物件ポータルサイトもそのような仕様になるだろうと思われるからです。

個人的に考える課題

・旧姓での請求も併せて認めること。

・(改正原)戸籍の附票に記載されている全ての住所について、請求を認めること。

・表題部のみの登記がされている建物についても、対象に含めること

加工マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題2022 年3月

2022 年4月金 融 庁「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(2022 年3月)」からです。

https://www.fsa.go.jp/news/r3/20220408/20220408.html

参考

犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)警察庁

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 これらのマネロンの主体に関する分析等も踏まえ、犯罪収益移転危険度調査書(2021 年12 月)においては、各業態における危険性が認められる商品・サービスの分析のほかに、

・ 取引形態として、非対面取引、現金取引、外国との取引

 資金移動業者も預金取扱金融機関と同様に、内外の為替取引に係るマネロン等リスクに対応する必要がある。すなわち、国内の資金移動に加え、法制度や取引システムの異なる外国へ犯罪収益が移転され、その追跡を困難にさせるといった為替取引に共通するリスクに直面している。資金移動業者によっては、代理店における不適切な本人確認により、マネロン等リスクが生じうる可能性もある。

(3) 非対面決済におけるリスク

 非対面でモバイル送金・決済サービスを提供する事業者は、マネロン等を企図する者が、何らかの方法によって不正入手したID・パスワードを利用し、正規のアカウント所有者になりすまして資金の移転や引き出しを行うリスクに直面している。

 資金移動業者に認められている取引時確認の方法の一つとして銀行依拠による取引時確認がある。これは、一定の特定取引のうち、預貯金口座における口座振替の方法により決済されるものについて、当該口座を開設した事業者が預貯金契約の締結を行う際に、顧客等又は代表者等について取引時確認を行い、その記録を保存していることを資金移動業者が確認する方法(犯罪収益移転防止法施行規則第13 条第1項第1号)であり、資金移動業者において、顧客が保有する銀行の預貯金口座と当該資金移動業者における口座を連携するとともに、取引時確認を完了させる方法として用いられている。

 日本資金決済業協会も、2020 年12 月、銀行口座との連携における不正防止のために資金移動業者が講じる措置等の考え方等を示した「銀行口座との連携における不正防止に関するガイドライン」を公表した。

 これらのガイドラインでは、資金移動業の利用者について、公的個人認証その他の方法により実効的な取引時確認を行い、本人確認書類等により確認した当該利用者の情報と連携先が保有する情報を照合(公的個人認証を用いる場合を除き、利用者の氏名・住居・生年月日に加え、電話番号等も対象項目とすることが望ましい。)することにより、当該利用者と預貯金者との同一性を確認するなど、適切かつ有効な不正防止策を講じること、また、連携先の銀行等において実効的な要素を組み合わせた多要素認証等の認証方式(例えば、固定式のID・パスワードによる本人認証に加えてハードウェアトークンやソフトウェアトークンによる可変式パスワードを用いる方法、公的個人認証等の電子証明書を用いる方法が導入されていること。)が導入されていることを確認していること等を求めている。

(4) デジタル技術を活用した取引時確認手法(e-KYC)におけるリスク

 e-KYC(electronic Know Your Customer)とは、犯罪収益移転防止法における取引時確認として、オンラインで完結する本人特定事項の確認方法で、同法施行規則第6条第1項第1号ホからトまで等に定められる方法をいう。

 特に、近年、金融機関等では、顧客から写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(同号ホ)が多く用いられている。また、金融機関等が、当該e-KYC を実施するにあたっては、申し込みのあった顧客について本人であることの確認や本人確認書類の精査等を他の企業に委託していることが多い。

 しかしながら、金融機関等が、当該e-KYC 業務の委託先に対して、適切な研修や指導を実施しなかった場合やe-KYC の本人確認手続の一部を受託した事業者が適切な確認作業を実施していない場合、委託先におけるe-KYC 業務が適切に実施されず、適切な取引時確認がなされない可能性があることから、金融機関等は、委託先における確認手続が法令等に基づき適切に実施されることを確保するためのモニタリング等の措置を講じることが重要である。

(5) サイバー犯罪(フィッシング詐欺、ランサムウェア)

 また、テレワーク等による外部から内部ネットワークへの接続が急増し、セキュリティ対策の一環としてVPN 機器を導入する企業等が増加しているが、そのVPN 機器の脆弱性等から組織内部のネットワークに侵入し、ランサムウェアに感染させる手口が被害の多くを占めている。

