信託フォーラム[1]の記事から、気になった部分です。
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そうすると、B銀行としては、執行債権の性質を調査することなく、第三債務者の陳述(民執147条)においては、固有口及び信託口の各預金の存否及び支払の可否を回答することになる。―略―そうすると、B銀行としては、甲信託口及び固有口の双方預金に差押えが及ぶことを前提に、支払にも応ずるほかない。
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私は、債務者乙に対する債務名義なので、信託口預金の存否について回答する必要はないと思いました(存否について回答しないので、支払いの可否も回答しないことになります。)[2]。回答を求める場合には、当事者目録に「乙こと委託者甲、受益者丙の受託者乙」、差押債権目録に「債務者が第三債務者に対し甲信託口名義で有する下記の債権」の記載を追加する必要があると思います。
私は、甲信託口に差押えは及ばないと思います(信託法23条)。その結果B銀行が支払に応じることはないと考えます。
なお執行裁判所と債権者に過度な負担を求めないという運用について全面的に賛成です。
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[1] Vol.14 2020年10月 日本加除出版P71~
[2] 「金融機関の法務対策5000講1巻」2018きんざいP1417