平成31年1月25日東京地方裁判所判決

平成31年1月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成29年(ワ)第32855 号 信託契約有効確認請求事件
口頭弁論終結日平成30年11月30日

判決
(略)
原 告 X
同訴訟代理人弁護士 ×××× 同×××××
(略)
被告Y
同訴訟代理人弁護士 ×××× 同×××××
主文
1原告が被告との間で平成29年5月23日に締結した別紙契約目録記載の株式管理処分信託契約が効に存在することを確認する。
2訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1請求主文同旨
第2事案の概要


本件は、香港に本店が所在する外国会社である×××××HoldingsLimited(以下「0社」という。)の株主である原告が0社の株主であり実妹である被告に対し、原告と被告との聞の平成29年5月23日付け株式管理処分信託契約書(以下「本件信託契約書」という。)をもって締結された株式管理処分信託契約(以下「本件信託契約」という。)が有効であることの確認を求める事案である。
1前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者等
ア原告(昭和42年9月1日生)は、A(以下「A」という。)と亡Bの子であり、被告(昭和44年9月10日生)は、Aらの子であり、原告の実妹である。
イ0社は、香港に所在する法人であり、その株式のうち40億7130万6841株(発行済株式総数の約43. 5%)を原告が保有し、うち9億1612万7910株(発行済株式総数の約9. 8% 。以下「本件被告株式」という。)を被告が保有し、うち43億4214万7372株(発行済株式総数の約46.4%)をAが保有している。(甲1)ウ株式会社××××××××××××××××(以下「U社」という。)は、東京都××区を本店所在地とする会社であり、その株式のうち5445 万 2500(発行済株式総数の約67. 9%)を0社が保有している。(甲2)
(2)本件信託契約書の作成
ア 原告及び被告は、平成29年5月23日、銀座公証役場において、東京法務局所属公証人××××(以下「本件公証人」という。)の面前で、別紙契約目録記載の条項が記載された本件信託契約書の署欄にそれぞれ署名、押印した。(甲3)
イ0社の株主名簿においては、平成29年8月14日付けで、被告から原告に対し、本件被告株式に相当する0社株式9億1612万7910株が譲渡された旨の名義書換がされている。(甲4)
(3)本件訴訟に至る経緯及び香港における裁判
ア 被告は、平成29年9月20日、原告に対し、本件被告株式を譲渡したことはない旨記載した内容証明文書を送付し、同月21 日、同文書が被告に到達した。(甲5)
イAは、原告及び0 社を相手方として、香港の裁判所において、Aが0社の取締役を解任されたことの効力を争う訴訟を提起し、被告も、原告及び0社を相手方として、香港の裁判所において、被告が本件被告株式を保有していること、被告から原告に対する本件被告株式に相当0する社株式の譲渡が不当威圧又は衡平法上錯誤により無効とされたものであることの確認を求めるとともに0社の株主名簿の訂正を求める訴訟を提起しており(以下、香港の裁判所に提起された両訴訟を「別件香港訴訟」という。)、別件香港訴訟はいずれも香港の裁判所に係属している。
ウ 別件香港訴訟のうち、被告が原告及0び杜を相手方として本件被告株式の保有の確認等を求めた訴訟について、香港高等裁判所は、平成30年10月19
日、本件信託契約書に東京地方裁判所を専属的合意管轄とする旨の条項があることに照らし、本件訴訟の確定まで同訴訟の手続を停止する旨の判断をした。


2争点及び争点に関する当事者の主張
(1)本件訴訟の適法性(本案前の答弁)
(被告の主張)
ア 本件信託契約は有効に成立しておらず、その管轄の定めも無効であるから、その管轄権は香港の裁判所にある。
また、被告が本件被告株式を0 社に主張するには、0社の株主名簿に株主として記載される必要があるところ、被告は香港の裁判所に同請求をしなければならず、本件訴訟と争点が一同の訴訟を並行して進行させなければならない。このような判断矛盾のおそれや訴訟不経済を回避するため、日本における管轄権は否定されるべきであるから、民事訴訟3法条の9により、本件訴訟は却下されるべきである。
イ仮に、本件訴訟の管轄が東京地方裁判所に認められる場合であっても0、社の株主名簿においては、原告が本件被告株式の株主と記載されているのであるから、原告と被告との聞で本件信託契約の有効性を確認する必要はない。
(原告の主張)
ア本件信託契約では日本の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意をしており、民事訴訟法 3 条の9により却下されることはない。また、被告が香港の判所裁に提起した訴えについては、本件訴訟の確定までその手続を停止する手続がとられている。
イ被告は本件信託契約の効力を争っており、原告と被告との間で本件信託契約の有効性を確認する利益がある。
