民事信託支援業務と懲戒規範

市民と法[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託支援業務と懲戒規範」からです。

当初は、誰が考え出したのだろうか、信託財産の〇%という宅地建物取引業者的な報酬算定方法に対する苦情が聞かれた(結果として過剰報酬となれば品位保持義務違反の領域となる)。

誰から聞いたのか分かりませんでした。

昨今は、民事信託を取り扱う司法書士が急増するに伴い報酬額が低廉化してきたが、その業務内容の品質と方法・態様に関する苦情も聞かれる。

誰から聞かれたのか分かりませんでした。報酬算定方法は、業務の積み上げ式で見積書や委任契約書に報酬算定方法を明記することでバランスを取るかなと考えます。

それゆえ、懲戒機関も危機感を強めているのではないかとも推察される。かような裁判例のトレンドを後追いする形で、今後、懲戒機関によって、民事信託支援業務を行う司法書士に対する懲戒機関によって、民事信託支援業務を行う司法書士に対する懲戒処分が行われ、公表されていくのではないか、とも噂される。

どこからの噂なのか分かりませんでした。

本懲戒事例の事案では、当該家族信託の設定が違法(横領)であるとの判断が前提となっている。1、成年後見人の立場を利用した成年後見人の職務違反という違法判断に対して、他の推定相続人を廃除し、2、受託者らの自己の利益のために濫用的な家族信託を組成したことについて、本事案の違法判断は、どの程度の比重があるのだろうか。

成年後見人の立場を利用しなければ、有効な信託の設定は不可能であり、成年後見人の立場を利用した成年後見人の職務違反の比重が高いと考えられます。

司法書士によって教示された信託の内容自体は普通の信託に関する知識であったが、それは形式的にそうであるにすぎない。このあたりは、当該司法書士における信託に対する誤解があった、といわざるを得ない。

 他の推定相続人を廃除する目的、という場合に信託を教示することが、誤解、という認識が分かりませんでした。

そのような場合、司法書士は、どのようにして真の動機を知るのか、知りうべきか、知ることができるのか(そのメルクマークは何か)。

 成年後見が発効しているのに、成年後見人から、他の相続人を廃除したいという話を聴いた時点だと思います(民法858条、859条)。

それから、約3年半の後、地方検察庁は、B夫妻が信託契約を締結し、信託登記をしたことが、被処分者抜きでは考えられない巧妙なスキームであり、被処分者に業務上横領幇助、背任幇助の各事実の存在が認められるとして立件した。

 約3年半の間、成年後見人Bは、家庭裁判所に対してどのような報告をしていたのか気になりました。

親族後見人等が存在しない場合で、親族受託者が信託組成を行うような事例では、どうであろうか。要するに、成年後見制度を利用していない場合であっても、受託者等の濫用意図(動機の不法)に応じて、信託の濫用事例として、同等の違法性の評価を生じうるのだろうか。

 信託法8条、29条、30条、31条、民法90条、415条、709条等に反すると評価される可能性があると思います。

しかし、医師でもない司法書士に、認知症患者であると医師に診断された高齢者に対して、積極的な意思能力の有無を判断する責任を負えるのだろうか。

 積極的な意思能力、という用語の意味が分かりませんでした。医師の判断は、重要な判断基準ですが、医師は司法書士ではないので、信託を設定できるかの正確な判断は出来ず、最終的に責任を負う専門家士業が判断を行うのではないかと考えられます。

一方、福祉型信託という概念は、福祉型信託の泰斗である新井誠教授の言葉であるが(家族信託なる用語も新井教授らによる翻訳語である)、過去の信託法学会における論戦の軌跡に鑑みると、道垣内教授と新井教授は、信託の本質論をめぐるスタンスが先鋭的に対立しているようにみえる。しかし、上記シンポジウムには新井教授の登壇はない。

司法書士集団は、新井教授の教説の立場から民事信託支援業務を生成し、実務化してきたので、新井教授の声が聞かれないのは寂しいという司法書士実務家の声も聞かれ、信託法学会等においても、福祉型信託(民事信託)がテーマとなれば、新井教授の存在抜きでは始まらないのではないか、との諸先輩の声も聞かれる。―中略―近時、一部の若い司法書士が、新井教授を批判する場合があると聞くが、司法書士制度の恩人に対して到底許されるものではない。

 諸先輩が分かりませんでした。新井誠教授と道垣内弘人教授が、司法書士制度を専門としているのか、私が今まで調べた限りでは分かりませんでした。肩書などによって自由な批評が制限されるのであれば、今後の実務の進展はないと思います。ただ、それは現に始まっています。私は、信託の学校を批評したことで悪意を持たれました。その後、民事信託推進センターを除名されました。信託の学校、日司連民事信託推進委員、民事信託推進センターの役員、いずれかに私が所属していたら、死ねと同義の除名処分はなかったと考えられます。

 現在の民事信託に関しての実務論は、法律論ではなく、ビジネスや承認欲求的なものだと考えると、良い悪いは措いてすっきりします。谷口毅司法書士も日司連民事信託推進委員と民事信託推進センターへの不満を口にしていましたが、一旦承認されて表舞台に立てば、不満は無くなりましまた。活躍することで、信託の学校の有料会員も増える可能性があります。

 民事信託推進センターも、公開で批評されるよりは、官庁の認可を得て信託会社を設立したり、役員の方々の進めたい方向で進める方が、ある士業にとっては利益が出る可能性が高くなります。

