リビングトラスト 夫婦HとW、息子S、娘D、Sには障害を持つ子Gがいる。 夫婦のどちらかが認知症等になったら財産管理も含めてSの世話になり、両方亡くなったあとは、Gの存命中は財産をGのために活用する。

 

参考:大垣尚司「家計ファイナンスと信託②」『信託フォーラムvol.9』P120~P128


1、夫婦HとW、息子S、娘D、Sには障害を持つ子Gがいる。
2、夫婦のどちらかが認知症等になったら財産管理も含めてSの世話になり、両方亡くなったあとは、Gの存命中は財産をGのために活用する。
3、Gが亡くなったあとに残る不動産等の財産は、SとD又はその相続人に均等に相続させたい。
4、ただし、今後の状況の変化も考えられるので、遺言と同じように自由に変更する余地を残しておきたい。

自己信託設定公正証書


 前文
 委託者【氏名H】は、自己が所有する財産につき、自己を受託者として信託を設定する(「以下、本信託」という)。本信託はこれにより効力を生じ、【氏名H】は受託者として信託財産を引き受ける。
【氏名H】の高齢による認知症などへの対応と、Gの安定した生活のために本信託を利用する。

(目的)
第○条 本信託は、次の事項を目的として第○条記載の信託財産を受託者が管理、運用、処分する。
□(1)受益者の安定した生活。
□(2)【          】

(信託財産)
第○条 
□1 本信託設定日の信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後
に第3号から第5号によって発生した財産も信託財産とする。
□(1)別紙記載の不動産(以下、「信託不動産」という。) 。
□(2)別紙記載の金銭(以下、「信託金銭」という。)。
□(3)信託財産に属する財産の管理、運用、処分、滅失、損傷その他の事由によ
     り受託者が得た財産。
□(4)受益者が信託目的の達成のために行う、自己が所有する金銭、不動産、
    債権およびその他の財産を信託財産とする追加信託。
□(5)その他の信託財産より生じる全ての利益。
□2 本信託設定日における信託財産責任負担債務は、別紙記載のとおりとする。

(信託設定者)
第〇条 自己信託を設定する者は、次のとおりである。
 住所【                       】
 氏名【H】 【生年月日】【職業】

(後任の受託者)
第○条 
□1 受託者の任務が終了した場合の後任受託者は、次の者とする。
住所 【                    】
氏名 【W】 【生年月日】 【受託者の関係】【子】
□2 後任の受託者の任務が終了した場合、新たな受託者は次の者を予定する 。
   【住所】【氏名】【生年月日】【委託者との関係】
□3 受託者の任務は、次の場合に終了する。
□(1)受託者の死亡。
□(2)受託者に成年後見人または保佐人が就いたとき。
□(3)全ての受益者と受託者が合意したとき 。
□(4)【受託者が○○歳になったとき・                】
□(5)受託者が唯一の受益者となったとき。ただし、1年以内にその状態を変更
     したときを除く。
□(6)その他信託法で定める事由が生じたとき。
□4 任務が終了した受託者(その相続人のほか、信託財産を管理すべき者を含む。)
   は、後任の受託者が信託事務の処理を行うことができるようになるまで、受益
   者への通知、信託財産の保管その他の必要な事務を行う 。
□5 受託者に指定された者が、本信託の利害関係人による催告から1か月以内
   に受託者に就任しない場合は、受益者は新たな受託者を定める。
□6 後任受託者は、前任の受託者から受託者としての権利義務を承継し、次の各
   号に記載する必要な事務を行う。
□(1)債務の弁済、費用の清算。
□(2)必要な場合の債務引受け。
□(3)その他の信託財産の引継ぎおよび信託事務を処理するための受託者の変
    更に伴う必要な手続。
□7 【                       】

