研修「相続法(令和3年改正も含む)の実務~近時の相続法改正と今後の改正の概要~」メモ

全国青年司法書士協議会民法・不動産登記等研究委員会委員長浅野知則

目次

1.自己紹介

2.近時の相続法改正の概要

3.令和3年の民法・不動産登記法改正の概要

4.成人年齢の引き下げ

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)1月13日施行

  • 自筆証書遺言の方式緩和(第968条)
    • 自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成可能。
    • あくまで方式の緩和は財産目録の部分だけで本文を記載する自筆証書は第968条第1項に定める方式を満たす必要がある。

⇒その全文、日付及び氏名を自書するとともに、押印する必要がある。

⇒自筆証書(財産目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して  特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければならない。

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)1月13日施行

  • 自筆証書遺言の方式緩和(第968条)

【実務のポイント】

・その全文、日付及び氏名を自書するとともに、押印する必要があるため、支援できるのは財産目録の作成と本文の内容の案文作成。

・自筆証書(財産目録を含む。)中の加除その他の変更は、改正されていないため、遺言者が文章を間違った場合、加除訂正方法に従って訂正することを遺言者に丁寧に説明する必要。

・この規定が適用されるのは施行日以後に作成された自筆証書遺言のみ。

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示 推定規定)(第903条第4項)
    • 婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは、持戻しの免除の意思表示があったものと推定し、被相続人の意 思を尊重した遺産分割ができるように。
  • 2.近時の相続法改正の概要
  • 2019年(平成31年)7月1日施行配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示 推定規定)(第903条第4項)

【実務のポイント】

・この制度が適用されるのは、施行日以後に夫婦間で居住用不動産の遺贈又は贈与された場合。

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産分割前の払戻し制度の創設等 (第909条の2)
    • 相続された預貯金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも裁判所の判断を経ることなく払戻しが受けられる制度を創設した。
    • 標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で
    • 定める額を限度は現在150万円
    • 上限額は金融機関ごとに定めることとなった。

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産分割前の払戻し制度の創設等(第909条の2)

【実務のポイント】

・この制度を用いて金融機関の窓口で預貯金を払い戻した相続人がいる場合、その後の遺産分割協議の際にその清算を行う必要がありますので、遺産分割協議書の案文作成にあたって注意して下さい。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産分割前の払戻し制度の創設等(第909条の2)

【実務のポイント】

・共同相続人の1人が「被相続人名義のキャッシュカードを用いてATMから預貯金を払い戻した場合」や、「自らが被相続人であると偽って被相続人名義の払戻請求書を作成し、金融機関の窓口で払戻しを受けた場合」は、金融機関はこの制度を利用して払戻しをしたのか分からないためこの制度の適用されないものと考えれます。この場合は民法第906条の2の規定が適用されると考えれます。

・この制度は施行日前に開始した相続についても適用があります。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合 の遺産の範囲 (第906条の2)
    • 相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合に、計算上生ずる不公平を是正する方策を設けた。
    • 共同相続人は、その全員(財産を処分した共同相続人は除く。)の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができるようになった。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲 (第906条の2)

【実務のポイント】

・この規定は、あくまでも遺産分割を行われる場合であることが前提として、処分された財産を遺産とみなすことができるという規定。遺産分割をすることができない場合(遺産分割前に遺産に属する財産が全て処分された場合)には、この規定は適用されない

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合 の遺産の範囲 (第906条の2)

【実務のポイント】

・この規定が適用されるのは、施行日以後に相続が開始した場合のみ

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺言執行者の権限の明確化(第1007条第2項、第1012条~第1015条)
  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有することとなった。
    • 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
    • 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずることとなった。
  • 2019年(平成31年)7月1日施行
  • 遺言執行者の権限の明確化(第1007条第2項、 第1012条~第1015条)

【実務のポイント】

・就任承諾をした場合は速やかに法定相続人に通知すべきと考えます。第1007条の2項のより遺言執行者は法定相続人に対し遅滞なく遺言の内容を通知する義務が明記されたので、就任承諾の通知を長期間発送しなかった等の不作為が、遺言執行者の任務懈怠と評価されるリスクを避けるためです。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺言執行者の権限の明確化(第1007条第2項、 第1012条~第1015条)

【実務のポイント】

・就任承諾の通知には「相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」旨を記載すべきと考えます。相続人が遺言の内容に違反して行為は、判例上絶対的無効ですが、今回の改正で「善意の第三者に対抗することができない」という第三者保護規定が創設されましたので、このような違反行為を抑止する観点からです。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺言執行者の権限の明確化(第1007条第2項、 第1012条~第1015条)

【実務のポイント】

・相続の開始が施行日前であっても、遺言執行者になる時期が施行日以後である場合は適用になります(下記の場合を除きます。)。

・特定財産承継遺言がされた場合における遺言執行者の権限(第1014条第2項~第4項)と遺言執行者の復任権(第1016条)は、遺言書の作成日が施行後以後の場合にのみ適用されます。

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺留分制度に関する見直し(第1046条)
    • 遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている改正前の規律を見直し、遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずるものとしつつ、受遺者等の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払につき裁判所が期限を許与することができるようにした。

2.近時の相続法改正の概要

2019年(平成31年)7月1日施行

  • 遺留分制度に関する見直し(第1046条)

【実務のポイント】

・遺言の作成支援において遺留分権利者がいる場合には、遺留分対策はすべきと考えます。遺留分の金銭債権化により遺留分の権利行使がしやすくなったと考えられるから。

・相続の開始日が施行日以後の相続に関し適用されます。相続の開始日が施行日前の相続については従前のとおり遺留分減殺請求となり、不動産については物権変動が発生することに注意。

2019年(令和元年)7月1日施行

  • 相続の効力等に関する見直し(第899条の2、第9 02条の2)
    • 相続させる旨の遺言等により承継された財産について は、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗すること ができるとされていた改正前の規律を見直し、法定相 続分を超える権利の承継については、対抗要件を備え なければ第三者に対抗することができないようにした。
    • 対抗要件主義が適用されるのは法定相続分を『超えた部分』
    • 「権利」には、不動産、動産に関する所有権等の物件や債権はもとより、株式や著作権など、その権利の譲渡等につき対抗要件主義を採用しているもの全般が含まれる。
  • 2019年(令和元年)7月1日施行
  • 相続の効力等に関する見直し(第899条の2、 第902条の2)
    • 債務について相続分の指定がされた場合、相続債権者(被相続人の債権者)は、各共同相続人に対し、法定相続分に応じてその権利を行使することができることを明確にした。
    • 相続債権者が共同相続人の1人に対して相続債権者が指定相続分に応じた債務の承継を承認した場合には、相続債権者は、その後は指定相続分に応じた権利行使したできないこととなった。

2019年(令和元年)7月1日施行

  • 相続の効力等に関する見直し(第899条の2、 第902条の2)

