相続等により取得した不動産の登記義務などについての民法の改正について

 相続等により取得した不動産の登記義務などについての民法の改正について

民法等の一部を改正する法律

可決成立日 令和3年4月21日

公布日    令和3年4月28日

官報掲載日 令和3年4月28日

施行日    原則として公布の日から2年以内

第204回国会 衆議院 法務委員会 第6号 令和3年3月23日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00620210323&spkNum=3&single

・持分の過半数の共有者の所在が分からない場合の管理行為

 共有者の一部が不特定又は所在不明である場合に、裁判所においてそのことを確認し、かつ公告を実施するなどの手続を取った上で、管理人の選任を経ることなく、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により、又はその持分の過半数の決定によって共有物の変更又は管理を可能とする仕組みを創設。

・共有者の一部の所在等が不明である場合の変更・処分行為について

 共有物分割訴訟には、共有者全員を当事者としなければならないなどの手続上の負担があることも踏まえまして、共有者の一部の所在等が不明である場合に、訴訟手続ではなく非訟手続の下で、共有者全員を当事者とすることなく、他の共有者が適正な代価を支払った上で所在等不明共有者の持分を取得したり譲渡したりすることができる仕組みを創設。

・所在不明な共有者、相続人の探索方法について

 一般論として、例えば共有者の所在を知ることができないと認められるときには、登記簿や住民票といった公的記録を調査し、その住所に当該共有者が居住しているのかを調査してその所在が不明であることを立証。共有者が死亡して相続が開始しているケースでは、相続人やその所在を確認するため、戸籍や相続人の住民票などの調査が必要となるほか、当該不動産の利用状況を確認したり、他に連絡を取ることができる相続人がいればその相続人に確認してみるなど。

・誰々ほか十六名のような不動産登記記録の表題部記載について

 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づいて対応することが可能・登記官において探索等を行ってもその共有者が不明なケースでは、裁判所が管理命令を発し、その選任した管理人がその共有持分の管理、処分を行うことができる。

 所有者等不明共有者の持分の取得、譲渡の制度も表題部所有者不明土地について適用することが可能。申立人が、表題部所有者不明土地の共有者が不明であることを立証し、裁判所が命ずる金銭を供託するなど所要の手続を取れば、管理人の選任を経ることなく持分の取得、譲渡をすることができる。

・登記名義人が五十年以上前に死亡している土地について、子供の兄弟が三人いることが分かっている、二人についてはやっと連絡が取れました、でも、残り一人についてはどうも外国で亡くなっているらしい、相続人がどれだけいるかも分からない。この土地を譲り受けたい、あるいは処分したいという場合

 制度を利用し、遺産分割を経ることなく、他の相続人が当該土地の持分を取得するなどして譲渡することも可能。

・ごみ屋敷への管理不全建物管理命の適用可能性について

 ごみ屋敷についても、他人の権利利益の侵害の状況等によっては管理不全建物管理命の要件を満たす場合はある。

・相続人申告登記がされた後に遺産分割があったケースについて

遺産分割成立の日から三年以内に遺産分割の内容を踏まえた登記申請をする義務を負う。

・遺言が作成されていた場合

 遺言により不動産を取得すると定められた者は、所有権を取得したことを知った日から三年以内にその旨の所有権の移転の登記の申請か、相続人申告登記の申出をする義務を負う。

・相続人申告登記の添付書面について

 申出をする相続人が、被相続人の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出。

・相続登記申請をするための登録免許税(現行は不動産の固定資産税評価額の0.4%)について

令和四年度税制改正において必要な措置を検討。

・住所等の変更登記に当たって、他の公的機関との情報連携について

自然人・・・所有権の登記名義人から、その氏名、住所のほか、生年月日等の情報を提供してもらい、これを検索キーとして法務局側で定期的に住基ネットに照会して情報の提供を受けることにより、住所等の変更の有無を確認。

法人・・・省内のシステム間連携による対応が可能。法人の住所等に変更が生じた場合には、不動産登記システム側からの定期的な照会を要さずに、商業・法人登記のシステムから不動産登記システムにその変更情報を通知することにより、住所等の変更があったことを把握。登記官が職権的に住所等の変更の登記を行うことになる。

・改正法の施行日前に相続の開始等があった場合

 原則として適用。施行日前に既に相続が開始した場合又は住所等の変更があった場合であっても、登記の申請に必要な期間を確保する観点から、少なくとも施行日から三年間又は二年間の猶予期間を置く。

 施行日前に相続が開始した遺産の分割について、長期間が経過している場合には、法定相続分等の割合により分割を行うことを可能とすべく、改正法を適用。施行日前に生じた相続について、改正後の規定を適用することとしつつ、少なくとも施行日から五年間は具体的相続分による遺産分割の請求を求めることができる。