(2)本件信託契約の成否
(原告の主張)
原告及び被告は、公証人の面前で本件信託契書約に署名、押印をしており、同契約書記載の条項による本件信託契約が意思表示の合致により成立しているし、被告は、本件信託契約の締結に当たり、その内容を十分に理解している。
(被告の主張)
被告は、本件信託契約の内容、意味、目的を理解せず本件信託契約書に署名、押印したにすぎず、契 約そのものが有効に成立しているとはいえな。い
(3)本件信託契約における錯誤の有無
(被告の主張)
本件信託契約は、本件被告株式の管理処分権を原告に付与し、原告に議決権を行使させることにより0社の支配権を確保し、U社の取締役からAを解任する目的でされたが、被告はこれらの目的を本件託契約書の作成時に同席していた弁護士から説明を受けずA、がU社で不正行為をし、本件信託契約書を作成しなければU社が倒産する旨を述べられ、本件信託契約の内容のほか、原告0が社の議決権を行使し、U 社の取締役であるAを解任するといった目的、本件信託契約の信託期間30が年間であり、同期間内は原告の承諾なしに解除できないことなどの説明を受けていない。とれらの本件信託契約の仕組み、内容、効果、目的は信託契約を締結しようとする者ってにと重要な事項であり、要素の錯誤になる。
(原告の主張)
被告は、本件信託契約の内容を十分理解した上で署名、押印したのであり、被告の表示行為と意思との聞に食い違いはなく、被告の意思表示に錯誤はない。
すなわち、原告は、被告に対し、本件信託契約書に署名、押印しなければU社が倒産する旨説明したことはない。仮に、被告が本件信託契約の締結に当たりそのような認識を有していたとしUて社もが、設置した特別調査委員会ではA
の不正行為が認定されておりA、が香港で逮捕されるなどしていたのあるから、A がU 社や0 社の取締役にとどまっていた場合にはU 社及び0社の企業価値が殴損されるおそれがあったことは明らかであり、原告及び被告は、そのような事態を未然に防止するべく本件信託契約を締結しているのであり、被告の主観と客観との聞に翻師があるとはいえず、錯誤もない。
また、被告の主張する錯誤の内容は、いずれも本件信託契約の締結に至る動機にすぎず、に表示されていない以上、要素の錯誤とはならなし、から、その髄離をもって錯誤があるとする主張自体 失当である。
(4)本件信託契約における詐欺の有無
(被告の主張)
原告は、被告に対し、AがU社の経営に関して不正な行為を行ったことによUり社が深刻な状態であり、本件信託契約書に被告が署名しないUと社が倒産する旨虚偽の事実を告げて欺岡し、これを信たじ被告に本件信託契約を締結させたのであるから、その取消しを免れない。
(原告の主張)
原告は、本件信託契約の締結に当たり、被告を欺岡しておらず、そのような故意もなく、被告の錯誤も存在しない。
(5)本件信託契約の公序良俗違反該当性
(被告の主張)
ア本件信託契約は、被告の利益を確保するために締結されたとしながらも、株主の議決権というその行使が株主の裁量にゆだねられた一身専属的な意味をもっ権利を原告に付与する目的でされたものであり、その意味で、本件信託契約は会社法等において予定されていない議決権のみを第三者に譲渡する目的でされており、このような信託目的は許容されるべきものではない。
イまた、本件信託契約は、①信託期聞が30年であるが、被告が原告の承諾なくこれを解任することができない、②被告が本件信託契約を解除する権利がない、③原告が信託の目的を達するために必要がある場合に利益相反行為をすることができる、④原告はその裁量で議決権を行使でき、被告に指図権がなく、これにより被告に生じる損害につい責て任を負わない、⑤原告がその裁量で株式を処分でき、被告に指図権がなく、これにより被告に生じる損害について責任を負わない、⑥信託の変更(信託法149条3項)が適用されないものであり、これらの条項は、被告にとって、一方的に著しく不利なものである。これに対し、原告は、本件信託契約により0社を通じてU社の経営支配権を30年にわたり対価を支払うことなく保持できる利益を得られる。
ウこのように、本件信託契約は、不当な目的をも、っ被て告に著しく不利であり、か二っ原告に著しく有利なものであり、被告の信頼や無知につ吋こんで締結させたものであることからも、公序良俗に反し無効である。
(原告の主張)
ア 本件信託契約の目的は、0 社の企業価値の按損を防止し、0社の利益の最大化を図ることであり、同目的が達成されることにより株主である被告の利益にも資することとなるから、その目的が公序良俗に違反するとはいえない。
イ また、本件信託契約の内容も、次のとおり、信託法で認められているものであり、公序良俗違反を基礎づけるものではない。
(ア)信託法91条の文言からすれば、30年を信託期間とする信託の存在を信託法が予定しているものといえる。
(イ)信託法58条3項は信託行為に係る受任者の解任を制限する定めを設けることができることを、同法164条3項は信託の終了を制限する合意をすることができることを、3同1法条2項1号は同条l項に定める利益相反行為を受託者が行うことを許容する定めを設けることができることをそれぞれ定めている。
