最近の民事信託・家族信託に関する記事について、考えてみたいと思います。
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■■ 一人暮らしの高齢者が増えている
これはみなさんも知っていると思います。子供がいる夫婦でも、子供は独立して親元を離れる。夫婦でどちらかがなくなれば、一人暮らしです。令和2年の高齢者白書(内閣府)によると一人暮らしの高齢者1980年:男性約19万人、女性約69万人2015年:男性約192万人、女性約400万人 お!すごい増加ですね。一人暮らしなだけなので、身寄りがない訳ではないですが、この中は身寄りがない人も含まれています。私の事務所で任意後見の受任者をしている、93歳の女性(今もすごく元気!)もご主人は亡くなられ、お子さんが一人いるのですが、知的障がいがあります。つまり、彼女も終末期は誰もサポートしてくれる人が、いません。あ、もちろん、私の方で、しっかりサポートしますので、今は大丈夫です!身寄りなし問題は3つあるとのこと。
1医療同意
2. 金銭担保
3. 死後事務
1.医療同意
本人が判断力がないと、医師は困ると思います。身元保証を求める理由ですね。でも、20年も会っていない甥の同意って意味があるのか?だったら、医療や介護チームで最適解を見つけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)が重要になってきます。我々専門家も、金銭負担ができるかどうかの判断でACPに加わることは意味があると思います。つまり、連携が必要!
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以前まで、家族信託専門コンサルタントの肩書でしたが、肩書を外して地域連携に方向転換をしたようです。
ACPとは何でしょうか。人生会議のことです。日本医師会
https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/006612.html
ACP(Advance Care Planning)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことです。
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2. 金銭担保
施設や医療費を本人に請求しようにも、本人は認知症。だから、身元保証を求めますね。これこそ、成年後見がパワーを発揮する場面。身寄りない人とつながる地域包括や行政などとつながることにより、後見にもスムーズに移行できるのではと考えられます。
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地域包括は地域包括支援センター(介護保険法 第115条の45、同法第115条の46)のことです。行政などの「など」には、日常生活自立支援事業(社会福祉法第2条第3項第12号、同法第81条)の実施主体である社会福祉協議会も入っているのだと思います。
厚生労働省「地域包括支援センターの手引きについて」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/03/tp0313-1.html
社会福祉法人全国社会福祉協議会「日常生活自立支援事業」
https://www.shakyo.or.jp/news/kako/materials/100517_01.html
福祉サービスを利用したいけれど、手続きの仕方がわからない。銀行に行ってお金をおろしたいけれど、自信がなくて誰かに相談したい。商品勧誘の人が来たとき、どう対応していいかわからない。毎日の暮らしのなかにはいろいろな不安や疑問、判断に迷ってしまうことがたくさんあります。日常生活自立支援事業は、このような場合に、福祉サービスの利用手続きや、金銭管理のお手伝いをして、あなたが安心して暮らせるようにサポートします。
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3. 死後事務
ご遺体の引き取りですよね。これも、身元保証を求める大きな理由。
でも、後見人は、火葬と埋葬が法的にできるようになりましたし、死後事務委任を受けていれば、葬儀や、お墓も事前に決めることもできますよね。このように、身寄りなし問題って、我々専門家が活躍できるシーンが非常に多い。ですから、医療や介護のチームとつながることが大事なんですね。
■■ 身寄りなし(お一人様)って、不幸なの?もちろん、経済的に困窮していると大変だと思います。でも、案外行政の支援が厚いから、なんとかなる部分もあります。逆に生活に心配がない人はどうでしょう?これが案外、生活の満足度は高いそう。ちなみに、満足度最低は、夫婦二人暮らしのようです。
■■ 「認知症を怖がる社会から」から、「安心して認知症になれる社会」へ
そこで重要なのは後見制度。今は専門職による後見人が上位を占めていますが、財産管理はしてくれるが、身上監護はしてくれないと述べています。う〜ん。反省。
■■ 地域連携は求められている
その方が言うには、「法律側がそのような地域連携の情報発信をしたことは今までほとんどなかった。待っているのではなく、自分から発信することを大変うれしく思います」とのこと。やはり待っていてはダメですね。みなさんの地域でも、おそらく地域連携は求められているはず。暖かくなってきたので、外に出て、今まで会ったことがない人と連携の話しをしてきてはいかがでしょうか!