・管理不全土地管理の制度について地方公共団体の長などを請求権者としなかった理由

 管理不全土地管理制度について権利利益を侵害されるなどの利害関係の有無に関係なく地方公共団体に申立て権を付与することは、現行の所有者不明土地特措法で定められた目的の範囲を超えており、その是非については、同法の趣旨、目的や、同法における管理不全土地対策の位置づけも踏まえ、国土管理の観点から、別途検討すべき課題と整理された。

・管理不全土地、管理不全建物管理命令の申立て権者である利害関係人について

例えば公共事業の実施者などの土地の利用、取得を希望する者。隣地に擁壁が設置されている場合、劣化して倒壊して、それによる土砂崩れが生ずるおそれがあるというようなケースで、そのことを主張するその隣地の所有者など。

 ごみ屋敷状態で、草が生えて獣が入って悪臭が漂うとか、具体的な意味での隣地に対する影響が出ていればこれに該当する可能性はあるが、町内会あるいは自治体も含めて申立て権を認めるかどうか、利害関係に含めるかどうかは、引き続き議論をして検討。

・相続登記申請と住所変更登記申請義務について、過料の制裁を科さない正当な理由がある場合

 相続が数次にわたって何度も発生して、相続人が数十人を超えるなど極めて多数に上る場合。戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に時間を要するケース。遺言の有効性、遺産の範囲等が争われているケース。

 申請義務を行う相続人自身が病気で入院している場合。登記費用を負担する能力がないケースについては、その財産状況や具体的な生活環境にもより、正当な理由があるとされる場合もある。

・DV被害者等の住所等の情報に係る部分について

 課長通知に基づく実務運用として、既に本人以外の者に対しては閲覧を制限する措置が取られているが、今回法制化。

20211004追記 改正後不登法第76条の6関係

Q 改正後に所有権を取得した人は、全員が検索用情報を提供するか。

A 現在、登録のある人は全員提供している。法務局が住民基本台帳ネットワークシステムに照会する基準をどのように設けるのかの問題。住民基本台帳法別表第一(三十一) 

Q改正前に所有権を取得して検索用情報を提供していない人は過料の対象となるか。

A 施行日前に既に住所等の変更があった場合であっても、少なくとも施行日から三年間又は二年間の猶予期間を置く。

Q 住所変更登記申請義務について、過料の制裁を科さない正当な理由がある場合とは

A 申請義務を行う相続人自身が病気で入院している場合。登記費用を負担する能力がないケースについては、その財産状況や具体的な生活環境にもより、正当な理由があるとされる場合もある。

Q 他の公的機関との情報連携について(自然人の場合)

A 所有権の登記名義人から、その氏名、住所のほか、生年月日等の情報を提供してもらい、これを検索キーとして法務局側で定期的に住基ネットに照会して情報の提供を受けることにより、住所等の変更の有無を確認。

第204回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和3年3月24日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00720210324&spkNum=5&single

・登記官が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報を取得をして、これに基づいて不動産登記にその旨を符号によって表示する制度の情報源

 住民基本台帳、また固定資産課税台帳のほか、長期相続登記等未了土地や表題部所有者不明土地の解消事業、また登記所備付け地図作成事業など。

・所有者不明土地、所有者不明建物管理人が、裁判所の許可を得て土地、建物を売却等した場合の不服申し立てについて

 借地借家人等の利害関係者を含めて、不服を申し立てることができない。

・沖縄県の大戦によって不動産登記とか公図とか戸籍が全て焼失してしまっている場合。今まで、その焼失等によって生じた沖縄の所有者不明土地について、沖縄の復帰に伴う特別措置法に基づき沖縄県又は市町村が管理するという便宜的な対応をしている。この不動産について、相続人があることが明らかでないときは相続財産法人となるが、その近隣に居住する者は戸籍謄本を確認することができないので、それが相続財産法人となっているかどうかすら確認ができないが、所有者不明土地管理の制度を利用することについて

 利用可能。

・沖縄県にある不動産登記簿にについて、表題部の所有者欄に所有者名の記載がない空欄、又は不明地と記載されていて、便宜的に県とか市町村の名前が記載されている。本来の所有者は不明であるが、その管理を地方自治体が行えることが沖縄の特別措置法によって担保されている。管理をしている地方自治体が利害関係人に含まれ、申立てをすることができるのか。

 沖縄県又はその市町村が管理している不動産について、所有者が不特定又は所在不明なものであることから、個別の事案における裁判所の判断に委ねられる。裁判所が選任する管理人による管理の必要性が認められる場合には、所有者不明土地管理命令が発令されるケースもあり得る。

 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第六十二条に基づいて現に土地の管理を行っている地方公共団体が、利害関係人として所有者不明土地管理命令を請求することができるかについては、個別の事案ごとの判断による。事案によっては利害関係が認められるケースもあり得る。

・外国籍の方の遺族年金等の請求について

 請求者との婚姻や親子関係などを明らかにすることができる書類として、戸籍謄本又は抄本の提出。外国籍の方の場合は、戸籍に代えて、請求者等の属する国の公的機関の発行した出生証明書や婚姻証明書などを提出。

