2023(令和5)年4月1日施行の民法改正(遺産分割の期限、新民法第九百四条の三関係)

令和3年12月14日(火)定例閣議案件

民法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)

https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021121401.html

令和3年4月28日制定法律第24号)附則第3条

(遺産の分割に関する経過措置)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024

(遺産の分割に関する経過措置)

第三条 新民法第九百四条の三及び第九百八条第二項から第五項までの規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新民法第九百四条の三第一号中「相続開始の時から十年を経過する前」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時まで」と、同条第二号中「十年の期間」とあるのは「十年の期間(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間)」と、新民法第九百八条第二項ただし書、第三項ただし書、第四項ただし書及び第五項ただし書中「相続開始の時から十年」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時」とする。

法務省

「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」【令和4年11月28日掲載】

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

新民法第九百四条の三

(期間経過後の遺産の分割における相続分)

第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)

第九百八条 1項略

2 共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

3 前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

4 前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

5 家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

相続開始時期

~2018(平成30)年3月末日

・・・2028(令和10)年3月末日までに

2018年(平成30)年4月1日~2023(令和5)年4月1日

・・・相続開始から10年経つまでに

2023年(令和5)年4月1日~

・・・相続開始から10年経つまでに

原則として、期間内にやること

・遺産の分割。

・遺産の分割の請求(遺産分割調停の申立てなど。)。

・具体的相続分による遺産分割を受ける利益が消える→法定相続分か指定相続分(遺言)による。

例外(引き続き具体的相続分により分割)
(1)10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき
(2)10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由(※)が相続人にあった場合において、当該事由消滅時から6か月経過前に、当該相続
人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき

※ 被相続人が遭難して死亡していたが、その事実が確認できず、遺産分割請求をすることができなかったなど。

参考

登記研究 890号 11頁  2022年4月30日 村松 秀樹:法務省民事局総務課長(前法務省民事局民事第二課長)、大谷 太:法務省大臣官房参事官、脇村 真治:法務省民事局参事官(前法務省民事局民事法制企画官)、川畑 憲司:東京地方検察庁検事(前法務省民事局付)、吉賀 朝哉:法務省民事局付、宮崎 文康:法務省民事局付、渡部 みどり:東京地方裁判所判事(前法務省民事局付)、小田 智典:弁護士(前法務省民事局付)、中丸 隆之:法務省民事局付、福田 宏晃:法務省民事局付 【論説・解説】 令和3年民法・不動産登記法等改正及び相続土地国庫帰属法の解説(5・完)

家事事件手続法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=423AC0000000052_20230401_503AC0000000024

(家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 第四条の規定による改正後の家事事件手続法(以下この条において「新家事事件手続法」という。)第百九十九条第二項及び第二百七十三条第二項の規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新家事事件手続法第百九十九条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」と、新家事事件手続法第二百七十三条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」とする。

遺産共有と物権共有について

 最高裁判所第二小法廷平成25年11月29日判決民集第67巻8号1736頁

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=83773

遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい

最高裁判所第三小法廷昭和30年5月31日判決民集第9巻6号793頁

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57406

裁判要旨

一 相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない。
二 遺産の分割に関しては、民法二五六条以下の規定が適用せられる。

法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令案

法務局における遺言書の保管等に関する省令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502M60000010033

法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000010012

○法務省令第号

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080390&Mode=0

法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第四条第五項及び第九条第四項(同法第十条第二項において準用する場合を含む。)並びに法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)第十九条第二項及び第二十条第二項、並びに関係法令の規定に基づき、法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令を次のように定める。

令和五年月日法務大臣齋藤健

法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令

・施行予定日 令和5年5月1日

・遺言書情報証明書の交付等の請求を行う際、遺言書情報証明書が交付等されている場合、遺言者の最後の住所・本籍等及び相続人の氏名・住所等の記載が不要

・遺言書の保管の申請書の添付書類について、相続人の住所を証明する書類の期限の見直し

・遺言書の保管に関する事務に対応する法務局を広くする。

(法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部改正)

第一条法務局における遺言書の保管等に関する省令(令和二年法務省令第三十三号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに順次対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付した部分のように改め、改正前欄及び改正後欄に対応して掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。)は、改正前欄に掲げる対象規定で改正後欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを削り、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを加える。

改正後 

改正前

(遺言書の保管の申請書の添付書類) (遺言書の保管の申請書の添付書類)

第十二条[略]

[項を削る。

第十二条[同上]2 法第四条第五項に規定する同条第四項第二号に掲げる事項を証明する書類及び前項第一号に掲げる書類で官庁又は公署の作成したものは、その作成後三月以内のものに限る。

(遺言書等の返還の手続)

第二十七条[略]

2 遺言書保管官は、第十二条第二号の翻訳文を保存している場合において、法第八条第四項により遺言書を遺言者に返還するときは、当該翻訳文についても当該遺言者に返還するものとする。この場合においては、前項の規定を準用する。

(遺言書等の返還の手続)

第二十七条[同上]

2 遺言書保管官は、第十二条第一項第二号の翻訳法文を保存している場合において、第八条第四項の規定により遺言書を遺言者に返還するときは、当該翻訳文についても当該遺言者に返還するものとする。この場合においては、前項の規定を準用する。

(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求の方式)

第三十三条[略]

2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一請求人の資格、氏名又は名称、出生の年月日会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人で準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)及び住所並びに請求人が法人であるとき又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者の氏名代表者若しくは管理人の定めのあるものであるときはその代表者又は管理人の氏名

[二~九略]

3 次の各号に掲げる場合は、当該各号に掲げる事項の記載を要しない。

一[略]

二第一項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書が交付され又は関係相続人等による閲覧がされている場合

前号に掲げる事項及び前項第五号に掲げる事項

三[略]

(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求の方式)

第三十三条[同上]

2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一請求人の資格、氏名又は名称、出生の年月日又は会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)及び住所並びに請求人が法人であるとき又は法人その代表者の氏名

[二~九同上]

3 次の各号に掲げる場合は、当該各号に掲げる事項の記載を要しない。

一[同上]

二請求人が遺言書情報証明書又は第四十八条第二項の書面の写しを添付した場合

前号に掲げる事項及び前項第五号に掲げる事項

三[同上]

(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求書の添付書類)

第三十四条法第九条第一項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一[略]

二相続人の住所を証明する書類

三請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名

請求人の氏名及び住所と同一の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類あっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)

八請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類

[四~七略]

(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求書の添付書類)

第三十四条法第九条第一項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一[同上]

二相続人の住所を証明する書類(官庁又は公署の作成したものは、その作成後三月以内のものに限る。)

2 [同上]

三請求人の氏名及び住所と同一の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類あっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)

[四~七同上]

[号を加える。]

2【同条】

(遺言書情報証明書の交付の方法)

第三十六条遺言書保管官は、次に掲げる方法によって遺言書情報証明書を交付しなければならない。

一第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者又は管理人が本人であることを確認して交付する方法

二[略]]

(遺言書情報証明書の交付の方法)

第三十六条遺言書保管官は、次に掲げる方法によって遺言書情報証明書を交付しなければならない。

一第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人であるときはその代表者が本人であることを確認して交付する方法

二[同上

(関係相続人等による遺言書の閲覧の方法)

第三十九条遺言書保管官は、第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときは、その代表者又は管理人が本人であることを確認して、法第九条第三項の規定による閲覧をさせさせなければならない。

2 [略]

(関係相続人等による遺言書の閲覧の方法)

第三十九条遺言書保管官は、第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人法人であるときはその代表者が本人であることを確認して、法第九条第三項の規定による閲覧をなければならない。

2 [同上]がない旨を記載した謄本を含む。)

(遺言書保管事実証明書の交付の請求書の添付書類)

第四十四条法第十条第二項において準用する法第九条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一[略]

二請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類がない場合にあっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)

[三~六略]

七請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類

2 [略]

(遺言書保管事実証明書の交付の請求書の添付書類)

法第第四十四条法第十条第二項において準用する法九条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一[同上]

二請求人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)

[三~六同上]

[号を加える。]

2 [同上]

備考表中の[ ]の記載及び対象規定の二重傍線を付した標記部分を除く全体に付した傍線は注記である。

(法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部改正)

第二条法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則(平成十三年法務省令第十二号)の一部を次のように改正する。

別表第二を次のように改める。

別表第二

―略―

附則

この省令は、公布の日から施行する。ただし、第二条の規定は、令和五年五月二十九日から施行する。

加工 『社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会におけるとりまとめの方向性(案)』に関するパブリックコメントの結果の概要について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155220726&Mode=1

『社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会におけるとりまとめの方向性(案)』

に関するパブリックコメントの結果概要

■ 実施期間:令和4 年12 月27 日(火)から令和5 年1 月11 日(水)(16 日間)

■ 意見数:42の個人・団体から合計115件

「3.空き家対策に係る課題・問題意識(2)発生抑制や活用促進に係る課題」関係パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

1 空き家の残置物が活用や除却に対する課題となっているため課題として記載すべき。

・・・ご指摘の点については、3.(2)「空き家問題を生じさせないようにするためには、相続時の迅速な対応が重要だが、相続前の話し合い不足や多数の相続人の存在、所持品の処分などにより、活用に係る意思決定に時間を要している現状がある。」において「所持品の処分」として記述されております。

2 スペースシェアという空き家活用の新しい選択肢が、空き家の所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者において十分に認識されていないことも課題として指摘すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

「3.空き家対策に係る課題・問題意識(3)適切な管理や除却の促進に係る課題 ② 地方自治体の抱える課題」関係

3 空き家所有者が生活保護受給者の場合、固定資産税の住宅用地特例の解除をしても減免申請ができてしまうという制度的な課題がある。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

4 空き家の全部または一部を住宅以外の用途に活用する場合、空き家の床面積の過半以上を住宅以外の用途として活用してしまうと住宅用地特例の適用が受けられなくなってしまうことが、活用を阻害している要因の一つとなっているのでないか。

・・・固定資産税の住宅用地特例は、居住の安定確保という観点から住宅の敷地について税負担を軽減するものであるため、その性質を失った敷地について特例を継続適用することは、難しいと考えております。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(1)今後の空き家対策の基本的方向性」関係

5 全体を通じ、民間活力の活用をさらに進めるため、中心市街地の活性化や地域の商工業へ空き家の活用を推し進める施策について、ふれていただきたい。

・・・ご指摘の点については、4.(1)の基本的方向性として、「地域経済や・・・の活性化に繋げる。」とされるとともに、4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」とされております。加えて、ご指摘を踏まえ、4.(3)②ⅱ)の取組について「・地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、【中心市街地活性化】、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。」(【】は修正箇所)と追記しました。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(2)発生抑制を図る取組」関係

6 空家法の制定以降、自治体の役割が増大し、特定空家等に対する相談・苦情対応や所有者確知、除却補助金の交付等に対する人員・財政負担が年々増加している。人口減が進み空き家の活用ニーズが低い地方部では、特に空き家の発生抑制に関して抜本的対策を施す必要がある.

こうした観点からは、地域の不動産業者や司法書士が中心となって活動できる仕組みを構築することが有効だと思われる。指導という立場ではなく、第三者的に所有者の立場での意見も反映され、進展につながりやすいと考える。

・・・4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

7 空き家になる前に所有者やその家族への情報提供は重要と考えますが、意識の希薄な所有者等に対する有効なアプローチ・情報提供が難しいため、有効な対応方法を検討すべき。

・・・ご指摘に関しては、4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」、「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」等様々なアプローチが記述されています。

8 空き家問題は発生前からの予防が重要であり、その観点から、小学校時から住教育を行う、又は一定年齢以上の住宅所有者を対象に、自宅は適切に管理する必要があることや空き家問題に関する教育する必要がある。

・・・ご指摘を踏まえ、4.(2)に「・【住宅を適切に管理し長く使っていくことや、空き家が周囲の生活環境や地域コミュニティに悪影響を及ぼさないようにすることの重要性、さらには、空き家の発生抑制、早期活用、管理・除却の取組などに関する】住教育を充実する。」(【】は追記箇所)と追記し、住教育の内容を明確化しました。

また、4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等※が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」と記述されています。

9 空き家問題は、ハード面からソフト面まで包含するものであり、いわゆる縦割り行政では対応できない。空き家問題は終活の一つとして捉え、そうした視点から横断的な対応ができる体制を構築する必要がある。

・・・4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」と記述されています。さらに、ご指摘を踏まえ4.(3)②に「・所管を越えた空き家の利活用を促進するため、省庁間や地方自治体の部局間の連携体制の強化、市区町村が設置する空き家対策協議会の構成員の拡大を促進する。」の取組を追加しました。

10 福祉部局との連携は重要と考えていますが、福祉部局への協力を依頼しても、住宅政策は住宅部局(国交省)の事業であるとの主張から協力を得ることが難しい状況です。住宅政策は福祉政策でもあるとの相互理解を深める政策が必要です。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

11 身寄りや扶養義務者のいない生活保護受給者や長期施設入所者等については、経済的な問題に加え意思決定等の問題もあり家屋の適切なメンテナンスを実施することが困難な場合が多く管理不全の空き家となる可能性が高い、このため、行政内の生活保護部局と空き家部局の連携を深め、情報の共有を進めるとともに、長期施設入所者のケースワーカー等から空き家担当部局に当該入所者の所有する家屋の情報の提供を可能とするべきではないか。

・・・ご指摘を踏まえ、3.(2)発生抑制や活用促進に係る課題として、「・地方自治体内の空き家担当部局と福祉、産業振興やまちづくり等の他の担当部局との連携が限定的となっており、空き家の発生抑制や活用の取組は、必ずしも総合的なものとなっていない。」を追加しました。

また、4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

12 4.(2)の取組「空き家担当部局と福祉部局等が連携して高齢の住宅所有者への住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進」について、住まいの終活は、高齢の所有者が生前に住まいを今後どうするのか身内と話し合うきっかけになり、空き家になる前の活用を考えることから、空き家の発生抑制に効果があるものと考えています。そこで他都市の取組みを集約し、情報提供していただければ、ありがたい。

・・・4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性に「その際、地方自治体やNPO、民間事業者、自治会等の先行・優良事例について、横展開を推進する。」と記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

13 空き家の問題はそもそも当事者意識が低く、空き家の所有者以外は他人事ととらえていることが問題だと考えます。具体的な取組は市町村が取り組むべきと考えますが、その前に、情報発信力のある国が、全国規模で、国民全体が空き家問題に関心を持てるような取組をすべき。

・・4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性として、「法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

14 1 『継続的に検討する』という項目にありますが、高齢化が進む中、意思決定能力への対応に必要な検討が欠けています。相続人にも認知機能に課題があり、相続登記もままならず対応が進まない空き家が増えています。

個人の権利にかかわるところですが、相続人も困っている状況があり、今後の検討ではなく早急な対策が求められます。

・・・ご指摘の点については、憲法に定める財産権に関わる慎重に検討すべき課題であり、継続的に検討する取組として整理されています。

15 高齢、生活保護、健康状態等によって所有者等が対応することが不可能な事例がある。その場合、所有者等に代わって管理責任を全うすべき者を設定するなどの仕組みは検討できないか。

・・・ご指摘の点は、4.(2)継続的に検討する取組とされた「意思決定能力に欠ける所有者への対応はどうあるべきか。」に含まれております。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ① 相続等により空き家を取得した段階での取組」関係

16 4.(3)の「相続人への意識啓発・働きかけや相続時の譲渡等の促進」に関し、相続よりも前の段階からの啓発が必要である。また、国民の関心を捕らえ、危機感を感じてもらうためには、こうした意識の啓発にあたり、都道府県や国が広く広報に務めるべきである。

・・・ご指摘の点については、4.(2)「所有者やその家族の意識の醸成」において「所有者の生前で、かつ、判断能力が十分なうちから、その家族も含め、「住宅を空き家としない」との意識が醸成されるよう、「終活」の一環としての「空き家対策」の重要性や空き家のリスク等について、所有者等への啓発や働きかけを促進する。」と記述されています。また、4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性として、「法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

17 第一回資料5 の「相続が行われず、権利関係が錯綜している物件について、全国的課題とされている」という意見に賛成です。権利者全員が相続放棄して、責任者がいない場合はさらに対応が難しいので、「危険な空き家を誰が管理するのか」「危険でない空き家だったら誰が管理するのか」というところの明文化を求めます。特に、民法940条「相続の放棄をした者による管理」の規定の解釈の指針を示してほしい。

・・・空き家の管理については、空家法第3 条に「空家等の所有者又は管理者は周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家等の適切な管理に努めるものとする」と規定されています。また、4(4)①所有者の主体的な対応を後押しする取組として「所有者の責務の強化」が記述されています。

ご指摘の民法第940 条については、「『空家等対策の推進に関する特別措置法』に関する御質問について(平成27 年12月25日付 国土交通省住宅局住宅総合整備課・総務省地域力創造グループ地域振興室から都道府県・政令市あて事務連絡)」において「民法第940条義務を負うこととなる「最後に相続を放棄した者」は、まず空家法第3条の努力義務を負うこととなりますが、民法第940条義務はあくまで「相続人間のものであり、第三者一般に対する義務ではない」ことから、「最後に相続を放棄した者」については、そのような民法第940条第1項により義務付けられた範囲以上の努力義務を空家法上負うことはない。」としています。なお、令和5年4月1日施行の民法ではさらに、「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」と限定されています。

18 具体的な取組「市町村の死亡や相続等に係る手続きの中で、相続人に対して空き家のリスクや相談先を周知し、早期の決断を促進」について、市区町村での死亡時の手続は多数あるため申請者は余裕がなく、また、死亡時は所有者が確定していないため、登記事務を行う法務局を中心に取り組んでもらいたい。

頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

→未登記は?

19 具体的な取組「市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局等と連携して相続人を把握し、空き家バンクへの登録を働きかけ。」について、過去に戸籍担当部局へ情報提供を求めたところ、空家法は税に関する情報提供のみを定めたもの、との理由・解釈により、断られたことがあります。このため、国において情報提供に係る明確な基準を定めてもらいたい。

・・・「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」第1 章3.に「空家法第10 条により、市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家の所有者等に関するものについては、法の施行のために必要な限度において内部利用できる」とされており、税に関する情報提供のみを定めたものでありません。引き続き周知して参ります。

20 具体的な取組「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度の延長・拡充による空き家の早期譲渡を促すインセンティブの拡大。」について、非常に重要かつ効果的な取組である一方で、相続時に認知している者がすくないため、相続人や不動産関連事業者への周知を進めてもらいたい。

・・・ご指摘を踏まえ4.(3)①について「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度について、その延長・拡充により、空き家の早期譲渡を促すインセンティブを拡大【するとともに、制度をわかりやすく周知する。】」と修正します。

21 取組「市区町村の死亡や相続等に係る手続きの中で、相続人に対して空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)や相談先を周知し、早期の決断を促進。」について、相続人への早期の働きかけは重要と考える一方で、死亡手続きに来られる遺族に対して、空き家のリスク周知や早期の決断を促すような対応は慎重に行うべきであると考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅰ) 所有者へ活用を促す取組」関係

22 空き家対策は地域性が出るものになります。市街地と郊外、山野で周囲への影響や地価、土地の需要に差があります。山野にある周囲への影響がない建物を解体する必要があるのでしょうか?解体費は所有者が負担すべきものであり、補助をしてまで解体を進める必要はありません。また、市街地の空き家も活用すべき、という内容もありますが、直していつまで使えるか、そこにどこまで費用をかけるかという視点がかけています。

・・・ご指摘の趣旨もふまえ4.(3)②の冒頭において「都市部・地方部など地域を取り巻く状況を踏まえた取組の展開を促進する。」と記述されているところです。また、4.(3)に記述されている活用方策だけでなく、4.(4)に「特定空家など利活用が難しい空き家の除却を更に円滑化する。」とされているように、空き家の適切な管理や除却の促進についても取組を整理しております。

23 空き家の残置物が活用や解体の課題となっており、残置物の処分に対する支援を行うべき。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されてり、残置物の処分を含めたモデル的な取組に対して支援を行ってまいります。

24 取組「地域レベルで空き家をそのままにしない意識の醸成・地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけ」や「 NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」を行う自治体への支援制度を構築して頂きたい。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されており、モデル的な取組に対して支援を行ってまいります。

25 取組「地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進。」について、遠方にすむ所有者に対しては有効に作用しないのではないか。

・・・もともと居住していたが引っ越した場合など、遠方に居住する所有者に対しても一定の効果はあるものと考えます。なお、4.(3)にご指摘の自治会等からの働きかけも含め、各種取組が記述されているところであり、総合的に取り組む必要があると考えられます。

26 取組「地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進。」について、所有者が遠隔地に居住する場合は限界があるため、人口の多い都市部の自治体との連携などをすすめる必要があるのではないか。

・・・ご意見を踏まえ、4.(3)②の具体的取組ⅰ)に「・地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、【遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。】」(【】は追記部分)を追加しております。

27 所有者の修繕費用の負担が空き家の流通に係る課題となっている現状に鑑み、個人でリフォームしなくても売却できる仕組みの推進が有効ではないか。

・・・現状の空き家の流通において、リフォームは売主、買主どちらが実施する場合もあると認識しています。また、4.(3)①の取組として記載している「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度」においては、空き家所有者ではなく買主が耐震改修を行う場合も対象とするよう拡充したところです。

28 近年、シェアリングエコノミーの普及により、空き家・空き店舗などの使わないスペースを、マッチングサービスを通じて、時間貸し、民泊、多拠点居住などの用途で活用する事例が多く生まれている。こうしたスペースシェアを含めた多様な選択肢の存在を、空き家の所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者が認識し、連携して活用を促していくことが重要ではないか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

29 「(2)発生抑制を図る取組」「(3)活用促進に向けた取組」「(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組」において、空き家所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者に対し、スペースシェアを含む多様な選択肢(上記提言資料P9 参照)を啓発し、その活用を促進する旨を追加すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅱ)活用需要喚起と活用希望者の判断に資する情報提供の充実」関係

30 行政と専門家が連携し合いながら運営する相談窓口の充実は必要。特に不動産価格の安い地域になればなるほど、専門家の収益性が乏しいため、それに対する行政側からの永続的な補助も必要

・・・相談窓口の充実に関するご意見については、4.(3)②ⅰ)の取組として「・地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。」が記述されています。行政支援に関してのご意見については、相談窓口の運営のあり方も含め、とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

31 「具体的な取組」において、以下の追加を検討いただきたい・空き家対策と活用(居住支援、創業支援 etc)の一体的対応(ワンストップ化)とコーディネート(関係機関をつなぐ人)

・空き家対策協議会と居住支援協議会の一体化

・・・空き家対策と活用の一体的対応及びコーディネートについては、4.(3)②ⅱ)の取組として「・地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。」が記述されています。また、空き家等対策協議会と居住支援協議会については、一体的な運用や連携の強化していくことは現状でも可能であり、頂いたご意見については、取組を具体化する段階において参考とさせていただきます。

32 「地域における空き家の利用ニーズを集約し公開する取組を促進。」について重要な取組であり、ニーズの集約にあたり不動産団体等民間事業者の活用や協力が必要と考えます。このため、具体的な取組手法などガイドラインの整備をお願いします

・・・頂いたご意見は、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅲ) 活用を促進する仕組みや支援の充実」関係

33 相続関係が問題で処分が進まない場合、専門家が権利関係の処理、除却・売却などを行い、その費用を回収するシステムが構築できれば、かなりの需要があると思われる。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されています。頂いたご意見は、モデル的な取組に対する支援など、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

34 「・地域特性を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、規制の合理化など)」は重要と考えます。一定のエリアには、中心市街地や観光地のみならず、例えば第1種低層住居専用地域などこれまでに良好な住環境が形成され、立地適正化計画等で居住誘導を行うエリアなどを含むことにより空き家対策に有効と考えます。また、そのエリア内で空き家を購入した者などへの税制優遇なども空き家解消への効果があると考えます。

・・・ご指摘の記述にある「一定のエリア」には、中心市街地や観光地だけでなく郊外の住宅団地なども含まれると考えております。

35 「・地域特性を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、規制の合理化など)」に関し、空き家が年々増える中、建築当初の用途に縛られない空き家の利活用を模索する動きが目立っているが、空き家を宿泊施設や飲食店へ活用する場合、例えば第一種低層住居専用地域では用途の制限があり現実的に困難であることから、空き家の利活用が進む規制緩和が必要。また、市街化調整区域内の空き家を自己が居住する専用住宅や店舗へ活用する場合は、都市計画法第43 条に基づく用途変更の申請が必要となるが、届け出制とするなど手続きの簡素化が必要。

・・・頂いたご意見は、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

36 「地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み」について、都市部では山間部とは違い土地価格により解体費が負担できるため、建替えを促す仕組みを期待する。(特に昭和55年以前の耐震不足の建物)。一方で、古い街並みも多く残っており、エリアを絞り、こうした街並みを観光資源としたまちづくりが可能な、空き家施策の仕組みを期待する。