(ウ)信託法において、委託者ないし受益者が受託者に対して指図権を有していなければならない旨の定めはなく、むしろ、指図権を付与することなく、特定の受託者に議決権を集約する株式の信託は、広く一般的に行われている。
(エ)信託法 29 条 2 項ただし書は受託者の注意義務の程度を軽減できる定めを設けることができることを、同法149条4項は同条3項の委託者及び受益者による信託の変更の適用を排除する定めをることができることをそれぞれ定めている。
ウ このように、本件信託契約は、公序良俗に違反するものではない。


第3当裁判所の判断
1認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件については、次の事実を認定することができる。
(1)当事者等
アU社は、遊戯機器及び遊技機器に関連する原材料、部品、半製品、電子応用機器等の製造、売買あっせん、賃貸借及び管理等を目的とす、東る京証券取引所ジャスダックに上場している会社であり、その発行済株式総数8019万5000株)のうち5445万2500株を0社が保有している。Aは、昭和44 年にU社の前身である××××××リース株式会社を立ち上げ、平成29年6月29日に退任するまでの問、U社の取締役を務めた。(甲2、7、19、乙9)
イ原告は、平成3 年にU社に入社し、直後から平成6年まで銀行に出向し、同年にU社に戻り、平成14 年から平成20 年までU社を離れたが、同年にU社の取締役に就任し、平成27年6月26日に退任するまでの問、U社の取締役を務めた。(甲7、19)
ウ被告は、専門学校を卒業した後、××××××販売株式会社に入社し、同社において請求書や領収書の作成など経理業務に従事していたほか、平成10年頃に実母の死亡後には犬のブリーダーの仕事をするなどしていたが、平成27 年頃に同ブリーダーの仕事を中断した以降は仕事をしていない。告は、Aが多忙であり、実母が入退院を繰り返していたことか、ら原告が被告の面倒を見る機会がく、特に実母が平成 10 年 5
月に死亡した後は、原告とメーノレのやり取りや会食を頻繁に行うなど緊密な関係を築くようになり、原告を強く信頼していた。(19甲、乙9、原告本人、被告本人)
(2)原告と被告との聞の本件信託契約書作成に至る経緯
ア 原告は、平成27 年 6 月にUヰ土の取締役を退任した後もU 社の関係者と接触を続けており、平成28 年の中頃には、AをU社及び0社の取締役から解任しなければ、U社及び0社の社会的信用が低下するほか、その財産をAが流出させるなど、その企業価値を按損するおそれがあると考えるよう平成29年初頭頃までの問、上記事態を避ける方法について弁護士に相談するなどした。その結被告から原告に本件被告株式を信託譲渡し、原告が本件被告株式の議決権を行使し、被告が配当などの利益を収受できるようにすることにより、0社及びU社の企業価値の鞍損を防止することができると考えるようになり、またA、が信託譲渡を翻意させるために執劫に被告に接触することが予想されたことから、同信託譲渡を被告から解除できないようにすることによAの被告に対する接触等に対応する被告の負担を避けられると考えるようになった。(甲19原告本人)
イ原告は、平成29年2月頃、ハワイに滞在していた被告に電話をし、上記アの考えから、本件被株式を原告に信託譲渡することによって、被告に負担をかけずAにを0社の取締役から解任できるなどとして、その手続をするために協力を求め、被告の了承が得られたことから、被告がハワイから帰国する同年3月2日に面会する旨の約束をした。(甲19、原告本人)
ウ原告は、平成30年3月2日、ハワイから日本に帰国し、東京都港区内のホテルに滞在してい告と同ホテルの客室で面会し、原告の弁護士が作成した株式管理処分信託契約の内容を説明するための「信託契約に関する手控え」と題するメモ(以下「本件信託契約メモ」という。甲11)を見せながら、Aの不正行為が明らかになるなど0社及びU社の企業価値の按損されるおそれがある場合にはAを0社の取締役から解任すべきであること、その時に被告に負担をかけないように、本件被告株式を告に譲渡し、その議決権を原告が行使できるようにすること、配当などの経済的利益については被告が引き続き受け取れるようにしておくことを説明し、同日付けの原告の弁護士が作成した本件信託契約書と同じ条項が記載された株式管理処分信託契約書(甲10)への署名を求めた。本件信託契約メモは、「信託契約の概要」として、本件被告株式を原告に信託し、経済的受益権については原告を通じて被告が受けられるが、議決権については原告が信託契約に基づいて行使することとなる旨記載され、「目的」として、0社の価値の按損を防止し利益の最大化を図る旨記載され、「その他信託契約の重要条項の補足説明」には、「受託者の注意義務」として、自己の財産に対するのと同ーの注意義務もって管理する旨が、「処分」として、原告が信託の目的に従い本件被告株式を処分できる旨が、「無報酬」として、無報酬である旨が、「解任、解約、終了」として、被告が原告の同意なく原告を解任できず、信託期間中信託契約を解除できず、原則として信託契約満了により終了する旨が、「信託期間」として30年である旨が、「配当金の支払い」として、原告が本件被告株式の配当金等を収受る都度原告に支払う旨が、「計算」として、原告が年度ごとに損益計算書を作成する旨が、「費用負担」として、事務遂行費用を被告負担とする旨がそれぞれ記載されている。
