旧民法・応急措置法の相続の実務研修メモ

田邊英士司法書士     令和4年3月4日

明治2 版籍奉還

明治5.2.1       戸籍法施行

明治5年式戸籍(壬申戸籍)

明治19.10.16 明治19年式戸籍

明治31.7.16   旧民法施行

明治31年式戸籍

大正4.1.1       ⼤正4年式戸籍

昭和22.5.3     日本国憲法発効

日本国憲法の施⾏に伴う民法の応急的措置に関する法律施行

https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/Detail_F0000000000000044631

昭和23.1.1     新民法施行

戸籍法(新戸籍法)施⾏

1953.11.16 戸籍整備法制定(沖縄における戸籍再製手続き開始)

1957.1.1     新民法・新戸籍法の施⾏

1945      ニミッツ布告

https://www3.archives.pref.okinawa.jp/GRI/ryukyu_documents/%E5%B8%83%E5%91%8A%E3%83%BB%E5%B8%83%E4%BB%A4%E3%83%BB%E6%8C%87%E4%BB%A4%E7%AD%89%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89%E6%B2%96%E7%B8%84%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E3%81%AE%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A/

S20.8.15      終戦の詔書

昭和37.7.1     改正⺠法施⾏

S47.5.15     沖縄返還

昭和56.1.1     ⺠法改正施⾏

法定相続分改正

兄弟姉妹の代襲相続人はその子まで

平成13.7.1     平成25.9.4最高裁判決の基準日

平成25.9.4     最高裁判所大法廷判決(相続分)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=83520

平成25.12.11 ⺠法改正施⾏

「ニミッツ布告により、1945年7⽉1⽇現在の⽇本法の効⼒持続が宣⾔され」たため、「本⼟の新⺠法、新戸籍法は沖縄には適⽤がないものであった」(横浜国際科学研究第11巻第3号12(360)頁

沖縄における戸籍の経緯

■第⼆次世界⼤戦によりほとんどの戸籍が焼失等

 現存しているものもあったようだが、公式には滅失公告(1954年3⽉9⽇)によりすべて焼失したものとして取り扱うこととなった

■     昭和21年9⽉19⽇臨時戸籍取扱要綱が通達臨時戸籍を編製

⼀戸ごとに現住する者のみを編成する「配給台帳というような性格」

■     戸籍整備法が施⾏(1954年3⽉1⽇)

原則として、旧戸籍法(⼤正4年式戸籍)に基づいた再製

■     新戸籍法施⾏(1957年1⽉1⽇)

新戸籍法に基づいた(昭和21年式)戸籍の再製・整備

■     「沖縄の復帰に伴う法務省関係法令の適⽤の特別処置などに関する政令」沖縄の戸籍法による戸籍は、戸籍法による戸籍とみなす

(参考)並列して、福岡法務局内の沖縄関係戸籍事務所においても沖縄の戸籍が

(⼀部)編製されていた

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347CO0000000095

注意)S37の⺠法改正について、別途沖縄で対応がされていない場合、  上記のように昭和37年改正についても適⽤にタイムラグが⽣じる?

日本法令と沖縄法令のズレ

■     新⺠法の施⾏時期

日本   昭和23年1⽉1⽇  

沖縄   昭和32年1⽉1⽇⇒9か年のズレ

ズレた9か年の間、本⼟では共同相続、沖縄では家督相続

問題1(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、沖縄に居住、不動産が沖縄。

相続⼈が東京に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   沖縄の法律に基づく家督相続が発⽣する。

問題2(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、沖縄に居住、不動産が沖縄県外。

相続⼈が東京に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   被相続⼈の住所が沖縄であれば、相続⼈の住所・不動産の所在地に関わらず沖縄の法律に基づく家督相続が発⽣する。

問題3(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、本⼟に居住、不動産が沖縄にあります。

相続⼈が東京またはその他に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   本⼟の法律に基づく共同相続が発⽣する。