(信託財産の管理方法)
第○条
□1 受託者は、信託不動産について次の信託事務を行う。
□(1)権利の変更の登記と信託の登記の申請。
□(2)本信託の変更により、信託不動産に関する変更が生じる場合の各種手続き。
□(3)信託不動産の性質を変えない修繕・改良行為。
□(4)信託財産責任負担債務の履行。
□(5)受託者がその裁量において適当と認める方法、時期及び範囲で行う次の事務。
  □売買契約の締結および契約に付随する諸手続き。
  □賃貸借契約の締結、変更、終了、契約に付随する諸手続き及び契約から生じる
   債権の回収および債務の弁済。
  □使用貸借契約の締結、変更、終了および契約に付随する諸手続き。
  □保険契約の締結または名義変更、契約の変更および解除。
  □保険金の及び賠償金の請求及び受領。
  □リフォーム契約の締結。
  □境界の確定、分筆、合筆、地目変更、増築、建替え、新築。
  □その他の管理、運用、換価、交換などの処分。
  □【                  】
  □ただし、以下の事項については、□【全ての受益者・信託監督人・       】
   から事前に書面(電磁的記録を含む。)による承認を得なければならない。
  □【                  】
□2 受託者は信託金銭について、次の信託事務を行う。
□(1)信託に必要な表示又は記録等。
□(2)受託者個人の財産と分けて、性質を変えずに管理。
□(3)信託財産責任負担債務の期限内返済および履行。
□(4)本信託の目的達成に必要な場合の、信託財産責任負担債務の債務引受
□(5)受託者がその裁量において適当と認める方法、時期及び範囲で行う次の事務。
□受益者への定期的な生活費の給付、医療費、施設費などの受益者の生活に必要な費用の支払い。
□金融商品の購入、変更および解約。
□不動産の購入、賃借。
□受益者の送迎用車両その他の福祉用具の購入。
□受益者所有名義の不動産に対する擁壁の設置、工作物の撤去などの保存・管理に必要な事務。
 □【                            】
 □その他の信託目的を達成するために必要な事務。
 □ただし、以下の事項については、□【受益者・信託監督人・       】
   の書面(電磁的記録を含む。)による事前の承認を得なければならない。
  □【○○万円を超える支出・       】
  □【                  】
□3 受託者は、信託目的の達成のために必要があるときは、受益者の承諾を得て金銭を借入れることができる。受託者以外の者が債務者となるときは、借入金から手続き費用を控除した額を信託金銭とし、金銭債務は信託財産責任負担債務とする。
□4 受託者は、受益者の承諾を得て信託財産に(根)抵当権、質権その他の担保権、用益権を(追加)設定し、登記申請を行うことができる。
□5 受託者は、信託事務の一部について必要があるときは、受託者と同様の管理方法を定め、第三者へ委託することができる。
□6 受託者は、本信託契約に記載のない特別の支出が見込まれる場合は、本信託の目的に従い受益者の承諾を得て、支出することができる。
□7 受託者は、各受益者と信託事務処理費用を受益者の負担とする合意をすることができる。
□8 受託者は、受益者(残余財産の受益者、受益者代理人、信託監督人、法定代理人および任意後見人が就任している場合は、それらの者を含む。)から信託財産の管理状況について報告を求められたときは、1か月以内に報告しなければならない。
□9 受託者は、計算期間の末日における信託財産の状況を、信託財産に応じた方法によって受益者(残余財産の受益者、受益者代理人、信託監督人、法定代理人、任意後見人が就任している場合は、それらの者を含む。)へ報告する。
□10 受託者は、受益者から追加信託の通知があった場合、その財産に信託の目的をはじめとした契約内容に適合しない財産がある場合は、追加信託の設定を拒否することができる。
□11 受益者に対して遺留分請求があった場合、遺留分の額が当事者間で確定しないときは、受託者は調停調書その他の権利義務が確定する書面を確認するまで、履行遅滞の責任を負わない。
□12 受託者は、善良な管理者の注意をもって、受益者のために忠実に職務を遂行する。
□13 受託者は、土地への工作物などの設置により他人に損害を与えることのないように管理する。
□14 受託者は、信託行為に記載のある事務および全ての受益者の事前同意を得た事務に関して、信託期間中及び信託終了後、信託財産に関する瑕疵及び瑕疵により生じた損害について責任を負わない。
□15 本条項に記載のない事項は、信託法その他の法令に従う。