【実務のポイント】

・相続登記の依頼を受けた場合には速やかに登記手続きが行うことをお薦め致します。遺産分割協議書が既にあ る場合や遺言執行者がなく遺言書の実現のために受遺 者から依頼を受けた場合には、手続きを遅延している 間に相続人の債権者による代位の相続登記が入れられ、差押えの持分登記や仮差押えの持分登記が入れられる と依頼の実現が難しくなり責任問題へと発展すること が想定されるからです。

2019年(令和元年)7月1日施行

  • 相続の効力等に関する見直し(第899条の2、 第902条の2)

【実務のポイント】

・施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による『債権』の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも第899条の2第2項の規定が適用されますが、それ以外の財産の場合は、施行日以後に相続が開始した場合にのみ適用。

・第902条の2の規定は、施行日以後に相続が開始した場合にのみ適用。

2019年(令和元年)7月1日施行

  • 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(第1050条)
    • 相続人以外の被相続人の親族(例えば、相続人の配偶 者)が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)を創設した。
    • 特別の寄与の制度創設に伴い、家庭裁判所における手続規定(管轄等)を設けた。
  • 2020年(令和2年)4月 1日施行
  • 配偶者短期居住権の新設 (第1037条~第10 41条)
    • 配偶者が相続開始の時に遺産に属する建物に居住 していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその居住建物を使用できるようにした。
    • 配偶者が「被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた」ことを成立要件(保護要件)とした。
  • 配偶者は、法律上被相続人と婚姻をしていた配偶者をいい、内縁の配偶者は含まれない。

2020年(令和2年)4月 1日施行

  • 配偶者短期居住権の新設 (第1037条~第10 41条)
    • 居住建物が「被相続人の財産に属した」とは、被相続人が居住建物の所有権又は共有持分を有していたことをいう。
    • 配偶者が「無償で」居住していたとは、居住建物について配偶者と被相続人との間に賃貸借等の契約関係があり、有償で使用していた場合は除かれた。

2020年(令和2年)4月 1日施行

  • 配偶者短期居住権の新設 (第1037条~第10 41条)
    • 「居住していた」とは、生活の本拠として現に居住の用に供していたことをいう。

⇒配偶者が相続開始の時点で入院等のために一時的に被相続人の建物以外に滞在していたとしても、配偶者の家財道具がその建物に存在しており、退院後はそこに帰ることが予定されているなど、被相続人所有の建物が配偶者の生活の本拠としての実態を失っていないと認められる場合には、配偶者はなおその建物に居住していたということができる。

2020年(令和2年)4月 1日施行

  • 配偶者居住権の新設(第1028条~第1036 条)
    • 配偶者の居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を創設し、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができるようにした。
    • 配偶者居住権の成立要件

1 被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと

2 その建物について配偶者に配偶者居住権を取得させる旨    の遺産分割、遺贈又は死因贈与がされたこと

2020年(令和2年)4月 1日施行

  • 配偶者居住権の新設(第1028条~第1036条)
    • 特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)によって  配偶者居住権を取得することはできない。
    • 居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得したに対し、配偶 者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うこととなった。
    • 配偶者居住権が設定された居住建物の固定資産税は配偶者居  住権を取得した配偶者が負担する。しかし、地方税法の規定  から居住建物の所有者が納税義務者となるため、居住建物の  所有者は当該配偶者に対して求償することになる。
  • 2020年(令和2年)4月 1日施行
  • 配偶者居住権の新設(第1028条~第1036 条)

【実務のポイント】

・創設の目的(被相続人の配偶者が被相続人の死亡後にも長期間にわたり生活を継続することから、住み慣れた居住環境での生活を継続するため等)とは、異なる節税目的での活用がされていることを聞いております。制度趣旨を考えて活用するようにしましょう。

2020年(令和2年)4月 1日施行

  • 配偶者居住権の新設(第1028条~第1036 条)

【実務のポイント】

・配偶者居住権及び配偶者短期居住権とも、相続の開始日が施行日以後の場合にのみ適用されます。仮に施行日前に配偶者居住権又は配偶者短期居住権を目的とする遺贈がされた場合には適用されませんので注意して下さい。

2020年(令和2年)7月10日施行

  • 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設
  • 遺言書保管所としてされた法務局は、本局及び支 局とされ、出張所は含まれない。
  • 申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言 者の所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保 管所の遺言書保管官に対して遺言者が自ら出頭し てする。
  • 遺言書保管法により遺言書保管所に保管された自 筆証書遺言は検認が不要となった。

2020年(令和2年)7月10日施行

【実務のポイント】

・自筆証書遺言であることは変わりないので、遺言者が本文を自筆で書けるかどうかは確認。

・保管の申請日にはできるだけ同行。遺言書保管官から質問された場合。

・保管の申請日には必ず遺言書に押印した印鑑は持っていくように。遺言書保管官による確認で誤字等が見つかり加除訂正が必要になる場合がある。

3.令和3年の民法・不動産登記法改正の概要

2023年(令和5年)4月1日施行

  • 財産管理制度の見直し
    • 所有者不明土地・建物の管理制度の創設
      • 個々の所有者不明土地・建物の管理に特化した新たな財産管理制度を創設する。

※ 裁判所が管理命令を発令し、管理人を選任(裁判所の許可があれば売却も可)

⇒ 所有者不明土地・建物の管理を効率化・合理化する。

2023年(令和5年)4月1日施行

  • 財産管理制度の見直し
    • 管理不全土地・建物の管理制度の創設
      • 所有者が土地・建物を管理せずこれを放置している ことで他人の権利が侵害されるおそれがある場合に、管理人の選任を可能にする制度を創設する。

⇒管理不全化した土地・建物の適切な管理が可能となる。

2023年(令和5年)4月1日施行

  • 共有制度の見直し
    • 共有物の利用の円滑化を図る仕組みの整備
      • 裁判所の関与の下で、不明共有者等に対して公告等をした上で、残りの共有者の同意で、共有物の変更行為や管理行為を可能にする制度を創設する。
      • 裁判所の関与の下で、不明共有者の持分の価額に相当する額の金銭の供託により、不明共有者の共有持分を取得して不動産の共有関係を解消する仕組みを創設する。

⇒不明共有者がいても、共有物の利用・処分を円滑に進める  ことが可能になる。

2023年(令和5年)4月1日施行

  • 相隣関係規定の見直し
    • ライフラインの設備設置権等の規律の整備
      • ライフラインを自己の土地に引き込むための導管等 の設備を他人の土地に設置する権利を明確化し、隣 地所有者不明状態にも対応できる仕組みも整備する。

⇒ライフラインの引込みを円滑化し、土地の利用を促進する。

2023年(令和5年)4月1日施行

  • 相続制度の見直し
    • 長期間経過後の遺産分割の見直し
      • 相続開始から10年を経過したときは、個別案件ごとに異なる具体的相続分による分割の利益を消滅させ、画一的な法定相続分で簡明に遺産分割を行う仕組みを創設する。