  •  被相続人の住所により、家督相続か共同相続かが決定する。

不動産所在地、相続⼈の住所地には左右されない。

久⾙良順「戦後沖縄における法体系の整備ー登記簿・⼾籍簿を含めてー」

沖大法学9号(1990年3⽉)105〜106頁

 ⽴法者の意図は上記だが、上記と相違する下級審判決がいくつかあるので、注意を要する(⿅児島地判s30.10.28家月17巻11号109頁、横浜地判s47.10.17判時694号83頁、福岡高那覇支判s56.2.27⾦融・商事判例638号6頁。)。

奄美諸島などは、日本に復帰した⽇時を以って新⺠法が適⽤される。

旧法における家督相続

■     家督相続とは戸主の法律上の地位の承継と財産の承継

■     家督を相続する者は、前戸主の家⻑としての⾝分、所有財産、祭祀(トートーメーを含む)をすべて受け継ぐ。

■     家督相続をするのは1名に限定

家督相続が開始する原因(旧⺠964)と登記原因

■     登記原因はいずれも「年⽉⽇家督相続」

旧法における家督相続

家督相続が開始する原因の開始時期

1 戸主が死亡した場合はその死亡の⽇。 失踪宣告の場合は死亡と⾒なされた⽇。

2 隠居は届出⽇(旧⺠757、旧戸115)

3 国籍喪失は国籍喪失日(旧国籍18乃至22)

4 婚姻⼜は養⼦縁組の取消により戸主が家を去ったときは裁判確定⽇

5 入夫婚姻は届出⽇(旧⺠775、旧戸100)

6 入夫戸主の協議離婚は届出⽇(旧⺠810、775、旧戸104)

7 入夫戸主の裁判離婚は判決確定⽇

家督相続の原因

■     隠居

 戸主が、⽣前に⾃らの意思で戸主の⾝分を退いて、その戸主権を新たな戸主に承継させる⾏為。財産留保が可能。戸主はその家の家族となる

■     国籍喪失

1.     戸主が国籍を喪失すると戸籍に属することができなくなるので、その家における戸主権も喪失

2.     家には戸主が必要なので家督相続が発⽣。

3.     新戸主は、戸主権と系譜、祭具及び墳墓の所有権は承継するが、原則として財産は承継せず、外国⼈となった前戸主がなお継続して所有

4.     但し、国籍喪失により享有できなく場合(外国人が土地所有権を保有できない等)はその権利を他に譲渡しなかったとき、その権利は家督相続⼈に帰属

「基礎から始める旧⺠法相続に関する法律と実務 p244」

家督相続の原因

■     入夫婚姻(旧⺠736、旧戸100)

1.     ⼥戸主との婚姻と共に夫がその家に⼊ること。

2.     原則として、夫が⼥戸主の家に⼊ると⼊夫が新たな戸主となり、⼥戸主から入夫への家督相続が開始する。

3.     但し、当事者が婚姻届の際に⼊夫が戸主になることを届け出なかった場 合には、夫は家族となり妻は⼥戸主のままとなり家督相続は開始しない。

4.     ⼥戸主であったものは、財産留保が可能

家督相続人の特定

■     戸籍に、戸主の死亡か隠居か⼊夫婚姻かなど、家督相続の原因とその⽇付並びに次の戸主が誰になったかが記載

■     これにより、家督相続人及び登記原因日を特定することができる(家督相続により新たに編成された戸籍により、前戸主と新戸主を確認。)。

次の戸主が事項欄等に記載されていない場合

■     家督相続⼈が誰なのかを法律上の解釈から判断する必要があり

■     戸籍に家督相続の届出がないまま除籍となっている事例では、家督相続の旨の記載がなくとも、その子が当然に旧法中に家督相続人になっていたと認定

家督相続⼈の不選定の場合

家督相続⼈の不選定(と判定するケース)

■     絶家の記載および「区裁判所の許可により絶家」の記載が戸籍にある

■     被相続⼈が死亡時に、同じ⼾籍に⽣存している直系卑属、配偶者、兄弟姉妹、甥姪以下の直系卑属、直系尊属がいるが、次の家督相続人の記載がない。

⇒家督相続⼈不選定の状態が新⺠法施⾏まで継続すると新⺠法が適⽤(新⺠法附則第25条第2項(沖縄は第23条第2項)により新⺠法が適⽤。)。⼊夫婚姻の取消、⼊夫離婚⼜は養⼦縁組の取消の場合を除く。

