司法書士による民事信託(設定)支援業務の法的根拠論の目的

 市民と法[1]の記事、金森健一弁護士・駿河台大学特任准教授「司法書士による民事信託(設定)支援業務の法的根拠論の目的」からです。

信託契約書の作成を登記原因証明情報の作成ととらえる司法書士法3条説の難点は、同条により弁護士法72条違反の回避という受任者たる司法書士を防御することを主たる狙いとするために、依頼者に対する関係での行為規範を導きづらい点にあると思われる。

 司法書士法3条を根拠とすることが、弁護士法72条違反の回避を主たる狙いとするものなのか、分かりませんでした。依頼者に対する関係では、司法書士法を根拠とすることで2条、24条等とともに、どこまでやってもいいのか、どこからはだめなのか、規範を定立しやすくなるのではないかと感じました。

 また、同時に司法書士法改正の議論は必要だと思います。

つまり、自らが行う業務がどのような法的根拠に基づくのかについて無頓着であることが、自らの業務の内容、特に依頼者に対し提供するべき法的サービスの内容を曖昧にし、それが、依頼者(多くの場合は、その曖昧さを問い詰めることのできない一般消費者である)の利益を害し、かつ、自身が損害賠償責任などの法的責任を負うことに繋がると考えるのである。問いたいのは、「業際問題」ではなく「消費者問題」なのである。

 消費者問題が問われるのは、民事信託信託(設定)支援業務がビジネスとして成り立っているということを示していると考えられます。

司法書士行為規範81条に民事信託支援業務についての規律が制定されたことは、何もないところで規範がうまれたという面では大きな一歩といいうるものの、問題の本質との関係では、その一歩を“前進”ととらえていよいかは疑問が残る。

 私にも分かりません。司法書士行為規範81条がどのような議論を得てあの文言になったのか、公表されていないからです。

活動が大きくなればなるほど、その遠心力は大きくなり、その力に持ち堪えるだけの頑強な「礎」が必要になる。法的根拠論は、まさに「礎」を築くための議論である。ここを曖昧にしたまま、活動ばかりが大きくなったとき、信義則上の義務といった予測不能な義務が司法書士に課されるのである。

 信義則上の義務違反に問われるとすれば、行為規範を作った機関ではなく、行為規範をそのまま自分で解釈するしかない会員だと思います。


[1] 138号、2022年12月、民事法研究会P84~

民事信託支援業務と懲戒規範

市民と法[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託支援業務と懲戒規範」からです。

当初は、誰が考え出したのだろうか、信託財産の〇%という宅地建物取引業者的な報酬算定方法に対する苦情が聞かれた(結果として過剰報酬となれば品位保持義務違反の領域となる)。

誰から聞いたのか分かりませんでした。

昨今は、民事信託を取り扱う司法書士が急増するに伴い報酬額が低廉化してきたが、その業務内容の品質と方法・態様に関する苦情も聞かれる。

誰から聞かれたのか分かりませんでした。報酬算定方法は、業務の積み上げ式で見積書や委任契約書に報酬算定方法を明記することでバランスを取るかなと考えます。

それゆえ、懲戒機関も危機感を強めているのではないかとも推察される。かような裁判例のトレンドを後追いする形で、今後、懲戒機関によって、民事信託支援業務を行う司法書士に対する懲戒機関によって、民事信託支援業務を行う司法書士に対する懲戒処分が行われ、公表されていくのではないか、とも噂される。

どこからの噂なのか分かりませんでした。

本懲戒事例の事案では、当該家族信託の設定が違法(横領)であるとの判断が前提となっている。1、成年後見人の立場を利用した成年後見人の職務違反という違法判断に対して、他の推定相続人を廃除し、2、受託者らの自己の利益のために濫用的な家族信託を組成したことについて、本事案の違法判断は、どの程度の比重があるのだろうか。

成年後見人の立場を利用しなければ、有効な信託の設定は不可能であり、成年後見人の立場を利用した成年後見人の職務違反の比重が高いと考えられます。

司法書士によって教示された信託の内容自体は普通の信託に関する知識であったが、それは形式的にそうであるにすぎない。このあたりは、当該司法書士における信託に対する誤解があった、といわざるを得ない。