 道垣内弘人先生が選ばれた経緯は、公開されていないので分かりませんが、到底許されるものではない、とは思いませんでした。また反論に対して、許すまじ、とも思いませんでした。人格否定は、建設的ではなく、議論が進まないからです。司法書士業界は谷口毅司法書士の私物でもありません。

Webシンポジウム「民事信託支援業務の更なる推進に向けて~権利擁護使命の実践としての福祉型信託の展開~」

第1部 基調講演

テーマ:福祉型信託の課題と展望

講 師:道垣内弘人(専修大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)

第2部 司法書士の民事信託実践報告

テーマ:司法書士による福祉型信託の実践

講 師:谷口毅(日本司法書士会連合会民事信託等財産管理業務対策部部委員)

第3部 パネルディスカッション

テーマ:権利擁護としての福祉型信託の推進

「こころの通う福祉型信託の在り方について」

パネリスト:

道垣内弘人(専修大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)

伊庭潔  (弁護士/日弁連信託センター長、中央大学研究開発機構教授)

山﨑芳乃 (司法書士/ふくし信託株式会社専務取締役)

髙尾昌二 (日本司法書士会連合会常任理事/民事信託等財産管理業務対策部副部長)

コーディネーター:

春口剛寛 (日本司法書士会連合会民事信託等財産管理業務対策部部委員)

『民事信託の実務と書式〔第2版〕─信託準備から信託終了までの受託者支援』

http://www.minjiho.com/shopdetail/000000001186/

はしがきより

山北英仁司法書士、山﨑芳乃司法書士からは、民事信託分野の黎明期と生成期の証言を、初めて活字にしていただいた。

民事信託・家族信託の徹底活用

http://www.tsubasa-trust.net/2017/10/blog-post.html

さて、私は、渋谷陽一郎先生の「民事信託の実務と書籍」を読み始めたところです。なかなか、他に類書のない書籍であると思っています。

どうしても、私達実務家は、「信託のスキームを構築する」とか、「信託契約書を作成する」とかいうことに目を奪われがちなのですが、著者に言わせれば、それは、所詮は信託の入り口に過ぎないとのことです。
信託が財産管理の仕組みである以上、信託の中核を担うのは受託者であり、その受託者を支援できるかどうかが、健全な信託の発展の鍵であると考えています。
信託の受託者が信託事務を遂行する上で必要な書式類を豊富に準備している、という点に、この本のユニークなところがあると思います。

また、著者は司法書士の制度論に対して、非常に深い造詣を有しています。
司法書士の制度論の中で、民事信託の支援業務が適切な位置づけを見つけることができるのか、という点について、多角的に問題提起をされています。
ちょっと外れますが、雑誌「市民と法」のここ3回の連続記事も、かなり過激な問題提起で面白いです。

「どんどん信託を進めるんだ!司法書士法施行規則31条業務だから大丈夫!コンサル業務と同じで誰でもできるはず!」という、勢いのよい信託実務家にとっては、かなり厳しい指摘が並んでいます。
民事信託を巡る紛争は、まだ件数が多いとはいえませんが、これから徐々に顕在化してくることは間違いありません。
そのような中、専門家がどのような立場から、どのようなアドバイスをしたのかも、問われてくる時代が確実に到来するものと考えられます。

そういうわけで、信託の実務を担おうとするみなさまには、多面的な見方を育てるという観点から、一読することをお勧めいたします。


[1] 138号、2022年12月、民事法研究会、P26~

長期相続登記等未了土地に関する相談対応Q&A(第2版)

日本司法書士会連合会

令和4年11月28日

 長期相続登記等未了土地に関する相談対応Q&A(第2版)

日本司法書士会連合会

凡例

法:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

令:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法施行令

省令:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等に規定する不動産登記法の特例に関する省令

通達:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)

関連情報

国土交通省人口減少時代における土地施策の推進~所有者不明土地等対策~

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html

法務局 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法について

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000022.html

Q1法務局は何を調査しているのか?

Q1 What is the Legal Department investigating?

A1 登記官は、起業者(土地収用法第8条第1項)その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者からの求めに応じて調査した結果、当該事業を実施しようとする土地が「特定登記未了土地(Q2参照)」に該当し、かつ、所有権の登記名義人の死亡後30年を超えて相続登記等がされていないと認めるときは、当該土地(「長期相続登記等未了土地」といいます。)の所有権の登記名義人となり得る者を探索しています(法第44条。所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和4年法律第38号)により、第40条から改正。)。法第44条では、死亡後の期間を10年から30年とされていますが、令第13条では10年と定められています。

A1 The registrar conducts an investigation upon request from an entrepreneur (Article 8, Paragraph 1 of the Expropriation of Land Act) or any other person who intends to implement a project that will benefit the public. As a result, if the officer finds that the land on which the project is to be implemented falls under the category of “specified unregistered land (see Q2)” and that the inheritance has not been registered for more than 30 years since the death of the registered owner of the title, the officer will search the land (“long-term unregistered inheritance land”). In this case, the landowner is searched for a person who could be the registered owner of the land (Article 44 of the Law.). Article 40 has been revised by the Act on Partial Revision of the Act on Special Measures Concerning Facilitation of Use of Land of Unknown Owner (Act No. 38 of 2022)). Article 44 of the Law Article 44 of the law defines the period of time after death as 10 to 30 years, while Article 13 of the Order defines it as 10 years.

