民事信託における損益通算禁止について(契約が1つなら損益通算出来るのか)

家族信託実務ガイド第17号p26日本法令2020から、以下引用です。

―不動産を信託財産とする信託契約を2つに分けた場合、片方の信託契約の財産から生じた年間収支のマイナスをもう一方の信託契約の財産から生じたプラスと通算できないという「損益通算禁止」税務的な取扱いを受けます。-

この文章からすると、複数の不動産について1つの信託契約を締結して信託の設定をすると損益通算は出来る。不動産ごとに信託契約を締結すると、損益通算は出来ない[1]、と私には読めました。

今までの私の理解では、1つの契約でも複数の契約でも、信託財産に属する財産にした不動産については損益通算は出来ない、という理解でした(委託者、受託者、受益者その他信託契約の内容は全て同じとします)。そこで、複数の税理士さんに質問してみました。

回答は、1つの契約の場合は損益通算可能、ということでした。私の理解が間違っていたようです。下の通達の「各組合契約ごと」というところを、「各信託契約ごと」と読めば、そうなるのかなと思います。

ただ、少し疑問です。

税法上の特定受益者に該当するかどうかは、各信託契約ごとに判定する。

受益者等課税信託に規定する受益者の不動産所得の金額の計算は、「各受益者等課税信託ごと」に行う。

複数の受益者等課税信託がある場合は、特定受益者は、「信託財産」とその他の財産に分けて損益計算書を作成する(各信託財産、とは記載されていない)。

内容が同じなのに、契約を1つにすれば損益通算は可能で、契約が不動産ごとなら損益通算は禁止、なのでしょうか。私は不動産に関しては、信託契約を1つにしているので分からないのですが、どうなのか気になります。

租税特別措置法法令解釈通達 国税庁HP

第41条の4の2((特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例))関係

(平17課個2-41、課資3-13、課審4-222)

(複数の組合契約等を締結する者等の組合事業等に係る不動産所得の計算)

41の4の2-1 個人が複数の組合契約(措置法第41条の4の2第2項第1号に規定する組合契約をいう。)を締結している場合の、同条第1項に規定する「特定組合員」に該当するかどうかの判定は、各組合契約ごとに行うことに留意する。

 また、組合事業(同条第2項第2号に規定する組合事業をいう。以下41の4の2-4までにおいて同じ。)又は受益者等課税信託(法第13条第1項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。) (以下「組合事業等」という。)から生ずる不動産所得の金額の計算は、各組合事業等ごとに行うことに留意する。

 なお、措置法第41条の4の2第1項に規定する特定組合員又は特定受益者に該当する個人が、複数の組合事業等に係る不動産所得を有する場合又は不動産所得を生ずべき業務のうち組合事業等に係る不動産所得と組合事業等以外に係る不動産所得を有する場合には、損益計算書又は収支内訳書はそれぞれの不動産所得に係るものの区分ごとに各別に作成するものとする。 (平17課個2-41、課資3-13、課審4-222追加、平19課個2-13、課資3-3、課法9-7、課審4-28改正)


[1] 租税特別措置法(特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例)

第四十一条の四の二 特定組合員(組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。以下この項において同じ。)のうち、組合事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け又は組合事業に係る多額の借財に関する業務の執行の決定に関与し、かつ、当該業務のうち契約を締結するための交渉その他の重要な部分を自ら執行する組合員以外のものをいう。)又は特定受益者(信託の所得税法第十三条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)をいう。)に該当する個人が、平成十八年以後の各年において、組合事業又は信託から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上当該組合事業又は信託による不動産所得の損失の金額として政令で定める金額があるときは、当該損失の金額に相当する金額は、同法第二十六条第二項及び第六十九条第一項の規定その他の所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかつたものとみなす。

2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 組合契約 民法第六百六十七条第一項に規定する組合契約及び投資事業有限責任組合契約に関する法律第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約並びに外国におけるこれらに類する契約(政令で定めるものを含む。)をいう。

二 組合事業 各組合契約に基づいて営まれる事業をいう。

3 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。