信託口口座開設(拒否)

信託公正証書作成日の前日、信託口口座を開設予定の金融機関から口座開設を拒否されました。

初めてのことだったので、驚きというか疑問というか、こんな事もあり得るんだという貴重な経験でした。

民事信託・家族信託専用の信託口口座を作成する際、一般的に次の手順を踏みます。
1   信託契約(設定)書(案)を公証人役場へ送信して、公正証書作成日の予約を取る。
2   信託契約(設定)書(案)の内容がほぼ確定してきたら、公正証書作成予定日の2週間~1カ月前に口座を開設する予定の金融機関に信託契約(設定)書(案)を送信して、金融機関にとって不都合なことがないか調整を行う。
公正証書作成予定日を記載して、予定日までに調整が終わるようにする。
3   公正証書作成後、金融機関の窓口で口座開設の手続きを行う。

今回の信託は、次のようなものです。[1]

 1   自己信託(委託者兼受託者は父親、受益者は子)
 2   目的は暦年贈与(自己信託を設定し、信託口口座を利用して暦年贈与を行う。申告は毎年するが、贈与契約書の作成が不要となる。)

金融機関の支店担当者から本店からの指示として、口座開設拒否の理由をききました。
(1)当行の家族信託では、事業承継と認知症対策のみ対応している。
(2)当行をメインバンクとしているお客様のみ対応している

2つの条件を満たさない限り、口座開設は不可能という説明でした。

反論しても覆ることはないので諦めましたが、私に説明した支店の担当者も説明していて理屈が合わないと感じたのではないでしょうか。

もし何も感じていなかったら、金融機関って独特な世界だなと思います。

  • (1)については、今回の信託も認知症対策であること。受託者が認知症などになった場合は、母を次の受託者に指定しています。
  • (2)については、新規の顧客は不要という金融機関は聞いたことがない。

自己信託についても、同じ金融機関で担保付不動産を自己信託設定し、信託口口座を作成していました。

金融機関からの連絡後、公証人役場の予定キャンセル、依頼者への説明などを行いました。


[1] 参考として、『実践 一般社団法人・信託活用ハンドブック』2019清文社P182~

自己信託と残余財産の受益者

規制改革ホットライン検討要請項目の現状と対応策

受付番号 301014001

受付日 平成30年10月14日

所管省庁への検討要請日 平成30年11月16日

内閣府での回答取りまとめ日 平成30年12月18日

・提案事項

自己信託の受益者について

・提案の具体的内容等

自己信託の設定(信託法3条1項3号)において、委託者兼当初受託者(以下、「設 定者」と記載します。)が当初受益者を兼ねていても、残余財産の受益者(信託法18 2条1項1号)又は後順位の受益者が定められている場合、自己信託の設定は有効 であることを確認させていただきたいと思います。

専門家及び公証人の間において、信託法8条、163条1項2号を根拠として不可能であるという声があります。 特に公証人から拒否されてしまうと、自己信託の効力が発生しない(信託法3条1項 3号)ので支障があります。

・想定される経済的又は社会的な効果

  • 設定者が個人(父)の場合、自身が管理できる間は受託者として管理して、当初受益者として利益も得ます。設定者が認知症になったら、又は○○歳になったら予め定めておいた後任の受託者(長男)に変更し、設定者死亡によって、残余財産の 受益者(長男)に財産が帰属させたい、という社会的ニーズがあります。
  •  経済的効果として、中小企業の事業承継について、オーナー(代表取締 役及び100%株主)が事業承継について決められないうちに認知症などの疾患や 相続が起きた場合、事業の混乱や廃業の危険がある事例において、自己信託の活 用により、財産(不動産や預貯金、中小企業の株式)及び事業の凍結予防が挙げられます。 なお、詐害信託など違法行為が許されないことは前提とします。
  • 設定者が法人の場合、設定者が中小企業の株式会社の場合、オーナー株主が自社株式について自己信託を設定し、当初受益者もオーナー株主とします。残余財産の受益者又は後順位の 受益者は、オーナー株主の相続人などとします。その後、オーナー株主が受益権を 一般社団法人に売買契約で移転し、受益者は一般社団法人となります。単に事業承継を行うのではなく、現社長が引退しなくても、子会社又は親会社の社長として経営を行いつつ、株の受益権は一般社団法人に渡しているのでオーナーの相続などに対応することが出来ます。その際は組織再編税制を利用します。早く事業承継をといわれても、一線を退くのには躊躇する経営者のニーズに応えることができます。