Q2 Q1の特定登記未了土地とは?

A2「特定登記未了土地」とは、所有権に係る相続登記等がされていない土地であって、収用適格事業の実施その他の公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るために、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるものを言います(法2条4項)。

Q2 What is the “specified unregistered land” in Q1?

A2 “Specified unregistered land” refers to land that has not been registered for inheritance pertaining to ownership, etc., and for which it is necessary to search for a person who can be the registered owner of the ownership of the land in order to ensure the smooth implementation of expropriation-eligible projects and other projects that benefit the public (Article 2, paragraph 4 of the Act).

Q3 調査の実態は?

A3 各法務局は、入札等を経て公共嘱託登記司法書士協会等に調査業務を委託し、受託者は、法務局から対象土地の一覧及び当初の戸籍等(被相続人の死亡時の戸籍等)を入手して、法定相続人を探索し、法定相続人情報(省令第1条)【資料1】を作成して、戸籍等とあわせて納品します。

Q3 What is the actual situation of the survey?

A3 Each Legal Affairs Bureau consigns research work to a public commissioned registration judicial scrivener association, etc. through bidding, etc.

The commissioned party obtains a list of the subject land and the initial family register, etc. (family register, etc. at the time of the decedent’s death) from the Legal Affairs Bureau, searches for the legal heir, prepares information on the legal heir (Ministerial Ordinance Article 1) [Ref. 1], and delivers it together with the family register, etc.

Q4 調査完了後の流れは?

A4 法定相続人情報には、作成番号が付されて法務局に保管されます。また、登記官は職権で、「所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨」の付記登記(Q5参照)を行います。法務局は事前調査により同一登記名義人の土地を把握しており、同一登記名義人が所有(共有)する土地には全て付記登記がなされることになります。なお、登記名義人の完全な名寄せが行われているわけではありませんので、後日、同一登記名義人が所有(共有)する土地が判明する場合があります。

Q4 What is the process after the research is completed?

A4 Legal heir information is assigned a creation number and stored at the Legal Affairs Bureau. The registrar will, ex officio, register a supplementary note (see Q5) stating that the land has not been registered as inherited for an extended period of time after the death of the registered owner of the title.

The Legal Affairs Bureau conducts a survey in advance to identify land owned by the same registered owner. All land owned (co-owned) by the same registered owner is subject to supplementary registration. There is no complete name identification of registered owners. There are cases where land owned (co-owned) by the same registered owner is identified at a later date.

Q5 所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨の登記とは?

Q5 What is the registration of land that has not been registered as inherited for a long period of time after the death of the registered owner of the title?

A5 登記の目的欄には「長期相続登記等未了土地」、権利者その他の事項欄には法定相続人情報の「作成番号」及び「登記年月日」が付記登記でなされます【資料2】。調査しても相続人(の全部又は一部)が判明しなかった場合には、「(相続人の全部(又は一部)不掲載)」と登記されます。登記例の詳細は通達に記載されています。

A5 “Land for which long-term inheritance registration, etc. has not been completed” is registered in the “Purpose of registration” column, and “creation number” and “date of registration” of the legal heir information are registered in the “Right holder and other matters” column by supplementary registration [Ref. 2].

If the heirs (in whole or in part) could not be found after the investigation, the registration is made as “(Heirs not listed in whole or in part)”. The details of the registration examples are described in the Notice.

Q6相続人にはどのような通知が行くのですか?

Q6 What kind of notice will be sent to the heirs?

A6法務局は付記登記を行った後に、「長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」【資料3】を相続人のうちの1名に送ります。通知を受ける相続人は、法で定められておらず、「長期相続登記等未了土地解消作業仕様書【仕様書別添】長期相続登記等未了土地解消作業事務処理要領(第10-2(1))」により、次の順番とされています。

第1順位固定資産課税台帳上の所有者又は納税義務者

第2順位当該土地の居住者

第3順位当該土地の近郊(当該土地と同一都道府県内)の居住者

第4順位その他の者

A6 After the supplementary registration is made, the Legal Affairs Bureau will send a “Notice (Notification) of Long-Term Unregistered Inheritance Registration, etc. (Attachment 3)” [Ref. 3] to one of the heirs.

 The heirs to be notified are not stipulated by law, but are listed in the following order according to the “Guidelines for the Administrative Processing of the Work to Resolve Long-Term Unregistered Inheritance (10-2(1))” in the “Specifications for the Work to Resolve Long-Term Unregistered Inheritance (Attachment to Specifications)”.

The first priority is the owner or taxpayer on the fixed asset taxation registry.

The second priority goes to the resident of the land.

The third is the residents in the vicinity of the land (in the same prefecture as the land).

The fourth rank is other persons.

Q7 法定相続人情報の閲覧権限は誰にありますか?

Q7 Who can view legal heir information?

A7「所有権の登記名義人の相続人」及び「公共の利益となる事業を実施しようとする地方公共団体等の利害関係人」にあります(不動産登記法第121条第2項)。

A7: It is available to “heirs of the registered owner of the title” and “interested parties such as local governments that intend to implement projects of public interest” (Article 121, Paragraph 2 of the Real Property Registration Law).

Q8 法定相続人情報の請求方法は?

Q8 How can I request information on legal heirs?

