相続放棄申述書と相続放棄申述受理証明書の申請書 沖縄県版―Excel

 相続放棄申述書と相続放棄申述受理証明書の申請書について、Excelで沖縄版を作成してみました。テスト版なので、利用は出来ますがまだ改善の余地があります。また、私が0から作ったわけではなく、野﨑祐介司法書士が作成したExcelシートを沖縄版に修正し、セルの装飾を少し変更しただけのものです。

司法書士法人つむぎ事務所

https://www.tsumugi-jimusho.net/

相続の放棄の申述について、裁判所のwebサイトのリンクを貼り付けておきます。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

PDF版です。

マイクロソフトWord版です。

https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki01/index.html

PDF版は、印刷して手書き、word版はパソコン等から入力することになります。他に、司法書士業務のシステム開発や運用保守を行う企業のソフトウエアがあるようです。私は利用していないため、仕様が分かりません。

サムポローニア9 遺産承継システム

https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/10161047_1567.html

Excel版は、下のようになります。

添付書類のセルの塗りつぶしが消えないのですが、何か仕組みがあるのだと思います。送達場所届出に関しては、私は現在のところ、使わないので、空欄にしています。印鑑も預かりません。原本還付は利用できるので、便利だと思いました。

相続放棄申述受理証明書の申請書です。申述書シートに入力した情報が反映される仕組みになっていました。

相続放棄申述書申述受理証明書についても、送達場所の届出はしないので空欄にしました。

マイクロソフトExcel

VLOOKUP 関数

https://support.microsoft.com/ja-jp/office/vlookup-%E9%96%A2%E6%95%B0-0bbc8083-26fe-4963-8ab8-93a18ad188a1

相続放棄における三か月の期間に関する主な判例

・大審院決定大正15年8月3日

・最高裁判所判決昭和51年7月1日

・最高裁判所判決昭和59年4月27日

・最高裁判所判決昭和63年6月22日

・最高裁判所判決令和元年8月9日

登記研究808号質疑応答7969  相続を原因とする所有権移転登記申請において、相続放棄申述受理通知書を登記原因証明情報の一部をすることができる。

米国での相続について

特定非営利活動法人 渉外司法書士協会 令和3年10月2日(土)第5回東京定例会

講師:本郷法律事務所 (Hongo Law Office, LLLC)弁護士 本郷友香(ホンゴウ ユカ)

アメリカのトラストとは?

• トラスト(信託)とは、資産をトラストという「箱」に入れることにより、プロベート(検認手続き)を回避することができる、遺言書のような文書。

Probate(プロベート)とは?

• アメリカでは相続に際し、厄介なプロベート制度を設けている。

• プロベート・・・裁判所を通じて、亡くなった方の財産をどのように分配するかを決定するプロセス。

• 相続人が誰なのかを確認し、任命される遺言執行人が税の支払い、債務の返済等をした上で、残った資産を相続人に受け渡す作業

・裁判所のスケジュールに基づいて実施される・時間(6ヶ月~1年。)。

・プロベートに立ち会ってもらう弁護士も雇用するため、お金が掛かる。

 遺言書を裁判所で開封して、相続人が誰なのかを確認するまでは、日本の自筆証書遺言の検認と似ている。

民法(遺言書の検認)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。

3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

法務局における遺言書の保管等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000073

(遺言書の検認の適用除外)

