渋谷陽一郎「民事信託における「信託の登記」の作法―信託登記の共生主義に見る実体法(信託法)と手続法(不動産登記法)の交錯」

信託フォーラム[1]の記事からです。

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権利移転の登記及び信託の登記申請の留保について

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誌面で取り上げられていないのですが、私が気になったのは、登記申請の留保目的や受託者の権利義務とその法的効果などではなく、留保期間です。

私の場合ですが、信託契約公正証書を作成時に公証センターに同席し、その場で公正証書を預かり、登記申請に必要な書類に署名押印してもらいます。公証センターから帰ってその日に登記申請、間に合わなければ翌日ということになります。当日の朝に登記情報も取るので、不動産売買契約における決済の場面と少し似たような感覚で業務を行っています。

 今まではこの方法でやってきましたが、今後、直ぐに登記申請を行うことが出来ない場合があるかもしれません。

・委託者や受託者が印鑑を忘れた。

・建物が登記されておらず、土地家屋調査士に依頼しているが、信託契約公正証書の作成時点では表示の登記が完了していない(公証センターの予約が、この日しか取れなかった場合)。

その他にも、意図しないイレギュラーな場面が出てくると思います。そして、留保した(登記申請出来なかった)期間が長いと(例えば1か月)、その理由に関わらず、信託の成立・効力・対抗要件に関して受託者または専門家を含めた関係者の責任が問われる場合があるんだろうなと感じます。

ここは個別具体的に判断されると思います。現状で分かりやすいのは、対抗要件でしょうか。

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第10 信託の登記を留保することの法的リスク

―略―第一は、受託者は、信託法上の強行法規である分別管理義務に違反することになり、信託違反、つまり、強行法規違反である信託の違法状態を生じ得る。このような受託者の登記申請義務の履行懈怠の場合、不動産登記法99条の受益者による信託の登記の申請券の代位権行使も可能となろう。

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 この部分を読んで私が思ったのは、場合によっては受託者の支援を行う司法書士(司法書士法3条1項1号に基づきます。)と受益者(委託者まで含むかは信託行為の内容によります。)の支援を行う司法書士を受任段階から分けることで上手くいく場合もあるのかなと感じました。受益者代理人に司法書士が就くということではありません。

 イメージに少し近いのは、不動産売買における買主と売主にそれぞれ登記申請代理人が就く京都方式です。

 信託行為時は、1人でも大丈夫なのかもしれませんが、期中に受益者の利益と受託者の事務がぶつかる場合があるかもしれません。任意後見人、成年後見人などが就いていて、代理権の内容がどのようになっているのかにもよると思いますが、原則はこれらの法定されている人が受益者を支援する方が自然に思われます。

原則に当てはまらない場合、本来受託者を代理して登記申請する予定の司法書士が、受益者を代理して登記申請すると、何かしっくりと来ない感じがするのですが、私だけでしょうか。信託監督人に司法書士が就任(就任予定を含みます。)している場合、その司法書士が司法書士法3条1項1号を根拠として、受益者による代位登記申請を代理する事例はあって良いのかなと感じます。

この方式を採用すると、共同受任(アドバイスをする人と、実際に動く人で受任して、アドバイスする人がお金を多くもらうやつ)や相談料・チェック料をもらって責任0よりも良い形に収まるような気がします。信託契約書は専門家2人が受託者側、委託者(兼受益者?)側の立場で読み合わせ、信託期中は受託者側、受益者側でそれぞれ個別に支援します。揉めそうな場面でクッションが2つあることで紛争に発展する可能性が低くなるような気がします。信託法上の利益相反は別に考えなければいけませんが、司法書士法上の利益相反に該当する事例は少なくなるように思えます。使えそうなケースがあれば、やってみようと思います。


[1] Vol.14 2020年10月日本加除出版P39~

「信託口口座に対する強制執行(試論)」

信託フォーラム[1]の記事から、気になった部分です。

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そうすると、B銀行としては、執行債権の性質を調査することなく、第三債務者の陳述(民執147条)においては、固有口及び信託口の各預金の存否及び支払の可否を回答することになる。―略―そうすると、B銀行としては、甲信託口及び固有口の双方預金に差押えが及ぶことを前提に、支払にも応ずるほかない。

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私は、債務者乙に対する債務名義なので、信託口預金の存否について回答する必要はないと思いました(存否について回答しないので、支払いの可否も回答しないことになります。)[2]。回答を求める場合には、当事者目録に「乙こと委託者甲、受益者丙の受託者乙」、差押債権目録に「債務者が第三債務者に対し甲信託口名義で有する下記の債権」の記載を追加する必要があると思います。