A8 法定相続人情報は令和4年10月3日までは閲覧のみ認められていました。閲覧請求をすると、法定相続人情報の内容を書面で出力して閲覧に供されますが(不動産登記規則第202条第2項)、あくまで閲覧であり、公印は押されません。

なお、閲覧は当該土地を管轄する法務局の窓口で請求する方法しかなく【資料4、5】、1件につき450円の手数料がかかります(登記手数料令第5条第1項)が、長期相続登記等未了土地解消作業に基づく法定相続人情報を出力した書面の提供のみを請求した場合は、法務局の成果物の有効利用ということで、全国どこの登記所でも、無料で交付が受けられ、また郵送による請求も可能となりました。法定相続人情報の閲覧と一覧図のみの出力の違いをまとめると以下のとおりです。

A8: Until October 3, 2022, only inspection of information on legal heirs was permitted.

When a request for inspection is made, the contents of the information on legal heirs can be printed out in writing for inspection (Article 202, Paragraph 2 of the Real Property Registration Regulations), but the official seal is not affixed.

The only way to request inspection is to make a request at the Legal Affairs Bureau with jurisdiction over the land in question [Ref. 4, 5]. 450 yen per case will be charged (Article 5, Paragraph 1 of the Registration Fee Order), but if you only request the provision of a written output of the legal heir information based on the work to resolve land that has not been registered for long-term inheritance registration, etc., the Legal Affairs Bureau’s results (Article 5, Paragraph 1 of the Registration Fees Order), the document can be delivered free of charge to any registry office in Japan, as it is an effective use of the Legal Affairs Bureau’s deliverables.

Requests can now also be made by mail. The differences between viewing legal heir information and outputting only a list are summarized as follows.

法定相続人情報の閲覧(戸籍等を含む)

対応法務局:当該土地を管轄する法務局のみ

押印:なし

手数料:450円

郵送請求対応:不可

法定相続人情報一覧図のみの出力

対応法務局:当該土地を管轄する法務局以外の他の法務局でも可

押印:なし

手数料:無料

郵送請求対応:可

Q9法定相続人情報はどのように利用できますか?

Q9 How can I use legal heir information?

A9表題部所有者又は登記名義人の相続登記を申請するに際して、法定相続人情報の作成番号を提供すれば、戸籍謄本等の相続を証する情報の提供をする必要はありません(ただし、相続人の全部又は一部が判明しなかった場合(Q5参照)は除きます)。また、表題部所有者の相続人が所有権保存の登記をする場合や、登記名義人の相続人が相続による権利の移転の登記を申請する場合は、同作成番号を提供すれば、住民票等の住所証明情報の提供が不要となるケースがあります(省令第8条)。

また、登記官による付記登記がされていない同一登記名義人の土地があることが判明した場合(法定相続人情報を保管している法務局以外の法務局の管轄不動産を含む。)にも利用できます。さらに、法定相続人情報の内容に、二次相続や三次相続が記録されている場合、その二次相続人や三次相続人が登記名義人となっている土地の相続登記を申請する際に、当該法定相続人情報が利用できます。

ただし、法定相続人情報は、法定相続情報一覧図とは異なり公印もありませんので、例えば銀行手続等における証明書として利用することはできません。

A9 When you apply for registration of inheritance of the titleholder or registered owner, you are not required to provide information evidencing inheritance, such as a copy of the family register, if you provide the creation number of the legal heir information. However, this excludes cases where all or part of the heirs were not identified (see Q5).

In addition, when the heir of the titleholder applies for registration of preservation of ownership or when the heir of the registered owner applies for registration of transfer of rights due to inheritance, there are cases where the provision of address proof information such as a residence certificate is not required if the creation number of the legal heir information is provided (Article 8 of the Ministerial Ordinance).

 This information can also be used when it is found that there is the land of the same registered owner that has not been registered as appended by the registrar. This includes real estate under the jurisdiction of a Legal Affairs Bureau other than the Legal Affairs Bureau that keeps the information on legal heirs.

 If secondary or tertiary inheritance is recorded in the contents of the legal heir information, the legal heir information can be used when applying for inheritance registration of land for which the secondary or tertiary heir is the registered owner.

However, unlike a list of legal heirs, the information of legal heirs does not have an official seal, so it cannot be used as a certificate in banking procedures, for example.

Q10どのような相談が寄せられることになるのか?

Q10 What kind of consultation does the Legal Affairs Bureau receive?

A10法務局は、通知書受領者に対して説明会を開催している場合もありますが、必ず全員が説明会に参加しているわけではありません。

法務局の調査の結果、長期相続登記等未了土地とされ、「長期間相続登記等がされていないことの通知」を受領した相続人が、自分で、又は他の相続人と一緒に司法書士に相談に訪れることが予想されます。

相続人の手元には、基本的に通知書しかありませんので、情報が極めて不足しています。そのため、①その通知書にはどのような意味があるのか、②その土地がどこにあるのか、③他の相続人は誰であるか、④具体的に何をすれば良いのか、という基本的なことから説明する必要があります。

A10 In some cases, legal affairs bureaus hold explanatory meetings for notice recipients. However, not all of them always attend the explanatory meeting.

It is expected that heirs who have received a “Notice of Long-Term Unregistered Inheritance, etc.” as a result of the Legal Affairs Bureau’s investigation and the land is considered to be a long-term unregistered inheritance, etc., or who visit a judicial scrivener for consultation together with other heirs.

