信託を用いた高齢者による金融商品の運用

会報信託[1]の記事、三井住友信託銀行法務部加賀田俊将「信託を用いた高齢者による金融商品の運用」から考えてみたいと思います。

安心サポート信託<ファンドラップ型>

https://www.smtb.jp/personal/entrustment/civil

ファンドラップ?

・・・投資対象が投資信託に限定されている「ラップ口座」のこと。ラップ口座とは金融機関と投資一任契約を結び、金融商品への投資を金融機関に一任する取引口座、ひいてはそのサービス自体を指す。投資対象が投資信託に限定されていないラップ口座では、有価証券など(株や債券、投資信託)に対して投資が行われる。

ラップ口座?

・・・金融機関と投資一任契約を結び、金融商品への投資を金融機関に一任する取引口座、ひいてはそのサービス自体のこと。最低預け入れ金額は金融機関によって異なる。

(一社)投資信託協会 用語集

https://www.toushin.or.jp/words/keyword/2611/

投資一任契約?

・・・投資運用業者が金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて投資者の財産を有価証券等に対する投資により運用する。

(一社)日本投資顧問業協会 投資運用業および投資助言・代理業入門

https://www.jiaa.or.jp/komon/

一般社団法人 安心サポートセンター

https://www.annshinn-sc.jp/

 身上保護機能を顧客に提供する。所在地が鹿児島県。依頼があれば、財産管理契約(民法643条~の委任契約)の受託者、任意後見契約(任意後見契約に関する法律3条に基づく契約)の受任者になることが可能。死後事務委任契約(民法873条の2、最高裁判所平成4年9月22日判決など。)も締結可能。

投資一任契約上の地位の信託譲渡?

・・・顧客の契約上の地位と、投資信託受益権という財産(信託法2条3項)を、受託者の三井住友信託銀行に譲渡(信託法3条1項1号)。

指定運用の包括信託?

・・・委託者が指定した範囲で運用する、2個以上の財産を一つの信託行為により引き受ける信託。

 最低信託金額3000万円。信託期間は、第三受益者(残余財産を交付する者)が受益権を取得した日から起算して2年を経過した日の属する月の末日まで。もし、2021年1月23日に取得すると、2023年1月31日まで。毎年顧客(受益者?)の意思確認を行う。

社団等・・・(一社)安心サポートのことか不明でした。

 メリットとして、死亡時に有価証券の時価が下落していた場合には顧客は損失を被るが、この商品を利用すると死亡時に投資一任契約は終了しない。

・・・第2次受益者死亡時に有価証券の時価が下落していた場合、損失を被るので、メリットとはいえないのではないかと感じました。

 信託法20条3項3号・4号により、三井住友信託銀行は、受託者として、顧客の意向に従って運用・換価する債務、顧客に対して預かったお金(有価証券)を返す債務がある。顧客が三井住友信託銀行に対して、有価証券の運用・換価などを求める債権を三井住友信託銀行が持ったとしても、混合(債権と債務が同じ人に帰属したから、意味がないので消える、民法520条。)せずにサービスを続けることが出来る。信託を利用する特徴だと感じます。

適合性の確認?・・・金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)

(適合性の原則等)第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。

一 金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて投資者の保護に欠けることとなつており、又は欠けることとなるおそれがあること。

二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。

 基本的には、受託者(三井住友信託銀行)の知識、経験、信託財産及び信託目的を基準に適合性を判断という箇所に、違和感があります。

善管注意義務?・・・金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)

(善管注意義務)第四十三条 金融商品取引業者等は、顧客に対し、善良な管理者の注意をもつて有価証券等管理業務を行わなければならない。

 受託者の裁量は、運用財産の解約面について部分的に有するのみの構成。法定後見人が選任された場合、裁判による信託の終了(信託法165条)以外に法定後見人が信託の終了を行うことが出来ない仕組み。私も信託契約書、任意後見契約書案の作成では、信託を優先するような条項を原則として入れています。

 ただ、法的に確実とはいえないと考えていたので、言い切っていることに関して、何かしら根拠があるのだと想像します。

 このような商品構成だと、第2次受益者も任意後見契約を締結する義務のようなものがあるのかなと思いました。

 受益者が意思能力を喪失した場合、―中略―信託契約上、社団は任意後見人就任以降において受益者の信託契約に基づく全ての権利の行使及び全ての義務の履行を行うことができるものとされている。

 任意後見人の監督の下(任意後見契約に関する法律7条)ではないかなと感じました。またこの商品において、信託監督人の設置が可能とされていますが、信託銀行を監督する者として、親族、専門職、福祉関係、どのような方を想定しているのか分かりませんでした。

 利益相反関係(民法108条、顧客の相続人である代理人が得をして、顧客が損をしてしまう仕組み)、を回避するための方法として、原則として受託者の裁量で信託財産から払い出しを行う。

 総合的に、身寄りがいない方で現預金が5,000万円以上ある方にとっては、検討しても良い商品だと感じました。


[1] 287号2021年8月(一社)信託協会P4~