「基礎から学ぶ電子契約」研修メモ

令和3年度業務研修会(民事法分野)「基礎から学ぶ電子契約」

日本司法書士会連合会司法書士中央研修所

目 次

■第1講「司法書士実務における電子署名の留意点」 ······· 3

■第2講「電子契約とその法的裏付け」 ············ 57

■第3講「使ってみよう!電子契約システムや日司連公的個人認証有効性確認システム!~画面共有による電子契約ソフト及び日司連公的個人認証有効確認システムの実践~」 ······· 95

第1講

「司法書士実務における電子署名の留意点」

司法書士隂山克典

なぜ今電子署名か・・・?

書面・押印・対面原則の見直しにより、社会全体のデジタル化が進んでいる

電子契約を採用する企業の増加

証拠力の確保のための方策が必要

電子署名をはじめとしたデジタルトラストを再確認する必要がある

デジタル化に関する議論

世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画

成長戦略フォローアップ

規制改革実施計画

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画

経済財政運営と改革の基本方針2020

事業環境改善に向けた取組について(改訂2020)

デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)

デジタル社会の実現に向けた重点計画

経済財政運営と改革の基本方針2021

規制改革推進に関する答申~デジタル社会に向けた規制改革の「実現」~

デジタル社会の実現に向けた重点計画

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20210615/siryou6.pdf

 マイナンバーカードの普及に加え、電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書、法人共通認証基盤(GビズID)の普及に関する取組を更に強力に推進するとともに、確実な本人認証を実現するための技術動向を注視

 ID・認証の基盤として、電子署名等の普及を推進することや、新たな認証の仕組みの検討を進める必要があるとともに、社会における情報通信インフラの整備・維持・充実に取り組むべき

電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書の普及

 電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書については、今後、活用の機会が増加し、多様化すると考えられることから、普及を更に強力に推進する。

 商業登記電子証明書について、法人の本人確認をデジタル完結させる手段として一般的に利用されるよう広報活動を行う。令和3年度(2021年度)中に、利便性の向上策や無償化の可否を検討する。あわせて、クラウド化に向けた検討を行う。また、費用対効果も踏まえつつ、令和7年度(2025年度)までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す。

 マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載については、令和3年度(2021年度)末までに技術検証・システム設計を行い、令和4年度(2022年度)中の実現を目指す。

 公的個人認証だけでなく、券面入力補助機能など、マイナンバーカードの持つ他の機能についても、優れたUI・UX を目指し、スマートフォンへの搭載方法を検討する。

共通的な認証・署名の利用

・個人の電子署名については、マイナンバーカードによる電子署名

・個人の電子認証については、マイナンバーカードによる電子利用者証明

・法人の電子署名については、商業登記電子証明書等

・法人の電子認証については、GビズID

電子署名と電子認証の違いは。

電子署名・・・電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること、当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであることのいずれも満たす署名。

電子認証・・・自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者に係るものであることを証明する業務をいう。

電子署名及び認証業務に関する法律2条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

 公的個人認証サービスの民間利用の拡大を推進する。また、個人の署名・認証に利用するアプリケーションについては、独自構築による乱立を避けるため、マイナポータルAP(アプリケーション)の活用を原則とする。

デジタル社会の実現に向けた重点計画

マイナンバーカードの普及、マイナンバーの利活用促進

マイナンバーカードの健康保険証としての利用

 令和3年(2021年)3月から開始したプレ運用を継続し、遅くとも同年10月までに本格運用を開始する。令和4年度(2022年度)末までに概ね全ての医療機関等で健康保険証としての利用ができることを目指し、医療機関等での環境整備を推進する。

運転免許証との一体化

 令和6年度(2024年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024年度)末までに警察庁の共通基盤上に集約する。

運転免許証及び運転免許証作成システム等仕様書(仕様書バージョン番号:009) 警察庁丁運発第150号

令 和3年6月30 日警察庁交通局運転免許課長

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20210630_150.pdf

オンライン利用率を大胆に引き上げる取組

行政手続の100%オンライン利用

令和3年6月18日閣議決定

 法務省は、商業登記・不動産登記に係る手続について、オンライン利用率が中程度となっていることを踏まえ、まずは、オンライン利用の向上を図る。併せて、司法書士等による手続代行が多いことを踏まえ、デジタル化を抜本的に進める上で司法書士等の果たすべき役割について検討を行う。

電子署名に関する動向~リモート署名や事業者署名型電子署名について~

リモート署名や事業者署名型(立会人型)電子署名がなされた場合の添付情報

 法務省通知や、主務三省Q&Aにより、ローカル署名のみならず、リモート署名や事業者署名型電子署名の場合であっても、商業登記における添付情報の適格性が認められることがある

  今後、司法書士のもとに、事業者署名型電子署名がなされた情報にて登記申請をしてほしいという依頼が増加することも考えられる。商業登記のみならず、不動産登記にも波及する可能性もある。そのため、電子署名について、検討しておく必要がある。

押印と電子署名の比較

日本トラストテクノロジー協議会「リモート署名ガイドライン」

https://www.jnsa.org/result/jt2a/2020/index.html

リモート署名について

署名鍵は「署名者」が保管

署名鍵は「事業者」が保管

※ 署名者の指示に基づき電子署名を実施

事業者署名型電子署名について

ローカル署名とリモート署名を紙で考えると・・・

銀行が署名、銀行が印鑑証明書を発行、というのがよく分かりませんでした。

事業者署名型電子署名に関する行政解釈

令和2年7月17日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法2条1項に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei_qa.html

➢ 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はBであると評価することができるものと考えられる。

・Aは、使者という構成なのでしょうか。

 このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。

 上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっているなど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には,これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当該利用者)の作成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署名法第2条第1項第1号)を満たすことになるものと考えられる。

令和2年9月4日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

 電子署名法第3条の規定は、電子文書(デジタル情報)について、本人すなわち当該電子文書の作成名義人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件?を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われていると認められる場合に、当該作成名義人が当該電子文書を作成したことが推定されることを定めるもの

この電子署名法第3条の規定が適用されるためには、次の要件が満たされる必要がある。

① 電子文書に電子署名法第3条に規定する電子署名が付されていること。

② 上記電子署名が本人(電子文書の作成名義人)の意思に基づき行われたものであること。

 電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するためには、同法第2条に規定する電子署名に該当するものであることに加え、「これ(その電子署名)を行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるもの」に該当するものでなければならない。電子署名法第3条における「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」とは、どのようなものか。