第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。

Probate(プロベート)を通過する場合・回避できる場合

• プロベートを通過する場合

1)遺言書だけを作成していた場合

2)トラストやTransfer on Death Deed (TODD)等のプロベートを回避するための文書のいずれも作成していなかった場合

3)遺言書やその他プロベートを回避するための文書を何も作成していなかった場合

• プロベートを回避できる場合

1)トラストを生前作成しておいた場合

2)Transfer on Death Deed (TODD) を生前作成しておいた場合・・・不動産のみ

・トラストの構成

人物構成

1)Grantor/Settlor(委託者) 被相続人で、トラストに入れる資産の所有者。

2)Trustee(受託者) トラストの資産を管理し、被相続人の死後、資産をトラストに指定される受益者に分配する役割を持つ。

3)Beneficiary(受益者) トラスト上の資産の受取人。

居住地が州にない人が、トラストを作成するするのは難しい。

・トラストの作成方法

 受託者や受益者を誰に指定するか等を決めた後、トラスト文書を作成。基本的には、誰にどの資産を、どの割合で分配するのかを指定。トラスト文書には色々な条項を設けることができる。受益者のそれぞれに、どの資産を、どの割合で、被相続人の死後、分配するのか。

・トラスト作成後の名義変更手続き

トラスト文書を作成後、トラストに入れたい資産を、トラストの名義に変更する手続き。名義変更手続きをすることによって、資産をトラストの一部にする。

 トラストに入れる資産として、不動産が最も重要な資産となる場合が多い。元々の所有者からトラストに指定したトラスティー(受託者)に所有名義を譲渡させるための譲渡証書を作成し、不動産登記をする登記所(ハワイではBureau Conveyances)に登記 することによって、不動産の名義をトラスト名義に変更し、トラスト 資産の一部にすることができる。・・・トラスト名義・・・受託者名義。

その他の資産の名義変更手続き

• 生命保険、アメリカでの退職貯蓄金 (IRA、401(K))、銀行口座、車等は、トラストに入れなくとも、プロベートを回避できる場合が多い。トラストに入れなくても良い場合もある。生命保険、退職貯蓄金や銀行口座等においては、それぞれの機関の受取人用紙において、生前受取人を指定しておきますと、受取人は被相続人の死後、死亡証明書を提示することによって、プロベートを通過せず、お金をそれぞれの機関から直接受け取ることが可能です。車もプロベートを通過せず、書類手続きのみで、被相続人の死後、受取人は承継可能。

 生命保険、アメリカでの退職貯蓄金 (IRA、401(K))、銀行口座、車などは、トラストに入れることも出来るが、入れなくても生前に受取人を指定しておくことが出来る。死亡証明書(日本でいえば除籍抄本など。)を提出して引継ぎ。日本でもあると良いなと思います。預金に関してはTotten trust(トッテントラスト)。

トラストに付随する文書等

1.Pour-Over Will(注ぎ込み遺言書)

  生前トラストに入れ忘れた資産が、トラスト資産に含まれるよう、指定。・・・特殊な遺言書。注ぎ込み信託・遺言に似ている。

2.Durable Power of Attorney(財産管理に関する委任状)

 被相続人が判断能力を失った場合、財政的な手続き(税務申告の代理作成・署名等)をしてくれる代理人を指定。

https://www.lawhelp.org/hi/resource/hawaii-general-durable-power-of-attorney-template

3.Advance Health Care Directive(医療に関する委任状)

  被相続人が判断能力を失った場合、医療に関する決断等をしてもらえる代理人を指定。臓器提供等についての指示も指定することもできる。

https://www.queens.org/the-queens-medical-center/patients-and-visitors/patient-tools-resources/advance-directive-qmc

4.HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)ヒッパ

 法律によって、病院の診断書等は本人以外の方には開示してはいけませ んが、HIPAA承認書類を作成することによって、病院は指定する代理人に、 診断書を開示することが可能。

https://medquest.hawaii.gov/en/members-applicants/rights-and-responsibilities/HIPAA.html

トラストに付随する文書等・・・トラスト作成と同時に作ることがほとんど。

 Durable Power of Attorney(財産管理に関する委任状)・・・日本の成年後見制度に似ている。

 Advance Health Care Directive(医療に関する委任状)・・・日本の「意思決定支援等に係る各種ガイドラインの比較について」の医療分野に関する部分に似ているが、1人を決める?ことについては違う。

https://www.mhlw.go.jp/content/000689414.pdf

トラストに関する誤解-節税対策ではないこと

• トラストはプロベートを回避するために作成し、節税対策のために作成するものではない。

遺産税の免除額(2018年~2021年)

