「基礎から学ぶ電子契約」研修メモ

令和3年度業務研修会(民事法分野)「基礎から学ぶ電子契約」

日本司法書士会連合会司法書士中央研修所

目 次

■第1講「司法書士実務における電子署名の留意点」 ······· 3

■第2講「電子契約とその法的裏付け」 ············ 57

■第3講「使ってみよう!電子契約システムや日司連公的個人認証有効性確認システム!~画面共有による電子契約ソフト及び日司連公的個人認証有効確認システムの実践~」 ······· 95

第1講

「司法書士実務における電子署名の留意点」

司法書士隂山克典

なぜ今電子署名か・・・?

書面・押印・対面原則の見直しにより、社会全体のデジタル化が進んでいる

電子契約を採用する企業の増加

証拠力の確保のための方策が必要

電子署名をはじめとしたデジタルトラストを再確認する必要がある

デジタル化に関する議論

世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画

成長戦略フォローアップ

規制改革実施計画

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画

経済財政運営と改革の基本方針2020

事業環境改善に向けた取組について(改訂2020)

デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)

デジタル社会の実現に向けた重点計画

経済財政運営と改革の基本方針2021

規制改革推進に関する答申~デジタル社会に向けた規制改革の「実現」~

デジタル社会の実現に向けた重点計画

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20210615/siryou6.pdf

 マイナンバーカードの普及に加え、電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書、法人共通認証基盤(GビズID)の普及に関する取組を更に強力に推進するとともに、確実な本人認証を実現するための技術動向を注視

 ID・認証の基盤として、電子署名等の普及を推進することや、新たな認証の仕組みの検討を進める必要があるとともに、社会における情報通信インフラの整備・維持・充実に取り組むべき

電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書の普及

 電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書については、今後、活用の機会が増加し、多様化すると考えられることから、普及を更に強力に推進する。

 商業登記電子証明書について、法人の本人確認をデジタル完結させる手段として一般的に利用されるよう広報活動を行う。令和3年度(2021年度)中に、利便性の向上策や無償化の可否を検討する。あわせて、クラウド化に向けた検討を行う。また、費用対効果も踏まえつつ、令和7年度(2025年度)までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す。

 マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載については、令和3年度(2021年度)末までに技術検証・システム設計を行い、令和4年度(2022年度)中の実現を目指す。

 公的個人認証だけでなく、券面入力補助機能など、マイナンバーカードの持つ他の機能についても、優れたUI・UX を目指し、スマートフォンへの搭載方法を検討する。

共通的な認証・署名の利用

・個人の電子署名については、マイナンバーカードによる電子署名

・個人の電子認証については、マイナンバーカードによる電子利用者証明

・法人の電子署名については、商業登記電子証明書等

・法人の電子認証については、GビズID

電子署名と電子認証の違いは。

電子署名・・・電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること、当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであることのいずれも満たす署名。

電子認証・・・自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者に係るものであることを証明する業務をいう。

電子署名及び認証業務に関する法律2条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

 公的個人認証サービスの民間利用の拡大を推進する。また、個人の署名・認証に利用するアプリケーションについては、独自構築による乱立を避けるため、マイナポータルAP(アプリケーション)の活用を原則とする。

デジタル社会の実現に向けた重点計画

マイナンバーカードの普及、マイナンバーの利活用促進

マイナンバーカードの健康保険証としての利用

 令和3年(2021年)3月から開始したプレ運用を継続し、遅くとも同年10月までに本格運用を開始する。令和4年度(2022年度)末までに概ね全ての医療機関等で健康保険証としての利用ができることを目指し、医療機関等での環境整備を推進する。

運転免許証との一体化

 令和6年度(2024年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024年度)末までに警察庁の共通基盤上に集約する。

運転免許証及び運転免許証作成システム等仕様書(仕様書バージョン番号:009) 警察庁丁運発第150号

令 和3年6月30 日警察庁交通局運転免許課長

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20210630_150.pdf

オンライン利用率を大胆に引き上げる取組

行政手続の100%オンライン利用

令和3年6月18日閣議決定

 法務省は、商業登記・不動産登記に係る手続について、オンライン利用率が中程度となっていることを踏まえ、まずは、オンライン利用の向上を図る。併せて、司法書士等による手続代行が多いことを踏まえ、デジタル化を抜本的に進める上で司法書士等の果たすべき役割について検討を行う。

電子署名に関する動向~リモート署名や事業者署名型電子署名について~

リモート署名や事業者署名型(立会人型)電子署名がなされた場合の添付情報

 法務省通知や、主務三省Q&Aにより、ローカル署名のみならず、リモート署名や事業者署名型電子署名の場合であっても、商業登記における添付情報の適格性が認められることがある

  今後、司法書士のもとに、事業者署名型電子署名がなされた情報にて登記申請をしてほしいという依頼が増加することも考えられる。商業登記のみならず、不動産登記にも波及する可能性もある。そのため、電子署名について、検討しておく必要がある。

押印と電子署名の比較

日本トラストテクノロジー協議会「リモート署名ガイドライン」

https://www.jnsa.org/result/jt2a/2020/index.html

リモート署名について

署名鍵は「署名者」が保管

署名鍵は「事業者」が保管

※ 署名者の指示に基づき電子署名を実施

事業者署名型電子署名について

ローカル署名とリモート署名を紙で考えると・・・

銀行が署名、銀行が印鑑証明書を発行、というのがよく分かりませんでした。

事業者署名型電子署名に関する行政解釈

令和2年7月17日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法2条1項に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei_qa.html

➢ 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はBであると評価することができるものと考えられる。

・Aは、使者という構成なのでしょうか。

 このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。

 上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっているなど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には,これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当該利用者)の作成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署名法第2条第1項第1号)を満たすことになるものと考えられる。

令和2年9月4日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

 電子署名法第3条の規定は、電子文書(デジタル情報)について、本人すなわち当該電子文書の作成名義人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件?を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われていると認められる場合に、当該作成名義人が当該電子文書を作成したことが推定されることを定めるもの

この電子署名法第3条の規定が適用されるためには、次の要件が満たされる必要がある。

① 電子文書に電子署名法第3条に規定する電子署名が付されていること。

② 上記電子署名が本人(電子文書の作成名義人)の意思に基づき行われたものであること。

 電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するためには、同法第2条に規定する電子署名に該当するものであることに加え、「これ(その電子署名)を行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるもの」に該当するものでなければならない。電子署名法第3条における「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」とは、どのようなものか。

電子署名及び認証業務に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

 電子署名法第3条に規定する電子署名について同法第2条に規定する電子署名よりもさらにその要件を加重しているのは、同法第3条が電子文書の成立の真正を推定するという効果を生じさせるものだからである。すなわち、このような効果を生じさせるためには、その前提として、暗号化等の措置を行うための符号について、他人が容易に同一のものを作成することができないと認められることが必要であり(以下では、この要件のことを「固有性の要件」などという。)、そのためには、当該電子署名について相応の技術的水準が要求されることになるものと考えられる。したがって、電子署名のうち、例えば、十分な暗号強度を有し他人が容易に同一の鍵を作成できないものである場合には、同条の推定規定が適用されることとなる

  電子署名法第3条において、電子署名が「本人による」ものであることを要件としているのは、電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたものであることを要求する趣旨

  電子署名法第3条が適用されるためには、同サービスが同条に規定する電子署名に該当すること及び当該電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたことが必要となる

 サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービスは、電子署名法第3条との関係では、どのように位置付けられるのか。

サービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するためには、その前提として、同法第2条第1項に規定する電子署名に該当する必要がある。この点については、第2条関係Q&Aにおいて、既に一定の考え方を示したとおり、同サービスの提供について、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されているものであり、かつサービス提供事業者が電子文書に行った措置について付随情報を含めて全体を1つの措置と捉え直すことによって、当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には、同法第2条第1項に規定する電子署名に該当すると考えられる

 サービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するには、更に、当該サービスが本人でなければ行うことができないものでなければならないこととされている。そして、この要件を満たすためには、同条に規定する電子署名の要件が加重されている趣旨に照らし、当該サービスが十分な水準の固有性を満たしていること(固有性の要件)が必要であると考えられる。

より具体的には、上記サービスが十分な水準の固有性を満たしていると認められるためには、利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス及び2.1における利用者の行為を受けてサービス提供事業者内部で行われるプロセスのいずれにおいても十分な水準の固有性が満たされている必要があると考えられる

利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス・・・電子署名を付与することを許容する電子メールの送信など。

利用者の行為を受けてサービス提供事業者内部で行われるプロセス・・・電子署名の付与など。

  ①及び②のプロセスにおいて十分な水準の固有性を満たしているかについては、システムやサービス全体のセキュリティを評価して判断されることになると考えられるが、例えば、①のプロセスについては、利用者が2要素による認証を受けなければ措置を行うことができない仕組みが備わっているような場合には、十分な水準の固有性が満たされていると認められ得ると考えられる。

 2要素による認証の例としては、利用者が、あらかじめ登録されたメールアドレス及びログインパスワードの入力に加え、スマートフォンへのSMS送信や手元にあるトークンの利用等当該メールアドレスの利用以外の手段により取得したワンタイム・パスワードの入力を行うことにより認証するものなどが挙げられる

 サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービスは、電子署名法第3条との関係では、どのように位置付けられるのか。

 2のプロセスについては、サービス提供事業者が当該事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う措置について、暗号の強度や利用者毎の個別性を担保する仕組み(例えばシステム処理が当該利用者に紐付いて適切に行われること)等に照らし、電子文書が利用者の作成に係るものであることを示すための措置として十分な水準の固有性が満たされていると評価できるものである場合には、固有性の要件を満たすものと考えられる

令和2年9月4日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

 あるサービスが電子署名法第3条に規定する電子署名に該当するか否かは、個別の事案における具体的な事情を踏まえた裁判所の判断に委ねられるべき事柄ではあるものの、一般論として、上記サービスは、①及び②のプロセスのいずれについても十分な水準の固有性が満たされていると認められる場合には、電子署名法第3条の電子署名に該当するものと認められることとなるものと考えられる。したがって、同条に規定する電子署名が本人すなわち電子文書の作成名義人の意思に基づき行われたと認められる場合には、電子署名法第3条の規定により、当該電子文書は真正に成立したものと推定されることとなると考えられる

Aさんの意思、Bさんの意思。Aさんの容貌、住所、氏名、生年月日などは担保しない。

取り扱うことの多い電子署名~PDFへの電子署名やXML形式の電子署名~

電子署名の形式

司法書士が取り扱う多くの電子署名は、PDFに対して付与されていると思われる

署名フィールド(可視署名の場合)

不可視署名の場合、印影のようなものは表示されない

このようなファイルを交付されたら・・・?    

電子署名の形式

申請用総合ソフトを活用した場合、XML形式の署名が付与されることも

XML形式

https://support.microsoft.com/ja-jp/office/%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE-xml-a87d234d-4c2e-4409-9cbc-45e4eb857d44

PDFに電子署名を付与する場合は埋め込むイメージ

XMLの場合は紐づくイメージ

XML形式の署名を受領した際の留意点

埋め込みをせず、署名データを生成しているため、元のデータに変更を加えると、検証不可となる→紐づかない

ファイル名を変更せず検証

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/using/validating-digital-signatures.html

PDFデータに変更を加えた場合は、改ざんされていると表示される

PDFへの電子署名の場合は、署名パネル上、改ざんが分かる

マイナンバーカードで電子署名を付与したいけど、有料のソフトが必要だと聞きました。設定も難しそうです。何かいい方法はありませんか?