・・・ご指摘いただいた点は、「地域特性等を踏まえた」「重点的な活用」に含まれうるものであり、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

37 「地域特性等を踏まえた~重点的な活用を促進する仕組み」について本市では、斜面地など防災面や接道条件に課題を抱えた地域において多数の空き家が存在していることから、これらの空き家の活用・建て替えを促進するための重点支援や規制の合理化を可能とする仕組みを整備していただきたい。

・・・ご指摘いただいた点は、「地域特性等を踏まえた」「重点的な活用」に含まれうるものであり、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

38 空き家が発生する原因の一つに、街区や土地の形状が悪い場合があるが、それらの要因は空き家の所有者が単独で解決することが難しいため、空き家が集積しやすい。そこで、このような原因が考えられる地区については、行政が介入し道路の幅員・形状、土地の形状・接道要件を改善する制度を創設するなど根本的な問題の解決を図る必要がある。

・・・4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」と記述されています。いただいたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

39 3.(3)①「所有者に解体後の土地の活用イメージがない。」について、宅地に限らず土地の付加価値を高め土地利用を促す仕組みを整備していただきたい。また、都市基盤がぜい弱な斜面地等と平地部では必要な対策が異なるため、それぞれの特性に応じた仕組みを整備していただきたい

・・・4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」と記述されています。いただいたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

40 土地の流通を促進するためには、5 ページ目4(3)①4つ目の・「譲渡所得の特別控除制度の延長・拡充」及び6 ページ目4(3)②ⅲ)4つ目の・「低未利用地の長期譲渡所得の延長・拡充」が有効な取組みと思われるため、継続して拡大等に取組んでいただきたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

41 空き家が増加する≒住宅が余る状況においては、居住目的以外への活用につなげていくことが重要だと考えます。そのためには、地域活性化に資する取組に対する、改修費補助等の適用条件の緩和や、税の軽減措置(固定資産税の住宅用地特例と同等の扱いとする等)の適用対象とすることが有効と考えます。

・・・4.(3)②ⅲ)「・地域活性化に資する空き家活用の取組(空き家活用に必要な耐震改修、省エネルギーやバリアフリー改修等を含む。)に対し、支援を行う。」と記述しているところです。頂いたご意見については今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組 (4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 ① 所有者の主体的な対応を後押しする取組」関係

42 第一回の意見まとめの「所有者にインセンティブを渡すより罰則が有効」という意見に賛成であり、(4)①の取組として「罰則の強化」を明記してほしい。

・・・「罰則の強化」については国民の権利・義務に大きく影響することから慎重な検討が必要であり、本とりまとめに記述すること困難ですが、4.(4)①の取組「所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。」のほか、「所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。」、同②の取組「そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されているところです。

43 「所有者の責務の強化、行政の施策への協力促進」について、空き家の適切な管理が所有者の責務であることは当然だと考えます。所有者自身も自分の財産であるとの意識は納税をする点からもあると考えますが、納税さえしていれば、といった考えや遠方にあるため管理が面倒くさいといった考えが生じることになると思います。そのためにも責務の強化は重要であると考えますが、罰則的なものとの対の施策が必要ではないかと考えます。

・・・「罰則の強化」については国民の権利・義務に大きく影響することから慎重な検討が必要であり、本とりまとめに記述すること困難ですが、4.(4)①の取組「所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。」のほか、「所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。」、同②の取組「そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されているところです。

44 空き家解体や家財を処分する費用が高いという点が、空き家を放置する一つのきっかけになっている。建物解体の補助や家財処分の補助なども必要ではないか。

・・・4.(4)①の取組「・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。」及び「・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」が記述されているところです。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組 (4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 ② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組」関係

45 行政代執行や固定資産税の住宅用地特例解除など、率先してやって行くべき。そうすることで住民の危機意識が上がり、自ずと空き家問題への対応をして頂ける環境になると考える。

・・・4.(4)②に市区町村の積極的な対応を可能とする取組が記述されているところです。

46 登記簿等から所有者判明せず数年管理されていない空き家の所有者や相続人を司法書士や弁護士などが調査できるようにする、相続放棄された物件は購入したい人からの申し立てで財産管理人を立てられるようにする、又は相場の価格を法務局に供託することで取得できるようにするなど、活用が進む政策をお願いしたいです。

・・・4.(4)②市区町村の積極的な対応を可能とする取組として、「・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る(市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局に公用請求し、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報を取得することが可能となること等による空き家所有者等の調査の円滑化、電力会社等にある所有者情報の市区町村への提供円滑化など)。」、また、「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」等が記述されているところです。頂いたご意見については今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

47 示された方向性(案)はいずれももっともですが、相続人の意識向上に依存する部分が大きく、そのままでは十分な効果が期待できるか疑問も持たざるを得ません。施策が効果を上げるためには、空き家を放置しないインセンティブを高めるよう、相続登記しない場合のペナルティが段階的に強化される制度の導入や不動産に限定した相続放棄制度の創設などを実施する必要があるのではないか。

・・・空き家を放置しないインセンティブが高まるよう4.(4)②市区町村の積極的な対応を可能とする取組として「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されています。いただいたご意見については、今後の施策の参考とさせて頂きます。

48 権利者が多数いる場合は、空き家の解体等は全員の同意が必要となるため、解体が進まない実態がある。このため、特定空家等については、一部の相続人の判断で解体できるようにしていただきたい。

・・・他の権利者の財産権を侵害することになる可能性があると考えます。ご指摘のケースについては財産管理制度の活用が考えられます。また、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。

49 放棄された空き家は自治体で対応するほか手がないため、利活用可能な建物も含めて、財産管理人制度を利用しやすいような法整備や補助金が望まれる。

・・・ご指摘の点については、4,(4)②の取組として、「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。また、財産管理制度を活用した場合の回収不能な費用について空家対策総合支援事業で支援対象としています。

50 特定空家となる前に所有者に適切な管理を促すには、国税徴収法で認められている財産調査権などを付与し、市区町村の空き家担当職員の権限を強化する必要がある。(具体的には、現在の内容では空き家所有者の情報が住民票で知れる情報などに限られ、住民票を移していないなどの理由で所有者にたどり着かないケースがある。例えば、これが所有者の勤務先を調査できるようになれば、勤務先に問い合わせ在籍確認や転職先、最新の居所を知ることができるようになる。また、財産管理人選任の申し立てをしなければならない場合に、財産調査権があれば、予納金が必要であるか否か、申し立て前にある程度状況を予測することができ、場合によっては不必要な予算を措置しなくても良くなる。

・・・4.(4)②の取組として「・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る。」及び「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されており、頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

51 現在の空家特措法では「空家等の所有者等に関するもの」の情報を税務担当かから取得できますが、取得できるのは所有者の情報であり法定相続人全ての情報ではありません。そのため、法定相続人探索が必要になった場合には、独自で一から捜索を行う必要があり、戸籍情報は電子化していないことから捜索に多大な時間を要しております。税務担当課が納税通知者を捜索した情報(法定相続人調査情報)を取得出来るように、法文の中の「所有者等」に含むものとする総務省通知を出来ないでしょうか。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

52 空家法による税部門からの情報提供は有効で、所有者探索に活用できる情報の入手先の拡大及び円滑化は重要であると考えます。空家法に基づく空き家の所有者に基づき、他市へ所有者に関する情報提供の依頼を行った際、個人情報であることから、所有者から情報提供に対する了解を得られた場合のみ情報提供を受けられました。このことから、情報の取得の円滑化は課題であり、取組の強化は有効と考えます。

ご指摘の税務情報のほか、令和4 年に改正された住民基本台帳法に基づき、住基ネットを利用できる事務に空家法等の調査事務を追加しました。また、「令和4年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和4年12 月20 日閣議決定)において「市区町村が法令の定める事務を遂行するための情報提供の求め等に係る規定に基づいて行う戸籍謄本等の請求及び交付については、戸籍情報連携システムの運用開始後において、戸籍謄本等に記載されている者の本籍地にかかわらず、当該事務が同一市区町村内で完結できることとする。」とされております。今後、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報取得することが可能となる予定であり、市町村による所有者等の調査を円滑化するための措置が講じられているところです。

53 「・市区町村が所有者探索に活用できる情報の拡大や取得の円滑化。」について、現在の法定相続人が相続放棄をすることで、新たな相続人が100名以上になる場合がある。このような場合、戸籍の郵送による請求には時間がかかり、所有者確知まで、かなりの時間を要することになる。また、このような案件は、相続登記の義務化では対応されることは想定されにくいため、今後も、対象案件の増加が懸念される。

住基ネットが活用可能となったのと同様に、戸籍情報についてもシステムの閲覧が可能となるよう検討をお願いしたい。加えて、住基ネットについても住所のみでの検索や氏名のみでの検索をできるようにする等、所有者調査の初動にも対応できるように、利便性の向上を検討していただきたい。

・・・「戸籍情報」に関しては、「令和4年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和4年12 月20 日閣議決定)において「市区町村が法令の定める事務を遂行するための情報提供の求め等に係る規定に基づいて行う戸籍謄本等の請求及び交付については、戸籍情報連携システムの運用開始後において、戸籍謄本等に記載されている者の本籍地にかかわらず、当該事務が同一市区町村内で完結できることとする。」とされております。また、「住基ネット」については、関係省庁にもご意見を共有し、今後の参考にさせていただきます。

54 現在の「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空家等に限って必要な調査をすることができるとされているが、いわゆる「空き家予備軍」に関しては、調査権がないため、情報入手手段がない。「市区町村が所有者探索に活用できる情報の拡大や取得の円滑化」を具体的な取組に挙げているため、調査権の強化についても具体的に盛り込んで欲しい。(特に高齢者単身世帯、高齢者夫婦のみの世帯など、本人等が認知症の発症や急な入院等で不在となり、そのまま空き家になってしまう前に、親族等の調査ができれば、空き家の発生を未然に防ぐことができる。)

・・・ご指摘いただいている点については、4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」が記述されているように、空き家部局と福祉部局の連携の強化による対応が考えられます。

「調査権の強化」についてのご意見については、個人情報保護の観点から慎重に検討すべき課題であり、今後の施策検討の際の参考とさせていただきます。

55 「市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み」について、特定空家等への指定は、最終的に市が公費を投入し、代執行を行うに値する大義名分が必要となるためハードルが高い。特定空家等となる前段階で、所有者に対し適切な管理をするよう勧告が可能な仕組みがあれば、その効果は大きいと思われる。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する際の参考とさせていただきます。

56 空家特措法に特定空家よりも軽度な老朽空き家を指定する制度をつくることができないか。個人の財産権が関わる行政代執行は行政にとってハードルが高く、それを理由にして特定空家の指定が進んでいないと推測される。そこで「準特定空家」のような制度を新設し、固定資産税の減免撤廃もしくは前述の建物への課税額引き上げと行政は助言・指導のみを行うような担当部署の負担をあまり増やさず指定しやすい仕組みにできないか。

・・・4.(4)②に「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する際の参考とさせていただきます。

57 住宅用地特例の解除等、特定空家等になる前の段階から、早期のうちに適切な管理や除却がされるような仕組みが作られることが望ましいと考えます。特に、空家の適切な管理は所有者の責務であるため、所有者の主体的な対応を後押しする取組が重要です。

・・・4.(4)②に「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組み」が記述されております。

58 具体的な取組として、「特定空家等となる前段階での固定資産税の住宅用地特例の解除の検討」が示されたが、これまでは勧告まで至らなければ不利益が生じないことがあったため、認定に踏み切っているケースもあると思われる。今後、上記の検討を進める際には、既に認定した物件に対する対応についても適用の取扱いを示して頂きたい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

59 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み。(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、固定資産税の住宅用地特例の解除はかなりの成果があると予想される。特別なものだけを判断するとなると形骸化する恐れがあるため、基準は単純なものかつ広く対象とすることが望ましい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

60 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」において、税の公平性を鑑み、国において一定(空家の期間や、不良度、周辺への危険性(樹木を含む))の基準を設定することをお願いしたい。空家の所有者は、遠方に住むことが多く、空家所在地と、所有者等の居住地域での取り扱いに差が出た場合、所有者に対し説明が難しくなる。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

61 法施行以来、管理不全な空家等への対策が進み、内容が「建築物の老朽化」から「樹木の繁茂」へ移行している。樹木について特定空家等とした場合は剪定の代執行となり、一時的に解決するだけでまた繁茂は繰り返され、自治体が継続して管理を代行してあげる結果となり根本的な解決に至らない。固定資産税が上がってもそのまま払い続ける所有者は一定数いると思われ、現行法の特定空家等という手段とは別の、管理しない所有者への措置が必要と感じている。(例:管理不全通知に対応しない段階での、所有者住所氏名の掲示など。)

・・・ご指摘のケースについては財産管理制度の活用が考えられ、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

62 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、特定空家等になる前段階での住宅用地特例の解除については、管理意識の希薄な所有者の対応を後押しする取組として有効であると考えるものの、国による統一的な基準等を示していただきたいと考えます。また、特定空家等に関わらず、空き家が住宅用地特例を受けるためには申告制 にするなどの、抜本的な見直しが重要と考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

63 「市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切管理を促すことを可能とする仕組み。(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、空き家を除却する前に固定資産税の住宅用地特例の解除を行った場合に、除却後も住宅用地特例が適用外となるため所有者のメリットがなく空き家を放置することが考えられる。「地域の実情に応じ、市区町村の条例等により一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が可能であることの周知、横展開。」の記載もあるが、固定資産税等の軽減措置は国として制度設計がなされるべき。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、都市部、地方部等、地域の実情のほか権利関係や所有者の状況等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

64 ・「管理不全となると住宅用地特例を不適用にする」という取り組みがいくつか見受けられるが、住宅用地の特例はあくまでも土地所有者に対するもので、土地と住宅の所有者が異なる場合には何の効果もない。住宅用地特例が解除されることをちらつかせることに効果があるのか検証が必要ではないか。また当該小委員会に制度所管の総務省がいないなかで、「特定空家等となる前段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする取り組み」として住宅用地特例の解除を挙げていることに違和感を感じるし、具体的にどのように実施するつもりなのか、わからないので不安。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、権利関係のほか、所有者の状況、地域の実情等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。なお、本小委員会には、オブザーバーとして総務省自治税務局固定資産税課も参加しているところです。

65 固定資産税評価額の安価な地域については、住宅用地特例を解除しても、金銭的な影響は少ないと考えられ、効果は限定的である。また、固定資産税の住宅用地特例の解除は、所有者が一旦それを容認すれば、次の打つ手がない。空家が活用され、放置空家にならないためには、さらなる対応が必要ではないか。例として、固定資産税の住宅用地特例の解除は、早い段階で適応し、特定空家等の勧告時は、固定資産税の税率の上乗せなどが考えられる。なお、税の取り扱いについては、住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼす

かについては、都市部、地方部等、地域の実情のほか権利関係や所有者の状況等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、所管省より市区町村の税務担当に、確実な周知をお願いしたい。

・・・4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

66 財産管理人専任の申立を市区町村が行うことにより、管理が行われていない空き家の解消につながると思いますが、相続人がいなくなって年月がそれほど経過していない空き家は特定空家等とはみなせず、申立を認められないケースがあると思われます。相続人不存在の空き家は空き家の状態の良し悪しに関わらず申立てが認められるようにしていただきたいと思います。

・・・4.(4)②に「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

67 市区町村の取組のうち、緊急時の代執行等の制度を創設する場合は、所有者責務とのバランスや、緊急と判断される状態、費用徴収等の課題について、先行して条例等に基づき実施している自治体へのヒアリングなどにより、本制度が各自治体において適切に運用されるよう制度設計がされることを期待しています。

・・・第2 回小委員会(2022 年11 月22 日)において、緊急時の代執行制度を運用する2 つの自治体から、その効果・課題等についてヒアリングがなされています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

68 緊急時にも代執行ができる仕組みは有効であると考えます。通常の手続きと緊急時の手続きの違い、相違点や流れ等をガイドライン等により判断基準を明確に示していただきたいと考えます。

・・・4.(4)②の取組として「・緊急時の代執行など、市区町村が特定空家を対象に行う措置をより円滑化する仕組みについて検討する。」が記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

69 「・緊急時の代執行など市区町村による特定空家の所有への円滑な措置を促進する仕組み」について、代執行を行うにあたっては、特措法第14 条の規定に基づき順を追って手続きを進める必要があり、時間と手間を要する。降雪による建物倒壊のおそれや台風などの突風による瓦の落下など、具体的な危険が間近に迫った場合、自治体が緊急的に対応できる規定を特措法に明文化することが必要。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

70 「緊急時の代執行など~円滑な措置を促進する仕組み」について通行の障害となるなど、緊急に除却等の対応を行う必要がある空き家に対する対応に苦慮しており、簡便な手続きによる緊急時の代執行が行えるような仕組みを整備していいただきたい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

71 「活用困難な空き家の除却への支援強化」について、活用困難とは、特定空家等や不良住宅などの老朽危険空き家を指すものと推察されるが、空き家の状態にかかわらずその跡地は活用困難な状態にある。現在の支援において、不良住宅、特定空家等以外に課されている跡地要件を全面的に撤廃していただきたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

72 「・活用困難な空き家の除却への支援強化。」について重要であると考えます。活用困難な空き家であっても、線引き以前に建てられた市街化調整区域内の既存住宅は、当該地に新たな住宅を建築するための許可要件に伴う影響から除却に至らないケースが見受けられます。住宅を除却しても新たな住宅の建築が可能な土地であることを証明するための制度等が必要と考えます。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

73 所有者等に対応能力がないと判断できる場合はその親族(1 親等や配偶者などの近い親族)へ代執行費用を請求できるよう検討していただきたい。行政が行政代執行を行う際、最も懸念する点は費用の回収である。特定空家等の所有者等は支払い能力がない場合が多く、差押等でも費用の回収は困難である。

・・・所有者以外の者に費用請求を行うことは困難と考えます。また、4.(4)②に「・活用困難な空き家の除却に対する支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

74 危険空家を行政代執行で解体した後の債権回収の際、所有者が当該物件(土地、家屋)以外の資産を保有していない場合は行政代執行法に基づき当該物件を公売することとなるが、物件に抵当権が設定されている場合は、それに比べ代執行費用が劣後するため債権の回収が困難となり、代執行費用の予算化の障害となる。また、抵当権者の立場からすると、債務者が多額の費用を負担し当該物件を補修するより、行政代執行によって家屋が解体されたほうが物件の価値が上昇するため、空き家等を活用せず放置することが有利となる場合も考えられる。

よって、危険空家の解体に係る行政代執行に関しては、抵当権等の民間債権に優先して代執行費用の回収を可能とする制度が必要である。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

75 「地域の実情に応じ、市区町村の条例等により一定の空き家を除却した場合の固定資産税の負担軽減が可能であることの周知、横展開」について、可能とする根拠や事例をぜひ紹介してください。また、更地となった土地が買い手もなく住宅が建つ見込みもない場合、山林や農地に地目変更する方法など相談できる機関があると解体が進むと思います。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

76 除却の意思はあるものの、費用が高く資金の工面ができない所有者や、除却後の土地が活用できないために除却することをためらっている所有者も一定数いることから、除却後も住宅用地特例が一定期間適用される激変緩和措置など所有者等の状況への配慮も必要。

・・・4.(4)①に「・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。」「・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」、同②に「・地域の実情に応じ、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が市区町村の条例等により可能であることを周知するとともに、事例の横展開を図る。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

77 固定資産税については、市町村において減免等が可能であるが、市町村としても歳入の減少となるとなかなか踏み出せない状況にあるため、一定の条件のもと、交付税措置等により市町村の負担を軽減する等、支援の検討をお願いしたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

78 地域の実情に応じて空き家を除却した場合の固定資産税等の負担軽減が可能とのことだが、課税の公平性としてモラルハザードを起こしかねない記述だと感じる。一部自治体で確かに実施していることだと思うが、これをスタンダードとしてよいのかは疑問。住宅用地特例は適用されることが「当たり前」になっており、更地にしたら「税金が上がる」という印象になっている。難しいとは思うが、むしろ総務省には、住宅供給過多の今の時代にあわない宅用地特例・新築住宅に対する減額などを取りやめ・縮小させ、むしろ中古住宅(空き家含む)の流通・改修して長期的に利用することを誘導するような税優遇を検討してほしい。

・・・住住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、都市部、地方部等、地域の実情等によって異なるため、「地域の実情に応じ、」と記述されているところです。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

79 市町村がマンパワーや専門的知識の不足により十分な対応ができていない状況は課題等として記載されておりますが、これらを支援する方針を記述していただきたい。

・・・4.(4)②に「・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。」が記述されております。

80 空き家対策では小規模な自治体が少ない人員でノウハウも蓄積もなく対応し(疲弊し)ているのが現状であり、担当職員への負担が大きい。国が直轄で複数の小規模自治体の空き家対策、特に所有者(相続人)の確定と除却促進する体制づくりが必要と考える。現場では、税、相続、建築など多岐に亘る事務能力が必要となり負担が過大となっている。

・・・地方自治体の人材確保の取組として4.(4)②「・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。」が記述されております。また、地方自治体を補完する取組として4.(5)①「・NPO 等が地方自治体と連携し、空き家の所有者に対して空き家の早期活用や適切な管理、活用が難しい場合の除却を働きかける取組を促進する。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

81 空家特措法に基づく、空家等の定義と住宅・土地統計調査(総務省)での定義に相違があることは示して頂きたい。特措法では、一棟全体を一つの建築物として判断するため、共同住宅の一部で居住や使用がされている場合(空き室)は対象外となり、空家等として取り扱えないものと考えます。

・・・空き家特措法に基づく空家等の定義と住宅土地統計調査の空き家の定義の違いについては、本とりまとめの趣旨に影響がないため記載しておりません。本とりまとめは、空家法に基づく空家を主に対象となっていますが、長屋等の一部が空き家となった場合の対応については、4.(4)②の継続的に検討する取組として「・長屋等の空き住戸の適切な管理等を促進する方策はどうあるべきか。」が記述されています。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組」関係

82 スペースシェアという空き家活用の選択肢の認知を広げるためには、自治体・NPO 等の空き家対策に携わる関係者の理解促進及びスペースシェア事業者との連携促進が欠かせないことから、「(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」において、空き家等対策に携わる地域の関係者とスペースシェア事業者との連携促進を図る旨を追加すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

83 「NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」に全国で活動する民間企業との連携の促進について記載してはいかがでしょうか。NPO 等を含む民間事業者の中でも特に、全国の空き家対策にノウハウを持つ不動産業者などと協力することも重要と考えます。

・・・4.(5)①「NPO 等の民間主体の活動を促進する取組」にNPO 等の民間主体との連携について記述されています。また、NPO 等の民間主体に全国で活動する民間事業者も含まれています。

84 地方自治体が民間事業者と連携する際には「営利」という壁があるため、中間組織・団体を活用した民間事業者との連携や中間組織の位置づけの明確化などが必要ではないか。また、空き家対策においては県の位置づけが不明瞭となっているのではないか。

・・・NPO 等の中間組織が活動しやすい環境の整備を進める観点から、4.(5)①「・NPO 等が、所有者に寄り添って空き家の活用・管理に係る相談対応や所有者と活用希望者とのマッチング等の活動をしやすくなるよう、環境整備を推進する(公的位置づけの付与、市区町村からNPO・社団法人等への所有者情報の円滑な提供、活動への支援等)。」が記述されています。

都道府県については、空家法第8 条において「都道府県知事は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施その他空家等に関しこの法律に基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならない。」と規定されております。

85 「・空き家の管理を専門的に行う事業者の育成」は重要な取組と考えます。空き家所有者の負担が生じることから、所有者または管理を行う事業者に対する支援が必要と考えます。また、現在、多くの市町でシルバー人材センターによる管理も行われています。民間事業者より低額で、所有者の負担軽減にも有効であると考えており、シルバー人材センターの活用に対する支援も重要であると考えています。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ② 地域コミュニティにおける取組」関係

86 「・地域レベルで空き家をそのままにしないとの意識の醸成。」の取組は重要と考えます。行政に対策を求める主旨とならないようガイドライン等による地域による空き家活用方法などを示す必要があると考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段

階の参考とさせていただきます。

○ とりまとめの方向性(案)に直接関係しないが空き家対策に関連するご意見とそれらに対する考え方

パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

87 新築を抑制する制度設計を考慮してほしいです。人口が減っていますが、新築は減少の一途ではありません。新しい家が増え、さらに空き家も増えていけば、対処療法では解決が難しいのではないでしょうか?増えている空き家の利活用はもちろんですが、新築を抑制しなければ、いつまでも空き家は減らないはずです。新築への抑制策なくして、空き家の解消はできないと考えています。ぜひ、空き家の価値がつくような新築抑制策をご検討いただければと思います。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