• $11,180,000 (2018)• $11,400,000 (2019)• $11,580,000 (2020)• $11,700,000 (2021)

*2025年以降は、以前の$5,490,000に戻る、と言われている。政治の影響も受ける。

トラストを作成するメリット

• トラストを作成することで、Probate(プロベート)を回避し、時間とお金を節約することができる。

• プライバシーを守ることができる。(遺言書はプロベートを通過するため、内容は公になるが、トラストは誰にも開示する必要がなく、被相続人の死後、自己処理ができ、内容を他人に知られることはない。)。

• 資産をあげたい人に、あげることができる。(アメリカでは、法定相続人のルールはない。トラストを作成して誰を受益者として指定しても良い。プロベートの場合は、決まった相続人の順番において、資産を分配する必要がある。)

注:ハワイでは、Elective Share等のルールがあり、結婚暦に応じて、生 存配偶者は、故人の資産をもらう権利を主張する権利等を有しま すので、基本的に故人は好きな方に資産を残しても良いのですが、 この様なルールによって、それが制限される場合もあります。

参考

・Transfer on Death Deed (TODD)

 Transfer on Death Deed (TODD)とは、特殊な譲渡証書において、所有者が亡くなった後、指定する受取人に、不動産をプロベートを通過せず、譲渡させることを可能にする文書。共有持分については不可。

特徴

1)所有者が亡くなった時点で、初めて所有権が受取人に移転する。(生前、 元々の所有者が不動産の所有権を維持します。)

2)Transfer on Death Deed (TODD)は、登記所に登記。

3)所有者は生前、いつでもTransfer on Death Deed (TODD)を撤回することができる。

4)トラストと同様に、プロベートを回避することができる。

 日本の遺言信託に似ていると思います。研修の議論では、死因贈与契約のようです。相続税がどうなるのか気になりました。

 非居住者(例えば、日本に居住しているが、ハワイ州に不動産を持っている場合)には、使いやすい。州によって取扱いが違う。特殊な遺言書。原則として受贈者が1人で手続きが可能。100%の所有権が必要。生前に名義変更する。

-5  Transfer on death deed authorized.

https://www.capitol.hawaii.gov/session2010/bills/SB2799_.HTM

信託法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108

(信託の方法)第三条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。

二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

(信託の効力の発生)

第四条 前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。

2 前条第二号に掲げる方法によってされる信託は、当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。

費用の目安

• トラスト作成1式 $5,000 (プラスGE税4.712%)

• Transfer on Death Deed1件 $3,400 (プラスGE税4.712%)

• Probate(プロベート)1件 $6,000 (プラス$2,300の経費分)、

*報酬の$6,000にはGE税4.712%が課税。

 トラストは登録されるか。・・・登録する義務はない。金庫に入れておいても良い。

 トラストの付随する文書 Pour -Over Willには、包括的記載も可能なのでしょか。例えば、「トラストに記載のない私の持つ資産、またこれから持つ資産はすべてトラスト資産とする。」というような書きっぷりです。  Advance Health Care Directiveには、全権委任のような書きっぷりは許されるか。例えば、「私が脳死状態になった場合の臓器提供の可否については○○に委任する。」 「私が自律的に栄養補給ができなくなったり、呼吸ができなくなった場合の生命維持装置の装着の可否については○○に委任する。」というようなものが許されるか。・・・・包括的な記載が可能。特定不要。

 Elective Shareについて、これは離婚している元配偶者も請求できるものでしょうか。婚姻40年で離婚して、離婚後1年で亡くなった場合など、元配偶者から主張する権利があると怖い。

 トラストを組んでいなくてプロベート手続きにはいるときに、手続を進める弁護士に相続人から委任状が必要か。・・・依頼者から弁護士に委任状は必要ない。 本人支援業務のような仕事かな。

 弁護士に依頼している場合、プロベートに入った場合に相続人から提出するものやサインなどはない。弁護士が執行者として書類の提出・サインなどを行う。アメリカでは法定相続人のルールはないが、プロベートの場合は決まった相続人の順番において資産分配する。・・・州法で決まっている。

 Trustに法人格はあるか、つまりTrust自体が権利義務の主体となれるか?・・・トラスト自体が法人格を持つという意味で、法人格はある。権利義務の主体は、受託者Trustee(トラスティ―)個人の名前。氏名.Trustee.○○トラスト.