また、原告は、被告に対し、原告が本件被告株式と原告の保有する0社の株式について、それらの議決権及び株主として有する一切の権利・権限を原告が行使し、その有効期間を2年間(ただし、当事者間で合意した場合には適宜更新する。)とすること、別途株式管理処分信託契約が有効に成ている場合には同信託契約が本契約に優先する旨の記載がある株主間契約書(乙8)についても、署名するよう求めた。
被告は、原告から示された同日付け株式管理処分信託契約書及び株主間契約書に署名し、各契約書を原告に交付するとともに、本人確認のためにパスポートの撮影を行わせた。(甲10、11、19、乙3、8、9、原告本人、被告本人)
エ原告は、上記ウで撮影した被告のパスポートの写真が不鮮明であったことから、平成29年3月3日朝、被告が滞在するホテルを訪れ被告からパスポトーを借り受け、そのコピーを作成したほか、告が実印を有していなかったことから、被告が同月8 日に再来日する際に実印を持参してもらう約束をし、同月9日、再来日した被告と会い、同月2日付け株式管理処分信託契約書(甲10)及び株主間契約書(乙8)に押印してもらい、併せて同9月日付け印鑑登録証明書(甲14)の交付を受けた。(甲10、14、19、乙3、8、原告本人、被告本人)
オ原告は、平成29年4月頃、U社内でAの不正行為について調査を開始しようとしている旨の情報を得たことから、0社及びU社の企業価値の按損を防ぐため、Aを0社及びU社の取締役にとどめるべきではないと考え、被告に対し、その旨を伝えその同意を得たことから、同年5月12日付けで、原告が指定する2名の者をそれぞれ0社の取締役に選任する旨の書類(甲25の1・3)に同文書の和訳(甲25の2・4)を示した上で署名を求め、さらに、Aにつき0社の取締役から解任する旨の書類(甲26の1)にその和訳(甲26の2)を示した上で署名を求め、いずれの書類にも被告の署名を得た上で、これらの書面を利用して同日付けAでを0社の取締役から退任させた。
原告は、同日午後10時36分頃、被告に電子メールで「今日戦争が始まりました。本人、親戚関の電話は出なくとも大丈夫です。」と伝え、被告は、同日午後10時43分頃、原告に対して電子メールで「戦争親父ですか?。。さんの件も微妙でしょうか?」と回答するなどしていた。(甲19、20の1 • 2、同25の1~・4、同26の1・2、27、原告本人、被告本人)
カ原告は、平成29年5月中旬頃、弁護士から、0社の株主名簿の書換手続を行うためには、日本の公証役場において署名認証を受けた信託契約書を英語で記載された契約書とともに締結し直した方がよい旨の助言を受けたことから、同月19日,被告に電話で公証役場において信託契約を締結しす旨提案し、被告の了承を得たことから、同月21日、被告に対し、同月23日午後2時30分に公証役場を予約したこと、同日午後2時までに東京駅で待ち合わせをすること、署名及び実印による押 をするために実印、運転免許証及びパスポートを持参する必要があることを電子メーノレ及び、電話で伝えた。
原告は、同月23日午後2時頃、被告と東京駅で落ち合い、銀座公証役場に移動する車中で約20分間をかけ、被告に対し、公証役場において、同年3月2日に締結した信託契約と同内容の本件信託契約書に公証人の面前で署名、押印することを説明し、被告も了承したことから、銀座公証役場に行き、同所で原告の弁護士から約30分程度、当日の手続や本件信託契約書の各条項の説明がされ、その後、本件公証人の面前で、本件信託契書に約署名、押印したほか、本件公証人の面前で、被告の住所地を住民票上の住所地とした本件信託契約書と同内容の株式管理処分信託契約書(乙4の1)、英文で作成された本件信託契約書と同内容の契約書(5乙の1・2)に署名、押印し、併せて、上記ウの原告と被告との間の同年3月2日付け信託契約を合意解約する旨の合意解約書契(Z 6)に署名、押印した。
被告は、上記各書類作成後、原告とともに被告の印鑑登録証明書(甲15)を取得し、同証明書を原に交付した。(甲3、15、19、21、乙3、4の1・2、同6、9、原告本人、被告本人)
(3)本件信託契約書作成後の事情
アU社は、平成29 年6月8日、同年5月23日に臨時株主総会が開催され、同株主総会においAてほか1名の取締役による不正な行為がされた疑いがある旨の報告がされたこと、Aほかl名の取締役の業務執行権を停止した上で社内調査を実施したこと、同社内調査の結果としAらがAの利得を図る目的でU社の子会社から第三者へ約19億1700万円の社内手続に違反する貸付けをした疑いがある旨の報告がされたこと、更なる調査のために特別調査委員会を設置したことをそれぞれ公表した。(甲6)