電子署名及び認証業務に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

 電子署名法第3条に規定する電子署名について同法第2条に規定する電子署名よりもさらにその要件を加重しているのは、同法第3条が電子文書の成立の真正を推定するという効果を生じさせるものだからである。すなわち、このような効果を生じさせるためには、その前提として、暗号化等の措置を行うための符号について、他人が容易に同一のものを作成することができないと認められることが必要であり(以下では、この要件のことを「固有性の要件」などという。)、そのためには、当該電子署名について相応の技術的水準が要求されることになるものと考えられる。したがって、電子署名のうち、例えば、十分な暗号強度を有し他人が容易に同一の鍵を作成できないものである場合には、同条の推定規定が適用されることとなる

  電子署名法第3条において、電子署名が「本人による」ものであることを要件としているのは、電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたものであることを要求する趣旨

  電子署名法第3条が適用されるためには、同サービスが同条に規定する電子署名に該当すること及び当該電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたことが必要となる

 サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービスは、電子署名法第3条との関係では、どのように位置付けられるのか。

サービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するためには、その前提として、同法第2条第1項に規定する電子署名に該当する必要がある。この点については、第2条関係Q&Aにおいて、既に一定の考え方を示したとおり、同サービスの提供について、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されているものであり、かつサービス提供事業者が電子文書に行った措置について付随情報を含めて全体を1つの措置と捉え直すことによって、当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には、同法第2条第1項に規定する電子署名に該当すると考えられる

 サービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するには、更に、当該サービスが本人でなければ行うことができないものでなければならないこととされている。そして、この要件を満たすためには、同条に規定する電子署名の要件が加重されている趣旨に照らし、当該サービスが十分な水準の固有性を満たしていること(固有性の要件)が必要であると考えられる。

より具体的には、上記サービスが十分な水準の固有性を満たしていると認められるためには、利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス及び2.1における利用者の行為を受けてサービス提供事業者内部で行われるプロセスのいずれにおいても十分な水準の固有性が満たされている必要があると考えられる

利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス・・・電子署名を付与することを許容する電子メールの送信など。

利用者の行為を受けてサービス提供事業者内部で行われるプロセス・・・電子署名の付与など。

  ①及び②のプロセスにおいて十分な水準の固有性を満たしているかについては、システムやサービス全体のセキュリティを評価して判断されることになると考えられるが、例えば、①のプロセスについては、利用者が2要素による認証を受けなければ措置を行うことができない仕組みが備わっているような場合には、十分な水準の固有性が満たされていると認められ得ると考えられる。

 2要素による認証の例としては、利用者が、あらかじめ登録されたメールアドレス及びログインパスワードの入力に加え、スマートフォンへのSMS送信や手元にあるトークンの利用等当該メールアドレスの利用以外の手段により取得したワンタイム・パスワードの入力を行うことにより認証するものなどが挙げられる

 サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービスは、電子署名法第3条との関係では、どのように位置付けられるのか。

 2のプロセスについては、サービス提供事業者が当該事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う措置について、暗号の強度や利用者毎の個別性を担保する仕組み(例えばシステム処理が当該利用者に紐付いて適切に行われること)等に照らし、電子文書が利用者の作成に係るものであることを示すための措置として十分な水準の固有性が満たされていると評価できるものである場合には、固有性の要件を満たすものと考えられる

令和2年9月4日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

 あるサービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するか否かは、個別の事案における具体的な事情を踏まえた裁判所の判断に委ねられるべき事柄ではあるものの、一般論として、上記サービスは、①及び②のプロセスのいずれについても十分な水準の固有性が満たされていると認められる場合には、電子署名法第3条の電子署名に該当するものと認められることとなるものと考えられる。したがって、同条に規定する電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたと認められる場合には、電子署名法第3条の規定により、当該電子文書は真正に成立したものと推定されることとなると考えられる

Aさんの意思、Bさんの意思。Aさんの容貌、住所、氏名、生年月日などは担保しない。

取り扱うことの多い電子署名~PDFへの電子署名やXML形式の電子署名~

電子署名の形式

司法書士が取り扱う多くの電子署名は、PDFに対して付与されていると思われる

署名フィールド(可視署名の場合)

不可視署名の場合、印影のようなものは表示されない

このようなファイルを交付されたら・・・?    

電子署名の形式

申請用総合ソフトを活用した場合、XML形式の署名が付与されることも

XML形式

https://support.microsoft.com/ja-jp/office/%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE-xml-a87d234d-4c2e-4409-9cbc-45e4eb857d44

PDFに電子署名を付与する場合は埋め込むイメージ

XMLの場合は紐づくイメージ

XML形式の署名を受領した際の留意点

埋め込みをせず、署名データを生成しているため、元のデータに変更を加えると、検証不可となる→紐づかない

ファイル名を変更せず検証

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/using/validating-digital-signatures.html

PDFデータに変更を加えた場合は、改ざんされていると表示される

PDFへの電子署名の場合は、署名パネル上、改ざんが分かる

マイナンバーカードで電子署名を付与したいけど、有料のソフトが必要だと聞きました。設定も難しそうです。何かいい方法はありませんか?

法務省が提供している「申請用総合ソフト」を活用すれば、無料でマイナンバーカードによる電子署名を付与することができます(カードリーダーは必要です)

※ 申請用総合ソフトでは、ファイル添付する際、使用することのできない文字があるため、予め説明をしておく必要がある。

ファイル名が「211023 電子契約の基礎」とされている場合で、そのまま申請用総合ソフトにてXML形式の署名を付与すると、スペースがあるため添付不可となる。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/faq/faq_110.html

アラートが出るため、ファイル名変更後、電子署名を行う必要あり

電子署名の信頼性

どこから発行されている電子証明書による電子署名であるかを確認する必要がある

一般論として、認定認証事業者が発行しているものは、厳格な本人確認を実施している

特定認証事業者が発行しているものは、判子でいう「認印」相当であると整理されることが多い

事業者署名型電子署名の場合、どこの電子証明書が使用されているのかを確認する必要がある

Self-Signの場合、信頼性は皆無と言ってよい

司法書士の電子証明書

SECOM Trust.net Co.,Ltdが発行している

認定認証事業者一覧

https://esac.jipdec.or.jp/accreditedca-list.html

商業登記に基づく電子証明書

Registrar of Tokyo Legal Affairs Bureau

https://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/

認定認証事業者であるセコムの電子証明書

セコムが確認した上で払い出された電子証明書・・・信頼できる

法務局の電子証明書

法務局が確認した上で払い出された企業の電子証明書・・・信頼できる

事業者署名型電子署名の電子証明書

最上位の電子証明書(ルート証明書)

中間証明書

電子署名を付した者

商業登記申請で許容されている電子証明書は頻繁に更新されるため、都度、確認が必要

Self-Signの電子証明書

「○○司法書士によって署名」「司法書士事務所司法書士○○」とあるため、何となく信頼できそうな気も・・・Self-Signの電子証明書・・・信頼?