法務省が提供している「申請用総合ソフト」を活用すれば、無料でマイナンバーカードによる電子署名を付与することができます(カードリーダーは必要です)

※ 申請用総合ソフトでは、ファイル添付する際、使用することのできない文字があるため、予め説明をしておく必要がある。

ファイル名が「211023 電子契約の基礎」とされている場合で、そのまま申請用総合ソフトにてXML形式の署名を付与すると、スペースがあるため添付不可となる。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/faq/faq_110.html

アラートが出るため、ファイル名変更後、電子署名を行う必要あり

電子署名の信頼性

どこから発行されている電子証明書による電子署名であるかを確認する必要がある

一般論として、認定認証事業者が発行しているものは、厳格な本人確認を実施している

特定認証事業者が発行しているものは、判子でいう「認印」相当であると整理されることが多い

事業者署名型電子署名の場合、どこの電子証明書が使用されているのかを確認する必要がある

Self-Signの場合、信頼性は皆無と言ってよい

司法書士の電子証明書

SECOM Trust.net Co.,Ltdが発行している

認定認証事業者一覧

https://esac.jipdec.or.jp/accreditedca-list.html

商業登記に基づく電子証明書

Registrar of Tokyo Legal Affairs Bureau

https://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/

認定認証事業者であるセコムの電子証明書

セコムが確認した上で払い出された電子証明書・・・信頼できる

法務局の電子証明書

法務局が確認した上で払い出された企業の電子証明書・・・信頼できる

事業者署名型電子署名の電子証明書

最上位の電子証明書(ルート証明書)

中間証明書

電子署名を付した者

商業登記申請で許容されている電子証明書は頻繁に更新されるため、都度、確認が必要

Self-Signの電子証明書

「○○司法書士によって署名」「司法書士事務所司法書士○○」とあるため、何となく信頼できそうな気も・・・Self-Signの電子証明書・・・信頼?

セルフ電子署名でPDFが改ざんされていないことを証明する

https://ascii.jp/elem/000/004/019/4019405/

不動産登記と電子署名

売主法務太郎

買主乙野花子

仲介契約書、売買契約書、重要事項説明書etc金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書

不動産登記と電子署名

ITを活用した重要事項説明

eKYCによる本人確認

電子契約の採用

買主乙野花子

売主法務太郎

xID株式会社

個人情報保護委員会への当社xIDアプリの個人番号入力に関する説明について 2021.10.6

https://xid.inc/news/40/0

不動産登記と電子署名

クラウド上での抵当権設定契約書等作成

登記原因証明情報として活用できるか?

クラウド上での売買契約書作成

クラウド上で作成した売買契約書(クラウドサインを利用)

法務太郎の署名パネル

乙野花子の署名パネル

サイバートラスト社が発行する弁護士ドットコムの電子証明書

乙野花子の指示により、機械的に措置されたことを示す画面

不動産登記と電子署名

不動産登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416CO0000000379

(電子署名)第十二条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。

(電子証明書の送信)第十四条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合において、電子署名が行われている情報を送信するときは、電子証明書(電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。)であって法務省令で定めるものを併せて送信しなければならない。

不動産登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

(電子証明書)第四十三条 電子証明書は、第四十七条第三号イからニまでに掲げる者に該当する申請人又はその代表者若しくは代理人が申請情報又は委任による代理人の権限を証する情報に電子署名を行った場合にあっては、次に掲げる電子証明書とする。ただし、第三号に掲げる電子証明書については、第一号及び第二号に掲げる電子証明書を取得することができない場合に限る。

一 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第三条第一項の規定に基づき作成された署名用電子証明書(マイナンバーカードによる電子署名、電子証明書

二 電子署名を行った者が商業登記法第十二条の二(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する印鑑提出者であるときは、商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第三十三条の八第二項(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書(商業登記に基づく電子署名、電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書その他の電子証明書であって、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により電子署名を行った者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四 官庁又は公署が嘱託する場合にあっては、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるもの

2 前項本文に規定する場合以外の場合にあっては、令第十四条の法務省令で定める電子証明書は、同項各号に掲げる電子証明書又はこれに準ずる電子証明書として法務大臣の定めるものとする。

不動産登記申請につき、令和3年9月24日時点では、事業者署名型電子署名について、法務大臣が定めているものは見受けられない

この署名は、不可視署名であるため、印影のようなものは画面に現れない

マイナンバーカードにより署名されたものであるため、この署名が甲のものであれば、登記原因証明情報として利用可能であると思われる。署名プロパティを確認

署名プロパティを確認

最上位の電子証明書(ルート証明書)

電子署名を付した者は、公的個人認証(マイナンバーカード)による電子署名であることが分かる

AcrobatReader の場合、PDFから直ちに基本4情報を知ることはできない

※ 基本4情報

・氏名・住所・生年月日・性別

PDF のプロパティとメタデータ

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/using/pdf-properties-metadata.html

PDFファイルから基本4情報を確認する方法

署名パネルを開き、署名プロパティをクリック後、「署名者の証明書を表示」を選択「書き出し」を選択

任意の場所に保管

証明書ファイルを選択

PKI利用者ソフトを立ち上げる

ソフト

https://www.jpki.go.jp/download/

先ほど保存した電子証明書を選択

証明書を選択すると、基本4情報等が表示される

有効性確認のためにはパスワードの入力が必要

対面の場合、パスワードを入力してもらうことで、同時点の有効性検証はできる

当事者がマイナンバーカードを持参していれば、有効性検証ができる

スマホアプリで券面の確認も可能

その他にも・・・・マイナンバーカード・運転免許証・パスポート・在留カードの読取りが可能

買主乙野花子

売主法務太郎

システム構築前の不動産登記の現実的な完全オンライン申請の方法

登記原因証明情報や委任状等に電子署名

現場の確認

司法書士のPCやICカードリーダ等を活用

・対面取引における完全オンライン申請の一例

・公的個人認証に関しても、検証可能

完全オンライン申請

市町村から法務局への評価額通知のオンライン提供の拡大推進、登記手続等における固定資産税

※ 固定資産評価額の課税明細書はあらかじめ情報収集(現状の実務と変化なし)

※ 法務局における紙資料の保管については、別途規律が必要

失効確認の要求

失効確認の応答

地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

第一段階

依頼者の署名用電子証明書について、有効性確認

有効性検証結果の確認

有効性検証要求電子署名

第二段階

第一段階①の署名用電子証明書から変更されていない旨の確認。パスワード入力不要

商業登記と電子署名

印鑑届出の任意化

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)により、商業登記法20条が削除

日本経済再生本部「法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて」9頁より

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/index.html

物理的な会社実印を有していない法人が登場することとなる

商業法人登記のみならず、不動産登記や契約実務にも影響を与えることが考えられる

ハイブリッド型バーチャル株主総会

リアル株主総会

参加型出席型

・遠隔地であっても傍聴可能

・質問や動議は不可

・議決権の行使はできない

・遠隔地であっても出席可能

・質問や動議も可能

・議決権の行使もできる

どのような場合に決議取消事由にあたるか、経験則が不足

書面や電磁的記録による事前の議決権行使は可能

バーチャル株主総会

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要

上場会社が経産大臣及び法務大臣による確認を受けた場合は、バーチャルオンリー株主総会を実施できる特例を設ける

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000707.000006428.html

株主総会議事録や取締役会議事録のデジタル化は今後も進むと思われる

 商業登記に基づく電子署名のみではなく、公的個人認証に基づく電子署名や事業者署名型電子署名の場合であっても添付情報適格が認められることとなったため、様々な電子署名の類型を把握しておく必要がある

登記申請に利用できる電子証明書の追加

令和3年9月7日確認

商業登記と電子署名

(GMO電子印鑑Agree(GMOクラウド株式会社))のサービスを利用した辞任届

署名パネルに画像埋め込み

タイムスタンプも付与される不一致

令和3年1月6日に同様のサービスを利用※ 現時点では対応済み

※ 関係者が増えると署名のプロパティ確認も増えることとなる

※ 商業登記に基づく電子署名や公的個人認証による電子署名が求められる場合、サービスによっては、データをアップロードした段階でリセットされることがあるため、最後に署名を付与したほうが無難

長期署名(LTV)対応

事業者署名型電子署名公的個人認証による電子署名

長期署名(LTV)非対応

株主総会議事録の備置義務から、LTV対応の署名を付した後、登記用の電子署名を付すことも一案

Adobe AcrobatでのPDFデジタル署名の長期検証(LTV)

https://www.ssl.com/ja/%E6%96%B9%E6%B3%95/Adobe-Acrobat%E3%81%A7%E3%81%AEPDF%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E7%BD%B2%E5%90%8D%E3%81%AE%E9%95%B7%E6%9C%9F%E6%A4%9C%E8%A8%BCLTV/

裁判業務と電子署名

契約実務の変容と裁判のIT化

金銭消費貸借契約

金銭消費貸借契約書

甲は、乙に対し、金100万円を貸し渡した

金銭消費貸借契約で契約の成立を、印鑑証明書で乙野花子の意思に基づくことを立証するというプラクティス押印が認印によるものであったとしても、上記と同様成立を否認された場合は、他の間接事実から立証していくこととなる

公的個人認証による場合

電子署名生成プログラム

乙電子署名

実印相当と整理される

cf 認定認証事業者発行のものも実印相当と整理される。これに対し、特定認証事業者発行のものは認印と整理される

事業者署名型の場合

① 情報のアップロード

② 指定のアドレスへ通知

③ 内容確認、承諾④ 完了通知

乙の指示に基づき、事業者の意思を介在させず機械的に処理

署名のバージョンを比較すると、金額を改ざんしていることが明らかになる

何月何日、何時何分に、誰がどの書類を閲覧、署名したか、記録上明らかであると考えられる

否認された場合、履歴等を示すことで、一定程度の立証活動が可能となる

※ あくまでも、当該メールアドレスに送付されたリンクからのアクセスがあったことを示すのみであり、身元確認が適正になされているかは別問題・・・事業者には、そもそも意思確認のみで、身元確認は要求されていない。

※ この点は、メールのやり取りや名刺に記載されているメールアドレス等から立証していくことになると思われる

※ サービスによっては、身元確認を実施することもある

※ 履歴記載の時刻につき、どの時刻源を採用しているかは事業者に確認する必要がある

※ DocuSignの履歴画面

電子署名のトピック

令和3年1月21日付日本経済新聞「弁護士ドットコム、マイナンバー連動の電子署名」

各種契約書等をアップロード公的個人認証法に基づく電子署名

〇売買、遺産分割、抵当権設定、各種議事録、委任状etc

令和3年2月2日付内閣府規制改革推進室「会計手続におけるクラウド型電子署名サービスの活用に当たっての考え方」、同5日付「規制について規定する法律及び法律に基づく命令の解釈等に関する回答書」(20210105情第1号)国や地方公共団体の契約についても、事業者署名型電子署名が活用できることが明確に

https://www.gmosign.com/function/mynumber/

国や地方公共団体の契約が、事業者署名型電子署名を採用すると・・・民間でも事業者署名型電子署名に対する抵抗感が薄れることも・・・

先の公的個人認証法に基づく電子署名の取込み機能も相まって、事業者署名型電子署名との併用活用も考えられる・・・登記原因証明情報と委任状は公的認証局、特定認証業務。その他の添付情報は、認定認証業務による認証など。

登記や裁判関係業務、財産管理業務等にも影響が及ぶこととなり得る

第2講「電子契約とその法的裏付け」宮内宏弁護士

■著書:宮内編・著:「3訂版電子契約の教科書」日本法令,

■電子契約とは

●契約書を電子文書で,または注文書・請書を電子文書で作成し交付する契約。

■電子契約のメリット

●印紙代削減(電子文書には印紙が不要)

●作業効率の向上・文書関係費用の削減

●コンプライアンス向上

監査が容易。密行的な監査も可能。

●BCP(Business Continuity Plan)への貢献

ワークフローと紙文書

■社内はワークフローで電子化,しかし相手方との間は紙という現実!