私は、甲信託口に差押えは及ばないと思います(信託法23条)。その結果B銀行が支払に応じることはないと考えます。

なお執行裁判所と債権者に過度な負担を求めないという運用について全面的に賛成です。

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[1] Vol.14 2020年10月 日本加除出版P71~

[2] 「金融機関の法務対策5000講1巻」2018きんざいP1417

「有価証券の信託―法律関係の基礎」

信託フォーラムの記事[1]から、気になった部分です。

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本稿では、今後の議論の前提となる有価証券を信託する場合の法律関係について、株券不発行の非公開会社の株式(以下「非上場株式」という。)を例に取り上げた上で、他の有価証券についても検討を加える。

2 有価証券の信託

  • 譲渡の効力要件等

ア効力発生要件

 信託は、例えば、委託差ýと受託者の信託契約の締結によって効力が発生する(信託法4条1項)。これに対して、有価証券の種類によっては、法律に特別の効力発生要件を付加されている場合があるが、非上場株式では、当事者の合意により譲渡の効力が生じる。

イ株式譲渡の対抗要件

 非上場株式は、前述のとおり、当事者の合意により譲渡の効力が生じるが、会社に対する株式譲渡の対抗要件、会社以外の第三者に対する対抗要件はともに、株主名簿への記載又は記録である。

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株主名簿への記載又は記録、を行うということで省略されているのだと思いますが、譲渡承認機関の承認(株主総会の決議など)が会社に対する株式譲渡の対抗要件として必要だと感じました。


[1] Vol.14 2020年10月日本加除出版P13~

大貫正男「福祉型信託へのニーズと専門職の取組み」

信託フォーラム[1]の記事から、気になった部分です。

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筆者の契約案件はそれほど多くはないが、およそA司法書士に近い経験をしている。受託者となったのは、①委託者の長男、②委託者の妻の甥、③委託者の長女等々である。1件のみ、④信託財産が広範囲にわたっているため一般社団法人を設立し、それを受託者とした事例がある。筆者もA司法書士と同様に、限定された層から受託者を選ぶという実務に疑問を持ち始めた。

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私なら、信託監督人を選任するか、任意後見契約を締結するのかなと感じます。

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第3 「信頼している人」は基準になり得るか

受託者を「信頼できる人」という実務書の解説である。「受託者の能力」、「受託者の義務」、「受託者の選定」等の記述があるものの、それを実際の登場人物たる生身の親族に当てはめようとする試みは少ない。そこで単に「信頼できる人」という甘い基準が一人歩きしている(黙認ないし許容されている)ように思えてならない。

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「信頼している人」というのは、委託者が信頼している人だと思われます。これが甘い基準かといわれると、私はよく分かりません。受託者の能力、受託者の義務、受託者の選定など総合的に判断して委託者が信頼する人(専門家からみても、委託者と同等以上の管理が期待できる)かもしれません。反対に、委託者が候補者を頭の中で思い浮かべた中で、一番ましな人を指して信頼する人、とする場合もあると思います。

「試みは少ない」は、ある程度の数字が出されていないと何もいえないのかなと感じます。

また過度に失敗を恐れる必要はないのかなと感じます。信託協会が発行している「会報信託」の後ろ部分には、顧客からの苦情申し立てが記載されています。信託会社、信託銀行であっても、完璧に業務を遂行しているわけではないことが分かります。

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受益者とのトラブルや相談が少ない理由の一つは、専門職の支援業務の多くは、「民事信託契約書作成業務」が中心な点にある、と推測する。契約書を作成すれば報酬を得て、「委任事務終了」で良いという専門職の広告やセミナーが目につく。本来、契約書の作成は開始にすぎず、その後の存続、受益者の相続発生、終了、清算等の重要性を認識し、長期に渡る財産管理に関与することが重要だが、これを軽視ないし避ける傾向も否定できない。契約書の作成は、成年後見制度の「審判」に相当する端緒にすぎない。信託期間中、さらには終了後の受益者保護、支援、相談の在り方に関心を持つべきである。

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「契約書を作成すれば報酬を得て、「委任事務終了」で良いという専門職の広告やセミナーが目につく。」について、私は個別受任なので、委任契約書で定めておけば、信託契約の作成を支援で委任事務の終了というのは、間違いではないと思います。