セルフ電子署名でPDFが改ざんされていないことを証明する

https://ascii.jp/elem/000/004/019/4019405/

不動産登記と電子署名

売主法務太郎

買主乙野花子

仲介契約書、売買契約書、重要事項説明書etc金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書

不動産登記と電子署名

ITを活用した重要事項説明

eKYCによる本人確認

電子契約の採用

買主乙野花子

売主法務太郎

xID株式会社

個人情報保護委員会への当社xIDアプリの個人番号入力に関する説明について 2021.10.6

https://xid.inc/news/40/0

不動産登記と電子署名

クラウド上での抵当権設定契約書等作成

登記原因証明情報として活用できるか?

クラウド上での売買契約書作成

クラウド上で作成した売買契約書(クラウドサインを利用)

法務太郎の署名パネル

乙野花子の署名パネル

サイバートラスト社が発行する弁護士ドットコムの電子証明書

乙野花子の指示により、機械的に措置されたことを示す画面

不動産登記と電子署名

不動産登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416CO0000000379

(電子署名)第十二条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。

(電子証明書の送信)第十四条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合において、電子署名が行われている情報を送信するときは、電子証明書(電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。)であって法務省令で定めるものを併せて送信しなければならない。

不動産登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

(電子証明書)第四十三条 電子証明書は、第四十七条第三号イからニまでに掲げる者に該当する申請人又はその代表者若しくは代理人が申請情報又は委任による代理人の権限を証する情報に電子署名を行った場合にあっては、次に掲げる電子証明書とする。ただし、第三号に掲げる電子証明書については、第一号及び第二号に掲げる電子証明書を取得することができない場合に限る。

一 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第三条第一項の規定に基づき作成された署名用電子証明書(マイナンバーカードによる電子署名、電子証明書

二 電子署名を行った者が商業登記法第十二条の二(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する印鑑提出者であるときは、商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第三十三条の八第二項(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書(商業登記に基づく電子署名、電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書その他の電子証明書であって、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により電子署名を行った者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四 官庁又は公署が嘱託する場合にあっては、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるもの

2 前項本文に規定する場合以外の場合にあっては、令第十四条の法務省令で定める電子証明書は、同項各号に掲げる電子証明書又はこれに準ずる電子証明書として法務大臣の定めるものとする。

不動産登記申請につき、令和3年9月24日時点では、事業者署名型電子署名について、法務大臣が定めているものは見受けられない

この署名は、不可視署名であるため、印影のようなものは画面に現れない

マイナンバーカードにより署名されたものであるため、この署名が甲のものであれば、登記原因証明情報として利用可能であると思われる。署名プロパティを確認

署名プロパティを確認

最上位の電子証明書(ルート証明書)

電子署名を付した者は、公的個人認証(マイナンバーカード)による電子署名であることが分かる

AcrobatReader の場合、PDFから直ちに基本4情報を知ることはできない

※ 基本4情報

・氏名・住所・生年月日・性別

PDF のプロパティとメタデータ

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/using/pdf-properties-metadata.html

PDFファイルから基本4情報を確認する方法

署名パネルを開き、署名プロパティをクリック後、「署名者の証明書を表示」を選択「書き出し」を選択

任意の場所に保管

証明書ファイルを選択

PKI利用者ソフトを立ち上げる

ソフト

https://www.jpki.go.jp/download/

先ほど保存した電子証明書を選択

証明書を選択すると、基本4情報等が表示される

有効性確認のためにはパスワードの入力が必要

対面の場合、パスワードを入力してもらうことで、同時点の有効性検証はできる

当事者がマイナンバーカードを持参していれば、有効性検証ができる

スマホアプリで券面の確認も可能

その他にも・・・・マイナンバーカード・運転免許証・パスポート・在留カードの読取りが可能

買主乙野花子

売主法務太郎

システム構築前の不動産登記の現実的な完全オンライン申請の方法

登記原因証明情報や委任状等に電子署名

現場の確認

司法書士のPCやICカードリーダ等を活用

・対面取引における完全オンライン申請の一例

・公的個人認証に関しても、検証可能

完全オンライン申請

市町村から法務局への評価額通知のオンライン提供の拡大推進、登記手続等における固定資産税

※ 固定資産評価額の課税明細書はあらかじめ情報収集(現状の実務と変化なし)

※ 法務局における紙資料の保管については、別途規律が必要

失効確認の要求

失効確認の応答

地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

第一段階

依頼者の署名用電子証明書について、有効性確認

有効性検証結果の確認

有効性検証要求電子署名

第二段階

第一段階①の署名用電子証明書から変更されていない旨の確認。パスワード入力不要

商業登記と電子署名

印鑑届出の任意化

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)により、商業登記法20条が削除

日本経済再生本部「法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて」9頁より

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/index.html

物理的な会社実印を有していない法人が登場することとなる

商業法人登記のみならず、不動産登記や契約実務にも影響を与えることが考えられる

ハイブリッド型バーチャル株主総会

リアル株主総会

参加型出席型

・遠隔地であっても傍聴可能

・質問や動議は不可

・議決権の行使はできない

・遠隔地であっても出席可能

・質問や動議も可能

・議決権の行使もできる

どのような場合に決議取消事由にあたるか、経験則が不足

書面や電磁的記録による事前の議決権行使は可能

バーチャル株主総会

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要

上場会社が経産大臣及び法務大臣による確認を受けた場合は、バーチャルオンリー株主総会を実施できる特例を設ける

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000707.000006428.html

株主総会議事録や取締役会議事録のデジタル化は今後も進むと思われる

 商業登記に基づく電子署名のみではなく、公的個人認証に基づく電子署名や事業者署名型電子署名の場合であっても添付情報適格が認められることとなったため、様々な電子署名の類型を把握しておく必要がある

登記申請に利用できる電子証明書の追加

令和3年9月7日確認

商業登記と電子署名

(GMO電子印鑑Agree(GMOクラウド株式会社))のサービスを利用した辞任届

署名パネルに画像埋め込み

タイムスタンプも付与される不一致

令和3年1月6日に同様のサービスを利用※ 現時点では対応済み

※ 関係者が増えると署名のプロパティ確認も増えることとなる

※ 商業登記に基づく電子署名や公的個人認証による電子署名が求められる場合、サービスによっては、データをアップロードした段階でリセットされることがあるため、最後に署名を付与したほうが無難

長期署名(LTV)対応

事業者署名型電子署名公的個人認証による電子署名

長期署名(LTV)非対応

株主総会議事録の備置義務から、LTV対応の署名を付した後、登記用の電子署名を付すことも一案

Adobe AcrobatでのPDFデジタル署名の長期検証(LTV)

https://www.ssl.com/ja/%E6%96%B9%E6%B3%95/Adobe-Acrobat%E3%81%A7%E3%81%AEPDF%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E7%BD%B2%E5%90%8D%E3%81%AE%E9%95%B7%E6%9C%9F%E6%A4%9C%E8%A8%BCLTV/