 日本で登記する場合、受託者 氏名 +信託の登記と信託目録。

 Trusteeは会社が多い印象だが、Trusteeになるためには、何らかのLicenseが必要か?・・・資格はない。弁護士等が業として行う場合、利益相反になる可能性が高い。グレー。全て日本に居住する日本人でハワイ州の不動産を目的にトラストを組んだ司法書士。ハワイ州の弁護士指導の下でも、司法書士の責任。

 Trustに属する金銭で不動産等の財産を取得することもできると思うが、その場合は、取得した財産はTrustに属することになるか?・・・可能と考えられる。

 委託者が死亡した後の処理は、受益権が承継される?信託が解除される?・・・受益者連続信託のようなことは基本的にしない。受益者に分配して終了。

トラストアドインステーション?

 日本人と婚姻して日本に住むアメリカ人で子供がいない場合、トラストを作成していない場合、相続につき相続人は出身州法で定まるか。・・・相続財産がある州の法律。法の適用に関する通則法などの当てはめ。

 日本で作ったトラスト契約書は、アメリカの財産についてなにか効力を否定されたり違う取扱を受けるのでしょうか。・・・アメリカの財産についてなにか効力を否定されたり違う取扱を受ける可能性もある。税務。受託者について、州の居住者が無難。

 日本で公証人の公証を受けたトラストを保持していれば、それをアメリカで行使できるか・・・州法に基づいた英語のトラストを日本の公証人の交渉を受けたトラストは可能(根拠法は分かりませんでした。司法書士の経験談。)。

公証人は資格を取得した州外で公証することはできるのですか。海外ではどうですか。・・・不可能。州ごと。

 委託者(被相続人)の最後の居住地が日本であれば、日本法が適用出来る。遺産分割協議が出来る。某司法書士。

・その他の気になる規定

Rule 110.   Conversion to trust; funding trust.

https://www.courts.state.hi.us/docs/court_rules/rules/hpr.htm#Rule%2038

⽂字情報基盤のIPAmj明朝フォント

文字情報技術促進協議会

IPAmj明朝フォント・・・人名の表記等で、細かな字形の差異を特別に使い分ける必要のある業務等での活用を想定したフォントです。また、同フォントを十分に活用するためには、対応したアプリケーションソフトが必要となります。通常の文書作成等では、JIS X 0213:2012に準拠したIPAexフォントのご利用をお勧めします。

・なぜ必要か。

現在、行政手続について使うことが可能な文字が異なる。

戸籍に使える文字・・・戸籍統一文字

https://houmukyoku.moj.go.jp/KOSEKIMOJIDB/M01.html

登記に使える文字・・・戸籍統一文字に加えて、記号などが入る。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/kankyo/charaset.html

 

JIS第1及び第2水準のほか,以下の文字が使用できます(以下に代表的なものを例示)。不動産登記関係手続においては,「①②③④」が使用できます。

各種記号 ※    !”#$%&’()

英数字 ※        ABCDEFGH123456

かな      あいうえおかきくけこ

カナ      アイウエオカキクケコ

囲み文字(不動産関係手続のみ)          ①②③④

※ 全角及び半角が使用できます。

※ 申請用総合ソフトの漢字検索機能により,不動産登記,商業・法人登記手続においては全ての登記統一文字を,成年後見登記手続においては戸籍統一文字を入力することができます。