⇒遺産分割長期未了状態の解消を促進する。

2023年(令和5年)4月27日施行

  • 相続土地国庫帰属制度の創設
    • 相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設
    • 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度を創設する。
    • ただし、管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件(詳細は政省令で規定)を設定し、法務大臣が要件を審査する。
  • 2023年(令和5年)4月27日施行
  • 相続土地国庫帰属制度の創設
    • 相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設
    • 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度を創設する。
    • ただし、管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件(詳細は政省令で規定)を設定し、法務大臣が要件を審査する。

2023年(令和5年)4月27日施行

  • 相続土地国庫帰属制度の創設

【要件】

1  対象土地が建物の存していないこと

2 対象土地が担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されていないこと

3 対象土地が通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれていないこと

4 対象土地が土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第2 条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を  超えるものに限る。)により汚染されていないこと

5  対象土地が境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがないこと

6 対象土地が一崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要しないこと

7 対象土地が土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存しないこと

8 対象土地が除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存しないこと

9  対象土地が隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの以外の土地であること

10 対象土地が⑥から⑨に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの以外の土地であること

2024年(令和6年) 4月1日施行

  • 相続登記の申請義務化
    • 不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3  年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける(正当な理由のない申請漏れには過料の罰則あり)。
    • 相続登記の申請義務の実効性を確保するよう、次のような環  境整備策をパッケージで導入する。

    登記の手続的な負担(資料収集等)を軽減

相続人申告登記(仮称)の新設

  • 相続人が、登記名義人の法定相続人である旨を登記所に申し出る。申請義務の履行手段の一つとする。(単独で申告可・添付書面も簡略化)

⇒ 相続登記の申請義務を簡易に履行することが可能になる。

※ 登記官がその者の氏名及び住所等を職権で登記する(持分は登記されない報告的な登記)

  • 相続登記の申請義務化

 登記手続の費用負担を軽減

登録免許税の負担軽減策の導入などを要望

(参考)

R4年度税制改正の大綱において、①相続登記に対する登録  免許税の免税措置の延長・拡充、②改正不登法により創設された職権登記(相続人申告登記、住所等変更登記等)への非  課税措置の導入が決定

  • 相続登記の申請義務化

    登記漏れの防止

所有不動産記録証明制度の新設

・特定の者が名義人となっている不動産の一覧を証明書として発行⇒相続登記が必要な不動産の把握が容易になる。

※自己所有不動産の一般的確認方法としても利用可能

  • 相続登記の申請義務化

    地方公共団体との連携

死亡届の提出者に対する相続登記の必要性に関する周知・啓発を要請など

※地方公共団体の作成する相続発生時に必要な手続のチェックリストに相続登記の申請を追加するよう要請

公布後5年を超えない範囲内で政令で定める日に施行

  • 住所等の変更登記の申請義務化
    • 所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付ける(正当な理由のない申請漏れには過料の罰則あり)。
    • 他の公的機関から取得した情報に基づき、登記官が職権的に変更登記をする新たな方策も導入する。

⇒ 転居や本店移転等に伴う住所等の変更が簡便な手続で登記に反映される。

  • 住所等の変更登記の申請義務化

【自然人の場合】

登記申請の際には、氏名・住所のほか、生年月日等の「検索用情報」の申出を行う。

登記官が、検索用情報等を用いて住民基本台帳ネットワークシステムに対して照会し、所有権の登記名義人の氏名・住所等の異動情報を取得する。

登記官が、取得した情報に基づき、登記名義人に住所等の変更の登記をすることについて確認をとった上で、変更の登記をする(非課税)。

【法人の場合】

    法人が所有権の登記名義人となっている不動産について、会社法人等番号を登記事項に追加する。

    商業・法人登記システムから不動産登記システムに対し、名 称や住所を変更した法人の情報を通知する。

    取得した情報に基づき、登記官が変更の登記をする(非課税)。

  • 登記名義人の死亡等の事実の公示
    • 登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する(符号で表示)。⇒ 登記で登記名義人の死亡の有無の確認が可能になる。
  • 4.成人年齢の引き下げ

2022年(令和4年)4月1日施行

  • 民法第4条

現       行:年齢20歳をもって、成年とする。

施行後:年齢18歳をもって、成年とする。

  • 成年に関する経過措置附則第2条
    • 施行日午前0時に18歳に達していない者(平成16年4月2日以後に生まれた者)

⇒18歳に達した時から成年となる。

  • 施行の際に18歳以上20歳未満の者のうち婚姻によって成年に達したとみなされた者以外の者(平成14年4月2日以降平成16年4月1日以前に生まれた者)

⇒施行日の午前0時に成年となる。

  • 成年に関する経過措置附則第2条
    • 施行の際に20歳に達していた者(平成14年4月1日までに生まれた者)

⇒成年に達した時についてはなお従前の例による

  • 施行日前に婚姻をし、成年に達したものとみなされた者

⇒改正法の施行後も、なお従前の例により当該婚姻の時に成年に達したものとみなす

相続の場面での主な注意点

  • 遺産分割協議における利益相反行為

第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

2      親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を 行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭 裁判所に請求しなければならない。

⇒上記の条文は改正前後で変更なし。

⇒法定相続人に未成年の子がいる場合における遺産分割協議において  未成年の子ごとに特別代理人を選任する必要があり、改正法施行日以 後において未成年の子の判断が変わります。

相続の場面での主な注意点

  • 遺言執行者の欠格事由

第1009条                未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

⇒上記の条文は改正前後で変更なし。

⇒遺言の作成支援において遺言執行者の選任の場面で改正法施行日以  後において未成年者の判断が変わります。

参考文献

  • 一問一答 新しい相続法〔第2版〕

平成30年民法等(相続法)改正、遺言書保管法の解説堂園幹一郎・野口宣大 編著                   商事法務 出版

  • 概説 改正相続法(第2版)

平成30年民法等改正、遺言書保管法制定堂園幹一郎・神吉康二  編著

一般社団法人金融財政事情研究会 出版

  • 民法(相続関係)改正法の概要

潮見佳男 編著                 一般社団法人金融財政事情研究会 出版

  • 一問一答 成年年齢引下げ

笹井朋昭・木村太郎 編著                          商事法務 出版

Adobe Acrobatと、Adobe Acrobat Readerの違い

 今まで、Adobe AcrobatはPDFの作成や編集、電子署名の付与、Adobe Readerは、PDFファイルやPDF形式のwebページを読むためのソフトだとぼんやり考えていましたが、私の理解は違っていたようです。ちなみに、数年前まではアドべと読んでいましたが、アドビが正解のようです。

現在の環境

Windows10

Adobe Acrobat Standard DCのバージョン・・・2015.006.30527

Adobe Acrobat Reader DCのバージョン・・・2021.011.20039

Acrobatのバージョン確認方法

https://www.adobe.com/content/dam/acom/jp/promotions/acrobat/discount15/Acrobat_EOS_version_check_detail_L.pdf