 請求者等の属する国の公的機関が発行した証明書で、いつから婚姻されていたかなどの必要な確認ができない場合は、外国人登録原票を提出するケースもある。

第204回国会 衆議院 法務委員会 第8号 令和3年3月30日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00820210330&spkNum=3&single

・居住者がいる建物がごみ屋敷となった場合

 居住者が、発令後に管理不全建物管理人の管理を妨げる行為をすることが見込まれるときは、管理人を選任したとしても、結局、訴訟を起こさざるを得ず、実効的な管理をすることが困難となる可能性が高いことから、権利利益を侵害されている者としては、この管理不全建物管理命令を求めるよりも、訴訟を提起して物権的請求権等を行使することが適当である場合もある。

 建物がいわゆるごみ屋敷状態となった場合、その居住者が管理人による管理を妨げる行為をすることが見込まれているケースでは、利用することが難しい。

 建物所有者が建物をごみ屋敷状態としたまま遠方に移住しており、建物を放置し居住者もいない、は居住者がいても管理人の求めに応じて任意に退出することが見込まれるようなケースでは、この制度の利用が想定される。

・利害関係人があらかじめ費用や報酬に見込まれる予納金を支払った場合

 管理人はその予納金から費用や報酬を受け取ることになり利害関係人は、別途、最終的な費用の負担者である土地の所有者に対して求償することになると考えられる。

・相続開始後、遺言がなく遺産分割も直ぐには調わない場合の最初の登記について

 法務省としては、法定相続分での相続登記ではなく、より簡易な手続である相続人申告登記が利用されて相続登記の申請義務が履行されるようになることを想定。

・管理人による共有持分の処分、共有物の分割協議、持分の全部を取得

 裁判所の許可を得て、所在が明らかな共同相続人との間で可能。

・選任される管理人の要件について

 専門職という縛りはない。

・所有者不明建物管理人が自ら建物を取り壊すことについて

 基本的には許されない。建物の管理を続けるのが困難なケースにおいて、所有者の出現可能性や建物の所有者に生ずる不利益の程度などを考慮した上で、建必要かつ相当と認められる場合には、管理人が、裁判所の許可を得た上で、建物を取り壊すことも可能。

・遺言がある場合で、2つの不動産のうち1つの不動産について相続登記を申請した場合の3年以内の起算日

 相続人が遺言書を添付して特定の不動産についての登記の申請をした際に、遺言書が他の不動産の所有権についても当該申請人に移転する旨を内容とするものであった場合に登記官が通知したとき。

・相続登記等の申請期間の最初の日

 原則として、当事者の主観。

・相続登記等の申請期間について

 相続人申告登記の申出が可能。

 遺産分割がされたケースについては、遺産分割が相続開始に伴う登記申請義務の三年以内にされた場合には、登記の申請をすることになります。

 遺産分割が三年以内にされないケースは、相続人申告登記をすることで義務の履行。その後、遺産分割が現に調ったケースは、遺産分割の日から三年以内に登記の申請。

 遺言が作成されていた場合、遺言により不動産を取得する者は、所有権を取得したことを知った日から三年以内。

・隣の土地を所有している人、住んでいる人が不明な場合に立ち入る際の事前通知について

 立ち入る際に隣地の所有者等の所在が不明な場合、事前の通知は不要。立ち入って隣地を使用した後に所有者の所在が明らかになった場合、所在が明らかになった所有者に対して事後的に通知する必要がある。

第204回国会 参議院 法務委員会 第7号 令和3年4月13日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00720210413&spkNum=4&single

・相続人申告登記の申出をした後、遺産分割が調わない場合

  遺産分割が調うまで、申告登記のままで可能。期間は問わない。

・数次相続がある場合の相続登記等の申請期間について

 相続開始時から十年を経過するまでに家庭裁判所に遺産分割の請求をしなかった場合には、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることができない。遺産分割は法定相続分又は指定相続分によりする。

 数次相続のケースは、個々の相続ごとにこの十年の期間の経過が問題となり、その開始時から十年を経過した遺産の分割については、原則として具体的相続分による遺産分割を求めることはできなくなる。改正法の七十六条の二は、二次相続、三次相続の場合も含む。

 家庭裁判所は、相続開始時から十年を経過した後に遺産分割の申立てがされた場合には、特別受益や寄与分については考慮せずに法定相続分又は指定相続分によって遺産の分割をすることになる。

・申告登記をした相続人が亡くなった場合、この場合には二次相続人は申告登記できるか。

 可能。

第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00920210420&spkNum=4&single

・自己に相続があったことを知ったことについて

相続人において、相続が開始した事実を知らないケース、不動産の存在自体を知らないケース、具体的な土地の地番等までは把握していないなどといったケースは、この要件を満たすことはなく、相続登記の申請義務は生じない。