参考 警視庁 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(速報版)

https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220209001.html

 自己名義の口座や偽造した本人確認書類を悪用するなどして開設した架空・他人名義の口座を遊興費や生活費欲しさから安易に譲り渡す者等がおり、マネロンの敢行をより一層容易にしている。

イ 預金取扱金融機関の現状と課題

非対面取引形式による商品・サービスを提供しているにもかかわらず、これらの商品・サービスに対するリスクの特定・評価を行っておらず、全ての商品・サービス等のリスクを包括的に評価していない。

・ 顧客の実態把握やKYC(Know Your Customer)は、文字どおり顧客の実態を把握することであり、マネロン等対策のみならず、サービス業としての金融機関の基本動作であるとの認識の下、経営陣が率先して継続的顧客管理措置に取り組んでいる。

P45 例えば、連携先と協力し、連携サービス全体のリスク評価を実施すること、連携先との役割分担・責任を明確化すること、リスク評価の結果を踏まえ、連携先と協力し、利用者に係る情報を照合するほか、リスクに見合った適切かつ有効な不正防止策を講じることが求められている。具体的には、口座振替サービスとの連携に際し、資金移動業の利用者について、公的個人認証その他の方法により実効的な取引時確認を行い、本人確認書類等により確認した当該利用者の情報と連携先が保有する情報を照合することにより、当該利用者と預貯金者との同一性を確認するなど、適切かつ有効な不正防止策を講じることや不正取引の検知(モニタリング)等が重要である。

参考

令和2年9月15日金融庁

資金移動業者の決済サービスを通じた銀行口座からの不正出金に関する対応について

https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20200915/20200915.html

(イ) リスクの低減

1 適正な取引時確認及び確認記録の作成・保存

 銀行依拠による取引時確認等を実施する中で、顧客に正確な情報を申告させておらず、かつ、申告された事項を事後的に検証していない結果、取引時確認により確認を行った「本人特定事項(氏名・住居・生年月日)」・「職業」・「取引目的」の記録に、通常あり得ない職業や「回答しない」との記載、絵文字や記号が含まれる記載がされているという事業者が認められた。

P77

ウ  リスクに応じた簡素な顧客管理

 犯罪収益移転防止法における「簡素な顧客管理を行うことが許容される取引」との混同を避けるため、ガイドラインにおいては、「リスクに応じた簡素な顧客管理(Simplified Due Diligence:SDD)」という表記に変更するとともに、その内容を明確にするため、一例として、「取引のモニタリングに係る敷居値を上げたり、顧客情報の調査範囲・手法・更新頻度等を異にしたりする」ことを追記した。

P87(3) 実質的支配者リスト制度の創設

マネロン等対策においては、法人の悪用防止のため、実質的支配者( BO :Beneficial Owners)の確認が重要とされており、犯罪収益移転防止法においても、法人顧客の実質的支配者の確認が義務付けられている。

 実質的支配者の透明性確保は国際的な課題とされており、現在でもFATF や各国においても検討が求められている中、我が国では、法務省が2020 年4月より、「商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会」を開催し制度の検討を行っており、金融庁もこれに参画してきた。

当該研究会の結果を受け、2022 年1月31 日より、実質的支配者リスト制度が開始された。これは、全国の商業登記所が、株式会社等(利用者)が提出した自社の実質的支配者に関する情報が記載された書面(実質的支配者リスト)を確認したうえで、その写しを交付する制度である。実質的支配者リストの写しを活用することで、確認手続きの円滑化が期待されるものであり、金融庁においても、法務省と連携し、所管業界への周知や制度の活用を呼び掛けている

参考

令和3年3月5日金融庁

金融活動作業部会(FATF)による「リスクベース・アプローチによる監督に関するガイダンス」の公表について

https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20210305.html

FATF 基準(勧告24)改訂

https://www.fatf-gafi.org/publications/fatfrecommendations/documents/r24-statement-march-2022.html

渡部友一郎弁護士「第3回基礎からわかるリーガルテック―リーガルテックと司法書士業務―」『登記情報』726号2022年5月号(一社)金融財政事情研究会P26~

令和 3年不動産登記法改正

令和 4年5月16日きんざいオンラインスクール

司法書士 今川嘉典(石川県司法書士会)

参考

・法務省民事局「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」令和3年12月版

https://www.moj.go.jp/content/001360808.pdf

(以下「ポイント」という。)