Basically, heirs have only the notice in their hands. Therefore, information is extremely scarce.

The specialist needs to explain to the heirs the basics of what the notice means, where the land is located, who the other heirs are, and what exactly they need to do.

Q11通知書の持つ意味は?

Q11 What is the meaning of a notice from the Legal Affairs Bureau to an heir?

A11通知書は、【資料3】にあるとおり、基本的には相続登記等を促す意味しかなく、それを放置することによる罰則等はありません。しかし、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による不動産登記法改正のうち、相続登記の義務化に関する規律の施行日が令和6年4月1日となっています(令和3年12月17日政令による決定)。そして、同改正法附則(経過措置)では、施行期日において、現に相続登記未了となっている不動産も相続登記の義務化の対象とされ、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日又は施行日のいずれか遅い日」から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」こととなり、「正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる」ことになります。したがって、相続登記の義務化を含む新しい制度に関しても正確な情報と適切なアドバイスの提供が必要となります。

また、そもそも当該土地は、地方自治体等が何かしらの事業を実施しようとしており、その対象土地であるために調査がなされています。したがって、相談が寄せられた段階で、根本的な解決に向けて取組みが開始されることが望ましいといえるでしょう。

A11 As shown in [Ref. 3], a notice letter basically only has the meaning of encouraging inheritance registration, etc., and there are no penalties for neglecting to do so.

However, among the amendments to the Real Property Registration Law made by the Law Partially Amending the Civil Code, etc. (Law No. 24 of 2021), the date of enforcement of the regulation regarding mandatory inheritance registration is April 1, 2024 (decided by Cabinet Order on December 17, 2021).

In addition, the Supplementary Provision (transitional measure) of the Amendment Act provides that real estate for which inheritance registration has not yet been completed as of the effective date is also subject to the mandatory registration of inheritance.

 Heirs must apply for registration of transfer of ownership within three years from the date on which they learned that inheritance had commenced for them and that they had acquired such ownership, or the enforcement date, whichever is later.

Failure to make such an application without justifiable reason will be punishable by a non-penal fine of up to 100,000 yen. Therefore, it is necessary to provide accurate information and appropriate advice regarding the new system, including the mandatory registration of inheritance.

In addition, the land is being surveyed because the local government, etc., intends to implement some kind of project and the land is subject to such a project.

Q12 対象土地の所在場所は?

Q12 Where is the subject land located?

A12 相談者は、対象土地の場所を知らない可能性があります。近隣に住んでいない場合や、同一都道府県に居住している場合であっても、とりわけ農地・山林等については、その傾向が高いでしょう。そのため、各種地図を利用して場所の特定を行い、また、固定資産評価証明書等の評価を確認する等の調査をすることで、土地の現状や価格について相談者に情報を提供し、今後の対応の検討に役立ててもらう必要があります。

ブルーマップや住宅地図、14条地図や公図、登記情報提供サービスの地番検索サービス、固定資産課税台帳附属地図、農地及び農地に関する地図(農地法)、林地台帳や森林の土地に関する地図(森林法)あるいはGoogle map等のオンラインサービスを利用することになるでしょう。また、次のページも参考にしてください。

※全国農地ナビ https://www.alis-ac.jp/

※全国地価マップhttps://www.chikamap.jp/chikamap/Portal

A12 The consultant may not know the location of the subject land. Even if he/she does not live nearby or resides in the same prefecture, this is highly possible with regard to agricultural land, forests, etc.

Therefore, it is necessary to identify the location using various maps and conduct research such as checking the valuation of fixed asset valuation certificates, etc., to provide the consultant with information on the current status and value of the land and help him or she consider future actions.

The following online services are to be used: blue maps, residential maps, Article 14 maps, and public maps, the land number search service of the Registration Information Service, maps attached to the Fixed Property Taxation Registry, maps related to agricultural land and farmland (Agricultural Land Law), forest land registry and maps related to forest land (Forest Law) or Google maps.

Reference.

*National Agricultural Land Navigator

https://www.alis-ac.jp/

*Nationwide land price map: https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal

Q13 相談者以外の相続人は?

Q13 What should heirs other than the consulting party do?

A13 「長期間相続登記等がされていないことの通知」を受領して相談に訪れた相続人は、自分以外の誰が相続人であるのかを把握していない場合が少なくありません。そのため、まずは法定相続人情報を取得して相続関係を明らかにする必要があります。必要に応じて、司法書士が代理人となり法定相続人情報を取得し、相続関係について説明をすべきです。相続関係は事案によって異なり、容易に遺産分割協議ができない事案も少なくないと思われます。

また、長期に渡り相続登記がされていない土地は、財産的価値が高くない場合もあり、当該土地に対して相続人が関心を示さないケースも多いと思われます。ただし、A11でも述べたように、今後の相続登記の義務化等も踏まえて考えれば、登記未了のまま放置することや、安易に法定相続分による登記を行うことは避けて、なるべく遺産分割協議により確定的な所有者名義で登記をする方向で解決を図ることが望ましいと考えられます。

A13  Heirs who come for consultation upon receipt of a notice that their inheritance has not been registered, etc. for a long period of time often do not know who other than themselves are their heirs.

Therefore, it is necessary to first obtain information on legal heirs to clarify the inheritance relationship.

If necessary, a judicial scrivener should act as a representative to obtain legal heir information and explain the inheritance relationship.