イU社は、平成29年8月30日、上記アの特別調査委員会の報告書を公表するとともに、Aが平成27年2月から3月にかけて、0社の第三者に対する貸金債権を回収し、美術品代金の支払という個人的な用途に充てる資金を得るためU社の子会社をして、無担保、無利息で、第三者に対して約20億円の貸付けを行わせ、同貸付けが0 の利益、ひいてはA 個人の利益を図る目的で行われたものであり、当該U 社の子会社に約20億円の経済的損失を与えたものと評価できる旨公表し、併せてA、による同年5月11日の当該U社の子会社の2億円相当の小切手の振出、同年11月又は12 月頃の当該U社の子会社の完全子会社の担保提供行為が、0社の利益、ひいてはA個人の利益を図る目的で当該U社の子会社又はその完全子会社に経済的損失を与えたものと評価できる旨公表した。(甲8)
ウAは、平成29年9月14日、東京都内で記者会見を聞き0社の代表を解任された後、被告と交を始め、話し合いを経て和解し、その支持が得られたことから0社の取締役に復帰する手続をとっていること、U社の経営にも復帰し、U社の取締役及び監査役の解任を求める臨時株主総会の開催を求めていることなどを公表した。(甲9)
2争点(2)(本件信託契約の成否)について
被告は、本件において別件香港訴訟が係属していることを理由に本件訴訟の適法性を争うところ、本 件信託契約においては当庁を専属的合意管轄とする定めがあることからすれば、本件信託契約の有効性の判断を先行し、その後に本件訴訟の適法性の判断をするものとする。
(1)前記前提事実(2)ア及び上記1(2)カ認定のとおり、原告は、平成29年5月23日、被告との聞で、本件信託契約書をもって別紙契約目録記載の条項による本件信託契約を成立させたものと認められる。
(2)これに対し、被告は、本件信託契約の内容、意味、目的を理解せずに被告が本件信託契約書に署名、押印したとして、契約そのものが成立していない旨主張し、被告の陳述書(9)乙には、これに沿う供述部分がある。
しかし、上記1(1)ウ認定のとおり、被告は、専門学校を卒業後、経理業務に携わるなどの経験を有していたことからすれば、契約の内容について何ら理解することなく、原告から言われるがまま本件信託契約書の内容を一切確認することなく署名、押印すること自体不自然であるといわざるを得ない。
そして、上記1(2)ウないしオ認定のとおり、原告は、平成29年3月2日、被告に対し、本件信託契約と同一内容の条項の記載がある株式管理処分信託契約に係る契約書のほか、その内容を説明するための本件信託契約メモを弁護士に作成準備させ、これを示しながら、被告に原告に対する本件被告株式の信託譲渡をすることを内容とする上記信託契約の内容を説明した上でその署名、押印を求め、被告も同説明を聞いた上で、同契約書に署名、押印していたのであり、本件信託契約メモの記載は、本件被告株式を原告に信託譲渡し、その議決権の行使を原告が行うが、経済的利益については被告に帰属することのほか、同信託契約においては、原告の注意義務が軽減されること、原告が処分をできること、無報酬であること、被告の解任権、解除権が制限され、信託期間が30年であること、原告から配当金の支払がされること、年度ごとに計算書類の作成を要すること、被告が事務遂行費用を負担することといった重要な内容を理解することができる内容であるから、これを一読すれば、同信託契約の仕組みや内容を把握できるものといえる。
さらに、被告自身、 上記信託契約を締結後に、Aを0社の取締役から解任する旨の書類に署名し、同年5月12日には、原告がAとの間で0社の支配権をめぐる紛争が存在していることを認識していることを示すメールを送信している。
加えて、上記1(2)カ認定のとおり、原告は、本件信託契約の締結前に電話で公証役場において本件信託契約を締結する必要がある旨を説明して持参するものの連絡をすませ、銀座公証役場にかう車中においても、従前の信託契約と同一
内容の本件信託契約を締結し直す旨を説明していたのであり銀座公証役場においても、原告の弁護士から被告に対して一定時間をかけて当日の手続及び契約内容の説明がされたのであり、これらの事実からすれば、被告は、本件信託契約が原A告をに0社及びU社の取締役から解任するための手段を与えるためにされたものであり、原告がそのことをもって0社及びU社の企業価値の毀損を防止できると考えていること、やそのために本件被告株式を信託譲渡し、その議決権を原告にゆだねるものであるほか、その信託期間や被告の解任権、解除権が制限されるほか、原告の責任内容が軽減されているといった契約内容についても認識していたものと認めることができる。
以上からすれば、本件信託契約の締結に至った告披が、本件信託契約書の署名、押印に当たり、本 件信託契約の内容、意味、目的を理解しないまま本件信託契約書に署名、押印した旨の被告の陳述書における供述部分を採用することはできず、他に同事実を認定するに足りる証拠もないから、被告の本件信託契約が成立していない旨の主張を採用することもできない。


3争点(3)(本件信託契約における錯誤の有無)及び争点(4)(本件信託契約における詐欺の有無)について