ただし、委託者と受託者、その他の関係者は、これで私が最後まで観てくれる、と考えています。私が受任している民事信託案件は現状、全てそうです。

これは報酬の多寡や算定方法に関係がありません。私が入り口となっている場合(紹介などでない場合)、税務や地目変更、分筆の相談なども私に相談が来ることがあります。

 裁判所、法務局その他の第三者からみると、報酬の多寡や算定方法は関係があると想像します。一度公証人から、大手不動産会社と提携している東京の司法書士が、信託契約書の公正証書化の立ち合いだけのために沖縄県に来て、終わったら東京に帰ったと聞きました。これはどのように考えれば良いのか、よく分かりません。

「契約書の作成は、成年後見制度の「審判」に相当する端緒にすぎない。」という箇所はよく分かりませんでした。契約は当事者間の合意による処分証書となります。法定後見制度の審判は、家庭裁判所が事件に対して法令を適用する作用を持つ手続とされます。任意後見制度における審判も同様です。端緒(スタート)という箇所が強調するところなのかもしれません。ただ、信託契約書作成の段階で、原則として直ぐにスタート出来るように作る民事信託と、原則として審判があってから財産を調査して手続きを進める法定後見制度、契約締結から発効まで一定期間が経過する任意後見制度は、少し性質が異なってくるのではないかと思います。

このような書き方だと、記事の最後の信託会社設立が必要、という根拠としては弱いのではないかと感じる人もいるのかなと感じます。

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現在、認定を受けた民事信託士は320名存在するが、実務経験を見ると、数件経験した人と1件も経験をしたことのない人に分かれる。―略―A司法書士とおなじようなためらいが見られるのである。せっかく民事信託士の認定を受けても、その能力を発揮できる環境が用意されていない「宝の持ち腐れ」のような現状を何とか変えなければならない、と切実に願う。

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私は民事信託士の資格を持っていません。A司法書士は、大貫正男司法書士に相談していることから、関東方面で活動しているとしたら、解決は難しくないと思います。大貫正男司法書士をはじめ、関東方面の司法書士が1件の民事信託案件を渡して、支援すればよいことだと思います。ご飯などを奢ってもらえば良いのではないでしょうか。1件経験するのとしないのでは、心理的に変わってきます。他に民事信託士協会、民事信託推進センターが提携している金融機関の業務を回すことも出来ます。あるいは他の業界団体に対する研修に、講師としてベテランの方と一緒に登壇することで仕事を取れることがあると思います。その他にも個別に各民事信託士が開催している、招かれているセミナーに共同で登壇することも考えることが出来ます。


[1] Vol.14 2020年10月 日本加除出版P67~

「居住用マンションの信託に係る諸問題」、海野千宏「賃貸用マンションの信託に係る諸問題―区分所有法等の適用を踏まえて―」

 信託フォーラム[1]の記事から、気になった部分です。あまり関係がないのかもしれませんが、いきなり区分所有法1条などと書いても大丈夫なんだと感じました。マンションを信託財産とする信託契約書を作成したことがないので、区分所有法って何だっけと思ってしまいました。

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  • 管理規約により認められる場合

管理規約において、組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲が「三親等以内の親族」だった場合、委託者(受益者)と受託者が三親等の別居の親族である本事例では、委託者(受益者)は受託者の代理人として総会出席及び議決権行使ができる。またこの場合、少なくとも信託行為において、信託受益権の内容として信託財産に属する居住用マンションに受益者が居住できる旨のみならず、マンション管理組合の組合員たる受託者の代理人として総会出席及び議決権行使ができる旨を、さらに受託者の権限として同代理権を受益者に授与できる旨を定めることが考えられる。

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「マンション管理組合の組合員たる受託者の代理人として総会出席及び議決権行使ができる旨を」は、必要的記載事項かといわれると違うのかなと感じました。

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イ受託者たる法人と役員個人の責任

―略―法人の役員個人が責任を負うのは、原則として受託者たる法人であり、法人の役員個人が責任を負うのは、あくまで「当該法人が行った法令又は信託行為」について悪意又は重大な過失があるとき(同法41条)にすぎない。したがって、本事案において、仮に委託者(受益者)の甥(姪)を役員とする法人が受託者だった場合には、委託者(受益者)の甥(姪)は、居住用マンションの水道管の設置・保存に関する過失がない事例のため、法人としては責任をおうものの、個人としての責任は基本的には負わないことになる。