88 空き家が解体されず放置されるリスクを低減するために、個人が住宅を建築する際には、自動車のリサイクル料金のように構造や面積等に応じて、一定の負担金を徴収し、公益財団法人等が積み立てて、いざ個人所有者が建物を解体するときに空き家かどうかは関わらず、積立金の中から解体費用の一部助成が受けられるような制度作りが必要と考えます。御省には、そういった制度設計が可能かどうかの検討を実施して頂きたいと考えます。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

89 空き家発生の原因の一つに新築住宅(一戸建て、アパート、マンション)が、未だに需要より多く販売されていることが挙げられる。仮称新築購入税や建物リサイクル税等を創設し、新築建物購入者にも一定の空き家対策負担を求められないか。ハウスメーカー等事業者負担も並行して検討してはどうか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

90 空き家を放置する理由として、所有者が高齢で身内もなく、管理する費用もなく、借地であり売却したいが売れないなど、費用の面で放置される事例が多い。この場合は、最終的には行政代執行まで行く可能性が高い。そこで、住宅の所有者に管理費や解体費用を強制的に徴収できるような、家電や自動車のリサイクル費用のように、事前に徴収する制度等を検討いただけないか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

91 東京都の23区内の物件について、建物所有者が分からない、相続人が数代にわたり数十人と多くなり区役所ではすぐに相続人を把握できないケースでも都税事務所は相続人代表者に通知を送り課税ができている場合がある。しかし都税事務所は空き家特措法の特定空き家案件以外では個人情報を盾に区役所にもほとんど情報を出さない。所有者代表を把握する間に老朽化が進んでしまうことが多く、都税事務所と区役所の情報共有を強化し管理不全状態を早期に解決できないか。

・・・空家法第10 条第2 項に「2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとする。」と規定されているところであり、本規定の趣旨を周知して参ります。

92 市税部門との連携の強化も必要と考える。管理不全であり、市税の滞納もあるような空家であれば、公売へすすめるといった対応が可能となる。

・・・空家法第10 条の趣旨を踏まえ、空き家担当部局と税担当部局の連携を促進して参ります。

93 相続人が不存在となる理由の一つとして相続放棄が挙げられますが、空き家が相続放棄されていることが空き家所有者調査において判明するころには、当該空き家は長期間放置され、もはや活用が見込まれない状態になっている事例が散見されます。一方で課税担当部局は、空き家の発生情報を早期に把握することが可能な立場にあるため、課税担当部局と空き家担当部局の間で相続財産法人に関する情報のやりとりが可能となるような法制度の改正が望ましいと考えます。

・・・空家法第10 条の趣旨を踏まえ、空き家担当部局と税担当部局の連携を促進して参ります。

94 第一回の意見まとめの中の、財産権の配慮について、「空家法について(中略)見直しが必要」という意見に賛成です。法改正等により、代執行手続きの改善をしたり、責任の所在を明確にしたりといった対応をしてほしいので、とりまとめ案の〈継続的に検討する取組〉として、「空家法の見直し案の検討」などを盛り込んでほしいと思います。

・・・本とりまとめ、5.おわりにとして「国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り組むことを強く期待したい。」が記述されており、国において継続的に空き家及びその対策の状況を把握・検証していくこととしています。

95 空家等対策の推進に関する特別措置法は、施行後5 年で見直すということであったはずであったが、早7 年が経過し、行政の空き家対策についても民間の空き家対策についても、そろそろ臨機応変に実施できるよう法改正に踏み込んでいくべきではないか。同法は議員立法で制定されたものであるため、有識者の方からも取りまとめの方向性に法改正に向けた検討が必要であることを記載すべき。

・・・本とりまとめ、5.おわりにとして「国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り組むことを強く期待したい。」が記述されており、国において継続的に空き家及びその対策の状況を把握・検証していくこととしています。

96 第一回資料6 の「借地上の特定空家等除却により発生する便益の調整」について、土地所有者という利害関係人が存在しながら、その土地上の特定空家を代執行などで税金を投入して壊すのは不公平だと思います。方向性をとりまとめて追記してほしいです。

・・・借地上であっても、特定空家等は周囲に悪影響を及ぼすものであり、早急に対処する観点から、代執行等の手段で除却等を行うことはやむを得ないケースがありますが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

97 旧借地借家法による借地(旧法借地)の老朽空き家の場合、建物と土地の所有者が違うため、空き家を特定空家に指定し空家特措法による固定資産税の減免の撤廃をしても土地の所有者が負うことになり建物所有者への直接的な効果がない。土地の固定資産税の減免の撤廃ではなく特定空家の建物自体への固定資産税を懲罰的に高額に上げることに変更できないか。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、権利関係のほか、所有者の状況、地域の実情等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

98 借地上の建築物については、土地所有者の理解や承諾が得られないために、修繕すらも行えないケースがあり、こうした要因で改善が進まないものもあり課題として示すべき。

・・・一般的には、借地上の建築物についても、通常の修繕であれば土地所有者の承諾なく行うことができるとされております。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

99 建築基準法のセットバックした場合でも、セットバック用地が私用で占有された結果、道路として利用されず、狭隘道路の先が空き家となっているのではないか。セットバック用地を確実に道路として利用できる様な法整備が必要。

・・・セットバックした用地については、建築基準法上の道路として使用することが必要です。

○ その他のご意見

パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

100 相続人不存在である建物が年々増加しており、現在誰でも安易に相続放棄ができてしまう状況であり、これを抑制する方法・相続放棄のあり方を検討すべきである。

・・・相続放棄は民法に基づき認められた権利であり、空き家問題だけの仕組みではないため、本小委員会の検討対象とすべきではないと考えます。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

101 相続放棄に伴い相続人が不存在となる際の相続財産管理人選任申立ての義務化。自治体が代行しているのが現状だが、所有者の責務として申立てるべきと考える。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

102 空き家対策関係者におけるスペースシェアの認知向上、空き家相談の人材育成の観点から、次のような具体的方策を例示として挙げることも検討頂きたい。

– スペースシェア化を選択肢に入れた「空き家利活用ハンドブック」を作成し、自治体・NPO 等の空き家対策関係者への周知、空き家相談窓口での配布等に活用すること

– 民間の専門家を中心に「国交省 空き家利活用アドバイザー」を認定し、スペースシェアを含めた空き家の多様な利活用方法を全国の自治体・NPO 等と連携して啓発すること

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

103 本とりまとめにおいて上記のような記載を盛り込むにとどまらず、「空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」を改正し、空き家等対策に携わる地域の関係者とスペースシェア事業者との連携促進を図って頂きたい。

・基本指針の性質上、すべての活用手法について取り上げることは困難と考えます。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

104 売却困難な相続人不存在の空き家は売却ができず放置される可能性が高いのではないかと考えますが、空き家が解体されて空き地となれば、民法で規定されている国庫に帰属して適正に管理されていくのでしょうか。

・・・相続人不在の場合は、相続財産管理制度等の活用が想定され、その場合、利害関係者等の請求により裁判所が選任した管理人が管理、処分を行っていくことになります。財産管理制度についは、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」と記載しております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

105 空き家でも健全な状態で不動産市場にのるものは対策する必要はありません。反対に老朽化し近隣へ悪影響があれば人が住んでいても対策は必要になります。突きつめると、空き家対策として指導が必要な状況は存在せず、老朽家屋対策を混在させているから指導勧告代執行が必要となる状況です。方針を見直す中では十分に検討し定義の再設定を求めます。

・・・空き家問題は、家屋が適切に管理されないまま放置される結果、周辺へ悪影響を及ぼすこととなる問題と考えます。本小委員会では、こうした問題に対して、空き家の発生抑制、活用、適切な管理・除却の促進方策を検討してまいりました。

106 とりまとめの方向性(案)に記載のとおり、空き家問題は様々な分野の問題を含んでおり、各分野の制度・法律等に基づいた対応が必要となるため煩雑となっている。このため、「空き家」を主軸において、統一的な仕組みを作ることはできないか

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

107 住居系の用途でも、空き家が多い地域については、産業誘致や企業立地が可能な用途に見直すなど、用途地域の見直しを柔軟に行うことができる法整備・環境作りを行うべき。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

108 令和3 年の民法、不動産登記法の改正については、空き家対策の観点

からも非常に有意義な改正であったと考えるが、一方で、改正から1年半あまりが経過した現在も改正の内容について物件所有者の認知が進んでいるとは言い難い。国はマスメディアなどを使って周知徹底に努める必要がある。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155220726&Mode=1

社会資本整備審議会 住宅宅地分科会

空き家対策小委員会とりまとめ~今後の空き家対策のあり方について~

2023年2月

目 次

1.はじめに ………………………………………………………………………………………… 2

2.空き家の現状 ………………………………………………………………. 3

(1)空き家の現状 …………………………………………………………………………………….. 3

(2)空き家の所有者の現状 …………………………………………………………….. 3

(3)空き家対策を行う地方自治体の現状や制度的な対応を求める声 ……….. 4

① 取組の現状 …………………………………………………………………………………………………. 4

② 制度的対応を求める地方自治体の声 ………………………………………………………………….. 4

3.空き家対策に係る課題・問題意識 …………………………………………………………………. 5

(1)基本的問題意識 …………………………………………………………………………………………………. 5

(2)発生抑制や活用促進に係る課題 ……………………………………………………………………….. 5

(3)適切な管理や除却の促進に係る課題 ………………………………………………………….. 6

① 所有者の抱える課題 ……………………………………………………………………………………………. 6

② 地方自治体の抱える課題 …………………………………………………………………………………….. 6

4.今後の空き家対策の方向性・取組 ……………………………………………………………………….. 7

(1)今後の空き家対策の基本的方向性 ……………………………………………………………………. 7

(2)発生抑制を図る取組 …………………………………………………………………………………… 7

(3)活用促進に向けた取組 ………………………………………………………………………….. 8

① 相続等により空き家を取得した段階での取組 …………………………………………….. 8

② 空き家状態となった後の取組 ……………………………………………………………………………… 9

(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 …………………………………………………

① 所有者の主体的な対応を後押しする取組 ……………………………………………………… 11

② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組(対応力の強化) ……………………… 12

(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ………….13

① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組 …………………………………………………13

② 地域コミュニティにおける取組 ……………………………………………………………….. 13

5.おわりに ……………………………………………………………………………………………. 14

1.はじめに

我が国の空き家の総数は平成30 年時点で849 万戸あり、そのうち、二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた空き家で、居住目的がないため管理不全となるおそれが比較的高いと考えられる「その他空き家」(以下「居住目的のない空き家」という。)は349 万戸となっており、いずれも増加傾向にある。直近のトレンドによれば居住目的のない空き家は令和12 年に470 万戸程度まで増加すると見込まれている。

こうした状況を受け、令和3 年に策定された住生活基本計画(全国計画)においては、空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進が位置付けられるとともに、成果指標として、居住目的のない空き家数を令和12 年時点で400 万戸程度に抑えること等が定められた。

空き家対策を巡っては、平成27 年に「空家等対策の推進に関する特別措置法

(平成26 年法律第127 号)」(以下「空家法」という。)が施行され、市区町村による空家等対策計画の策定や著しく保安上危険、衛生上有害等の状態にある等のいわゆる特定空家等1の除却等の取組は、より優先度の高い取組として進展しているが、今後、居住目的のない空き家が増加する見通しであることを踏まえれば、対策の充実・強化が不可欠である。

不適切な管理による周辺への悪影響(負の外部性)をもたらすこととなってからの対応は限界に近づいており、より早い段階での対応についても強化が必要である。さらに、地域の遊休空き家を地域のニーズに応じて活用することで、社会的な付加価値を創出し、地域経済やコミュニティの活性化に繋げていく観点も必要である。

こうした観点から、令和4 年10 月に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の下に空き家対策小委員会が設置され、主に空き家の発生抑制、利活用、適切な管理・除却に向けた取組の強化等、空き家対策のあり方を中心に議論を行った。

本「とりまとめ」は、空き家対策小委員会における議論の結果として、空き家対策のあり方についてとりまとめたものである。

1 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等をいう(空家等対策の推進に関する特別措置法第2 条第2 項)。

2.空き家の現状

(1)空き家の現状

・ 居住目的のない空き家の数がこの20 年間で約1.9 倍に増加しており、うち一戸建てが7 割以上、腐朽・破損のあるものは101 万戸となっている。また、新耐震基準導入前の昭和55 年以前に建築されたものが約4分の3を占めている。

・ また、居住目的のない空き家が空き家総数に占める割合は、全国平均で5.6%と上昇傾向にあり、地域差も大きい。

(2)空き家の所有者の現状

・ 空き家の取得原因は、相続が55%となっている。また、所有者の約3 割は車、電車等で1 時間を超える遠隔地に居住しており、3 時間を超える遠隔地に居住している所有者も約13%にのぼっている。

・ 空き家所有者の28%は、空き家のままにしておくとの意向であり、さらに、将来、当該空き家を賃貸・売却する意向を持っている23%の所有者も、その約4割近くが賃貸・売却等に向けて何ら活動をしておらず、除却意向を持つ13%の所有者も、その約3 割が除却費用の用意について未定であるとしている。将来的な利用意向を回答した所有者も、具体的な活動に入っているかどうかは不明であり、全体としてみれば、「そのままにされている空き家」が相当数に上ると推察される。

・ 空き家にしておく理由として、「解体費用や労力・手間をかけたくない」「更地にしても使い道がない」との消極的な理由のほか、「特に困っていない(問題と認識していない)」とする所有者も少なくない。また、賃貸・売買する上での課題として「買い手・借り手の少なさ」「住宅の傷み」などがあげられている。

・ 空き家の日頃の管理は、専門家である不動産会社等が行っているものは4%弱にとどまっており、全く行われていないものが3%程度、所有者自身、親族・親戚又は友人・知人・隣人が行っているものが90%程度となっているが、管理の内容にはばらつきがあり、必ずしも十分な管理内容とはなっていない。また、所有者の居住地が遠隔地になるほど、管理頻度は低くなっている。

(3)空き家対策を行う地方自治体の現状や制度的な対応を求める声

① 取組の現状

・ 空家等対策計画の策定済み市区町村は8割、策定予定も含めると9割超となっている。

・ 市区町村がこれまで把握した管理不全の空き家は、累計約50 万件である。このうち約14 万件は、空家法に基づく措置や市区町村独自の対策により除却や修繕等がされたものの、約2万件の特定空家等や、約24 万件にのぼるその他の管理不全の空き家は、今なお現存している(約10 万件は状況不明。)。また、市区町村が所有者特定事務を行った管理不全の空き家など52.8 万件のうち、約9%にあたる4.7 万件は、所有者が判明するに至っていない。

・ 空き家の所有者が不明の場合、民間事業者等がその空き家を有効活用しようとしても、交渉等を行うことが難しく、また、市区町村が管理や除却等を所有者に行わせることも難しい等の課題がある。

・ 市区町村による空き家の所有者に対する支援は、国の空き家対策総合支援事業の活用実績によれば、除却が9割超、活用が1 割未満となっており、活用の取組を拡大していく余地は大きい。

・ 中心市街地や観光地など一定の地域に空き家が集中していることも多く、そのような地域は、市区町村が空き家の利活用を促進したいと考える地域と概ね一致している。また、何らかの形で空き家の利活用に資する取組を行っている市区町村は約8割で、移住・定住や二地域居住の促進、地方創生、中心市街地活性化、観光の振興等を目的として取り組む自治体が多い。

・ 市区町村が民法に基づく財産管理制度を利用する案件は増加傾向にあり、うち9 割近くが相続財産管理制度を利用している。一方で、どのような場合に市区町村が利害関係人として財産管理人の選任申し立てができるかが不明確との意見がある。

・ 市区町村の6 割前後が、空き家担当部局のマンパワー不足・専門的知識の不足を課題としており、3分の1を超える市区町村で空き家対策の業務をアウトソーシングしている。また、空き家対策の業務において、民間の団体等を活用したいとするニーズは高い。

② 制度的対応を求める地方自治体の声

地方自治体からは、以下のような制度的な対応を求める声がある。

・ 空き家活用のための区域を絞った重点的な対策(規制緩和を含む。)や民間主体の活用。

・ 所有者等による管理責任の強化、特定空家等の発生予防、財産管理人の選任申立て権の市区町村への付与、緊急時の代執行や所有者探索のさらなる円滑化。

3.空き家対策に係る課題・問題意識

空き家の現状を踏まえると、空き家問題に対し、次のような問題意識を持つべきである。

(1)基本的問題意識

・ 空き家は個人財産である一方、管理不全状態となると防災・防犯、衛生、景観などの面で悪影響を与える外部性を有するに至るため、空き家問題は個人の問題にとどまらず地域・コミュニティの問題でもある。

・ 居住目的のない空き家は今後も増加する見込みであり、既に危険な特定空家等となっている空き家だけでなく、将来的に特定空家等となる空き家も増加していくおそれが大きい。

・ しかしながら、地方自治体のマンパワー不足等により、除却を中心とした対応や危険な特定空家等になってからの対応では限界がある。

・ 一方で、特定空家等となる前の段階での発生抑制、活用促進及び適切な管理等を促進するこれまでの取組は不十分である。

(2)発生抑制や活用促進に係る課題

・ 空き家の半数以上が相続に伴って発生しており、高齢化の進展に伴い住宅の相続が増加している。住宅の所有者には、将来的に活用する相続人がいない場合であっても、「自分が生きているうちに処分方法も含めて準備する」との意識が乏しく、また、所有者が高齢であるなど、管理や活用の情報を取得するのが困難な場合もある。

・ 空き家問題を生じさせないようにするためには、相続時の迅速な対応が重要だが、相続前の話し合い不足や多数の相続人の存在、所持品の処分などにより、活用に係る意思決定に時間を要している現状がある。また、遠隔地に居住する相続人が住宅を取得した場合、活用されず管理不全となる可能性が大きい。さらに、

活用意向がない相続人が管理せずに空き家を放置したり、活用意向はあっても利用可能な相談先が少なく、買い手・借り手がみつからないまま放置するおそれもある。

・ 中心市街地や観光地等、地域の拠点となるエリアでの空き家の集中は、当該地域の本来的機能を低下させるおそれがある。こうした地域の空き家には、接道規制などにより活用に至らない例も存在している。

・ 地方自治体内の空き家担当部局と福祉、産業振興やまちづくり等の他の担当部局との連携が限定的となっており、空き家の発生抑制や活用の取組は、必ずしも総合的なものとなっていない。

(3)適切な管理や除却の促進に係る課題

① 所有者の抱える課題

・ 所有者の管理意識が必ずしも十分とは言えない状況にある。また、所有者が適切な管理の方法や除却に係る情報を容易に入手し、相談できる環境が少なく、仮に所有者が、市区町村から管理せよと言われた場合であっても、方法がわからない状況となっている。遠方に居住する所有者にとっては、管理すること自体が困難である。この結果、空き家が管理不全状態となり、その状態で放置されると、腐朽・破損が発生し利活用が困難となる上、管理不全状態が一層進行し、特定空家等となるおそれがある。

・ 管理状態を問わず空き家が建っていれば固定資産税の住宅用地特例が適用されるとすると、空き家がそのまま温存されるおそれがあり、居住の安定を確保するため居住の用に供する敷地の課税負担を軽減するという本来の趣旨にもそぐわないものと思われる。一方で、解体費用や解体後に土地の固定資産税が上がる負担を懸念して解体を躊躇する場合がある。また、所有者に解体後の土地の活用イメージがないため、活用が進まない。

② 地方自治体の抱える課題

・ 所有者探索の手間が大きく、また、所有者探索にあたり活用できる情報が限定的となっている。さらに、マンパワーや専門的な知識が不足しており、所有者への働きかけが十分にできない状況にある。

・ 管理不全の状態にある空き家を市区町村が特定空家等として扱う際は、将来的な代執行まで視野に入れる必要があるため、市区町村が特定空家等と判断することを躊躇する場合があるなど、現行の空家法では、特定空家等のハードルが高くなっている。一方で、空家法には特定空家等と評価されるレベルまで状態が悪化する前の段階で、管理不全の空き家の所有者に対して適切な管理を働きかける仕組みが規定されていないため、市区町村が条例に基づき指導等をしても、反応がある空き家所有者は限定的である。また、特定空家等に該当しなければ、固定資産税の住宅用地特例の解除は事実上困難である。このように、特定空家等の要件に当てはまるほど状態が悪化する前の段階での措置は不十分である。

・ 財産管理制度や代執行制度などについては、手続き負担、費用回収への懸念、ノウハウ不足等により、市区町村が制度の活用を躊躇する場合がある。

4.今後の空き家対策の方向性・取組

(1)今後の空き家対策の基本的方向性

3.で整理した基本的問題意識及び課題を踏まえ、今後の空き家対策については、

従来から進めてきた活用困難な空き家の除却等の取組をより加速化・円滑化するとともに、「空き家はなるべく早い段階で活用する」との考え方を基本に、所有者や活用希望者の判断を迅速化する取組を進め、特定空家等の状態になる前の段階から、空き家の発生抑制、適切な管理や活用を促進し、地域経済やコミュニティの活性化に繋げることを基本的方向性として取り組むべきである。

こうした考え方の下、法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。その際、地方自治体やNPO、民間事業者、自治会等の先行・優良事例について、横展開を推進する。

(2)発生抑制を図る取組

所有者の死後もなるべく空き家にしないため、自宅の取扱いを検討し、それを家族に共有することの重要性について、高齢の所有者に対して意識啓発を図ることを基本的方針として、空き家の発生抑制を図るための取組を進める。

○ 所有者やその家族の意識の醸成

所有者の生前で、かつ、判断能力が十分なうちから、その家族も含め、「住宅を空き家としない」との意識が醸成されるよう、「終活」の一環としての「空き家対策」の重要性や空き家のリスク等について、所有者等への啓発や働きかけを促進する。

<具体的な取組>

・ 「終活」としての「我が家の空き家対策」を一般化し、親が元気なうちに対処方針を話し合うことの重要性を啓発する。

・ 所有者が生前に対処方針を決めておく方法(遺言、民事信託、生前贈与)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)についての情報提供を充実する。

・ 住宅を適切に管理し長く使っていくことや、空き家が周囲の生活環境や地域コミュニティに悪影響を及ぼさないようにすることの重要性、さらには、空き家の発生抑制、早期活用、管理・除却の取組などに関する住教育を充実する。

・ 地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等※が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。

・ 空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。

・ 上記の活動に活用可能な汎用ツールを作成・普及する。

<継続的に検討する取組>

・意思決定能力に欠ける所有者への対応はどうあるべきか。

※NPO 等:NPO 法人及び地域に根ざした活動を行う不動産、建築、法務等の分野の事業者団体又は資格者団体等。以下、同じとする。

〇 所有者のニーズに応じ死後に空き家としない仕組みの普及所有者によっては、自宅を生前に担保化・現金化し自らの生活資金として活用するニーズもあり、この場合、所有者の死後も住宅が空き家となる可能性は低い。こうしたニーズに応じた仕組みの活用を円滑化する。

<具体的な取組>

リバースモーゲージやハウスリースバックなど、住宅を資産として活用しつつ居住を継続する仕組みについて、契約を巡るトラブルの発生を避け、住宅所有者が十分な制度的理解の下で適切に利用を拡大できるよう、分かりやすい周知を促進する。

(3)活用促進に向けた取組

空き家は早期に活用されれば、空き家である期間の短縮により空き家の抑制に

繋がり、管理不全のまま放置されて周辺や地域へ悪影響を与えることも防げることになる。このため、所有者に寄り添って「空き家は早期に活用する」との意識を醸成するとともに、周囲に悪影響が及ぶ段階に至っていない空き家についても施策対象に位置づけ、所有者・活用希望者双方の早期の決断を促し、活用を促進する取組を進める。

① 相続等により空き家を取得した段階での取組

〇 相続人への意識啓発・働きかけや相続時の譲渡等の促進

相続が空き家発生の最大の要因であることから、相続後なるべく早期に空き家の活用等がなされるようにすることが重要である。このため、相続人に寄り添って、その意思決定を促すため、地方自治体・NPO 等の民間主体から相続人に対する働きかけや相談対応、相続した空き家の早期譲渡を促すインセンティブの拡大等の取組を促進する。

<具体的な取組>

・死亡や相続等に際して市区町村で必要となる届出等の行政手続の際に、空き家の管理負担(固定資産税、往復交通費、草木の手入れ等)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)、相談先などの情報を相続人に周知し、自らによる活用や第三者への譲渡に係る早期の決断を促進する。

・市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局等と連携して相続人を把握し、空き家バンクへの登録等を働きかける。

・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催、相談員の派遣等を行い、空き家の発生抑制について相続人に不足している情報を補完する。

・相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度について、その延長・拡充により、空き家の早期譲渡を促すインセンティブを拡大するとともに、制度をわかりやすく周知する。