・法制審議会民法・不動産登記法部会における資料及び議事録-ネット上で公開-(以下「部会資料」・「部会議事録」という。)

・「Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法―松村秀樹法務省民事局総務課長(前同局民事第二課長)・大谷太法務省大臣官房参事官編著」-一般社団法人金融財政事情研究会・(株)きんざい-(以下「Q&A」という。)

 令和3年改正法

1.「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」

・令和3年4月21日成立、同月28日公布

2.施行期日

「民法等の一部を改正する法律」

・原則 公布の日から 公布の日から 2年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 年以内の政令で定める日 (附則第 1条本文)

→令和 5年 4月 1日施行 (令和 3年 12月 14日政令)

・相続登記の義務化等3年以内(附則第 1条第 2号)

→令和 6年 4月 1日施行 (令和 3年 12月 14日政令)

・住所氏名等 の変更登記義務化

5年以内 (附則第 1条第 3号)

→今後政令により決定される。令和8年4月頃か

「相続土地国庫帰属法」  2年以内 (附則 1)

→令和 5年 4月 27日施行 日施行  (令和 3年 12月 14日政令)

 所有者不明土地

1.「所有者不明土地問題研究会 」(座長増田寛也氏)平成 29年 12月 13日の最終報告 (以下「最終報告」という。)

・「推計で九州本島の面積に相当する土地が所有者不明である」

2.最終報告の根拠

・国土交通省 国土交通省 国土交通省 平成 28年度地籍調査( 563 市区町村における計622,608筆の調査)の結果からの推計

→不動産登記簿で土地所有者等の所在が確認できない土地の割合が、全体の20.1%

上記のうち、相続登記の未了が原因(66.7%)、住所変更登記の未了が原因 、(32.4%)

住民票や戸籍等で調査をしてもなお所在不明あった土地は 住民票や戸籍等で調査をしてもなお所在不明あった土地は0.41%

最終報告における付言「ここでの対象は、「所有者台帳(不動産登記簿等)により、所有者が直ちに判明しない、又はいても所有者に連絡がつかない土地」であり別途調査をすれば判明するケースも多く、対象地全てが直ちに問題というわけではない。」

令和元年住民基本台帳法施行令の改正により、住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が5年から150 年に延長

住民基本台帳法施行令

(保存)

第34条 市町村長は、除票又は戸籍の附票の除票を、これらに係る住民票又は戸籍の附票を消除し、又は改製した日から150年間保存するものとする。

2項、3項 省略

→「調査に要するコストの問題」

「多数共有者における合意形成の困難さの問題」

不動産登記情報の更新(登記情報を最新のものとすること)

3.法改正の目的

「不動産登記情報の更新(登記情報を最新のものとすること)」

「土地の適正な利用と管理の促進」

「自ら利用・管理できない土地を手放す制度の創設」

→相続登記の義務化等の不動産登記法の改正

遺産分割を一部制限するための民法の改正

共有制度、財産管理制度及び相隣関係等を見直すための民法の改正

相続土地国庫帰属法

4.土地所有者の基本的責務

土地基本法の改正(令和2年改正法)

(土地所有者等の責務)

第6条 土地所有者等は、第2条から前条までに定める土地についての基本理念(以下「土地についての基本理念」という。)にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有する。

2 土地の所有者は、前項の責務を遂行するに当たっては、その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。

3 土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならない。

  不動産登記法の改正 (相続登記の申請義務付けと「相続人申告登記」)

(相続等による所有権の移転登記申請)

第 76条の 2 所有権の登記名義人に ついて相続開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続開始があっことを知り、かつ、当該所有権を取得したこと知った日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)より所有権を取得した者も、同様とする。

2 前項前段の規定による登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされたもの限る。次条第4項において同じ。)がされた後に遺  産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。

3 前 2項の規定は、代位者その他の者の申請又嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

(過料)

第 164 条 第 36条、第 37条第 1項若しくは第2 項、第 42条、第 47条第 1項(第 49条第 2項において準用する場合を含む。)、第 49条第 1項、第 3項若しくは第 4項、第 51条第 1項から第 4項まで、第 57条、第 58条第 6項若しくは第 7項、 第 76条の 2第 1項若しくは第 2項又は第 76条の 3第 4項の規定による申請をすべき義務がある者正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円 以下の過料に処する。

2 省略

(相続人である旨の申出等)