●電子的な作成後,印刷・押印・封緘等して郵送。

●受取側では,紙の内容をコンピュータに入力。

電子契約ASP

ASPの機能を用いて電子文書作成、電子署名生成

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security_previous/kiso/k01_asp.htm

A社署名付電子契約書を格納

通知

閲覧

ASPの機能を用いて電子署名生成

電子契約書確認

両社の署名付電子契約書を格納

通知・閲覧

電子契約書確認

ASPタイプの電子契約システム

■ASPで電子契約ができるシステムが開発・利用されている。

電子契約の導入例① 建設業

■最初に電子契約が普及したのは建設業だった。

■国土交通省と財団法人建設業振興基金が中心となって,CI-NET(Construction Industry NETwork)を定めた。

https://www.kensetsu-kikin.or.jp/ci-net/cinet/teigi.html

●見積,購買・契約,請求・決済までの過程の帳票電子化の標準を規定。

●ASPの基準を策定(自社システム,ベンダーによるASPの双方について)

■いわば建設業のEDIの発展形として,業界では広く使われるようになった。

※ コンビニエンスストアチェーンによる建設工事の電子化も例がある。

電子契約の導入例 購買部門

■大企業の購買部門が,仕入先との間に電子契約を導入する例が多い。

■化学事業の企業の導入例

●取引先は2000社にのぼる

●請求書と検収明細の照合など,書類によるチェックが煩雑なため,金額相違などの問題が生じていた。

●検収明細兼請求書を電子文書で作成し,取引先に送付。取引先では電子署名を付して返送,というフローになった。

●照合の問題がなくなり,請求業務の迅速化を実現。

●導入後2年で,月1000件ほどの請求業務の75%が電子化できた。現在,子会社にも展開中。

電子契約の導入例  銀行

■融資の電子契約が広がりつつある。

●三井住友銀行(H27)

法人融資の電子契約(当座借越の極度契約,証書貸付の金銭消費貸借契約など)

●三菱東京UFJ銀行(H29年)

住宅ローンの電子化(マイナンバーカード利用)

●みずほ銀行(H29年)

みずほ電子契約サービス

■銀行でも導入しているという効果が,他の業種への電子契約普及を促進している。

電子契約の法的有効性

契約書は何のために作るか

■多くの契約は,口頭でも成立する

●契約は,申込と承諾により,合意されることにより成立する(民法522条1項)。

●契約書は,一般的には契約の要件ではない(民法522条2項)。ただし,後述のとおり例外はある。

●契約の成立や内容について争いが生じた場合には,証拠が必要となる。

■契約書等の文書は,訴訟において証拠となる。

●契約書の末尾には,「本契約の成立を証するため,本書2通を作成し,甲乙記名押印の上,各自1通を保存する」と書いてあることが多い。これは,証拠として作成するためのもの。

●証拠として提出するには一定の制限(後述)があるが,電子文書であっても提出可能。

民法522条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(契約の成立と方式)

第五百二十二条契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

紙の文書と電子文書

■法律で「書面」が要求されていることがある。この場合には,紙が原則である。

●一般論としては,電磁的記録(電子文書)は書面と認められていない

●書面が求められていても,電磁的記録を書面とみなす規定があれば電子化可能

民法446条2項:保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

同条3項:保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

■ほぼすべての契約書が電子化可能→契約情報という名前が出てくるかもしれません。

●書面を必要とする規定がないか,あっても電磁的記録(電子文書)で代えられる規定があれば電子化可能

●契約時に交付すべき書面について,紙が必要なものもある

紙が必要な契約類型など

■契約書に書面を要するものの例

●定期借地契約(借地借家法22条)・定期借家契約(同法38条)

※ いずれも「公正証書による等書面によって」契約することが求められている

■契約時に書面を交付する必要がある契約の例

●宅建法上の重要事項説明書(宅建法35条)

※書面を交付して説明することが求められている。

●訪問販売におけるクーリングオフの文書(特商法4条)

★借地借家法,宅建法,特商法の改正により,これらは電子化可能となる(施行は来年以降)。

■遺言書は書面(紙)しか認められていない

→遺言は契約ではない。単独行為でも契約と同じ対応は出来ると思います。

契約書の電子化の可否

■電子契約が可能な場合

●法令で「書面」に限定されていない場合

●法令で「書面」に限定されているが,電磁的記録(電子文書)で代えられる旨の規定がある場合

■電子契約ができない場合

●法令で「書面」に限定されており,電磁的記録で代えられる旨の規定がない場合

※ 契約時に書面を交付しなければならない契約類型がある。この点には注意が必要

■民事訴訟で文書に証拠力を持たせるためには,「真正な成立」を証明する必要がある。(民事訴訟法228条1項)

民事訴訟法(文書の成立)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=408AC0000000109

第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。

3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。

4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

真正な成立とその推定

■真正な成立とは

●その文書の作成者とされる人(本人)が,本人の意思で作成したこと。いわば本人性のこと。

●例えば,借用証を証拠として提出する場合に,返済を請求される人が書いたものでなければ意味がない。したがって,本人(借用証の作成名義人)が作成したことを示す必要がある。

■真正な成立の推定(紙の場合)

●民事訴訟法228条4項

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

署名・押印がされていれば,本人の意思に基づいて作成された文書であると,裁判上は扱う。これにより,同条1項の真正な成立の証明の要件を満たす。

電子署名法による真正な成立の推定(電子署名の推定効)

■電子文書については,一定の条件を満たす電子署名があれば,真正な成立が推定される(推定効)。

電子署名法3条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する

電子署名(デジタル署名)

•一見でたらめなデータ。

•IC-Card内の秘密情報がないと生成できない

•電子文書と密接な関係にある(他の電子文書に流用不可)

実世界の印鑑と対比して考えることができる。印影は、目視で「印影である」とわかるが、電子署名は一見でたらめなデータであり、検証プログラムを使わないと確認できない

RSAについて

https://www.rsa.com/ja-jp

ECDSAについて

https://esac.jipdec.or.jp/why-e-signature/public-key-cryptography.html

電子証明書

■印鑑証明書で実印による押印が確認するように,電子証明書により電子署名の正しさを検証する。

公開鍵=29859656・・・・・・

有効期限: 2022年1月31日

電子署名を検証するための情報

2021年2月1日

○×認証局の電子署名プログラムを使って検証

電子文書内の電子署名・・・本人の持つ秘密鍵を用いて,暗号的手法により作成される

電子署名の検証

電子証明書を用いると、「本人が署名したこと」、「文書が署名後、変更されていないこと」が確認できる(電子署名法2条1項記載の,電子署名の要件を満たす)。

正しい署名か否かの判定結果

確認内容

○○の秘密鍵を使って署名した(署名者の特定)

署名したときと内容が同じ(非改ざん性)。一対一に対応

民間認証局と公的認証局

■民間認証局

●特定認証業務(電子署名法2条3項)

電子証明書を発行する者であって,技術的要件を満たすもの

●認定認証業務(電子署名法4条以下)

電子署名及び認証業務に関する法律

第三章 特定認証業務の認定等 第一節 特定認証業務の認定(認定)

第四条 特定認証業務を行おうとする者は、主務大臣の認定を受けることができる。

2 前項の認定を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書その他主務省令で定める書類を主務大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二 申請に係る業務の用に供する設備の概要

三 申請に係る業務の実施の方法

3 主務大臣は、第一項の認定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

特定認証業務であって,本人確認手続(戸籍・住民票+免許証等が必要)や発行手順,施設,管理などについて国の調査・認定を受けたもの

■公的認証局

●地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

マイナンバーカード搭載の電子署名機能で用いる電子証明書の発行を行っている。公的個人認証基盤(JPKI)と呼ばれる

https://www.j-lis.go.jp/index.html

公開鍵認証基盤(PKI)の仕組み

●法務局

商業登記に基づいて,会社代表者等に電子証明書を発行代表取締役の登録印に相当する電子署名認証業務(電子証明書の発行主体)

■電子署名法3条の推定効を得るために,認証局の行うべき基準が法令で定められている(本人だけが電子署名をできるようにするための技術的基準)。

■法令上の技術的基準を満たす認証局を「特定認証業務」という(電子署名法2条3項・同施行規則2条)。

■特定認証局のうち,電子証明書発行のための本人確認手続,電子証明書作成手続・交付手順などの基準を満たしたものとして,主務大臣の認定を受けた認証局を「認定認証業務」という(電子署名法4条,6条,同施行規則4条~6条)。

電子署名及び認証業務に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000418002

※ 特定認証業務の中には,認定認証業務相当の処理を行っていると公表しているものもあるが,それは,いわば「自己申告」である(自主的に外部監査を受けているものもある)。

電子証明書の比較

JPKI(マイナンバーカード)

公的個人認証法3条地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

当事者型電子署名(1): ローカル署名

■従来型の(本来の)署名方式

■リモート署名と対比して「ローカル署名」と呼ばれる。

■利用者が秘密鍵を管理するのは大変だし,安全性にも疑問がある。

当事者型電子署名(2): リモート署名

■リモート署名事業者は,署名者の秘密鍵を安全に保管し,署名者の指示に従ってのみ,署名者秘密鍵を用いた電子署名を行う。

※ HSM: Hardware Security Module

https://www.jnsa.org/seminar/skillup/150622/data/kameda.pdf

立会人(目撃証人)の電子署名

■AとBとが契約をする場合,Aの電子署名とBの電子署名を付けるのが自然な考え。(A,Bがそれぞれ押印するのと同様)

■最近,電子契約システムで,AやBは電子署名をしないで,A及びBの意思を確認したS(サーバ)が,このような確認の内容を記載した上でSの電子署名を付けるものが出てきている。

※ 立会人型電子署名,事業者型電子署名,第三者型電子署名などと呼ばれている。

サーバーによる電子署名、という表現がよく分かりませんでした。

当事者の電子署名と事業者の電子署名

■ローカル署名とリモート署名は,どちらも当事者の電子署名を付ける(当事者電子署名方式)

■事業者型電子署名方式では,当事者(AやB)の電子証明書はなく,サーバ(電子契約システム等)の証明書だけが使われる。

登録等指示

当事者型電子署名型利用者が,自分の鍵を自分で管理し,自分の手元で電子署名を生成利用者の鍵をサーバに預け,利用者の指示に従ってサーバで電子署名を生成

利用者の鍵はなく,サーバが立会人として,サーバの電子署名を生成

各方式の特徴

電子署名法3条の適用

事業者型電子署名方式と電子署名法

■2020年7月17日及び9月4日の政府見解により,事業者型電子署名であっても,電子署名法2条1項の電子署名に該当しうること,同法3条の推定が得られうることが示された(*)。

■推定効については,注意が必要。

① 事業者型電子署名であっても,システム利用者による電子署名(電子署名法2条1項)であると認められうる。

② 「本人による」ことを証明するためには,システム利用者=契約当事者だと証明する必要がある。システム登録時等の身元確認が簡易な場合には,訴訟当事者が,利用者=契約当事者だと証明する必要が生じうる。

③ 事業者型電子署名のプロセスの固有性について,具体的な要件は出そろっていない。

(*)利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A

https://www.soumu.go.jp/main_content/000697715.pdf

利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000705576.pdf

電子証明書及び電子署名方式の選択

本人性の確認レベル

■本人確認の厳格さ(訴訟における証明の容易さ)と,利用開始の容易さのトレードオフ=電子契約の重要性に合わせて選択

●電子証明書発行時/利用者登録時の本人確認が厳格であれば,訴訟における当事者の証明は容易になるが,利用開始時の手間は大きい。

●利用開始時の本人確認が簡易であれば,簡単に利用を開始できるが,訴訟における証明はやや難しくなる。➜署名対象文書の重要性等に合わせて,サービスを選択すべき

※一般的に,当事者電子署名方式(ローカル署名・リモート署名)のための電子証明書発行時の本人確認は厳格な者が多く,事業者型電子署名の利用開始時の本人確認は簡易なものが多い。

訴訟における証明のために

■訴訟では,当事者(とされる者)と電子署名の関係を証明する必要がある。

この関係は,電子証明書発行時の本人確認(ローカル署名,リモート署名の場合)や,システムへの登録時の本人確認(事業者型の場合)で確認される。(メールアドレスだけの確認の場合,メールアドレスと当事者の関係は,利用者において証明することになる。)

この関係は,署名生成の安全性により示される。

リモート署名や事業者型の場合には,システムの安全な構築・管理・運用や,記録(ログ)の保存等が確実に行われていたことが必要となる。

電子署名により,電子契約書等に係る真正な成立が推定される(電子署名法3条)

例: 123456@ggggg.com の管理者

例: 東京都新宿区・・・・・の

電子証明書・方式選択の例

■署名対象文書の重要性等に合わせて,電子証明書及びサービスを選択

■例えば,以下の対応が考えられる

●代表取締役の登録印を使用してきた文書➜代表取締役に法務局が発行した電子証明書に基づくローカル署名

●認印又は押印なしの文書➜簡便な本人確認に基づく事業者型電子署名

※これらはあくまでも例であり,このとおりにせよというものではない。各社の状況に合わせて選択すべきである。

タイムスタンプと電子文書の長期保存

電子証明書の有効期限

■電子証明書には有効期限がある。また,電子証明書は有効期限前に失効することもある。

●電子署名は,有効な電子証明書に基づいて行われなければならない。

●電子証明書の有効期限は長くても3年程度。

■有効期限までに作成された電子署名は,実体的には有効。ただし,訴訟においては,有効な期間に作成されたことの証明が必要。

●ただし,タイムスタンプにも有効期限はある

電子文書の保存期間について

■文書の必要な証明期間については,一般的な基準はない。

●行政法(例えば税法)では,多くの文書について保管義務を課し,その期間を定めている。

●しかし,民事訴訟においては,係争において文書の証明が必要となる期間は,一般的には決められない。

■時効との関係

●多くの請求権は最大10年で時効により消滅する(ただし,時効の起算点には注意が必要)。

●土地を購入した場合,購入が証明できなくても,20年占有していれば時効取得できる。

●土地の時効取得は,占有の開始が貸借の場合にはできない(借りているものは,何年たっても時効取得できない)。そうすると,土地を人に貸した場合に,相手に時効取得されないためには,貸借の証拠を20年以上にわたって保持し続けない可能性がある。

■結局,一般論としての保存期間を決めることはできない。通常の文書の保存期間と同様に,文書の重要性等に鑑みて決めることになる。

■タイムスタンプの検証により,タイムスタンプの時刻に,タイムスタンプに対応する電子文書が存在したことを示すことができる。

電子文書ハッシュ関数

ハッシュ関数: 任意の大きさの文字列を入力して,固定長(例えば256bit)を出力する関数。

逆関数の計算が困難に設計されており,ハッシュから文書は作れない。・・・絶対?

