【渉外司法書士協会研修】アジア新興国法務の基礎メモ

2021年11月6日森・濱田松本法律事務所臼井慶宜弁護士

1. アジア各国法令の特徴2. アジア各国の会社ガバナンスの比較3. アジア各国の外資規制の概要4. 【事例演習】アジアにおける販売契約及びライセンス契約5. アジア新興国の国民性(インド・ベトナム)

1.アジア各国法令の特徴

アジアにおいて、その法制度が安定的に運用されている国は少ない。安定的に運用されているか否かの判断のために、その国の法体系が、英米法(Common Law)か、大陸法(Civil Law)かを確認することは有益である。一般的には、 Common Lawの国の法制度の方が安定的に運用されているといえる。ただし、Common Lawならば確実に法制度が安定的に運用されているともいえず、「法運用の歴史」、「裁判官の質」、「裁判官及び行政府役人の腐敗の程度」を総合的に検討する必要がある。

国際協力銀行・海外事業展開アンケート結果(2020年度)

https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2020/0115-014188.html

中期的有望国順位 現地マーケット インフラ未整備 法制度の運用不透明

1 中国 2 インド 3 ベトナム 4 タイ5 米国 6 インドネシア7 フィリピン

8 マレーシア9 メキシコ 10 ミャンマー

各国の公務員贈賄リスク・ランキング(2020年版)

https://www.transparency.org/en/cpi/2020/index/nzl

3 シンガポール11 香港19 日本28 台湾33 韓国57 マレーシア

78 中国86 インド86 トルコ94 ブラジル104 タイ104 ベトナム102 インドネシア115 フィリピン134 ラオス137 ミャンマー160 カンボジア170 北朝鮮(最下位)ソマリア、南スーダン

アジアにおける裁判例の確認

アジアの多くの国において、裁判例を確認することが難しい場合がある。中国は、最高人民法院による指導判例がでていること、裁判例も比較的多く公開されていることから、リサーチがしやすく、判決の結果も予想しやすい。

http://wenshu.court.gov.cn/

https://www.itslaw.com/home

ベトナムも最高裁の指導判例はでているが限定的であり、また、公開されている裁判例も少ない。

ベトナム判例制度の実情及び展望

前JICA長期派遣専門家酒 井 直 樹,JICA長期派遣専門家鎌 田 咲 子

https://www.moj.go.jp/content/001246674.pdf

タイも最高裁の判例のみが、限定的に公開されている。

http://www.supremecourt.or.th/webportal/supremecourt/index.php?lang=th

インドネシア及びインドは、相当程度公開されている。

https://putusan.mahkamahagung.go.id/

インド

https://indiankanoon.org/?__cf_chl_jschl_tk__=wRW4KcLHpNzXv.6vB1jYh1CKl0.UHtMbA8_dkw7bOrE-1636178569-0-gaNycGzNCJE

アジアにおける法令・通知の確認方法

アジアの多くの国において、重要な法律は相当程度制定されている。また、各政府当局による施行細則、通知も多く公布されている。書面の法令等を確認することが重要である。但し、法令の内容が曖昧であったり、不明確な部分がある。 また、政府当局が法令解釈の裁量権を有しているので、運用が曖昧となりやすい。

現地における政府当局に対するヒアリングが重要

・ 現地弁護士により、電話等で政府当局に確認する。重要性が高い場合には、正式に政府当局担当者と面談して確認する。常に政府当局の担当者のコメントが正しい訳ではない。重要な論点については、複数のルートで(複数の都市でも)確認する。

アジア各国では外国直接投資を規制しており、投資を行う際に政府許認可必要。 外国投資会社は許認可証書に記載されている経営範囲の業務しかできず、特定する場合が多い。許認可証書に加えて特別認可(サブライセンス)やその他の認可が必要な場合もあることに留意必要。法律や規則の文言上からは差がわからない。

アジア各国における許認可の意義―アジアの適法性の考え方―

アジア各国の会社法における会社の種類

<インドネシア>  株式会社 ⇒非公開会社 ⇒公開会社

<インド> 株式有限責任会社 ⇒公開会社 ⇒みなし公開会社 ⇒非公開会社

<ベトナム> 2名以上有限責任会社 1名有限責任会社 株式会社

<タイ> 式会社 ⇒非公開会社 ⇒公開会社

公開会社と非公開会社の差のキーワード

株主数 式譲渡制限 株式の公募 自己株式保有

ガバナンスの内容―アジア各国の会社組織―

株主総会(社員総会)取締役・取締役会監査役・監査役会・コミサリス会・会計監査人会社・秘書役.