 他の推定相続人を廃除する目的、という場合に信託を教示することが、誤解、という認識が分かりませんでした。

そのような場合、司法書士は、どのようにして真の動機を知るのか、知りうべきか、知ることができるのか(そのメルクマークは何か)。

 成年後見が発効しているのに、成年後見人から、他の相続人を廃除したいという話を聴いた時点だと思います(民法858条、859条)。

それから、約3年半の後、地方検察庁は、B夫妻が信託契約を締結し、信託登記をしたことが、被処分者抜きでは考えられない巧妙なスキームであり、被処分者に業務上横領幇助、背任幇助の各事実の存在が認められるとして立件した。

 約3年半の間、成年後見人Bは、家庭裁判所に対してどのような報告をしていたのか気になりました。

親族後見人等が存在しない場合で、親族受託者が信託組成を行うような事例では、どうであろうか。要するに、成年後見制度を利用していない場合であっても、受託者等の濫用意図(動機の不法)に応じて、信託の濫用事例として、同等の違法性の評価を生じうるのだろうか。

 信託法8条、29条、30条、31条、民法90条、415条、709条等に反すると評価される可能性があると思います。

しかし、医師でもない司法書士に、認知症患者であると医師に診断された高齢者に対して、積極的な意思能力の有無を判断する責任を負えるのだろうか。

 積極的な意思能力、という用語の意味が分かりませんでした。医師の判断は、重要な判断基準ですが、医師は司法書士ではないので、信託を設定できるかの正確な判断は出来ず、最終的に責任を負う専門家士業が判断を行うのではないかと考えられます。

一方、福祉型信託という概念は、福祉型信託の泰斗である新井誠教授の言葉であるが(家族信託なる用語も新井教授らによる翻訳語である)、過去の信託法学会における論戦の軌跡に鑑みると、道垣内教授と新井教授は、信託の本質論をめぐるスタンスが先鋭的に対立しているようにみえる。しかし、上記シンポジウムには新井教授の登壇はない。

司法書士集団は、新井教授の教説の立場から民事信託支援業務を生成し、実務化してきたので、新井教授の声が聞かれないのは寂しいという司法書士実務家の声も聞かれ、信託法学会等においても、福祉型信託(民事信託)がテーマとなれば、新井教授の存在抜きでは始まらないのではないか、との諸先輩の声も聞かれる。―中略―近時、一部の若い司法書士が、新井教授を批判する場合があると聞くが、司法書士制度の恩人に対して到底許されるものではない。

 諸先輩が分かりませんでした。新井誠教授と道垣内弘人教授が、司法書士制度を専門としているのか、私が今まで調べた限りでは分かりませんでした。肩書などによって自由な批評が制限されるのであれば、今後の実務の進展はないと思います。ただ、それは現に始まっています。私は、信託の学校を批評したことで悪意を持たれました。その後、民事信託推進センターを除名されました。信託の学校、日司連民事信託推進委員、民事信託推進センターの役員、いずれかに私が所属していたら、死ねと同義の除名処分はなかったと考えられます。

 現在の民事信託に関しての実務論は、法律論ではなく、ビジネスや承認欲求的なものだと考えると、良い悪いは措いてすっきりします。谷口毅司法書士も日司連民事信託推進委員と民事信託推進センターへの不満を口にしていましたが、一旦承認されて表舞台に立てば、不満は無くなりましまた。活躍することで、信託の学校の有料会員も増える可能性があります。

 民事信託推進センターも、公開で批評されるよりは、官庁の認可を得て信託会社を設立したり、役員の方々の進めたい方向で進める方が、ある士業にとっては利益が出る可能性が高くなります。

 道垣内弘人先生が選ばれた経緯は、公開されていないので分かりませんが、到底許されるものではない、とは思いませんでした。また反論に対して、許すまじ、とも思いませんでした。人格否定は、建設的ではなく、議論が進まないからです。司法書士業界は谷口毅司法書士の私物でもありません。