(計算期間)
第○条 
□1 本信託の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までとする。
□2 最初の計算期間は契約の日から12月31日までとし、最後の計算期間は1月1日から本信託の終了した日までとする。

(公租公課の精算)
第○条 本信託の税金や保険料などは、本信託設定日の前日までは設定者、設定日以後は信託財産から支払う。

第○条(受益者)
□1 本信託の受益者は、次の者とする。
  【住所】【H】【生年月日】
□2 受益者の死亡により受益権が消滅した場合、受益権を原始取得する者として
   次の者を指定する。
   第2順位
  【住所】【G】【生年月日】
□3 次の順位の者が既に亡くなっていたときは、さらに次の順位の者が受益権を
   原始取得する。
□4 受益権を原始取得した者は、委託者から移転を受けた権利義務について同意
   することができる。
□5 受益者に指定された者または受益権を原始取得した者が、受益権を放棄した
   場合には、さらに次の順位の者が受益権を原始取得する。
□6 受益者に指定された者が、指定を知ったとき又は受託者が通知を発してから
  1年以内に受益権を放棄しない場合には、受益権を原始取得したとみなす。
□7 【委託者氏名】は、【委託者以外の受益者氏名】が受益権を取得することを承
   認する。

(受益権)
□1 次のものは、元本とする。
□(1)信託不動産。
□(2)信託金銭。
□(3)遺留分推定額。
□(4)【修繕積立金、敷金・保証金等返還準備金・        】
□(5)上記各号に準ずる資産。
□2 次のものは、収益とする。
□(1)信託元本から発生した利益。
□(2)□【賃料・             】
□3 元本又は収益のいずれか不明なものは,受託者がこれを判断する。
□4 受益者は、信託財産から経済的利益を受けることができる。
□5 【受益者氏名】は、【医療、入院、介護その他の福祉サービス利用に必要な費
   用の給付・生活費の給付・教育資金・      】を受けることができる。
□6 受益者は、事前に□【受託者・信託監督人】の書面による同意を得なければ、受益権の全部または一部を□【譲渡・質入れ・担保設定・その他の処分】することができない。ただし、信託財産または受益権に金融機関による担保権が設定されているときは、あらかじめ当該金融機関の承認を受ける。
□7 受益者は、遺留分請求があった場合は、受託者に事前に通知のうえ受益権(受益債権は金銭給付を目的とする。)を分割、併合および消滅させることができる。
□8 受益権は、受益権の額1円につき1個とする。
【任意後見人の事務について同意する事項(    )・        】

第〇条(信託事務処理に必要な費用)
□1 信託事務処理に必要な費用は次のとおりとし、信託金銭から支払う。
□(1)信託財産に対して課せられる公租公課。
□(2)信託不動産の維持、保全、修繕および改良に必要な費用。
□(3)損害保険料。
□(4)信託監督人、受益者代理人およびその他の財産管理者に対する報酬・手数
     料。
□(5)弁護士等の士業その他の第三者へ委託した場合の手数料又は報酬。
□(6)受託者が信託事務を処理するに当たり、過失なくして受けた損害の賠償。
□(7)その他の信託事務処理に必要な諸費用。
□(8)【                  】
□2 受託者が信託事務の処理に必要な費用に関して、事前に信託金銭の中から支払いまたは事後に信託金銭から償還を受ける場合、全ての受益者に対してその額を通知する。ただし算定根拠を明らかにすることを要しない。