適用される項目

インドネシア(株式会社)

インド(非公開会社)原則挙手による1名1票。

ベトナム(株式会社)特別決議は65%以上の賛成。

ベトナム(2名以上有限責任会社)65%以上の出席。

タイ(非公開会社)4分の1以上の株主の出席。

ガバナンスにおける注意点

日本企業がアジア各国に進出した際に株主総会関連で注意すべきポイント

定足数の観点、合弁会社 開催の機動性/非機動性 株主1名ずつ、定款

決議要件の観点・・・普通決議 特別決議 特殊決議 日本との違い

取締役会の各国比較

インドネシア(株式会社)定足数 定款により規定。

インド(非公開会社)定足数 総数の1/3または2人のいずれか多い方。

ベトナム(株式会社)定足数 全取締役の4分の3以上の出席。

タイ(非公開会社)定足数 附属定款の定めによる。3名超の取締役会でかつ附属定款に定めがない場合は3名の出席。

日本企業がアジア各国に進出した際に取締役会関連で注意すべきポイント

定足数の観点・弁会社 開催の機動性/非機動性 取締役1名ずつ・定款

出席の観点・書面決議方式 電話会議方式 ビデオ会議方式・所在地の観点・日本在住 現地在住

インドで書面決議ができない一定の事項

株式の買い戻しの承認・株式・社債の発行・借金・会社資産の投資・融資の許可及び保証・担保の承認・決算書類・取締役会報告の承認・会社の事業の多様化・ 合併の承認・企業買収・他社の支配権獲得・主要役職員の指名・内部監査役・会社秘書役監査役の指名

インドでビデオ会議ができないとされていた一定の事項

決算書類の承認・取締役会報告の承認・目論見書の承認・会計検討のための監査委員会の会議・合併・買収の承認・コロナの感染拡大で2020年3月19日付通知により時限措置とて上記事項もビデオ会議方式で決議可能に

2021年6月15日付通知により決議禁止が完全に撤廃⇒インドのビデオ会議方式取締役会において決議禁止事項はなくなる

https://www.mca.gov.in/content/mca/global/en/home.html

https://www.mca.gov.in/bin/dms/getdocument?mds=zwpAcIfQhKOgB8vwf%252FztbA%253D%253D&type=open

改正前にタイで電話会議・ビデオ会議による株主総会・取締役会が適法かつ有効に成立したとみなされていた要件

少なくとも定足数の3分の1の人数については同一の開催場所において物理的に出席していること

すべての出席者がタイ国内にいること(物理的に出席している者・電子媒体を用いて出席している者を含む)

情報技術・通信省が定める基準に従った電話会議又はビデオ会議の方法(会議の全てについて録音又は録音録画等を行うこと等)で実施すること

これまで撤廃が議論されてきたが、コロナを機に改正の話が一気に進んで恒久的に要件撤廃の方向で改正

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/04/d493b7ccfa3e1803.html

http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2563/A/030/T_0020.PDF

インドネシア 公開会社・非公開会社問わず会社法上居住要件なし。もっとも、銀行関連書類、月次税務申告書類、輸入関連書類について法令上居住者のサインが要されている場合があり、実務上は居住取締役が最低1名いることが望ましい。

インド居住取締役(1会計年度において182日以上インドに滞在していることが必要)が最低1名必要。

ベトナム2名以上有限責任会社も株式会社も法定代表者はベトナム居住者である必要。30日以上ベトナムを離れる場合は書面により他の者に法定代表者としての権利付与と義務履行の権限を与える必要。