② 空き家状態となった後の取組

〇 空き家の流通・活用を促進する取組

空き家となった住宅が早期に活用されるよう、所有者への働きかけ、活用需要の掘り起こし、所有者と活用希望者とのマッチング等を促進するとともに、空き家の活用を促進する仕組みや支援を充実する。

活用需要については、手頃な価格の住宅としての活用のほか、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉の増進、地域コミュニティの維持強化といった地域の状況に応じた空き家活用ニーズを積極的に掘り起こす。

さらに都市部・地方部など地域を取り巻く状況を踏まえた取組の展開を促進する。人口動態や地域特性などを踏まえ、重点的に活用を促進する地域を設定する仕組みも検討する。

<具体的な取組>

ⅰ) 所有者へ活用を促す取組

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が参画・連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・ 地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進する。

・ 地方自治体やNPO 等から所有者に対し、空き家の活用(部分的な活用を含む。)等を積極的に働きかける。

・ 賃貸による空き家の活用を促すため、定期借家制度、DIY 賃貸、サブリースや終身賃貸借といった様々な活用手法、想定される賃料、必要となる改修費など、貸し手として行う判断に資する情報提供を充実する。

・ 市区町村が保有する空き家所有者情報が、より多く、空き家の活用を希望するNPO を含む民間事業者等に提供されるよう、民間事業者等への情報提供に先立って市区町村が行うこととなっている所有者本人からの同意取得手続について、マンパワーが不足する市区町村から外部委託して進めることや、より早期の活用が求められる管理不全の空き家を重点的に対象とすることなどの工夫に取り組み(外部提供ガイドラインの充実、周知)、民間事業者等から所有者に対し、空き家バンクへの登録など空き家の活用を働きかける。また、空き家バンクの登録手続のオンライン化等を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。

・ 空き家の管理負担(固定資産税、往復交通費、草木の手入れ等)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)、相談先などの情報を所有者に周知し、自らによる活用や第三者への譲渡に係る早期の決断を促進する。

・ 地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催、相談員の派遣等を行い、空き家の早期活用について所有者に不足している情報を補完する。

借地上の空き家について、借地権と共に売買が可能であること等の対応方策を分かりやすく情報提供する。

・ 地方自治体の施策への協力を促進する。

ⅱ)活用需要喚起と活用希望者の判断に資する情報提供の充実

・ 空き家の活用希望者が探索しやすく、空き家への魅力も感じられるよう空き家バンク掲載情報を充実し、活用を促進する。

・ 移住施策に取り組む地方部だけでなく都市部も含め、空き家の活用希望者が全国の空き家情報を検索可能な「全国版空き家・空き地バンク」に多くの地方自治体が参加するよう促す。

・ 買い手の判断に資する物件価格・改修費に係る情報の提供を充実させる。

・ 地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置やセミナー等の開催を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。

・ 地域における空き家の利用ニーズを集約し、公開する取組を促進する。

・ 所管を越えた空き家の利活用を促進するため、省庁間や地方自治体の部局間の連携体制の強化、市区町村が設置する空き家対策協議会の構成員の拡大を促進する。

ⅲ) 活用を促進する仕組みや支援の充実

・ 地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。

・ 地域活性化に資する空き家活用の取組(空き家活用に必要な耐震改修、省エネルギーやバリアフリー改修等を含む。)に対し、支援を行う。

・ 空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。

・ 手頃な価格の住宅としての活用を促す買取再販税制等のインセンティブを確保する。

・ 低未利用地(土地上の空き家を含む。)の長期譲渡所得の特別控除制度を延長・拡充し、低未利用地の活用を促すインセンティブを拡大する。

・ 地域の共感・資金を得て空き家を活用する小規模不動産特定共同事業等の活用を促進する。

<継続的に検討する取組>

・新耐震基準を満たしていない空き家をセーフティネット登録住宅としての活用や、その方策はどうあるべきか。

(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組

空き家の増加が見込まれる中、活用に適した状態を維持する観点及び周辺に悪影響を与えないようにする観点から、所有者に管理の意識を醸成し、適切な管理を促進するとともに、空き家の具体的な活用や処分に至るまでの間、さらには、周辺に悪影響を与える特定空家等になる前の段階で、所有者に適切な管理の実施や特定空家等とならないための具体の措置を促す。

また、特定空家など利活用が難しい空き家の除却を更に円滑化する。

① 所有者の主体的な対応を後押しする取組

空き家の適切な管理が所有者の責務であるとの意識を醸成するとともに、所有者が適切に管理を行い、又は除却を行えるような環境を整備する。

<具体的な取組>

・所有者が空き家を適切に管理する際の拠り所となる指針等を作成する。

・所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。

・空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・所有者が空き家の管理や除却を適切に行うよう、地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議や協議会、地域コミュニティの担い手である自治会等から所有者に対して行う働きかけを促進する。

・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。

・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制

運用改善等)。

・所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。

② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組(対応力の強化)

市区町村が特定空家等の所有者への措置を更に円滑に行えるようにして除却等を促進するとともに、特定空家等の状態になる前に所有者に適切な管理を促す。

<具体的な取組>

・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る(市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局に公用請求し、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報を取得することが可能となること等による空き家所有者等の調査の円滑化、電力会社等にある所有者情報の市区町村への提供円滑化など)。

・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。

・活用困難な空き家の除却に対する支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。

・地域の実情に応じ、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が市区町村の条例等により可能であることを周知するとともに、事例の横展開を図る。

・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。

・緊急時の代執行など、市区町村が特定空家を対象に行う措置をより円滑化する仕組みについて検討する。

・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。

<継続的に検討する取組>

・長屋等の空き住戸の適切な管理等を促進する方策はどうあるべきか。

(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組空き家の発生抑制、早期の活用促進及び適切な管理・除却の促進に向けては、NPO 等の民間主体や地域コミュニティを活用することで、より効果的な取組が期待できる。このため、NPO 等の民間主体が行う所有者へのきめ細かな対応や市区町村の取組を補完する取組を促進する。また、地域コミュニティを巻き込んだ空き家対策を促進する。

① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組

所有者に寄り添ったきめ細かな対応を通じ、所有者に早期の判断を促し、活用や適切な管理・除却に繋げるとともに、マンパワーや専門的知識が不足する市区町村の取組を補完するため、NPO 等の民間主体の取組やその育成を促進する。

地方自治体と空き家対策に取り組むNPO 等の民間主体との連携を起点として、福祉の増進や地域活性化など、より多様な分野における民間主体の参画と連携を実現することで、空き家の発生抑制、活用や適切な管理等を促進する。

<具体的な取組>

・ NPO 等が、所有者に寄り添って空き家の活用・管理に係る相談対応や所有者と活用希望者とのマッチング等の活動をしやすくなるよう、環境整備を推進する(公的位置づけの付与、市区町村からNPO・社団法人等への所有者情報※の円滑な提供、活動への支援等)。※ 事前に所有者同意・ NPO 等が地方自治体と連携し、空き家の所有者に対して空き家の早期活用や適切な管理、活用が難しい場合の除却を働きかける取組を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成しつつ、空き家への需要の掘り起こしや活用方策について検討する。

・ 空き家の管理を専門的に行う事業者を育成する。

② 地域コミュニティにおける取組

空き家を放置することのないよう地域レベルで意識を醸成するとともに、所有者がコミュニティにおける評判も気にすることを踏まえ、地域から所有者への働きかけを推進する。

<具体的な取組>

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・ 地域コミュニティの担い手である自治会等による所有者への働きかけ、コミュニティ活動等の機会を通じた空き家の把握・見守りや地域のニーズに応じた空き家利用などの先進的な取組について横展開する。

・ 地方自治体やNPO 等が、空き家所有者と地域コミュニティにおける空き家活用ニーズとをマッチングする等の活動を促進する。

5.おわりに

今後の空き家の増加に伴い、空き家対策は、ますます重要になるとともに、所有者の高齢化が進むことを踏まえれば、可能な限り早急な対応が求められる。

本とりまとめにおいては、空き家の現状及び課題を踏まえ、空き家の発生抑制、活用促進、適切な管理・除却の促進、NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動の促進のそれぞれの観点から、今後取り組むべき空き家対策について提言した。

ここで示した対策は、様々な政策分野に関連することから、空家法を所管する国土交通省及び総務省をはじめ、各種政策を所管する省庁間の緊密な連携の下で進められるべきものである。また、国、地方公共団体、関係業界・団体、NPO 等の民間主体といった多くの関係者との連携が不可欠である。

国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り

組むことを強く期待したい。その際は、空き家の所有者や活用希望者、地方自治

体や関連する活動を行うNPO 等の民間主体が空き家対策に円滑に取り組むことができるよう、多くの地方自治体や関連団体で構成される全国空き家対策推進協議会の場をはじめとして様々な場をフル活用し、施策の徹底した周知に特に留意して欲しい。

本とりまとめが、関係者による空き家対策の実践につながり、空き家の発生抑制、活用促進等が進み、生活環境の保全、コミュニティの活性化、地域の経済活性化が現実のものとなることを確信している。

社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会

委員名簿

(委員は 50 音順・敬称略)

委員長 中川 雅之 日本大学経済学部教授

委員長代理 齊藤 広子 横浜市立大学国際教養学部教授

上田 真一 NPO 法人空家・空地管理センター代表理事

大久保 恭子 (株)風 代表取締役

大月 敏雄 東京大学大学院工学系研究科教授

北村 喜宣 上智大学法学部教授

小出 譲治 千葉県市原市長

汐見 明男 京都府井手町長

沼尾 波子 東洋大学国際学部教授

増山 昌章 栃木県栃木市副市長

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社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会

(オブザーバー、関係省庁・部局)

オブザーバー

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

公益社団法人 全日本不動産協会

一般社団法人 不動産協会

一般社団法人 不動産流通経営協会

一般社団法人 全国住宅産業協会

関係省庁・部局等

国土交通省 不動産・建設経済局 土地政策課

不動産業課

国土交通省 都市局 都市計画課

まちづくり推進課

国土交通省 住宅局 住宅企画官付

住宅経済・法制課

住宅総合整備課・住環境整備室 【事務局】

住宅生産課

市街地建築課

総務省 地域力創造グループ 地域振興室

自治税務局 固定資産税課

法務省 民事局

内閣府 地方創生推進事務局

加工 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

令和5年2月8日法務省民二第70号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に

伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法

律第25号、相続等により取得)した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第333号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和4年政令第316号)及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則(令和5年法務省令第1号)が公布され、令和5年4月27日から施行されることとなったところ、これらに伴う相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する手続に関する事務の取扱いについては、別添の「相続土地国庫帰属制度事務処理要領」に拠るものとしますので、事務処理に遺憾のないよう、周知方取り計らい願います。

ヒグマがいないことを証する書面、猟友会、自治体との情報連携。

別記第6号様式 法務局がヒグマに関する照会をかける可能性。ニュースを情報源に?

国庫帰属の相談がありそうな土地・・・何処にあるか分からない山林、どうにもならない農地(面積小など)。

地積が小さい土地は可能性有り。

何処にあるか分からない山林は、断る説明が難しいかも。

1ヘクタール超・・・森林組合が欲しがる。超えない場合は国庫帰属相談に流れる。

接道要件を満たしていない土地は難しい。囲繞地通行権は通用するか?可能性は低いのでは?。実体との関係。

国民の期待の大きさ。

業務を行う上での論点

・境界に杭が埋まっているか?埋まっていなければ、土地家屋調査士の調査必要→コスト。所有権界は理解が難しい。

・代理ではないから、依頼者の責任で出来る?

・土地家屋調査士の責任が軽くなる方向で、運用できるか。名前が出てこない、懲戒の対象規範。

・相続登記はやる方向になると考えられる。

・災害などで隣地に迷惑をかける可能性。

・生前対策(子・孫に負の遺産を残さないように)として。

・委任契約で高低を付ける(添付書面だけチェックのみ、など。)

・実家の売却と併せて申請する場合は、費用負担も抑えられる場合あるかも。

・隣地所有者への贈与。

別添

相続土地国庫帰属制度事務処理要領

第1節定義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 法相続等により取得し「 た土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)

2 令「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」(令和4年政令第316号)

3 規則「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則」(令和5年法務省令第1号)

4 帰属制度法により創設された相続土地国庫帰属制度

5 相続等 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)

6 相続土地相続等により所有権又は共有持分を取得した土地

7 承認申請法第2条第1項又は第2項の規定による、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認の申請

8 承認申請者法第2条第1項又は第2項の規定により、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請する者

9 承認申請者等承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人

10 申請土地承認申請に係る土地

11 承認申請書類承認申請書及びその添付書類

12 法務局等法務局又は地方法務局の本局

13 法務局長等法務局又は地方法務局の長

14 帰属担当者法務局等において帰属制度の事務を担当する職員

15 管轄法務局申請土地の所在地を管轄する法務局等

16 管轄法務局長管轄法務局の長

17 国庫帰属地帰属制度により国庫に帰属した土地

18 管理予定庁国庫帰属地を管理する可能性がある行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

19 管理庁国庫帰属地を管理することが決定した行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

20 関係機関国の関係行政機関又は地方公共団体

21 却下要件法第2条第3項各号に規定する要件

22 不承認法第5条第1項の規定により承認をしないこと

23 不承認要件法第5条第1項各号に規定する要件

第2節 帰属制度の相談

第1 相談

1 帰属制度に関する相談(以下、単に「相談」という。)とは、法務局等において、帰属制度の概要等を説明することで、承認申請を受け付けた後の円滑な事務処理に資することを目的とする。さらに、相談者に帰属制度以外に採り得る手段(関係機関による寄附受け、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成25年法律第101号)に基づく農地中間管理事業(いわゆる農地バンク)や森林経営管理法(平成30年法律第35号)に基づく森林経営管理制度、相続放棄などの他の制度活用等)を紹介する等して相談者が抱える相続土地に係る問題の解決に助言を与えることとする。

2 相談は、帰属制度の手続についての一般的な説明に限らず、相談の内容に応じて個別に相談者が持参した資料等を踏まえた帰属制度の手続に関連する具体的な助言をする対応も可能とする。

3 相談は、原則として事前予約制で実施するものとする。ただし、制度の概要や手続についての簡単な説明は電話によることができるが、5分以内をめどとする。

4 相談は、原則として、対面又は電話で実施するものとする。

5 対面又は電話による具体的な個別事案の相談は、帰属制度の概要の説明及びその後の処理時間を含めて30分以内をめどとする。

6 相談は、土地の所有者及びその親族等のほか、これらの者からの依頼を受けた資格者を対象とするが、相談時において、土地の所有者本人であることや資格者であること等の厳密な確認は、特段の事情がない限り行わないものとする。

なお、相談対応の過程において、土地の所有者と関係性が全くないなど、相談の趣旨にそぐわないと判断した場合には、必要に応じて関係性を確認した上で、相談を終了して差し支えない。

7 相談は、管轄法務局以外の法務局等でも対応するものとする。ただし、承認申請は、管轄法務局に申請されることから、承認申請に係る具体的な内容を含む相談の場合については、必要に応じ、管轄法務局への相談を勧めるものとする。

8 管轄法務局以外の法務局等が相談に対応した場合であって、管轄法務局に共有しておくべき情報があるときには、相談対応した法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に相談内容を共有するものとする。

この場合、相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談者にあらかじめ管轄法務局と相談内容を共有する旨を伝え、了解を得るものとする。

9 相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談の結果について、可能な範囲

でその概要を記録するものとする。

第2 相談の留意事項

1 相談においては、以下の点に留意して、必要な事項を説明するものとする。

(1) 相談における帰属担当者の見解は、相談者が持参した資料等の範囲内で帰属担当者が自らの見解を述べているものであり、承認の可否を保証するものではないこと。

(2) 承認申請後の実際の審査においては、関係機関から提供される資料の確認や実地調査を行った上で判断することとなるため、相談における帰属担当者の見解と異なる結果になる可能性があること。

(3)実際の審査には一定の期間を要すること。

(4) 承認申請後は、法令上、いかなる理由があっても、納付された審査手数料を返還することはできないため、承認申請をする際にはその点を十分考慮すること。

(5)承認された場合、国に所有権を移転するためには、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に、原則として一筆の土地ごとに20万円が基本となる負担金を納付する必要があること。

(6) 偽りその他不正の手段により承認を受けたことが判明したときは、承認が取り消され、損害賠償責任を負う可能性があること。

2 相談に関する問合せがある場合には、相談者に対して、相談前に法務省のホームページに掲載している「相続土地国庫帰属制度のご案内」を確認し、相談に係る土地が却下要件及び不承認要件に該当しないかを確認した上で相談を利用するよう促すものとする。

また、対面による相談対応については、土地の登記事項証明書、地積測量図、登記所備付地図(不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項地図)又は地図に準ずる図面(同条第4項の地図。以下これらを「登記所備付地図等という」 。)の写し、所有者が所有する土地に関する書面(境界確定図、境界確認書等)、現地の状況が分かる写真等の参考資料を持参することも促すものとする。

第3節承認申請者

第1 承認申請者

1 承認申請者は、土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者及び同人が所有権の一部を所有する土地の共有者に限る。)である(法第2条第1項及び第2項)。

承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認することにより判断するものとする。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、原則として、承認申請書への記名押印を求めた上で(規則第2条第1項本文)、押印された印影及び承認申請者等の印鑑に関する証明書(以下「印鑑証明書」という。)の提出を受け(規則第2条第3項本文)、当該印影を照合することによって行うものとする。

ただし、以下の場合は、取扱いに留意する必要がある。

(1) 記名押印を要しない場合

承認申請者等が署名した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合は、当該認証を確認するものとし、記名押印を要しないため、印影の照合をする必要はない(規則第2条第1項ただし書)。

(2) 印鑑証明書の添付を要しない場合

ア 承認申請者が商業登記法(昭和38年法律第125号。以下「商登法」という。)第12条の規定による印鑑を提出している法人である場合において、その会社法人等番号が承認申請書に記載されているときは、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しない(規則第2条第3項第1号)。

この場合には、登記所に提出されている代表者の印鑑と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとする。これに対し、承認申請者が商登法第12条の印鑑の提出をしていない法人である場合には、照合可能な押印がされていないことから、同号の「押印」があったとはいえないこととなるため、印鑑証明書の添付を省略することはできない。

なお、当該法人の代表者個人の住所地に登録されている印鑑を承認申請書に押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合であっても、承認申請者である法人の意思を確認することができないため、必要な印鑑証明書の添付があったとはいえないこととなる。

イ承認申請者等が記名押印した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合には、印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第2号)。

ウ裁判所によって選任された者がその職務上行う承認申請の承認申請書に押印した場合には、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成した証明書の印影と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとし、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第3号)。

(3) その他

承認申請者が未成年である場合において、当該者の法定代理人が承認申請書に記名押印をし、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付したときは、承認申請者本人が記名押印をする必要はなく、本人の印鑑証明書の添付も要しない。また、印鑑の登録をしている未成年者が自ら承認申請書に記名押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合には、その印影を照合するほか、法定代理人の同意を証する書面及び法定代理人の印鑑証明書も併せて添付させ、承認申請の意思を確認する必要がある。

3 上記1及び2で確認する各種証明書については、期限の定めは設けないものとする。なお、各種証明書の住所と承認申請者等の住所が異なる場合には、住所のつながりを明らかにした資料(住民票の写し等)の添付を求めるものとする。

第2 表題部所有者又は所有権の登記名義人でない場合の対応

1 承認申請者が表題部所有者又は所有権の登記名義人でない者であっても、表題部所有者又は所有権の登記名義人から相続等により申請土地の所有権を取得した者であることを証明する書面(不動産登記手続において相続等による所有権の移転の登記の登記原因を証する情報と同程度のものに限る。)を提出した場合は、申請土地の所有者と判断することが可能であることから、承認申請を認めることとしている(規則第3条第1号)。

これに対し、表題部所有者又は所有権の登記名義人から承認申請者に至るまでに相続等以外の原因(以下「売買等」という。)による所有権の移転がある場合には、承認申請者が申請土地の所有者であると確実に判断することができないから、売買等を原因とする所有権の移転の登記が行われない限り、「承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき」(法第4条第1項第1号)に該当するものとして、却下することになる。

2 相続等により申請土地の所有権を取得した者が所在不明となった場合にお

いて、不在者財産管理人(民法(明治29年法律第89号)第25条)、所有者不明土地管理人(民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の民法第264条の2)又は相続財産管理人(民法第952条第1項)が選任されたときは、裁判所の許可を得て、不在者財産管理人、所有者不明土地管理人又は相続財産管理人が申請土地の所有者の法定代理人として承認申請をすることができる。

第3 承認申請者が複数である場合の申請方法

1 申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者の全員が共同して行うときに限り、承認申請をすることができる(法第2条第2項)。

前記第1の1と同様、承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認し、現在の登記名義人や所有権を取得した原因が相続等であることを確認することにより、承認申請者の該当性を判断するものとする。

なお、申請土地が複数人の共有に属する場合、相続等により申請土地の所有権を取得していることは、その共有者のうちの1人について確認すれば足りるが、申請土地の所有者であることは、全ての共有者について確認する必要がある。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、前記第1の2と同様、承認申請書に押印された印影と印鑑証明書等(規則第2条第3項)の印影を照合することによって判断することとする。なお、共有者の場合には、共有者全員の押印及び印鑑証明書の提出が必要となる。

第4節承認申請書類

第1 承認申請書の添付書類

規則第3条各号に規定する添付書類については、それぞれ次に掲げるものを提出させるものとする。

1 「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者であることを証する書面」(第1号関係)

承認申請者が相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者である場合において、登記記録上の登記名義人と一致していないとき(相続を原因とする所有権の移転の登記を行っておらず、登記記録上同一人であることを確認することができない場合等)に、承認申請者が当該者であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを書面上確認できるものである必要があることから、不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「不登令」という。)第7条第1項第5号イに規定する情報と同程度のもの(相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、承認申請者が登記名義人の相続人であることを示す戸籍事項証明書や不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「不登規則」という。)第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写し、遺産分割協議書(押印及び当該印影に係る印鑑証明書の添付)、登記名義人から承認申請者に申請土地を遺贈する旨が記載された遺言書、相続人である承認申請者の住所又は氏名を示す住民票の写しや戸籍の附票の写し等が挙げられる。

なお、申請土地の所有権の登記名義人ではあるが、登記原因が遺贈であり、相続人に対する遺贈かを登記記録上で判断することができない場合や所有権の保存の登記のみである場合には、登記記録のみでは相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを確認することができないので、当該者であることを証する書面の添付が必要である。

また、承認申請者が承認申請書に記載した氏名又は名称及び住所と、登記記録上の氏名又は名称及び住所が合致しない場合には、同一人であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更や誤りがあったことを当該書面において確認することができる必要があることから、不登令別表第23の項添付情報欄に規定する情報と同程度のもの(登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、戸籍事項証明書、住民票の写しや戸籍の附票の写しなどが挙げられる。

なお、住民票コード(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条第13号に規定する住民票コードをいう。)をもってこれらの書面に代えることはできないので留意が必要である。

2 「法定代理人によって承認申請をするときは、戸籍事項証明書その他その資格を証する書面」(第2号関係)法定代理人が承認申請を行う場合に、当該代理人の地位を証する書面の添付が必要である。

具体的には、未成年者の親権者については戸籍事項証明書等が、成年被後見人の成年後見人については成年後見登記事項証明書又は審判書謄本等が挙げられる。また、不在者財産管理人又は相続財産管理人については、裁判所による選任を証する決定書謄本等及び裁判所の許可を証する決定書謄本等が挙げられる。

3 「承認申請者が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面」(第3号関係)

承認申請者に法人が含まれる場合において、当該法人の代表者であることを証する書面の添付が必要である。

具体的には、当該法人の登記事項証明書や代表者資格証明書が挙げられる。

なお、当該法人に係る会社法人等番号が承認申請書に記載されている場合において、管轄法務局の帰属担当者が法第7条の規定に基づき取得した当該法人の登記事項証明書により法人の代表者であることを確認できるときには、当該書面の添付が不要となる。

4 「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(第4号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの位置にあり、また、当該土地の範囲がどのようなものであるかについて、承認申請者の認識を明らかにする書面の添付が必要である。これは、管轄法務局における申請土地の書面調査や実地調査においても基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、登記所備付地図等や、国土地理院が公開している地理院地図などに、承認申請者が認識している土地の位置及び範囲を示したものが必要となる。

なお、法第2条第3項第5号の「境界」とは、公的境界である「筆界」ではなく、「所有権界」を意味し、本図面で表示される土地の範囲も「所有権界」による範囲を意味する。したがって、本図面で表示された土地の範囲が「筆界」と相違することをもって承認申請を却下することはできない。そのため、本図面を作成するに当たり、承認申請者は、自らが認識する「所有権界」による土地の範囲を示せば足り、隣接地との境界について復元測量等を実施することまでは要しない。もっとも、管轄法務局の審査に資することを目的として、あらかじめ復元測量等を実施し、その成果を資料として任意に提出することは差し支えない。