■     平成29年11⽉9⽇に⼭形地⽅法務局と⼭形県司法書⼠会による登記事務打合会の中、⼭形地⽅法務局回答

「(被選定者のない旨の)証明書は先例上必要とされているものではないが、⼭形局管内では、実務上の取扱いとしても、本件証明書を求めないことで周知する。」

旧⺠法における遺産相続

遺産相続

■     家族(戸主以外)が死亡することにより、その者の財産上の地位を⼀定の者に法律上当然に承継させる制度

遺産相続となる財産

■     家族が自己の名において得た特有財産

■     隠居した戸主が留保した財産(旧民988)

■     ⼥戸主が入夫婚姻した際に留保した財産(旧民988)

遺産相続が開始する原因(旧民992)と登記原因

■     家族の死亡のみ(失踪宣告により死亡とみなされる場合を含む)(旧民992)

■     登記原因は「年⽉⽇遺産相続」

財産留保(旧⺠988)

家督相続、遺産分割のいずれか?

1.     隠居による家督相続の場合、隠居者は⽣存。財産の⼀部を隠居者に留保することを認める(旧民988)。その⽅法は、第三者に対して明らかにするために確定⽇附のある証書ですべき(民施4条から8条)。

2.     留保された財産は、隠居者が隠居中に取得した財産と併せて遺産相続の対象となり、家督相続の対象にはならない。

3.財産留保は、戸籍・登記簿に記載されず、財産留保された財産かは判明しない実務では、原則、留保財産でないものとし、家督相続による相続登記で⾜りる但し、隠居後に取得した財産は遺産分割による相続登記をする。

財産留保の補⾜

■     財産留保の有無は登記官の審査権限に属さない

■     登記原因証明情報の提供が必要なことから、死亡日を原因日付とする(隠居者または⼥戸主名義が戸主当時に取得した財産についての)家督相続以外の相続登記には、当該不動産が留保財産であることの証明が必要

例)確定⽇付のある証書、判決書の正本、相続⼈全員の合意書など

■     家督相続によるときは、留保財産でないことの証明書は不要

結論として、留保財産であることを証する情報がない限り、家督相続による相続登記を申請することで足りると考えられる。

旧⺠法における遺産分割の法定相続⼈と順位

第1順位は直系卑属(旧⺠994)

■     家督相続の場合と異なり、同じ家にいることを必要とせず、他家にいる者も相続人

■     継親⼦関係の継⼦、嫡⺟庶⼦関係においての庶⼦も直系卑属として

同順位

■     第1順位の直系卑属が、相続開始前に死亡し又は相続権を失った場合には、その者に直系卑属がいるときは、その直系卑属が被代襲者と同じ順位で遺産相続人に(旧⺠法995)

注意)旧民法時代に出生した非嫡出子には、⽗⺟の戸籍に記載されないものも あった。実務においては戸籍上判明した限りのこの他はないもとして処理するしかない。

継親⼦・嫡⺟庶⼦(1)

■     継親子関係

その継子との親の配偶者で、子にとり親でない者と子が家を同じくする場合の法定親族関係

■     典型的な継親子関係

婚姻後子どもが生まれ、妻死亡後に再婚時の、後妻と先妻の子どもとの関係

 ⽗の後妻を先妻の⼦から⾒て継⺟(けいぼ)、⺟の後夫を先夫の⼦から⾒て継父(けいふ)、それら継親から⾒て配偶者の⼦を継⼦(けいし)

■     嫡⺟庶⼦関係

 父が認知した非嫡出子(父との関係では庶子)が、その⽗の妻であり庶⼦の⺟でない者とが、家を同じくする場合の両者の関係

継親⼦・嫡⺟庶⼦(2)

■     いずれも親⼦間と同⼀の法律関係が⽣じる

遺産相続に関しては、継親・茶久保に実子、養子がいるときはいずれも同順位の相続人に。

■     ⼀度継親子関係が発⽣した後は、継⼦が婚姻、縁組等で他家に⼊っても継親子関係は消滅しない。継親と継子が家を同じくすることは継親子関係の発生要件だが、存続の要件ではない(明治44.2.14 民刑24 民刑局長回答)。