・制度の現状

当初受益者を委託者兼受託者自身と指定している自己信託であっても、受益権を事後に第三者に売却又は譲渡することを予定しているものは有効であると解されています。

ただし、自己信託であるか否かにかかわらず、信託は、受託者が専ら自らの利益を図ることを目的としてはならないとされているため(信託法第2条第1項括弧書き及び同法 第8条)、受託者が全受益権を固有財産で取得した状態が1年間継続した場合は、当該信託は終了するとされています(同法第163条第2号)。  

信託が終了した後、信託行為に残余財産受益者が定められている場合は、残余財産 は、当該残余財産受益者に帰属することになります(同法第182条第1項)が、信託行 為に残余財産受益者の定めがあることと、当初受益者を委託者兼受託者自身と指定している自己信託の有効性との関連はないものと考えられます。

・該当法令等

信託法第2条第1項、第8条、第163条第2号、第182条第1項

・対応の分類

事実確認

・対応の概要

自己信託であって当初受益者を委託者兼受託者自身と指定しているものでも、受益権 を事後に第三者に売却又は譲渡することを予定しているものは有効である一方で、受託 者が全受益権を固有財産で取得した状態が1年間継続した場合は、当該信託は終了す るとされています(同法第163条第2号)。ただし、1年間という期間は、受託者が全受益 権を固有財産で取得した状態を解消するための猶予期間という趣旨であるため、このような状態は速やかに解消することが望ましいと考えられます。なお、残余財産受益者の指定があるか否かは、当初受益者を委託者兼受託者自身と指定している自己信託の有効性との関連性はないものと考えられます。

(内閣府HP)

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他の専門家からすると、当たり前なのかもしれません。

私は残余財産の受益者が特定されている場合は、その人も受益者であり、最初の受益者が2名いるのと同じように受益者が2名いる状態である[1]というものでした。

事実確認とされたこと、共益権と始期付き(不確定期限付き)の受益権を持っているだけでは受益者といえないことについて、若干疑問ですが考えを改めます。


[1] 『信託フォーラムvol.6』P127 日本加除出版2016

失敗談・(一社)民事信託推進センターへのzoom,slack導入の企画

(一社)民事信託推進センターの掲示板に下の書き込みをしていました。

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事務局様

いつもお世話になります。

来年度予算にslack,zoomの導入をご検討いただきたいと思います。

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。

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ちなみにzoomは、テレビ会議みたいなもの、slackは、メーリングリストのようなものです。

Zoom  https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

Slack  https://slack.com/intl/ja-jp/

なぜ、こんなことを企画したかというと、zoomがあれば、地方でもライブ参加することが出来るし、チャットで他の会員ともやり取りができる。

講義の後に、質問や議論を会員同士で行う時に、slackを使うことが出来る。掲示板だと、一度事務局が確認して会員全員にメールを送って、返信する会員は掲示板に返信する形になるので、事務局負担が重く、スピードが遅い。

現在470名近くの会員が年2万4000円を払っています。

Zoomとslackの一番セキュリティが厳しく、規模が大きいものを利用しても、月1万円から2万円かなとホームページをみて考えたからです。

掲示板について

この掲示板には、昨年6月から書き込みがあるのですが、誰も返信していない、動いていない掲示板です。

それでも、書き込みに対して返信が来ました。

こんな感じです。少しぼかしています。

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遠方の会員に対するサービス強化の一環として、昨今のテレビ会議や研修等のサービスに関心があります。

現在、まずは無料サービスの範囲で(1回のセミナー等につき1名)これらを試すことができないか、検討しております。

もし、現在、宮城様がZOOm等の会員(契約者)であれば、当方のPCに講演開始前にURLを送信いただければ、当方がPC等にて撮影した講演会等動画をライブで配信できますが、如何でしょうか?