電子文書とタイムスタンプをペアで保存

後日,タイムスタンプの検証を行うことにより,当該電子文書が,タイムスタンプの時刻に存在したことを示せる。ハッシュ値だけを送信し本文は送らない

タイムススタンプの認定制度

■一般財団法人日本データ通信協会の認定制度

●技術基準,運用基準,ファシリティ基準,システム安定性基準などに基づいて認定する。( http://www.dekyo.or.jp/tb/index.html 参照)

日本データ通信協会タイムビジネス認定センター

「タイムビジネス信頼・安心認定制度運用規約」 (2021年10月1日改正)

https://www.dekyo.or.jp/tb/announce20210929.html

●電帳法施行規則3条5項2号ハ及び地方税法施行規則25条5項2号ハにて,電磁的記録に付すタイムスタンプには日本データ通信協会の認定を受けたものを使う旨が,指定されている。

■総務省告示により,国の認定制度となった(2021年7月31日施行)

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/timestamp.html

●令和3年総務省告示146号

https://www.soumu.go.jp/main_content/000742664.pdf

■訴訟における取扱い

●利害関係のない第三者の証言は,訴訟において信用性が高い。法令により,公的に用いられていることもプラス要因。今後は国の制度になるので,信頼性はより高まる。

長期署名

■電子署名・タイムスタンプを組合せることにより,電子証明書の有効期間後における署名検証を可能にする。

■長期署名のフォーマットとして,CAdES形式,XAdES形式,PAdES形式などがある。

●電子署名とタイムスタンプを備える(PAdESは,タイムスタンプだけでも可能)

●タイムスタンプの対象として,検証情報(CRLなど)を含めることにより,タイムスタンプの有効期限までの検証が可能。※ 署名生成後に発行されたCRLを含めるために,数日を要することがある。

●タイムスタンプを一定期間ごとに重ねて付与することにより,有効期限の延長が可能となる。※ これらのフォーマットは,ISO, ETSI,JIS などで標準化されている。

■適切に管理し,期限の延長を行えば,長期にわたって証拠性を保てる。

■電子署名が行われた時刻を証明するタイムスタンプ(署名タイムスタンプ)

と,利用者電子署名及び署名タイムスタンプの検証に必要な電子証明書及びそれらの有効性確認情報をアーカイブして,タイムスタンプを施す。

■アーカイブタイムスタンプが有効な期間(通常,10年程度)にわたって,署名検証が可能となる。

各電子証明書に係る有効性確認情報(CRL 又はOCSP)

利用者電子署名・署名タイムスタンプを検証するために必要な電子証明書のセット

■アーカイブタイムスタンプが有効な間に,それを検証するために必要な電子証明書や有効性確認情報をアーカイブして,さらにタイムスタンプを施す。

■アーカイブタイムスタンプごとに,約10年の延長が可能となる。

裁判実務での取り扱い

■電子文書の真正な成立の争いは裁判例に乏しい

原告が,電子文書を証拠として提出

被告が真正成立を争うか

民事訴訟規則145条

特定認証業務の証明+本人性の証明

電子証明書に記載の本人性の証明+リモート署名プロセスの正当性の証明

電子文書プリントアウトして提出するのが一般的。

(電子署名・タイムスタンプの検証結果画面や電子証明書のプリントアウトを併せて提出することも考えられる)

リモート署名

本人の特定(当事者又は事業者)+事業者のプロセスの正当性の証明事業者型署名媒体等で,電子ファイルを証拠提出(裁判手続のIT化で,ファイルを直接送れるようになる見込)

本人性の証明と事業者の関与

■認定を受けていない特定認証業務

●電子証明書発行時の身元確認(認定されていなくても,相当の身元確認をしていることが多い)➜特定認証業務の協力により,本人性を証明

■リモート署名事業者

●利用登録時に,利用者と電子証明書記載の本人との同一性を確認➜電子証明書の本人性の証明に加えて,リモート署名事業者の協力により,本人性を証明

■事業者型電子署名事業者

●事業者によって異なるが,電子メールの到達性などの簡易な方法にとどまるものも多い。➜訴訟当事者において,署名者の特定のための証拠を確保する必要がでてくる可能性がある。

電子取引と税務

■法人等の事業者(個人事業主を含む)は,帳簿の作成,証憑書類の保存などが,税務上義務付けられている(通常は7年間の保存義務がある)

■従来は,全て紙で行われてきたが,一定の条件のもとで,電子的な保存が可能になっている。

■電子帳簿保存法による電子化

●税務署長の承認が必要なもの

帳簿の電子化

紙で受け取った書類をスキャンしたデータでの保存※2021年1月1日以降,承認は不要になる。

●税務署長の承認が不要なもの

電子取引のデータ(初めから電子データの授受による取引)※紙の契約書等には印紙税がかかるものがあるが,電子取引では印紙税不要

印紙税について

■契約書・領収書等には,(一定金額以上の場合に)収入印紙を貼らなければならない。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

●売買契約書,土地の賃貸借契約書,消費貸借(借金等)契約書,運送契約書,請負契約書,基本契約書,領収書などに印紙が必要。

委任契約の場合は印紙不要

■電子契約の場合には印紙は不要

●国会答弁でも,電子契約の場合の印紙が不要であることが確認されている。(平成17年内閣参質162第9号)

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm

電子帳簿保存法

■法人(企業など)では,取引に関係する書類(見積書,契約書,注文書,請書,送り状,領収書など)を7年間(場合によっては10年間)保存しなければならない。

●税務調査のときに,見せる必要がある。

■電子取引の場合には,取引情報を電子的に保存できる(10条)

●電子取引(2条6号)

取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

●一定の条件下では,紙の書類をスキャナで取り込んで電子化したもので保存することも可能(4条3項)

電子的な保存方法

■電子取引の文書以外の書類・帳簿については,電子的な保存にあたって,税務署長の承認が必要。(改正法により,2022年1月1日より承認不要)

■電子取引の文書については,税務署長の承認は不要で

(1) 発信者によるタイムスタンプの付加

(2) 受信者によるタイムスタンプの付加

(3) 訂正・削除を行えないか又は訂正・削除を行った場合にその事実及び内容を確認できるシステムで保存

(4) 正当な理由のない訂正・削除を防止する事務処理規定の設置・運用のいずれかを行う必要がある。

●さらに,速やかな表示・印刷ができること,日付・金額等やその範囲・組み合わせによる検索ができることが要件

電子帳簿保存法改正(2022年1月1日施行)

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000025

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000040043

■税務署長による承認制度の廃止

●帳簿の電子保存,受領書面のスキャンデータでの保存などについて,税務署長の承認制度がなくなる。

■電子取引の取引情報の保存

●電子取引の取引情報について,現行法では印刷した紙による保存が可能だが,改正法では,電子的な保存に限られる。

●このため,保存要件・検索要件が必要になる。

●ただし,データを必要に応じてダウンロードできるようにしている場合には,検索要件は緩和される。さらに,売り上げが1000万円以下の事業者がダウンロード可能にしている場合は,検索要件が不要となる。

電子署名法の今後

デジタル庁創設(2021年5月12日成立・一部を除き9月1日施行)

■デジタル社会形成基本法

●「デジタル社会」を定義

●情報の円滑な流通,アクセシビリティ,人材育成,利便性向上,情報活用,サイバーセキュリティの確保,個人情報の保護などのための施策の基本方針

■デジタル庁設置法

●総務省,経済産業省などに分散していたIT関係の機能を集約し,政府のIT化の司令塔としての役割

●デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針の企画立案・総合調整

●デジタル庁の主な所掌

マイナンバー,マイナンバーカードの利用関係,情報提供ネットワークシステムなどの設置・管理、本人確認,電子証明書,電子署名,電子委任状データの標準化,外部連携,ベース・レジストリ

デジタル庁整備法による主な法改正

法律名内容

民法弁済者は電子領収書を請求することができる(468条2項)

建設業法1)建設工事の見積書の電子交付可能(20条3項)

2)主任技術者の配置に係る合意に電子契約可能(26条の3第4項)

建築士法

管理建築士等は、建築主に対し設計受託契約又は工事監理受託契約の重要事項の説明をするときは、重要事項を記載した書面の交付に代えて、当該建築主の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子契約可能(24条の7第3項)

宅地建物取引法

1)媒介契約の契約時書面の電子化(34条の2)

2)重要事項説明書の電子化(35条)

3)宅建業者自身が行う不動産契約の契約時書面の電子化(37条)

建物の区分所有等に関する法律

マンションの建て替え買取につき、一部電子化(61条)

借地借家法

1)定期借地権設定契約の電子化を認める(22条)

2)定期建物賃借件設定契約の電子化を認める(38条)

3)取り壊し予定の建物の賃借権設定の電子化を認める(39条)

地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律

マイナンバーカードの電子証明書の発行事務を郵便局で行える(2条5項,6項)

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(公的個人認証法)

マイナンバーカードの電子証明書に関する利便性改善(地方公共団体情報システム機構(J-LIS)による情報提供に関する改正)

マイナンバーカードの署名用電子証明書をスマホに搭載

個人情報保護法三法及び条例の一本化,学術研究目的における規制緩和など

施行時期・・・大部分は,令和三年九月一日から施行

・宅地建物取引業法,公的個人認証法,個人情報保護法等は,政令で定める日

から施行

■包括的データ戦略(案)を2021年5月に策定

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai7/siryou8-1.pdf

包括的データ戦略(案): トラストの基盤の構築

①認定スキームの創設 【認定スキームの想定イメージ】

意思表示の証明、発行元証明、存在証明等に関するトラストサービスについて、

適合性評価機関が一定の基準に基づき評価し、クオリファイドサービス?として認定するスキームを創設

クオリファイドサービスについて

https://www.ipa.go.jp/security/pki/092.html

・適合性評価機関は、国又は民間主導の認定機関が認定

②トラスト基盤の創設

・国又は民間主導の認定機関及び適合性評価機関の役割の明確化及びトラストサービス事業者に対する認定・監督等の一般原則と共通要件を検討

③認定の効果

・クオリファイドサービスの認定の効果、特定サービスの効果を、官民間の公的手続きにおける許容性や民民間の書類やデータの流通性等のニーズを把握した上で検討

④認定基準

・トラストサービスの共通要件・個別要件、特定サービスの基準、クオリファイドサービスの認定基準を体系化することが必要(設備基準、技術基準、運用基準等)

・適合性評価機関の指定(認定)基準について、国際的な動向を踏まえることが必要

⑤クオリファイドサービスをトラステッドリストとして公表

・認定を受けたクオリファイドサービスを、トラストアンカー機能を有するものとして機械可読な形で公表し、利用者が自動的に検証できるようにすることが必要

⑥国際的な相互承認

・国際的な相互承認を得るためには、技術基準の整合性や監督・適合性評価のレベル、国内制度の整合性を確認することが必要

電子署名法や公的個人認証法など個別の制度構築がなされているが、データ社会全体を支える包括的なトラスト基盤が必要

意思表示の証明、発行元証明、存在証明等のトラストサービスに共通する水平横断的な一般原則と共通要件を整理し、認定スキームを創設することが必要

その際、国際的な同等性などを配慮した国際相互承認を念頭に置いて検討する。

国家監督機関掲載(又は、民間主導の認定機関)

トラストサービス(意思表示の証明、発行元証明、存在証明等)

トラステッドリスト

• クオリファイドサービスを機械可読な形で公表

• 現在のみならず過去に遡って確認可能

内閣官房HP

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai7/siryou8-1.pdf

データ戦略タスクフォース配下のワーキングチーム

(10月からデータ戦略推進ワーキンググループ配下に同様な組織を設置予定)

