「任意後見と家族民事信託の連携」について

「任意後見と家族民事信託の連携」[1]という記事を読んでの感想です。

・受託者が任意後見人を兼ねることについて

信託法8条を根拠として、受託者と任意後見人を兼ねることは可能という考え[2]

・受託者が信託監督人や受益者代理人を兼ねることは出来ない(信託法124条、137条、144条)ことを根拠に、利益相反の関係に立ち、兼ねることは出来ないという考え。

2つの考えを示した後で、著者は、任意後見人の範囲は広く信託財産に含まれない固有財産の管理をはじめ身上監護(身上保護)等であり、当該任意後見人の「職務」が主に受託者の事務と任意後見人の事務を分掌するものであれば、実務上利益相反することは少ないので、就任は可能、としています[3]

 私も同意見です。この際、任意後見人の「職務」をどのように定めるかがポイントだと考えています。任意後見監督人が代理権目録と信託契約書を読んだ際に、どこが自分の仕事なのか、何を監督すれば良いのか、どのような場面で任意後見人の代理をする可能性があるのか、分かる必要があります。この点を、任意後見契約書と信託契約書の両方について、可能な限り明確に、明確に出来ない部分はどちらの契約が優先すると記載が必要だと考えます。


[1] 「市民と法122」遠藤英嗣P62~

[2] 横浜駅西口公証センターHP https://www.yokohama-notary.com/publics/index/21/「任意後見人も、信託の枠組みにおける受託者も、ともに本人又は受益者(両制度を併用する場合、当然ながら同一人物ですので、以下単に「本人」と言います)に対し、善管注意義務等を負って、本人の財産を管理・処分する立場にありますので、任意後見人と受託者の立場に矛盾はありません。受益権行使などの場面では、具体的状況や契約内容によって利益相反などの問題が浮上することは考えられますが、任意後見監督人、受益者代理人などのツールを活用することによって有効・適切に対処することができるでしょう。」

[3] 遠藤英嗣「全訂 新しい家族信託契約」2019日本加除出版P171