Acrobat、Adobe Reader の違いは何ですか (Acrobat Family Ver.8/9 機能比較)

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/cpsid_88092.html

Adobe Reader ・・・PDF ファイルの閲覧や印刷を行う。

Acrobat は、Adobe Reader に含まれる機能に加えて、PDFファイルの作成、電子フォームの作成、編集、注釈機能などが付いている。

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*4: 表示および検索のみ可能

*5: 権限付与された文書のみ有効

電子印鑑・電子署名の注5、権限付与された文書のみ有効とは

ACROBAT READER

PDFへの署名

https://helpx.adobe.com/jp/reader/11/using/sign-pdfs.html

ユーザーパスワード、マスターパスワードなどが設定されていないか、パスワードを知っているPDFファイル。

Adobe Acrobatで電子署名を行う場合の、ブラウザ左上

Adobe Acrobat Readerで電子署名を行う場合の、ブラウザ左上

Adobe Acrobat Readerで電子署名を行う過程の断片

第3回不動産IDルール検討会

国土交通省

【第3回不動産IDルール検討会】(令和4年1月28日開催)

資料2 不動産IDルールについて

前回までの議論と同じく、建物の用途別にIDを付与していく。

不動産登記規則(不動産番号)

第九十条 登記官は、法第二十七条第四号の不動産を識別するために必要な事項として、一筆の土地又は一個の建物ごとに番号、記号その他の符号を記録することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

資料3 不動産IDの活用に向けた前提

不動産IDと紐付くデータの対応の真正性を確保するため、IDは正確に入力・登録される必要がある。

不動産IDの活用に向けた前提

• 正確な入力に資するよう、入力する者にとって分かりやすいルールとする。

• 複数のID入力を想定しうる場合は、ユースケースに応じて、予めどのIDを入力するか明確化する。その際、将来的な情報連携も視野に入れて検討する。

ex)土地の所有権付きの住宅の販売の際は、土地のIDと住宅のIDが存在するが、主たる取引対象が住宅であることを踏まえ、住宅のIDを入力。

ex)インフラ情報へのIDの紐付けに当たっては、インフラ設備(メーター等)が、土地に設置される場合は土地のID、住宅に設置される場合は住宅のIDを入力。

不動産IDは、人が入力するように読めます。

これを商業化するサービスが、(一社)不動産テック協会が提供する不動産共通ID等かなと思います。

https://retechjapan.org/common-id/

• 一般向けのポータルサイトでは、基本的に、地番・部屋番号は非表示となっているが、これらを表示する点について、売主・貸主から個人情報保護法上の必要な同意がある場合に、例外的に、町字に加えて、地番・部屋番号を表示しているケースがあり、IDについても、表示する場合には売主・貸主の同意を得る必要がある。

• 個人情報保護法上、売主・貸主の同意があると認められる場合は、不動産IDを一般に表示することは差し支えない。表示によって購入・賃借希望者が詳細な物件情報を調べられる点はメリットとなりうる。

会員向け(=事業者間)の情報提供等にあたっては、現行の不動産取引実務を踏まえつつも、IDの表示によって物件を特定できることで、円滑な取引に資するメリットも踏まえて、取扱の検討が必要。

事業者(宅地建物取引士の他に?)と事業者以外に分かれる。売主・貸主の同意がある場合を除いて、不動産IDのみが事業者以外に表示されない、という理解でいいのか、分かりませんでした。

修繕履歴情報などの調査の負担軽減 価格査定のため、持ち込まれた物件の修繕履歴をすぐ調べたい。重要事項説明のため、維持修繕の実施状況に関する記録の有無を調べたい。

(2) 重要事項説明に関する調査の負担軽減現在、住宅の設計や修繕履歴等を蓄積するサービスがあるが、例えばこうした履歴と不動産IDを連携させることができれば、不動産IDのみで履歴情報を検索することが可能となる。

ある程度の規模の建物を想定しているのかなと思いました。外壁・配管・電気等各種修繕業者が、修繕が終わった後に、ポータルサイトに入って不動産IDに入力するような形を採るのかなと思いましたが、公共インフラや上場企業が建築したマンションなど以外では、負担にならないかなと思いました。

都市計画図面と不動産IDを重ねあわせることができれば、当該不動産にかかる都市計画上の規制をweb上等で検索することも可能となる。

資料5 不動産IDの活用に向けた今後の方向性

幅広い分野でIDと情報の紐付けを行うためには、不動産番号の確認に係る手間・費用を低減していくことが望まれる。

例えば、表題部のみの登記情報が100円位で取得できるようになる、ということなのかなと思いました。

参考資料1 不動産IDに係る個人情報保護規制関係の論点と対応

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ「個人情報と匿名加工情報と仮名加工情報の規制の差異」

参考資料2 地番・不動産番号・住所等のデータの整備・オープン化の状況

国土交通省国土地理院

電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」

https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/jukyo_jusho.html

第2回 不動産 ID ルール検討会 議事概要

日時:令和3年11月10日(水) 10:00~11:30

場所:中央合同庁舎2号館低層棟共用会議室3B(Web 会議併用による開催)

※ 事務局からの資料説明後、構成員からの意見の概要は以下のとおり。

○ID の内容に係るルールについて

・前回の検討会の議論も踏まえ、シンプルにまとまっている。商業用建物等の階層コードについては、「B0」・「0M」・「BM」など、「B」(地下)や「M」(中間階)の符号位置は固定させた方が規則的で良いのではないか。

・ルールは規則性がある方が良い。システムでロジックを組んで処理する場合、間違えが少なくなる。

・ポータルサイト上の物件を調査したところ、部屋番号の特定コードは、4桁で十分と考えられる。

・不動産の類型ごとに7パターンあるルールのうち、どれに該当するかを識別するコードを付けると、より分かりやすいのではないか。

・不動産の類型ごとの識別コードについては、分かりやすい面もあるが、入力の際の確認事項が増えてしまい、現場の負担を考えるとハードルが高い。

・ID を一元的に発番するのではなく、今回のようにルールに則って分散的に発番する場合、ID に間違いが起こりにくいよう、シンプルなルールとする必要がある。

・ID のルールが整備されれば、不動産に関する情報は ID に紐付いて蓄積されることになるため、これ以上 ID自体に情報を上乗せして分かりにくくしない方がよいのではないか。どのような利活用の方法あるかを視野に置きながら、ID のルールを一旦固め、後から用途を広げていくということが大事。

・ID ルールの公表・管理・運用等について、主体や方法を示す必要があるのではないか。

○ID の利用拡大に向けた方策について

・ID の利用促進のため、登記情報の取得コスト低減や無償化、デジタルデータでの提供を検討すべき。

・ID の登録には不動産業者の手間やコストがかかるので、ID の利用拡大のためには ID を登録する側のメリットが必要ではないか。例えば、重要事項説明の調査負担の軽減が実現すれば、ID が普及するインセンティブになる。

