自己信託設定公正証書
(目的)
第○条 本信託は、次の事項を目的として、第○条記載の信託財産を受託者が管理、運用、処分する。
(1)受益者の安定した生活
(信託財産)
第○条
1 本信託設定日の信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3
号から第4号によって発生した財産も信託財産とする。
(1) 別紙1記載の不動産の所有権(以下、「信託不動産」という。)
(2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)
(3) 受益者から追加信託を受けた財産
(4) その他の信託財産より生じる全ての利益
(信託設定者)
第〇条 自己信託を設定する者の住所及び氏名は、次のとおりである。
住所
氏名 甲 生年月日
(後任受託者)
第○条 受託者の任務が終了した場合の後任受託者は、次の者とする。
住所
氏名 A(甲の連帯保証人である相続人など)生年月日
(信託財産責任負担債務)
第○条 受託者は、別紙2記載の債務を信託財産責任負担債務として引き受ける。
(信託財産の管理方法)
1 受託者は、信託不動産について次の信託事務を行う。
(1)所有権の権利の変更登記と信託登記の申請
(2)信託不動産の性質を変えない修繕・改良行為
(3)信託財産責任負担債務の返済を目的とする信託不動産の処分
2 受託者は、信託金銭について次の信託事務を行う。
(1)信託に必要な表示または記録
(2)受託者個人の財産と分けて、性質を変えずに管理
(3)必要に応じた信託財産責任負担債務の返済
(4)必要に応じた金銭の借入れ
3 受託者が信託事務処理費用を信託財産から支出する場合、支出の前に受益者に対して前払いを受ける額及びその算定根拠を通知する必要はない。
(計算期間)
第○条 この信託の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までとする。最初の計算期間は契約をした日から始まり、最後の計算期間は信託の終了した日までとする。
(信託財産に関する報告)
第○条 受託者は、計算期間に行った計算を受益者へ報告する。
(受益者)
第〇条 本信託の受益者は、次の者とする。
本店
商号○○銀行
取扱店○○支店
(受益権)
第○条
1 次のものは、元本とする。
(1)信託不動産の所有権
(2)信託不動産への居住権
(3)信託金銭
2 次のものは、収益とする。
(1)信託財産から発生した利益
3 元本又は収益のいずれか不分明なものは、受託者が判断する。
4 受益権は2個とし、受益者、残余財産の受益者が各1個を取得する。
(1)信託金銭より信託財産責任負担債務の給付を受ける権利は、受益者
(2)信託不動産の所有権は、残余財産の受益者
(3)信託不動産の居住権は、残余財産の受益者甲
(4)信託金銭の所有権は、残余財産の受益者
(委託者の地位)
第○条 委託者は、追加信託をする権利義務のみを受益者に移転し、その他の信託行為に記載のある権利は、亡くなったときに委託者の地位と共に消滅する。
(信託の変更)
第○条 本信託の変更は、受託者と受益者の合意による。
(信託の期間)
第○条 本信託の期間は、設定日から終了した日までとする。
(信託の終了)
第○条 本信託は、次の場合に終了する。
(1)受託者と受益者が合意したとき
(2)受託者が亡くなったとき
(清算受託者)
第○条
1、この信託が終了したときの受託者は、引き続き次の清算の事務を行う。
(1)現務の結了
(2)信託債権の返済
(3)受益債権の返済
(4)残余財産の引き渡し
2、受益債権の返済は、清算受託者の裁量により、信託不動産の処分換価を行うか、返済を続けるかを決めることができる。
(残余財産の引渡し方法)
第○条 清算受託者が、残余財産の帰属権利者に、信託財産の全てをその債権関係とともに引き渡し、最終計算の承認を得たときに、清算手続は終了する。
(残余財産の受益者)
第○条
1 本信託における残余財産の受益者は、甲とする。
2 甲が亡くなっていたときはAとする。
(契約に定めのない事項)
第○条 本信託に定めのない事項は、受託者と受益者が協議の上決定する。
別紙1
信託財産目録
第1 信託不動産
(1)土地
所在
地番
地目
地積
(2)建物
所在
家屋番号
種類
構造
床面積㎡
第2 信託金銭 金○○万円
以上
別紙2
信託財産責任負担債務
本店
商号○○銀行
取扱店○○支店
連帯債務者 甲
連帯債務者 A
設定時の債務金○○万円
平成○○年○月○日付ローン契約
融資限度枠2000万円
融資期間30年
以上
参考
(大垣尚司「自己信託―もうひとつの民事信託―」『民事信託の理論と実務』2016 日本加徐出版P281~)