裁判業務と電子署名

契約実務の変容と裁判のIT化

金銭消費貸借契約

金銭消費貸借契約書

甲は、乙に対し、金100万円を貸し渡した

金銭消費貸借契約で契約の成立を、印鑑証明書で乙野花子の意思に基づくことを立証するというプラクティス押印が認印によるものであったとしても、上記と同様成立を否認された場合は、他の間接事実から立証していくこととなる

公的個人認証による場合

電子署名生成プログラム

乙電子署名

実印相当と整理される

cf 認定認証事業者発行のものも実印相当と整理される。これに対し、特定認証事業者発行のものは認印と整理される

事業者署名型の場合

① 情報のアップロード

② 指定のアドレスへ通知

③ 内容確認、承諾④ 完了通知

乙の指示に基づき、事業者の意思を介在させず機械的に処理

署名のバージョンを比較すると、金額を改ざんしていることが明らかになる

何月何日、何時何分に、誰がどの書類を閲覧、署名したか、記録上明らかであると考えられる

否認された場合、履歴等を示すことで、一定程度の立証活動が可能となる

※ あくまでも、当該メールアドレスに送付されたリンクからのアクセスがあったことを示すのみであり、身元確認が適正になされているかは別問題・・・事業者には、そもそも意思確認のみで、身元確認は要求されていない。

※ この点は、メールのやり取りや名刺に記載されているメールアドレス等から立証していくことになると思われる

※ サービスによっては、身元確認を実施することもある

※ 履歴記載の時刻につき、どの時刻源を採用しているかは事業者に確認する必要がある

※ DocuSignの履歴画面

電子署名のトピック

令和3年1月21日付日本経済新聞「弁護士ドットコム、マイナンバー連動の電子署名」

各種契約書等をアップロード公的個人認証法に基づく電子署名

〇売買、遺産分割、抵当権設定、各種議事録、委任状etc

令和3年2月2日付内閣府規制改革推進室「会計手続におけるクラウド型電子署名サービスの活用に当たっての考え方」、同5日付「規制について規定する法律及び法律に基づく命令の解釈等に関する回答書」(20210105情第1号)国や地方公共団体の契約についても、事業者署名型電子署名が活用できることが明確に

https://www.gmosign.com/function/mynumber/

国や地方公共団体の契約が、事業者署名型電子署名を採用すると・・・民間でも事業者署名型電子署名に対する抵抗感が薄れることも・・・

先の公的個人認証法に基づく電子署名の取込み機能も相まって、事業者署名型電子署名との併用活用も考えられる・・・登記原因証明情報と委任状は公的認証局、特定認証業務。その他の添付情報は、認定認証業務による認証など。

登記や裁判関係業務、財産管理業務等にも影響が及ぶこととなり得る

第2講「電子契約とその法的裏付け」宮内宏弁護士

■著書:宮内編・著:「3訂版電子契約の教科書」日本法令,

■電子契約とは

●契約書を電子文書で,または注文書・請書を電子文書で作成し交付する契約。

■電子契約のメリット

●印紙代削減(電子文書には印紙が不要)

●作業効率の向上・文書関係費用の削減

●コンプライアンス向上

監査が容易。密行的な監査も可能。

●BCP(Business Continuity Plan)への貢献

ワークフローと紙文書

■社内はワークフローで電子化,しかし相手方との間は紙という現実!

●電子的な作成後,印刷・押印・封緘等して郵送。

●受取側では,紙の内容をコンピュータに入力。

電子契約ASP

ASPの機能を用いて電子文書作成、電子署名生成

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security_previous/kiso/k01_asp.htm

A社署名付電子契約書を格納

通知

閲覧

ASPの機能を用いて電子署名生成

電子契約書確認

両社の署名付電子契約書を格納

通知・閲覧

電子契約書確認

ASPタイプの電子契約システム

■ASPで電子契約ができるシステムが開発・利用されている。

電子契約の導入例① 建設業

■最初に電子契約が普及したのは建設業だった。

■国土交通省と財団法人建設業振興基金が中心となって,CI-NET(Construction Industry NETwork)を定めた。

https://www.kensetsu-kikin.or.jp/ci-net/cinet/teigi.html

●見積,購買・契約,請求・決済までの過程の帳票電子化の標準を規定。

●ASPの基準を策定(自社システム,ベンダーによるASPの双方について)

■いわば建設業のEDIの発展形として,業界では広く使われるようになった。

※ コンビニエンスストアチェーンによる建設工事の電子化も例がある。

電子契約の導入例 購買部門

■大企業の購買部門が,仕入先との間に電子契約を導入する例が多い。

■化学事業の企業の導入例

●取引先は2000社にのぼる

●請求書と検収明細の照合など,書類によるチェックが煩雑なため,金額相違などの問題が生じていた。

●検収明細兼請求書を電子文書で作成し,取引先に送付。取引先では電子署名を付して返送,というフローになった。

●照合の問題がなくなり,請求業務の迅速化を実現。

●導入後2年で,月1000件ほどの請求業務の75%が電子化できた。現在,子会社にも展開中。

電子契約の導入例  銀行

■融資の電子契約が広がりつつある。

●三井住友銀行(H27)

法人融資の電子契約(当座借越の極度契約,証書貸付の金銭消費貸借契約など)

●三菱東京UFJ銀行(H29年)

住宅ローンの電子化(マイナンバーカード利用)

●みずほ銀行(H29年)

みずほ電子契約サービス

■銀行でも導入しているという効果が,他の業種への電子契約普及を促進している。

電子契約の法的有効性

契約書は何のために作るか

■多くの契約は,口頭でも成立する

●契約は,申込と承諾により,合意されることにより成立する(民法522条1項)。

●契約書は,一般的には契約の要件ではない(民法522条2項)。ただし,後述のとおり例外はある。

●契約の成立や内容について争いが生じた場合には,証拠が必要となる。

■契約書等の文書は,訴訟において証拠となる。

●契約書の末尾には,「本契約の成立を証するため,本書2通を作成し,甲乙記名押印の上,各自1通を保存する」と書いてあることが多い。これは,証拠として作成するためのもの。

●証拠として提出するには一定の制限(後述)があるが,電子文書であっても提出可能。

民法522条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(契約の成立と方式)

第五百二十二条契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

紙の文書と電子文書

■法律で「書面」が要求されていることがある。この場合には,紙が原則である。

●一般論としては,電磁的記録(電子文書)は書面と認められていない

●書面が求められていても,電磁的記録を書面とみなす規定があれば電子化可能

民法446条2項:保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

同条3項:保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

■ほぼすべての契約書が電子化可能→契約情報という名前が出てくるかもしれません。

●書面を必要とする規定がないか,あっても電磁的記録(電子文書)で代えられる規定があれば電子化可能

●契約時に交付すべき書面について,紙が必要なものもある

紙が必要な契約類型など

■契約書に書面を要するものの例

●定期借地契約(借地借家法22条)・定期借家契約(同法38条)