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「法人としては責任をおうものの、個人としての責任は基本的には負わないことになる。」は、受益者に対してであって、他の人に対しては責任を負うのではないかと思います。

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そこで、これらの場合には、管理会社の指定に関するものに加えて、信託行為に別段の定めとして、免責規定をも定める(信託法35条4項参照)などにより対応すべきであろう。

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別段の定めによって、受託者の責任を加重するか軽減するかは規定を置けますが[2]、免責は出来ないのではないかと思います。


[1] Vol.14 2020.10日本加除出版p54~

[2] 寺本昌広「逐条解説新しい信託法〔補訂版〕」商事法務P142

その他

 

マンション管理組合における役員等の立場と、専有部分所有者としての受託者の利益相反

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何故利益相反?と思いましたが、受託者報酬をもらうと、建て替え決議や売却決議が出来なくなる、という考えがあるようです。場合によっては、信託の終了(信託の目的の達成することができなくなったとき)という考えもあるようです。

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・形式上は、あくまで達成すべき究極目的とは分けて規定し、マンション管理はあく まで受託者の行為指針である、という位置付けである。 イ 懸念点 予防法務としての観点 最も恐れること:受託者の権限外と判断される?

・目的達成不能終了とされる?

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書いたらなるんじゃないかなと感じます。

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 ・信託目的を定めた条項において、マンション管理を中心とした視点で同側面が全面的に強調され、管理組合を主導していくかのようにさえ読める当該条項を前提として、 受託者権限につき、これらが不能となるマンション売却、あるいは、建替え時の建替 組合への売渡等を認める(信託目的により制限されていないと解する)ことは可能なのか。

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書いたらそうなるんじゃないかなと感じます。

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 ・あるいは、この点を可能と明示する受託者信託事務ないし権限条項を別途置くことで仮に可能になるとして、売却等で管理組合の一員でなくなった際や、役員に就任できない場合、信託目的達成不能として信託は終了してしまわないか。

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可能とする、であれば終了しないと感じます。

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 想定される利益相反

 受益者の意向と管理組合の意向の衝突 =受託者の忠実義務と理事の誠実義務の衝突する 

例:受益者の反対する決議事項に対して、理事として執行を行うケース

区分所有者の立場と役員としての立場の衝突

専有部分と共用部分の調整。

例:役員として、区分所有法 17 条 1 項における共用部分の変更の手続きを進め、決議さ れたにも関らず、同条 2 項における専有部分の所有者の承諾を拒否できるのか。 

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信託は関係ないのではないかと感じました。

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「マンション管理会社が「日常の管理業務」と「信託契約に基づく信託業務」を同時に行 うため、得てして利益相反が生じます。」 ・・・受託者をだれが担うかという文脈の中での記載である。そもそも、一般的なマンショ ン管理会社は、業法上の問題で受託者となれるケースは多くないため、筆者の意図し ているところがわかりにくい。確かに、マンション管理会社が受託者となった場合は 管理業務の発注先等などについて利益相反が生じるおそれがあると思われる。 

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なぜ利益相反が生じるのか、信託と関係があるのか分かりませんでした。

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 議決権行使段階

受託者が役員として参加する理事会において、総会の目的とした議案がある。この議案に対して、受益者が反対の意向を有している場合、受託者は、反対の議決権行使を行うこ とは可能か?

 可能。 総会決議において、役員の議決権行使を制約する根拠はない。特別利害関係人おいて も特段の制限はない(標準管理規約 46 条。46 条コメント③など)。 

株主総会と比較しても株主が取締役に就任している場合、それを理由として株主総 会での議決権が制限されることはない。 したがって、受益者の意向通りの議決権行使が可能。

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なぜ利益相反何だろう、忠実義務違反になるのだろうと考えました。

理事会の決議についても何故、利益相反、忠実義務違反になるのだろうと感じました。区分所有者と管理組合を何か私が分けられていないのか、話している人が整理されていないのか、分からなかったです。

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そもそも、組合員に対する善管注意義務を負うことが役員選任となる前提である以上、その義務違反を前提とする信託事務の設定はできないと考えるべきではないか(社会通 念上履行不能)。そうであるならば、「受託者は、受益者の意向を実現する目的で理事会で の議決権行使等を行うこと」を信託事務の一内容として信託行為の設定はできず、受益者 の意向と異なる理事会での議決権行使を行ったとしても、一般忠実義務の違反を構成し ない。