Webシンポジウム「民事信託支援業務の更なる推進に向けて~権利擁護使命の実践としての福祉型信託の展開~」

第1部 基調講演

テーマ:福祉型信託の課題と展望

講 師:道垣内弘人(専修大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)

第2部 司法書士の民事信託実践報告

テーマ:司法書士による福祉型信託の実践

講 師:谷口毅(日本司法書士会連合会民事信託等財産管理業務対策部部委員)

第3部 パネルディスカッション

テーマ:権利擁護としての福祉型信託の推進

「こころの通う福祉型信託の在り方について」

パネリスト:

道垣内弘人(専修大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)

伊庭潔  (弁護士/日弁連信託センター長、中央大学研究開発機構教授)

山﨑芳乃 (司法書士/ふくし信託株式会社専務取締役)

髙尾昌二 (日本司法書士会連合会常任理事/民事信託等財産管理業務対策部副部長)

コーディネーター:

春口剛寛 (日本司法書士会連合会民事信託等財産管理業務対策部部委員)

『民事信託の実務と書式〔第2版〕─信託準備から信託終了までの受託者支援』

http://www.minjiho.com/shopdetail/000000001186/

はしがきより

山北英仁司法書士、山﨑芳乃司法書士からは、民事信託分野の黎明期と生成期の証言を、初めて活字にしていただいた。

民事信託・家族信託の徹底活用

http://www.tsubasa-trust.net/2017/10/blog-post.html

さて、私は、渋谷陽一郎先生の「民事信託の実務と書籍」を読み始めたところです。なかなか、他に類書のない書籍であると思っています。

どうしても、私達実務家は、「信託のスキームを構築する」とか、「信託契約書を作成する」とかいうことに目を奪われがちなのですが、著者に言わせれば、それは、所詮は信託の入り口に過ぎないとのことです。
信託が財産管理の仕組みである以上、信託の中核を担うのは受託者であり、その受託者を支援できるかどうかが、健全な信託の発展の鍵であると考えています。
信託の受託者が信託事務を遂行する上で必要な書式類を豊富に準備している、という点に、この本のユニークなところがあると思います。

また、著者は司法書士の制度論に対して、非常に深い造詣を有しています。
司法書士の制度論の中で、民事信託の支援業務が適切な位置づけを見つけることができるのか、という点について、多角的に問題提起をされています。
ちょっと外れますが、雑誌「市民と法」のここ3回の連続記事も、かなり過激な問題提起で面白いです。

「どんどん信託を進めるんだ!司法書士法施行規則31条業務だから大丈夫!コンサル業務と同じで誰でもできるはず!」という、勢いのよい信託実務家にとっては、かなり厳しい指摘が並んでいます。
民事信託を巡る紛争は、まだ件数が多いとはいえませんが、これから徐々に顕在化してくることは間違いありません。
そのような中、専門家がどのような立場から、どのようなアドバイスをしたのかも、問われてくる時代が確実に到来するものと考えられます。

そういうわけで、信託の実務を担おうとするみなさまには、多面的な見方を育てるという観点から、一読することをお勧めいたします。


[1] 138号、2022年12月、民事法研究会、P26~

民事信託の登記の諸問題5

登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(5)」から考えてみます。[1] 887号、令和4年1月号、テイハンP79~

信託財産を適正に管理・運用・処分して※申請構造の枠組み・「適正に」の意味と公示の効果は何か

 適正にの意味と公示の効果は、信託行為の当事者への明示以外に、あまりないのではないかなと思います。信託法(受託者の利益享受の禁止)第八条、(脱法信託の禁止)第九条、(訴訟信託の禁止)第十条、(受託者の権限の範囲)第二十六条、(受託者の権限違反行為の取消し)第二十七条、(忠実義務)第三十条など。