・ID への情報紐付けについては、個人情報に留意して検討する必要がある。

・仮に ID を消費者向けに表示することとした場合、所在の特定が容易になる可能性があり、売主のプライバシーが守られるかといった懸念があり、ID の普及にはこの懸念点を払拭する必要がある。

・ID を導入・普及させるためには、可能な限り、現行の実務に沿ってスタートする必要があり、ID を消費者に明示するような運用は、現行の実務から離れ、困難と思われる。

・業界の生産性向上のため、業者間においては ID を表示した上でデータ連携できることが望ましい。また、不動産業者と消費者との情報の非対称性が指摘される中、調べようと思えば近隣等には売買情報がわかることも踏まえると、消費者への正確な情報流通を促進するため、消費者にも ID を表示することが望ましいという考え方もあるのでは。

・消費者保護については個人情報保護法との関係で論理的に考えるべき。ID の導入によりプライバシー保護の面でリスクがあるとの意見があるが、ID の登録と表示は別の問題。デジタルガバメント推進や改正個人情報保護法の動向等の全体の枠組みも踏まえ、ID の利活用促進に向けた検討を進めるべき。また、ID 活用による社会経済全体の観点からみた中長期的メリットについても深掘りした議論が必要。

・インフラ情報に ID を付与する場合、新築の建物表題登記の前にガスや水道が設置されるため、まずは土地ID を付与してから、建物 ID に入れ替える作業が発生する。建物 ID と土地 ID のどちらを正として使用するかなどの取扱いについても検討が必要。

・インターネット上に国土全体のミラーワールドを構築し、あらゆる正確な情報を取得し、安心・安全に取引できる環境を目指すにあたって、建設テックや 3D 都市「PLATEAU(プラトー)」との連携などの検討も必要ではないか。

・事業者のメリットだけでなく、売主・買主や不動産所有者にとってのユースケース・メリットも整理すべき。

(以 上)

講演会「規制改革実施計画から見る司法書士業務の今後~デジタル化社会への対応とその課題~」メモ

「規制改革の取組について」

令和4年1月15日内閣府規制改革推進室  川村尚永参事官 

規制改革推進会議

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/meeting.html

内閣府本府組織令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412CO0000000245

(設置)

第三十一条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本府に、次の審議会等を置く。

規制改革推進会議

税制調査会

規制改革実施計画・・・毎年6月頃閣議決定。今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(骨太の方針)と一緒に。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizai/tousin/010626gaiyou.html

デジタル臨時行政調査会

https://www.digital.go.jp/meeting

「規制改革推進会議デジタルワーキンググループにおける議論」

日本大学法学部 杉本純子教授

規制改革推進会議デジタルワーキング・グループ

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/meeting.html

戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書(第4版)平成24年3月

法務省

https://www.moj.go.jp/content/000103919.pdf

戸籍情報システム標準仕様書 法務省民事局民事第一課

https://www.moj.go.jp/content/001357217.pdf

戸籍法施行規則

https://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/press/040630.html

第四章の二 電子情報処理組織による届出又は申請等の特例

第七十九条の二 戸籍若しくは除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は別表第三に掲げる書面の交付の請求は、市町村長の使用に係る電子計算機と請求をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

② 戸籍法第百十八条第一項の市町村長に対してする別表第四に掲げる届出又は申請(以下「届出等」という。)は、前項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

第七十九条の三 前条第一項の交付の請求又は同条第二項の届出等をする者は、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求書又は届書若しくは申請書に記載すべきこととされている事項に係る情報を市町村長の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。この場合において、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求又は届出等の際に添付し、又は提出すべきこととされている書面等(以下「添付書面等」という。)があるときは、当該添付書面等に代わるべき情報を併せて送信しなければならない。

② 前項に規定する者は、同項の規定により送信する情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。証人を必要とする事件の届出については、当該証人も、前項前段の情報に電子署名を行わなければならない。

③ 第一項後段に規定する添付書面等に代わるべき情報は、作成者(認証を要するものについては、作成者及び認証者)による電子署名が行われたものでなければならない。

④ 前三項の規定により電子署名が行われた情報を送信するときは、当該電子署名に係る電子証明書(当該電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。以下同じ。)であって次の各号のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第三条第一項の規定に基づき作成されたもの

二 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十二条の二第一項及び第三項(これらの規定を他の法律の規定において準用する場合を含む。)の規定に基づき作成されたもの

三 その他市町村長の使用に係る電子計算機から当該電子署名を行った者を確認することができるものであって、前二号に掲げるものに準ずるものとして市町村長が定めるもの

第七十九条の四 戸籍法第四十八条第二項の規定による前条第一項の情報の閲覧は、日本産業規格A列三番の用紙に出力したものを閲覧する方法により行う。

第七十九条の五 別表第五に掲げる書面の交付は、市町村長の使用に係る電子計算機と交付を受ける者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

2 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下「情報通信技術活用法」という。)第七条第一項ただし書に規定する主務省令で定める方式は、電子情報処理組織を使用する方法により前項の書面の交付を受けることを希望する旨の市町村長の定めによるところにより行う届出とする。

第七十九条の六 市町村長は、前条の規定による書面の交付をするときは、第六十六条第一項又は第七十三条第一項各号の証明書に記載すべきこととされている事項に係る情報(第七十三条第一項各号の証明書については、付録第二十九号書式に係る情報を含む。)を、これについて電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書を併せて市町村の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録しなければならない。

第七十九条の七 情報通信技術活用法第六条第四項又は第七条第四項の氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものは、当該署名等をすべき者による電子署名とする。

第七十九条の八 第七十九条の二第二項の届出等は、届出事件の本人の本籍地でしなければならない。ただし、戸籍法第六十一条及び第六十五条に規定する届出は母の本籍地で、同法第百二条の二、第百十条及び第百十一条に規定する届出は新本籍地で、外国人に関する届出は届出人の所在地でしなければならない。

第七十九条の九 第七十九条の二第二項の規定による届出等がされた場合には、第二十五条又は第二十六条の規定による他の市町村長への届書又は申請書の送付は、当該届書又は申請書に係る情報を電子情報処理組織を使用して送信する方法により行う。ただし、当該情報を出力することにより作成した書面を送付することを妨げない。

② 前項ただし書の書面を送付するときは、その記載に接続して付録第三十号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

第七十九条の十 戸籍法第百二十六条の法務省令で定める基準は、次のとおりとする。

一 大学その他の統計の作成又は学術研究を目的とする団体若しくはそれらに属する者の申出に係るものであること。

二 統計の作成又は学術研究が医学の発達その他の公益性が高いと認められる事項を目的とするものであつて、当該統計又は学術研究の内容が公表されること。

三 戸籍、除かれた戸籍又は届書その他市町村長の受理した書類(以下「戸籍等」という。)に記載した事項に係る情報を利用することが統計の作成又は学術研究のために必要不可欠であり、かつ、当該情報の範囲がその目的を達成するために必要な限度を超えないこと。