タイ非公開会社は居住要件なし。公開会社は5名以上必要な取締役の半数以上はタイ国内居住者である必要。

インドネシアにおける会社(外国投資会社)設立手続

https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/invest_09.html

¨ 商号予約(公証人を介して法務人権省へ申請)

¨ 投資基本許可申請(投資調整庁へ申請)

¨ 設立証書(会社設立時定款)作成(公証人による公正証書化が必要)

¨ 会社所在地証明書申請(会社所在地の市役所等へ申請)

¨ 納税者番号申請(所轄の税務署へ申請)

¨ 会社設立登記申請(法務人権省へ申請)

法務人権省から法務人権大臣承認書(会社設立登記)を取得

インドにおける会社(外国投資会社)設立手続

¨ 電子署名認証(DSC:Digital Signature Certificate)取得(政府が認定した認証業者へ依頼)

¨ 取締役識別番号(DIN:Director Identification Number)取得(インド企業省へ申請)

¨ 商号の申請(会社登記局へ申請)

¨ 基本定款(MOA:Memorandum of Association。法定の会社の基本事項を規定)・附属定款(AOA:Articles of Association。会社運営に関する法廷記載事項を中心に規定)作成

¨ 会社設立申請(会社登記局へ申請)

会社登記局より設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行されると設立手続完了

ベトナムにおける会社(外国投資会社)設立手続

https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_09.html

外国投資家が会社を設立する場合、一定のプロジェクトを行うために会社を設立するものと扱われる

投資登録証(IRC:Investment Registration Certificate申請(計画投資局又は工業団地・輸出加工区・ハイテク地区・経済特区の管理委員会へ申請)

IRCの発行によって許認可を得たプロジェクトを行うために会社の設立手続を行う

企業登録証(Enterprise Registration Certificate=会社設立登記)発行申請(企業登記局へ申請)

タイにおける会社(外国投資会社)設立手続

https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_09.html

¨ 商号予約(商務省へ申請)

¨ 発起人の選定

¨ 基本定款設立証書登録(商務省へ提出)

¨ 発起人による株式引受(発起人は1人最低1株の引受が必要)

¨ 設立株主総会の開催

¨ 資本金の払込み

¨ 会社設立登記申請(設立株主総会から3か月以内)

登記局によって申請が認められれば会社登記完了

インドネシア インド ベトナム タイ公証・認証

https://www.jetro.go.jp/world/asia/standards.html

インドネシアNotarisと呼ばれる公証人が存在。会社設立手続を含む法務人権省への通知・承諾はNotarisが行うことが要求される。その他不動産売買契約の作成等も担当する。日本における司法書士に近い立場。

インド法務省下にNotary Public(公証人)が所属。インドでの公証認証はこのNotaryPublic(公証人)によって行われる。オンラインでの申請も可能。様々な申請に公証が要求されるため、各所に公証役場が存在する。会社設立の面に限っても、登記簿謄本、監査済財務報告書・直近の納税証明書、企業の公証定款写し、代表者または署名権限者のパスポートの写し、事務所の賃貸契約書、事業登録証明書などに公証必要。

タイ公証役場はない。タイで公証人となれるのは、公証人認証ができる免許を取得した弁護士のみ。公正証書作成や公証認証は、この公証人認証ができる免許を取得した弁護士の所属する法律事務所に依頼する。

3.アジア各国の外資規制

アジアにおいて製造業に対する外資規制は限定的である。但し、販売業等のサービス業を営む場合には外資規制がある場合が多い。

雇用確保 技術確保 外貨確保

アセアン主要国で外資規制が最も緩和されているのは、ベトナム。それに対して、外資規制が厳しいのは、タイとインドネシア。

https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/invest_02.html

https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_02.html

https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_02.html

インドネシアは、2014年に販売業に関する外資規制を厳しくし、その後、少し規制緩和し、2021年に2014年当時の外資規制に戻した。但し、零細・中堅企業保護の観点は引き続き留保されており、ベトナムでもこの観点に基づく実務上の外資制限がある。