5 「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(第5号関係)

承認申請に当たり、対象土地が現在どのような状況であるかを承認申請者において明らかにする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局において、申請土地上に建物や工作物等が存在するかを確認したり、実地調査の基礎資料としたりするためのものである。

具体的には、申請土地の全景及び近景を撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、申請土地が広大であり、全景を1枚の写真で明らかにすることが困難である場合には、航空写真や全体の関係を明らかにした複数枚の写真によることで差し支えない。このため、承認申請者においてドローン等により土地の全景を撮影することまでは要しないが、これらを使用して作成しても差し支えない。

6 「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(第6号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの境界点で隣接している土地に接しているかを承認申請者において明らかとする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局における土地の隣接関係の書面調査や実地調査において判断するための基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、各境界点を示すもの(境界標、ブロック塀又は道路のへり等の地物、簡易な目印等をいい、審査時及び国庫帰属時において確認可能なものであることを要する。)を明確に撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、境界点を示すものについては、承認申請後の管轄法務局における審査時及び国庫帰属時において現地の確認が可能なものである必要があるが、境界標が存在しない場合に、隣地と境界を確定し、測量に基づく恒久性のある境界標を埋設することまでは要しない点に注意する必要がある。

7 「法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面」(第7号関係)

法第11条第1項の規定により、申請土地が国庫に帰属した場合には、当該土地の所有権が国に移転することとなるため、国が所有者であることを登記記録上で公示することが必要となる。このため、国庫帰属後に管理庁において帰属制度に基づく所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する書面の添付が必要となる。これは、不登令別表第73の項添付情報欄ロに規定する登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報となり得る書面である必要がある。

具体的には、承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合、国庫帰属後に土地を管理する国の機関によって、国の機関への所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する旨が記載されている必要がある。

第2 承認申請書類の提出方法

承認申請書類の提出方法は、書面提出に限るものとする。オンラインによる承認申請や書類提出は認められない。

第3 承認申請書類の提出先

承認申請書類の提出は、管轄法務局長に対して提出する必要がある(規則第1条本文、第22条第1号)。

ただし、同一所有者が所有する隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二以上存在する場合には、そのいずれかの管轄法務局長に対して承認申請書類を提出することができる(規則第1条ただし書)。この場合には、承認申請者が選択したいずれかの管轄法務局が受付以降の手続を担当することになる(以下、これにより管轄以外の土地に係る承認申請書の提出を受けた管轄法務局も含めて特段の指定がない限り、単に「管轄法務局」という。)。

第4 審査手数料

1 承認申請をするときは、手数料を納付しなければならない。なお、手数料については、納付した後は返還しない(法第3条第2項、規則第5条第2項)。

2 手数料の納付は、当該手数料の額に相当する収入印紙を承認申請書に貼付

する方法による(規則第5条第1項)。

手数料の納付がない承認申請は、法第4条第1項第2号により却下される。

3 承認申請時に納付された手数料の額が納付すべき手数料の額に満たない場合は、承認申請者が不足額を追納しない意思を明らかにしているときを除き、手数料の納付がないことを理由として直ちに承認申請を却下するのではなく、納付すべき手数料の額を通知して補正の機会を与えるものとし、この場合の補正期間は2週間を目安とする。

4 手数料が過大に納付された場合には、過大に納付された手数料の額に相当する金額の金銭を償還するものとし、帰属担当者が過大納付を確認した場合

には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。ただし、その額が1,000円未満であり、かつ、承認申請者が放棄する旨を申し出た場合にはこれを認め、償還請求及び払戻手続によることなく、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白に放棄した旨及び金額を記載させるとともに、押印又は署名させるものとする。なお、承認申請者が遠隔地に居住している等により承認申請書に当該記載をすることができない場合には、その旨を記載し、承認申請書に押印した印鑑と同一の印鑑を押印した書面を送付して申し出ることで足りる。

承認申請者が償還を請求する場合には、その旨を書面で提出させ、払戻手続を行うものとする。なお、払戻手続を行った場合には、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白にその旨を記載するものとする。

第5節承認申請の受付

第1 窓口申請

1 管轄法務局に出頭して行う申請(以下「窓口申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が窓口で受け付けるものとする。

なお、窓口申請の受付では事前予約制は採らないが、各局の実情により事前予約を可能とし、事前予約者がいる場合には、当該者の承認申請を優先的に取り扱うものとする。

2 受付時には、承認申請書類が提出すべき管轄法務局に提出されているか、規則第2条第3項本文の印鑑証明書及び第3条各号の添付書類が添付されているか、同一の承認申請書で申請できるものであるか等について確認するとともに、疑義がある場合には必要に応じて承認申請書の提出者に確認を行うものとする。

必要な確認を行った後に承認申請書を受け付けたときは、直ちに、承認申請書に貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 受付時において、承認申請書の提出後は審査手数料が過大に納付された場合における賠償償還請求手続を除き、審査手数料の返還の手続は存在しない(理由を問わず返還することはできない。)ことを承認申請書の提出者に説明し、理解を得るよう努めるものとする。

また、承認申請書及び原本還付をしない添付書面は、提出後は返却することができないので、その旨も併せて説明し、理解を得るよう努めるものとする。

4 受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。

なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるかを明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載するものとする。

承認申請者から、受付がされたことの情報の教示の希望があった場合には、承認申請に係る処分をするまでの間は、口頭で受付番号を伝達する方法のほか、申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、提供することができる。

第2 郵送申請

1 郵送による承認申請(以下「郵送申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が受け付けるものとする。

2 郵送申請の受付時には、第1の2と同様に承認申請書類を確認し、疑義がある場合には、必要に応じて承認申請者に電話で確認を行うものとする。

確認後、承認申請書を受け付けたときは、直ちに、貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 郵送申請において、提出先の管轄法務局を誤って承認申請書類が送付された場合には、誤って送付を受けた法務局等の帰属担当者は、承認申請者に電話で連絡をし、管轄法務局への承認申請書類の転送の希望の有無を確認するものとする。

承認申請者が転送を希望する場合、誤って送付された法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に、承認申請に係る所在地番、承認申請者名及び承認申請書類の転送について事前に連絡した上で、承認申請書類一式を転送するものとする。

転送の希望がない場合や承認申請書類が送付された日から5業務日を過ぎても確認が取れない場合には、承認申請者の住所宛てに承認申請書類一式を返送するものとする。

4 郵送申請を受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及

び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 郵送申請の受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるか明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載する等の措置を講ずるものとする。

郵送申請時において、承認申請者から受付がされたことの情報の教示の希望があった場合は、承認申請に係る処分をするまでの間は、承認申請者が送付料を負担した返信用封筒が同封されているときに限り、承認申請者に申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、返信用封筒を利用して提供することができる。

第3 承認申請主体

1 承認申請は、承認申請者又は法定代理人が行う必要がある(法第2条第1

項及び第2項等)。

ただし、承認申請書類の作成代行については、それを業務とするものでなければ親族等が行うことが許容されている。承認申請書類の作成を業務として代行することができる資格者(報酬を得るか否かに関わりない。)は、弁護士(弁護士法(昭和24年法律第205号)第3条)、司法書士(司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第2号)及び行政書士(行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の2)に限られる。

なお、承認申請の任意代理は、認められない。

2 承認申請書類の窓口申請は、必ずしも承認申請者等が出頭して行う必要はなく、使者による提出も認められることから、窓口での受付時において、承認申請者又は法定代理人本人であることの確認は行わないものとする。

第4 審査主体

1 承認申請に係る審査及び判断は、原則として、管轄法務局長が行うものとする。

2 承認申請に係る管轄法務局の審査を踏まえて法務大臣が自ら承認、不承認又は却下の判断を行う場合は、法務省から管轄法務局にその旨を指示する。

第6節添付書類の原本の還付

1 承認申請者は、規則第10条第1項の規定により添付書類の原本の還付を請求することができる。ただし、規則第2条第3項本文に規定する印鑑証明書及び規則第3条第7号に規定する承諾したことを証する書面については、原本の還付を請求することができない点に注意する必要がある。

なお、承認申請者が相続により土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを証する書面の原本還付を請求する場合に、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、当該書面のうち、戸籍又は除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書に限り、当該相続関係説明図を規則第10条第2項に定める謄本として取り扱うことができる。

2 規則第10条第3項の「承認申請に係る審査の完了後」とは、却下要件及び不承認要件の審査をするために添付書類の原本を留め置く必要がなくなった段階を意味し、審査状況に応じて帰属担当者が判断するものとする。

3 規則第10条第3項後段の原本還付の旨の記載は、同条第2項の謄本の最初の用紙の表面余白に<別記第3号様式>による印版を押印するとともに、帰属担当者が押印してするものとする。

4 原本の還付請求があった添付書類が偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第10条第4項ただし書)。

5 原本の還付は、承認申請者が郵送での還付を希望する場合は、承認申請者が申し出た送付先の住所に郵送で送付することができる。

この場合、書留郵便又はこれと同等のものである信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うことができるものに限られているため、送付可能な郵便切手や法務大臣が指定する証票が同封されている必要があり、規則第10条に規定する方法以外の方法により還付を希望する申出があったとしてもこれに応ずることはできない。

第7節承認申請者に承継があった場合の取扱い

1 負担金が納付されるまでの間に承認申請者から申請土地の所有権の全部又は一部を取得した一般承継者又は所有権の登記名義人として登記された特定承継者は、所有権を取得した日から60日以内に限り、管轄法務局に申出書及び添付書類を提出することにより、承認申請者の地位を承継することができる(規則第12条第1項、同条第2項)。

この際の申出書は、<別記第4号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 帰属担当者は、申出書と同時に提出される添付書類により、申出人が承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、規則第12条第1項に規定する新承認申請権者に該当すること及び法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾していることを確認するものとする。

ただし、特定承継者からの地位承継の申出については、その者が法第2条第2項後段の承認申請権者に該当する場合(他の共有者に相続等によって土地の共有持分を取得した者がいる場合)に限って認められることに注意を要する。

なお、申出書及び添付書類については、承認申請書及び添付書類の取扱いに準ずるものとする。

3 申出人が新承認申請権者であると判断できない場合において、補正等がされないときは、地位承継の申出を却下するものとし、適宜の方法によりその旨を申出人に通知するものとする。

4 承認申請者の死亡など同人が申請土地の所有権を喪失した事実を管轄法務

局が把握した場合であって、喪失した日から60日以内に新承認申請権者から承認申請者の地位を承継する申出がないときは、法第4条第1項第1号の規定により承認申請を却下するものとする。

第8節関係機関への情報提供

1 承認申請の受付後、申請土地の寄附受けや他の制度の活用(以下「寄附受け等」という)の可能性について確認することを目的として、国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体に対し、申請土地に係る情報を提供するものとする。

また、申請土地が所在する法務局等の管轄内にその他の情報提供が有益と考えられる団体(以下、上記の国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体と併せて「情報提供対象機関」という。)が存在する場合には、当該機関に対しても情報提供をするものとする。

2 情報提供の実施に当たっては、情報提供対象機関に情報提供をする旨を承認申請者に対して説明し、承認申請者の同意を得るものとする。なお、承認申請者が情報提供対象機関への情報提供を希望しない場合は実施しないものとする。

3 情報提供対象機関に対する情報提供は、<別記第5号様式>で実施するものとし、申請土地の所在、地番を記載し、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)、「申請土地に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写した書面を添付するものとする。

4 情報提供対象機関に対する確認依頼は、2週間を期限として、<別記第5

号様式>により回答を依頼するものとし、情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があった場合には、承認申請に係る処分を留保するものとする。

なお、期限内に回答がない場合であっても、承認決定までの間に情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があったときは、承認申請に係る処分を留保するものとする。

5 情報提供対象機関から申請土地の寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者にその旨を連絡するものとする。

なお、寄附受け等に関する調整は承認申請者と寄附受け等を希望する情報提供対象機関との間で直接行うものとし、管轄法務局においては連絡調整以外の具体的な内容に関する調整は実施しないが、情報提供対象機関に対しては、定期的に進捗の確認を行うものとする。

6 複数の情報提供対象機関から寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者に対し、それぞれの情報提供対象機関について説明した上で調整を行う相手方の希望を確認し、その結果について寄附受け等を希望する情報提供対象機関に連絡するものとする。

承認申請者と調整を行う情報提供対象機関が決定した後の対応については、上記5と同様とする。

第9節関係機関への資料提供の依頼等

1 関係機関に対する資料提供の依頼は、申請土地の所在及び地番を記載した依頼書<別記第6号様式>により行うものとし、当該依頼書と併せて、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号「承認申請に)、 係る土地と当該土地に隣接する土地との境界

点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書、登記所備付地図等の写しを複写した書面及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付するものとする。

2 関係機関に対する資料提供依頼の内容は、次に掲げる事項を対象とするものとし、可能な限り文書等による回答及び資料提供を求めるものとする。なお、次に掲げる事項以外の事項についても、申請土地の状況に応じて追加して資料提供を依頼することがあり得るので留意が必要である。

(1) 固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)(法第10条第1項関連)

(2) 「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地(法第10条第1項、令第4条第1項第1号、同項

第2号、規則第15条関連)

(3)「農地台帳」に記載のある土地(法第10条第1項関連)

(4)(3)の土地における使用収益権の設定状況(法第2条第3項第2号関連)

(5)地域森林計画の対象となっている土地(法第10条第1項関連)

(6)森林法(昭和26年法律第249号)第11条第1項に規定する森林経営計画の認定の有無(法第2条第3項第2号関連)

(7) 森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(8) 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(昭和41年法律第126号)第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(9) 林地台帳及び林地台帳地図(法第2条第3項第5号関連)

(10)森林簿及び森林計画図(法第2条第3項第5号、令第3条第3項第3号関連)

(11) 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地(法第2条第3項第4号関連)

(12) 「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地(令第2条第2号関連)

(13) 「境内地」に該当する土地(令第2条第3号関連)

(14)「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地(令第2条第4号関連)

(15) 治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定によって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう)の計。 画がある土地(令第3条第3項第1号関連)

(16)森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地(令第

3条第3項第2号関連)

(17) 森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地(令第3条第3項第2号関連)

(18)条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法(昭和24年法律第195号)第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地(令第3条第3項第4号関連)

(19) 条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地(令

第3条第3項第5号関連)

(20)(18)・(19)以外に金銭の支払を求められる可能性がある土地(別荘地等)(令第3条第2項第2号関連)

3 関係機関に対する助言の依頼

法第7条の規定に基づき、関係機関に対して申請土地の審査に当たり、資料の提供、説明、事実の調査の援助その他必要な協力を求める必要がある場合には、申請のあった承認申請書類の写しのほか、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写し

た書面を送付することとする。なお、必要に応じ上記2により収集した資料についても同様に送付するものとする。

また、法第7条の規定に基づき、関係のある公私の団体その他の関係者に協力を求める場合には、関係機関に対する依頼に準じた対応をするものとする。

第10節承認申請の審査

第1 書面調査

承認申請がされた場合には、後記第3に記載する事項を中心に、承認申請書類の記載内容、法第7条の規定に基づき関係機関から取得した資料及び登記所が保有する資料(登記事項証明書及び登記所備付地図等)の内容により調査を行うものとする。

なお、書面調査において却下要件に該当することが確実と判断できる場合には、当該承認申請を却下する方向で処理を進めるものとし、この場合において、法第7条の規定に基づき資料提供依頼を行い、当該依頼に係る回答がされていないものがあるときは、当該依頼に対する回答が不要である旨連絡をするなど、照会先に配慮した適切な措置を講ずるものとする。

第2 実地調査

1 申請土地についての法第6条第2項に規定する実地調査は、原則として管

轄法務局の帰属担当者が実施する。ただし、書面調査において、却下要件に

該当することが明らかな場合であって、補正の見込みもないとき(例えば、登記記録上に抵当権の登記があり、承認申請者が抵当権の登記の抹消を申請する意思がない場合等)においてはこの限りでない。

2 実地調査は、1回かつ1日以内での実施を原則とする。

ただし、申請土地が広大な土地である場合や調査に時間を要する特別な事

情がある場合には、複数回や複数日での実地調査を行うことも差し支えない。

3 実地調査に当たっては、<別記第7号様式>により、立入りを予定している他人の土地の占有者に通知を行うものとする(法第6条第3項及び第4項)。なお、承認申請者については、電話等適宜の方法による連絡で差し支えない。

4 宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合

は、当該土地の占有者にその旨を告げ、その後に立ち入るものとする(法第

6条第5項)。

5 土地の占有者の承諾を得ない限り、日出前又は日没後の立入りはしないも

のとする(法第6条第6項)。

6 立入りをする場合には、法務局長等が発行した帰属担当者の身分証明書を携行し、関係者からの求めがあったときには、当該身分証明書を提示するものとする(法第6条第7項)。

7 実地調査においては、原則として承認申請者の同行は求めないものとする。

ただし、承認申請者の同行がなければ、申請土地に到達することが困難と認められる場合は、実地調査に承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めるものとする。また、以下のような場合にも、必要に応じて承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めることができるものとする。

ア添付書類に示された申請土地の所在位置に疑義がある場合

イ添付書類に示された申請土地の境界(所有権の範囲)に疑義がある場合

ウその他承認申請者の認識を現地で確認する必要がある場合

なお、承認申請者が正当な理由がないにもかかわらず同行に応じない場合には、法第4条第1項第3号の規定により承認申請を却下するものとする。

8 実地調査においては、必要がある場合には、法第7条の規定に基づき、管

理予定庁に同行を求めるものとする。

9 実地調査の終了後は、<別記第8号様式>を用いて、実地調査結果報告書を作成するものとする。

10 実地調査は、主に後記第3に掲げる調査事項を確認するため、申請土地及びその周辺を調査するものとし、必要に応じて隣接地所有者や周辺住民等への聴取も実施するものとする。

第3 調査事項

以下の①から⑱までの項目について、書面調査及び実地調査を行うものと

する。

① 承認申請書に記載された氏名又は名称及び住所(法第3条第1項第1号、規則第2条第1項第1号、同項第3号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

登記記録上の氏名又は名称及び住所と承認申請書の記載事項が一致しない場合には、規則第3条第1号に基づく添付書類により、変更事項(住所変更、氏名変更等)を確認するものとする。なお、申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者全員の確認が必要である(法第2条第2項)。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

② 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

【実地調査】

(1) 申請土地の所在、地番

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)や登記所備付地図等を確認の上、現地に到達することができるか、現地に申請土地が存在するかなどの点を中心に確認を行うものとする。

特に、申請土地の特定(土地の取り違え)に留意する必要がある。

(2) 地目

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地目と同じであるか、異なる

場合はどのような用途で利用されているかを中心に確認するものとす

る。

なお、調査の結果、登記記録上の地目と現況の利用用途が異なっていたとしても、それを理由に承認申請を却下することはできない点に留意する必要がある。

(3) 地積

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地積と著しく相違がないことを確認するものとする。

なお、実地調査において申請土地の測量は実施しない。

③ 申請土地の所有者(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者が所有権の登記名義人となっているかを確認する。申請土地が共有地である場合には、全ての承認申請者について確認する必要がある。

申請土地の登記記録の所有権の登記名義人が承認申請者でない場合には、相続により所有権を取得したことを証する添付書類(遺産分割協議書、戸籍事項証明書等)又は相続人に対する遺贈により所有権を取得していることを証する添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請者が申請土地の所有者であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。これに対し、相続等以外を原因とする所有権の取得(例えば、売買を原因とする場合)については、相続等以外を原因とする所有権の移転の登記を求めるものとし、当該登記がされない場合には承認申請権限を有しないものとして取り扱うものとする。

なお、承認申請者の住所が登記記録上の所有者の住所と異なる場合には、登記記録上の住所に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(住民票の写し等)を、承認申請者の氏名又は名称が登記記録上の氏名又は名称と異なる場合には、登記記録上の氏名又は名称に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(戸籍事項証明書等)を確認し、同一人であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地の所有者以外の者が承認申請者として承認申請していると疑わしい場合を除き、特段の確認は要しないものとする。

④ 所有権の取得原因(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「相続」である場合には、「相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者」(法第2条第1項)と取り扱うものとする(規則第3条第1号)。

相続登記がされていない場合は、相続等を証する添付書面(戸籍事項証明書、遺産分割協議書等)を確認することにより、相続等によって土地の所有権を取得しているかを確認するものとする(規則第3条第1号)。

承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「遺贈」である場合(「相続人」に対する遺贈であるかが判明しない)や、承認申請者を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記があるにとどまる場合には、登記記録のみによっては承認申請権限の有無を確認することができないため、承認申請権限を証する他の添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請権限の有無を判断するものとする(規則第3条第1号)。

なお、申請土地が共有地である場合には、その一人について確認すれば足りる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑤ 建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

【書面調査】

申請土地を底地とする建物の登記が存在するかを確認するものとする。

また、添付書類の写真(申請土地の形状を明らかにする写真(規則第3条第5号)) によって建物の有無を確認するものとする。

滅失した建物の登記記録が存在する場合は、承認申請者に建物滅失登記の申請等をするよう促すものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に建物が存在しないことを確認するものとする。

建物の該当性については、建物の登記の存在の有無及び存在する建築物が「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」(不登規則第111条)に該当するかによって判断するものとする。なお、建物には該当しない廃屋等が存在する場合、当該廃屋等が、土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当するかを判断することとなる。

(2) 実地調査において建物が存在しないことを確認した場合であって、建物の登記が存在するときは、当該建物を管轄する登記所の不動産登記事務担当者に、<別記第8号様式>を用いて作成する実地調査結果報告書の写しを提出し、申請土地に建物が存在しないこと等について情報提供するものとする。

⑥ 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第

2条第3項第2号)

【書面調査】

(1) 申請土地の登記記録を確認し、抵当権等の担保権、又は地上権、地役権、賃借権等の使用及び収益を目的とする権利(以下「使用収益権」という。)の登記の有無について確認するものとする。

なお、登記記録上において、担保権又は使用収益権が存在しない場合には、権利設定の有無について積極的に調査をする必要はないが、農地に係る使用収益権等の設定の有無は、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料の内容も確認するものとする。また、調査の過程でこれらの権利の存在を疑うに足る事情を発見した場合には、承認申請者から事情を聴取した上、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

(2) 入会権や経営管理権が設定されている土地、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地については、登記記録から権利設定の有無が明らかとはならないため、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び承認申請者からの申告内容を確認することとなる。また、調査過程において、これらの権利が設定されていることが判明した場合には、使用収益権が設定されている土地に該当するものと判断することとなる。

(3) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記の有無についても確認するものとする。

なお、これらの登記が存在する場合には、国が所有権を喪失する又は自由な使用収益を害する可能性が高いことから、担保権が設定されている土地や所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地に該当するものと判断することとなる。

【実地調査】

(1) 担保権又は使用収益権((2)から(4)までの場合を除く。)

実地調査においては、特段の確認は要しないものとするが、現地において、これらの権利の存在を疑うに足る事情があるときは、承認申請者、隣接地所有者又は近隣住民に確認をする等の調査を実施するものとする。

(2) 入会権

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(3) 経営管理権、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(4) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記が存在する土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑦ 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条

第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

【書面調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に通路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた墓地の許可に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地が墓地内の土地に該当するかを確認するものとする。

(3) 境内地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた境内地に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた水道用地、用悪水路又はため池に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

【実地調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に通路や道路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。また、森林に存在する林道や登山道については、現に通路の用に供されているかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に通路や道路の用に供されているかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

実地調査においては、特段の調査を要しない。

(3) 境内地

実地調査においては、申請土地が宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号から第7号までに規定される土地であるかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されているかを確認するものとする。

⑧ 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(規則第14条で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により確認するものとする。

なお、提供された資料により汚染されている土地に該当する可能性があると疑われる場合には、承認申請者に対し、法第6条第2項の規定に基づき、特定有害物質により汚染されていないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

上申書の内容を踏まえても汚染されている土地に該当する可能性が払拭されない場合には、承認申請者に対し、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関等による調査報告書の提出を求めるものとする。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地に明らかな異常(土地の変色、異臭等)が存在するかについて確認するものとする。

明らかな異常が認められる場合は、承認申請者に事情を聴取し、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により、人体に有害な物質により汚染されていると認められる場合には、実地調査を省略して差し支えない。

⑨ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

【書面調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地

上記①、③及び④の調査による。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

所有権の範囲については、以下の2点を確認する必要がある。

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が表示されていること添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を確認するものとする。

また、法第7条の規定に基づき収集した申請土地に係る法務局等の保有する資料(登記記録、登記所備付地図等、地積測量図、筆界特定図面等)と添付書面の内容に齟齬がないかを確認するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