1. ヒト・組織・モノを特定するIdentity(属性情報)を、電子証明書に記録する

仕組みの信頼性を確保する制度について、本ワーキングチームにて取り扱う。

(1) ヒトの意思表示の証明: 電子署名

(2) 組織・モノの発行元証明: eシール(いわば組織の署名)

(3) 情報の存在時刻の証明: タイムスタンプ

2. 様々な分野でのサービス提供の基盤となるトラスト制度の検討を行うため,データ戦略タスクフォースのもとにワーキングチームを設置

3. EU,アメリカ等のトラストサービスとの相互承認のための,制度の創設を目指す。

(トラストの枠組みに関するとりまとめ

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/trust_wt/dai3/shiryou3.pdf

1. 国連機関のUNCITRALや欧州のeIDAS規則はトラストサービスを包括した制度となっているが、日本におけるトラスト基盤の要件はどのように考えるべきか。

2. 各々のトラストサービスに共通する水平横断的な一般原則と共通要件を整理し、包括的な制度を定めることでステークホルダーにとって分かりやすく、DFFTの推進に寄与できるのではないか。

<トラストサービスの水平横断的な一般原則と共通要件>

責任;監督;国際連携;

適格サービス;トラステッドリスト;適格マーク;認定基準

意思表示の証明・発行元証明・存在証明

内閣官房HP

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/trust_wt/dai1/shiryou7.pdf

裁判IT化のプロセス

■e法廷は順次開始している

■e提出・e事件管理は,2022年以降の予定

全国の地裁等で運用中

法制審にて審議中→2022年度実施が目標

第3講「使ってみよう!電子契約システムや日司連公的個人認証有効性確認システム!~画面共有による電子契約ソフト及び日司連公的個人認証有効確認システムの実践~」

司法書士隂山 克典

本講義の目的

〇実際の電子契約システムの画面を見ることで、今後、電子契約を活用する際の参考となることを目的としている

〇特定の事業者の電子契約システムを推奨するものではない点にご注意を

実際の電子契約システム

ファイル選択またはファイルをドロップ

選択したファイルが表れているか確認

契約の相手方を入力

データの送付先を設定

送付先のアドレスを入力

送付相手の氏名を入力

事案に応じ、アクセスコードを入力

入力したデータが反映されているか確認

どのような入力を求めるか選択

アップしたPDFデータの内容が表示される

誰の入力等を求めるか選択

○○に割り当て

日本司法書士会連合会に割り当て

割り当てられた項目に対し、文字等を入力

割り当てられた項目への入力完了

プレビュー

送信順序

相手方への連絡文書

送信することで、「日本司法書士会連合会」に承諾要請

ステータス表示

「売買契約書」が「日本司法書士会連合会」に送信されていることを示している

事業者より、書類の確認依頼が届く

クリックすると、書類内容の確認ができる

クリック後、ブラウザに表示される画面

アクセスコードを設定している場合は、ここに入力

日本司法書士会連合会に割り当てられた項目

承諾してよければ割り当てられた項目に入力

同意して確認完了ボタンを押すと、手続完了

事業者より、書類の確認完了メールが届く

締結済みファイルや合意締結証明書をダウンロードできる

契約締結後の電子署名付きPDFファイル

タイムスタンプ

承認等に対応した事業者の電子署名

署名のプロパティ

商業登記で活用する際は証明書ビューアに表示される電子証明書が法務省ウェブページに掲載されているか否かを確認

書類ID

現行法では、登記原因証明情報の適格性として、作成者の電子署名(公的個人認証または商業登記に基づく電子署名)が必要とされている

新たに追加された電子署名

マイナンバーカードによる電子署名であることがわかる

検証を必要とするファイルをアップロード

電子証明書は有効であり、かつ、ファイルに付与された電子証明書と日司連公的個人認証有効性確認システムで確認した電子証明書は一致する

eKYC

本人確認手段としての eKYC と今後の発展

日本電気株式会社 シニアエキスパート デジタルアイデンティティWG リーダー宮川 晃一

https://www.jnsa.org/jnsapress/vol48/JNSA_Press_No48.pdf

顧客の受け入れに対して明確な方針と手続きを持ち、それらの方針と手続きに沿って新規に顧客が口座開設を行う際はその顧客がどんな人物なのか、十分な身元確認を行う業務を一般的にKYC(Know Your Customer)と呼ぶ。eKYCは、オンラインによる非対面本人確認

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027

(定義)第二条8 この法律において「特定個人情報」とは、個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。第七条第一項及び第二項、第八条並びに第四十八条並びに附則第三条第一項から第三項まで及び第五項を除き、以下同じ。)をその内容に含む個人情報をいう。

別表第一(第九条関係)

UDID・・・UniversallyUnique Identifierの略で、アプリごとに使用40文字の英数字コード。識別子。

IMEI・・・携帯電話機の製造番号

ソルト・・・パスワードを暗号化する際に付与されるデータ。

 例えばメールアドレスとパスワードでアカウント登録を要求されるようなサービスにおいて、メールアドレスをSaltに含め、パスワードをハッシュ化して保存するといった使い方をします。パスワードを捨ててパスワードハッシュを保存し、さらに保存されたハッシュは非可逆でパスワードを復元できないことが重要となります。もしサーバーのrootに第三者が侵入したとしてもパスワードの漏洩を防げるからです。

 また、この方法は総当り攻撃を阻止することを意図していて、攻撃が意図的に遅くなるように設計されているのが特徴で、ストレッチング(1000回ハッシュ計算を繰り返して計算に時間がかかるようにする)という方法と併せてよく使用されます。そのため、Saltは秘密であることを重要視していないですが、いくつかの条件があります。

・ユーザーごとに異なるSaltであること (漏洩時のリスクを最小限にする為)

・ある程度の長さを確保すること (推測されにくくする為)

事業者が匿名加工情報の具体的な作成方法を検討するにあたっての参考資料

(「匿名加工情報作成マニュアル」)Ver1.0平成28年8月経済産業省

ハッシュ化・・・暗号化とは異なり、入力値から誰でも計算できる種類の処理である。不可逆的な(一方向の)変換ではあるが、識別可能な値を生成する。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/tokumeikakou.pdf

HMAC・・・メッセージ認証符号の一つであり、鍵(メッセージ認証符号のことです)とデータとハッシュ関数を元に計算されたハッシュ値を持つ。

認証と改竄検出のために使われるアルゴリズムで、HMACにより算出された値をMAC (Message Authentication Code) 値。

HMACは基本的に暗号チェックサムであり、攻撃者がメッセージを改竄したことを検出するために使用。鍵は秘密である必要があり、可能な限り高速となるように設計されている。

電子証明書を使う際に必要となる暗証番号・・・署名用電子証明書については6桁~16桁の英数字、利用者証明用電子証明書は4桁の数字を設定

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/kojinninshou-01.html

署名用暗証番号・・・?

署名用パスワード・・・6~16桁の英数字のパスワード。インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用

(例)特別定額給付金(10万円)の申請、e-Tax等の電子申請、銀行口座開設、不動産取引(住宅ローン)

https://www.kojinbango-card.go.jp/jpki/

第5回インフラ海外展開懇談会

https://www.meti.go.jp/shingikai/external_economy/infura_kaigaitenkai/005.html

日本で唯一の次世代デジタルIDアプリ「xID」

xID株式会社2020年10月2日

5. マイナンバーカード読み取り、署名用電子証明書を読み取り

「何に対して」(どんな内容の文書(電磁的記録)に対して)署名しようとしているのか。

8. 公的個人認証

社会保障・税番号大綱―主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築―政府・与党社会保障改革検討本部2011/06/30

https://www.soumu.go.jp/main_content/000141660.pdf

P34(注2)「番号」を一定の関数、手順等を用いて変換することで(複数回にわたって変換することを含む。)、新たに符号を生成した場合であって、生成した符号が「番号」と一対一に対応する関係にあるときは、生成した符号についても、「番号」に該当することとする。

xID株式会社

2021.9.24 ソーシャルメディア等で頂いているxIDアプリに関するご意見について

https://xid.inc/home

現在開発中で年内リリース予定の次期バージョンでは個人番号入力を伴う手順を廃止するよう進めております。

高木浩光@自宅の日記 ID番号は秘密ではない。秘密でないが隠すのが望ましい。なぜか。2012年03月03日

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20120303.html

ID番号は秘密にすべき情報ではない。他人に知られるとなりすましの被害に遭う番号ではない。そのように社会の側が構成されているべきである。しかし、ID番号が目的外で使用されたり、事業者をまたがって広範に共通して用いられる場合には、プライバシーの問題が生じてくる。そのため、消費者は、安易にID番号を提供することは避けるよう注意した方がいい。

我々が、ネットに自分のID番号を含む写真やログデータなどを掲載するときは、ID番号部分を隠す処置を施すことが多い。例えば、MACアドレスやUDID、IMEIを含むデータを掲載する場合などだ。実際のところこの処置は必須ではないのだが、たいていそうしている。そうする理由は、(1)万が一どこかにそのID番号でなりすましを許してしまう欠陥サービスがあった場合に備えた、念のための警戒として、(2)万が一どこかでそのID番号でトラッキングされている場合に、それが自分だとバレないようにするため、この2点である。

特に、他人のID番号を掲載する場合は、隠す処置を施すのは必須であろう。どこかで、そのID番号が誰のものであるか知っている者(本人以外の)がいる可能性があるからだ。

符号・・・?

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000153

(署名用電子証明書又は利用者証明用電子証明書の発行の番号の利用制限等)

第六十三条 機構、署名検証者等、署名確認者又は利用者証明検証者以外の者は、何人も、業として、署名用電子証明書の発行の番号又は利用者証明用電子証明書の発行の番号の記録されたデータベース(自己以外の者に係る署名用電子証明書の発行の番号又は利用者証明用電子証明書の発行の番号を含む当該自己以外の者に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。以下この項において同じ。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない。

2 総務大臣は、前項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復して同項の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。

3 総務大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

署名用電子証明書の発行の番号・・・?

利用者証明用電子証明書の発行の番号・・・?

利用者証明用電子証明書のシリアル番号・・・利用者証明用電子証明書には、基本4情報(氏名、住所、性別及び生年月日)は登録されていませんが、 シリアル番号、有効期限等が記録。一般的にシリアル番号とは、製品などを一つ一つの個体として識別するために割り当てられる固有の番号。

https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin/mycd_login.htm

暗号論的ハッシュ関数・・・?

ITをめぐる法律問題について考える 弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

eKYCの犯収法上の確認要件を振り返る

犯罪による収益の移転防止に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022

第二章 特定事業者による措置

(取引時確認等)第四条

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等の本人特定事項の確認方法)

第六条 法第四条第一項に規定する主務省令で定める方法のうち同項第一号に掲げる事項に係るものは、次の各号に掲げる顧客等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。

一 自然人である顧客等(次号に掲げる者を除く。) 次に掲げる方法のいずれか

イ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類(次条に規定する書類をいう。以下同じ。)のうち同条第一号又は第四号に定めるもの(同条第一号ハからホまでに掲げるものを除く。以下「写真付き本人確認書類」という。)の提示(同条第一号ロに掲げる書類(一を限り発行又は発給されたものを除く。ロ及びハにおいて同じ。)の代表者等からの提示を除く。)を受ける方法

6条1号イは、写真付き本人確認書類の提示を受ける方法(対面)

ロ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類(次条第一号イに掲げるものを除く。)の提示(同号ロに掲げる書類の提示にあっては、当該書類の代表者等からの提示に限る。)を受けるとともに、当該本人確認書類に記載されている当該顧客等の住居に宛てて、預金通帳その他の当該顧客等との取引に係る文書(以下「取引関係文書」という。)を書留郵便若しくはその取扱いにおいて引受け及び配達の記録をする郵便又はこれらに準ずるもの(以下「書留郵便等」という。)により、その取扱いにおいて転送をしない郵便物又はこれに準ずるもの(以下「転送不要郵便物等」という。)として送付する方法

6条1号ロは、本人確認書類の提示&書留郵便等で転送不要郵便物等として送付する方法(対面後郵送)

ハ 当該顧客等若しくはその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号ハに掲げるもののいずれか二の書類の提示を受ける方法又は同号ハに掲げる書類及び同号ロ、ニ若しくはホに掲げる書類若しくは当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類(次項に規定する補完書類をいう。ニ及びリにおいて同じ。)の提示(同号ロに掲げる書類の提示にあっては、当該書類の代表者等からの提示に限る。)を受ける方法