20210906追記 民法・不動産登記法部会資料 57

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案 (案) (2)

https://www.moj.go.jp/content/001339375.pdf

所有不動産記録証明書(仮称)の代理交付請求について

 郵送による本人申請請求の場合・・・本人確認書類の写しを送付させた上で、対象不動産の登記に記録された本人の住所地(所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人による交付請求の場合にはその本人の住所証明書類の原本に記載された住所地)宛てに送付するなどして、請求者本人が確実にその書類を取得するように配慮することが考えられる。

 代理申請の場合・・・委任者の実印が押印された委任状及び印鑑登録証明書(例えば、3か月以内に取得したものに限定する。)の提供がある場合には、受任者宛ての送付を可能とするといった手法を併用することも考えられる。

・相続放棄で遡及的に持分を失った人も、持分を取得した人が登記申請を行うまでは申請義務は免れないか・・・免れる。
民法・不動産登記法部会資料 60民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案 (案) (5)p2
https://www.moj.go.jp/content/001340118.pdf

民法 第209条(隣地の使用)

 同条第1項中「境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕する」を「次に掲げる目的の」に、「の使用を請求する」を「を使用する」に改め、同項ただし書中「隣人」を「住家については、その居住者」に改め、「その住家に」を削り、同項に次の各号を加える。

  1 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕

  2 境界標の調査又は境界に関する測量

  3 第233条第3項の規定による枝の切取り

 第2項中「前項」を「第1項」に、「隣人」を「隣地の所有者又は隣地使用者」に改め、同項を同条第4項とし、同条第1項の次に次の2項を加える。

 2 前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

 3 第1項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。

 第213条の2(継続的給付を受けるための設備の設置権等)

 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第1項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。

 2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

 3 第1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。

 4 第1項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第209条第1項ただし書及び第2項から第4項までの規定を準用する。

 5 第1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第209条第4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。

 6 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

 7 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

 第213条の3

 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第5項の規定は、適用しない。

 2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

 第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)

 第1項中「隣地」を「土地の所有者は、隣地」に改め、同条第2項を同条第4項とし、同条第1項の次に次の2項を加える。

 2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

 3 第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

 1 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

 2 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

 3 急迫の事情があるとき。

 第249条(共有物の使用)

 次の2項を加える。

 2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

 3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

 第251条(共有物の変更)

 中「変更」の下に「(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)」を加え、同条に次の1項を加える。

 2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

 第252条(共有物の管理)

 中「は、前条の場合を除き」を「(次条第1項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は」に改め、同条ただし書を削り、同条に後段として次のように加える。

 共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

 2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。

 1 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

 2 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。

 3 前2項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

 4 共有者は、前3項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。

  1 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 10年

  2 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 5年

  3 建物の賃借権等 3年

  4 動産の賃借権等 6箇月

 5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

 第252条の2(共有物の管理者)

 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

 2 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

 3 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。

 4 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

 第258条(裁判による共有物の分割)

 同条第1項中「とき」の下に「、又は協議をすることができないとき」を加え、同条第2項中「の場合において、」を「に規定する方法により」に改め、「の現物」を削り、同項を同条第3項とし、同条第1項の次に次の1項を加える。

 2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

 1 共有物の現物を分割する方法

 2 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法

 4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。

 第258条の2

 共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。

 2 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から10年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。

 3 相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第1項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から2箇月以内に当該裁判所にしなければならない。

 第262条の2(所在等不明共有者の持分の取得)

 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。この場合において、請求をした共有者が2人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。

 2 前項の請求があった持分に係る不動産について第258条第1項の規定による請求又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。

 3 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から10年を経過していないときは、裁判所は、第1項の裁判をすることができない。

 4 第1項の規定により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。

 5 前各項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。

 第262条の3(所在等不明共有者の持分の譲渡)

 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。

 2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から10年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。

 3 第1項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。

 4 前3項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。

 第264条(準共有)

 中「この節」の下に「(第262条の二及び第262条の3を除く。)」を加える。

 第264条(準共有)

 中「この節」の下に「(第262条の二及び第262条の3を除く。)」を加える。

 第264条の3(所有者不明土地管理人の権限)

 前条第4項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。

 2 所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。

 1 保存行為

 2 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 第264条の4(所有者不明土地等に関する訴えの取扱い)

 所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。

 第264条の5(所有者不明土地管理人の義務)

 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

 2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

 第264条の6(所有者不明土地管理人の解任及び辞任)

 所有者不明土地管理人がその任務に違反して所有者不明土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。

 2 所有者不明土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

 第264条の7(所有者不明土地管理人の報酬等)

 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

 2 所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。

 第264条の8(所有者不明建物管理命令)

 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第4項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。

 2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

 3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

 4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。

 5 第264条の3から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。

 第264条の9(管理不全土地管理命令)

 裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地管理人(第3項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「管理不全土地管理命令」という。)をすることができる。

 2 管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産(当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

 3 裁判所は、管理不全土地管理命令をする場合には、当該管理不全土地管理命令において、管理不全土地管理人を選任しなければならない。

 第264条の10(管理不全土地管理人の権限)