第 76条の 3 前条第1項の規定により所有権移転登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより登記官に対し所有権の名義人について相続が開始した旨及び自ら当該所有権の登記名義人である旨を申し出ることができる。

2 前条第 1項に規定する期間内に申出をした者は、同前条第 1項に規定する

所有権の取得(当該申出の前にされた遺産分割を除く。)に係る所有権の移転登記を申請する義務を履行したものとみなす。

3 登記官は、第 1項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。

4 第 1項の規定による申出をした者は、その後遺産分割によって所有権を取得したとき(前条第1項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したとき除く。)は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。

5 前項の規定は、代位者その他申請又嘱託により、同項の登記がされた場合には、適用しない。

6 第1項の規定による申出手続及び第3項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

我が国の登記制度の根本原理としては、登記は私的自治の原則により申請人が任意に行えばよいことされている。

(登記が物権変動の対抗要件とされている(民法177条)こともその理由である。相続登記においても、同様に義務とはなっていない。

→登記に義務を課すということは画期的な出来事である。

1.義務履行期間における主観的要件

・自己のために相続開始があっことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない。(76条 の 2第 1項)

数次相続の場合

以下のケースにおけるD・Eの義務履行期間は

・「甲が不動産を所有していたこと」

・「Cが甲の相続人一であること」

・「D・Eが Cの相続人であること」

・「甲及び Cが死亡したこと」の各事実を知った時から開始する。

【令和 3年 3月 28 日日本司法書士会連合会研修会「 相続登記の義務づけをめぐる不動産登記法の改正構想と司法書士実務の課題」山野目章夫早稲田大学教授

2. 「相続人である旨の申出」制度創設

・「相続人申告登記」と呼ばれる。

・相続人申告登記をした者は、登記申請義務を履行したものとみなす。(76条の 3第 2項)

法定相続分による登記をすることによっても、義務の履行になる。

3. 遺産分割があった場合

遺産分割があった場合は、遺産分割のから3年以内に登記をしなければならない。(76条の2第1項)

相続人申告登記をした場合、遺産分割による登記義務は残る。 (76条の 3第 2項括弧書き)

相続人申告登記をしたに遺産分割があった場合は、遺産分割の日から3年以内 に登記をする義務が発生。(76条の3第4項)

法定相続分による登記をした場合も、同じ。(76条の2第2項)

→【部会資料 (60)2頁】・【第24回部会議事録 27頁~32頁】・【ポイント5頁、7頁】・【Q&A 278 頁~285頁他】

4. 相続人申告登記 の内容

・所有権の移転の登記ではなく、報告的な登記であり、付記登記となる。二次相続の場合は、付記登記の付記となる。【登記記載例:別添「 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し-法務省」2頁】

・持分は登記しない。

・申出人が法定相続の一人であることが分かる限度での戸籍謄抄本を提供すれば足りる。 登記名義人の同一性確認は、他のシステムと連携を利用して、登記官が職権で調査する。

・登記官は、申出をした相続人のみを登記し、申出をしていない他の相続人の登記はしない。

・申出をした相続人のみが義務履行となり、申出をしていない他の相続人義務不履行状態は続く。

・代理による申出は認める。

・申出人の住所・氏名変更の申出があった場合には、登記官が職権で登記をする予定。(住所・氏名変更の義務化対象ではない。)

→相続人申告登記の内容につき【ポイント4頁】・【 部会資料 (19)14頁】・【 Q&A 270 頁 ~277 頁】

★相続人申告登記の申出をしても、法定単純承認にはならない。【第10回部会 議事録 2頁】(相続人申告登記と同様に、法定相続分よる登記をしても単純承認にはならい。【Q&A 272頁】)

5. 相続人申告登記制度創設の意味

・単純義務化した場合の実効性

・相続登記の義務化と法定相続分による登記

・簡易な手続きの創設

6.過料の制裁

「主観的要素」と「正当理由」

・当事者への配慮、不意打ち・不公平回避策

・登記官の形式的審査権と「主観要素」、「正当理由」の判断

過料措置の内容

・手順

ア)登記官が、登記申請義務違反の事実(主観的要件の充足や正当な理由の不存在を含む。)を職務上把握

イ)あらかじめ相続人に対して登記申請をするよう催告

ウ)それでもなお登記申請をすべき義務負う者が理由もなく登記を留保

エ)裁判所に対する過料事件の通知(過料通知)