第〇条(受益者代理人など)
□1 受益者(受益者の判断能力が喪失している場合で、受益者代理人が就任していないときは受託者)は必要がある場合、受益者代理人、信託監督人を選任することができる。
□2 受益者代理人および信託監督人の変更に伴う権利義務の承継等は、その職務
   に抵触しない限り、本信託の受託者と同様とする。

第〇条(委託者の地位)
□1 委託者は、次の各号の権利義務を受益者に移転する。
□(1)信託目的の達成のために追加信託をする権利義務。
□(2)受益権の放棄があった場合に、次の順位の受益者または残余財産の受益者がいないとき、新たな受益者を指定することができる権利。
□2 委託者は、受益者を変更する権利およびその他の権利を有しない。
□3 委託者の地位は、受益権を取得する受益者に順次帰属する。
□4 委託者が遺言によって受益者指定権を行使した場合、受託者がそのことを知
   らずに信託事務を行ったときは、新たに指定された受益者に対して責任を負わ
   ない。

(信託の変更)
第○条 本信託の変更は、受託者と受益者の過半数の合意による。

(信託の期間)
第○条 本信託の期間は、設定日から終了した日までとする。

第〇条(信託の終了)
□1  本信託は、次のいずれかの事由があった場合に終了する。
□(1)H及びGが亡くなったとき。
□(2)信託の目的に従って受託者と全ての受益者の合意があったとき。
□(3)受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。
□(4)受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続し
     たとき。
□(5)信託財産が無くなったとき。
□(6)その他信託法で定める事由が生じたとき。

第〇条(清算受託者及び手続)
□1 清算受託者は、本信託が終了したときの受託者とする。
□2 清算受託者は、本信託の受託者として行っている職務を終了し、次の清算手
   続きを行う。
□(1)信託財産に属する債権の回収および信託債権に係る債務の弁済。
□(2)受益債権に係る債務の弁済。ただし、残余財産の給付を内容とするものを
     除く。
□(3)清算手続きに必要がある場合、残余財産の受益者に通知のうえ、財産の処分、担保設定および残余財産の受益者による債務引受けの催告。ただし、債権者があるときはその承諾を必要する。
□(4)信託事務に関する最終の計算。
□3 残余財産の受益者から最終計算の承認がされ、清算受託者が残余財産を受益者に引き渡したとき(残余財産の受益者による債務引受けが必要な場合は、事前に債務引受けを行うことを要する。)に清算手続きは終了し、信託財産の所有権は移転する。
□4 清算受託者は、清算結了時の現状有姿(債務引受けの状態を含む。)でもって残余財産を残余財産の受益者に引き渡す。
□5 清算受託者による登記、登録、届け出および通知が必要な残余財産がある場
   合は、その手続きを行う。
□6 清算受託者の変更に伴う権利義務の承継等は、本信託の受託者と同様とする。

第〇条(残余財産の受益者)
□1 本信託における残余財産の受益者は、次の者とし、均等に分割する。
□(1)S及びD。
□(2)S、Dが亡くなっている場合はその法定相続人。
□2 清算結了時に信託財産責任負担債務が存する場合で金融機関が求めるときは、
   合意により残余財産の帰属権利者は、当該債務を引き受ける。

第〇条(信託の変更)
□1 本信託の変更は、次の各号に掲げる方法による。ただし、信託財産が金融機関に担保提供されている場合、受託者はあらかじめ当該金融機関の承認を受ける。
□(1)信託目的の範囲内において、受託者と全ての受益者による合意。
□(2)その他信託法が定める場合。
□2 受益者が受益権を分割、併合および消滅させたときは、信託の変更とする。
□3 【                       】

第〇条(契約に定めのない事項)
□1 信託の条項に定めのない事項は、信託法その他の法令に従い、全ての受益者及び受託者の協議により処理する。

以上

別紙

信託財産目録
第1 信託不動産
(1)土地
所在      
地番      
地目      
地積
(2)建物      
所在 
家屋番号 
種類 
構造 
床面積㎡
第2 信託金銭【金○○万円】


以上

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