 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

 2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。

 1 保存行為

 2 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。

 第264条の11(管理不全土地管理人の義務)

 管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

 2 管理不全土地等が数人の共有に属する場合には、管理不全土地管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

 第264条の12(管理不全土地管理人の解任及び辞任)

 管理不全土地管理人がその任務に違反して管理不全土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全土地管理人を解任することができる。

 2 管理不全土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

 第264条の13(管理不全土地管理人の報酬等)

 管理不全土地管理人は、管理不全土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

 2 管理不全土地管理人による管理不全土地等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全土地等の所有者の負担とする。

 第264条の14(管理不全建物管理命令)

 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第3項に規定する管理不全建物管理人をいう。第4項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。

 2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

 3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。

 4 第264条の10から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。

 第392条(共同抵当における代価の配当)第1項中

 「按分する」を「按分する」に改める。

 第897条の2(相続財産の保存)

 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が1人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第952条第1項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。

 2 第27条から第29条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

 第898条(共同相続の効力)

 に次の1項を加える。

 2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第900条から第902条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。

 第904条の3(期間経過後の遺産の分割における相続分)

 前3条の規定は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

 1 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

 2 相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

 第907条(遺産の分割の協議又は審判等)

 の見出し中「審判等」を「審判」に改め、同条第1項中「次条」を「次条第1項」に改め、「場合」の下に「又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合」を加え、同条第3項を削る。

 第908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)

 に次の4項を加える。

 2 共同相続人は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

 3 前項の契約は、5年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

 4 前条第2項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

 5 家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

 第918条(相続人による管理)」

 同条第2項及び第3項を削る。

 第926条(限定承認者による管理)

 第2項中「、第650条第1項」を「並びに第650条第1項」に改め、「並びに第918条第2項及び第3項」を削る。

 第936条(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)

 (見出しを含む。)中「管理人」を「清算人」に改める。

 第940条(相続の放棄をした者による管理)

 第1項中「によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで」を「の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間」に、「の管理を継続しなければ」を「を保存しなければ」に改め、同条第2項中「、第650条第1項」を「並びに第650条第1項」に改め、「並びに第918条第2項及び第3項」を削る。

 第952条(相続財産の管理人の選任)

 の見出し及び同条第1項中「管理人」を「清算人」に改め、同条第2項中「管理人」を「清算人」に、「これ」を「、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨」に改め、同項に後段として次のように加える。

   この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。

 第953条(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)

 第954条(見出しを含む。)及び第955条ただし書中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改める。

 第956条(相続財産の管理人の代理権の消滅)

 の見出し及び同条第1項中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改め、同条第2項中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に、「管理の」を「清算に係る」に改める。

 第957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済)

 第1項中「後2箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかった」を削り、「相続財産の管理人は、遅滞なく、すべて」を「相続財産の清算人は、全て」に、「一定の」を「2箇月以上の期間を定めて、その」に、「2箇月を下ることができない」を「同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない」に改める。

 第958条を削る。

 第958条の2(権利を主張する者がない場合)

 中「前条」を「第952条第2項」に、「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改め、同条を第958条とする。

 第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)

 第2項中「第958条」を「第952条第2項」に改め、同条を第958条の二とする。

二不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)(第二条関係)

改正案

現行

目第次四章(略)

第一節・第二節(略)

第三節(略)

第一款(略)

第二款 所有権に関する登記(第七十三条の二―第七十七条)

第三款~第八款(略)

(登記することができる権利等)

第三条(略)

一~九(略)

十採石権(採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条、第七十条第二項及び第八十二条において同じ。)

(当事者の申請又は嘱託による登記)

第十六条(略)

2第二条第十四号、第五条、第六条第三項、第十条及びこの章(この条、第二十七条、第二十八条、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第四十一条、第四十三条から第四十六条まで、第五十一条第五項及び第六項、第五十三条第二項、第五十六条、第五十八条第一項及び第四項、第五十九条第一号、第三号から第六号まで及び第八号、第六十六条、第六十七条、第七十一条、第七十三条第一項第二号から第四号まで、第二項及び第三項、第七十六条から第七十六条の四まで、第七十六条の六、第七十八条から第八十六条まで、第八十八条、第九十条から第九十二条まで、第九十四条、第九十五条第一項、第九十六条、第九十七条、第九十八条第二項、第百一条、第百二条、第百六条、第百八条、第百十二条、第百十四条から第百十七条まで並びに第百十八条第二項、第五項及び第六項を除く。)の規定は、官庁又は公署の嘱託による登記の手続について準用する。

(申請の却下)

第二十五条(略)

一~六(略)

七申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。

八~十三(略)

(権利に関する登記の登記事項)

第五十九条権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

一~五(略)

六 共有物分割禁止の定め(共有物若しくは所有権以外の財産権について民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項ただし書(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)若しくは第九百八条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同条第一項の規定により被相続人が遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同条第四項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め