Inheritance relations vary from case to case, and there are many cases in which it is not possible to easily discuss the division of the estate.

Land that has not been registered as inherited for a long period of time may not have high property value.

In many cases, the heirs show no interest in the land in question. However, as mentioned in A11, taking into consideration the future mandatory registration of inheritance, it is necessary to avoid leaving the land unregistered or easily registering the land according to the legal inheritance. It is considered a good idea to resolve the issue by registering the property in the name of the owner determined by the inheritance division agreement as much as possible.

Q14「起業者その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者」を確認する方法は?

Q14 How do you identify an entrepreneur or other entity that intends to conduct a business of public interest?

A14「起業者その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者」としては、地方公共団体のみならず民間事業者、NPO、地域コミュニティ等の幅広い主体が想定されています。法務局は地方公共団体に対して説明会等を開催して、地方公共団体等からの要請を受付け、その中から調査対象土地を選定しています。

長期相続登記等未了土地に関する調査がどの地方公共団体や公共の利益となる事業を実施しようとする者の依頼によって調査対象となったかについては、相談を受ける司法書士として気になるところではありますが、法務局から情報提供を受けることはできません。そのため、対象土地の地目や利用状況等から推測するしかなく、個別に地方公共団体等に問合せをして判明することもあるとは思いますが、その可能性は必ずしも高くないと思われます。

A14 Entrepreneurs and other persons who intend to implement a business of public interest are expected to be a wide range of entities, including not only local public entities but also private businesses, NPOs, and local communities.

The Legal Affairs Bureau accepts requests from local governments, etc., by holding explanatory meetings, etc., for local governments, and selects lands to be surveyed from among them.

As a judicial scrivener who receives consultations, it is of concern to us which local governments or persons who intend to implement projects of public interest were the subject of surveys concerning land that has not yet been registered for long-term inheritance registration, etc. However, we cannot receive information from the Legal Affairs Bureau.

Therefore, we can only speculate based on the land title and use of the subject land, etc. Although it may be found out by making individual inquiries to local public entities, etc., the likelihood of such an inference is not necessarily high.

1. 所有権の保存の登記
(1) The registration of preservation of ownership.

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇     

全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地): The land.

 権 利 部(甲区): The rights section (Section A).        

(所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号
Appendix I. 所有権保存
: The preservation of ownership.
○○年○○月○○日
第〇〇〇〇号 所有者: The name and address of owner.
住所〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
氏名○○

長期相続登記等未了土地

: The long-term sequential registration and another outstanding land. 余白
: The empty column. 作成番号 第0000-0000-0000号
○○年○○月〇日付記
The number: 0000-0000-0000.
The year, month, and date of registration.
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  
これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.
(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau
〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇             

全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地): The land.

これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau

〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
Underlines indicate delated matters. Filing Number:00000000000 (1/1)   

 

(相続人の全部又は一部が判明しないとき)
When all of the heirs are not known.
(2) When some of the heirs are not known.
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇     

全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地): The land.

 権 利 部(甲区): The rights section (Section A).        

(所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号
Appendix I. 所有権保存
: The preservation of ownership.
○○年○○月○○日
第〇〇〇〇号 所有者: The name and address of owner.
住所〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
氏名○○

長期相続登記等未了土地

: The long-term sequential registration and another outstanding land. 余白
: The empty column. 作成番号 第0000-0000-0000号
(相続人の全部(又は一部)不掲載)
○○年○○月〇日付記
The number: 0000-0000-0000.
The non-publication or partial non-publication of heirs in whole or in part.
The year, month, and date of registration.
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  
これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau

〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇             全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地): The land.

これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau

〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
Underlines indicate delated matters. Filing Number:00000000000 (1/1)

  

2 所有権の移転の登記(単有)

The registration of transfer of ownership (single ownership).
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇     

全部事項証明書: The certification of all recording matters.

(土地): The land.  権 利 部(甲区): The rights section (Section A).        (所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号
Appendix I. 所有権移転
: The transfer of ownership.
○○年○○月○○日
第〇〇〇〇号 原因 年月日売買
The cause Date of purchase and sale.
所有者: The name and address of the owner.
住所〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
氏名○○
長期相続登記等未了土地
: The long-term sequential registration and another outstanding land. 余白
: The empty column. 作成番号 第0000-0000-0000号
○○年○○月〇日付記
The number: 0000-0000-0000.
The year, month, and date of registration.
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  
これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau

〇〇年〇〇月〇〇日 Date

3 所有権の移転の登記(共有)
The registration of transfer of ownership (co-ownership).
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇     

全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地): The land.
 権 利 部(甲区): The rights section (Section A).        

(所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号
Appendix I.