6条1号ハは、保険証等2種類の本人確認書類等の提示を受けるの方法(対面)

ニ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号ハに掲げるものの提示を受け、かつ、当該本人確認書類以外の本人確認書類若しくは当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類又はその写しの送付を受ける方法

6条1号二は、保険証等の本人確認書類の提示&他の本人確認書類等の写しの送付(対面・郵送)

通常の対面確認の方法も、犯収法施行規則6条で定められています。6条1号ホへトチヲワカが、オンラインと関係ありますね。

以下は、金融庁のPDF図です。6条1号ホへトしか図には出ていませんが、チはオンライン+郵送なので、図から割愛されたのでしょう、ヲワカは電子署名だから割愛されたんですかね。。。

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/01.pdf

ホ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報であって、当該写真付き本人確認書類に係る画像情報が、当該写真付き本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日、当該写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真並びに当該写真付き本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受ける方法

6条1号ホ「本人確認書類の画像送信+本人の容貌の画像送信」

金融機関等(特定事業者)が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報の送信を受ける方法です。

そのソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報であって、当該写真付き本人確認書類に係る画像情報が、当該写真付き本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日、当該写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真並びに当該写真付き本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものでなければなりません。

ヘ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌の画像情報をいう。)の送信を受けるとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の写真付き本人確認書類(氏名、住居、生年月日及び写真の情報が記録されている半導体集積回路(半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和六十年法律第四十三号)第二条第一項に規定する半導体集積回路をいう。以下同じ。)が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受ける方法

6条1号ヘ「ICチップ情報+本人の容貌の画像送信」

金融機関等(特定事業者)が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報と、ICチップの情報の送信を受ける方法です。

ICチップ情報は、写真付き本人確認書類(氏名、住居、生年月日及び写真の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれたもので、具体的にはマイナンバーカードやIC免許証、IC在留カード等とのことです。

ト 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号又は第四号に定めるもの(同条第一号ニ及びホに掲げるものを除き、一を限り発行又は発給されたものに限る。以下トにおいて単に「本人確認書類」という。)の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受け、又は当該顧客等若しくはその代表者等に当該ソフトウェアを使用して読み取りをさせた当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受けるとともに、次に掲げる行為のいずれかを行う方法(取引の相手方が次の⑴又は⑵に規定する氏名、住居及び生年月日の確認に係る顧客等になりすましている疑いがある取引又は当該確認が行われた際に氏名、住居及び生年月日を偽っていた疑いがある顧客等(その代表者等が氏名、住居及び生年月日を偽っていた疑いがある顧客等を含む。)との間における取引を行う場合を除く。)

(1) 他の特定事業者が令第七条第一項第一号イに掲げる取引又は同項第三号に定める取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、当該確認に係る確認記録を保存し、かつ、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等しか知り得ない事項その他の当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けることにより当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認すること。

(2) 当該顧客等の預金又は貯金口座(当該預金又は貯金口座に係る令第七条第一項第一号イに掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、かつ、当該確認に係る確認記録を保存しているものに限る。)に金銭の振込みを行うとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該振込みを特定するために必要な事項が記載された預貯金通帳の写し又はこれに準ずるものの送付を受けること。

6条1号ト(1)「銀行等への照会」

これを使える事業者が限られそうなので、説明割愛

6条1号ト(2)「少額振込」

これを使える事業者が限られそうなので、説明割愛

チ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号若しくは第四号に定めるもの(以下チ並びにリ及びヌにおいて単に「本人確認書類」という。)の送付を受け、又は当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報若しくは本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類(次条第一号イからハまでに掲げるもののうち一を限り発行又は発給されたものに限る。)の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信(当該本人確認用画像情報にあっては、当該ソフトウェアを使用した送信に限る。)を受けるとともに、当該本人確認書類に記載され、又は当該情報に記録されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

6条1号チ「本人確認書類又はICチップ情報若しくは画像情報の送信+書留郵便等により転送不要郵便物等として送付」

①ー1本人確認書類の送付を受ける

①ー2又は当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれたICチップ情報

①ー3若しくは本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受けるとともに、

②住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

リ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の現在の住居の記載がある本人確認書類のいずれか二の書類の写しの送付を受け、又は当該顧客等の本人確認書類の写し及び当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類(次項第三号に掲げる書類にあっては、当該顧客等と同居する者のものを含み、当該本人確認書類に当該顧客等の現在の住居の記載がないときは、当該補完書類及び他の補完書類(当該顧客等のものに限る。)とする。)若しくはその写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類の写し又は当該補完書類若しくはその写しに記載されている当該顧客等の住居(当該本人確認書類の写しに当該顧客等の現在の住居の記載がない場合にあっては、当該補完書類又はその写しに記載されている当該顧客等の住居)に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

ヌ 次の(1)若しくは(2)に掲げる取引又は当該顧客等との間で(2)に掲げる取引と同時に若しくは連続して行われる令第七条第一項ム若しくはヰに掲げる取引を行う際に当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類の写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類の写しに記載されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

(1) 令第七条第一項第一号イに掲げる取引のうち、法人(特定事業者との間で行われた取引の態様その他の事情を勘案してその行う取引が犯罪による収益の移転の危険性の程度が低いと認められる法人に限る。)の被用者との間で行うもの(当該法人の本店等又は営業所に電話をかけることその他これに類する方法により給与その他の当該法人が当該被用者に支払う金銭の振込みを受ける預金又は貯金口座に係るものであることが確認できるものに限る。)

(2) 令第七条第一項第一号リに掲げる取引(特定事業者が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第十四条第一項の規定により当該顧客等から同法第二条第五項に規定する個人番号の提供を受けている場合に限る。)

ル その取扱いにおいて名宛人本人若しくは差出人の指定した名宛人に代わって受け取ることができる者に限り交付する郵便又はこれに準ずるもの(特定事業者に代わって住居を確認し、写真付き本人確認書類の提示を受け、並びに第二十条第一項第一号、第三号(括弧書を除く。)及び第十七号に掲げる事項を当該特定事業者に伝達する措置がとられているものに限る。)により、当該顧客等に対して、取引関係文書を送付する方法

ヲ 当該顧客等から、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号。以下この項において「電子署名法」という。)第四条第一項に規定する認定を受けた者が発行し、かつ、その認定に係る業務の用に供する電子証明書(当該顧客等の氏名、住居及び生年月日の記録のあるものに限る。)及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

6条1号ヲ「電子署名」

電子署名法第四条第一項に規定する認定を受けた者が発行し、かつ、その認定に係る業務の用に供する電子証明書及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

ワ 当該顧客等から、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号。以下この号において「公的個人認証法」という。)第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書及び当該署名用電子証明書により確認される公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法(特定事業者が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)

6条1号ワ「電子署名」

公的個人認証法第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書及び当該署名用電子証明書により確認される公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法(特定事業者が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)

カ 当該顧客等から、公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる内閣総理大臣及び総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務(電子署名法第二条第三項に規定する特定認証業務をいう。)の用に供する電子証明書(当該顧客等の氏名、住居及び生年月日の記録のあるものに限り、当該顧客等に係る利用者(電子署名法第二条第二項に規定する利用者をいう。)の真偽の確認が、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第五条第一項各号に掲げる方法により行われて発行されるものに限る。)及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

二 法第四条第一項第一号に規定する外国人である顧客等(第八条第一項第一号に掲げる特定取引等に係る者に限る。) 当該顧客等から旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に掲げる旅券又は同条第六号に掲げる乗員手帳をいい、当該顧客等の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。)であって、第八条第一項第一号に定める事項の記載があるもの又は同法第十四条の二第四項に規定する船舶観光上陸許可書(その交付に際して当該交付を受ける者の同法第二条第五号に掲げる旅券の写しが貼り付けられたものに限る。次条第一号イ及び第三号において単に「船舶観光上陸許可書」という。)の提示を受ける方法

三 法人である顧客等 次に掲げる方法のいずれか

イ 当該法人の代表者等から本人確認書類のうち次条第二号又は第四号に定めるものの提示を受ける方法

ロ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受け、かつ、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律(平成十一年法律第二百二十六号)第三条第二項に規定する指定法人から登記情報(同法第二条第一項に規定する登記情報をいう。以下同じ。)の送信を受ける方法(当該法人の代表者等(当該顧客等を代表する権限を有する役員として登記されていない法人の代表者等に限る。)と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)

ハ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受けるとともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第三十九条第四項の規定により公表されている当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地(以下「公表事項」という。)を確認する方法(当該法人の代表者等と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)

ニ 当該法人の代表者等から本人確認書類のうち次条第二号若しくは第四号に定めるもの又はその写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類又はその写しに記載されている当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

ホ 当該法人の代表者等から、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十二条の二第一項及び第三項の規定に基づき登記官が作成した電子証明書並びに当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

6条1号カ「電子署名」

公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務の用に供する電子証明書及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方

 

難しいです。

 犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項、同法施行規則6条の要件を満たす場合、同法令の範囲内の本人確認の方法として有効となる。

 司法書士法関連法令と司法書士会の会則・規定による本人確認は、本人確認が必要な場面と、犯罪による収益移転防止法関連法令より少し細かな記載(日本司法書士会連合会、司法書士執務調査室執務部会「司法書士にとっての犯罪収益移転防止法Q&A」令和2年8月など。)。

 個人情報保護法とその関連法令、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律とその関連法令は、本人確認を行う相手の権利を不必要に奪わないように定められている、という理解で良いのか。

 

行政手続における書面主義の見直し及びオンライン利用率を大胆に引き上げる取組について(戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の促進等)

加工

内閣府第1回デジタルワーキング・グループ 令和3年9月8日(水)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20210908/agenda.html

議題.行政手続における書面主義の見直し及びオンライン利用率を大胆に引き上げる取組について(戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の促進等)

・戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の取組・課題について(株式会社グラファーからのヒアリング)

・戸籍謄抄本の請求等のオンライン化に係る国の取組等について(法務省からのヒアリング論点に対する回答

【論点1-③】

 戸籍の記載事項は、ベースレジストリにも指定されており、関連する手続のデジタル化が強く求められると考えられる。「法務省情報化推進会議」等において、戸籍謄抄本の請求・交付、届出分野のデジタル化を進める観点から、どのような検討が行われたか(事務次官がどのようにリーダーシップを発揮したかを含む)、具体的にご説明願いたい。

【論点1-③】

 本年7月に開催した「法務省情報化推進会議」においては,戸籍謄抄本の請求・交付,届出分野のデジタル化を含めた国民目線でのオンライン化やキャッシュレス化の推進などの課題に対する取組を強力に推進するために,省全体のデジタル化推進体制を強化する必要があるとの認識を出席者一同で確認した。

 そして,戸籍謄抄本の請求・交付,届出分野のデジタル化については,事務次官のリーダーシップの下,PMOにおいて,CIO補佐官からの知見も得つつ,担当PJMOと協議を重ね,オンライン利用率向上等に向けた検討を行うなどしている。

 また,戸籍情報の連携のための関係省庁との協議,例えば,旅券発給手続に関する外務省や内閣官房番号制度推進室との協議や年金手続などの社会保障手続に関する厚生労働省との協議などに当たって相談を受けるなどしている。

 さらに,戸籍事務におけるマイナンバー制度の利活用を推進するべく,①マイナンバーの提供等による戸籍謄抄本の添付省略並びに②戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略及び本籍地以外の市区町村での戸籍謄本の発行を実現するために必要な経費を令和4年度予算概算要求に盛り込んでいる。

【論点2-①】

 現在、検討・策定を進めている基本計画等について、可能な範囲で、具体的内容をご説明願いたい。なお、目標については、狭い意味でのオンライン利用率に留まらず、コンビニ交付や情報連携により戸籍謄抄本等の添付が不要となる件数も考慮したものとすべきである。

【回答2-①】

 令和5年度中に戸籍情報連携システムを構築・稼動させることを予定している。これにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,そもそも戸籍証明書を取得する場面が減少することとなる。その結果,全ての市区町村の住民がその恩恵を受けることができることとなる。オンライン利用率の目標設定については,御指摘を踏まえつつ,検討してまいりたい。