(a) 管轄法務局から隣接地所有者に対し、申請土地と申請土地に隣接する土地(以下「隣接土地」という)との境界及び境界紛争の有無を確認するため、承認申請があった旨を記載した通知書に規則第3条第4号から第6号までの書類の写し及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付して、隣接土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に送付するものとする(規則第13条第1項)。

(b) (a)の通知書は、<別添第9号様式>によって作成するものとし、表題部所有者又は所有権の登記名義人の登記記録上の住所地に宛てて送付するものとする(規則第13条第2項)。

(c) 隣接土地の該当性は、登記所備付地図等において申請土地に隣接しているかによって確認するものとし、申請土地と境界点で接している全ての土地について通知をするものとする。

なお、申請土地について、関係機関から林地台帳地図又は森林計画図の写しの提供がある場合には、当該図面も参考にするものとする。

(d) 隣接土地が共有地である場合は、共有者全員の登記記録上の住所地に宛てて通知書を送付するものとする。

(e) 通知書の回答期限は、作成の日から2週間とする。

返信期限までに返信がない場合は、再度通知書を送付するものとし、回答期限は再度の作成の日から2週間とする。

ただし、通知を受ける者が外国に住所を有する場合には、これらの回答期限は4週間とする。

なお、再度の通知に対して正当な理由がなく回答がなかった場合には、異議のないものとして取り扱い、実地調査を行うこととして差し支えない。

(f) 通知に対して「異議はない」旨の回答があった場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(g) 通知に対して「異議がある」旨の回答があった場合には、承認申請者に結果を伝えるとともに、隣接地所有者から異議が提出されている状態では、隣接地所有者との間に境界の争いが存在することになるため、法第2条第3項第5号に該当し承認申請は却下となることを説明し、隣接地所有者との調整や申請の取下げの検討を促すものとする。

この場合の隣接地所有者との調整期限は、2か月を目安とし、調整が整った場合には、該当する規則第3条第4号から第6号までの書面を補正させた上で、関係する隣接地所有者に対して再通知を行うものとする。

なお「異議がある、 」との回答に具体的な理由が記載されていない場合には、具体的な理由を明らかにするよう再通知することとし、それでもなお理由を示さない場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(h) 隣接地所有者に通知が届かなかった場合(宛所不明で返戻された場合)は、実地調査において隣接地の状況を確認し、隣接地所有者や近隣住民等に認識を確認するなどの調査を実施することとなる。

通知書が返戻された場合は、その旨を審査結果報告書に記載し、当該通知書は承認申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。

【実地調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地所有者以外の者が申請土地を不法に占拠している状況が存在しないか、所有権の帰属について争いがある状況が存在しないかを確認するものとする。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が現地で確認できること

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を参考に、現地で境界点の存在と位置を確認し、図面及び写真と齟齬していないかを確認するものとする。

添付書面と現地の状況が明らかに齟齬している場合は、承認申請者に事情を聴取するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

前記書面調査の(2)イにおいて隣接地所有者に送付した通知書に関し、承認申請者が認識している境界に異議がない旨の返信があった場合には、実地調査において当該者に改めて境界の認識を確認する必要はない。

隣接地所有者へ通知を2回送付しても返信がなかった場合、宛先不明で返送された場合及び異議の内容を具体的に明らかとしなかった場合は、隣接土地の状況を確認し、所有者又は占有者が存在し、聴取が可能な場合は境界に関する認識を聴取するものとする。

隣接土地が更地である場合のように所有者又は占有者に境界の認識を聴取することが困難なときにおいては、承認申請者に当該隣接土地に係る境界の争いの有無を確認するとともに、必要に応じて隣接地所有者や近隣住民に対する事情聴取を実施するものとする。

なお、実地調査において、書面調査では確認することができなかった隣接土地が存在する場合には、当該土地の隣接地所有者の境界に関する認識も調査する必要がある。現地で認識を聴取することができればそれで足り、現地で認識について聴取できない場合には、他の隣接地所有者と同様、境界の認識を確認する通知を改めて送付するものとする。

⑩ 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における崖の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地が傾斜地である場合、社会通念に照らして「一個の崖」を認定する。なお、申請土地が崖の一部である場合には、申請土地以外の周辺の土地を含めて「一個の崖」と認定する。

申請土地に令で定める基準に該当する崖がある場合は、所在する人の生命等に被害を及ぼす又は隣接土地に土砂が流れ込むことによって財産的な被害を生じさせる可能性があり、擁壁工事等を実施する必要があることが客観的に認められるかにより、当該要件の該当性を判断するものとする。

当該一個の崖が令で定める基準に該当するかについてはレーザー距離計等の機器を用いて、傾斜がある部分の上端及び下端を特定し、角度及び垂直距離を測定し、勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上であるかを判断するものとする。

(2) (1)の判断に当たっては、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかを判断するものとする。ただし、管轄法務局において容易に判断することができる場合は、この限りではない。

⑪ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における工作物、車両又は樹木その他の有体物の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に存在する有体物の有無を確認し、通常の管理又は処分を阻

害する有体物に該当するかを判断するものとする。

(2) 通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当する主な事例は、以下のとおりである。

ア果樹園の樹木

イ民家、公道、線路等の付近に存在し、放置すると倒木のおそれがある枯れた樹木や枝の落下等による災害を防止するために定期的な伐採を行う必要がある樹木

ウ放置すると周辺の土地に侵入するおそれや森林の公益的機能の発揮に支障を生じるおそれがあるために定期的な伐採を行う必要がある竹

エ過去に治山事業等で施工した工作物のうち、補修等が必要なもの

オ建物には該当しない廃屋

カ放置車両

⑫ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物

が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び必要に応じて収集した地歴調査に関する資料により確認するものとする。

なお、提供を受けた資料から管理を阻害する有体物が地下に存する可能性がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、管理を阻害する有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

【実地調査】

申請土地の状況を確認し、不自然に土地を掘り起こした部分がないかを確認するものとする。

不自然な点がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

⑬ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

【書面調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記所備付地図等により、申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(いわゆる別荘地関連や立木を第三者に販売する契約)が存在する場合は、当該資料も確認する。

【実地調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)申請土地から公道に通じる土地の状況を確認し、通行が妨害されているといった状況の有無について確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)

ア例えば、所有者以外の第三者に不法に占有されている、隣接地から継続的に流水がある、といった土地の使用に支障がある状況にないかを確認するものとする。

イ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、申請土地を特定の管理会社が管理し、管理費用が発生する土地(いわゆる別荘地)に該当する可能性がある場合であって、申請土地についても管理費用の支払を求め、管理費用を国が支払わないと申請土地の利用が阻害されるおそれが明らかであるときは、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

ウ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、立木を第三者に販売する契約を締結している土地であって、申請土地について第三者が立木を伐採するために土地に立ち入る可能性がある場合には、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

⑭ 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(治山事業の計画がある土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地の状況を確認した上、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、申請土地が本要件に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、客観的に通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する土地に該当するかを判断するものとする。ただし、法務局等において容易に判断することができる場合は、この限りでない。

なお、法7条に基づく関係機関から提供を受けた治山事業に関する資料により、土地の崩落などが現に生ずるおそれが高い場合は、実地調査を省略して差し支えない。

(2) 本要件は、災害等の発生の可能性があり、被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)が必要であることについて、具体的かつ客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑮ 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(森林病害虫等防除法第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地若しくは森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 本要件は、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあることについて、具体的な被害情報や具体的に被害が発生する客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑯ 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた森林計画や森林簿により確認するものとする。なお、天然林について、標準伐期齢に達しているかどうかについて、添付書類の写真や森林簿によっても林齢が不明な場合には、承認申請者に対して林齢を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 市町村森林整備計画に適合させるため、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められる森林の例は、以下のとおりである。

ア間伐の実施を確認することができない人工林

イ一定の生育段階に到達するまで更新補助作業が生じる可能性がある標準伐期齢に達していない天然林

⑰ 法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地(令第3条第3項第4号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等)が発生することが確実な土地)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

なお、当該資料によって、金銭債務の支払が発生することが確実な土地と認められる場合には、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑱ 法令の規定に基づく処分により承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属したことに伴い国が法令の規定により当該金銭債務を承継することとなるもの(令第3条第3項第5号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務を承継する土地であることが分かる資料)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

当該資料によって、金銭の支払が承継する土地と認められる場合であって、承認申請者が当該金銭債務を消滅させる意思がないときには、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

第4 承認、却下又は不承認の判断

1 書面調査及び実地調査の結果並びに第9節の3により依頼した事項の回答を踏まえ、申請土地について却下要件及び不承認要件の該当性を検討の上、<別記第10号様式>により審査結果報告書を作成するものとする。

なお、却下要件及び不承認要件は、客観的かつ具体的に認められることが必要であり、要件該当性に疑義がある場合には、当該要件には該当しないと判断する必要がある点に留意する。

2 管轄法務局長が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条第2号、第4号及び第5号、帰) 属担当者は、審査結果報告書について管轄法務局長の判断を仰ぐものとする。

3 法務大臣が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条柱書き)、管轄法務局長は、<別記第11号様式>により、承認申請書類及び審

査の過程で入手した書類の写しを添付して進達するものとする。

4 管轄法務局長が承認申請に対して承認しようとする場合には、その決定前

に、帰属担当者が、申請土地の登記記録(承認申請者が法人の場合は法人の

登記記録を含む。)を確認した上で、電話等により承認申請者等に対し、申

請土地の所有権の移転又は承認申請者住所の変更の有無及び承認をした場合に窓口での通知の受領の希望の有無について確認するものとする。また、承認申請者が複数人である場合には、負担金に係る納入告知書を受領する代表者についても併せて確認するものとする。

この場合において、登記記録以外で承認申請者の情報が変更されていることが判明したときには、当該事実を証する資料の提供を求めることとする。

なお、法務大臣が承認申請に対して承認しようとする場合には、管轄法務局の帰属担当者は、その決定前に前記の内容を確認し、法務省へ報告するものとする。

第5 標準処理期間

法務局長等は、承認申請の件数や事務の処理状況等を考慮の上、承認申請から承認をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局等のホームページに掲載する等の方法により明らかにしておくものとする。

第11節承認申請の却下

1 承認申請が却下事由に該当する場合には、管轄法務局長は、当該承認申請を却下しなければならない。

ただし、当該承認申請の不備が補正することができるものである場合において、承認申請者等に補正を求め、承認申請者等が相当の期間内に補正をしたときは、この限りではない。

承認申請を却下したときには、却下したことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付するものとする(法第4条第2項、規則第6条第1項)。

2 却下したことの通知は、<別記第12号様式>により作成するものとし、却下した理由を明記するものとする。

なお、審査の結果判明した却下の理由が複数の却下要件に該当する場合に

は、全ての理由を記載するものとする。

却下したことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

3 却下したことの通知を送付の方法により行う場合は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする(規則第6条第2項)。

ただし、承認申請者が却下したことの通知をする管轄法務局での交付を希

望する場合は、管轄法務局で交付することができる。この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

4 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請

のために用いられた疑いがある書面である場合には、添付書面は還付することはできない(規則第6条第3項ただし書)。

第12節承認申請の取下げ

1 承認申請の取下げは、承認申請者が承認申請を取り下げる旨を記載した書面を管轄法務局長に提出する方法によってすることができるとされている(規則第7条第1項)ことから、口頭により取下げの申出があったとしても、その取下げを認めることはできない。

なお、取下書は、<別記第13号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 承認申請の取下げは、法第5条第1項の承認がされた後はすることができないとされている。このため、法務大臣又は法務局長等の承認の決定がされた後は、承認申請の取下げを認めることができないので注意する必要がある(規則第7条第2項)。

3 承認申請の取下げがあった場合において、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第7条第3項)。

添付書面の還付の方法は、承認申請者の希望に応じて窓口又は郵送のいずれの方法でも還付することができる。ただし、郵送による還付を希望する場合は、承認申請者が郵送料及び返信用封筒を負担するときに限るものとする。

第13節承認をしたこと又は承認をしないことの通知

第1 承認をしたことの通知

1 承認をしたときは、法務局長等は、承認をしたことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする。

法務局長等が行う承認をしたことの通知の様式は、<別記第14号様式>により作成するものとする。

なお、本通知は、第14節第3の負担金の通知と併せて行うものとする(法第10条第2項、規則第17条第2項)。

2 承認をしたことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。

ただし、承認申請者が管轄法務局での交付を希望する場合は、承認申請書

の余白の適宜の場所に、通知を受領した日及び受領した承認申請者の氏名を

記載させた上で、管轄法務局において交付することができる。

第2 承認をしないことの通知

1 承認をしないこととしたときは、法務局長等は、承認をしない理由を明記した通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする(法第9条、規則第17条第4項)。

承認をしないことの通知は、<別記第15号様式>により作成するものとする。

なお、審査において複数の不承認要件が存在する場合は、全ての理由を記載するものとする。

承認をしないことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

2 承認をしないことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。ただし、承認申請者が承認をしないことの通知をする管轄法務局での交付を希望する場合は、管轄法務局で交付することができる。

この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

3 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合や虚偽の内容を記載した書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第6条、第17条第4項)。

4 審査の結果、却下事由及び不承認事由の双方が存在する場合は、該当する事由を<別記第12号様式>による却下通知に併記するものとする。

第14節負担金

第1 種目の判断

1 負担金を算定するための前提として、申請土地の主な種目が宅地、農用地(田・畑・採草放牧地)、森林又はそれ以外のいずれの種目に該当するかを法務局長等が判断するものとする(規則第22条第18号)。

ただし、承認申請が却下又は不承認となる場合には、種目の判断は不要とする。

2 種目の判断に当たっては、主に農用地又は森林として利用されている土地ではないと明らかに認められる場合を除き、法務局長等から財務大臣及び農

林水産大臣(財務大臣又は農林水産大臣から権限委任がなされている場合は、委任を受けた者。以下同じ。)に対し、書面調査及び実地調査の結果を踏まえた法務局長等の見解を記載した<別記第16号様式>を用いて意見を聴取するものとする(法第8条、規則第18条)。

3 法務局長等は、前記2の意見聴取において財務大臣及び農林水産大臣から提出を受けた意見を考慮の上、種目の最終判断を行うものとする。

第2 負担金の算定

1 法務局長等は、前記第1の3において最終的に判断した種目に基づき、関係機関から提出を受けた資料を踏まえ(例えば、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化区域等の該当性を確認するなどした上で、負担金の金額を) 算定するものとする(令第4条第1項各号)。

2 負担金の算定に用いる申請土地の面積は、登記記録上の地積によるものとする。

なお、承認申請者が登記記録上の地積とは異なる現況面積を主張して負担金の算定を求める場合には、原則として、承認申請前に地積更正又は地積変更の登記をさせるものとする。

第3 負担金の通知

負担金の額の通知は、<別記第14号様式>の様式による書面により行うものとする。

なお、本通知は、第13節第1の1の承認をしたことの通知と併せて行うものとする(規則第17条第2項)。

第4 納入告知書の作成及び送付

1 負担金の納付は、法務局等の歳入徴収官が作成する納入告知書によるものとする(規則第19条)。

2 納入告知書は、負担金の額の通知と併せて交付するものとし、納付期限は負担金の額の通知が到達した日の翌日から起算して30日以内となることに留意するものとする(法第10条第3項)。

なお、承認申請者が複数いる場合には、最初に負担金額の通知書が到達した日の翌日を起算日とする。

3 負担金の納付期限を経過した場合においては、事件を終結するものとする(法第10条第3項)。

4 納付期限後に誤って負担金が納付されたときは、当該納付は無効となるため、納付された負担金の額に相当する金額の金銭を還付する必要がある。

このため、法務局等において期限後の納付を確認した場合には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。

第5 合算負担金の申出

1 令第5条第1項の規定による申出(合算負担金の申出)は、規則第16条第1号から第4号までに規定する事項を記載した申出書を、管轄法務局に提出する方法によってするものとする。

当該申出書の様式は、<別記第17号様式>又はこれに準ずるものとする。

なお、合算負担金の申出書は、承認申請が承認されるまでの間に管轄法務局に提出されている必要がある。

合算負担金の申出要件を欠いている場合には、申出を却下するものとし、適宜の方法により申出人に通知するものとする。

2 隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二つ以上存在する場合には、いず

れかの管轄法務局に対して申出すれば足りる。

3 前記2の場合には、それ以降、原則として、申出がされた管轄法務局において申出に係る全ての土地の審査を担当するものとし、他の管轄法務局は、当該管轄法務局において保有する申出に係る土地に関する承認申請書類を、申出がされた管轄法務局に引き継ぐものとする。

第15節国庫帰属による所有権移転

第1 通知

法務大臣は、負担金が納付され、土地の所有権が国庫に帰属したときは、直ちにその旨を財務大臣又は農林水産大臣に通知しなければならないとされている(法第11条第2項)。

このため、土地の所有権が国庫に帰属したときは、管轄法務局が管理庁に直ちにその旨を一報した上で、<別記第18号様式>によって作成した書面を管理庁に宛てて通知することによって行うものとする(規則第22条第13号)。なお、通知の発出後は、管理庁が当該通知を受領した事実を確認するものとする。

第2 関係資料の送付

前記第1に規定する通知には、国庫帰属地に係る手続書類(承認申請書類及び審査時に収集した資料、負担金の納付に関する書類等)の写しを添付してするものとする(規則第20条)。

この手続書類の写しは、管轄法務局長が原本と相違ない旨を記載した謄本によるものとする。

第3 嘱託登記

管理庁は、前記第2の規定に基づき管轄法務局から送付を受けた書類を確認後、国庫帰属地に係る権利の移転等を公示するため、不動産を管轄する登記所に所有権の移転の登記等の嘱託を行うこととなる。

この場合の嘱託登記における登記原因は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第11条第1項の規定に基づく令和〇年〇月〇日所有権の国庫帰属」とし、登記原因日付は、負担金が納付された日となる。

第4 国庫帰属地の管理又は処分

国庫帰属地の管理又は処分は、管理庁が実施することになる。このため、所有権の移転の登記等の嘱託が完了した後は、国庫帰属の承認の取消し又は国庫帰属地に係る損害賠償請求に係る場面を除き、管轄法務局が国庫帰属地に直接関与することは想定されないが、管理庁から国庫帰属地の管理処分に当たり、承認申請の審査の経緯やその内容等について照会を受けた場合には、これに協力することとする。

第16節承認の取消し

第1 承認の取消し

1 法務大臣は、承認申請者が偽りその他不正の手段により、土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けたことが判明したときは、その承認を取り消すことができるとされている(法第13条第1項)。

この「偽りその他不正の手段」とは、承認申請者が故意をもって行う不正行為の一切をいい、以下のような場合が想定される。

① 虚偽の記載事項を承認申請書に記載し、却下要件又は不承認要件に該当していないかのように装い、その結果、法務大臣又は法務局長等を錯誤に陥れることによって法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

② 偽造された添付書類を提出し、法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

③ 申請土地が却下要件に該当すること又は不承認要件に該当することを認識していたにもかかわらず、その事実を秘匿したまま法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

2 承認の取消しの端緒としては、主に以下のような場合が想定される。

① 管理庁又は管理庁からの土地の所管換等により土地を所管することになった国の機関(以下「管理庁等」という。)が、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことを把握し、法務局等に承認の取消しについて協議の申し入れがあった場合

② 第三者から、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことについて通報があった場合

3 法務局等は、前記2により承認の取消しに係る事案を知ったときには、法務省に速やかに一報するものとする。

4 承認の取消しに関する検討は、原則として、承認申請を処理した法務局等(以下、単に「法務局等」という。以下、本節において同じ。)が実施し、その検討結果を法務省に進達するものとする。

5 法務局等は、管理庁等や第三者から提供があった情報を確認の上、承認申請の審査結果を確認するとともに、承認の取消しの要否について検討を行うものとする。

第2 意見聴取

1 意見聴取は、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第14号)。

なお、法務局等における検討後、管理庁等に、<別記第19号様式>を用いて意見を聴くものとし、当該書面には、法務局等の検討結果を記載するものとする(法第13条第2項、規則第22条第14号)。

2 法務局等による意見聴取は、法務省が実施する場合は、実施しない。

第3 同意の取得

1 前記第2の1の意見聴取の結果を踏まえ、国庫帰属地の所有権を取得した

者又は当該国庫帰属地につき所有権以外の権利の設定を受けた者があるとき

の法第13条第3項の規定に基づく同意の取得は、原則として、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第15号)。

なお、同意の取得については、事前に法務省に確認を得た上で実施するものとする。

2 法務局等による同意の取得については、法務省が実施する場合は、実施し

ない。

3 国庫帰属地の所有権を取得した者又は当該国庫帰属地につき、所有権以外の権利の設定を受けた者から同意を取得することができない場合は、その旨を法務省に報告するものとする。

第4 承認の取消しの通知

法務大臣が承認の取消しを決定したときは、法務局長等は、承認を受けた者に対して、承認を取り消したことを書面で通知するものとする(法第13条第4項、規則第21条、第22条第16号)。

この通知は、<別記第20号様式>により行うものとする。

第5 所有権の移転の登記の抹消

承認の取消しがされたときは、速やかに国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消手続を行う必要がある。

法務局等は、国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消登記が行われていることを把握したときは、その旨を法務省へ報告するとともに、承認の取消しがされた国庫帰属地に係る承認申請書の適宜の場所に付記しておくこととする。

第17節損害賠償責任

国庫帰属地が承認時に法第2条第3項各号又は第5条第1項各号のいずれかに該当する事由があったことによって国に損害が生じた場合において、承認申請者が却下事由又は不承認事由を知りながらその点を明らかにせずに法第5条第1項の承認を受けた者であるときは、その者は、国に対して損害賠償責任を負うものとされている(法第14条)。

この場合において、国が承認申請者に対して行う損害賠償請求に関する事務は、管理庁等が行うことが想定されるところ、管理庁から法務局等に対して、承認申請者に関する情報や承認申請の審査時における承認申請者の却下事由又は不承認事由に関する認識等について情報提供を求められた場合には、法務局等が把握している情報を速やかに管理庁等に提供するものとする。

第18節審査請求

1 帰属制度における行政処分は、以下のとおりである。

① 却下(法第4条第1項)

② 承認(法第5条第1項)

③ 不承認(法第5条第1項)

④ 負担金の額の通知(法第10条第2項)

⑤ 承認の取消し(法第13条第1項)

2 法には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に関する特別の定めがなく、処分庁の最上級行政庁が審査請求先となることから、帰属制度における審査請求先は前記1のいずれの行政処分についても法務大臣となる。

3 処分を行った法務局等に審査請求書が提出された場合には、法務省に一報し、審査請求書を法務省に転送するものとする。併せて、審査請求者に転送した旨を電話等により連絡するものとする。

4 審査請求の手続については、行政不服審査法の規定により行うものとする。

第19節行政文書開示請求及び保有個人情報開示請求

法には、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に関する特別の定めがないことから、帰属制度に関連する文書に対する開示請求の手続等については、各法律の規定に基づいて行うものとする。

第20節帳簿

1 規則第23条第2項の各号に掲げる帳簿の様式は、下記のとおりとする。

① 受付帳別記第21号様式

② 承認申請書類つづり込み帳別記第22号様式

③ 決定原本つづり込み帳別記第23号様式

④ 各種通知簿別記第24号様式

2 承認申請書類つづり込み帳は、管轄法務局において、承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類をつづり込むものとするとされている(規則第23条第4項第1号)。

具体的には、受付番号ごとに、これらの書類等を以下のように分類した上で、つづり込んで作成するものとし、つづり込むに当たっては、<別記第22号様式>による仕切り紙を付すものとし、第2分類には、<別記第22号様式>による目録又はこれに準ずる適宜の様式の目録を、アの最初につづり込むものとする。

なお、同一の承認申請者が二筆以上の土地についての承認申請を同時にした場合には、複数の受付番号の書類等をまとめてつづり込むこととして差し支えない。この場合には、<別記第22号様式>による表紙の適宜の場所にその旨を記載するものとする。

① 第一分類

ア承認申請書

イ添付書類

ウ取下書

エ承認申請者の地位を承継する申出書及び添付書類

オ合算負担金の申出書

② 第二分類

ア関係機関から取得した書面

イ上記以外の審査のために参考とした書面

ウ実地調査結果報告書

エ審査結果報告書

③ 第三分類

ア関係機関への情報提供依頼書

イ関係機関への資料提供の依頼書

ウその他、第一分類及び第二分類に属さない書類

附則

相続土地国庫帰属制度事務処理要領は、令和5年4月27日から施行する。

別記第1号様式(第5節第1の5関係)

年月日受付第  号

別記第2号様式(第5節第1の5関係)

受付証(相続土地国庫帰属申請)