使用できない文字について

 登記・供託オンライン申請システムにおいては,JIS第3及び第4水準の文字は,使用できません。

 また,上記以外の文字についても,登記・供託オンライン申請システムにおいて正しく取り扱うことができない文字等(以下に代表的なものを例示)が入力されていた場合には,情報ダイアログが表示されることがありますので,漢字検索機能を使用して入力するか,代替文字を入力して下さい。

※ 登記・供託オンライン申請システムにおいて正しく取り扱うことができない文字の例

※ 動産譲渡登記関係手続において使用することができない文字については,「動産譲渡登記 オンライン申請データ仕様」及び「動産譲渡登記 オンライン証明書請求データ仕様」を参照してください。

※ 債権譲渡登記関係手続において使用することができない文字については,「債権譲渡登記 オンライン申請データ仕様」及び「債権譲渡登記 オンライン証明書請求データ仕様」を参照してください。

・今後の方針

政府CIOポータル

https://cio.go.jp/node/2708

文字情報基盤の民間移行 2020.8.26

 氏名、法人名、土地等を表記するのに、一般のコンピュータでは扱うことが難しい外字を用いることがありますが、それにより、行政システムの相互運用性が損なわれるのはもちろんのこと、開発や運営のコストが上がり、更には、民間との情報交換においても多くの問題が生じてきました。情報システムの基本である文字およびそのコードにおいて相互運用が担保されていないのは日本だけでしたが、2011年から進めてきたコンピュータ上の文字の統一プロジェクトである文字情報基盤事業が完了し、健全なIT活用が促進される基盤が整いました。日本の情報システム環境の整備において、文字情報基盤整備事業の果たした役割は非常に大きいと評価されています。

 今後、戸籍連携システム、自治体情報システム(住民記録システム・印鑑登録システム・固定資産税システム等)、不動産ID等との連携を行うために、文字が統一されているか、一旦コード(英数字の列など)に入れ替えて、表示する必要が出てくる。

文字情報基盤を入れてみる。

ダウンロード


ipamjm.tffファイルをインストール



ワードでは表示されました。他のソフトで試してみます。NotionをGoogleクロームででは表示されませんでした。

https://extns.notion.site/Npedia-9851b488b96846c3b04c691cd3419326

受託者の権限

家族信託実務ガイドの記事、(一社)家族信託普及協会代表理事 宮田浩志「受託者の権限」[1]からです。

「家族信託では受託者にどんなころを任せるかが肝」

この段落では、依頼者のニーズに合わせて受託者の権限を決める、というようなことが記載されています。

家族信託の契約書における受託者の権限についての条項で、「受託者は、信託財産の管理、運用、処分をすることができる」とだけ記載してある契約書を見かけることがあります。

 私が知る限りでは、家族信託支援業務の初期から、受託者の権限について、この条項だけを記載している書籍や資料などはないので驚きでした。一般の方が作成した契約書なのでしょうか。

実際にあった事案として、商事信託の契約書を流用したばかりに、家族信託の受託者に信託不動産の売却権限が明記されていなかったというケースがあります。売却権限が明記されていなければ、委託者(兼受益者)は受託者に売却する権限を与えたとは解釈出来ません。

 誤りです。売却権限が明記されていなくても、委託者(兼受益者)は受託者に売却する権限を与えたと解釈することができます(信託法26条)。

 実務レベルにおいて、信託行為に受託者による不動産の売却権限が記録されていない場合に、売買契約を締結することが出来ない場合が多い、ということです。記事の字数制限の問題でもないと思われるので、不思議に感じます。

不測の事態・やむを得ない事情があることを受託者以外の客観的立場で判断できるように、「信託監督人」や「受益者代理人」を置いて、売却時にはその同意を必要とすることも良策となり得ます。

 委託者は存命中は自宅を売却したくない、受託者は原則として委託者の意思を尊重して売却しないが、やむを得ない事情がある場合は売却したい、というような事例における対応例です。信託監督人や受益者代理人を置く前に、やむを得ない事情の基準や定義を記録することが必要だと思います。