※ いずれも「公正証書による等書面によって」契約することが求められている

■契約時に書面を交付する必要がある契約の例

●宅建法上の重要事項説明書(宅建法35条)

※書面を交付して説明することが求められている。

●訪問販売におけるクーリングオフの文書(特商法4条)

★借地借家法,宅建法,特商法の改正により,これらは電子化可能となる(施行は来年以降)。

■遺言書は書面(紙)しか認められていない

→遺言は契約ではない。単独行為でも契約と同じ対応は出来ると思います。

契約書の電子化の可否

■電子契約が可能な場合

●法令で「書面」に限定されていない場合

●法令で「書面」に限定されているが,電磁的記録(電子文書)で代えられる旨の規定がある場合

■電子契約ができない場合

●法令で「書面」に限定されており,電磁的記録で代えられる旨の規定がない場合

※ 契約時に書面を交付しなければならない契約類型がある。この点には注意が必要

■民事訴訟で文書に証拠力を持たせるためには,「真正な成立」を証明する必要がある。(民事訴訟法228条1項)

民事訴訟法(文書の成立)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=408AC0000000109

第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。

3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。

4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

真正な成立とその推定

■真正な成立とは

●その文書の作成者とされる人(本人)が,本人の意思で作成したこと。いわば本人性のこと。

●例えば,借用証を証拠として提出する場合に,返済を請求される人が書いたものでなければ意味がない。したがって,本人(借用証の作成名義人)が作成したことを示す必要がある。

■真正な成立の推定(紙の場合)

●民事訴訟法228条4項

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

署名・押印がされていれば,本人の意思に基づいて作成された文書であると,裁判上は扱う。これにより,同条1項の真正な成立の証明の要件を満たす。

電子署名法による真正な成立の推定(電子署名の推定効)

■電子文書については,一定の条件を満たす電子署名があれば,真正な成立が推定される(推定効)。

電子署名法3条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する

電子署名(デジタル署名)

•一見でたらめなデータ。

•IC-Card内の秘密情報がないと生成できない

•電子文書と密接な関係にある(他の電子文書に流用不可)

実世界の印鑑と対比して考えることができる。印影は、目視で「印影である」とわかるが、電子署名は一見でたらめなデータであり、検証プログラムを使わないと確認できない

RSAについて

https://www.rsa.com/ja-jp

ECDSAについて

https://esac.jipdec.or.jp/why-e-signature/public-key-cryptography.html

電子証明書

■印鑑証明書で実印による押印が確認するように,電子証明書により電子署名の正しさを検証する。

公開鍵=29859656・・・・・・

有効期限: 2022年1月31日

電子署名を検証するための情報

2021年2月1日

○×認証局の電子署名プログラムを使って検証

電子文書内の電子署名・・・本人の持つ秘密鍵を用いて,暗号的手法により作成される

電子署名の検証

電子証明書を用いると、「本人が署名したこと」、「文書が署名後、変更されていないこと」が確認できる(電子署名法2条1項記載の,電子署名の要件を満たす)。

正しい署名か否かの判定結果

確認内容

○○の秘密鍵を使って署名した(署名者の特定)

署名したときと内容が同じ(非改ざん性)。一対一に対応

民間認証局と公的認証局

■民間認証局

●特定認証業務(電子署名法2条3項)

電子証明書を発行する者であって,技術的要件を満たすもの

●認定認証業務(電子署名法4条以下)

電子署名及び認証業務に関する法律

第三章 特定認証業務の認定等 第一節 特定認証業務の認定(認定)

第四条 特定認証業務を行おうとする者は、主務大臣の認定を受けることができる。

2 前項の認定を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書その他主務省令で定める書類を主務大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 申請に係る業務の用に供する設備の概要

三 申請に係る業務の実施の方法

3 主務大臣は、第一項の認定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

特定認証業務であって,本人確認手続(戸籍・住民票+免許証等が必要)や発行手順,施設,管理などについて国の調査・認定を受けたもの

■公的認証局

●地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

マイナンバーカード搭載の電子署名機能で用いる電子証明書の発行を行っている。公的個人認証基盤(JPKI)と呼ばれる

https://www.j-lis.go.jp/index.html

公開鍵認証基盤(PKI)の仕組み

●法務局

商業登記に基づいて,会社代表者等に電子証明書を発行代表取締役の登録印に相当する電子署名認証業務(電子証明書の発行主体)

■電子署名法3条の推定効を得るために,認証局の行うべき基準が法令で定められている(本人だけが電子署名をできるようにするための技術的基準)。

■法令上の技術的基準を満たす認証局を「特定認証業務」という(電子署名法2条3項・同施行規則2条)。

■特定認証局のうち,電子証明書発行のための本人確認手続,電子証明書作成手続・交付手順などの基準を満たしたものとして,主務大臣の認定を受けた認証局を「認定認証業務」という(電子署名法4条,6条,同施行規則4条~6条)。

電子署名及び認証業務に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000418002

※ 特定認証業務の中には,認定認証業務相当の処理を行っていると公表しているものもあるが,それは,いわば「自己申告」である(自主的に外部監査を受けているものもある)。

電子証明書の比較

JPKI(マイナンバーカード)

公的個人認証法3条地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

当事者型電子署名(1): ローカル署名

■従来型の(本来の)署名方式

■リモート署名と対比して「ローカル署名」と呼ばれる。

■利用者が秘密鍵を管理するのは大変だし,安全性にも疑問がある。

当事者型電子署名(2): リモート署名

■リモート署名事業者は,署名者の秘密鍵を安全に保管し,署名者の指示に従ってのみ,署名者秘密鍵を用いた電子署名を行う。

※ HSM: Hardware Security Module

https://www.jnsa.org/seminar/skillup/150622/data/kameda.pdf

立会人(目撃証人)の電子署名

■AとBとが契約をする場合,Aの電子署名とBの電子署名を付けるのが自然な考え。(A,Bがそれぞれ押印するのと同様)

■最近,電子契約システムで,AやBは電子署名をしないで,A及びBの意思を確認したS(サーバ)が,このような確認の内容を記載した上でSの電子署名を付けるものが出てきている。

※ 立会人型電子署名,事業者型電子署名,第三者型電子署名などと呼ばれている。

サーバーによる電子署名、という表現がよく分かりませんでした。

当事者の電子署名と事業者の電子署名

■ローカル署名とリモート署名は,どちらも当事者の電子署名を付ける(当事者電子署名方式)