受付年月日令和○年○○月○○日

受付番号令和○年第○○号

受付法務局○○(地方)法務局

土地の所在地番○○県○○市○○番

注意事項

1承認申請の審査中に、国又は地方公共団体等から申請土地の寄附の要望があった場合には、審査途中に法務局の担当者から連絡する

ことがあります。

2 承認申請書類の内容に不明な点がある場合は、法務局の担当者から連絡することがあります。

3 申請された土地の現地を調査するに当たって、現地への案内、立会いを依頼することがあります。

4 承認申請から審査の結果が出るまでには、一定の期間を要します。

※ 当局の標準処理期間は○か月です。

5 結果が出るまでの間は、取下書を提出することにより、承認申請を取り下げることができますが、審査手数料は返還されません。

 上記のとおり、申請を受付しました。

○○(地方)法務局

令和○年○○月○○日

連絡先

 

別記第3号様式(第6節の3関係)

原 本 還 付

別記第4号様式(第7節の1関係)①一般承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、相続の発生(注1)に伴い、新承認申請者として承認申

請者の地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由(注1):令和○年○月○日相続

添付資料(注4):印鑑証明書、承認申請者及び新承認申請権者の戸籍事項証明書、

登記承諾書

(注1)具体的な理由を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第4号様式(第7節の1関係)②特定承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、売買(注1)に伴い、新承認申請者として承認申請者の

地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由:令和○年○月○日売買(注1)

添付資料(注4):印鑑証明書、登記承諾書、登記事項証明書

(注1)具体的な登記原因を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)(注5)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

(注5)法人の場合には、代表者名及び新承認申請者の会社法人等番号も記載してください。

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第5号様式(第8節の3、4関係)

情報提供対象機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請について

下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認申請書が当局に提出されました。

 つきましては、下記1の土地について、貴機関において土地を引き取る可能性や森林経営管理制度などの他の制度を活用する可能性がある場合には、別紙により、下記2の期限までに当局の担当者宛てに御連絡いただきますようお願いいたします。

 なお、上記期限後であっても、土地を引き取る可能性や他の制度を活用する可能性が生じた場合には、随時、御連絡ください。

1 申請土地の表示等

:申請土地の所在地番 ○○市○○町○○番

:受付番号

:承認申請年月日

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

※申請者が認識する土地の範囲を示すものであり、必ずしも筆界と一致

するとは限りませんのでご注意ください

(2)  申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

(別紙)法務局への回答書

回 答 書

土地の所在地番

申請土地の所在地番: ○○県○○市○○町○○番

受付番号: 令和○年第○号

法務局からの照会番号: 令和○年○月○日日記第○号

※ 太枠の部分に回答を記載してください。

□ 寄附受けを希望する。

□ 寄附受けを検討する。

※ 検討結果の回答時期を記載してください。

〔                 〕

□ 以下の制度の活用を検討する。

※ 活用を検討する制度及び回答時期を記載してください。

〔               〕

回答者

情報提供対象機関名

担当者:○○

連絡先:

※ 寄附受け等を希望・検討する場合には、期限までに回答をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)

日 記 第    号

令和○年○月○日

関係機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する承認申請の審査に必要な資料の提供について(依頼)

 下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の申請書が当局に対して提出されました。

 当該申請について、当局の審査のため、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第7条の規定に基づき、申請土地に係る別紙記載事項について情報の提供を依頼しますので、回答及び関連資料の写しを提供していただきますようお願いいたします。

 なお、回答及び関連資料の写しについては、下記2の期限までに当局の担当者宛てに連絡いただきますようお願いいたします。

1 申請土地の表示等

申請土地の所在地番:

承認申請年月日:

受付番号:

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

(2) 申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:令和○年○月○日

 

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

 

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

①固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)

□ 別添のとおり

□ 以下のとおり

・所在地番

・地目(台帳)   (課税)

・地積(台帳)   (課税)

②「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

③ 「農地台帳」に記載のある土地

□ 記載がある

□ 記載はない

④③の土地における「農地台帳」に記載のある土地の使用収益権の設定状況

□ 設定がある

□ 設定はない

⑤地域森林計画の対象となっている土地

□ 対象である

□ 対象ではない

⑥ 森林経営計画の認定の有無

□ 認定されている

□ 認定されていない

⑦森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑧入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑨林地台帳及び林地台帳地図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

⑩ 森林簿及び森林計画図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

⑪土壌汚染対策法第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑫「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地※ 存在する場合は、関連資料の写しの提供をお願いします。

□ 許可区域である

□ 許可区域ではない

⑬ 「境内地」に該当する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑭「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

⑮治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定のよって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう。)の計画がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑯森林病害虫等防除法第7条の5に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地

□ 指定されている

□ 指定されていない

⑰森林病害虫等防除法第7条の10に基づき地区実施計画の対象となっている土地

□ 対象となっている

□ 対象となっていない

⑱条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑲条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑳⑱・⑲以外に金銭の支払いを求められる可能性がある土地(別荘地管理組合等から管理費等の支払を求められる場合など。)

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

※ 送付する関係機関に応じて、照会項目を適宜削除等して差し支えない。

別記第7号様式(第10節第2の3関係)

日 記 第    号

令和○年○○月○○日

○○ ○○ 様

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請の審査における土地への立ち入りについて(通知)

 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請における審査のため、貴殿が占有する土地に立ち入って調査を行う予定としておりますので、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第6条第3項の規定により、通知します。

 なお、現地で立ち会っていただく必要はありません。

 おって、本通知について不明な点がある場合は、下記の担当者宛てご連絡ください。

立入調査を予定している土地の所在地番:〇○県○○市○○町○○番

立入調査の予定日時:令和○年○○月○○日○○時頃

立入調査の実施者:○○(地方)法務局

参考資料

1 立入りを予定している土地の概略図

2相続土地国庫帰属制度の概要資料

※ 管理予定庁が同行する場合は、立入り調査の実施者に同行する管理予定庁及び担当部署を記載すること。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

※ 調査時間は、申請土地の状況により修正して差し支えない。

(注)調査は1時間程度を予定しています。なお、荒天時は日程を延期することがあります。

別記第8号様式(第10節第2の9関係)

実地調査結果報告書

令和 年 月 日○○(地方)法務局担当 :

  以下のとおり、実地調査の結果を報告します。

1 調査対象土地の概要

  • 受付番号令和○年受付第○号

(2) 所在・地番

2 調査実施情報

(1) 実地調査担当者

○○(地方)法務局○○ ○○

(2) 実地調査同行者((地方)法務局以外)

○○省○○ ○○ ○○ ○○

(3) 実地調査実施日時

令和○年○月○日○○時から○○時まで

(4) 承認申請者等の同行

□ 有・□ 無

(有の場合) 同行者 関係 本人 その他

3 調査実施結果

  • 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

□特記事項あり【特記事項】

□特記事項なし

(2)  建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

結果

□該当なし

□該当あり【該当する具体的・客観的理由】【備考】

(3)  担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第2条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(4) 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(5) 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(6)

 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(7) 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(8) 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(9)

 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(10) 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(11) 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(12) 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(13) 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。次条第1項第3号及び第6条第2項において同じ。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

4 調査対象土地の現況、境界の設置状況等

(1) 土地の現況

撮影年月日

備   考

(2) 境界点

点名

境界標

確認の状況

遠景

近景

撮影年月日

備   考

5 補足・特記事項

6 その他参考となる画像情報

3( )関係

撮影年月日

備   考

詳しいサイト 負動産の窓口

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/ordinance/

加工相続土地国庫帰属法施行規則

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

○法務省令第一号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)第二条第三項第四号、第三条、第四条第二項、第九条、第十条第二項及び第三項、第十三条第四項並びに第十五条第一項並びに相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和四年政令第三百十六号)第四条第一項第二号及び第七条の規定に基づき、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則を次のように定める。

令和五年一月十三日

法務大臣齋藤健

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

(承認申請書等の提出方法)

第一条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下「法」という。)第三条第一項の規定による承認申請書及び添付書類の提出は、

承認申請に係る土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長(以下「管轄法務局長」という。)に

対して行わなければならない。

ただし、承認申請に係る隣接する二筆以上の土地の管轄法務局長が

二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出すれば足りる。

(承認申請書の記載事項)

第二条承認申請書には、法第三条第一項各号に掲げる事項のほか、

次に掲げる事項を記載し、

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)が

記名押印しなければならない。

ただし、承認申請者等が署名した承認申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたときは、承認申請書に記名押印することを

要しない。

一承認申請者が法人

であるときは、その代表者の氏名

二法定代理人

によって承認申請をするときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三承認申請に係る土地の表題部所有者(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第二条第十号に規定する表題部所有者をいう。第十三条第一項において同じ。)

又は所有権の登記名義人(同法第二条第十一号に規定する登記名義人をいう。第十三条第一項において同じ。)の

氏名又は名称及び住所

2 承認申請書には、前項各号に掲げる事項の

ほか、次に掲げる事項を記載するものとする。

一承認申請者又は法定代理人の電話番号その他の連絡先

二手数料の額

三承認申請の年月日

四承認申請書を提出する管轄法務局長の表示

3 承認申請書には、第一項の規定により記名押印した者の

印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)又は登記官が作成するものに限る。)を

添付しなければならない。

ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一会社法人等番号

(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下この号及び次条第三号において同じ。)を有する法人の代表者又は代理人が記名押印した者である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したとき。

二承認申請者等が記名押印した承認申請書について

公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたとき。

三裁判所によって選任された者が

その職務上行う承認申請の承認申請書に押印した印鑑に関する証明書

であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したもの

が添付されているとき。

(添付書類)

第三条承認申請書には、

次に掲げる書類を添付しなければならない。

一承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、

当該者であることを証する書面(当該者であることが登記記録(不動産登記法第二条第五号に規定する登記記録をいう。)から明らかであるときを除く。)

二法定代理人によって承認申請をするときは、

戸籍事項証明書その他その資格を証する書面

三承認申請者が法人であるときは、

当該法人の代表者の資格を証する書面(当該法人が会社法人等番号を有する法人である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したときを除く。

四承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面

五承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真

六承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

七法第十一条第一項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には

当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面(承認申請者等が記名し、承認申請書に押印したものと同一の印を用いて押印したもの又は前条第一項ただし書の認証を受けたものに限る。)

(承認申請書の作成)

第四条承認申請書は、

土地の一筆ごとに

作成しなければならない。

ただし、同一の承認申請者等が二筆以上の土地についての承認申請を

同時にするときは、この限りでない。

(手数料の納付方法等)

第五条法第三条第二項の規定による手数料の納付は、

承認申請書に手数料の額に相当する額の

収入印紙を貼り付けてするものとする。

2 前項の手数料は、

これを納付した後においては、返還しない。

(承認申請の却下の通知方法等)

第六条法第四条第二項の規定による承認申請を

却下したことの通知は、

承認申請者ごとに、

決定書を交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

決定書を送付する方法によりすることが

できる。

3 管轄法務局長は、承認申請の却下があったときは、

添付書類を還付するものとする。

ただし、偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑い

がある書面については、この限りでない。

(承認申請の取下げ)

第七条承認申請の取下げは、

承認申請を取り下げる旨を記載した書面(第二十三条第四項第一号において「取下書」という。)を

管轄法務局長に提出する方法

によってしなければならない。

2 承認申請の取下げは、法第五条第一項の承認がされた後は、

することができない。

3 管轄法務局長は、

承認申請の取下げがされたときは、

添付書類を還付するものとする。

この場合においては、前条第三項ただし書の規定を準用する。

(承認申請書等の訂正等)

第八条承認申請者等は、

承認申請書その他の相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に関する書面につき

文字の訂正、加入又は削除をしたときは、

その旨及びその字数を欄外に記載し、

又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、

その範囲を明らかにしなければならない。

この場合において、

訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。

2 承認申請者等は、

承認申請書が二枚以上であるときは、

各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載すること

その他の必要な措置を講じなければならない。

(承認申請書等の送付方法)

第九条承認申請者等が

承認申請書及び添付書類を送付するときは、

書留郵便

又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者(以下この項及び次条第六項において「信書便事業者」と総称する。)による同法第二条第二項に規定する信書便(次条第六項及び第七項において「信書便」という。)の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うもの

によるものとする。

2 前項の場合には、

承認申請書及び添付書類を入れた封筒の表面に

承認申請書が在中する旨を

明記するものとする。

(添付書類の原本の還付請求)

第十条承認申請者等は、

承認申請書の添付書類の

原本の還付を請求することができる。

ただし、第二条第三項本文及び同項第三号の印鑑に関する証明書

並びに第三条第七号の書面については、

この限りでない。

2 前項本文の規定により

原本の還付を請求する承認申請者等は、

原本と相違ない旨を記載した謄本を

提出しなければならない。

3 管轄法務局長は、第一項本文の規定による請求があったときは、

承認申請に係る審査の完了後、

当該請求に係る書類の原本を還付

しなければならない。

この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書類の原本を照合し、

これらの内容が同一であることを確認した上、

同項の謄本に原本還付の旨を

記載しなければならない。

4 前項前段の規定にかかわらず、

管轄法務局長は、

偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面については、

これを還付することができない。

5 第三項の規定による原本の還付は、

承認申請者等の申出により、

原本を送付する方法によることができる。

この場合においては、承認申請者等は、

送付先の住所をも申し出なければならない。

6 前項の場合における書類の送付は、

同項の住所に宛てて、

書留郵便

又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによって

するものとする。

7 前項の送付に要する費用は、

郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを

提出する方法により納付しなければならない。

8 前項の指定は、告示してしなければならない。

(承認申請の受付)

第十一条管轄法務局長は、

承認申請書が提出されたときは、

受付帳に承認申請の受付の年月日及び受付番号並びに承認申請に係る土地の所在及び地番を

記録しなければならない。

2 管轄法務局長は、

前項の規定により受付をする際、

承認申請書に承認申請の

受付の年月日及び受付番号を記載しなければならない。

3 受付番号は、

一年ごとに更新するものとする。

(承認申請者から所有権を取得した者の取扱い)

第十二条法第十一条第一項の規定による負担金の納付がされるまでの間に、

承認申請者から承認申請に係る土地の所有権の全部又は一部を取得した者(法第二条第一項又は第二項の承認申請をすることができる者に限る。以下この条において「新承認申請権者」という。)があるときは、

新承認申請権者は、

その取得の日から六十日以内に限り、

管轄法務局長に申し出て、

承認申請手続における承認申請者の地位を

承継することができる。

2 前項の申出は、

新承認申請権者が

申出書及び添付書類を

提出して行わなければならない。

3 前項の申出書及び添付書類については、

第二条(第二項第二号を除く。)及び第三条(第一号から第三号まで及び第七号に係る部分に限る。)の規定を準用する。

この場合において、

「承認申請書」とあるのは「申出書」と、「承認申請者」とあるのは「申出人」と、「承認申請者等」とあるのは「申出人等」と、「承認申請を」とあるのは「申出を」と、「承認申請に係る土地の表題部所有者」とあるのは「申出に係る土地の表題部所有者」と、「承認申請の」とあるのは「申出の」と、「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者」とあるのは「申出人が新承認申請権者」と

読み替えるものとする。

(隣接地所有者への通知)

第十三条管轄法務局長は、

承認申請があったときは、

その旨を記載した通知書に、

第三条第四号から第六号までの書類の写しを添付して、

承認申請に係る土地に

隣接する土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に

送付するものとする。

2 前項の規定による通知は、

前項の表題部所有者又は所有権の登記名義人の

登記簿上の住所に宛てて発すれば足りる。

(法第二条第三項第四号の特定有害物質の基準)

第十四条法第二条第三項第四号に規定する法務省令で定める基準は、

土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第三十一条第一項及び第二項の基準とする。

(農地の地積に応じた負担金が算定される区域)

第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第一項第二号に規定する法務省令で定める事業は、次に掲げる要件を満たしている事業とする。

一次のいずれかに該当する事業(主として農地の災害を防止することを目的とするものを除く。)であること。

イ農業用用排水施設の新設又は変更

ロ区画整理

ハ農地の造成(昭和三十五年度以前の年度にその工事に着手した開墾建設工事を除く。)

ニ埋立て又は干拓

ホ客土、暗きよ排水その他の農地の改良又は保全のため必要な事業

二次のいずれかに該当する事業であること。

イ国又は地方公共団体が行う事業

ロ国又は地方公共団体が直接又は間接に経費の全部又は一部につき補助その他の助成を行う事業

ハ農業改良資金融通法(昭和三十一年法律第百二号)に基づき公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

ニ公庫から資金の貸付けを受けて行う事業(ハに掲げる事業を除く。)

(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)

第十六条令第五条第一項の規定による申出は、

次に掲げる事項を記載した申出書を

管轄法務局長に提出して行わなければならない。

ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の

管轄法務局長が二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出するものとする。

一申出をする者の氏名又は名称及び住所

二申出に係る隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の所在及び地番

三承認申請の受付の年月日及び受付番号(承認申請と併せて申出をする場合を除く。)

四令第五条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨

(承認等の通知方法)

第十七条法第九条の規定による承認をしたことの通知は、

その旨を記載した書面を

承認申請者ごと

に交付して行うものとする。

2 法第十条第二項の規定による負担金の額の通知は、

前項の通知と併せて、

負担金の額を記載した書面を

承認申請者ごとに交付して行うものとする。

3 前二項の規定による交付は、

前二項に規定する書面を

送付する方法によりすることができる。

4 法第九条の規定による承認を

しないことの通知については、

第六条の規定を準用する。

(承認に関する意見聴取方法)

第十八条法第八条の規定による財務大臣及び農林水産大臣からの意見の聴取は、

各大臣の意見及びその理由を記載した

書面の提出を受けることにより行うものとする。

(負担金の納付方法)

第十九条法第十条第一項の規定による負担金の納付の手続は、

会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第四条の二第三項に規定する歳入徴収官が発した

納入告知書又は納付書によってしなければならない。

(国庫帰属に伴う関係資料の送付)

第二十条管轄法務局長は、

承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属したときは、

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続に関する書類(第二十三条第四項第一号において「手続書類」という。)の写しを、

財務大臣(当該土地を農林水産大臣が管理するときは、農林水産大臣)に

送付するものとする。

(承認の取消しの通知の方法)

第二十一条法第十三条第四項の規定による承認の取消しの通知は、

決定書を法第五条第一項の

承認を受けた者ごとに

交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

同項に規定する書面を送付する方法によりするこ

とができる。

(権限の委任)

第二十二条法第十五条第一項の規定により、

次に掲げる法務大臣の権限は、

法務局又は地方法務局の長に委任する。

ただし、第二号、第四号、第五号、第九号、第十四号及び第十五号に掲げる権限については、

法務大臣が自ら行うことを妨げない。

一法第二条第一項の規定による承認申請を受け付ける権限

二法第四条第一項の規定による承認申請の却下

三法第四条第二項の規定による通知

四法第五条第一項の承認をする権限

五法第五条第一項の承認をしない権限

六法第六条第一項の規定により職員に事実の調査をさせる権限

七法第六条第三項の規定により職員に他人の土地に立ち入らせる権限

八法第六条第四項の規定による通知

九法第七条の規定による協力の求め

十法第八条の規定による意見聴取

十一法第九条の規定による通知

十二法第十条第二項の規定による通知

十三法第十一条第二項の規定による通知

十四法第十三条第二項の規定による意見聴取

十五法第十三条第三項の規定による同意の取得

十六法第十三条第四項の規定による通知

十七令第五条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限

十八令第五条第三項の規定による負担金の算定

(帳簿)

第二十三条法務省には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳

二審査請求書類等つづり込み帳

2 法務局又は地方法務局には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一受付帳

二承認申請書類つづり込み帳

三決定原本つづり込み帳

四各種通知簿

3 法務省が備える次の各号に掲げる帳簿には、

当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳法務大臣が作成した法第四条第一項の規定による承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしないこと又は法第十三条第一項の規定による承認の取消しに係る決定書の原本及び法第五条第一項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による

負担金の額の通知に係る書面の原本

二審査請求書類等つづり込み帳審査請求書その他の審査請求事件に関する書類

4 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿には、当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一承認申請書類つづり込み帳

承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類(前項第一号又は次号の規定によりつづり込むものを除く。)

二決定原本つづり込み帳管轄法務局長が作成した

法第四条第一項の規定による承認申請の却下又は法第五条第一項の承認をしないことに係る

決定書の原本及び同項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による負担金の額の通知に係る書面の原本

(保存期間)

第二十四条法務省が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一法務省決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた

決定書又は書面に係る処分の年の翌年から十年間

二審査請求書類等つづり込み帳これにつづり込まれた

審査請求に係る裁決又は決定の年の翌年から五年間

2 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一受付帳受付の年

の翌年から十年間

二承認申請書類つづり込み帳法第四条第一項の規定による

承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしたこと、同項の承認をしないこと

又は第七条第一項の規定による承認申請の取下げの年

の翌年から十年間

三決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた決定書又は書面に係る処分の年

の翌年から十年間

四各種通知簿通知の年

の翌年から一年間

(帳簿の廃棄)

第二十五条第二十三条第一項に規定する帳簿を廃棄するときは、法務大臣の認可を、同条第二項に規定する帳簿を廃棄するときは、管轄法務局長の認可を受けなければならない。

附則

この省令は、法の施行の日(令和五年四月二十七日)から施行する。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

案に関する意見募集の結果について

法務省民事局民事第二課

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

  省令案第1条関係

(別紙)

1  省令案第1条但書について、

いずれかの管轄法務局長に対して承認申請書が提出されたときは、

当該提出がされた管轄法務局長が

その後の審査を取り扱うものと考えられるが、

その具体的な在り方については、

通達等で明らかにすべきである。

省令案第1条第1項但書の場合の

取扱いは御認識のとおりです。

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

2 省令案第1条及び第2条について、

承認申請に係る法務局は、

原則としてその本局のみを予定しているものと考えられるところ、

例えば、本局以外の管轄内にある

承認申請に係る土地の実地調査や

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)に対する事実の聴取については、

例えば、事実の調査に係る現地立会い等において

任意代理人等の承認申請者等が別途選任する者の参加を許容する、

あるいは、承認申請者等の住所等最寄りの

法務局における事情聴取を可能とする等の

運用等を整備すべきである。

現地での立会い等が必要になる場合には、

承認申請者のほか

承認申請者が指定する者の

同行を認めることとしており、

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

3  帰属法、帰属政令と

本省令案の規定からすると

申請代理人による承認申請を想定していないと思慮するが、

一方、国庫帰属承認手続は専門家の関与が必要な手続であることから

そのサポートも必要であると考える。

このため本省令案で法務局に対する手続であることが定められたことから、

法務局に提出する書類の作成及びその相談を業として行う事が可能な士業に

申請の際の同行、

申請人が出頭できない場合の提出代行など

の申請代行手続を認めるべきではないか。

相続土地国庫帰属制度における

専門家の活用等の考え方については、

法務省ホームページで明らかにしています。

省令案第2条関係

4    省令案によれば、本手続は

書面申請を前提にしているが、

将来的には電子申請、費用の電子納付が採用されることを希望する。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

5     共有地について

国庫帰属の承認申請を行う場合、

記名押印は1枚の承認申請書にしなければならないか。

省令案第2条第1項但書の場合を除き、

承認申請書は一筆ごとに一通作成することになりますが、

共有者の押印を

同一の用紙にする必要まではありません。

6     省令案2条第1項について、帰属法第3条第

1項第2号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは

異なる制度であるため、

不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

7     記名共有地等が

権利能力なき社団を構成している場合、

承認申請は可能という理解でよいか。

その場合、承認申請書には

権利能力なき社団の代表者を

承認申請者として記載すればよいか。

承認申請権者は

相続等により土地の所有権を取得した者

とされているので(帰属法第2条)、

当該要件に該当する者であれば承認申請をすることは可能です。

8    省令案第2条第1項第2号の

「法人であるときはその」は同項第1号と同様に

「法人であるときは、その」の方がよい。

また、第2条第1項第2号の「住所」は、

法人であるときは「主たる事務所の所在地」を

記載すべきではないか。

原案のとおりとさせていただきます。

9     破産管財人が承認申請をすることは可能か。 

法令の要件に該当すれば可能であると考えます。

10   法定代理人としては、

親権者、成年後見人、不在者財産管理人、相続財産管理人及び相続財産清算人を念頭に置いているという理解でよいか。

御指摘の親権者等は、「法定代理人」に当たるものと考えられます。

11   士業による代理申請を認めるべきである。

   相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等の考え方については、法務省ホームページで明らかにしています。

12   承認申請の法的書類の作成を依頼している弁護士その他の士業の連絡先を記載することは可能か。

任意的記載事項として記載することは可能です。

13   印鑑証明書の添付が必要な場合、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出しているときは