不動産保有

中国• 土地使用権• 工業団地については処分性に制限あることがある。

ベトナム• 土地使用権• 処分性に制限あり• 工業団地利用多い

タイ• 原則49%まで• 工業団地は100%可

インドネシア土地使用権• HGBは処分性制限なし• 工業団地利用多い

インドネシアの外資規制

インドネシアの外資規制は、全般を規律する投資法、及び、インドネシア投資

調整庁(BKPM)が公布するネガティブリストである。このネガティブリストについて、2021年3月4日施行の大統領令(2021年10号令)によって、大幅に規制緩和され、以下の通り、禁止業種とそれ以外とに分けられた。禁止業種の具体例、麻薬の栽培、化学兵器の原料の製造、賭博・カジノ、ワシントン条約禁止魚等の捕獲、サンゴの利用、オゾン層破壊物質製造業。

禁止業種以外の業種について、優先業種、中小規模等留保業種、条件付き投資業種、④上記以外制限業種に区分され、具体的には以下の業種について外資規制が撤廃された。但し、中小規模等留保はある点に留意が必要。

小売業・卸売販売業/広告業/倉庫業/建設業(同年2月2日付政令2021年5号令との矛盾及び特別法の規制問題残る)

金融庁(OJK)が管轄する金融・保険業については、ネガティブリストに拘わ

ず、別途、法令等で外資規制が定められる。

インドの外資規制

インド政府商工省内の産業政策促進局(Department of Industrial Policy

and Promotion)が公布している統合版FDIルール及び随時公表するプレスノート(Press Note)、そして、為替管理ルール(NDI Rules)とよばれる通達により、外資規制のルールを制定している。

https://www.khaitanco.com/thought-leaderships/NDI-Rules-amended-to-allow-74-foreign-investment-in-Indian-insurance-companies-Liberalisation-process-now-complete?utm_source=Mondaq&utm_medium=syndication&utm_campaign=LinkedIn-integration

外国直接投資が全面的に禁止される分野

政府の承認により所定の外資比率まで投資が許容される分野「政府ルート」とよばれる。

政府の承認を要さずに所定の外資比率まで投資が許容される分野「自動ルート」とよばれる。ネガティブリストに列挙されていない事業分野については100%まで自動ルートによる投資が可能

宝くじ事業、賭博業、タバコ産業、不動産売買

政府ルートの具体例

既存製薬業:74%までは政府の承認不要。74%を超えて100%までは政府の承認が条件。電気通信業:49%までは政府の承認不要。49%を超えて100%までは政府の承認が条件

複数ブランドの小売業:一定の条件満たした場合に政府の承認を条件として51%まで直接投資可能。複数ブランドの小売業のための条件

最低、1億USドルの少なくとも50%を3年以内に物流・倉庫等に投資すること、製品・加工品の調達額の最低30%はインド国内の小規模企業から調達すること、③店舗の設置は原則として人口100万人以上の都市に限ること