七・八(略)

(判決による登記等)

第六十三条(略)

2(略)

3遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

(買戻しの特約に関する登記の抹消)

第六十九条の二買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

(除権決定による登記の抹消等)

第七十条登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

2前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

3前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。

4(略)

(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)

第七十条の二 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

第二款 所有権に関する登記

(所有権の登記の登記事項)

第七十三条の二 所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

一 所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

2 前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

3前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

(相続人である旨の申出等)

第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。

2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。 

3 登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。

4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

6 第一項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

(所有権の登記名義人についての符号の表示)

第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)

第七十六条の五 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

(職権による氏名等の変更の登記)

第七十六条の六 登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る。

(登記事項証明書の交付等)

第百十九条(略)

2~5(略)

6 登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

(所有不動産記録証明書の交付等)

第百十九条の二何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

(地図の写しの交付等)

第百二十条(略)

2(略)

3 第百十九条第三項から第五項までの規定は、地図等について準用する。

(登記簿の附属書類の写しの交付等)

第百二十一条(略)

2何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類のうち前項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の閲覧を請求することができる。

3何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第一項の図面を除き、電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。

4前項の規定にかかわらず、登記を申請した者は、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができる。

5(略)

(法務省令への委任)

第百二十二条この法律に定めるもののほか、登記簿、地図、建物所在図及び地図に準ずる図面並びに登記簿の附属書類(第百五十四条及び第百五十五条において「登記簿等」という。)公開に関し必要な事項は、法務省令で定める。

(筆界特定の申請)

第百三十一条(略)

2~4(略)

5 第十八条の規定は、筆界特定の申請について準用する。この場合において、同条中「不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)」とあるのは「第百三十一条第三項各号に掲げる事項に係る情報(第二号、第百三十二条第一項第四号及び第百五十条において「筆界特定申請情報」という。)」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、同条第二号中「申請情報」とあるのは「筆界特定申請情報」と読み替えるものとする。

(筆界特定書等の写しの交付等)

第百四十九条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録のうち筆界特定書又は政令で定める図面の全部又は一部(以下この条及び第百五十四条において「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。

2・3(略)

第七章 雑則

(情報の提供の求め)

第百五十一条 登記官は、職権による登記をし、又は第十四条第一項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができる。

(登記識別情報の安全確保)

第百五十二条(略)

2(略)

(行政手続法の適用除外)

第百五十三条(略)

(行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)

第百五十四条(略)

(削る)

(秘密を漏らした罪)

第百五十九条 第百五十二条第二項の規定に違反して登記識別情報の作成又は管理に関する秘密を漏らした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

(虚偽の登記名義人確認情報を提供した罪)

第百六十条 第二十三条第四項第一号(第十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による情報の提供をする場合において、虚偽の情報を提供したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(検査の妨害等の罪)

第百六十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第二十九条第二項(第十六条第二項において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

二 第二十九条第二項の規定による文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示をせず、若しくは虚偽の文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものを提示し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。三 第百三十七条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げたとき。

(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

2第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。

三 非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号) (第三条関係)

目次

第三編(略)

第一章 共有に関する事件(第八十五条―第八十九条)

第二章土地等の管理に関する事件(第九十条―第九十二条)

第三章供託等に関する事件(第九十三条―第九十八条)

第一章共有に関する事件

第一章(共有物の管理に係る決定)

第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

一 民法 第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判

二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判

2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。

二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。

3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する45当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。

二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。

三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。

4前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。

5第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

6第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。

(共有物分割の証書の保存者の指定)

第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。

3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。

4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(所在等不明共有者の持分の取得)

第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。

一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。

二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。

四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。

五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。

3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。

4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。

5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。

6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。

7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。

9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。

11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。

(所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与)

第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。

3所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。

(検察官の不関与)

第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。

第二章 土地等の管理に関する事件

(所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)

第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。 

一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。

二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。

3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。

5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。

一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判

二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判

三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判

6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。

7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。

8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。

11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。

12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。

13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。

14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

一 所有者不明土地管理命令利害関係人

二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判利害関係人

三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判所有者不明土地管理人

四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判利害関係人

15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判

二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判

16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。

(管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令)

第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者

二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。)

四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判管理不全土地管理人

五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。

一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判

二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判

三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判

四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判

5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。

8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

一 管理不全土地管理命令利害関係人

二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判利害関係人

四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判管理不全土地管理人

五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判利害関係人

9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判

二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判

10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。

(削る)

供託等に関する事件(適用除外)

第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。

第三章 供託等に関する事件

四 家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)(第四条関係)

改正案

目次

第二編(略)

第二章(略)

第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(第百九十条)

第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件(第百九十条の二)

(相続に関する審判事件の管轄権)

第三条の十一(略)

2(略)

3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。及び相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。

4・5(略)

(家事審判の申立ての取下げ)

第八十二条(略)

2(略)