四 戸籍等に記載した事項に係る情報を提供することにより、戸籍等に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属その他の親族の権利利益が害されるおそれがないと認められること。

第七十九条の十一 戸籍法第百二十六条の規定により戸籍等に記載した事項に係る情報の提供の申出をしようとする者は、当該情報を市町村が保有している場合には、あらかじめ、当該市町村を管轄する法務局又は地方法務局の長(当該法務局又は地方法務局の長が二以上あるときは、その一の長)の承認を得なければならない。

第七十九条の十二 戸籍法第百二十六条の規定による戸籍等に記載した事項に係る情報の提供は、戸籍若しくは除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍等に記載した事項についての証明書を交付することによつて行うものとする。この場合において、戸籍等に記載した事項についての証明書は、付録第三十一号書式によつて作らなければならない。

② 戸籍法第百十九条の規定により戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもつて調製されているときは、これらの謄本、抄本又は証明書に代えて、磁気ディスクをもつて調製された戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部若しくは一部を証明した書面を交付することによつて行うものとする。

③ 第七十三条(同条第一項第三号及び第六号、第二項並びに第三項を除く。)の規定は、前項の書面について準用する。この場合において、前項の書面には、次の各号の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる事項を記載する。

一 戸籍の一部を証明した書面 戸籍に記録されている事項の一部

二 除かれた戸籍の一部を証明した書面 除かれた戸籍に記録されている事項の一部

④ 前項の場合において、第二項の書面は、付録第二十二号様式(第三及び第六を除く。)又は付録第三十二号様式によつて作らなければならない。

⑤ 第三項の場合において、第二項の書面には、市町村長が、その記載に接続して付録第二十三号書式(第三及び第六を除く。)又は付録第三十三号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

戸籍情報連携システム(仮称)のシステム構成(イメージ)

https://www.moj.go.jp/content/001249382.pdf

司法書士業務への影響~デジタル化社会への対応とその課題

隂山克典司法書士

GビズID クイックマニュアル gBizIDプライム編 ver1.6 2021年9月

オンラインで即日作成可能なアカウント

印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を運用センターに郵送し、審査(原則2週間以内)ののち作成される、法人代表者もしくは個人事業主のアカウント

https://gbiz-id.go.jp/top/manual/pdf/QuickManual_Prime.pdf

加工 共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/kyouyushidou.html

○第1回勉強会(令和3 年11 月15 日)

<共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会(第1 回)>

・次第【勉強会資料】

・(資料1-1)共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会委員等名簿

・(資料1-2)共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会設置趣旨

・(資料2-1)共有私道における排水設備の設置等に係る現状について

・(資料2-2)民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について

・(資料3) 勉強会における主な論点等について

・(参考資料1)共有私道における排水設備設置に関する実態調査(第1回)(令和3年1月)集計結果

・(参考資料2)参照条文

共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会

設置趣旨

 共有私道における下水道の排水設備の設置や維持等に関しては、同意を取得すべき共有者の範囲についての関係法令の解釈が必ずしも明確ではなく、慎重を期して私道共有者(以下「共有者」という。)全員の同意を得る運用がされているとの指摘がある。また、下水道管理者たる自治体においては、設備設置主体の土地所有者等から設置届出や助成制度の申請を受ける際に、住民同士のトラブルを防ぐ観点から、共有者の同意確認や所定の確認書類等の提出を求めている場合が多いが、当該手続についても、共有者の所在を把握することが困難な事案への対応をはじめ、運用の改善を求める声がある。

 これらについて、所有者不明土地については、「複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の同意に関する研究報告書~所有者不明私道への対応ガイドライン~(平成 30 年1月、共有私道の保存・管理等に関する事例研究会。以下「ガイドライン」という。)」において、共有私道における排水設備設置等に係る法律の適用関係について一定の整理が示されるとともに、所有者の一部に所在不明の者がある共有私道について、排水設備を設置する際には、必ずしも共有者全員の同意を得る必要がない場合がありうることが示されている。

https://www.zennichi.or.jp/wp-content/uploads/2018/03/765dc2d5a3dfe62f9cc5cb4c6d6dbcb5.pdf

 他方、令和 3 年 1 月に実施した、国土交通省下水道部の実態調査では、依然として全国の約7割の下水道管理者等が、土地所有者等が共有私道に排水設備を設置する場合に、あらかじめ私道共有者全員の同意を得るよう独自の行政手続きを行っており、共有者の転居や死亡等により、当該共有者の同意書が揃わず、排水設備の設置が滞るといった支障がある。また、同意における本人確認の方法についても、印鑑登録証明の添付等を求めているケースがあり、デジタル社会の実現に向けた行政手続きのオンライン化を進めるため、見直しを必要とするところである。

 前述の経緯を踏まえ、共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進及び所有者不明土地の円滑な利用促進等のため、必要な関係手続等の見直しの推進が求められている。そこで、ガイドラインにおける法的整理の結果や各種政府方針等の趣旨を踏まえ、各自治体における共有者の同意手続きや本人確認等の手続きの見直し等に係る取組状況の把握・事例収集や実務における課題等を整理し、併せて、自治体独自の取組に係る法的整理や実例等の把握のため、有識者、法曹、下水道管理者等を含む関係者からなる勉強会を設置することとした。

・(資料2-1)共有私道における排水設備の設置等に係る現状について

下水道法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=333AC0000000079

・(資料2-2)民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について

法務省民事局

民法

第二編物権 第三章所有権 第三節共有(第二百四十九条―第二百六十四条)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(隣地の使用)

第二百九条 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。

一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕

二 境界標の調査又は境界に関する測量

三 第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り

2 前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

3 第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。

4 第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

(継続的給付を受けるための設備の設置権等)

第二百十三条の二 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。

2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

3 第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。

4 第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。

5 第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。

6 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

7 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

第二百十三条の三 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第五項の規定は、適用しない

2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

(竹木の枝の切除及び根の切取り)

第二百三十三条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

三 急迫の事情があるとき。

4 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

民事執行法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=354AC0000000004_20200401_501AC0000000002

(代替執行)

第百七十一条 次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。

一 作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。

二 不作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすべきこと。

2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。

3 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。

4 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、申立てにより、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。

5 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6 第六条第二項の規定は、第一項の規定による決定を執行する場合について準用する。

(共同相続の効力)

第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。

(配偶者による使用)

第千三十八条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。

2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。

3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。

(共有物の管理)

第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。

一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。

3 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。

一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年

二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年

三 建物の賃借権等 三年

四 動産の賃借権等 六箇月

5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

(共有物の管理者)

第二百五十二条の二 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

2 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

3 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。

4 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(裁判による共有物の分割)

第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

一 共有物の現物を分割する方法

二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法

3 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。

(共有物に関する証書)