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「経済的に困窮していると大変だと思います。でも、案外行政の支援が厚いから、なんとかなる部分もあります。」について、そうなのでしょうか。行政の支援とは生活保護などを指しているのか、なんとかなる、がどのような範囲なのか分からないので、何ともいえません。
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1-1.親が認知症になってしまうと・・・
医療技術などの進歩により平均寿命がのび日本自体が長寿化としています。
健康寿命と本来の寿命との差が10年。今後も伸び続ける予測が立ており、「独居老人、老老介護」という言葉も出てくるほど。その反面、認知症が問題となっています。
認知症になってしまうと、介護等の問題だけではなく、契約などをする際法律上必要とされる判断能力がない状態になります。結果、様々な行為・契約に制限がかかり、親の財産が動かせなくなるのです。
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認知症になってしまうと、当然に法律上必要とされる判断能力がない状態になるわけではありません。親の財産を動かす必要があるのか、個別具体的な検討が必要だと思います。
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例えば、・親が入所する施設のための費用を親の預貯金から引出・振込ができない。・介護施設に入所後の親が住んでいる家を売ることができない。
・親の代わりに賃貸物件の管理や修繕、建替えができない。などなど。
相続対策についても当然検討する必要がありますが、それと同時に生前の財産管理も併せて行わなければならない状況となっています。
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キャッシュカードがあれば振込みは出来るかと思います。住んでいる家や賃貸物件の管理や修繕・建替えは法定の成年後見人でも必要があれば可能だと考えられます。
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このような認知症や認知症になった後のことを元気なうちから親にするのは気が引ける…という方は非常に多いでしょう。市場調査でも、7割の人は認知症に関することを親と会話していないのが現状です。(「認知症」に関する調査結果」 2018年 SOMPOホールディングス株式会社 調査)しかし、認知症になってしまったら、介護費用に充てるために自宅を貸したり、親の預貯金を引き出したりができないのです。そのような状態になってしまったら、あなたもご両親も困ってしまいます。もし、このことについて少しでも不安や心配があるのであれば、是非この後の内容も読んでみてください。
1-2.「認知症」を契機としてとるべき対策
認知症後の財産管理対策の必要性については、前のタイトルでお伝えしました。その他の対策はどうなのでしょうか?親の財産管理に関する話をするタイミングは、これまで「相続」を契機としていました。多くの人が、・財産の分け方(遺産分割対策)・相続税をいかに下げるか(相続税対策)に関する話し合いを本人が亡くなるか少し前にするイメージではないでしょうか?しかし、もしそうなると、本人の意思を全く無視した話し合いになる可能性があります。「親の資産についてどう分けるか」について、子供同士が親なしで話し合おうとすることが争続に発展する原因の一つです。親の資産については、親の決定権が絶対なのですから。
もし、親を入れて円満に相続するのであれば、事前対策をしておく必要がありますが、遺言作成や生前贈与をするにしても本人の意思判断能力は必要です。また、現代では、「代々受け継いだ土地をそのまま残したい」「兄弟仲良く半分ずつ分けたい」「この人には財産を渡したくない」といったように要望が多様化していますね。そんな中で「これをやっておけば大丈夫」といったすべての人に適合する対策はありません。
1)まずは、具体的に、ご両親の認知症によって発生する将来考えられるリスクを顕在化すること。
2)そして、財産状況や本人や家族の希望を見てそれに合うような対策をとるか検討すること。この2つの行動をしていく必要があります。これを避けて、何もしなかった場合、例えば、親の財産が凍結し、不動産売却や賃貸契約、預貯金の引出しができなると、介護や通院費用等を捻出がむずかしくなる可能性もあります。そのために、「財産管理対策」に加えて、「遺産分割対策」「相続税対策」についても認知症をきっかけに話し合うことが重要なのです。
【本日のまとめ】
◎認知症になってしまうと、判断能力がない状態と 判断されてしまい、介護費用に充てるために自宅を貸す・売る等の契約をしたり、親の預貯金を引 き出したりできなくなる。
◎相続対策も意思能力が必要なので、「認知症」を 契機に「財産管理対策」「遺産分割対策」「相続税対策」を家族で話し合う機会が必要。
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このような一連の記事も、人生会議で話し合う内容なのかもしれません。私は未だ定義されているような人生会議に参加したことはありませんが、どのような関わり方が出来るのか、考えてみたいと思います。
ただ、これらの記事、特に成年後見や地域連携を前面に出す記載は、成年後見の審判開始の申立て書作成や成年後見人の仕事について支援するなど、直接成年後見人になる、ということは考えていないと思います。民事信託・家族信託など報酬になる仕事が来ることを考えてのものだと思います。