【論点3-①】

 コロナ禍を踏まえて書面・押印・対面の見直しが進められる中におけるオンライン請求及びコンビニ請求に関する国民のニーズについて、可能な限り定量的にお示し願いたい。

【回答3-①】

 平成29(2017)年に実施した調査研究における結果,将来における戸籍証明書の取得方法に関するニーズとして,「インターネットでマイナンバーカードの電子証明書を利用して取得」するニーズが12.9%,「最寄りのコンビニエンスストアでマイナンバーカードを使ってマルチコピー機から取得」するニーズが11.1%あったところであるが,当局が構築する戸籍情報連携システムが稼動することにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,そもそも戸籍証明書を取得する場面が減少することとなり,全ての市区町村の住民がその恩恵を受けることができることとなる。

【論点3-②】

 戸籍謄抄本をオンライン請求もしくはコンビニ請求できる自治体数は人口カバー率でどの程度か、定量的にお示し願いたい。

【回答3-②】

 オンラインによる戸籍証明書の交付請求が可能な自治体は,本年7月1日現在,1896市区町村のうち,17市区町村(約 0.8%)であり,本籍人口は約 250 万人で,全体の約2%となっている。

 また,コンビニ交付の仕組みを使った戸籍証明書の交付請求が可能な自治体は,本年7月1日現在,1896市区町村のうち,693市区町村(約36.5%)である。なお,コンビニ交付は,住民票の住所を置く市区町村と本籍を置く市区町村が同一である場合にのみ交付請求ができる場合と,これらが同一でなくても交付請求ができる場合とがあるが,戸籍には住所情報がないため,コンビニ交付を受けることができる正確な人口割合は不明であるものの,人口比で約55%前後であると推計される。

【論点3-③】

 平成 29 年時点においてもオンライン請求及びコンビニ請求に対する一定のニーズが示されているが、オンライン請求やコンビニ請求を導入する自治体数が現況に止まる要因をどのように考えているか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-④】

 論点3-③を把握するため、どのような取組を行ったのか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-⑤】

 論点3-③について、具体的な把握ができていないとすれば、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-③から⑤まで】

 市区町村において戸籍事務に従事する職員にヒアリングしたところ,オンライン請求については,コンビニ交付に比べ交付までに時間がかかることから,住民からのニーズが高くないこと,戸籍事務のためだけにオンライン請求を受け付ける環境を構築することに意義が見出せないこと,などが挙げられる。

 また,コンビニ交付については,オンライン請求に比べ比較的普及が進んでいるところ,特に地方の小規模自治体については,本籍人が必ずしも住民とは限らず,導入することが当該自治体の住民の利便性の向上に資するものとはいえないことから,予算措置の優先順位が低いことが挙げられる。

 さらに,いずれの仕組みについても,地方公共団体の事務が多数ある中で,その仕組みの導入は戸籍証明書の交付請求の場面に限ったものではない。

 もっとも,当局が構築する戸籍情報連携システムが稼動することにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,コンビニ交付やオンライン申請により戸籍証明書を取得する場面が大幅に減少することになる見込みである。

【論点3-⑥】

 オンライン請求やコンビニ請求を実現した自治体においても、必ずしも、オンライン請求やコンビニ請求の利用状況はそれほど多くないが、その要因をどのように考えているか、具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑥】

 オンライン請求やコンビニ交付による請求を実施する前提として,マイナンバーカードを使って行う必要があるところ,マイナンバーカードが完全に普及していないことも一因であると考えられる。

 また,オンライン請求を導入している自治体において,現在,紙の証明書を郵送で返信する方式又は自治体の窓口で交付していることから,コンビニ交付と比較して交付までの時間がかかることが要因として挙げられる。

【論点3-⑨】

 オンライン請求システムを提供しているグラファー社からは、デジタル手続法により、戸籍のオンライン請求が制度上可能となっている旨を把握していない自治体職員もいるとの課題が示されている。オンライン請求が可能であること等について、自治体への周知徹底が不十分であると考えるが、法務省としての見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑨】

 オンライン請求は,デジタル手続法の施行前から法制上可能であり,平成16年の戸籍法令の改正により,導入することが可能である。平成16年には標準仕様書を通達として発出し,これに関する解説記事も掲載しているほか,平成22年(東京都中野区の取扱いの認容事例),令和2年(埼玉県志木市の取扱いの認容事例)にオンライン請求の認容事例を紹介する周知を実施も行った。さらに,デジタル手続法が成立したことを踏まえ,オンラインシステムを導入している市区町村の一覧を掲載し,制度の周知を図っているところである。

【論点3-⑪】

 オンライン請求システムを提供しているグラファー社からは、法務省が整備している「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」について、最新のデジタル技術を踏まえた改訂が必要との課題が示されている。法務省が整備している「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」については、最新のデジタル技術や、自治体における実際の運用状況等も踏まえ、不断の見直しが必要であり、ベンダーや自治体関係者等と定期的に意見交換をして課題や対応策を検討することが不可欠と考えるが、法務省の取組について、具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑪】

 戸籍情報システムの仕様書については,例年,調査研究委託として実施される標準仕様研究会において改訂が実施されている。この研究会は,法務省職員や地方自治体職員,戸籍情報システム事業者から構成され,制度改正や技術の進歩等に合わせた仕様書の改訂について研究しており,定期的な意見交換が実施されているところである。

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司法書士を入れていただけないかな、と思います。

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【論点3-⑫】

 一部の自治体からは、申請部分が電子化されても、戸籍情報を管理する内部システムと連動していないことから人による筆頭者等の審査・補正が必要、また、戸籍情報以外にも他のデータからDV等被害者に該当するか否か人による審査が必要等の理由から、オンライン請求を導入しても、自治体内部の効率化が図れないとの課題が示されている。デジタル化の推進に当たっては、申請者のインターフェイスだけでなく、自治体内部の業務も含め一連の業務をデジタル完結することが必要であるが、法務省としてどのような対応を行っているのか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-⑬】

 論点3-⑫について、自治体任せにするのでは、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-⑫及び⑬】

 戸籍証明書の交付申請に当たっては,戸籍を特定する必要があり,戸籍の特定は,本籍及び筆頭者氏名を明らかにすることにより行うこととなるが,本籍及び筆頭者氏名が正しく特定されない場合には,交付すべき戸籍証明書が明らかにならないことから,申請内容を修正する必要がある。本籍及び筆頭者氏名以外の情報により個人情報を特定する方法としては,例えば,個人のマイナンバーにより特定する方法が考えられるが,マイナンバーと戸籍情報との紐付けについては,関係府省担当者も委員として参加した法制審議会戸籍法部会においても審議され,個人情報保護の観点から,直接紐付けをすべきではないとされたところである。そのため,現在,マイナンバーと戸籍情報は紐付いておらず(又は「マイナンバーカードには戸籍情報は登録されておらず」),マイナンバーによっては戸籍が特定されないことから,申請する側で戸籍を特定する必要がある。

 また,DV加害者やその代理人から,DV被害者等が記載された戸籍に係る戸籍証明書の交付請求がされた場合には,当該請求が不当な目的によるものであるか否かを審査する必要があるところであり,いずれも交付請求の適否の審査において必要な行為であると考えている。もっとも,DV被害者等が記載された戸籍に係る戸籍証明書の取扱いについては,DV被害者等からの申出を受けて証明書が交付されないような仕組みを検討中である。

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戸籍証明書の交付申請に当たって、請求者の生年月日が不要ということを初めて知りました。

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【論点3-⑭】

 法務省では、DV加害者からの請求への対応は、当該請求が戸籍法第 10条2項の「不当な目的」に該当するか否かを自治体が個別判断すべきとしていると承知している。当然にして慎重かつ正確な判断が求められる性質の審査であると考えるが、一方でその審査には相応の事務負担が自治体に発生しているものと考えられる。他方で、埼玉県戸田市では、グラファー社と連携した上で、自治体内部における審査業務のデジタル化の実証実験を行っていると承知している。総務省と連携の上で戸田市の取組に関する課題・効果を検証し、デジタル技術を用いて画一的に判断可能な審査項目・業務について、事務負担軽減のための取組みの横展開を図るべきと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-⑭】

 埼玉県戸田市における「審査業務のデジタル化の実証実験」の内容については,有益な情報があれば,是非お聞かせいただきたいと考えており,管轄法務局とも連携し,審査業務の効率化に資する事務負担の軽減に向けた取組を進めてまいりたい。

【論点3-⑮】

 「規制改革実施計画(令和3年6月 18 日閣議決定)」において、「キャッシュレス化の推進」が決定されているところ、郵送による請求の際には、手数料を定額小為替で納付するよう求める自治体も多数ある実態を踏まえると、自治体任せにするのでは、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省の見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑮】

 手数料の徴収に関する事項は,地方自治法に基づき条例によることとされているところであり,地方公共団体の事務は多数ある中で,決済方法の問題については,戸籍証明書の交付請求の場面に限ったものではないが,キャッシュレス決済の取組を進めている自治体の実例を紹介するなど,関係府省と連携して,利用者の利便性の向上に資する取組を進めてまいりたい。

【論点3-⑯】

 一部の自治体からは、請求総数のうち、士業による職務上請求が占める割合が高く、正当な理由であるか等の審査が必要で、本人請求を前提としたオンライン請求やコンビニ請求では対応できないとの課題が示されているが、士業団体等との協議状況も含め、法務省としての取組を具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑯】

 士業者が戸籍証明書を請求する場合には,個人情報保護の観点から,その職務上必要とされるかについて,正当な事由の有無について審査が必要となる。

 当該請求については,利便性の向上を求める意見もある一方,本年8月にも,行政書士による不正請求が発覚するなど,不正請求事件も多く見られるところであり,市区町村からも,人権上の見地から,請求の事由を正確に記載するよう指導すべきとする意見もあるところであり,様々な意見を踏まえる必要があると考えている。

 なお,オンラインによる士業者からの職務上請求を可能とする戸籍法施行規則の改正については検討し,その旨を内閣府に回答したところである。

20221009追加

2022年9月5日富士フイルムシステムサービス
東京都墨田区と住民票の写しなどの証明書の郵送請求に
おけるキャッシュレス化に向けた実証実験を開始

証明書請求者と自治体職員双方の負荷軽減を目指して

https://www.fujifilm.com/fbss/news/news_220905

【論点3-⑰】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、平成7年度から平成 15 年度までの間、戸籍の電算化に必要な経費について、特別交付税による財政支援がされ、各市区町村がベンダー(8社)から個別に戸籍情報システムを調達して順次電算化を進めた結果、電算化した自治体の数は、平成7年時点の 24 庁から平成 15 年には 1,497 庁へと拡大したことが示されている。

 一部の自治体からは、戸籍に限らずコンビニ請求を実施する際のサーバー設置費や、コンビニ等に支払う手数料が財政的に課題であるとの意見が示されているところ、総務省では一定の地財措置を講ずる等の取組を行っている。戸籍のオンライン請求及びコンビニ請求の拡大に向け、財政支援や複数の自治体による共同の取組の支援など法務省としての対応を検討すべきと考えるが、法務省の見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑰】

 財政措置の可否については,関係府省と相談の上で対応してまいりたい。

【論点4-①】

 「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」、「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」、「本籍地以外での戸籍謄抄本の発行」のそれぞれにつき、検討状況及び課題並びに実現に向けた今後のスケジュールについて、具体的にご説明願いたい。

【回答4-①】

 行政手続における戸籍謄本等の添付省略等については,法務省において新たに整備する戸籍情報連携システムによって戸籍情報の提供を可能とすることとなるところ,その検討状況等は以下のとおりである。

○「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」

以下の2通りの実現方式について,現在,設計・開発を行っている。

① マイナンバー制度に基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式

 改正戸籍法(令和元年法律第17号)附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

 ・開発・テスト:令和4年度まで ・情報提供用個人識別符号取得:令和4年度 ・連携テスト:令和5年度 ・運用開始:令和6年3月

② 電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)をオンラインで提供する方式

令和6年度中の導入を目指して設計中である。

 ・対象行政機関と調整の上,現在設計中 ・運用開始:令和6年度以降

○「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」

改正戸籍法(令和元年法律第17号)附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

・開発・テスト:令和4年度まで・連携テスト:令和5年度・運用開始:令和6年3月

○「本籍地以外での戸籍謄本の発行」

 改正戸籍法附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

・開発・テスト:令和4年度まで・連携テスト:令和5年度・運用開始:令和6年3月

【論点4-②】

 「デジタル・ガバメント実行計画(令和2年 12 月 25 日閣議決定)」において、「戸籍謄本・抄本は、身分関係等を証明することを目的として、年間約 4,200 万件(令和元年)が発行されており、法令に基づく約 500 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっている。」とあるが、速やかに添付省略が実現され、国民・行政双方のデジタル化・事務負担の軽減が図られる必要がある。上記取組みによって、500 種類以上の手続について、いつまでに、どの程度の手続(種類数・件数ベース・内容)で添付省略が実現されるのか、ご説明願いたい。

