沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例

沖縄県公文書館

https://www3.archives.pref.okinawa.jp/GRI/histories/1951/?vpage=4

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沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例

1951年4月16日附米國民政府特別布告第4號に基づいて、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例を茲に交付する。

1951年9月28日

沖縄群島知事 平良辰雄

沖縄群島条例第55號

第1條 この条例は、現在所以外の者が占有し、且つ所有者の法律上の承諾もなく保有してゐる土地(以下割当土地という。)について、1951年4月16日附の米國民政府特別布告大4號第2條の規定に基づいて、土地所有者と土地使用者との権利義務に関して臨時の調整を図ることを目的とする。

・戦争が終わった後、成り行きで住んだり畑をしている場所について、調整。

第2條 土地所有者と土地使用者とは、1951年4月1日をもって公共、住居又は農耕を目的とした割当土地の賃貸借の契約を締結したものとみなす。

2 前項の規定は、土地所有者との間に別段の契約の設定があった場合はこの限りではない。

・1951年4月1日から、法律上、土地の所有者と使用者との間に賃貸借契約が成立したことにする。ただ、所有者と使用者が別の決め事をしたときは、その決め事が優先する。

第3條 前條第1項の場合において賃貸借の期間は、左の各號に従わなければならない。

一 建物の所有を目的としているときは、3年

二 耕作その他を目的としているときは、1年6月

2 前項の期間を超える期間の設定は、土地所有者と土地使用者の意思に従う。

3 土地使用者において第1項に定める期間より短い期間の設定を欲するときは、解約しようとする日の三箇月以前に土地所有者に通知しなければならない。

・法律上、賃貸借契約が成立した土地の期間は、目的によって3年、1年6月。この期間を超える場合は、所有者と使用者が決める。

第4条 第2條第1項に基づいて、建物の所有を目的とする土地の場合において、建物が滅失したときは、賃貸借権は消滅する。但し、災害によるときはこの限りではない。

第5條 第2條第1項の場合における土地所有者の請求する賃貸料の額は、市町村賃貸料評定委員會(以下賃貸料評定委員という。)の定める額とする。

2 賃貸料評定委員會に関する規定は、別に布令を以って定める。

・法律上、みなされた土地賃貸借契約の賃貸料は、行政が設置した機関が決める。

第6條 前條第1項に定める賃貸料について、土地所有者と土地使用者との間に協議が調和しないときは申立により、その土地の所在地を管轄する巡回裁判所が鑑定委員會の意見を聴き、その土地に関する一切の事情を斟酌して、これを定める。

・賃貸料に関して揉めているときは、裁判所が決める。

第7條 前條の規定による裁判は、非訟事件手続法によりこれをする。

第8條 鑑定委員會は、3人以上の委員を以って、これを組織する。

2 鑑定委員は各事件について、左の者の中から巡回裁判所がこれを指定する。

一 巡回裁判所が、毎年俶め特別の知識經驗のある者、其の他適當な者の中から選任した者

二 當事者が、合意で選任した者。

第9條 鑑定委員會の決議は委員の過半数の意見による。

第10條 鑑定委員會の評議は秘密とす。

・賃貸料が決まる過程は秘密。

第11條 鑑定委員會に要する申立人の負担とし、その額は、民事訴訟費用法を準用する。

第12條 左に掲かげる事由があるときは、土地所有者はその土地を管轄する巡回裁判所に出訴して土地使用者に対し割當土地の明渡しを請求することができる。

一 土地使用者が土地所有者の承諾なしに、第三者に土地を賃貸し、又は土地の使用権を譲渡し、若くは輿えたとき。

二 米國民政府副長官、又は市町村長によつて割當てられた時に決められた使用目的を変更したとき。

三 土地使用者が現在占有している土地と同様に使用できる土地を他に有するにいたつたとき。

四 土地使用者が割當てられた土地を濫用したとき。

附則

この條例は1951年10月1日から施行する。

沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法

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 立法院の議決した沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法に署名し、ここに公布する。

1955年6月30日 行政主席 比嘉秀平

立法第16号

沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止に伴う措置に関する立法

第1条 この立法は、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例(1951年沖縄群島条例第55号)の廃止に際し、割当土地の所有者とその賃借人との間に生ずべき法律関係を調整することを目的とする。

第2条 1955年6月30日において割当土地の賃借人(以下「賃借人」という。)たる者は、その土地の所有者(以下「土地所有者」という。)に対し、この立法施行の日に建物所有の目的でその土地を賃貸借することを申し出たものとみなす。

