合同会社の定款

 合同会社を設立したい方が、パソコン上で項目を入力していくだけで定款作成、資格者代理人の電子署名、必要書類の集め方、設立登記の申請方法、登記完了後の各種届出が可能なサービスが出ています。

このサービスを利用して合同会社を設立された方の定款を、みせていただく機会がありました。

 第1条が会社の名前で登記事項です。同じ本店所在地でなければ、既にある会社の名前であっても原則として許されます。ただし、商業登記法8条や不正競争防止法違反は避ける必要があります(例えば、合同会社グーグルなど。)。

 第2条の事業目的も登記事項となります。4~5個で納める法人、25~30個定める法人まで様々です。どれが良い、ということはありませんが、他の人(例えば取引先)が数百円を出せば観ることが出来ることを頭に入れて、読みやすくどんな会社なのか分かるような記載を心掛けたいと感じます(例えば、○○事業、○○事業、○○事業及びこれに関する機器の輸出入、コンサルティング、などの長い文は分けてみる。将来行う可能性があるから、という理由で貸金業を入れて、金融機関から削除依頼された事例があります。)。また、許認可が必要な事業(建設業関係、宿泊業関係など)では、予め定款の事業目的に入れる必要がある文言が決まっている場合があるので、許認可を扱う官公庁に事前確認が必要となります。最近は官庁HPにも掲載されている場合も多くなっています。目的を1つだけ追加する、1つだけ削除する、といった場合も印紙代が3万円かかります。一部上場企業でも中小企業でも同じです。私は金額が違っても良いのではないかなと思います。3万円が25~30の事業目的を持っている法人を生み出している側面があるからです。

 第3条の本店所在地は、最小行政区画まで記載します。登記事項であり、登記記録には〇丁目〇番〇号、などと全て記録されます。例えば同じ市内での本店移転などで定款変更の決議を行わないで会社内部の意思決定処理を迅速に行うためです(変更登記申請は行います。)。

参考:大13.12.17民事1194号回答、登記関係先例集上1034号

 第4条の公告方法は、広告とは違います。公告とは、ある事項を広く一般の人に知らせること。その目的、方法、効力等は一定ではなく、それぞれの法律に定めるところによります。広告との違いは、通常営利目的ではなく法令で義務付けられていることです。広告についてはその範囲や表現が法令によって義務付けられている場合がありますが(景品表示法や屋外広告物法など)、公告は、どの媒体によってどのような内容を公表するのかが予め法令によって決められています。なお、合同会社では株式会社と違って年一回の決算公告が義務付けられいません。

参考:「法律用語辞典第4版」有斐閣

 第5条では、定款の変更方法を定めています。参考にしている定款では、社員全員の同意としていて、人数が少ない場合は適切だと考えます。2項については退社の原因になるのではないか、3項については他に法令の定めがあれば、それ従って読み替えるという意味だと思いますが、良く分かりませんでした。

 第6条は、各社員の氏名住所、出資金額、責任(合同会社は全員有限責任)を定めています。合同会社の社員と株式会社の株主との違いは何でしょうか。社員は出資額に関係なく1個の議決権を持ちます。株主は原則として、持っている株式の数だけ議決権を持ちます。株主は原則として株式の所有者に留まりますが、社員は原則として業務執行も行う前提で所有と経営が分離していません。

参考:松井信憲「商業登記ハンドブック」商事法務、立花宏「商業登記実務から見た合同会社の運営と理論」

 第7条は、持分の譲渡制限に関する定めです。参考とする定款では、代表社員の承諾と定めて、迅速な方法を採っています(会社法585条1項、4項)。他に追加するとしたら、社員間での持分の譲渡があった場合は、当該譲渡に関する社員についての定款規定の変更があったものとみなす。なお、持分の譲渡を行った各社員は、譲渡契約後2週間以内に会社に通知する。などでしょうか。

参考:会社法585条2項、3項

 第8条、第9条では業務執行社員と代表社員を定めています。社員は、原則として業務執行社員となりますが(会社法590条1項)、ならない、株主的な地位でいたい、という場合は業務執行社員とならないことも出来ます。参考としている定款では、代表社員の定め方は業務執行社員の互選となっています。互選とは、構成員の過半数の同意を得る、という意味です。他に全社員の同意などの定め方があります(会社法599条)。

 第10条は、利益相反取引に関する定めです。取引に関わる社員以外の全員の同意が原則ですが、定款で代表社員の承諾と変更しています(会社法595条)。

 

 第11条で、業務執行社員の報酬などは、社員全員の同意で決めると定めています。

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/houji302.htm”]

 第12条、13条、14条では、社員の加入、退社について定められています(会社法604条~613条)。新しく合同会社に入りたい人は、社員全員の同意を得る必要がある。3か月前に会社に伝えて辞めることができる。緊急な事情がある場合はすぐにやめることが出来る。社員は、他の社員全員が同意したときは、辞めなければならない。社員が亡くなった場合、その相続人が持分を引き継ぎます。相続人が同意して持分を引き継いだ時に社員となります。なお、社員の加入について、資本金の増加・持分譲渡、社員の退社について、持分譲渡、出資の払い戻しが行われます。

 第15条で事業年度、第16条で損益分配について定めています(会社法622条1項)。

 第17条では、合同会社が解散する場合について定めています(会社法641条)。

他に入れるとすれば、定款の備置き、競業取引に関する制限、計算書類の作成、出資の払戻しの制限、利益配当に関して決定する事項、などでしょうか。