【回答4-②】

 IT室による「ワンスオンリー実現に必要な情報連携拡大等検討のための基礎調査」結果等を踏まえ,合計で 600 種類以上,少なくとも 1,000 万件以上の手続について,戸籍謄抄本の添付省略が実現される見込みであり,その詳細は以下のとおりである。

○「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」

①マイナンバー制度に基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式

 ・約 580 手続,件数 約 580 万件 ・令和6年度から順次開始

② 電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)をオンラインで提供する方式

 ・約 30 手続,件数 約 345 万件 ・令和6年度中に開始

○「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」

・件数 約 121 万件・令和6年3月から開始

【論点4-③】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、「戸籍謄本等の交付請求をした目的」として「パスポートの申請のため:61.6%」、「婚姻届など戸籍の届出で提出するため:50.2%」、「年金や児童扶養手当などの社会保障給付金受給に関する手続で提出するため:27.0%」等のニーズが示されている。これら国民のニーズが高い手続については、速やかに添付省略が実現される必要がある。法務省としての取組を具体的にご説明願いたい。

【回答4-③】

 戸籍情報連携システムを整備することで,国民のニーズが高いとされた以下の手続について,戸籍謄抄本の添付省略が実現される見込みである。

○「パスポートの申請のため:61.6%」【論点4-①】の回答で示した「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」の②電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)を提供する方式により,添付省略が実現される。

○「婚姻届など戸籍の届出で提出するため:50.2%」【論点4-①】の回答で示した「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」により,添付省略が実現される。

○「年金や児童扶養手当などの社会保障給付金受給に関する手続で提出するため:27.0%」

【論点4-①】の回答で示した「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」マイナンバーに基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式により,添付省略が実現される。

【論点4-⑤】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、全国の市区町村における戸籍謄本等の利用目的別の比率は「相続関係手続」が 33.9%に上ることが示されており、相続時においては、民間の手続きについても戸籍謄抄本の添付を求める手続が多数ある。国民負担の軽減の観点から、民間手続における戸籍謄抄本の利用についても可能な限り定量的・具体的に手続の種類・内容を把握したうえで、情報連携による添付省略の取組について、検討を開始すべきと考える。法務省としての見解をお示し願いたい。なお、十分にデジタル化が進まない中で、本籍地以外での戸籍謄抄本の請求が可能にすれば、都市部の自治体等において他の自治体分の戸籍請求も増えることも想定されるところであり、こうした問題について、法務省としてどのようにどのように考えているか、併せてお示し願いたい。

【回答4-⑤】

(民間手続における戸籍謄抄本の利用について)

 戸籍謄抄本については,利用目的別の比率の高い行政手続だけでなく,民間でも相続時においては添付を求める手続が多数あるものと承知している。

 この点に関し,デジタル・ガバメント実行計画の「死亡・相続ワンストップサービス」においては,「内閣官房は、戸籍情報連携システムの戸籍電子証明書(電子的な戸籍記録事項の証明情報)を活用した法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策について、法務省と検討を行う」とされており,引き続き内閣官房の検討に協力してまいりたい。

 なお,【論点4-①】の回答で示した「本籍地以外での戸籍謄本の発行」により,本籍地以外の市区町村の窓口でも,自らや父母等の戸籍謄本の取得を可能とする広域交付の仕組みが導入されるため,国民の利便性向上に大きく資することとなると考える。

(「都市部の自治体等において他の自治体分の戸籍請求も増える」について)

 御指摘のとおり,人口が集中する都市部の自治体等においては,他の自治体の戸籍謄本の請求が増えることも想定されるところではあるが,国民の利便性向上のため,都市部の自治体等の理解を得つつ,所要の検討を進めてまいりたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

戸籍謄本の交付は、自治体の収入にはならないのでしょうか。

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【論点5-①】

平成 16 年から制度上可能となっているにもかかわらず、現在、導入している自治体は無いことについて、具体的な要因をどのように考えているか、ご説明願いたい。

【論点5-②】

論点5-①について、具体的な把握ができていないとすれば、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答5-①及び②】

 届出のオンラインシステムを導入しない理由について,証明書のオンラインシステムを導入する市区町村に聞いたところ,以下の課題があるとのことであった。

①オンライン届出と紙の届出が混在することとなり、処理が複雑となる。

  • オンライン届出情報の他市区町村への送付や添付資料の確認など検討課題が多い。
  • 戸籍のオンライン届出については,届出人や証人についても電子署名が必要であるなど,届出を行うまでのハードルが高く,現実的でない。

【論点5-③】

 死亡時における国民の手続負担軽減の観点からは、死亡・相続ワンストップサービスの利便性向上等が必要である。「第 14 回デジタル・ガバメント分科会(令和3年 3月 26 日)」において、死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出をオンラインで完結する仕組みの構築に向けて、厚生労働省と共に検討を開始することが示されているが、具体的に何がいつまでにどの様な工程を経て実現されるのか、課題は何か、ご説明願いたい。

【回答5-③】

 死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出をオンラインで完結する仕組みの構築に向けては,現在,デジタル庁及び厚生労働省とともに取り組んでいるところである。当省としては,市区町村長が死亡診断書の内容を確認することが可能な場合には,死亡の届書に死亡診断書の添付を省略することができる旨の戸籍法施行規則の改正を本年4月に実施したところである。

 電子死亡診断書を市区町村に送付する運用の実施に当たっての主な課題としては,HPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)カード電子署名や医療関係データの送付の仕組みの普及などがあると承知している。現在,関係府省の間で,添付省略の取扱いの実証的運用について,本年度中に実施する方向で調整中である。

【論点5-④】

 死亡届以外も、例えば出生届及び出生証明書のデジタル化や、離婚届と調停調書のデジタル化など、関係府省等と連携して、国主導でオンライン化・デジタル化の検討を進めることが、国民の利便性向上につながると考える。

 法務省としてデジタル化に向けた取組みに率先して取り組むことが必要と考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答5-④】

 戸籍届書の添付書類の電子化は,手続をデジタルで完結させるために必要な課題であり,重要な取組であると認識している。今後とも引き続き,添付書類の電子化について関係府省等と取り組んでまいりたい。

20221116追記

参考

市民と法No.137、2022年10月、民事法研究会、赤松茂司法書士「戸籍全部事項証明書等の職務上請求のオンライン化に向けた展開」
  

マイナンバーカードでPDFファイルの情報に電子署名を付与して、公的個人認証サービスで一致性を確認してみました(Adobe Acrobat DC および Adobe Acrobat Reader DC 使用)。

 本当は、前回の電子署名の有効性確認を行った際に、一致性の確認まで完了したかったのですが、私のミスで出来ませんでした。その後、日司連公的個人認証有効性確認システムサポートさんのアドバイスを得て、一致性の確認まで出来たので私自身の復習の意味で書いてみます。

前回の最後の部分と少し重なります。

 MicrosoftのwordファイルなどをPDFファイルに変換したり、電子署名が付与されたPDFファイルを検証するのに、Adobe Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用しました。マイナンバーカードだけでは駄目なのか。そんなことはありません。いくつもある方法の中から、通常の契約と同時に、登記申請でも利用できるように私自身は、Adobe Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用しました。司法書士事務所開業当時から、Adobe Acrobat DC / Acrobat Reader DCをPCに入れていたから、というのが一番大きな理由です。また、PDF署名プラグインソフト(PDFファイルに電子署名を付与するためのソフトウェア)を利用するため、という理由もあります。

登記・供託オンライン申請システム「登記・供託オンライン申請システムにおいて動作確認しているPDF変換ソフト」

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/append/pdf_operation.html

法務省 「利用可能な電子証明書・電子証明書を発行している認証機関」

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/riyokano_syoumei.html

公的個人認証サービス  ポータルサイト「署名用認証局の運営に関する情報」

https://www.jpki.go.jp/ca/ca_rules3.html

・MicrosoftのwordファイルからPDFファイルに変換して、電子署名を付与してみます。事前にPDF署名プラグインソフトをダウンロードしています。

Adobe「PDF ファイルで電子署名を利用する方法 (Acrobat DC / Acrobat Reader DC)」

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/cq07131410.html

登記・供託オンライン申請システム

「PDFファイルに電子署名を付与する際の留意事項について」

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/append/sign_pdf.html

 また、JPKIソフト(利用者クライアントソフト)をダウンロードして、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れていないか、確認もしてみました。

地方公共団体情報システム機構「公的個人認証サービスポータルサイト」

https://www.jpki.go.jp/download/index.html

署名の検証を行ってみます。

 署名は有効であることが分かりました。署名時刻の検証がされたことが分かりました。しかし、私のパソコンの時計に基づいているようなので、時計が操作されると、操作された時刻が出てくることになると思います。時刻に年月日も入るのかは現時点で調べることが出来ませんでした。

一致性の確認をしていきます。

署名のプロパティを表示。詳細。

CN=、の後の英数字記号が日司連公的個人認証サービスの電子証明書の番号となるようです。

 私が何度もミスしたのはこの時です。自分で何度CN(コモンネーム)を探しても見つけることが出来ませんでした。その度に新しいPDFファイルに電子署名を付与し、また探していきます。サポートデスクさんからのアドバイスで、PDFファイルに電子署名を付与しても、すぐにCNが生成されるわけではなく、1~2時間くらいかかるようです。せっかちな方は気を付けた方が良いかもしれません。私です。

 日司連公的個人認証サービスにログインして、電子証明書の番号を入力(書類名は何でも良い。)すると一致しました。

備考:日本司法書士会連合会は、タイムスタンプの認証団体になるのかもしれません。良く知りませんが。

日司連公的個人認証有効性確認システムを使ってみました。

PDF文書に、Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用してマイナンバーカードで電子署名をしてみました。

2021年(令和03年)02月15日、日司連公的個人認証有効確認システムが構築されたようなので、試しに利用してみました。

下の事が出来るようです。

・司法書士が依頼者のマイナンバーカードの有効性を確認できる。

・登記申請の際の添付情報等に付された電子証明書が,依頼者のマイナンバーカードの電子証明書と一致しているか即時に司法書士が確認できる。

ログイン画面

https://www.nkys.nisshiren.jp/

まずは、個人会員ログインをしてみます。

・個人会員ログインをクリック

・ID・初期パスワード・メールアドレスを登録すると、次のメールが送られてきます。

・「こちらからアクセスしてください」をクリックして、パスワードを自身で再設定。

・「暗証番号を送信」をクリック。

・暗証番号を入力してログイン。

・マイナンバーカードの有効性確認と、情報に付された電子証明書が,マイナンバーカードの電子証明書と一致しているか確認出来る画面に切り替わりました。

一旦、日司連公的個人認証有効性確認システムの画面に戻って、スマートフォンからマイナンバーカードの電子証明書を読み取ります。

・QRコードを読み込みます。

・スマートフォンアプリケーションが表示されたので、マイナンバーカードの読み取りをします。

ここで私が何度も間違ったこと。マイナンバーカードをアプリケーションに認識させた後、署名用パスワードを入力するのですが、3回も4回も「PINコードが違います」のエラー表示が出てきます。ヘルプデスクに問い合わせました。

最初は、アプリケーションを再インストール(削除して,再度入れなおす)すると改善する可能性があります。とのメールが届きました。

 アプリケーションを再インストールしても、「PINコードが違います」のエラー表示が出てきます。そこでヘルプデスクさんが教えてくれたのが、総務省のページです。

「パスワード入力から読み取り完了までスマートフォンとマイナンバーカードをピッタリあて続けてください」。これをしていなかったのです。私は、スマートフォンがマイナンバーカードを認識した後、マイナンバーカードを外して署名用パスワードを入力していました。「ピッタリ」あて続けた結果、読み取りが完了しました。

マイナンバーカードの有効性を確認してみます。

次は、PDFファイルの文書に、マイナンバーカードを利用してPDF文書に、Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用してマイナンバーカードで電子署名をしてみます。

参考

PDF ファイルで電子署名を利用する方法

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/cq07131410.html

・ファイル/その他の形式で保存/証明済み PDF を選択。

・ツール/証明書/電子署名 を選択。

・署名フィールドをクリック。

・署名に使用するデジタル ID の設定

・署名のプロパティを表示。

公的個人認証サービス  ポータルサイト

署名用認証局の運営に関する情報

https://www.jpki.go.jp/ca/ca_rules3.html

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