第二百六十二条 分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。

2 共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。

3 前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。

4 証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。

(所在等不明共有者の持分の譲渡)

第二百六十二条の三 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。

2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。

3 第一項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。

4 前三項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。

(所有者不明土地管理命令)

第二百六十四条の二 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。

2 所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)にある動産(当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

3 所有者不明土地管理命令は、所有者不明土地管理命令が発せられた後に当該所有者不明土地管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

4 裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。

(所有者不明土地管理人の権限)

第二百六十四条の三 前条第四項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。

2 所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。

一 保存行為

二 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

(所有者不明土地等に関する訴えの取扱い)

第二百六十四条の四 所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。

(所有者不明土地管理人の義務)

第二百六十四条の五 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

(所有者不明土地管理人の解任及び辞任)

第二百六十四条の六 所有者不明土地管理人がその任務に違反して所有者不明土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。

2 所有者不明土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

(所有者不明土地管理人の報酬等)

第二百六十四条の七 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

2 所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。

(所有者不明建物管理命令)

第二百六十四条の八 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。

2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。

5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000049_20190601_000000000000000

第三十八条 国の行政機関の長又は地方公共団体の長(次条第五項において「国の行政機関の長等」という。)は、所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所に対し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第二十五条第一項の規定による命令又は同法第九百五十二条第一項の規定による相続財産の管理人の選任の請求をすることができる。

(所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)

第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。

二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。

3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。

5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。

一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判

二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判

三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判

6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。

7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。

8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。

11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。

12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。

13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。

14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

一 所有者不明土地管理命令 利害関係人

二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人

三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人

四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人

15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判

二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判

16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。

民法 第二編物権 第三章所有権 第五節管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令

建物の区分所有等に関する法律

(区分所有者の権利義務等)

第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000027.html

非訟事件の手続の特例)

第三十二条 この法律の規定による非訟事件については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、適用しない。

(相続財産の清算に関する経過措置)

第四条

4 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における当該相続財産の管理人の選任の公告、相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告及び催告、相続債権者及び受遺者に対する弁済並びにその弁済のための相続財産の換価、相続債権者及び受遺者の換価手続への参加、不当な弁済をした相続財産の管理人の責任、相続人の捜索の公告、公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者の権利並びに相続人としての権利を主張する者がない場合における相続人、相続債権者及び受遺者の権利については、なお従前の例による。

(相続の放棄をした者による管理)

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

2 第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。

Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

勉強会における主な論点等について

資料3

1.(論点1)

共有私道における排水設備の設置等に係る行政手続きの実態等について

①排水設備設置から使用開始に係る事務等の流れ

公共下水道工事から排水設備の設置・使用開始までの一般的な手順は下記のとおり

私道共有者による設置協議

:公共における行為

:排水設備設置者における行為

:私道共有者の同意を要するポイント

補助金申請

下水道排水設備指針と解説-2016版-より抜粋したフローを国土交通省で加工

(下水道条例)

(補助金要綱等)

○各ポイントにおいて求められる同意要件等

共同所有型私道 、相互持合型私道

根拠 民法第249条

下水道法第11条

第1項

各自治体の補助金要綱 等 各自治体の下水道条例

同意要件

全員同意不要

(単独設置可)

全員同意不要

☆申請書において共有者の同意を求める 200/331団体(60.4%)

☆申請書において共有者の同意を求める 1,020/1,449団体(70.4%)

申請書類において求める本人確認のための押印等

認印 161/200 (80.5%)

実印 33/200 (16.5%)

印鑑証明 29/200 (14.5%)

①排水設備の設置の判断 ②補助金申請

(※) 制度を有する自治体:331団体/1449団体(22.8%)

③計画確認申請

実体としては①の同意要件によらず、②、③の申請手続で同意要件が設備の円滑な設置に影響 (※令和3年1月国交省実態調査による。)(うち、求める同意の範囲)

不明者除き全員 34/331 (10.3%)

全 員 153/331 (46.2%)(※)(うち、求める同意の範囲)

不明者除き全員 199/1,020 (19.5%)

全 員 737/1,020 (72.3%)

(※)②共有私道に排水設備を設置する際の共有者の同意要件の整理

①共有者同士による排水設備設置の協議

②設備設置に係る補助金申請※補助制度がある場合に限る

③設備設置に係る計画確認申請

民法(第249条)

共有私道に排水設備を設置する際、大きく以下のポイントで共有者の同意形成が求められる。

排水設備設置義務の発生

(参考①) 設備設置に係る計画確認申請に係る申請書の例

〇 自治体によっては、排水設備計画確認申請書において、申請者に対し、

・ 所有者全員の承諾(同意)を求めている

・ 認印の他、実印や印鑑証明等を求めている 例がある。

(新潟県三条市の例)

申請の前に予め申請者により共有者の承諾を得る必要(申請書) (同意書)

○ 三条市下水道条例施行規則

(排水設備等の計画の確認申請書等)

第5条 条例第5条の規定により、排水設備等の計画の確認を受けようとする者は、排水設備等計画確認申請書(様式第3号)に次の書類を添付して工事着手の7日前までに正副2部を市長に提出しなければならない。確認を受けた事項を変更しようとするときも、同様とする。

(1) ~(5)略

(6) 他人の土地又は排水設備を使用するときは、その同意書

新潟県三条市HPより抜粋

添付書類にて関係者の同意書を求める関係者と協議済の同意書

(参考②) 排水設備設置に係る補助金交付申請書の様式例

〇 自治体によっては、排水設備補助金申請書において、申請者に対し、

・ 所有者全員の承諾(同意)を求めている

・ 認印の他、実印や印鑑証明等を求めている 例がある。

2.(論点2)

共有私道における排水設備の設置等に係る自治体独自の取組について

共有私道における排水設備の設置等に係る自治体独自の取組について

排水設備の公共下水道への速やかな接続を促すため、市町村独自の支援制度として、排水設備設置に係る独自の制度等を設けている場合がある

<自治体独自制度の例> ※ :原則 赤枠:独自制度の例

〇 補助金交付申請書の様式

(埼玉県川口市の例)

・川口市私道共同排水設備整備補助金交付要綱

(補助金の交付の申請)

第8条 代表者は、補助金の交付を受けようとするときは、補助対象工事に着手する前に、様式第1号の申請書に次に掲げる書類を添付して管理者に提出しなければならない。

(1)~(9) (略)

〇交付対象、補助金額等の要件

(私道に関する条件)

・私道の道路幅員(道路側溝も含め)が1.8メートル以上かつ、支障なく工事が出来る幅を有すること。

・共同排水設備に接続する建築物が、現に2戸以上あること。

・私道の一端が、公道に接していること。

(施工者に関する条件)

・工事施行者が市税等を滞納していないこと。

・工事施行者が上下水道料金を完納していること。

・工事について、当該私道の所有者全員の承諾を得ていること。

・工事費の負担割合について、工事施行者全員が承諾していること。

・共同排水設備工事が完了した後、速やかにくみ取便所・し尿浄化槽から水洗便所に改造し、共同排水設備に接続すること。

(補助対象経費)