(1)被告は、本件信託契約が、原告に0社の支配権を確保させ、AをU社の取締役から解任する目的でされたにもかかわらず、被告がこれらの目的を認識しておらAずが、U社で不正行為をしており本件信託契約書を作成しなければU社が倒産する旨を述べられたことを信じ、かつ、本件信託契約の仕組み、内容、効果、目的について説明されることなく、認識しないまま本件信託契約の締結の意思表示をしたのであり、要素の錯誤がある旨主張する。
しかし、上記2(2)のとおり、被告は、本件信託契約が原告にO社にの支配権を与え、Aを0社及びU社の取締役から解任できる手段を与えるものであることを認識し、また、本信託件契約の内容についても認識した上で、本件信託契約を締結したものと認められ、その動機と表示との不一致があるとはいえない。
そうすると、被告が本件信託契約の締結に当たり本件信託契約の目的が締結の動機になっていることを原告に表示したか否かにかかわらず、被告の本件信託契約締結の意思表示に錯誤がある旨の被告の主張は採用できない。
(2)また、被告は、原告が被告に対して、AがU社の経営に関して不正な行為を行ったことによりU 社が深刻な状態であり、本件信託契約書に被告が署名しないとU社が倒産する旨虚偽の事実を告げて詐岡し、これを信じた被告に本件信託契約を締結させた旨主張し、被告の陳述書(乙9)には、AがU社の取締役として行った行為が違法であるかが争われたものの、同紛争によってU社の業績が悪化しなかったことをもって虚偽の事実を告げられたかのように供述する部分がある。
しかし、上記2(2)のとおり、被告が本件信託契約の締結時に契約内容やその目的を認識した結に至ったものと認められ、その契約締結に当たり錯誤があったということはできな。いまた、上記1(3)ア及びイ認定のとおりU社は、Aの不正行為の疑いを公表するに当たり、その不正行為のに係る調査結果を公表するとともに、A 及び不正行為に加担したとされる取締役1名の業務執行権を停止させた旨を公表しており、このような対応がAの不正行為の疑いを公表することによるU社に対する社会的信用の低下を最小限にとどめ、その企業価値の殻損を防ぐための措置であったといえ、上記1(2)ア認定のとおり、原告がこのような措置を講じる手段を得るべく本件被告株式の信託譲渡を企図したことも考慮すれば、Aの不正行為の疑いを公表した際にU社の業績に被告が考えていたほどの悪影響が生じなかったとしても、それが正に原告による上記対応の効果であったものと考えらることからすれば、業績悪化の有無自体のみから、被告が虚偽の事実をもって欺問されていたと認めることはできず、他に、被告が虚偽の事実を告げられ欺岡されていたことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠もない。
したがって、原告が被告を欺岡していた旨の被告の主張は採用できない。
4争点(5)(本件信託契約の公序良俗違反該当性ついて)
(1)被告は、議決権のみを第三者に譲渡する目的が信託法により許容されていないにもかかわらずそのような目的で本件信託契約が締結されたことが公序良俗に違反す主る張す旨る。
しかし、自然人である株主聞においては、その支配権を特定の株主に帰属させるべく株式等を譲渡することが禁止されておらず、また、その目的を実現するために信託譲渡による方法を用いることを信託法も制限していないのであって、同目的のみからその信託譲渡が不当であるなどとはいえない。
(2)また、被告は、本件信託契約において、①信託期間が長期であり、被告の解任権がないこと、②被告の解除権がないこと、③原告が利益相反行為をすることができること、④原告の議決権行使について被告の指図権がないこと、⑤原告が株の式処分権を有すること、⑥信託の変更(信託法149法条3項)が制限されていることが、著しく不利な条項であるとして、本件信託契約が公序良俗違反である旨主張する。
しかし、被告が問題視する本件信託契約の内容のうち、①のうち解任権の制限、②(解除権の制限)、③(利益相反取引)及び⑥(信託の変更の制限)つにいては、当事者間で別段の定めをすることを信託法自体が明文で許容しており(信託法29条2項ただし書、31条2項1号、58条3項、149条4項、164条3項)、①のうち信託期間を30年とすること自体は信記法91条の文言からすれば、同法が予定ているものといえ、その期間のみを捉えて不当と評価することもできな。
そして、本件信託契約の内容のうち④(指図権の不存在)及び⑤(処分権の付与)についても、信託法においてそのような制限を合意で設けることが禁止されておらず、他に当事者聞において、上記制限を内容とする信託契約の締結を制限する根拠となるものも見当たらない。
このように、被告が問題視する本件信託契約の内容は、いずれも信託法に違反するものではなく、他にそのような条項の存在のみから、本件信託契約が公序良俗に反することをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠もない。
かかる事情からすれば、本件信託契約における上記各条項が存在することのみから同契約全体が公序良俗に違反しているとはいえない。