受益者の生涯にわたる安定した生活の支援と最善の福祉を確保する※「生涯にわたる安定した生活の支援」形容詞・福祉の公示するか


 形容詞・・・にわたる、副詞・・・安定した、かなと整理しましたが、公示してもしなくても、違いが出るとは思えませんでした。

信託財産をもって※条件節の意味上の主語

 条件節というのが分からなかったのですが、もし~ならば、のような使い方をする場合のようです。他の財産ではなくて、信託財産をもって、という意味で条件節、ということになるのかなと思いました。

受益者の※「目的」の具体化(達成方法)居住の維持費、医療費、看護療養費、施設利用費など各種費用の支払いに充てる※「居住の維持費」、「医療費」、「看護療養費」、「施設利用費」は申請情報か

 信託財産に属する金銭の用途についての記載なので、原則として不動産の信託目録の登記事項にはならないのではないかと思います。ただし、信託財産に属する不動産を売却し、金銭に換える場合の用途として定める場合、信託財産に属する不動産が収益不動産であり、賃料などが入ってくる場合で、他の収益不動産ではない信託財産に属する不動産には、信託目録に記録する事項に信託財産に属する金銭の用途についての記録がないときの意味は、少しあるのかなと思います。それでも私なら公示しない方向でまずは考えると思います。

受託者の裁量に基づき※条件か、受託者の権限なのか

 受託者の権限だと思います。信託法(定義)第二条、(受託者の権限違反行為の取消し)第二十七条。

受益者の生活状況に応じた生活費等を給付する※形容詞的か副詞的な条件なのか※財産の管理方法か受益債権か。

 形容詞的か副詞的な条件なのかについては、分かりませんでした。受益債権ではなく、財産の管理方法だと思います。信託法(定義)第二条第1項、第7項など。

その目的を達成する※述語動詞→目的=大目的。これら以外の一時的な多額の給付はしないものとする※信託規律→受託者権限の制約か※給付の制限→信託の安定性→認知症対策との明示はなし

する、が述語動詞なのでしょうか。分かりませんでした。受託者権限の制約に当たると思います。

なお、「信託財産の管理方法」欄には、受託者の「処分権限」が記される場合がある。この点、「処分権限」は信託に係る権利の登記の連続構造に関係するが、重畳的に「信託の目的」欄に「処分」の情報がない場合、どうなるのか。

 信託の目的欄に、処分の情報がない場合でも、信託財産の管理方法欄に記録された受託者の処分権限は活きることになります。信託法2条第1項、第5項。信託の目的欄に、処分は出来ない、処分しない、○○の場合には処分できない等と記録されている場合は、信託財産の管理方法に影響を与えます。

登記事項の記載として「財産」と「資産」という文言の違いは、何ならかの機能の際をもたらすのだろうか。

 財産と記録した場合、資産に加えて信託財産責任負担債務(信託法21条2項を含めて)も入るということを明示する記録なのかなと思います。資産と記録しても結果は同じだと思います。

「信託税務2つの事例の考察を中心として」

(一社)民事信託推進センターテーマ別勉強会「信託税務2つの事例の考察を中心として」

令和2年11月10日

研修の中から、民事信託・家族信託におけるお金(受益権を持つ受益者)の(暦年)贈与(譲渡・指定・設定・変更)について考えてみます[1][2]。私見です。税務についての最終確認は税理士さんにお願い致します。なお、司法書士法3条1項2号に基づく業務を前提としています。

・可能とした場合、信託目的の条項はどのような記載になるか。

財産の円滑な管理及び承継、で原則として足りると考えます。依頼者の要望を聞きながら、受益者の学資、社会人になってからの当面の生活費、受益者とその扶養親族の安定した暮らし、など

・民法上の贈与契約(民法549条)か。

信託法上の受益者の設定、指定、変更、または受益者からの受益権譲渡(信託法2条、89条、93条)にあたり、民法上の贈与契約とは異なります。税務上、贈与税の課税対象となります(相続税法9条の2)。

・受益権という権利を贈与する点(民法上の贈与契約では、財産とされるもの全て)

・書面によらない贈与の撤回(民法550条)が適用されない。例えば、受益者からの受益権の無償譲渡の場合、書面がなければ履行が終わっていない部分について、当事者のいずれも、いつでも撤回することが出来る。

