加工令和5年4月1日施行法務省令第六号不動産登記規則等の一部を改正する省令

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00501.html#mokuji3

〇法務省令第六号

民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)及び不動産登記令等の一部を改正する政令(令和四年政令第三百十五号)の施行に伴い、並びに関係法令の規定に基づき、及び関係法令を実施するため、不動産登記規則等の一部を改正する省令を次のように定める。

令和五年三月二十日 法務大臣 斎藤健

不動産登記規則等の一部を改正する省令

(不動産登記規則の一部改正)

第一条  不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに順次対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付した部分のように改め、改正前欄及び改正後欄に対応して掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。)は、その標記部分が同一のものは当該規定を改正後欄に掲げるもののように改め、その標記部分が異なるものは改正前欄に掲げる対象規定を改正後欄に掲げる対象規定として移動し、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを加える。

改正後

(法第七十条第二項の相当の調査)第百五十二条の二

 法第七十条第二項の法務省令で定める方法は、次の各号に掲げる措置をとる方法とする。

一法第七十条第二項に規定する登記の抹消の登記義務者(以下この条において単に「登記義務者」という。)が自然人である場合

イ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の(1)から(5)までに掲げる措置

(1) 登記義務者が記録されている住民基本台帳、除票簿、戸籍簿、除籍簿、戸籍の附票又は戸籍の附票の除票簿(以下この条において「住民基本台帳等」という。)を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書、除票の写し又は除票記載事項証明書、戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書並びに戸籍の附票の写し及び戸籍の附票の除票の写し(以下この条において「住民票の写し等」という。)の交付の請求

(2)(1)の措置により登記義務者の死亡が判明した場合には、登記義務者が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求

(3)(2)の措置により登記義務者の相続人が判明した場合には、当該相続人が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する当該相続人の戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求

(4)(3)の措置により登記義務者の相続人の死亡が判明した場合には、当該相続人についてとる(2)及び(3)に掲げる措置

(5)(1)から(4)までの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が判明した場合には、当該者が記録されている住民基本台帳又は戸籍の附票を備えると思料される市町村の長に対する当該者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書及び戸籍の附票の写し((1)の措置により交付の請求をしたものを除く。)の交付の請求

ロ  共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置

(1)登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(イの措置により登記義務者の死亡及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)

(2)イの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付

二  登記義務者が法人である場合

イ  共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の(1)及び(2)に掲げる措置

(1)  登記義務者の法人の登記簿を備えると思料される登記所の登記官に対する登記義務者の登記事項証明書の交付の請求

(2)の措置により登記義務者が合併により解散していることが判明した場合には、登記義務者の合併後存続し、又は合併により設立された法人についてとる(1)に掲げる措置

ロ  イの措置により法人の登記簿に共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者(共同して登記の抹消の申請をすべき者が合併以外の事由により解散した法人である場合には、その清算人又は破産管財人。以下この号において同じ。)として登記されている者が判明した場合には、当該代表者の調査として当該代表者が記録されている住民基本台帳等を備えると思料される市町村の長に対する当該代表者の住民票の写し等の交付の請求

ハ    共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置

(1) 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(イの措置により登記義務者が合併により解散していること及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)

(2)イの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付

ニ  イ及びロの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者が判明した場合には、当該代表者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置

(1)共同して登記の抹消の申請をすべき者の法人の登記簿上の代表者の住所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付

(2)イ及びロの措置により当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付

改正前

【条を加える。】

改正後

(申請人以外の者に対する通知)第百八十三条

【一・ニ略】

三 法第六十九条の二の規定による申請に基づく買戻しの特約に関する登記の抹消を完了した場合

当該登記の登記名義人であった者

【2・3略】

4 登記官は、民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記についてする次の各号に掲げる事由による所有権の更生の登記の申請(登記権利者が単独で申請するものに限る。)があった場合には、登記義務者に対し、当該申請があった旨を通知しなければならない。

一 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言による所有権の取得

二 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の取得

   改正前

(申請人以外の者に対する通知)第百八十三条同上

  一・二 同上

号を加える

2・3 同上

改正後

(登記事項証明書の交付の請求情報等)第百九十三条【略】

2 法第百二十一条第三項又は第四項の規定により土地所在図以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、前項第一号及び第二号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を請求情報の内容とする。

【一〜三略】

四    法第百二十一条第三項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、閲覧する部分及び当該部分を閲覧する正当な理由