自動ルートの具体例

新規製薬業:100%まで政府の承認不要。単一ブランドの小売業: 100%まで政府の承認不要。従来は49%を超える投資は政府の承認必要。

マーケット・プレイス・ベースの電子商取引: 100%まで政府の承認不要。

ベトナムの外資規制

一定の麻薬物質、一定の化学物質・鉱物、絶滅動植物、売春、人身売買、無性生殖、爆竹に関する事業活動を禁止

重大プロジェクト

国防、国家の治安、社会秩序、安全、社会道徳、市民の健康を理由として、投資活動を実施するには一定の条件を満たさなければならない分野

ベトナムに対して特に影響の大きいプロジェクト(例: 原子力発電所の建設、

空港の建設、工業団地の開発、5兆ドン以上の投資規模を有するプロジェクト等)を対象として、国会、首相又は省級人民委員会の承認を取得する必要

通常プロジェクト

投資禁止分野、条件付投資分野、重大プロジェクトに該当しない分野

lほとんどの製造業が通常プロジェクトに該当

11のサービス分野(ビジネス、情報、建設・関連エンジニアリング、流通、教育、環境、金融、保険・社会、観光・旅行、娯楽・文化、運輸)に関する外資規制

段階的な外資規制の緩和により多くの分野で外資100%出資が認められるに至ったが、依然として一部の分野で規制が残る。

 一部の分野(放送・TV、石油・ガス採掘、土地所有等)以外の分野について、内国民待遇と最恵国待遇を定める条約

 WTOコミットメントにおいて外資への開放が明記されていない分野については、日越投資協定が適用される可能性

https://www.vn.emb-japan.go.jp/jp/relationship/relationship_2nitietsutoshikyotei_shomei.html

小売業• 外資100%出資可能、但し、2店舗目以降についてはENT(Economic Need Test)をクリアする必要あり。TPP協定の発効(2019年1月14日)から5年後にENTが撤廃される予定。

• 一定品目(タバコ・本・薬品等)の取扱禁止、飲食業 • 外資100%出資可能(従前の「ホテル建設投資等と並行」の要件は2015年撤廃)

• 一部の不動産事業(販売・賃貸用の建物建設、サブリース用の建物賃借、不動産サービス業等)について、外資100%出資可能

• 最低資本金(200億ドン以上)の要件あり、広告業 • ベトナム側パートナーとの合弁(出資比率制限なし)

道路運送業 • ベトナム側パートナーとの合弁(旅客運送: 49%以下、貨物運送: 51%以下)

銀行業• 外国投資家の出資比率合計: 30%以下、• 外国投資家単独の出資比率

個人: 5%以下、法人: 15%以下、「外国戦略投資家」: 20%以下

• 一定の要件の充足、ベトナム国家銀行の事前承認が必要となる場合あり

人材派遣業 • 外資100%出資可能• 預託金・資本金等の要件、目的・業種の制限あり

タイの外資規制

外国人事業法が外資規制を規定する、製造業には一般に規制なし、但し、サービス業に対する規制は広範、BOI(投資委員会)の投資奨励により免除され得る、 修理メンテナンス業についてはFBL(外国人事業ライセンス)の取得が必要となる

外国人の要件

タイ国籍を有しない個人(外国個人)、外国法人、株式資本の半数以上を外国個人又は外国法人が保有するタイ法人

【設定】問題 1~3共通

日本のアパレル企業であるCompany Yは、ベトナム企業であるCompany Xから繊維製品の購入を予定している。当該取引に際して、 Company Yは、Company Xとの間で、販売契約(基本契約)を締結する予定である。

問題 1 (販売契約における個別契約の成立)

Article ● Master agreement and Individual Agreements

1. This Agreement specifies the basic terms of the sales of the products of Company X, which apply to the individual transaction agreements entered into through consultation between the parties (the “Individual Agreements”), and Company X and Company Y shall comply with and perform in good faith both this Agreement and the Individual Agreements.

2. Company X and Company Y may, in the Individual Agreements, exclude some of the terms specified in this Agreement, or specific terms that differ from those of this agreement.

3. Company Y submits to Company X, at least 60 days in advance of Company Y’sdesired delivery date, an order form (in Company X’s designated format) specifying the order date, product name, unit price, order volume, delivery date, delivery location, method of payment and other details based on the inquiries by Company Y.However, Company X may refuse to accept an Individual Agreement submitted my order form at its own discretion based on its production status.

問題 1 (販売契約における個別契約の成立)

Company Yとして販売契約(基本契約)中の以下の個別契約の成立に関する条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Master agreement and Individual Agreements

1. This Agreement specifies the basic terms of the sales of the products of Company X, which apply to the individual transaction agreements entered into through consultation between the parties(the “Individual Agreements”), and Company X and Company Y shall comply with and perform in good faith both this Agreement and the Individual Agreements.