■     継親子関係・嫡⺟庶子関係は、本⼟では応急措置法施⾏により、沖縄では新⺠法施⾏により、消滅

旧⺠法における遺産分割の法定相続⼈と順位

■     第2順位は配偶者(旧⺠996)

 相続人に直系卑属がいない場合、被相続人の配偶者が遺産相続人に 現⾏法と違い、直系卑属が相続⼈になる場合には配偶者は相続⼈にはならない。

■     第3順位は直系尊属(旧民996)

■     第4順位は戸主(旧民996)

家附の継⼦の新法施⾏後の相続権(新⺠法附則第26条)

■     家附の継⼦:継⼦の中でもその家⽣来の者

例)⼥戸主Aが再婚し、他家のBが⼊夫婚姻で戸主となった場合の、⺟Aと前夫Cの⻑男D

■     応急措置法施⾏(沖縄)新民法施⾏の際における戸主が婚姻又は養子縁組によって他家から入った者である場合には、その家の家附の継⼦は、新法施⾏後に開始する相続に関しては、嫡出である⼦と同⼀の権利義務を有する。

■     応急措置法施⾏中に相続が開始した場合、家附の継子は相続権を喪失。このため、附則第26条1項により、相続人に対する財産の一部の分配請求権を与えることで保護。

家附の継子の新法施⾏後の相続権を認められる要件

■     被相続⼈の死亡が新民法施⾏後であること

■     被相続⼈が、応急措置法の施⾏の際に戸主であった者であること

■     当該戸主であった者が、他家から⼊った(⼊籍した)ものであったこと

■     当該戸主であった者が他家から⼊った事由が、婚姻か養子縁組であったこと

■     相続権を有すべき者は、応急措置法の施⾏時において、当該戸主であったものの継子であったこと

■     当該継⼦は、戸主であった者の家の家附であったこと

■     当該戸主であった者が、応急措置法施⾏後に、婚姻の取消若しくは離婚又は縁組の取消若しくは離縁によって氏を改めていないなこと(新旧⺠法相続キーワード215 p.60。)。

応急措置法施⾏中の相続

■     家制度の廃⽌

1家督相続の廃止

2親⼦関係及び嫡⺟庶⼦関係は効⼒喪失

3家の概念は廃⽌。よって、家を出ても養親⼦関係は継続し相続権あり。

4⼦離縁後の養親及びその⾎族と養親の家に残った養⼦の直系卑属との親族関係は応急措置法施⾏により消滅(昭和28.10.2 福岡高裁決定)

旧⺠法における⽤語(1)

■     去家(きょけ)

旧民法上、家にある者が何らかの原因でその家を去ること。戸籍で⾔えば除籍。

1⽣存配偶者の継親⼦関係の終了

夫婦の⼀⽅が死亡時、⽣存配偶者がその家を去ったとき、継親⼦関係が終了する。

2親の去家による養親⼦関係の終了

 養親が、養家を去った(去家した)ときも、その者及びその実方の血族と養子との親族関係は終了した(夫婦が婚姻し、夫婦が養子と養子縁組をした後、離婚し、妻が復籍すると、妻であった養⺟と養子の養親子関係は終了した)

3親⼦関係の終了の例外

 養子の配偶者、直系卑属⼜はその配偶者は、養子の離縁によっても、当該養子と養家を去らないときは、その者と養親及びその⾎族との親族関係は終了しない。

応急措置法施⾏中の相続

■     家附の継子

相続権を喪失(但し新⺠法附則にて、財産の⼀部の分配請求権は後⽇附与された)

■     兄弟姉妹の相続権が新しく成⽴

■     兄弟姉妹の直系卑属に代襲相続権は認められない

■     兄弟姉妹の相続分の差

 ⽗⺟の双⽅を同じくする者(いわゆる全⾎の兄弟姉妹)と⽗⺟の⼀⽅を同じくする者(いわゆる半血の兄弟姉妹)による相続分について差を設けていない。

新⺠法施⾏後の相続

■ 昭和23年1⽉1⽇、(沖縄)昭和32年1⽉1⽇以降の相続に適⽤

■     応急措置法の規定を取り入れ

1 家制度・家督相続を廃⽌し、遺産相続(単に「相続」と呼称)に⼀本化継親子関係及び嫡母庶子関係は効⼒喪失、去家の概念は廃⽌

2 配偶者相続権の確⽴ (常に配偶者は相続人となる)