・受益者が3歳として、受益者となること、受益者に指定されること、変更後の受益者となることが出来るか。また、受益権の譲渡について当事者となることが出来るか。

受益者となることは出来る。相続税法第9条の5は、胎児も受益者となることを認めている。受益者となることが出来るので、受益者にしていされること、変更後の受益者になることも出来る。受益権の譲渡については、契約を有効に締結する能力が求められるため、不可能と考えられます。状況として、お年玉をもらってありがとうと言うことが出来て、後で封筒を開けて金額を数えることが出来るくらいの能力は必要だと考えます。

・受益者であることの結果として110万円貰った場合、貯金してよいのか。

信託の目的(ここでは条項のみではなく信託行為全般を指します)、次第ですが、原則として禁止されていなければ、可能と考えます。

・受益者指定権・変更権により受益者となる場合、受益者となるための条件を付けなければいけないか(例えば、テストで50点以上取ったこと。)。

条件を義務付ければ連年贈与とみなされず、贈与税が課税されないという考えは、条件を付けなかった場合と比較してあまり変わらないのではないかというのが個人的な印象です。条件を義務付ける必要はないと考えます。

・受益者となった者は、お金を貰わないことも出来るのか。

受益権は権利(ここではお金を請求する権利と受益者が持つ権利一般)であり(信託法2条)、権利の行使は受益者に任させているので、お金を貰わないことも可能です。なお信託行為の当事者でない受益者は、受益権の放棄を行うことができます(信託法92条、99条)。

・受益者指定権・変更権により受益者となる場合、受益権の譲渡により受益者となる場合、受益権の分割が行われているのか。

私自身は、信託行為時に受益権の分割を行います。信託行為時に行わない場合は、分割の必要があると思います。100分の1などの単位の受益権を持つ受益者としていると、信託財産の増加、減少によって変わってきてしまうのではないかと考えます(特に2年目以降)。

参考

相続税法

第9条の2 贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利

信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下この節において同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

2 受益者等の存する信託について、適正な対価を負担せずに新たに当該信託の受益者等が存するに至つた場合(第4項の規定の適用がある場合を除く。)には、当該受益者等が存するに至つた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の受益者等であつた者から贈与(当該受益者等であつた者の死亡に基因して受益者等が存するに至つた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

3 受益者等の存する信託について、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた場合において、適正な対価を負担せずに既に当該信託の受益者等である者が当該信託に関する権利について新たに利益を受けることとなるときは、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた時において、当該利益を受ける者は、当該利益を当該信託の一部の受益者等であつた者から贈与(当該受益者等であつた者の死亡に基因して当該利益を受けた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

4 受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

5 第1項の「特定委託者」とは、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)をいう。

6 第1項から第3項までの規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利又は利益を取得した者は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を取得し、又は承継したものとみなして、この法律(第41条第2項を除く。)の規定を適用する。ただし、法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第29号(定義)に規定する集団投資信託、同条第29号の2に規定する法人課税信託又は同法第12条第4項第1号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託の信託財産に属する資産及び負債については、この限りでない。

相続税法基本通達

9の2-4 信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合

受益者等の存する信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合には、原則として、当該放棄又は消滅後の当該信託の受益者等が、その有する信託に関する権利の割合に応じて、当該放棄又は消滅した信託に関する権利を取得したものとみなされることに留意する。


[1] 相続税法21条の5、29条11、租税特別措置法70条の2の4

[2] 笹島修平「信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ」平成30年大蔵財務協会P206~

11月の相談会のお知らせ

お気軽にどうぞ。

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
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その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
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後援(株)ラジオ沖縄 

日時:令和2年11月27日(金)14時~17時 (3組) 
場所: 司法書士宮城事務所(西原町)
要予約 電話・HP・メール
問い合わせ先:司法書士宮城事務所(098)945-9268、HP,メール【shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp】
料金:1組5000円

ほっこり記事

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201103/k10012693431000.html

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