2. Company X and Company Y may, in the Individual Agreements, exclude some of the terms specified in this Agreement, or specific terms that differ from those of this Agreement. Where the terms of an Individual Agreement differ from those of this Agreement, the terms of the IndividualAgreement will prevail.

3. Individual Agreements will be executed upon Company X’s provision of an order receipt company Y following Company Y’s submission, [at least 60 days in advance of Company Y’sdesired delivery date, ]of an order form (in Company X’s designated format) specifying the order date, product name, specifications, unit price, order volume, delivery date, delivery location, method of payment and other details based on the inquiries by Company Y. [However, CompanyX may refuse to accept an Individual Agreement submitted my order form at its own discretion based on its production status.

問題 1 (販売契約における個別契約の成立)

基本契約と個別契約の優劣を明確にする、個別契約の成立タイミングを明確にする、個別契約では対象製品のスペックを必ず契約上明らかにしておく。

問題 2 (販売契約における検収)

Article ● Inspection and Acceptance

1. Company Y shall inspect the Products delivered by Company X (“Inspection”) without delay within ten days after delivery of the Products in accordance with Article.

2. Company Y shall send to Company X a receipt (for Products that pass the Inspection provided for in 1 of this Article) or a notice (regarding Products in which shortfall is discovered) within 2 business days after the delivery of the Products. However, if Company X does not receive such notice (regarding Products in which shortfall or the like is discovered) from Company Y within 2 business days after the delivery of the Products, then it will be deemed that all of the delivered Products passed the Inspection.

3. If a shortfall or surplus is discovered upon Inspection as provided for in 1 of this Article, Company X shall deliver the remaining Products or reclaim the surplus Products within the period specified by Company Y.

4. Company Y may accept delivery of Products that fail the Inspection provided for in 1 of this Article but that Company Y considers usable (“Special Acceptance”).

問題2 (販売契約における検収)

Company Yとして販売契約(基本契約)中の以下の検収に関する条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Inspection and Acceptance

1. Company Y shall inspect the Products delivered by Company X (“Inspection”) based on the criteria designated by Company Y, including determining whether the Products meet the quality criteria provided for in the Article without delay within ten days after delivery of the Products in accordance with Article.

2. Company Y shall send to Company X a receipt (for Products that pass the Inspection provided for in 1 of this Article) or a notice (regarding Products in which a defect, the shortfall is discovered) within 2 business days after the delivery of the Products. [However, if Company X does not receive such notice (regarding Products in which shortfall or the like is discovered) from Company Y within 2 business days after the delivery of the Products, then it will be deemed that all of the delivered Products passed the Inspection.]

3. If a shortfall or surplus is discovered upon Inspection as provided for in 1 of this Article, Company X shall deliver the remaining Products or reclaim the surplus Products within the period specified by Company Y; if a malfunction, defect, deterioration, or the like is discovered in the Products, COMPANY X shall repair or replace the Products at no cost to COMPANY Y within the period specified by COMPANY Y.

4. Company Y may accept delivery of Products that fail the Inspection provided for in 1 of this Article but that Company Y considers usable (“Special Acceptance”).

問題2 (販売契約における検収)

検収の基準について明示する。買う側の基準とすることが望ましいが、当事者間で書面で合意した基準、と言うところまでは譲歩可能、検収において明らかな欠陥についての処理についても規定することを忘れない。検収の結果欠陥が見つかった場合に売主に要請する対応(修理・交換)について明示することを忘れない。

問題3 (販売契約における瑕疵担保責任)

Article ●Liability for defects

1. If Company Y discovers that the Products delivered to it by Company X are soiled, broken, or otherwise defective, Company Y may request the following after notifying Company X of such defect, unless the Products have been damaged due to gross negligence on the part of Company Y after delivery:

(i) Sorting and repair of the defective Products Company Y may instruct Company X to sort and repair the defective Products.

(ii) Payment of sorting and repair expenses for the defective Products If Company Y sorts and repairs the defective Products itself or through a third party, Company Y may charge Company X for the parts, work, and other expenses necessary with respect thereto.

2. If Company X requests that the defective Products be returned, the parties shall consult regarding how to carry out such return.