五    法第百二十一条第四項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、閲覧する附属書類が自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類である旨

3 前項第四号の閲覧の請求をするときは、同号の正当な理由を証する書面を提示しなければならない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。

4 第二項第五号の閲覧の請求をするときは、同号の閲覧する附属書類が自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類である旨を証する書面を提示しなければならない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。

5􅩋 6􅩋7略

改正前

(登記事項証明書の交付の請求情報等)第百九十三条【同上】

2  法第百二十一条第二項の規定により土地所在図等以外の登記簿の附属書類の閲覧の請求をするときは、前項第一号及び第二号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を請求情報の内容とする。

【一〜三同上】

四    法第百二十一条第二項ただし書の利害関係を有する理由及び閲覧する部分

【号を加える】

3 前項の閲覧の請求をするときは、同項第四号の利害関係がある理由を証する書面を提示しなければならない。

4・5・6同上

改正後

(登記事項証明書の受領の方法)第百九十七条の二

第百九十四条第三項前段の規定により登記事項証明書の交付を請求した者が当該登記事項証明書を登記所で受領するときは、法務大臣が定める事項を当該登記所に申告しなければならない。

改正前

(登記事項証明書の受領の方法)第百九十七条の二

第百九十四条第三項前段の規定により登記事項証明書の交付を請求した者が当該登記事項証明書を登記所で受領するときは、法務大臣が定める情報を当該登記所に提供しなければならない

改正後

(手数料の納付方法)第二百三条

法第百十九条第一項及び第二項、第百二十条第一項及び第二項並びに第百二十一条第一項から第四項までの手数料を収入印紙をもって納付するときは、請求書に収入印紙を貼り付けてしなければならない。

2【略】

改正前

(手数料の納付方法)第二百三条

法第百十九条第一項及び第二項、第百二十条第一項及び第二項並びに第百二十一条第一項及び第二項の手数料を収入印紙をもって納付するときは、請求書に収入印紙を貼り付けてしなければならない。

2【同上】

改正後

(電子情報処理組織による登記事項証明書の交付の請求等の手数料の納付方法)第二百五条

 法第百十九条第四項ただし書(法第百二十条第三項及び第百二十一条第五項並びに他の法令において準用する場合を含む。)の法務省令で定める方法は、第百九十四条第二項及び第三項に規定する方法とする。

【2・3 略】

改正前

(電子情報処理組織による登記事項証明書の交付の請求等の手数料の納付方法)

第二百五条法第百十九条第四項ただし書(法第百二十条第三項及び第百二十一条第三項並びに他の法令において準用する場合を含む。)の法務省令で定める方法は、第百九十四条第二項及び第三項に規定する方法とする。

【2・3 同上】

改正後

(準用)第二百四十一条

第二百二条の規定は筆界特定手続記録の閲覧について、第二百三条第一項の規定は法第百四十九条第一項及び第二項の手数料を収入印紙をもって納付するときについて、第二百四条の規定は請求情報を記載した書面を登記所に提出する方法により第二百三十八条第一項の交付の請求をする場合において前条第三項の規定による申出をするときについて、第二百五条第二項の規定は第二百三十九条第二項に規定する方法により筆界特定書等の写しの交付の請求をする場合において手数料を納付するときについて、それぞれ準用する。この場合において、第二百二条第二項中「法第百二十条第二項及び第百二十一条第二項」とあるのは「法第百四十九条第二項」と、第二百三条第一項中「法第百十九条第一項及び第二項、第百二十条第一項及び第二項並びに第百二十一条第一項から第四項まで」とあるのは「法第百四十九条第一項及び第二項」と、第二百四条第一項中「第百九十三条第一項」とあるのは「第二百三十八条第一項」と、「第百九十七条第六項(第二百条第三項及び第二百一条第三項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第二百四十条第三項」と読み替えるものとする。

改正前

(準用)第二百四十一条

第二百二条の規定は筆界特定手続記録の閲覧について、第二百三条第一項の規定は法第百四十九条第一項及び第二項の手数料を収入印紙をもって納付するときについて、第二百四条の規定は請求情報を記載した書面を登記所に提出する方法により第二百三十八条第一項の交付の請求をする場合において前条第三項の規定による申出をするときについて、第二百五条第二項の規定は第二百三十九条第二項に規定する方法により筆界特定書等の写しの交付の

