投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

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誤りがあれば、指摘願います。修正します。

・臨時株主総会議事録

 議案として、募集株式(みなし優先株式)発行及び総数引受契約承認の件。

 募集株式の数(会社法199条1項1号)として、当会社普通株式(みなし優先株式)の株数。

 割当方法は、別紙「投資契約書」において割り当て、総数引受契約(会社法205条)により行う。

 議案として、定款一部変更の件。定款附則において優先株式に転換することを予定している株式であることを定める。

・株主名簿

備考欄に、みなし優先株式であることの記載。

・投資契約書

契約書名にみなし優先株式であることを明記。

 定義条項に、みなし優先株式の定義記載。発行会社により一定の要件を満たす優先株式(発行会社の普通株式以外の種類株式をいう。以下同じ。)の発行が行われた場合に、全株主の合意により当該優先株式と同種の優先株式に転換されることを予定している普通株式

本件株式の発行及び取得条項

 本件株式がみなし優先株式に該当する場合には、の記載。普通株式と併せて発行することも想定されているのかなと思いました。

他は、投資契約書(普通株式)と同じ。

みなし優先株式に関する株主間合意書

 みなし優先株主に関する定義がされています。投資契約書で定義されているみなし優先株式を取得した者として、参加契約書とみなし優先株式に関する株主間合意書、当事者一覧及び連絡先にみなし優先株主と記載されている者、とされています。

 新規株主等について、定義がされています。株主間合意書以外の者で、新たに発行会社の株主等になる者、とされています。

 適格株式発行の定義がされています。いくつか要件があります。適格株式発行の要件となる最低調達額は1億円と設定されています。

 適格株式発行の定義がされています。募集株式の発行(会社法199条~)に要件がいくつか追加されています。次回の種類株式による資金調達時を想定した設定になっているようです。

 議決権有、参加型、取得請求権付株式(会社法2条1項18号)、後から発行する優先株式よりもみなし優先株式の払込み価格が低く設定され、みなし優先株主が有利であること。

 主要みなし優先株主の定義がされています。みなし優先株式の議決権総数の過半数を有する1、または2以上のみなし優先株主、とされています。過半数を有する2人以上のみなし優先株主というのがどのような状態なのか、個人Aと法人がみなし優先株主で、法人の代表者兼100%株主が個人Aの場合なのかな、と思いました。

 買取の定義がされています。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059

第八条 3項以外略

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

第2条

優先株式への転換条項です。1項は株式等の発行による資金調達を行うことになった場合のみなし優先株主への通知義務です。

 2項は、発行会社が適格株式発行を行うこととなった場合のみなし優先株主の手続協力義務と発行会社と経営株主がみなし優先株主の代理人となって手続きできることを規定しています。

 3項は、みなし優先株式が優先株式に転換される場合の計算です。みなし優先株式の数を、適格株式発行として発行された優先株式の、定款で定めた残余財産分配額で割った数が優先株式に転換されます。

 4項は、適格株式発行の要件を満たさない株式発行の場合の、主要みなし優先株主の権利に関する規定です。

第3条

 投資関連契約の締結です。適格株式発行がされる場合に、みなし優先株主と発行会社が投資関連契約を締結しているときは、適格株式発行に必要な手続に協力(契約内容変更や破棄。)やする義務があると定められています。

第4条

 株式等の譲渡制限です。譲渡機関は主要みなし優先株主となっています。株式を譲渡しようとする場合、株式の譲渡制限が定められているとき(会社法107条1項1号)、であれば、定款・登記記録上の承認機関とともに、主要みなし優先株主の承認も必要となってきます。譲渡人が経営株主、非経営株主等及びみなし優先株主と会社法上の種類株式とは区別されて限定されているので、登記事項になるのか、私はならないような感触を持ちましたが(会社法108条1項4号)、分かりませんでした。

第5条

 後から新規株主等が生じた場合の規定です。発行会社は、契約当事者という立場に加えて、この契約書でみなし優先株主の代理人として、新規株主等と参加契約を締結する定めとなっています。

 また発行会社以外の他の株主が株式を他の者に譲渡する場合、この契約書に従った契約をすることが条件となっています。

第6条

 発行会社によるみなし優先株式の買取請求権の規定です。株主総会の決議は不要ですが、全部取得条項付株式(会社法108条1項6号)と似たような構造になっているという印象を受けました。