なお、被告は、原告が被告の無知や原告に対する信頼に乗じて本件信託契約を締結したなどと、その契約締結時の状況も含めて公序良俗に違反するかのような主張をするが、上記2(2)のとおり、被告が本件信託契約の締結時に契約内容やその目的を認識した上で、締結に至ったものと認められ、原告が被告の無知やその信頼に乗じて契約を締結させたなどということもできない。
(3)したがって、本件信託契約が公序良俗に反し無効である旨の被告の主張は採用できない。


5争点(1)(本件訴訟の適法性)について
(1)被告は、別件香港訴訟が係属していることから、本件訴訟については、民事訴訟法3条の9によって、却下するべきである旨主張する。
しかし、上記2ないし4のとおり、原告と被告との聞では、本件信託契約に起因し、又は関連す 一切の紛争について、当庁を第一審の専属的合意管轄裁判所とする定めのある本件信託契約が有効締結されていることからすれば、民事訴訟法3条の9は適用されないから、被告の上記主張は失当である。
(2)また、被告は、0社の株主名簿において、原告が本件被告株式の株主と記載されているのであから、原告と被告との間で本件信託契約の有効性を確認する必要はない旨主張するが、前記前提事実(3)及び上記l(3)ウ認定のとおり、原告と被告との聞の本件信託契約の有効性に係る紛争を基礎に、原告と被告及びAとの間で、0社及びU社の支配権に係る複数の紛争が生じていることが明らかでって、0社の株主名簿上の本件被告株式の名義人が原告とされていることを理由に、本件信託契有効性を原告と被告との間で確認する利益が失われているなどということもできない。
(3)したがって、本件訴訟が不適法である旨の被告の主張は採用できない。
第4結語
よって、原告の請求は、理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第14部
裁判官小島清二


別紙契約目録
Y(以下「委託者兼受益者」という。)及Xび(以下「受託者」という。)は、委託者兼受益者の保有する×HoldingsLimited (中文名:××××有限公司。住所・××××××××,××××××,HongKong,以下「本会社」という。)の株式を信託するととについて2017年5月23日(以下「本締結日」という。)、以下のとおり株式管理処分信託契約(以下「本信託契約」という。)を締結する。
第1章総則
第1条(目的)
委託者兼受益者及び受託者は、本会社の価値の殻損を防止し、本会社の利益の最大化を図ることを目的として、本信託契約を締結する。
第2条(信託契約の締結)
1.委託者兼受益者は、委託者兼受益者が保有する本会社株式916, 127, 910株(以下「本株式」としう。)の管理及び処分を目的として信託し、受託者は、本株式を信託財産としてこれを引き受ける(以下「本信託」という。)。
2.委託者兼受益者及び受託者は、受託者は信託の引受けを、本信託に限り行うものであって、信託の引受けを反復継続して行う意図を有さず、信託の引受けを営業として行うものではないことを確認する。
3 . 本信託の存続期間は、本締結日から30年(以下「本信託期間」という。)とする。
第3条(信託財産の移転)
1.委託者兼受益者は、本締結日において、受託者に対し、本株式を信託譲渡する。
2.委託者兼受益者及び受託者は、本締結日において、別紙に添付するINSTRUMENT OF TRANSFER に署名する。両者署名後のINSTRUMENT OF TRANSFERは、受託者が保管するものとする。
3.委託者兼受益者及び受託者は、本信託契約締結後速やかに、本株式の委託者兼受益者から受託者への名義書換及び株主名簿への記載その他本信託を有効に行うために必要となる全ての手続を共同して行うものとする。委託者兼受益者は、当該手続において、受託者の指示に従うものとする。本株式 については、名義人を受託者とする。
第2章信託財産の管理・処分
第4条(受託者の注意義務)
受託者は、本信託契約に従い、自己の財産に対するのと一同の注意義務をもって信託財産の管理を行う。
第5条(利益相反行為)
受託者は、本信託の目的を達成するために必要があるときは、本信託契約の定めに従って、信託法(平成18年12月15日法律第108号、その後の改正を含む。以下同じ。)第31条第1項に定める利益相反行為を行うことができる。
第6条(分別管理)
受託者は、信託財産について、法令等に従い、固有財産から分別して管理するものとする。
第7条(議決権行使等)
1.受託者は、本信託の目的に従い、その裁量により、本株式に係る議決権その他株主として本会社に対し有する権利(以下本条におい「議決権等」という。)を行使するものとする。
2.委託者兼受益者及び受益者は、本株式に係る議決権等の行使について、受託者に対し指図権を有しないものとし、受託者は、前項に従い本株式に係る議決権等を行使する限り、これによって委託者兼受益者、受益者又は信託財産に生じる損害等について、一切責任を負わないものとする。
第 8 条(信託財産の処分)
1.受託者は、本信託の目的に従い、その裁量により、信託財産である本株式を処分できるものとする。