請求をする場合において手数料を納付するときについて、それぞれ準用する。この場合において、第二百二条第二項中「法第百二十条第二項及び第百二十一条第二項」とあるのは「法第百四十九条第二項」と、第二百三条第一項中「法第百十九条第一項及び第二項、第百二十条第一項及び第二項並びに第百二十一条第一項及び第二項」とあるのは「法第百四十九条第一項及び第二項」と、第二百四条第一項中「第百九十三条第一項」とあるのは「第二百三十八条第一項」と、「第百九十七条第六項(第二百条第三項及び第二百一条第三項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第二百四十条第三項」と読み替えるものとする。

・読んでみて

・休眠担保権の登記の抹消申請について(参考、不動産登記69条、69条の2、70条。)

供託して抹消登記申請(不動産登記法70条4項、戸籍調査など要求されてない)・・・担保権の登記。

供託しないで抹消(不動産登記法70条2項、戸籍・住所調査など要求)・・・地上権、永小作権、質権、賃借権、採石権、買戻しの特約の登記。抵当権、根抵当権、先取特権は該当なし。

→占有権があって所有者の障害になるから。登記記録上、存続期間で分かる権利があるから。買戻しの特約は、お金を払ったのが本当か分からないから、一応通知します。

登記義務者が自然人の場合

・戸籍、住所を追って、配達証明付き書留郵便を送った(けれど反応がなかった。)ことを証明する情報を提供。

登記義務者が法人の場合

・法人の登記記録、法人の代表者住所を追って、不動産登記記録上の法人の本店所在地・代表者の住所に、配達証明付き書留郵便を送った(けれど反応がなかった。)ことを証明する情報を提供。

・申請人以外の者に対する通知について

・不動産登記記録上の住所に、通知がされる場合

・買戻しの特約に関する登記の抹消を完了した場合の登記名義人。参考として不動産登記令7条3項1号。

・相続により法定相続分で登記された後(戸籍関係のみが添付されている。)、権利を得る登記権利者が単独で更生の登記申請をした場合。理由は、2つのみ。一つ目が、遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言による所有権(持分)の取得。二つめが、遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権(持分)の取得。参考として不動産登記法63条3項。

→考えられること。不意打ちを避けるための手続き保障。

登記権利者(所有者)が抵当権者の相続人の存在等を知らなければ・・・登記権利者(所有者)に探索してもらう必要がある(実際は,司法書士がその実務を担うことになるであろうが。)。

まずは,登記簿上の住所地を調査することになるが,当該住所地に不存在である場合には・・・登記簿上の住所を手がかりに,抵当権者の住民票や戸籍等を調査することになるであろう。この場合,登記権利者(所有者)は,戸籍法等の第三者請求の要件(自らの権利行使のため)を満たすので,第三者請求をすることは可能であるが,司法書士としては何ら業務に関する委任を受けているわけではないので,職務上請求をすることはできないと考えられる。登記権利者(所有者)から委任状の交付を受けて,代理人として動くことになるであろう。

 その結果,不在住&不在籍ということであれば,不動産登記法第70条第3項後段の規定による休眠担保権の抹消登記が選択肢として浮上することになるであろうし,抵当権者の相続人の存在が明らかになれば,登記権利者(所有者)が当該相続人と連絡をとって,上記のように共同申請の手続をとることになるであろう。

 登記権利者(所有者)による登記義務者(抵当権者の相続人)との連絡調整がうまく行かない場合には,民事訴訟による抹消登記請求を行うことが選択肢となる。簡裁訴訟代理等関係業務の範囲内であれば,司法書士が訴訟代理人として訴訟を追行することが考えられる。仮にもっと早い段階(登記簿上の住所地を調査して,抵当権者が当該住所に不存在であることが判明した時点)で簡裁訴訟代理等関係業務の委任を受ければ,職務上の請求により戸籍等の調査をすることも可である。

 まとめると,司法書士が職務上請求をすることが可能となるのは,

(1)依頼者が自ら戸籍法等の第三者請求が可能であること

(2)司法書士が当該依頼者から司法書士法に定める業務の依頼を受けること

の2点が満たされた場合である。

 (2)については,漠然と「登記権利者(所有者)から抹消登記の委任を受けた」では足りない。不動産登記は,共同申請が大原則であり,登記義務者(抵当権者)の権利の保護も図られるべき点を踏まえ,職務上請求に際しては,何の業務の委任を受けているのか(職務上請求用紙の記載事項である。)を明確にする必要がある。