問題 3 (販売契約における瑕疵担保責任)

 Company Yとして販売契約(基本契約)中の以下の瑕疵担保責任に関する条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Liability for defects

1. If Company Y discovers that the Products delivered to it by Company X are soiled, broken, or otherwise defective within the warranty period provided for in Article, Company Y may request the following after notifying Company X of such defect, unless the Products have been damaged due to gross negligence on the part of Company Y after delivery; if it is unclear to which of the parties the defect in the Products is attributable, the parties will determine liability through consultation:

(i) Delivery of replacements

Company Y may request that Company X deliver replacements for the defective Products

(ii) Sorting and repair of the defective Products

Company Y may instruct Company X to sort and repair the defective Products.

(iii) Payment of sorting and repair expenses for the defective Products

If Company Y sorts and repairs the defective Products itself or through a third party, Company Y may charge Company X for the parts, work, and other expenses necessary with respect thereto.

(iv) Reduction of price of the defective Products

Company Y may reduce the price of the defective Products in accordance with the written agreement with CompanyX.

2. Company X shall compensate Company Y for any damage incurred by Company Y due to a defect in the Products within the warranty period provided for in Article.

3. If Company X requests that the defective Products be returned, the parties shall consult regarding how to carry out such return.

問題 3 (販売契約における瑕疵担保責任)

 瑕疵担保の保証期間を明確にしておく。瑕疵の原因が当事者のいずれに帰責出来るかが不明な場合の処理を明示しておく。瑕疵担保責任の内容として代替品の提供や代金減額の規定を忘れずに入れ込んでおく。瑕疵担保責任の結果、買主が売主に対して損害賠償請求できる旨は明示的に規定しておく。

ライセンス契約における4大重要ポイント。ロイヤリティの計算方法。非独占的ライセンスか独占的ライセンスか。供与側の保証義務の範囲。改良技術の帰属。

【設定】問題 4~6共通

 日本の企業であるCompany Yは、精密機器の製造販売を業とする会社であるが、今般、中国企業であるCompany Xに対してCompany Y製の精密機器(Products)の製造に係る技術ノウハウ及び技術資料を提供するとともに、当該精密機器製造に必要な部品(Parts)を有償で提供することを予定している。Company YとCompany Xとの間の取引は今回が初めてである。Company Yは、Company Xとの間で、原料の有償供給を含めたライセンス契約の締結を予定している。

問題 4 (部品有償供給における支払)

Article ● Payment Terms

1. Company X shall pay for the Parts within 7 days after the Acceptance.

2. Company X shall make the payment for the Parts to Company X on a US dollar basis by T/T Remittance.

請負契約のようなイメージ。

問題 4 (部品有償供給における支払)

Company Yとして、Company Xへの部品の有償供給の支払方法に関するライセンス契約中の以下の条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Payment Terms

1. Company X shall pay for the Parts as follows:

a. Company X shall pay 20% of the total purchase price of the Parts in a Purchase Order, within 7 days from the acceptance of that Purchase Order by Company Y.

b. Company X shall pay 60% of the total purchase price of the Parts in a Purchase Order before the shipment of the Parts in a Purchase Order.

c. Company X shall pay the balance of the purchase price of those Pats within 7 days after the Acceptance.

2. Company X shall make the payment for the Parts to Company X on a US dollar basis by T/T Remittance.

問題 4 (部品有償供給における支払)

<ポイント>信頼関係の薄い相手方との間では代金は前払いや中間払いなど対象物を引き渡した後に全額の支払いをさせる、といった状況は避ける。

問題 5 (ライセンス契約における保証範囲)

Article ● Representations and warranties by Company Y represents and warrants that:

1. The manufacture of the Products does not infringe the rights, including patents, of any other person in any country within the;

2. Company Y or its contract manufacturer has all the approvals, licenses and permits from the Regulatory Authority in Japan required to manufacture the Products (Company Y and its contract manufacturer shall immediately discontinue the manufacture of the Products if any such approval, license, or permit is suspended, expired or withdrawn); and

3. The manufacturing facilities of Company Y or its contract manufacturer located at the site where the Products will be manufactured have all approvals required by the Regulatory Authorities for the manufacture of the Products and such manufacturing facilities and practices used in the facilities conform to, and shall continue, during the term of this Agreement, to conform to Laws of Japan.