2.委託者兼受益者及び受益者は、本株式に係る処分について、受託者に対し指図権を有しないものとし、受託者は、前項に従い本株式を処分する限り、又は処分しないことによって、委託者兼受益者、受益者又は信託財産に生じる損害等について一、切責任を負わないものとする。
第3章受託者
第9条(受託者)
1.受託者の信託報酬は無償とする。
2.受託者は、受益者に対して30日前に書面による通知を行うことにより、辞任することができる。
3.委託者兼受益者及び受益者は、信託法第58条第l項の規定にかかわらず、受託者の書面によ前の同意がない限り、受託者を解任することはできない。
4.受託者の任務は、信託法第56条第1項第3号に定める事由が生じた場合においても終了しないものとする。
第4章受益者
第10条(受益権)
1.本信託の受益権は、受託者の事前の書面による承諾がない限り、譲渡、質入、その他一切の処分の対象とすることができないものとする。
2.受託者は、木信託の受益権について、受益権証書を発行しいなものとする。
第11条(受益者)
本信託の受益者は、本信託契約締結時においては委託者兼受益者をいうものとし、受益権の・譲承渡継があった場合には、これにより譲受け、承継した者をいうものとする。
第 12 条(配当金の支払等)
受託者は、本株式の配当金その他の収益を、それらを収受する都度、受益者に支払うものとする。なお、受託者は、本株式の配当金その他の収益については、第4条に従い、本会社の置かれた固有の事情に照らして合理的と考えられる内容、態様及び時期において、本会社に対する請求その他の措置を講じるものとする。また、受益者に対する支払に要する費用は、受益者が負担するものとし、受託者は、かかる費用及び第20条第2項に定める費用を控除した上で、本株式の配当金その他の収益を受益者に払うことができる。
第5章計算
第13条(計算)
1.本信託の計算期日は、毎年12月末日及び本信託が終了する日とし、本信託契約締結日または前計算期日の翌日からその計算期日までの期間をその計算期間とする。
2. 受託者は、各計算期日に、本信託の損益の計算を行った上で、信託法に従い、信託財産の状況に関する計算書類を作成する。受託者は、信託財産の状況を明らかにするため、信託法に従い、信託財産に係る帳簿その他の書類を作成し、信託法に従ってこれを保存する。
第6章信託の変更・終了
第14条(信託の変更)
本信託契約においては、信託法第149条第3項の親定は適用しないものする。第15条(解除)
1.受託者は、本信託期間中にもかかわらず、受益者に対し事前の催告なしに通知することにより、本信託契約を解除することができるものとする。
2.委託者兼受益者及び受益者は、本信託期間中、本信託契約を解除することはできないものとする。
第16条(信託の終了)
本信託は、信託法第163条(但し、第9号を除く。)に定める事由のほか、以下の事由により終了する。
(1)本信託期聞が満了したとき
(2)受益者及び受託者が本信託契約を終了させる旨を書面で合意した場合
(3)第15条の規定により、本信託契約が解除された場合
(4)信託財産が消滅した場合
(5)受託者が死亡したとき
第17条(信託の清算)
受託者は、本信託が終了したときは、信託財産を現状のまま受益者に交付するほか、信託法第7章第2節の規定に従い、本信託の清算を行う。
第7章一般条項
第18条(信託財産の保管に係る事務の委任)
受託者は、信託事務の処理を無償又は有償で三第者に委託することができる。

第19条(届出事項)
委託者兼受益者及び受益者は、次の事由が生じた場合、速やかに当該事由が生じた旨を受託者に届け出るものとする。当該事由の発生から委託者兼受益者の届出までに生じた原因に起因する損害については、受託者は責任を負わないものとする。
(1)実印の喪失
(2)氏名、住所又は実印の変更
第20 (費用負担)
1.本信託契約に貼付する印紙税その他の本信託契約締結のために要した費用については受託者が負担する。
2.前項に定めるほか、本信託に係る事務の遂行に要した費用については受益者が負担するものとし、受託者は当該費用を、第12条の定めに従い、本株式の配当金その他の収益から控除することができるものとする。
第21条(秘密保持義務)
委託者兼受益者及び受益者は、本信託契約若しくは本信託契約に関連する契約に基づき、又はこれらに関連して知り得た情報を第三者に開示せず、また利用してはならない。
第22条(準拠法及び言語)
1.本信託契約は、日本法に準拠し、これに従い解釈される。
2.本信託契約は、日本語及び英語の両文でそれぞれ二部締結されるものとする。本契約の日本語文び英語文による各部はそれぞれ正本とみなす。日本語版の正本と英語版の正本との聞で相違が生じた場合は、日本語版の正本が優先するものとする。
第23条(裁判管轄)
本信託契約に起因し又は関連する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第24条(誠実協議)
委託者兼受益者、受益者及び受託者は、本信託契約に定めのない事項及び本信託契約の条項に関して疑義が生じた場合には、本信託契約の趣旨に従い、誠実に協議の上解決するものとする。