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何故ここで疑問を持つのだろうと思い、興味深かったです。

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役員報酬について 

*そもそも論として、役員としての事務処理が信託事務となる場合、権限内行為により得 られた利益として、報酬は信託財産に属する整理が考えれる。一方、委任の対価という 報酬の性質を考えると、組合員側として、受託者固有の働きに対する報酬として払って いるものであり、受益者に帰属させることに違和感がある(働いていないのに給与所 得)。 仮に、報酬が受託者の固有資産に属するもの考える場合、一般忠実義務に抵触する可能性があるものの、通常、総会決議などにより決定されるので、報酬額の決定等について透 明性が確保されるので、問題とならないか。 

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大した話ではない、どうでもよい、というのであれば、やらなければ良いと思います。信託行為で定めなかった場合、役員報酬は固有財産?違うと感じます。

民事信託に関する著書がある税理士に訊いてみました。
Q. 居住用マンションを信託財産に属する財産とした信託において、 個人(例えば子)が受託者に就任し、マンション管理組合の理事に就任した場合で 理事報酬が定められていたとき、報酬は受託者の固有財産に帰属するのでしょうか。それとも信託財産に属する財産に帰属するのでしょうか。? 税務会計処理で問題となる点があれば、指摘願います。
A.
マンションの管理組合の理事が報酬を受け取るということがまずないので、違和感があります。
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研修の題材として扱われていた問題でした。
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居住用マンションといっても、マンション一棟ですか? 一室ですか? 契約はどうなっているのですか。
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マンションの一室です。
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信託契約だったら 信託の収入が何、費用が何とだいたいでも書いてると思いますが、理事報酬みたいなものも信託契約に入っているのですか?それとも信託の受託者になるのと理事報酬がリンクしているのですか? 関係あるなら信託の収入なのかもしれませんが、 理事報酬は、通常は理事が信託とは関係なく個別に管理組合の活動をしているからもらえるものだから、その場合は固有財産の方で、個人的な所得として計算するじゃないのですか。
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信託契約に理事収入は入っていません。
信託の受託者になるのと理事報酬はリンクしていません。
受託者は、信託契約が発効したときに、原則としてマンション管理組合の組合員となります(国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)30条)。
指図権、集会における代理権などは設定していないものとします。
受託者は、信託契約がなければ、マンション管理組合の組合員にもなっていないので、理事にもなっていません。
受託者は、受益者の利益を無視して事務を行うことが出来ません(信託法29条、30条)。
信託法29条、30条の義務は、理事に就任しても適用されます。
マンション管理組合の目的は、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保すること(国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)1条)と考えると、利益相反などが生じる場合もほとんどないと思います。
このように考えると、理事が信託とは関係なく個別に管理組合の活動をしているからもらえるもの、とはいえないのかなと感じたのですが(一度信託財産に入れて、信託報酬としてもらう、でも源泉徴収とかどうするんだろう)、
固有財産の方で、個人的な所得として計算する、ということで納得します。ありがとうございます。

 

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管理組合の役員として選任されることは、信託事務として設定可能なのか? (株式を信託して、取締役になることを信託事務とすることができるのか?)

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何故このような疑問が出るのか、興味深く感じました。

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マンションの区分所有権の管理処分に係る信託契約に際しては、区分所有法との関係 はもとより、個々のマンションの管理組合が定める管理規約等に十分配慮し、オーダーメ イドで、適正かつ的確な信託の組成に努める必要がある。

しかし、これまで、これらマンション法分野と信託法との関係は、必ずしも十分に検討 がなされてきたとは言えないように思う。 現在発表者らは、一般社団法人民事信託推進センターのマンション支援信託推進委員 会の一員として、民事信託をもって、マンションに関する空き家問題、その他高齢化と老朽化の進行により影響を受けるマンションの長期的な管理運営上の問題の解決に資する ことを目的とした、マンション管理支援信託の研究を行っている。

本研究発表も、今後の議論の発展のため、ごく一部の問題を試論として取り上げたに過 ぎず、内容の妥当性も含めて、今後の更なる検討が不可欠であると感じている。 本研究発表が、今後の、区分所有者による民事信託の適切かつ円滑な活用の一助になれ ば幸いである。 

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目的に役員就任・管理組合員になる、を入れるか?標準管理規約、社会問題から。広告として。

入れなくてもよいと思います。

売却したら○○、建て替えのときは○○、という条件を入れることはどう思うか?

信託行為時に確定していない限り、入れない方が良いと思います。

公表しないのに、なぜレコーディングしているのだろう?

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