NPO法人の理事の変更登記の申請

平成24年2月3日付け法務省民商298号商事課長依命通知

3 社員総会の決議の省略

特定非営利活動法人の理事又は社員が社員総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき社員の全員が書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして内閣府令で定めるものをいう。)により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなすとされ(法14条の9第1項)、また、社員総会の目的である事項の全てについての提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該社員総会が終結したものとみなすとされた(同条2項)。

 なお、所轄庁から定款の変更の認証を受けようとする場合、所轄庁に定款の変更をしたことを届け出る場合等においては、社員当会の議事録の謄本を提出し、又は添えなければならないとされている(法第25条第4項、第6項等参照)から、これらの場合には、社員総会の議事録の作成が前提とされている。

したがって、法14条の9第1項の規定により特定非営利活動法人の登記すべき事項について社員総会の決議があったものとみなされる場合であっても、当該登記すべき事項に係る登記の申請書には、上記場合に該当することを証する書面(条例の規定により「社員総会の議事録」などと題する書面となることが考えられる。)を添付しなければならないこととなる。

4 理事の代表権

  • 理事の代表権の範囲又は制限に関する定めと登記

 旧法においては、特定非営利活動法人の理事は、特定非営利活動法人の全ての業務について特定非営利活動法人を代表するとされ、定款をもってその代表権を第三者に対抗することができないとされていた(旧法第16条)。

このため、旧法下においては、「代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め」が登記事項とはされておらず(組登令第2条第2項第6号、施行令による改正前の組合など登記令別表特定非営利活動法人の項の登記事項の欄)、法人の内部において代表権を制限された理事が存在する場合であっても、当該理事を含めた理事全員を「代表権を有する者」(組登令第2条第2項第4号)として「理事」の資格で登記しなければならないとされていた(平成10年8月31日付け法務省民四第1605号民事局長通達参照)。

 改正法により、旧法第16条第2項の規定が削られるとともに、施行令附則第2条により組合等登記令の一部が改正され、特定非営利活動法人の登記事項として、「代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め」が追加された(組登令第2条第2項第6号、別表特定非営利活動法人の項の登記事項の欄)。

 したがって、改正法の施行後は、定款をもって、その代表権の一部が制限された特定非営利活動法人の理事が存在する場合には、当該理事を登記するほか、当該理事に係る代表権の範囲又は制限に関する定めも登記しなければならない。

 また、定款をもって、その代表権の全部が制限された特定非営利活動法人の理事が存在する場合には、当該理事は、「代表権を有する者」に該当しないため、登記することを要しないこととなる(組登令第2条第2項第4号)。

例えば、定款をもって、理事の互選等により特定の理事を理事長に選定し、当該理事長のみが法人を代表することとしている場合には、当該特定の理事のみ「理事」の資格で登記し、その他の理事は、登記することを要しないこととなる(社会福祉法(昭和26年法律第45号)における社会福祉法人の理事に関する取扱い(昭和39年7月7日付け民事甲第2436号民事局長回答参照)と同様の取扱いとなる)。

社員総会の決議の省略と、書面による表決権行使(特定非営利活動促進法14条の7)の違い

社員総会の決議の省略(理事変更の登記の場合)

  • 社員か理事が、理事(長)変更の議案の提案
  • 社員の全員が同意の意思表示
  • 当該社員総会が終結したものとみなされる
  • 登記の申請書には、社員総会の議事録を作成して添付

・定款に、理事の互選等により特定の理事を理事長に選定する旨の記載があり、理事長のみが法人を代表することとしている場合・・・理事の互選書を作成・登記の申請書に添付。

・書面による表決権行使

  • 社員総会の招集通知に記載されている理事(長)変更の議案に、書面で表決権行使。
  • 登記の申請書には、社員総会議事録を添付

・定款に、理事の互選等により特定の理事を理事長に選定する旨の記載があり、理事長のみが法人を代表することとしている場合・・・理事の互選書を作成・登記の申請書に添付。

・コロナ禍で、社員全員に書面で表決権行使を求めた場合でも、社員総会の開催が必要。例えば法人の事務局で、表決権行使書面の取りまとめを行った場合、取りまとめを行った日を社員総会の開催日として、審議経過を記載。

沖縄県 NPO法人運営で活用できる様式 更新日:2016年8月12日

https://www.pref.okinawa.jp/site/kodomo/shohikurashi/anzenkatsudo/npo/h260415.html

法務省 商業・法人登記申請手続き/その他の会社・法人(特例有限会社・NPO法人・その他) 更新日:2018年10月1日

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/houjin4.html

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