付記1号
Appendix I.
所有権移転
: The transfer of ownership.
○○年○○月○○日
第〇〇〇〇号 原因 年月日売買
The cause Date of purchase and sale.
所有者: The name and address of the owner.
住所〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
氏名○○
2番共有者乙某につき長期相続登記等未了土地
: The land with no long-term inheritance registration, etc. completed in the name of co-owner No. 2. 余白
: The empty column. 作成番号 第0000-0000-0000号
○○年○○月〇日付記
The number: 0000-0000-0000.
The year, month, and date of registration.
2番共有者乙某につき長期相続登記等未了土地
: The land with no long-term inheritance registration, etc. completed in the name of co-owner No. 2. 余白
: The empty column. 作成番号 第0000-0000-0000号
○○年○○月〇日付記
The number: 0000-0000-0000.
The year, month, and date of registration.
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  
これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau

〇〇年〇〇月〇〇日 Date

      

          

              

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沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例

沖縄県公文書館

https://www3.archives.pref.okinawa.jp/GRI/histories/1951/?vpage=4

文字が読み取りづらく、誤りがあれば指摘お願いします。

沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例

1951年4月16日附米國民政府特別布告第4號に基づいて、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例を茲に交付する。

1951年9月28日

沖縄群島知事 平良辰雄

沖縄群島条例第55號

第1條 この条例は、現在所以外の者が占有し、且つ所有者の法律上の承諾もなく保有してゐる土地(以下割当土地という。)について、1951年4月16日附の米國民政府特別布告大4號第2條の規定に基づいて、土地所有者と土地使用者との権利義務に関して臨時の調整を図ることを目的とする。

・戦争が終わった後、成り行きで住んだり畑をしている場所について、調整。

第2條 土地所有者と土地使用者とは、1951年4月1日をもって公共、住居又は農耕を目的とした割当土地の賃貸借の契約を締結したものとみなす。

2 前項の規定は、土地所有者との間に別段の契約の設定があった場合はこの限りではない。

・1951年4月1日から、法律上、土地の所有者と使用者との間に賃貸借契約が成立したことにする。ただ、所有者と使用者が別の決め事をしたときは、その決め事が優先する。

第3條 前條第1項の場合において賃貸借の期間は、左の各號に従わなければならない。

一 建物の所有を目的としているときは、3年

二 耕作その他を目的としているときは、1年6月

2 前項の期間を超える期間の設定は、土地所有者と土地使用者の意思に従う。

3 土地使用者において第1項に定める期間より短い期間の設定を欲するときは、解約しようとする日の三箇月以前に土地所有者に通知しなければならない。

・法律上、賃貸借契約が成立した土地の期間は、目的によって3年、1年6月。この期間を超える場合は、所有者と使用者が決める。

第4条 第2條第1項に基づいて、建物の所有を目的とする土地の場合において、建物が滅失したときは、賃貸借権は消滅する。但し、災害によるときはこの限りではない。

第5條 第2條第1項の場合における土地所有者の請求する賃貸料の額は、市町村賃貸料評定委員會(以下賃貸料評定委員という。)の定める額とする。

2 賃貸料評定委員會に関する規定は、別に布令を以って定める。

・法律上、みなされた土地賃貸借契約の賃貸料は、行政が設置した機関が決める。

第6條 前條第1項に定める賃貸料について、土地所有者と土地使用者との間に協議が調和しないときは申立により、その土地の所在地を管轄する巡回裁判所が鑑定委員會の意見を聴き、その土地に関する一切の事情を斟酌して、これを定める。

・賃貸料に関して揉めているときは、裁判所が決める。

第7條 前條の規定による裁判は、非訟事件手続法によりこれをする。

第8條 鑑定委員會は、3人以上の委員を以って、これを組織する。

2 鑑定委員は各事件について、左の者の中から巡回裁判所がこれを指定する。

一 巡回裁判所が、毎年俶め特別の知識經驗のある者、其の他適當な者の中から選任した者

二 當事者が、合意で選任した者。

第9條 鑑定委員會の決議は委員の過半数の意見による。

第10條 鑑定委員會の評議は秘密とす。

・賃貸料が決まる過程は秘密。

第11條 鑑定委員會に要する申立人の負担とし、その額は、民事訴訟費用法を準用する。

第12條 左に掲かげる事由があるときは、土地所有者はその土地を管轄する巡回裁判所に出訴して土地使用者に対し割當土地の明渡しを請求することができる。

一 土地使用者が土地所有者の承諾なしに、第三者に土地を賃貸し、又は土地の使用権を譲渡し、若くは輿えたとき。

二 米國民政府副長官、又は市町村長によつて割當てられた時に決められた使用目的を変更したとき。

三 土地使用者が現在占有している土地と同様に使用できる土地を他に有するにいたつたとき。

四 土地使用者が割當てられた土地を濫用したとき。

附則

この條例は1951年10月1日から施行する。

沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法

沖縄県公文書館https://www3.archives.pref.okinawa.jp/RDA/ryusei/R00160385B/index.html?title=%E6%B2%96%E7%B8%84%E7%BE%A4%E5%B3%B6%E5%89%B2%E5%BD%93%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%87%A8%E6%99%82%E5%87%A6%E7%90%86%E6%9D%A1%E4%BE%8B%E3%81%AE%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%AB%8B%E6%B3%95%20%E7%AB%8B%E6%B3%95%E3%80%80%E3%81%8A-

 立法院の議決した沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法に署名し、ここに公布する。

1955年6月30日 行政主席 比嘉秀平

立法第16号

沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法

第1条 この立法は、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例(1951年沖縄群島条例第55号)の廃止に際し、割当土地の所有者とその賃借人との間に生ずべき法律関係を調整することを目的とする。

第2条 1955年6月30日において割当土地の賃借人(以下「賃借人」という。)たる者は、その土地の所有者(以下「土地所有者」という。)に対し、この立法施行の日に建物所有の目的でその土地を賃貸借することを申し出たものとみなす。