催告に応じて登記申請がされた場合は過料通知をしない

 登記申請義務の履行期間経過後に登記申請がされたことにより、登記官が登記申請義務違反の事実を把握したような場合でも、直ちに過料通知の対象とならない(登記申請義務の履行期間の経過とともに過料の制裁を恐れて登記申請がされなくなるといった事態を回避する。

→【ポイント9頁】・【 第16回部会議事録38頁】・【第23回部会議事録19頁】・ 【部会資料(19)14頁】・【第10回部会議事録 2頁】・【部会資料(60)3頁】・ 【Q&A300頁】

・過料手順等の詳細は、法務省令で定められる。

 本改正による過料の規律は、厳罰化を目的とするものではない。

正当理由

「正当な理由」の具体的類型は、通達等において明確化されるが、現時点では以下の例が考えられている。【ポイント9頁】・【Q&A298 頁】

・数次相続が発生して人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人把握に多く時間を要する。

・遺言の有効性や産範囲等が争われている。

・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情がある。

・申請義務を負う相続人 が DV 被害者等であり、避難を余儀なくされている。

・経済的困窮のため手続費用を負担できない。

「登記官が申請義務違反の事実を職務上把握する」とは、どのような場合か。

・登記申請義務履行期間経過後に登記申請がされた場合

・遺言に 基づく登記申請の際、当該が他不動産ついても当該遺言が他の不動産についても当該申請人に取得させる内容ものであった場合

→【 Q&A300 頁】

過料制度導入の意味

・「理念的・訓示的な義務」 と過料の制裁を伴う具体的な義務」

・相続人に対する強い意識付け

・各種負担軽減策をパッケージで導入

→【 Q&A296 &A296頁】

 相続登記の義務化へ対応

・遺産分割協議を経た登記、法定相続人による登記、相続人申告登記の選択

・優先すべき手続は?

→法定相続分による登記は、遺産の未分割状態をそのまま公示する暫定的な登記手続きである。

→相続人申告登記は、何らかの事情により直ちに登記ができない場合の救済的な手続きである。

遺産分割協議の促進

 相続登記の義務規定に係る経過措置

施行期日において、現に相続登記未了となっている不動産も、相続登記の義務化の対象とする。(附則5条6項)

・第 76条の2第1項の義務

→「知った日又は施行日のいずれか遅い日」 から3年

・第 76条の2第2項の義務

→「分割の日又は施行日のいずれか遅い日」から3年

不動産登記法の改正( その他新しい規律1)

(1) 遺産分割に関する見直し(民法の改正)

(期間経過後の遺産分割における相続)

第 904 条の3 前3条の規定は、相続開始時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

一 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

二 相続開始の時から始まる10年の期間満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得事由が相続人にあった場合おいて、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の 分割の請求をしたとき。

・相続開始の時から10年経過した後にする遺産の分割については、民法第903条(特別受益)、904条の2(寄与分)を含めた具体的相続分の主張ができない。

遺産分割協議自体に期間制限を設ける規律は置かないこととされた。

10年の期間経過後に、相続人間で具体的相続分による分割をするとの合意がされた場合には、協議によるケースや調停・審判によるケースでも、その合意によることができる。【部会資料(51)20頁】・【Q&A250頁】

・「やむを得ない事由」(第2号)【Q&A249頁】

→10年を経過する直前に遺産分割の申立て取下げがされた場合

【部会資料 (42)8頁】

→相続人に遺産分割協議をする判断能力がなく、成年後見人等が選任されていない場合

→遺産分割禁止特約や遺産分割禁止の審判がある場合

→相続開始後10年を経過してから相続の放棄がされて相続人となった場合

相続の開始を知らなかったという主観的事情のみでは認められない。

・関連する法改正(遺産分割調停、審判の申立て取下げに関する改正)

家事件手続法

(申立ての取下げ制限)

第 199 条 省略

2 第82条第2項の規定にかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から10年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければその効力を生じない。

(家事調停の申立て取下げ)

第 273 条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又一を取り下げることができる。

2 前項の規定にかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から10年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければその効力を生じない。

3 省略

施行日 令和5年4月1日

経過措置

施行期日において、現に相続が開始しているものについて、「相続開始の時から10年を経過する時又は法の施行の時から5年の経過する時のいずれか遅い時」までに遺産分割をしない場合は、具体的相続分を主張できない。

(2) 住所・氏名等の変更登記申請義務付け

(所有権の登記名義人氏等変更申請)