また、今後、今年や来年に、センターがセミナー等をライブ動画配信することとなった場合、宮城様は動画を視聴する会議室等を確保し、沖縄のセンター会員等を多数招いて、一緒にライブ動画を視聴していただけますでしょうか。

(センターとしては、受信する側の事務負担がかなり重いと思っておりまして、そのため、現在導入を躊躇しております)

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すぐに返信しました。

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承知しました。来週契約して、契約後報告致します。

承知しました。やります。

どうぞよろしくお願い致します。

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でも、そんなに上手くはいかない。

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宮城様は現在、ZOOM会員ではないと理解いたしました。

動画受送信する場合、ZOOmとの契約手続き等はセンターで行うことになりますので、宮城様が会員になっても当方と動画受送信できないのではないかと思います。(詳細はZOOMに問い合わせないと分かりませんが)

また、センターが契約した場合のユーザーに宮城様を追加することになりますが、その費用(一人当たり1,980万円×12か月)は、センター負担とするには少々重いので、個別に負担していただくのか否か、当方において決めなければならないことがいくつかあります。

来週、理事会がありますので、理事会に諮りたいと思いますが、宮城様は具体的にどの講座等をZOOMで視聴されることを希望されていますか、また、1年間に何回、費用負担はいくらまででしたらお受けいただけますか。

可能な範囲でご連絡いただければ幸いです。

宜しくお願いいたします。

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そして返信 ここから少し嫌な予感が。

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連絡ありがとうございます。

可能な範囲でお答えします。

zoomのアカウントは持っていますが、(管理者側に立つことのできる)契約は現在おこなっていません。

アカウントさえ持っていれば、受信側に立つことは可能だと思います。(経験があるので)

民事信託推進センターが契約した場合、受信者1人当たり1980円ではなく、民事信託推進センターが一ヵ月あたり1980円(ビジネスプラン・受信者100名まで)の負担だと思います。

100名だと間に合わないかもしれないので、ビジネスプラン(受信者300名、管理者10名、月2700円)か、企業向けプラン(zoomと相談ですが、月4000円は超えないのではないかと思います。)の方が良いかもしれません。

具体的にどの講座等をZOOMで視聴したい、というのはあまりありません。

時間が取れるときに、地域に関係なく同時視聴し、slackなどで同時または後日に議論を深めることが出来ればと考えています。

1年間に何回かは、時間が許せば全て視聴したいと思います。

費用負担は、私が契約しても良いと思っているので月2000円まで負担します。

どうぞ宜しくお願いいたします。

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そして、この返信

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現在、民事信託推進センターではzoom等の動画配信サービスを利用していませんが、年8回と特別なイベントについてはHP会員専用サイトに動画を掲載していますので、

ライブの視聴を希望されるのでなければ、宮城様のご要望としては事足りるのではないかと思いました。

また、講演会の後日の質問等は講師の都合の関係上、かなり対応は厳しいと思われます。

テーマ別勉強会もその場の意見交換が時間の大半を占めますので、後日視聴には適さないのではないかと思いますが、如何でしょうか。

当方ではもう少し、他の方の意見も聞いて、出来るだけ対応したいと思いますが、会員様の利用方法を具体的に特定していただけると当方も予算や他の会員への周知も含めて

対応しやすいです。

なお、zoomは最低期間1年間の契約を求めますので、年間1回の利用でも、一人当たり1,980万円×12か月が必要になります。

イメージがまとまりましたら、ご意見頂戴できれば幸いです。

宜しくお願いいたします。

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動画アップに3カ月くらいかかることがあるんだよなぁ、と思いつつ、このような文面のメールが来ると、私は下のように返信します。

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いつもお世話になります。

連絡ありがとうございます。

ライブ視聴は希望しています。

講師への質問は希望していません。

テーマ別勉強会は、Slack,zoom上で可能かと思います。

年間1回の利用でも、一人当たり1,980万円×12か月、という部分の根拠が分からないので、教えていただければ幸いです。

管理者1人あたりではないでしょうか。

https://zoom.us/pricing

zoom,slackの企画については、諦めて取り下げます。

ご多忙の中、ありがとうございました。

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ということで失敗談でした!

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