■事業者型電子署名方式では,当事者(AやB)の電子証明書はなく,サーバ(電子契約システム等)の証明書だけが使われる。

登録等指示

当事者型電子署名型利用者が,自分の鍵を自分で管理し,自分の手元で電子署名を生成利用者の鍵をサーバに預け,利用者の指示に従ってサーバで電子署名を生成

利用者の鍵はなく,サーバが立会人として,サーバの電子署名を生成

各方式の特徴

電子署名法3条の適用

事業者型電子署名方式と電子署名法

■2020年7月17日及び9月4日の政府見解により,事業者型電子署名であっても,電子署名法2条1項の電子署名に該当しうること,同法3条の推定が得られうることが示された(*)。

■推定効については,注意が必要。

① 事業者型電子署名であっても,システム利用者による電子署名(電子署名法2条1項)であると認められうる。

② 「本人による」ことを証明するためには,システム利用者=契約当事者だと証明する必要がある。システム登録時等の身元確認が簡易な場合には,訴訟当事者が,利用者=契約当事者だと証明する必要が生じうる。

③ 事業者型電子署名のプロセスの固有性について,具体的な要件は出そろっていない。

(*)利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A

https://www.soumu.go.jp/main_content/000697715.pdf

利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000705576.pdf

電子証明書及び電子署名方式の選択

本人性の確認レベル

■本人確認の厳格さ(訴訟における証明の容易さ)と,利用開始の容易さのトレードオフ=電子契約の重要性に合わせて選択

●電子証明書発行時/利用者登録時の本人確認が厳格であれば,訴訟における当事者の証明は容易になるが,利用開始時の手間は大きい。

●利用開始時の本人確認が簡易であれば,簡単に利用を開始できるが,訴訟における証明はやや難しくなる。➜署名対象文書の重要性等に合わせて,サービスを選択すべき

※一般的に,当事者電子署名方式(ローカル署名・リモート署名)のための電子証明書発行時の本人確認は厳格な者が多く,事業者型電子署名の利用開始時の本人確認は簡易なものが多い。

訴訟における証明のために

■訴訟では,当事者(とされる者)と電子署名の関係を証明する必要がある。

この関係は,電子証明書発行時の本人確認(ローカル署名,リモート署名の場合)や,システムへの登録時の本人確認(事業者型の場合)で確認される。(メールアドレスだけの確認の場合,メールアドレスと当事者の関係は,利用者において証明することになる。)

この関係は,署名生成の安全性により示される。

リモート署名や事業者型の場合には,システムの安全な構築・管理・運用や,記録(ログ)の保存等が確実に行われていたことが必要となる。

電子署名により,電子契約書等に係る真正な成立が推定される(電子署名法3条)

例: 123456@ggggg.com の管理者

例: 東京都新宿区・・・・・の

電子証明書・方式選択の例

■署名対象文書の重要性等に合わせて,電子証明書及びサービスを選択

■例えば,以下の対応が考えられる

●代表取締役の登録印を使用してきた文書➜代表取締役に法務局が発行した電子証明書に基づくローカル署名

●認印又は押印なしの文書➜簡便な本人確認に基づく事業者型電子署名

※これらはあくまでも例であり,このとおりにせよというものではない。各社の状況に合わせて選択すべきである。

タイムスタンプと電子文書の長期保存

電子証明書の有効期限

■電子証明書には有効期限がある。また,電子証明書は有効期限前に失効することもある。

●電子署名は,有効な電子証明書に基づいて行われなければならない。

●電子証明書の有効期限は長くても3年程度。

■有効期限までに作成された電子署名は,実体的には有効。ただし,訴訟においては,有効な期間に作成されたことの証明が必要。

●ただし,タイムスタンプにも有効期限はある

電子文書の保存期間について

■文書の必要な証明期間については,一般的な基準はない。

●行政法(例えば税法)では,多くの文書について保管義務を課し,その期間を定めている。

●しかし,民事訴訟においては,係争において文書の証明が必要となる期間は,一般的には決められない。

■時効との関係

●多くの請求権は最大10年で時効により消滅する(ただし,時効の起算点には注意が必要)。

●土地を購入した場合,購入が証明できなくても,20年占有していれば時効取得できる。

●土地の時効取得は,占有の開始が貸借の場合にはできない(借りているものは,何年たっても時効取得できない)。そうすると,土地を人に貸した場合に,相手に時効取得されないためには,貸借の証拠を20年以上にわたって保持し続けない可能性がある。

■結局,一般論としての保存期間を決めることはできない。通常の文書の保存期間と同様に,文書の重要性等に鑑みて決めることになる。

■タイムスタンプの検証により,タイムスタンプの時刻に,タイムスタンプに対応する電子文書が存在したことを示すことができる。

電子文書ハッシュ関数

ハッシュ関数: 任意の大きさの文字列を入力して,固定長(例えば256bit)を出力する関数。

逆関数の計算が困難に設計されており,ハッシュから文書は作れない。・・・絶対?

電子文書とタイムスタンプをペアで保存

後日,タイムスタンプの検証を行うことにより,当該電子文書が,タイムスタンプの時刻に存在したことを示せる。ハッシュ値だけを送信し本文は送らない

タイムススタンプの認定制度

■一般財団法人日本データ通信協会の認定制度

●技術基準,運用基準,ファシリティ基準,システム安定性基準などに基づいて認定する。( http://www.dekyo.or.jp/tb/index.html 参照)

日本データ通信協会タイムビジネス認定センター

「タイムビジネス信頼・安心認定制度運用規約」 (2021年10月1日改正)

https://www.dekyo.or.jp/tb/announce20210929.html

●電帳法施行規則3条5項2号ハ及び地方税法施行規則25条5項2号ハにて,電磁的記録に付すタイムスタンプには日本データ通信協会の認定を受けたものを使う旨が,指定されている。

■総務省告示により,国の認定制度となった(2021年7月31日施行)

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/timestamp.html

●令和3年総務省告示146号

https://www.soumu.go.jp/main_content/000742664.pdf

■訴訟における取扱い

●利害関係のない第三者の証言は,訴訟において信用性が高い。法令により,公的に用いられていることもプラス要因。今後は国の制度になるので,信頼性はより高まる。

長期署名

■電子署名・タイムスタンプを組合せることにより,電子証明書の有効期間後における署名検証を可能にする。

■長期署名のフォーマットとして,CAdES形式,XAdES形式,PAdES形式などがある。

●電子署名とタイムスタンプを備える(PAdESは,タイムスタンプだけでも可能)

●タイムスタンプの対象として,検証情報(CRLなど)を含めることにより,タイムスタンプの有効期限までの検証が可能。※ 署名生成後に発行されたCRLを含めるために,数日を要することがある。

●タイムスタンプを一定期間ごとに重ねて付与することにより,有効期限の延長が可能となる。※ これらのフォーマットは,ISO, ETSI,JIS などで標準化されている。