 このように考えると,「不動産登記法第70条第3項後段の規定による休眠担保権の抹消」手続というのは,抵当権の登記名義人について戸籍等の調査を経た上で,不在籍証明が出たような場合に限られることになる。

 抹消登記は,既に権利は消滅しているが故に,とかく軽く考えられがちであるが,司法書士としては,登記義務者(抵当権者)からも委任を受け得る立場として,適切な執務対応が求められる。

 くれぐれも「『宛所に尋ね当たらず』の葉書一枚があればよい」と考えてはならないというべきである。

 なお,先般成立した「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)による不動産登記法の改正によって,次の改正がされた。

〇 登記義務者の所在が知れない場合の一定の登記の抹消手続の簡略化

 不動産登記法第70条第1項及び第2項に規定する公示催告及び除権決定の手続による単独での登記の抹消手続の特例として、次のような規律を設けるものとする。

 不動産登記法第70条第1項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

 したがって,不動産登記法第70条第3項後段の規定の適用場面においても,同様に,「相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しない」ことが要件となり得るであろう。

・司法書士としては何ら業務に関する委任を受けているわけではないので,職務上請求をすることはできないのかについて

・・・職務上請求書1号様式を使用することは、可能と考えられます(日本司法書士会連合会「司法書士のための戸籍謄本・住民票の写し等の交付請求の手引き(第3版)」(平成31年3月)、P25)。戸籍法10条2第1項、第3項.。

第166回国会 法務委員会 第7号(平成19年3月20日(火曜日))

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/000416620070320007.htm

寺田政府参考人 「-今までですと、ただ自分の仕事の上で必要だと言えばそれでよかったわけでございますけれども、だれのためにということを示すのを原則にいたしておりますし、紛争性がない限りはその原則に従っていただくわけでございます。―」

→結果として、登記権利者から依頼を受け、(例えば)抵当権の抹消登記を申請するために、登記義務者の所在または相続人を確認するために、職務上請求書を使用することが可能と考えられます。

また、抹消登記は,既に権利は消滅しているが故に,とかく軽く考えられがちであるが,司法書士としては,登記義務者(抵当権者)からも委任を受け得る立場、については、既に権利が消滅しているか、分からない場合もあります。分からないので、先取特権、質権、抵当権、は供託を行い、(共同申請)第60条に定める法令で別段の定がある場合として、登記義務者からの委任を受けないという立場で、単独申請の代理を行うのだと考えられます。

不動産登記法第70条第3項後段の規定の適用場面においても,同様に,「相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しない」ことが要件となり得る、について

・・・今回の改正では要件となりませんでした。理由として、

  • 所有者不明土地の(出来る限り簡易な)解消という立法事実。
  • そのために、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律などの創設、民法や不動産登記法などの法改正が行われてきた。
  • 法律に従い、手続として省令が規定されている。この段階で、法益や個人(主に登記義務者)の被る損害などが比較考量された。

が挙げられると思います。結果として、先取特権、質権、抵当権の中で、占有権のある質権のみが戸籍調査の対象とされました。

今後、先取特権、抵当権について、戸籍調査の対象となる可能性はあると思います。登記義務者の被る損害が大きい事実が明らかになってきた場合など。

(除権決定による登記の抹消等)

第七十条 4 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

参考

登記研究 487号 156頁 昭和63年7月1日 法務省民三第3456号 民事局長通達 〔四九〇五〕不動産登記法の一部改正に伴う登記事務の取扱いについて

・・・自然人は、登記義務者が登記簿上の住所に居住していないことを市区町村長が証明した書面又は討議義務者の登記簿上の住所に宛てた被担保債権の受領不動産辰であったことを証する書面。法人の場合は、申請人が当該法人の所在地を管轄する登記所等において調査した結果を記載した書面(申請人の印鑑証明書を添付したもの)。

登記研究 487号 162頁 昭和63年7月1日 法務省民三第3499号 民事局第三課長依命通知 〔四九〇六〕不動産登記法第一四二条第三項後段の規定による登記申請の取扱いについて

・・・自然人の場合、配達証明付郵便か、警察官が調査結果を記載した書面、民生委員が登記義務者の居住していないことを証明した書面。法人の場合、登記記録、閉鎖登記簿の閲覧申請をしたが、その目的を達することができなかった旨を記載。

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