3 前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合においては、家庭裁判所は、相手方に対し、申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、申立ての取下げが家事審判の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。

4・5(略)

(家事審判の申立ての取下げの擬制)

第八十三条 家事審判の申立人(第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項の規定により申立ての取下げについて相手方の同意を要する場合にあっては、当事者双方)が、連続して二回、呼出しを受けた家事審判の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた家事審判の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、家庭裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。

(管理人の改任等)

第百四十六条(略)

2家庭裁判所は、民法第二十五条第一項の規定により選任し、又は同法第二十六条の規定により改任した管理人及び前項の規定により改任した管理人(第四項及び第六項、次条並びに第百四十七条において「家庭裁判所が選任した管理人」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。同法第二十七条第二項の場合においては、不在者が置いた管理人に対しても、同様とする。

3(略)

4 家庭裁判所は、管理人(家庭裁判所が選任した管理人及び不在者が置いた管理人をいう。次項及び第百四十七条において同じ。)に対し、その提供した担保の増減、変更又は免除を命ずることができる。

5・6(略)

(供託等)

第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

(処分の取消し)

第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。

第十二節の二

相続財産の保存に関する処分の審判事件

第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。

(申立ての取下げの制限)

第百九十九条(略)

2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

第二百一条 相続の承認及び放棄に関する審判事件(別表第一の九十の項から九十五の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

2(略)

3 家庭裁判所(抗告裁判所が限定承認の申述を受理した場合にあっては、その裁判所)は、相続人が数人ある場合において、限定承認の申述を受理したときは、職権で、民法第九百三十六条第一項の規定により相続財産の清算人を選任しなければならない。

4~9(略)

(管轄)

第二百三条

次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。

一 相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件相続が開始した地を管轄する家庭裁判所

二 相続人の不存在の場合における鑑定人の選任の審判事件(別表第一の百の項の事項についての審判事件をいう。)相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件において相続財産の清算人の選任の審判をした家庭裁判所

三(略)

(特別縁故者に対する相続財産の分与の審判)

第二百四条 特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判は、民法第九百五十二条第二項の期間の満了後三月を経過した後にしなければならない。

2(略)

(意見の聴取)

第二百五条 家庭裁判所は、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てについての審判をする場合には、民法第九百五十二条第一項の規定により選任し、又は第二百八条において準用する第百二十五条第一項の規定により改任した相続財産の清算人(次条及び第二百七条において単に「相続財産の清算人」という。)の意見を聴かなければならない。

(即時抗告)

第二百六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。

一 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判申立人及び相続財産の清算人

二(略)

2 第二百四条第二項の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人又は相続財産の清算人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。

(相続財産の換価を命ずる裁判)

第二百七条 第百九十四条第一項、第二項本文、第三項から第五項まで及び第七項の規定は、特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件について準用する。この場合において、同条第一項及び第七項中「相続人」とあり、並びに同条第二項中「相続人の意見を聴き、相続人」とあるのは「相続財産の清算人」と、同条第三項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人若しくは相続財産の清算人」と、同条第四項中「当事者」とあるのは「申立人」と、同条第五項中「相続人」とあるのは「特別縁故者に対する相続財産の分与の申立人及び相続財産の清算人」と読み替えるものとする。

(管理者の改任等に関する規定の準用)

第二百八条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。

(家事調停の申立ての取下げ)

第二百七十三条 家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。

2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

3 第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、家事調停の申立ての取下げについて準用する。この場合において、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは「家事調停の手続の期日」と読み替えるものとする。

別表第一(略)

事項

根拠となる法律の規定

(略)

相続財産の保存

八十九

相続財産の保存に関する処分

民法第八百九十七条の二第一項及び第二項

相続の承認及び放棄

九十

相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長

民法第九百十五条第一項ただし書

(略)

九十四

限定承認を受理した場合における相続財産の清算人の選任

民法第九百三十六条第一項

(略)

九十九

相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分

民法第九百五十二条及び第九百五十三条

百一

特別縁故者に対する相続財産の分与

民法第九百五十八条の二第一項

(略)

別表第二(略)

事項

根拠となる法律の規定

(略)

十三

遺産の分割の禁止

民法第九百八条第四項及び第五項

(略)

(不動産登記法の準用)

第八条 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第七条から第十一条まで、第十三条、第十六条第一項、第十八条、第二十四条、第二十五条第一号から第九号まで及び第十二号、第六十七条第一項から第三項まで、第七十一条、第百十九条(第六項を除く。)、第百二十一条第三項から第五項まで、第百五十三条から第百五十六条まで、第百五十七条第一項から第三項まで、第五項及び第六項並びに第百五十八条の規定は、夫婦財産契約に関する登記について準用する。この場合において、同法第十八条中「政令」とあるのは、「法務省令」と読み替えるものとする。

附 則

  (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第二条中不動産登記法第百三十一条第五項の改正規定及び附則第三十四条の規定 公布の日