■適切に管理し,期限の延長を行えば,長期にわたって証拠性を保てる。

■電子署名が行われた時刻を証明するタイムスタンプ(署名タイムスタンプ)

と,利用者電子署名及び署名タイムスタンプの検証に必要な電子証明書及びそれらの有効性確認情報をアーカイブして,タイムスタンプを施す。

■アーカイブタイムスタンプが有効な期間(通常,10年程度)にわたって,署名検証が可能となる。

各電子証明書に係る有効性確認情報(CRL 又はOCSP)

利用者電子署名・署名タイムスタンプを検証するために必要な電子証明書のセット

■アーカイブタイムスタンプが有効な間に,それを検証するために必要な電子証明書や有効性確認情報をアーカイブして,さらにタイムスタンプを施す。

■アーカイブタイムスタンプごとに,約10年の延長が可能となる。

裁判実務での取り扱い

■電子文書の真正な成立の争いは裁判例に乏しい

原告が,電子文書を証拠として提出

被告が真正成立を争うか

民事訴訟規則145条

特定認証業務の証明+本人性の証明

電子証明書に記載の本人性の証明+リモート署名プロセスの正当性の証明

電子文書プリントアウトして提出するのが一般的。

(電子署名・タイムスタンプの検証結果画面や電子証明書のプリントアウトを併せて提出することも考えられる)

リモート署名

本人の特定(当事者又は事業者)+事業者のプロセスの正当性の証明事業者型署名媒体等で,電子ファイルを証拠提出(裁判手続のIT化で,ファイルを直接送れるようになる見込)

本人性の証明と事業者の関与

■認定を受けていない特定認証業務

●電子証明書発行時の身元確認(認定されていなくても,相当の身元確認をしていることが多い)➜特定認証業務の協力により,本人性を証明

■リモート署名事業者

●利用登録時に,利用者と電子証明書記載の本人との同一性を確認➜電子証明書の本人性の証明に加えて,リモート署名事業者の協力により,本人性を証明

■事業者型電子署名事業者

●事業者によって異なるが,電子メールの到達性などの簡易な方法にとどまるものも多い。➜訴訟当事者において,署名者の特定のための証拠を確保する必要がでてくる可能性がある。

電子取引と税務

■法人等の事業者(個人事業主を含む)は,帳簿の作成,証憑書類の保存などが,税務上義務付けられている(通常は7年間の保存義務がある)

■従来は,全て紙で行われてきたが,一定の条件のもとで,電子的な保存が可能になっている。

■電子帳簿保存法による電子化

●税務署長の承認が必要なもの

帳簿の電子化

紙で受け取った書類をスキャンしたデータでの保存※2021年1月1日以降,承認は不要になる。

●税務署長の承認が不要なもの

電子取引のデータ(初めから電子データの授受による取引)※紙の契約書等には印紙税がかかるものがあるが,電子取引では印紙税不要

印紙税について

■契約書・領収書等には,(一定金額以上の場合に)収入印紙を貼らなければならない。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

●売買契約書,土地の賃貸借契約書,消費貸借(借金等)契約書,運送契約書,請負契約書,基本契約書,領収書などに印紙が必要。

委任契約の場合は印紙不要

■電子契約の場合には印紙は不要

●国会答弁でも,電子契約の場合の印紙が不要であることが確認されている。(平成17年内閣参質162第9号)

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm

電子帳簿保存法

■法人(企業など)では,取引に関係する書類(見積書,契約書,注文書,請書,送り状,領収書など)を7年間(場合によっては10年間)保存しなければならない。

●税務調査のときに,見せる必要がある。

■電子取引の場合には,取引情報を電子的に保存できる(10条)

●電子取引(2条6号)

取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

●一定の条件下では,紙の書類をスキャナで取り込んで電子化したもので保存することも可能(4条3項)

電子的な保存方法

■電子取引の文書以外の書類・帳簿については,電子的な保存にあたって,税務署長の承認が必要。(改正法により,2022年1月1日より承認不要)

■電子取引の文書については,税務署長の承認は不要で

(1) 発信者によるタイムスタンプの付加

(2) 受信者によるタイムスタンプの付加

(3) 訂正・削除を行えないか又は訂正・削除を行った場合にその事実及び内容を確認できるシステムで保存

(4) 正当な理由のない訂正・削除を防止する事務処理規定の設置・運用のいずれかを行う必要がある。

●さらに,速やかな表示・印刷ができること,日付・金額等やその範囲・組み合わせによる検索ができることが要件

電子帳簿保存法改正(2022年1月1日施行)

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000025

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000040043

■税務署長による承認制度の廃止

●帳簿の電子保存,受領書面のスキャンデータでの保存などについて,税務署長の承認制度がなくなる。

■電子取引の取引情報の保存

●電子取引の取引情報について,現行法では印刷した紙による保存が可能だが,改正法では,電子的な保存に限られる。

●このため,保存要件・検索要件が必要になる。

●ただし,データを必要に応じてダウンロードできるようにしている場合には,検索要件は緩和される。さらに,売り上げが1000万円以下の事業者がダウンロード可能にしている場合は,検索要件が不要となる。

電子署名法の今後

デジタル庁創設(2021年5月12日成立・一部を除き9月1日施行)

■デジタル社会形成基本法

●「デジタル社会」を定義

●情報の円滑な流通,アクセシビリティ,人材育成,利便性向上,情報活用,サイバーセキュリティの確保,個人情報の保護などのための施策の基本方針

■デジタル庁設置法

●総務省,経済産業省などに分散していたIT関係の機能を集約し,政府のIT化の司令塔としての役割

●デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針の企画立案・総合調整

●デジタル庁の主な所掌

マイナンバー,マイナンバーカードの利用関係,情報提供ネットワークシステムなどの設置・管理、本人確認,電子証明書,電子署名,電子委任状データの標準化,外部連携,ベース・レジストリ

デジタル庁整備法による主な法改正

法律名内容

民法弁済者は電子領収書を請求することができる(468条2項)

建設業法1)建設工事の見積書の電子交付可能(20条3項)

2)主任技術者の配置に係る合意に電子契約可能(26条の3第4項)

建築士法

管理建築士等は、建築主に対し設計受託契約又は工事監理受託契約の重要事項の説明をするときは、重要事項を記載した書面の交付に代えて、当該建築主の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子契約可能(24条の7第3項)

宅地建物取引法

1)媒介契約の契約時書面の電子化(34条の2)

2)重要事項説明書の電子化(35条)

3)宅建業者自身が行う不動産契約の契約時書面の電子化(37条)

建物の区分所有等に関する法律

マンションの建て替え買取につき、一部電子化(61条)

借地借家法

1)定期借地権設定契約の電子化を認める(22条)

2)定期建物賃借件設定契約の電子化を認める(38条)

3)取り壊し予定の建物の賃借権設定の電子化を認める(39条)

