課税標準額160万円の土地を、亡甲と乙の共有に相続登記する場合、亡甲名義にするのは死者への登記だから非課税、乙名義にするのは持分だけ見れば100万円以下で非課税となるか。
・・・ならない。租税特別措置法第84条の2の3第1項は課税標準たる不動産の価格が要件。同法同条第2項に該当するかどうかとは別。
租税特別措置法
(相続に係る所有権の移転登記等の免税)
第八十四条の二の三
例えば、160万円の土地と100万円の各土地を、亡甲と乙でそれぞれ2分の1ずつ取得する場合。
乙が取得する160万円の2分の1の持分について租税特別措置法84条の2の3第2項の適用があるか。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
※1不動産の所有権の持分の取得に係るものである場合は、当該不動産全体の価額に持分の割合を乗じて計算した額が不動産の価額となります。
・H30.11.30日司連常発第124号
上の画像のように理解していましたが、改めて考えてみると下が正解のようです。とあるSNSで出したのは私なので、直接指摘していただきたかったのですが、その先生の方針なので仕方がないですね。
既に亡くなっている者との共有名義にする相続登記
とあるSNSで出ていましたが、固定資産評価額が160万円の土地につき、持分2分の1:亡A、持分2分の1:Bとする相続登記をする場合の登録免許税の算出方法はどうでしょうか。
この場合、租税特別措置法第84条の2の3第1項により、亡Aが相続する持分2分の1の部分については非課税になります。
そして、Bが相続する持分2分の1の部分についてはどうでしょうか。Bが相続する持分2分の1の部分の価格は80万円になります。そうすると、今回の相続登記の課税価格はBが取得する分になり、100万円以下になるため、租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税になります。
なお、固定資産評価額が160万円の土地をAとBが持分2分の1ずつ相続する場合、課税価格は160万円になるため、租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用はありません。この点は注意が必要ですね。
・別の意見
移転する持分は2分の2なので、持ち分の価格をかけても2分の2のままで非課税とはならない。
・・・これも考えてみると、納得感はあります。ただ、亡甲2分の1名義と乙名義:持分2分の1の登記を別件で申請した場合を考えると、上のブログ記事の考え方となるのかなと思います。
2023/03/27追記
登記研究901号(令和5年3月号)、テイハン、質疑応答〔8006〕共同相続における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否について