第7条

 発行会社の株主に対する株式売却を、一定の条件が生じた場合に強制する条項です。発行会社の発行済株式総数の3分の2以上を保有する株主(複数名で3分の2以上の保有比率となる場合を含む。)の承諾と、事前通知が条件となっています。

第8条

1項

 経営株主以外の特定の者並びにその者の子会社及び関連会社が、発行会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる発行会社の株式の譲渡が行われた場合の規定です。

1,当該譲渡を行った者のみが発行会社の株主と仮定する。

2,譲渡の対価の層が鵜を残余財産の総額とみなす。

3、定款に定める規定に従って、残余財産の分配を行うことに、みなし優先株主は同意する。

定めになっています。

2項

 発行会社が消滅会社となる合併又は子会社となる株式交換、株式移転又は株式交付(但し、これらの組織再編直前の発行会社の総株主が、存続会社又は完全親会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる場合を除く。について、1項と同じ規定です。

3項

 残余財産の分配が金銭以外の場合の評価方法です。合理的かつ客観的な評価を行うと定められていますが、詳細な方法は分かりませんでした。

4項

 発行会社の事業の全部又は重要部分を第三者に譲渡する事業譲渡、吸収分割、新設分割等を行われる場合、主要みなし優先株主は、発行会社に対して解散請求することが出来ると定められています。

 発行会社に反対する権利はなく、解散及び清算手続きを行うと定められています。

5項

 8条に基づく残余財産の分配や発行会社の解散が行われる場合の、各当事者の手続協力義務が定められています。

6項

みなし規定が2つあります。

1つ目

 みなし優先株式は、適格株式発行のイに該当する募集株式の発行に該当するという定款の定めがあるとみなす規定です。

第1条第6号(イ)②「適格株式発行」とは、以下の条件を全て満たす募集株式の発行をいう。

ア  募集株式の発行による払込金額の合計額が100,000,000円 以上であること

イ  以下の要件を全て満たす優先株式の発行であること

① 議決権を有すること

② 発行会社の解散時に、残余財産から当該株式の払込金額相当額が普通株主に先立って分配され、同分配後の残余財産の分配についても、転換比率を調整のうえ計算した額で普通株式の株主と共に参加する内容の残余財産の分配を受ける権利が規定されていること

③ 取得請求権付株式(当該株式を取得するのと引換えに株主に対して発行会社の普通株式を交付する条項を含むものに限る。)であること

④ 優先株式の1株当たりの払込金額が、みなし優先株式の1株当たりの払込金額よりも高いこと

2つ目

 適格株式発行のイに該当する募集株式の発行より発行された株式については、残余財産の分配について1,優先株主、2、普通株主、3優先株主・普通株主の同順位、の順で受け取る、と定められています。

 また、主要みなし優先株主に権利が与えられています。

主要みなし優先株主は、上の2つのみなし規定に関して疑義があるときに、発行会社に対して、発行会社が発行したみなし優先株式の全てを、適格株式発行の要件を満たす優先株式に転換することを請求できる権利が付与されています。

第9条

 主要みなし優先株主の発行会社に対する、決算情報などの情報提供請求権が規定されています。

第10条

契約の各当事者が表明保証を行う定めです。

第11条

 契約の各当事者が秘密保持義務を負う規定です。

第12条

 契約の各当事者への通知先に関する定めです。

第13条

 他の契約との関連性を定める規定です。2項で、抵触する場合はこの契約が優先することが規定されています。契約日の前後を問わない規定です。

第14条

 費用は、原則として発行会社が負担するという規定です。

第15条

 契約の終了、契約の効力停止の定めです。

第16条

 準拠法は日本法、第一審の管轄は発行会社の本店所在地を管轄する地方裁判所とする定めです。

株式の内容の変更に関する株主全員の合意書・同意書

・株主全員でなくても良い。

・発行会社が代理権構成を取ることも可能であるが、法令、先例通達がないため分からないことが説明されています。・・・みなし優先株主にとって不利になることはないこと、民法108条の規定から可能である可能性が高いと思われます。

参考

中小企業庁

中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報令和4年12月22日更新

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションWG11回令和5年4月11日(火)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230411/startup11_agenda.html

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