地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律

マイナンバーカードの電子証明書の発行事務を郵便局で行える(2条5項,6項)

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(公的個人認証法)

マイナンバーカードの電子証明書に関する利便性改善(地方公共団体情報システム機構(J-LIS)による情報提供に関する改正)

マイナンバーカードの署名用電子証明書をスマホに搭載

個人情報保護法三法及び条例の一本化,学術研究目的における規制緩和など

施行時期・・・大部分は,令和三年九月一日から施行

・宅地建物取引業法,公的個人認証法,個人情報保護法等は,政令で定める日

から施行

■包括的データ戦略(案)を2021年5月に策定

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai7/siryou8-1.pdf

包括的データ戦略(案): トラストの基盤の構築

①認定スキームの創設 【認定スキームの想定イメージ】

意思表示の証明、発行元証明、存在証明等に関するトラストサービスについて、

適合性評価機関が一定の基準に基づき評価し、クオリファイドサービス?として認定するスキームを創設

クオリファイドサービスについて

https://www.ipa.go.jp/security/pki/092.html

・適合性評価機関は、国又は民間主導の認定機関が認定

②トラスト基盤の創設

・国又は民間主導の認定機関及び適合性評価機関の役割の明確化及びトラストサービス事業者に対する認定・監督等の一般原則と共通要件を検討

③認定の効果

・クオリファイドサービスの認定の効果、特定サービスの効果を、官民間の公的手続きにおける許容性や民民間の書類やデータの流通性等のニーズを把握した上で検討

④認定基準

・トラストサービスの共通要件・個別要件、特定サービスの基準、クオリファイドサービスの認定基準を体系化することが必要(設備基準、技術基準、運用基準等)

・適合性評価機関の指定(認定)基準について、国際的な動向を踏まえることが必要

⑤クオリファイドサービスをトラステッドリストとして公表

・認定を受けたクオリファイドサービスを、トラストアンカー機能を有するものとして機械可読な形で公表し、利用者が自動的に検証できるようにすることが必要

⑥国際的な相互承認

・国際的な相互承認を得るためには、技術基準の整合性や監督・適合性評価のレベル、国内制度の整合性を確認することが必要

電子署名法や公的個人認証法など個別の制度構築がなされているが、データ社会全体を支える包括的なトラスト基盤が必要

意思表示の証明、発行元証明、存在証明等のトラストサービスに共通する水平横断的な一般原則と共通要件を整理し、認定スキームを創設することが必要

その際、国際的な同等性などを配慮した国際相互承認を念頭に置いて検討する。

国家監督機関掲載(又は、民間主導の認定機関)

トラストサービス(意思表示の証明、発行元証明、存在証明等)

トラステッドリスト

• クオリファイドサービスを機械可読な形で公表

• 現在のみならず過去に遡って確認可能

内閣官房HP

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai7/siryou8-1.pdf

データ戦略タスクフォース配下のワーキングチーム

(10月からデータ戦略推進ワーキンググループ配下に同様な組織を設置予定)

1. ヒト・組織・モノを特定するIdentity(属性情報)を、電子証明書に記録する

仕組みの信頼性を確保する制度について、本ワーキングチームにて取り扱う。

(1) ヒトの意思表示の証明: 電子署名

(2) 組織・モノの発行元証明: eシール(いわば組織の署名)

(3) 情報の存在時刻の証明: タイムスタンプ

2. 様々な分野でのサービス提供の基盤となるトラスト制度の検討を行うため,データ戦略タスクフォースのもとにワーキングチームを設置

3. EU,アメリカ等のトラストサービスとの相互承認のための,制度の創設を目指す。

(トラストの枠組みに関するとりまとめ

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/trust_wt/dai3/shiryou3.pdf

1. 国連機関のUNCITRALや欧州のeIDAS規則はトラストサービスを包括した制度となっているが、日本におけるトラスト基盤の要件はどのように考えるべきか。

2. 各々のトラストサービスに共通する水平横断的な一般原則と共通要件を整理し、包括的な制度を定めることでステークホルダーにとって分かりやすく、DFFTの推進に寄与できるのではないか。

<トラストサービスの水平横断的な一般原則と共通要件>

責任;監督;国際連携;

適格サービス;トラステッドリスト;適格マーク;認定基準

意思表示の証明・発行元証明・存在証明

内閣官房HP

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/trust_wt/dai1/shiryou7.pdf

裁判IT化のプロセス

■e法廷は順次開始している

■e提出・e事件管理は,2022年以降の予定

全国の地裁等で運用中

法制審にて審議中→2022年度実施が目標

第3講「使ってみよう!電子契約システムや日司連公的個人認証有効性確認システム!~画面共有による電子契約ソフト及び日司連公的個人認証有効確認システムの実践~」

司法書士隂山 克典

本講義の目的

〇実際の電子契約システムの画面を見ることで、今後、電子契約を活用する際の参考となることを目的としている

〇特定の事業者の電子契約システムを推奨するものではない点にご注意を

実際の電子契約システム

ファイル選択またはファイルをドロップ

選択したファイルが表れているか確認

契約の相手方を入力

データの送付先を設定

送付先のアドレスを入力

送付相手の氏名を入力

事案に応じ、アクセスコードを入力

入力したデータが反映されているか確認

どのような入力を求めるか選択

アップしたPDFデータの内容が表示される

誰の入力等を求めるか選択

○○に割り当て

日本司法書士会連合会に割り当て

割り当てられた項目に対し、文字等を入力

割り当てられた項目への入力完了

プレビュー

送信順序

相手方への連絡文書

送信することで、「日本司法書士会連合会」に承諾要請

ステータス表示

「売買契約書」が「日本司法書士会連合会」に送信されていることを示している

事業者より、書類の確認依頼が届く

クリックすると、書類内容の確認ができる

クリック後、ブラウザに表示される画面

アクセスコードを設定している場合は、ここに入力

日本司法書士会連合会に割り当てられた項目

承諾してよければ割り当てられた項目に入力

同意して確認完了ボタンを押すと、手続完了

事業者より、書類の確認完了メールが届く

締結済みファイルや合意締結証明書をダウンロードできる

契約締結後の電子署名付きPDFファイル

タイムスタンプ

承認等に対応した事業者の電子署名

署名のプロパティ

商業登記で活用する際は証明書ビューアに表示される電子証明書が法務省ウェブページに掲載されているか否かを確認

書類ID

現行法では、登記原因証明情報の適格性として、作成者の電子署名(公的個人認証または商業登記に基づく電子署名)が必要とされている

新たに追加された電子署名

マイナンバーカードによる電子署名であることがわかる

検証を必要とするファイルをアップロード

電子証明書は有効であり、かつ、ファイルに付与された電子証明書と日司連公的個人認証有効性確認システムで確認した電子証明書は一致する

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