3 諸子均等相続制の確⽴

4 祭祀財産の別除

■     応急措置法との相違

1 半血兄弟姉妹の相続分を、全血の兄弟姉妹の相続分の2分の1に

2 兄弟姉妹についての代襲相続の規定の新設(代襲相続が無制限に成⽴)

昭和37年改正

■     全面的な改正には相当の時間を要することから,従来から解釈上疑義があり,実務に混乱をもたらしている問題等について,先⾏して⾒直し

■     代襲相続制度の⾒直し

(1)代襲者は被相続⼈の直系卑属でなければならないと明記(⺠法第887条第2項ただし書)

(2)当時の⺠法第888条第2項を削除し,被代襲者が相続権を失った後に出⽣した⼦や縁組をした養子でも代襲相続することができると明示

■     相続の限定承認・放棄の⾒直し

(1)詐欺,強迫による相続の限定承認・放棄の取消しの⽅法について,家庭裁判所に申述して⾏うことを明記

(2)相続の放棄の効果について,解釈が分かれていたので⺠法第939条全体が改正

■     特別縁故者への分与制度の新設

昭和55年改正

(1)    配偶者の法定相続分の引上げ

従前は,配偶者の法定相続分について,子と相続する場合は3分の1,直系尊属と相続する場合は 2分の1,兄弟姉妹と相続する場合は3分の2とされていたところ,それぞれ2分の1,3分の2,4分の3に引き上げ(⺠法第900条第1号から第3号まで)。

(2)    寄与分制度の新設

(3)    代襲相続制度の⾒直し(兄弟姉妹の代襲相続の制限)

従前は,兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲相続人の範囲について特に制限がなかったところ,兄弟姉妹の⼦(被相続⼈から⾒て甥・姪)までに制限

(4)    遺産分割の基準の⾒直し

遺産分割を⾏う際の基準として,相続⼈について考慮すべき事情の例⽰として「職業」のほかに「年齢」と「⼼⾝の状態及び⽣活の状況」が追加(⺠法第906条)。

(5)    遺留分の⾒直し

配偶者の法定相続分 の引上げに伴い,遺留分が2分の1に統⼀(⺠法第1028条)

旧民法における⽤語(2)

■     絶家(ぜっけ)(旧民764、旧戸144)

戸主を死亡などで失い家督相続が開始したにもかかわらず、家督相続⼈がいないことが確定した場合にその家が断絶すること。家督相続人がいないことが確定したときに絶家となる。廃家が戸主の意思によるものであるのに対し、絶家は、家が法律上及び事実上自然に消滅する。

■     廃家(はいけ)(旧民762、763、旧戸143、26)

1.     「廃家はその家を絶滅させる意思をもってする戸主権の任意の放棄」

2.     廃家は、戸籍法上の届出により成⽴(旧戸143)。それにより法律上の家を消滅させること

3.     廃家者の権利義務はその後も廃家者に属するため、廃家者が持っていた不動産は廃家後も同⼈の所有に属す。よって、廃家者名義の不動産があることが判明したときは、廃家者が死亡したときに戸主か家族かを確認したうえで、家督相続か遺産相続を登記原因として処理

参考文献

■     日司連「【eラーニング】  相続登記のための旧民法・旧戸籍法」 第1部講義資料・第2部講義資料

■     奥山京子「戦後沖縄の法体制と戸籍の変遷(1)」 横浜国際科学研究第11巻第3号12

■     久貝良順「戦後沖縄における法体系の整備ー登記簿・戸籍簿を含めてー」沖大法学9号(1990年3月)

■     末光祐一「事例でわかる戦前・戦後の新旧民法が交差する相続に関する法律と実務」日本加除出版

■     末光祐一「基礎から始める旧民法相続に関する法律と実務」日本加除出版

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