第76条の 5 所有権の登記名義人の氏若しくは名称又住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又住所についての変更登記を申請しなければならない。

(過料)

第 1264条 1項省略

2 第 76条の 5の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処する。

・自然認及び法人とも規律の対象なる。

・過料措置については、相続登記の義務と同様である。

・転々と住所変更をする場合もあり、負担が大きくないか。

(3) 登記官による職権(死亡情報の登記・住所変更等)

 自然人の場合【部会資料 (53)15 頁】・【部会資料 (57)13 頁】

登記官による、住基ネット等から死亡情報、住所・氏名の変更情報等の取得

登記官による、住所・氏名の変更職権登記

→登記官による、死亡した旨の符号の職権登記

・新たに所有権の登記名義人となる者は、登記申請の際に、生年月日等の情報(検索用情報)を必ず提供

・生年月日の他、氏名の振り仮名、外国人の場合のローマ字表記等も継続検討

・法施行時において既に所有権の登記名義人となっている者は、検索用情報を任意に提供

・登記官は、住基ネッットから【年に1回程度 】定期的に情報を入手し、死亡の事実や住所・氏名の変更事等を把握する。

・検索用情報は、公示しない。

登記名義人が自然であるときは、あらかじめ「通知」をし、申出があるときに限り職権登記を行う。

「検索用情報の提供」・「通知」・「申出」については、インターネット利用も検討されている。【ポイント14頁】

 法人の場合

登記官による、商業・法人システムから、本店・商号の変更情報の取得

→登記官による、本店・商号の変更の職権登記

・所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号を登記事項とする。

・法施行時において既に所有権の登記名義人となっている法人については、登記官が職権で、会社法人等番号を追加する変更登記をする。(附則5条5項)

→法人からの任意の簡便な方法による申出を受けて、登記官が職権登記をすることが予定されている【ポイント15頁】

規律

(情報の提供求め)

第151条 登記官は、職権による登記をし、又は第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)に関する情報の提供求めることができえる。

固定資産課税台帳情報も対象とする予定。【 Q&A288頁】

(職権による氏名等の変更登記)

第76条の6 登記官は、所有権の名義人の氏名若しく名称又住所について変更があったと認めるべき場合には、法務省令で定めるところにより、職権で氏名若しくは称又住所ついての変更登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出あるときに限る。

(所有権の登記名義人について符号表示)

第 76条の 4 登記官は、所有権の名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

「所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)」との規律について

・法人の場合は、現時点では適用を見送る。【部会資料 (38)10頁】【Q&A289頁】

(所有権の登記事項)

第73条の2 所有権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次とおりとする。

1 所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和昭和38年法律第125号)第7条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

2号 省略

2項 省略

(4) 所有不動産記録証明制度の創設

(所有不動産記録証明書の交付等)

第119条の2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産(これに準ずる者として法務省令で定めものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明証書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前2項の交付請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第3項及び第4項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

1 請求権者

・所有権の登記名義人 (1項)

・相続人その他の一般承継人(2項)

  • 1,2とも法人対象

・任意代理人【部会資料 (60)9 頁】・【Q&A325頁】

・不在者財産管理人、相続財産管理人、遺言執行者、破産管財人これらに類する法定代理人(不動産の管理権限を有する者に限る)【部会資料 (60)10 頁】

「所有権の登記名義人に準ずるものとして法務省令で定めるもの」(1項括弧書)

→将来、表題部所有者などを対象とすることも可能なように省令で定めることとした。【部会資料 (53)23 頁】・【ポイント 11頁】・【Q&A323頁】

 証明の意味、形式、その他

・請求された登記名義人の氏名又は名称及び住所等の情報に基づいてシステム検索を行った結果・あくまで情報が一致したものの目録としての証明であり、 不動産の網羅性には限界あり【部会資料(60)9頁】

・記録がないことの証明書も交付(1項括弧書)

・法務大臣の指定する法務局(3項)

・郵送による請求を認める。【部会資料(60)10頁】

 相続登記の義務化等に係る制度の概観

登記官による、住基ネットから死亡、住所、氏名の変更等の情報の取得(自然人)

商業・法人登記システムから本店・商号の変更情報の取得(法人)

・登記官による、住所・氏名、本店・商号の変更の職権登記

・登記 官による、死亡した旨の符号の職権登記

・所有不動産記録証明書制度の利用

・相続登記・相続人である旨の申出制度(相続人申告登記)