[1]2021.11第23号P61~日本法令

民事信託の登記の諸問題(2)

登記研究の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(2)」[1]からです。

本紙の読者の皆さんは、不動産登記法97条1項各号の定めだけを導きとして、信託契約書の中から、如何なる情報を選択し、登記事項として抽出すべきであると思われるだろうか。

 原則として、不動産登記法とその関連法令で定められている事項と、信託行為の目的を果たすための後続登記の申請がスムーズに行われるための事項だと考えます。

不動産登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

附 則(信託目録)

第十二条 信託目録に関する事務について第三条指定を受けていない登記所(以下「信託目録未指定登記所」という。)においては、信託目録つづり込み帳を備える。

―中略―

6 旧細則第十六条ノ四第一項、第四十三条ノ六から第四十三条ノ九まで、第五十七条ノ十及び第五十七条ノ十一の規定は、信託目録未指定登記所の信託目録について、なおその効力を有する。この場合において、旧細則第十六条ノ四第一項中「信託原簿」とあるのは「信託目録」と、「申請書」とあるのは「申請ノ」と、旧細則第四十三条ノ六中「信託原簿」とあるのは「信託目録ニ記録スベキ情報ヲ記載シタル書面」と、「附録第十号様式」とあるのは「不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)別記第五号様式」と、旧細則第四十三条ノ七及び第四十三条ノ八中「信託原簿用紙」とあるのは「信託目録ニ記録スベキ情報ヲ記載シタル書面ノ用紙」と、旧細則第四十三条ノ九中「第四十三条ノ三」とあるのは「新規則附則第九条第五項ノ規定ニ依リ仍其ノ効力ヲ有スルモノトサレタル第四十三条ノ三」と、「信託原簿」とあるのは「信託目録ニ記録スベキ情報ヲ記載シタル書面」と、旧細則第五十七条ノ十及び第五十七条ノ十一中「信託原簿」とあるのは「信託目録」とする。

 この規定は、初めて知りました。著者の「旧信託原簿には、登記官の作成という概念がなかったのではないか、」という考えも、そうなのかもしれないなと思いました。ただ、平成17年の不動産登記法改正の前の時代に実務を経験していない身としては、肌感覚では分かりませんでした。

そして、資格者代理人の慣行として、登記原因証明情報として信託契約書そのものが提供されない場合がある(資格者代理人の間では信託契約書を閲覧に供さないことが推奨される場合もある)。

そうなのかな、と意外に感じました。私が他の人の実務を知らないだけかもしれません。

「信託の目的」に関する信託条項が、信託登記の登記事項に該当することは、不動産登記法97条1項の条文上、最も明白で、やさしい。もっとも、条文の「小見出し」は便宜的なものなので、「小見出し」に関わらず、実質的な「信託の目的を」を見つけることが重要である。

 不動産登記法97条1項の信託の目的が、小見出しであるということはよく分かりませんでした。

信託契約書から信託目録に変換するための最大の問題は、不動産登記法97条1項各号の規定の内容が、抽象的・一般的であることである。そして、その一方、信託なるものは、案件それぞれの個別性が高いことである(それが信託の柔軟性と称される特色である。)そこで、資格者代理人は、不動産登記法97条1項各号について「当てはめ」のための具体的な規範(要件)分析を行い、実際に「当てはめ」を行う必要が生じるわけである。

 私は少し異なる考えです。信託目録にそのまま抜き出せる条項を信託行為の中に入れます。そのため、登記申請時に要約や当てはめを行うことはなく、信託行為の中から、信託目録に記録する条項を抜き出す必要が生じます。

 最後に、記事の注釈が22から始まっているのですが、こういうことは時々あることなのでしょうか。あとで書籍にすることが目的で注釈を連番で付けているのかな、と感じました。


[1] 登記研究883、令和3.9テイハン

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