・ 排水設備工事に要する経費

(補助金額)

・ 補助対象工事に要した工事費の10分の8以内

(参考)共有私道における排水設備設置等に係る独自制度の例①(排水設備設置補助)

埼玉県川口市HPより抜粋

〇交付対象、補助金額等の要件

以下のいずれかの場合、区がその工事費の全額を助成

・起点又は終点が公道又は他の私道に接するもの

・区長が特に必要と認めるもの

(参考)共有私道における排水設備設置等に係る独自制度の例②(公共団体による施工委託)

(東京都港区の例)

・港区私道整備に関する条例

(工事)

第三条 区の助成により私道整備をしようとする者は、区長に工事の委託を申請しなければならない。

(助成事業)

第四条 助成事業は、公道に準ずる私道に係る路面の簡易な舗装並びに排水施設の新設及び補修工事を対象とし、申請者の委託に基づいて予算の範囲内で行う。

・港区私道整備に関する条例施行規則

(申請)

第二条 条例第三条の規定により工事の助成を申請しようとする者は、工事委託申請書(第一号様式)及び条例第六条の規定による承諾書(第二号様式)を区長に提出しなければならない。 〇 工事委託申請書の様式

東京都港区HPより抜粋

〇 公共下水道布設申請書の様式

(参考)共有私道における排水設備設置等に係る独自制度の例③(公共下水道の布設)

(〇山口県下関市の例)

・私道における公共下水道布設の取扱基準

(申請)

第4条 私道に公共下水道の布設を希望する者(以下「申請者」という。)は、代表者を定め、公共下水道布設申請書(様式第1号)に次の書類を添付し、申請するものとする。

(1)~(8) (略)

〇布設の要件

・私道に布設する公共下水道を利用する家屋が、2戸以上

・3分の2以上の家屋が、直ちに 排水設備の改造工事を行うことが明らか

・下関市と私道の所有者との間に使用貸借契約が締結できること

・土地に対して地役権、借地権等を有している関係人の承諾が得られること

・私道の所有者が、この基準による公共下水道の布設及び維持管理による私道の使用を承諾していること

・私道の所有者が、私道の所有権を第三者に譲渡し、又は当該土地に制限物権その他の権利を設定する場合は、譲受人その他新たに権利を取得することになる者に、公共下水道布設部分の使用権の存続を受け継がせることについて、私道の所有者から確約が得られること

・私道の使用期間は、使用貸借 契約締結の日から公共下水道敷としての用途を廃止するまでとし、使用料が無償であること

・公共下水道布設後公共下水道布設後は、公共下水道の維持管理に係る費用以外の費用は私道の所有者負担すること

・新たに利用を新たに利用を申し出た者があるときは、正当な理由がない限り接続を拒まないこと

山口県下関市HPより抜粋

3.勉強会におけるテーマ等

① 各論点に係る民間や自治体からの声の例

(論点1)共有私道における排水設備の設置等に係る行政手続について

(論点2)共有私道における排水設備の設置等に係る自治体独自の取組について

数年経過した分譲地では、所在のわからない所有者、相続登記されていない土地等もある。

多数の共有者がある場合には、全員の承諾書の取得に多大な労力と時間を要する。

(宅地建物取引業者)

私道に不明な所有者がいる場合、自治体に報告するための不明者所在等の調査に時間がかかり、通常の手続きに比して数ヶ月設置届出に時間を要することがある。(宅地建物取引業者)

共有私道における排水設備設置に係る補助の同意書類として、実印と印鑑証明が必要なことが速やかな申請の支障となっている。(施設設置義務者の民間事業者)

共有私道における排水設備設置に係る全国の自治体の取組状況(対象要件・補助率)等を知りたい(自治体)

共有私道における排水設備設置に係る自治体独自の取組についての法令解釈を知りたい(自治体)

② 勉強会のテーマ

【テーマ1】

共有私道における排水設備の設置等に係る行政手続の実態・課題整理

【テーマ2】

共有私道における排水設備の設置等に係る自治体独自の取組に係る法的整理・実例把握

・設備設置者による排水設備の設置計画の届出時、補助申請時に設置者に求める共有者の同意状況や確認書類、手続手法等を再整理

・手続きの見直しに慎重とする自治体がある場合、実務上の理由や課題を把握・整理

次のそれぞれの場合について、下水道法において土地所有者の設置義務とされていることに係る各取り組の法的整理を明確にした上で、各自治体における対象要件や補助率等を把握・整理

(1) 自治体が設備設置主体たる土地所有者に対する補助制度を設けるとする制度

(2) 自治体が設備設置主体たる土地所有者に代わり、排水設備や公共下水道を設置するとする制度

(参考) 共有私道における排水設備設置に関する実態調査(第2回)の予定

○ 国土交通省では各種政府方針等を踏まえた共有私道における排水設備の円滑な設置等を促進するため、令和3年1月の第1回調査に続き、本年、第2回の実態調査を実施予定

【実施時期】令和3年11月中旬~12月中旬

【対象】1,449団体(下水道管理者)

【主な調査項目(案)】

1.「共有私道ガイドライン」の認識状況

2.共有私道への排水設備設置届出等について

①設置届出の際に求める同意書における対象者の範囲(全員/所在不明者を除き全員等)

②①の根拠(条例/規則/運用等)

③所在不明の共有者がいる場合の対応

④同意確認書類で求める押印や証明書の状況

⑤手続きの見直し状況や、見直しに慎重とする理由(【慎重とする理由の選択肢例】住民同士のトラブル回避の観点/他インフラとの並びの観点/現状制度で困っていない等)等

3.共有私道への排水設備設置に係る自治体独自の支援制度について

(ⅰ)自治体が排水設備の設置主体たる土地所有者に対する補助制度を設ける事例

(ⅱ)自治体が排水設備の設置主体たる土地所有者に代わり、共有私道に排水設備を設置する事例

(ⅲ)排水設備に代わり自治体が公共下水道を布設する事例について、2.①~⑤の質問に加え、以下を質問予定

①制度の有無、活用実績

②制度が適用される私道の要件 等

③ 今後の予定(案)

〇第1回(令和3年11月15日)

・勉強会設置趣旨について

・民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について

・勉強会における主な論点

・共有私道における排水設備設置に関する実態調査(第2回)案の紹介 等

○第2回(令和4年1月17日(予定))

・自治体における行政手続の簡素化の例・課題/独自手続に係る自治体からの事例紹介

・自治体への第2回実態調査の結果の紹介

・自治体における独自手続に係る法的整理 等

とりまとめ結果を自治体にフィードバックし、自治体における取組推進につなげる

○第3回(令和4年3月頃)

・共有私道における排水設備設置に係る手続きに係る考え方・事例・課題等のとりまとめ

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