・遺産分割に関する見直し(民法の改正)

・相続により取得した土地の国庫帰属制度

表題部所有者について

・表題部所有者に関しては、 所有権登記名義人に係る規律と同様の規律を設けず、将来的課題とする。【部会資料 (57)19頁】

相続等により取得した土地の所有権国庫へ帰属関する法律ついて

 土地の所有者は、法務大臣に対し、土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができる。(2条1項)

行政処分である。

承認申請者(2条1項、2項)

・相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)によりその土地の所有権の全部又 に一部を取得した者に限る。

・共有持分の国庫帰属は認めない(共有者が全員で行う)。

・相続等以外の原因により共有持分を取得した共有者も、相続等に共有持分を取得した共有者と共同して承認の申請をすることができる。【ポイント22頁】

「手数料」及び「管理に要する10年分の標準的な費用の額を勘案して政令で 定めるところにより算定した額(負担金)」を納付しなければならない。(3条2項、10条)

参考:200㎡の宅地の10年分の管理費用は約80万円

粗放的な管理で足りる原野約20万円【ポイント21頁】

国庫帰属した土地が、仮に10年以内に売却されたとしても、負担金は返却されない。【Q&A378頁】

 承認申請者が負担金を納付したときに、土地の所有権が国庫に帰属する。(11条 1項)

主に農用地又は森林として利用されている土地は農林水産省、それ以外の土地は普通財産として財務省が管理する。

 法務大臣の権限の一部を法務局又は地方法務局の長に委任する。(15条)

 以下の事項のいずれかに該当する場合は、承認申請をことができなない。(2条 3項)

・当該要件は却下事由となる(4条 1項)

1)建物の存する土地

2)担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

3) 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

4)土壌汚染対策法2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地

5) 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲につて争いある土地

「本文3、5の境界は所有権界を意味するが、それが特定されていることを判断するために承認申請者に提出を求める資料としては、土地の区画を現地において明らかにする能力(現地復元性)を備えている登記所付地図(国土調査において作成された地籍図、土地改良図等の土地所在図、登記所備付地図(国土調査において作成された地籍図、土地改良区図等の土地所在図、登記所備え付地図作成作業により法務局が作成した地図等)や積測測量図が考えられる。

これらが存在し、現場に境界標等の明確な目印があり、承認申請者が境界は図面のとおりであり争いがないと述べているような土地であれば、境界の確認に当たって周辺住民からの聴き取り調査までは必要がない場合もあると考えられる。

登記所備付地図が存在しない場合には、地積測量図ほどの精度は有しない図面であっても、国庫帰属後の 土地の管理機関が管理を要する土地の範囲を認識できる程度に所有権界が明らかあり、管理費用の算出可能な 範囲を認識できる程度に所有権界が明らかであり、管理費用の算出が可能な程度に所有権界が明らかであり、管理費用の算出が可能な範囲を認識できる程度に地積が示されている図面(例えば、現況測量(境界標や工作物を基に土地を測量して、現況の面積求めたり、平面図を作成したりする測量をいう。)により作成された図面等)が必要であると考えられる。

なお、登記所備付地図の有無にかかわらず、境界の特定の有無を判断するに当たたっては、法務局や関係行政機関の職員が現地調査に赴き承認申請者が提出する図面を基にして境界の確認行うとともに、場合よっては周辺住民からの聴き取り等の調査を実施することも想定されており、境界は提出図面のみで特定されるものではないと考えられる。それを前提にした上で、承認申請者にどのような資料の提出等を求めるかについては、承認申請者に係る費用の負担も踏まえて引き続検討する。

【部会資料 (54)6頁】

以下の事項のいずれにも該当しない場合は、法務大臣は、承認をしなければならない。(5条)

・崖(勾配、高さその他事項について政令で定める基準に該当するものに限る 。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

・除去しなければ土地 の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

・隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの

・上に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

粗放的な管理で足りるものに限定している。

8 見直し規定

・政府は、この法律の施行後 5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。(附則 2)

 不動産登記法の改正(その他新しい規律2)

外国に住所を有する登記名義人の在把握ため方策

(所有権の登記事項)