2 前項の申出は、他の者の賃借の申出に優先するものとする。

3 土地所有者は、この立法施行の日から二箇月以内に拒絶の意思を表示しないときは、その期間満了のとき、第1項の申出を承諾したものとみなす。

4 土地所有者は、自らの住居に供すべき建物所有の目的でその土地を使用することを必要とする場合、その他正当な事由があるのでなければ第1項の申出を拒絶することができない。

・1955年6月30日に、法律上は、賃借人は建物所有の目的で、土地の所有者に借りる申出を行った。畑は記載なし。

第3条 前条の規定により、賃貸借の成立するまでは、沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例の廃止にかかわらず、従前の賃貸借は、なお消滅しないものとする。

第4条 第2条の規定により設定された賃貸借の存続期間は、これを11年とする。但し、建物がこの期間満了前に朽廃したときは、賃借権はこれによつて消滅する。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

2 賃借権の消滅前建物が滅失したる場合において残存期間をこえて存続すべき建物の築造に対して土地所有者が遅滞なく異議を述べないときは、賃借権は建物滅失の日から起算して11年存続するものとする。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

3 当事者は、前2項の規定にかかわらず、その合意により別段の定をすることができる。但し、存続期間を11年未満とする借地条件はこれを定めないものとみなす。

政65.6.22立法27により、10年から11年に延長

・賃貸借契約の期間は、原則として11年。

第5条 賃借人は、その賃借権の登記又はその建物の登記がなくても、その賃借権をもつてこの立法施行の日から一箇年以内にその土地について権利を取得した第三者に対抗することができる。

・賃借人は既に占有しているので、1か月は他の人に借りる権利を主張することができる。1か月以内に建物の登記することが望ましい。

第6条 第2条の規定により設定された賃貸借において、賃借料の額は、賃借料評定委員会(以下「評定委員会」という。)が行政主席の認可を経て定めるところによる。

政59.1.13立法1府 廃止

第6条 第2条の規定により設定された賃貸権(第4条第2項及び第2項の規定による賃借権を除く。)の存続期間の満了日は、1966年8月31日とする。

第6条の2 前条の規定により満了する賃借権については、これを借地法(大正10年法律第49号)に基づく賃借権とみなし、1966年9月1日から借地法を適用する。

2 第4条第2項又は第3項の規定による賃借権については、これを借地法に基づく賃借権とみなし、それぞれの規定による賃借権の存続期間の満了日の翌日から借地法を適用する。

政66.8.10立法117

・現在の賃貸借契約が終了した場合、借地法が適用される。

第7条 土地所有者は、敷金その他いかなる名目をもつてしても、賃借料三箇月分の額をこえる金額を賃借人に請求してはならない。

第8条 割当土地の存する市町村は、第6条に定める賃借料の額を設定させるために、評定委員会を設置しなければならない。

政66.8.10立法117により取り消し線

2 前項の委員会は、15名をこえない委員よりなるものとし、委員は、市町村長において土地所有者、賃借人及び学識経験者の中から各々同数を議会の承認を経て任命するものとする。

3 市町村長は、前項と同様な方法で補充委員を任命するものとする。

第9条 第1回の評定委員会は、市町村長がこれを招集する。

第10条 評定委員会に会長をおく。

2 前項の会長は、委員が互選するものとする。

第11条 評定委員会は、委員の過半数が出席し、且つ、土地所有者及び賃借人の中から任命された委員が同数出席しなければ会議を開くことができない。但し、会長において出席を催告しても、なお、出席しないときは、この限りではない。

第12条 評定委員会の決議は、出席委員の過半数の意見による。

第13条 評定委員会は、その設置の日から60日以内に割当土地について賃借料の額を定めなければならない。

附則

この立法は、1955年7月1日から施行する。

政65.6.22立法27

附則 この立法は、1965年7月1日から施行する。

・期間を10年から11年に延長する変更は、1965年7月1日から始める。

政66.8.10立法117

この立法は、公布の日から施行する。

・借地法の適用に関する法律は、1966年8月10日から適用。

安次富哲雄「いわゆる割当土地関係から生じた賃借権の無断譲受人に借地法第一〇条の買取請求権を認めたのは法令の解釈に誤りがある、とされた事例」

琉球大学学術リポジトリ

https://u-ryukyu.repo.nii.ac.jp/records/2001824

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