問題 5 (ライセンス契約における保証範囲)

Company Yとしてライセンス契約中の以下の保証範囲に関する条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Representations and warranties by Company Y represents and warrants that:

1. To Company Y’s knowledge, The manufacture of the Products does not infringe the rights, including patents, of any other person in any country within the;

2. Company Y or its contract manufacturer has all the approvals, licenses, and permits from the Regulatory Authority in Japan required to manufacture the Products (Company Y and its contract manufacturer shall immediately discontinue the manufacture of the Products if any such approval, license, or permit is suspended, expired or withdrawn); and

3. The manufacturing facilities of Company Y or its contract manufacturer located at the site where the Products will be manufactured have all approvals required by the Regulatory Authorities for the manufacture of the Products and such manufacturing facilities and practices used in the

facilities conform to, and shall continue, during the term of this Agreement, to conform to Laws of Japan.

4. EXCEPT AS EXPRESSLY SET FORTH IN THE ARTICLE●, COMPANY Y MAKES NO WARRANTIES, INCLUDING THOSE OF MERCHANTABILITY OR FITNESS FOR ANY PARTICULAR PURPOSE OR SPECIAL CIRCUMSTANCE, NOR ANY OTHER WARRANTIES MADE EXPRESS OR IMPLIED. Company Y’s warranties under this Article are not applicable if the Products are modified, altered, or otherwise changed without the prior written consent of Company Y.

問題 5 (ライセンス契約における保証範囲)

<ポイント>

ライセンサーによる保証の範囲は可及的に限定する。とりわけ第三者の知的財産権の侵害の有無については調べ切ることが極めて困難なため、ライセンサーの「知る限りで」(あるいは「知り得る限りで」)として限定を行う。ライセンサーが保証を行わない範囲の明示も上記と同趣旨で重要となる。その他考えられる保証の限定としては、ライセンサーが指定した態様による仕様に限定したり、ライセンサーの損害賠償の範囲を既払ロイヤリティ額に限定したり、といった内容も考えられる。

問題 6 (ライセンス契約における改良技術)

Article ● Improvement

In the event that any development or improvement as to the Products, (“Improvement”) are made solely by Company X or jointly by Company X and Company Y hereto, Company X shall promptly disclose to Company Y such Improvement, together with any pertinent technical information and data.

問題 6 (ライセンス契約における改良技術)

Company Yとしてライセンス契約中の以下の改良技術に関する条項をよりよいものにするにはどのようにしたらよいでしょうか?

Article ● Improvement

In the event that any development or improvement as to the Products, (“Improvement”) are made solely by Company X or jointly by Company X and Company Y hereto, Company X shall promptly disclose to Company Y such Improvement, together with any pertinent technical information and data, and (i) grant to Company Y a royalty-free, non-exclusive, worldwide and perpetual right and license to utilize such Improvement, as applicable and (ii)

upon Company Y’s request, promptly assign and transfer to Company Y, with reasonable charge, the Improvement or Company X’s share in the Improvement. If Company Y makes any application for a patent and/or any intellectual property rights regarding such Improvement, Company X shall provide to Company Y such assistance as requested by Company Y at the cost of Company Y.

問題 6 (ライセンス契約における改良技術)

<ポイント>改良技術についてはライセンサーとしては少なくとも、ロイヤリティ・フリーで非独占的な使用権を取得できるようにする。さらに言えば、合理的な対価でのライセンサーへの改良技術の譲渡を、ライセンサーの要求をトリガーとして行える等にしておくことが望ましい。ライセンサーによる当該技術の特許出願等についてもライセンシーの協力を明文規定で取り付けておくことも円滑な特許申請のためには重要となる。