第73条の2 所有権の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1 省略

2 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

3 省略

・連絡先の登記を必須とすることはできない。

「連絡先なし」の登記を認める。 その要件等については、省令で規律する。

【ポイント17頁】 【部会資料 (53)20頁】

・連絡先として第三者の氏名又は名称及び住所等を登記する場合には、当該第三者の承諾があることを要件とする。【部会資料 (60)8頁】

・連絡先となる者の氏名又は称及び住所等の登記事項に変更があった場合には、所有権の登記名義人のほか、連絡先として登記されている者が単独で変更で登記の申請をすることができる。【部会資料 (60)8頁】

・連絡先である第三者が死亡した場合、又は辞任した場合も含めて「連絡先なし」とする変更の登記をする。【第23回部会議事録 回部会議事録 40頁】

・外国人だけでなく、外国に住所を有する日本人も規律の対象となる。【第23回部会議事録 40頁】

・国内に住所を有する者が住所変更した場合は、その住所変更の登記につき義務が課され、かつ連絡先の登記をしなければならない。【部会資料 (57)16頁】

「施行までに十分な期間を設けることで担い手の確保(登記申請時の資格者代理や取引時に関与した不動産業者なども考えられる。)の準備も可能となるものと考えられる。【部会資料 (35)13 頁】

「広く国内における連絡先となる者が具体的に登記されるよう、不動産関連業者や資格者代理人(司法書士、土地家屋調査等)が協力しならこの制度の定着に向けて積極的に関与していく必要がある」【部会資料 (57)16 頁】

不動産関連業者・司法書士等が給源となることを期待【ポイント17頁】【Q&A3 17頁】

実効性は十分でないが、できる限りの方策をとるという方針。

→「他に有効で実現が可能な解決策も直ちには見当たらないと考えられる。」【部会資料 (53)20頁】

 DV 被害者等の保護ため住所情報公開見直し

(登記事項証明書の交付等)

第 119 条 省略

2~5 省略

6 登記官は、第1項及び第2項の規定にかわらず、登記登録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度の心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者から申出があったときは、法務省令で定めるころにより、第 1項及び第2項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定め

る事項を記載しなければならない。

制度概要

・被害者等であることの公的な証明書を添付することが前提

・登記事項証明書は住所に代わる連絡先を表示し、不動産登記情報としては現 不在の住所情報を記録

・本人に対しては現住の住所を記載した証明書を交付する仕組みを検討予定。 【部会資料 (12)8 12)8頁】

登記名義人の住所に代わって登記事項証明書等に記載する住所の例【部会資 料(53)24頁】

・ 登記名義人の親族・知人等の住所

・委任を受けた弁護士事務所や被害者支援団体等の住所

・法務局の住所

対象者の範囲拡大【部会資料 (12)8頁】

・「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」対象被害者

・「ストーカー行為等の規制に関する法律」対象被害者

・「児童虐待の防止等に関する法律」対象被害者

・その他被害者(事態等の公的機関が証明書を発行することが前提)も検討

 不動産登記法の改正( その他新しい規律 3)

1 遺贈による所有権の移転の登記の手続簡略化

(判決による登記等)

第 63条 省略

2 省略

3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転登記は、第60条の規定にかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

2 法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化

要綱

(法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化)

法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続を簡略化するため、法定相続分での相続登記がされている場合において、更正の登記によることができるものとした上で、次に掲げる登記をするときは、登記権利者が単独で申請することが出来るものとし、これを不動産登記実務の運用により対応するものとする。

1 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記

2 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記

3 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記

4 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

3 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化

(1)除権決定による登記の抹消

(除権決定による登記の抹消等)

第 70条 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第99条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

2 前2項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又買戻の特約に関する登記であり、かつされた存続期間又は買戻が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請すべき者の所在が 判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

3 前2項の場合において、非訟事件手続法第106 条第1項に規定する除権判決があったときは、第 60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第1項の抹消を申請することができる。

4 第1項に規定する場合おいて、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。

同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されときも、同様とする。

4 買戻しの特約

(買戻しの特約に関する登記の抹消)

第69条の2 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、第 60条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

5 解散した法人の担保権に関する登記の抹消手続の簡略化

(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)

第70条の 2 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から30年を経過し、かつ、その法人の解散の日から30年を経過したときは、第60条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

6 附属書類の閲覧制度見直し

(登記簿の附属書類写しの交付等)

第121条 1項省略

2 何人も、登記官に対し手数料を納付して、登記簿の附属書類のうち前項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の閲覧を請求することができる。

3 何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第1項の図面を除き電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項おいて同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。

4 前項の規定にかかわらず、登記を申請した者は、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができる。

5項省略

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