2 前項の申出は、他の者の賃借の申出に優先するものとする。

3 土地所有者は、この立法施行の日から二箇月以内に拒絶の意思を表示しないときは、その期間満了のとき、第1項の申出を承諾したものとみなす。

4 土地所有者は、自らの住居に供すべき建物所有の目的でその土地を使用することを必要とする場合、その他正当な事由があるのでなければ第1項の申出を拒絶することができない。

・1955年6月30日に、法律上は、賃借人は建物所有の目的で、土地の所有者に借りる申出を行った。畑は記載なし。

第3条 前条の規定により、賃貸借の成立するまでは、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止にかかわらず、従前の賃貸借は、なお消滅しないものとする。

第4条 第2条の規定により設定された賃貸借の存続期間は、これを11年とする。但し、建物がこの期間満了前に朽廃したときは、賃借権はこれによつて消滅する。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

2 賃借権の消滅前建物が滅失したる場合において残存期間をこえて存続すべき建物の築造に対して土地所有者が遅滞なく異議を述べないときは、賃借権は建物滅失の日から起算して11年存続するものとする。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

3 当事者は、前2項の規定にかかわらず、その合意により別段の定をすることができる。但し、存続期間を11年未満とする借地条件はこれを定めないものとみなす。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

・賃貸借契約の期間は、原則として11年。

第5条 賃借人は、その賃借権の登記又はその建物の登記がなくても、その賃借権をもつてこの立法施行の日から一箇年以内にその土地について権利を取得した第三者に対抗することができる。

・賃借人は既に占有しているので、1か月は他の人に借りる権利を主張することができる。1か月以内に建物の登記することが望ましい。

第6条 第2条の規定により設定された賃貸借において、賃借料の額は、賃借料評定委員会(以下「評定委員会」という。)が行政主席の認可を経て定めるところによる。

政59.1.13立法1府 廃止

第6条 第2条の規定により設定された賃貸権(第4条第2項及び第2項の規定による賃借権を除く。)の存続期間の満了日は、1966年8月31日とする。

第6条の2 前条の規定により満了する賃借権については、これを借地法(大正10年法律第49号)に基づく賃借権とみなし、1966年9月1日から借地法を適用する。

2 第4条第2項又は第3項の規定による賃借権については、これを借地法に基づく賃借権とみなし、それぞれの規定による賃借権の存続期間の満了日の翌日から借地法を適用する。

政66.8.10立法117

・現在の賃貸借契約が終了した場合、借地法が適用される。

第7条 土地所有者は、敷金その他いかなる名目をもつてしても、賃借料三箇月分の額をこえる金額を賃借人に請求してはならない。

第8条 割当土地の存する市町村は、第6条に定める賃借料の額を設定させるために、評定委員会を設置しなければならない。

政66.8.10立法117により取り消し線

2 前項の委員会は、15名をこえない委員よりなるものとし、委員は、市町村長において土地所有者、賃借人及び学識経験者の中から各々同数を議会の承認を経て任命するものとする。

3 市町村長は、前項と同様な方法で補充委員を任命するものとする。

第9条 第1回の評定委員会は、市町村長がこれを招集する。

第10条 評定委員会に会長をおく。

2 前項の会長は、委員が互選するものとする。

第11条 評定委員会は、委員の過半数が出席し、且つ、土地所有者及び賃借人の中から任命された委員が同数出席しなければ会議を開くことができない。但し、会長において出席を催告しても、なお、出席しないときは、この限りではない。

第12条 評定委員会の決議は、出席委員の過半数の意見による。

第13条 評定委員会は、その設置の日から60日以内に割当土地について賃借料の額を定めなければならない。

附則

この立法は、1955年7月1日から施行する。

政65.6.22立法27

附則 この立法は、1965年7月1日から施行する。

・期間を10年から11年に延長する変更は、1965年7月1日から始める。

政66.8.10立法117

この立法は、公布の日から施行する。

・借地法の適用に関する法律は、1966年8月10日から適用。

安次富哲雄「いわゆる割当土地関係から生じた賃借権の無断譲受人に借地法第一〇条の買取請求権を認めたのは法令の解釈に誤りがある、とされた事例」

琉球大学学術リポジトリ

https://u-ryukyu.repo.nii.ac.jp/records/2001824

抵当権の抹消登記申請に当たっての留意事項について

 法務省民事局の民事第二課長から、一般社団法人全国銀行協会の会長へ、次のような依頼がありました。令和4年11月15日法務省民二第1116号。依頼なので、行政指導の一種でしょうか。行政手続法(行政指導の方式)第35条1項は、行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない、と定めています。

 借入れや契約が終わった等の原因により、(根)抵当権設定者が抹消登記申請を行う場合、

1、(根)抵当権設定者に対する案内をわかりやすく行う

2、(根)抵当権設定に交付している解除証書、委任状などの日付は、空欄にせずに日付を入れる

  • 1、は抽象的ですが、金融機関の窓口交付か、(根)抵当権設定者の所在地に行って書面を渡しながら案内、電話案内などが考えられます。住所が変わっている場合などは他に必要な登記申請がある(から専門家へ相談を。)などの説明も、あると分かりやすいかもしれません。

 登記申請書については、法務省HPの書式を案内するのか、印刷して渡すのか金融機関によって対応は変わると思います。書き方を教える場合は、各種業法に抵触しないようにすることが必要だと感じます。

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