登記所提出印を、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは

市町村登録印を押印することになるはずである。

省令案第2条第3項第1号により、

会社法人等番号を記載した場合には、

登記所に印鑑を提出しているか否かにかかわらず、

一切の印鑑証明書が不要となる。

登記所に印鑑を提出していない場合であって、

会社法人等番号を記載した場合には、

印鑑の照合は不可能であり、

照合はしないということになる。

印鑑の照合をしないような書面について

押印を求めるのは、

行政手続における押印の見直し方針に反している。

印鑑の照合を行うのであれば

会社法人等番号の記載によって

添付省略のできる印鑑証明書を

登記所発行のものに限るべきであり、

印鑑の照合を行わないのであれば

会社法人等番号の記載によって

押印自体を不要とすべきである。

本制度では

印影の同一性を確認することにより

申請内容の真実性を確認することを

予定しており、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印(印鑑は登記所に届け出たもの)を

必要としています。

14   省令案第2条第3項本文及び同項第1号につき、

商業登記法第12条の印鑑の提出をしていない法人が

承認申請者等となるときの

省令案第2条第3項本文の

印鑑に関する証明書の取扱いとしては、

例えば、法人の代表者本人に係る本条第3項本文の

印鑑に関する証明書の添付をもって足りるとする等、

当該取扱いに係る運用等を整備すべきである。

本制度では印鑑の照合を行うため、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印を必要としています。

15  省令案第2条第3項第2号につき、

承認申請者等が外国人であるときの

当該承認申請者に係るいわゆるサイン証明は、

同号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として

取り扱うこととすべきである。

いわゆるサイン証明については、

省令案第2条第3項第2号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として取り扱うこととしており、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

16  省令案第2条第3項第3号につき、

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき

裁判所が発行する印鑑証明書は、

所有者不明土地管理人のそれと同様に、

同号の印鑑証明書として取り扱うこととすべきである。

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき裁判所が発行する印鑑証明書は、

省令案第2条第3項第3号の印鑑証明書として取り扱うこととしていますが、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第3条関係

17   省令案に規定する添付書類では、

調査が困難であると思い、

添付書類(案)を提案します。

(添付書類)

第三条

・位置図、現況案内図

・境界が確定している旨の図面(※地積更正登記済か地積更正登記ができる図面)

(地積測量図、国土調査図面、筆界確認書等)

※地積測量図は、現地復元性があるものに限る。

・現況地目が把握できる写真等

・公図(地図訂正が必要な場合は土地所在図)

・隣接土地の登記簿

・隣接土地の地積測量図(写し)

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである必要はないことから、

原案どおりとさせていただきます。

18  承認申請手続時における、

承認申請者の負担を軽減し、

円滑な承認申請手続が行われるよう、

添付書類について、

具体的な記載例、記載事項等を早期に示されたい。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

19   省令案第3条には添付書類が規定されているが、

これ以外に添付書類は要求されないのか。

また通常多くの許認可申請では

申請人側に要件具備のエビデンスを求められることや

帰属法第6条で事実の調査を

国が行うことができることとなっているが、

承認申請者側としては

承認されることを望んで承認申請を行うことから、

法務局側の調査を待たず

承認申請者側でエビデンス等資料を

提出したいと考えるケースがあると考えられる。

このような場合に承認申請者側で

資料等の提出は可能か。

また提出した場合に調査の省略などを検討されるのか。

 調査の過程で調査のために

必要な資料等が生じた場合には、

管轄法務局長は帰属法第6条の規定により

承認申請者に対して

資料の提供を求める場合がありますが、

法令で規定された添付書類以外の

資料について任意で提出することは可能であり、

これらの資料の内容によっては、

調査の一部を迅速に行うことが

可能になる場合があると思われます。

20   省令案第3条第1号によれば、

相続登記未了の土地であっても、

本件手続の承認申請が可能となるようである。

数次相続が発生して、

相続人調査が困難な案件でも

承認申請を認めるとの配慮に基づくものと考える。

その一方で、 相続人の範囲が明確で

共同相続の登記が申請容易な物件でも

相続登記未了のまま承認申請が認められることは、

相続登記の義務化と矛盾するともいえる。

本手続による登記手続がどのようになるか

(被相続人→相続人→国という権利移転の経過が反映されるのか、又は被相続人→国という中間省略的な登記になるのか)にもよるが、

仮に、権利移転の経過が反映されるのであれば、

相続登記部分の登記費用を負担させるなどの処置を

考える必要があるのではないか。

いずれにせよ、

国民目線からみた「公平感」は、

幅広い施策を横断的に導入した

所有者不明土地問題の

全体的解決の視点から重要ではないかと考える。

相続等を原因として

土地の所有権を取得した者は、

帰属法第2条第1項の規定に基づき、

登記の有無に関わらず承認申請権限を有しているため、

原案のとおりとしています。

なお、登記名義人に限らず

相続等により土地を取得した土地の所有者に

承認申請権限を認めることにより、

所有者不明土地の発生防止という

本制度の目的に沿った結果を

期待することができるものと考えます。

21   省令案第3条第1号について、

承認申請に係る土地については、

承認申請の前までに

相続による所有権の移転の登記又は所有権の保存の登記を

完了することが推奨されるものの、

それらの完了を

必ずしも承認申請の前提要件としていないと考えられる。

この考え方については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

22   国庫帰属は承継取得であることから、

嘱託の移転登記の前提として、

代位で相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)の登記を

国においてすることを

念頭に置いているという認識でよいか。

御理解のとおりです。

23   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

省令案第3条第1号の書面として

法務省発行の法定相続情報一覧図を添付することでもよいか。

御理解のとおりです。

24   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

表題部所有者が承認申請する場合(とりわけ、住所の表示がないなどの理由で表題部の記載だけでは直ちに所有者が特定できない場合)は、

何を添付すればよいか。

省令案第3条第1号に規定する相続等により

承認申請に係る土地の所有権を

取得した者であることを証する書面を

添付いただくことになりますが、

事案によって異なるため一概にお示しすることは困難です。

25   省令案第3条第1号について、

同号の「当該者であることを証する書面」に

該当する具体的な添付書類の内容は、

不動産の相続の登記に係る

登記原因証明情報と同様と考えられるところ、

当該内容については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

26   相続人ではない包括受遺者による承認申請は可能か。

承認申請をすることはできません。

27   相続人ではない包括受遺者による承認申請を認めない場合、登記原因は遺贈になっているため、登記だけでは判別できない。したがって遺贈の場合、戸籍の添付が必要になるのか。

御理解のとおりです。

28  省令案第3条第3号関係について、

基本的に括弧書きで

会社法人等番号を記載することになると思われるが、

本号は外国会社の場合を念頭に置いており、

外国会社に資格証明書を求めるという理解でよいか。

省令案第3条第3号は、

会社法人等番号を有しない法人の

添付書類を規定したものです。

29 省令案第3条第4号の図面としては、

いわゆる不動産登記法14条地図、

地図に準じる図面、

地積測量図が該当するという理解でよいか。

他に何が該当するか。

不動産登記法第14条第1項地図

及び同条第4項地図のほか、

国土地理院が公開する地理院地図等が該当します。

土地の位置及び範囲が明らかであれば、

図面の種類は問いません。

30  省令案第3条第4号について、

同号の図面としては

必ずしも確定測量図等の精度の高いものに

限られるわけではないと考えられるところ、

同号の図面として許容されるものの在り方については、

例えば、インターネット地図の写しの利用を可とする等、

一般国民において

準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第4号の図面は、

著作権関係法令に抵触しない限り

いわゆるインターネット上の

地図を活用していただく形でも差し支えありません。

詳細の取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

31   省令案第3条第4号から第6号までについて、

図面又は写真に記載された情報を

電磁的記録に記録して

CD-ROM、USBメモリその他の読込可能な媒体に格納したものの

提供をもって、

本条第4号から第6号までの各号の書類の添付に

代えることができるようにすべきである。

省令案第3条第4号から第6号までの添付書類については、

承認申請者に

過度な負担を課すものではないため、

書面による提出を前提としています。

32   省令案第3条第4号の図面について、

放棄された土地の

将来の利用も視野に入れて

問題ない物件かを審査する必要があると思う。

よって以下の図面条件を意見する。

1  図面作成者は土地家屋調査士を条件として場所の特定をさせる。

2  図面には推定筆界を明示し越境物がないことを図示する。

省令案第3条第4号の

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである

必要はないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

33   省令案第3条第5号の写真については、

国土地理院で取得できる航空写真でよいか。

航空写真も含まれますが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

34   省令案第3条第5号の写真について、

撮影時期について

承認申請から3か月以内といった期限はないか。

撮影時期の制限はありませんが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

35   省令案第3条第5号の写真について、

インターネットで取得できる写真

(Google マップの航空写真やGoogle ストリートビュー)

の写真でもよいか。

著作権関係法令に抵触しない限り、

いわゆるインターネット上の

地図を活用いただく形でも

差し支えありませんが、

建物や工作物の有無などを

確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

36   省令案第3条第5号について、

山林等の広大な土地の場合、

航空写真以外では、

土地の全体を映すことができないが、

土地の全体が分かる写真である必要があるか。

取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定ですが、

建物や工作物の有無などを確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

37  省令案第3条第5号について、

本号の書類に一見明白な不備がない限り、

直ちには却下にならず、

法務局職員の現地調査の結果

不足している写真が収集できれば、

承認申請当初に

本号の書類が添付されていなかった点を

もって却下されることはないという理解でよいか。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

38   省令案第3条第5号について、

相続人には高齢の方も多く、

頻繁に相続した土地の現地調査を

行うことは不可能である。

仮に士業による申請代理を認めないのであれば、

本号の審査を無用に厳格化するのではなく、

不備については法務局職員による現地調査で

柔軟に対応できるようにするべきである。

御指摘も踏まえ、運用を検討してまいります。

39   省令案第3条第6号について、

本号は筆界を示す境界標のみを

指しているわけではなく、

境界標があればそれで足りるが、

境界標がなくても、

所有権界を示す物の写真があれば足りるという理解でよいか。

御理解のとおりです。

40  省令案第3条第6号について、

隣地境界線があいまいになっていることは、

実際に多々あり、

放置されているケースもあると聞く。

また、解決しようとしてトラブルになり、

解決までに長期の時間を要する場合もあると聞くが、

これに関しての特別措置や救済措置はあるのか。

隣接地が山などの場合、

境界がどこかが

容易にはわからないことも少なくないと思うし、

隣地所有者が行方不明の場合等もあると思う。

この添付書類が

提出できない時は、

承認申請不可となってしまうのか。

隣地境界線に関するトラブル等は

巷ではよくあるケースで、

他でも問題になっている事案でもあるので、

これだけのために

承認申請不可であったりするのであれば

特別措置や救済措置等が必要だと思う。

本制度を利用するには、

境界が明らかでない土地

その他の所有権の存否、

帰属又は範囲について争いがある土地に

該当しない土地である必要があります(帰属法第2条第3項第5号)。

これに該当するか否かは

事案ごとに判断することになります。

なお、隣地所有者が所在不明であっても、

本制度の利用は可能とされています。

41  省令案第3条第6号について、

地図に準ずる図面しかない土地の場合、

当該図面上、境界点の数が明確ではないことがあるが、

この場合、

承認申請者が認識する所有権界を前提に

当該所有権界の境界点の数だけ

写真を添付すればよいか。

御理解のとおりです。

42  省令案第3条第6号に

規定されている承認申請に係る土地と

当該土地に隣接する土地との境界点を

明らかにする写真の添付は不要である。

また、仮に添付を要するとしても、

「境界付近の写真」と定めるなど、

不動産登記法上求められる境界点としての

精密さを要求するものではないことを

条文上明らかにした内容とすべきである。

土地の位置及び範囲が

不明な場合には、

国が帰属した土地を管理することが困難ですので、

原案のとおりとさせていただきます。

43  省令案第3条第6号について、

同号の写真の添付の趣旨が、

承認申請に係る土地が

帰属法第2条第3項第5号の要件に

該当しないことを証するためのものであると

考えられるところ、

省令案第3条第4号の図面との関係性の明示

及び省令案第3条第6号の写真として

許容されるものの在り方については、

例えば、

写真上に距離や座標等の記載を要しないものとする等、

一般国民において準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第6号の写真は、

写真上に距離や座標の記載を求めるものではありませんが、

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

44   省令案第3条第7号について、書面のひな形等、その具体的な内容を一般国民に周知すべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

45  省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について承認申請をした場合は、追加の書類が必要になるのか。

相続登記を申請する場合と同様の資料が必要になります。

46   省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について国庫への帰属が承認された場合、国が嘱託登記を行う際に法定相続又は遺産分割の代位登記を行うという理解か。

御理解のとおりです。

省令案第4条関係

47   省令案第4条但書に、

帰属政令第5条2項に規定する

隣接する二筆以上の

承認申請に係る土地の所有者が

異なる場合において、

これらの者が共同して承認申請をする場合を

加えるべきである。

所有者が異なる場合に

一の承認申請書による承認申請を

認めるとすると、

承認申請に係る審査が

煩雑となることから、原案のとおりとさせていただきます。

省令案第5条関係

48   将来的には、オンラインによる

手数料の納付

可能となるようにすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

49  承認申請の審査開始前に当該承認申請が却下された場合、

登録免許税等における過誤納金の還付同様に、

手数料を還付すべきである。

手数料の還付は予定していないため、

原案のとおりとさせていただきます。

50   手数料の額は、極力、低廉なものとすべきである。

御意見も踏まえ、引き続き検討してまいります。

省令案第6条関係

51   省令案第6条第3項の

「その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面」について、

その立法趣旨及び当該書面の具体的内容を、

通達等で明らかにすべきである。

 その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面としては、

盗用されたもの、

不正な方法で交付を受けたもの等が

該当しますが、取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第7条関係

52 省令案第7条第2項について、

承認申請と同時に

売却を並行して進めることがあり得るが、

承認決定が出る際は

承認申請書に記載した連絡先に

事前に連絡をすべきではないか。

売却の可能性があるものまで

国庫帰属させるのは望ましくない。

承認後に負担金を支払うことにより

土地を国庫に帰属させるかどうかは、

承認申請者の意思に委ねられています。

省令案第8条関係

53  省令案第8条第 1 項について、

承認申請書提出後に

訂正・補正が必要なことが判明した場合、

承認申請書類が返還され、

同項の訂正方法をとる必要があるのか。

実務的にどのような訂正フローになるか。

具体的な取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

54   省令案第8条第2項について、

ページ番号を記載するだけで足り、

契印は必要ないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

55   省令案第8条第2項の

「その他の必要な措置」について、

その具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

その他の必要な措置としては、

承認申請書が散逸しないよう、

ステープラー等でとじることなどが該当しますが、

取扱いについては通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第9条関係

56   省令案第9条第1項について、

許容される信書便の具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

日本郵便株式会社が取り扱う

レターパックプラスなどが想定されますが、

取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第10条関係

57   省令案第10条第1項から第3項について、

原本還付をすることができる添付書類については、

可能な限り、

いわゆる窓口還付の

取扱いを許容すべきである。

承認申請者から

早期の

原本還付が求められた場合などにおいては、

審査に支障のない範囲内で

柔軟な対応を取ることも想定されますが、

具体的な取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

58   省令案第10条第1項について、

共有地の場合は誰に還付するのか。

承認申請者として

連絡先が記載されている方に

連絡して調整することになります。

省令案第11条関係

59   承認申請者は

受付番号をどうやって知るのか。

受理した旨の書類が届くのか。

受付番号を知りたい方には、

受付時に受付番号を

お知らせする予定です。

省令案第12条関係

60   負担金納付後から

嘱託登記までに

承認申請者が死亡した場合、

どのような処理になるのか。

帰属法第11条第1項により、

負担金を納付した時点

所有権が国庫に帰属します。

61   申出の期間について、

60日は短い。

60日より後に地位を承継したいと思った場合に、

再度承認申請が必要になるが、

そうなると法務局にも

承認申請者にも二度手間ないし

負担になるだけである。

また、共有地の承認申請の場合、

共有者の死亡を

他の共有者が知り得ない場合がある。

承認申請者には高齢者も

少なくないため、

共有地の場合、

複数の者が死亡する可能性もある。

手続を一定期間以上

不確定な状態とすることは

適切ではないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

62   承認申請中に

共有持分を取得した法人も

本条の手続を利用できるという理解でよいか。

当該法人が帰属法第2条第2項の承認申請をすることができる者に

該当する場合は、

省令案第12条の承継の申出をすることが可能です。

63   省令案第12条第3項について、

申出の添付書類については、

基本的に相続関係を示す書類があれば足りると思われるが、

本項特有の書類(通常の場合と異なる追加的な資料)はあるか。

事案によって異なるため、

一概にお示しすることは困難です。

64  省令案第12条について、

承認申請者が負担金を納付するまでに

死亡等した場合、

新承認申請権者の申出可能期間を

「取得の日」としている点を

「取得したことを知った日」と

定めるべきである。

客観性等の観点から

原案のとおりとさせていただきます。

65  省令案第12条について、新承認申請権者からの申出が期間内に行われなかった場合の取扱いを明らかにすべきである。

御意見等を踏まえ検討します。

66   省令案第12条について、

共有土地についての承認申請である場合において、

共有者の一人に生じた死亡等の理由により

新承認申請権者からの申出が

期間内に行われなかった場合、

他の共有者全部の承認申請

あるいは承認の効力が喪失することにつき

何らかの救済制度を設けるべきである。

土地が数人の共有に属する場合には、

承認申請は共有者の全員が共同して行うときに限り

することができるとされていることから(帰属法第2条第2項)、

原案のとおりとさせていただきます。

67   省令案第12条第1項について、

承認申請から負担金の納付までの期間が

なるべく短期になるよう、

帰属制度における審査等の運用を

整えるべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

68   省令案第12条第1項について、

例えば、承認申請に係る土地についての

住居表示実施等による地番の変更等、

本条第1項が想定する承認申請者の相続の開始

以外の事情変更についても、

本条第1項(又はそれに類似する制度)の対象とする等して救済すべきである。

御指摘の変更については、

省令案第3条第1号の疎明資料として

住民票の写し等を提出いただくこと

承認申請に係る土地の同一性を判断することが

可能であると考えます。

69   省令案第12条第1項について、

承認申請の後に

当該承認申請に係る

土地の所有権者に相続が発生した場合の

本条第1項の申出をすることができる者は、

その相続人の全員又は当該相続によって

終局的に当該土地を承継取得した者に限るべきである。

省令案第12条第1項の規定により

申出をすることができる者は、

帰属法第11条第1項の規定による

負担金の納付がされるまでの間に

承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、

帰属法第2条第1項又は第2項の

承認申請をすることができる者とされています。

70   省令案第12条第1項について、

帰属法第10条第3項の負担金の納付の期限が

省令案第12条第1項の申出期間の終期よりも

前に到来するときは、

当該期限を当該終期まで伸長すべきである。

承認申請者に死亡等の承継事由が発生した場合には、

速やかに管轄法務局に連絡するよう、

通達や法務省ホームページ等で周知する予定であり、

納付期限の伸長は予定していません。

71 省令案第12条第1項について、

所有権の登記名義人が被相続人のままである土地について

その相続人全員が承認申請を行い、

その後の遺産分割や相続放棄等に基づき

相続人が当該土地の一部又は全部を

終局的に承継取得した場合における

本条第1項の申出の要否を、

通達等で明らかにすべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第13条関係

72 承認申請書に

省令案第13条第1項に規定する者の

記名押印がある境界確認書を添付したときは、

本条第1項の通知等の省略を許容すべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

73   承認申請後に補正があった場合や追完があった場合、

現地調査で承認申請書と異なる事実が判明した場合にも、

隣接地所有者への通知をするべきである。

御指摘を踏まえ運用を検討してまいります。

74  省令案第13条により、

省令案第3条第4号から第6号までの

書類の写しが隣接地所有者に送付され、

異議が出た場合も、

当該隣接地所有者との間で

当該異議を解消する旨の合意書が提出された場合は、

帰属法2条3項5項の要件は満たさないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

省令案第15条関係

75   省令案の「第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第二号に規定する…」の箇所については、正しくは『第四条第一項第二号に規定する…』となるのではないか。

御指摘のとおり修正いたします。

省令案第16条関係

76  省令案第16条第2号につき、同号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは別の制度であるため、不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

省令案第17条関係

77   承認申請者が2人以上であるときは、次のとおりとすべきである。

(1)承認申請者への負担金の割付けに係る運用等を整備すべきである。

(2)例えば、省令案第17条第2項の通知の際に承認申請者全員から納入告知書又は納付書の送付先を別途届け出させる等、負担金が二重納付とならない運用等を整備すべきである。

(1) 負担金の分担割合については、承認申請者間で調整いただくことになります。

(2)  御指摘を踏まえ、二重納付とならないような運用となるよう検討してまいります。

省令案第20条関係

78   承認申請後の承認前・承認後のそれぞれの場面で、自治体への情報提供はどのようになされるのか。

 本意見照会の対象外ではありますが、自治体への情報提供については、承認申請者に意思を確認した上で承認前に行う運用を予定しています。

省令案第22条関係

79   委任しているものとそうでないものの違いは何か。また、但書はどのような場面で想定されているか。

性質上委任することが可能と考えられる権限について委任しています。但書は、法務大臣が自ら対応することが適当な事案がある場合に、対応が可能な権限を明示したものです。

省令案第23条関係

80 各種書類が法務省、法務局等に備えられるが承認実例の検証のために情報開示請求の対象になるのか。また、もし開示対象にならない場合でも、承認実例は承認申請手続を行う際に参考になるため、法務省で積極的に実例の情報提供などを検討してほしい。

本制度に関する行政文書は、情報公開法に基づく開示請求の対象となります。なお、承認事例を公表することについては、御意見も踏まえ検討してまいります。

81   法務省決定原本つづり込み帳及び承認申請書類つづり込み帳につづり込まれた書類については、承認申請等のオンライン化を待つまでもなく早期にデジタル化に着手すると共に、当該デジタル化した情報については、その保管期限を永久とすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

省令案第24条関係

82   保存期間はどれも10年以上とすべきと考える。

また、電磁的記録を作成し、電磁的記録については基本として永年保存(あるいはとりあえず150年等(それくらい保存するなら永年保存でよいと考えるが。))を行うべきと考える(親族が見つからなかったり、関係者が知らない間に不適切な処理がされた場合の回復性については確保を行っておくべきと考える。)。

御意見等を踏まえ、引き続き検討してまいります。

その他

83   一筆一地目が原則であるが、一筆複数地目がある場合の手続きが設けられていない(通常は、分筆が必要。それぞれの地目面積が分かる図面)。

帰属政令第4条第1項各号のいずれかの土地の区分となりますので、原案のままとさせていただきます。

84  

帰属政令第3条第4項第4号「所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地」について、どのような土地が該当するか省令で具体的に記載されるかと期待したのですが、含まれていませんでした。

地域の土地改良区で整備した農地については、年間の排水設備費等の管理費を土地改良組合に払うことが通常です。国策として開墾した農地についても国庫への帰属が出来なければ法の目的を達することができません。 このような農地についても対象となることを、明記することが必要と考えます。

本意見照会の対象外ではありますが、年間の排水設備費等の管理費を要する土地については、帰属政令第3条第3項第4号に該当し、承認することができないものと考えられます。

いただいた御意見については、今後の運用の見直しに当たっての参考とさせていただきます。

85   1.森林に係る国庫帰属承認申請の段階において、以下の手続・対応を取るべき。

国は、承認申請権者に対し森林経営管理制度の概要を説明するとともに、承認申請に係る土地が属する市町村に対し承認申請者の情報を提供すること。

国から情報提供を受けた市町村は、承認申請権者に対し、森林経営管理法に基づく経営管理の委託について意向の有無を聴取すること。

承認申請権者が経営管理の委託に応じる場合にあっては、森林経営管理制度に基づき、市町村が公的に管理もしくは、経営管理権を設定し林業経営者に再委託の手続を行うこと。

承認申請に係る土地が属する市町村を管轄する森林組合に情報を提供し、経営管理権設定意向の有無について聴取すること。

隣接地所有者への通知の際に、森林施業の集約化等に係り当該相続土地の譲渡・寄附受け等意向の有無について聴取すること。

国庫に帰属した森林については、当該帰属森林の属地状況をホームページ等で開示するとともに、当該帰属森林が属する市町村、森林組合等に情報を提供し、森林施業の集約化等に係り当該森林の譲渡・買い受け等を希望する者に対して、簡易・簡便な手法で譲渡等を可能とする制度を設けること。

国庫帰属森林の売払いにあたっては、国庫帰属財産の性格に鑑み、一般競争入札ではなく、最低売払い価格を公表した随意契約を可能な制度とする等、買い受け希望者が容易に取得できる環境を整えること。

本意見照会の対象外ではありますが、本制度における国庫への帰属に先立ち、地方公共団体に情報提供を行うなど、土地の有効活用を検討するための運用についても、引き続き検討してまいります。

関連

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/enforcement-regulation/

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