 二 第二条中不動産登記法の目次の改正規定、同法第十六条第二項の改正規定、同法第四章第三節第二款中第七十四条の前に一条を加える改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の二及び第七十六条の三に係る部分に限る。)、同法第百十九条の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)並びに附則第五条第四項から第六項まで、第六条、第二十二条及び第二十三条の規定 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日

 三 第二条中不動産登記法第二十五条第七号の改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の四から第七十六条の六までに係る部分に限る。)、同法第百十九条の次に一条を加える改正規定、同法第百二十条第三項の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分に限る。)並びに附則第五条第七項の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日

 (相続財産の保存に必要な処分に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に第一条の規定による改正前の民法(以下「旧民法」という。)第九百十八条第二項(旧民法第九百二十六条第二項(旧民法第九百三十六条第三項において準用する場合を含む。)及び第九百四十条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分は、施行日以後は、第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第八百九十七条の二の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分とみなす。

2 施行日前に旧民法第九百十八条第二項の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分の請求(施行日前に当該請求に係る審判が確定したものを除く。)は、施行日以後は、新民法第八百九十七条の二の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分の請求とみなす。

 (遺産の分割に関する経過措置)

第三条 新民法第九百四条の三及び第九百八条第二項から第五項までの規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新民法第九百四条の三第一号中「相続開始の時から十年を経過する前」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第24号)の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時まで」と、同条第二号中「十年の期間」とあるのは「十年の期間(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間)」と、新民法第九百八条第二項ただし書、第三項ただし書、第四項ただし書及び第五項ただし書中「相続開始の時から十年」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時」とする。

 (相続財産の清算に関する経過措置)

第四条 施行日前に旧民法第九百三十六条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、施行日以後は、新民法第九百三十六条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

2 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、新民法第九百四十条第一項及び第九百五十三条から第九百五十六条までの規定の適用については、新民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

3 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定によりされた相続財産の管理人の選任の請求(施行日前に当該請求に係る審判が確定したものを除く。)は、施行日以後は、新民法第九百五十二条第一項の規定によりされた相続財産の清算人の選任の請求とみなす。

4 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における当該相続財産の管理人の選任の公告、相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告及び催告、相続債権者及び受遺者に対する弁済並びにその弁済のための相続財産の換価、相続債権者及び受遺者の換価手続への参加、不当な弁済をした相続財産の管理人の責任、相続人の捜索の公告、公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者の権利並びに相続人としての権利を主張する者がない場合における相続人、相続債権者及び受遺者の権利については、なお従前の例による。

5 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における特別縁故者に対する相続財産の分与については、新民法第九百五十八条の二第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)

第五条 第二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。

2 新不動産登記法第七十条第二項の規定は、施行日以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用する。

3 新不動産登記法第百二十一条第二項から第五項までの規定は、施行日以後にされる登記簿の附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた登記簿の附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。

4 第二条の規定(附則第一条第二号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下「第二号新不動産登記法」という。)第七十三条の二の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)以後に登記の申請がされる所有権の登記の登記事項について適用する。

5 登記官は、第二号施行日において現に法人が所有権の登記名義人として記録されている不動産について、法務省令で定めるところにより、職権で、第二号新不動産登記法第七十三条の二第一項第一号に規定する登記事項に関する変更の登記をすることができる。

6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第24号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、「知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。

7 第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下この項において「第三号新不動産登記法」という。)第七十六条の五の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があった場合についても、適用する。この場合において、第三号新不動産登記法第七十六条の五中「所有権の登記名義人の」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第24号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人となった者の」と、「あった日」とあるのは「あった日又は第三号施行日のいずれか遅い日」とする。

 (第三号施行日の前日までの間の読替え)

第六条 第二号施行日から第三号施行日の前日までの間における第二号新不動産登記法第十六条第二項の規定の適用については、同項中「第七十六条の四まで、第七十六条の六」とあるのは、「第七十六条の三まで」とする。

 (家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 第四条の規定による改正後の家事事件手続法(以下この条において「新家事事件手続法」という。)第百九十九条第二項及び第二百七十三条第二項の規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新家事事件手続法第百九十九条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第24号)の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」と、新家事事件手続法第二百七十三条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」とする。

2 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における特別縁故者に対する相続財産の分与の審判については、新家事事件手続法第二百四条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

3 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、新家事事件手続法第二百五条から第二百八条までの規定の適用については、新民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

20220502追記

『登記研究』886号、887号、888号、889号、890号(株)テイハン

法務省民事局総務課長 村松秀樹、法務大臣官房参事官 大谷太、法務省民事局参事官脇村真治、東京地方検察庁検事 川畑憲司、法務省民事局付 芳賀朝哉、法務省民事局付 宮崎文康、東京地方裁判所判事 渡辺みどり、弁護士 小田智典、法務省民事局付 中丸隆之、法務省民事局付 福田宏晃「令和3年民法・不動産登記法等改正及び相続土地国庫帰属法の解説1~5」

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