「任意後見ハンドブック2014年版→2022年版」

(公社)成年後見センター・リーガルサポート「任意後見ハンドブック2022年版」が発行されました。「任意後見ハンドブック2014年版」と比較してみたいと思います。

基準は「任意後見ハンドブック2022年版」とします。見落としなどあるかもしれませんが、ご容赦ください。

・構成

追加

任意後見契約の相談から契約まで

任意後見等契約等の重要事項説明書

任意代理契約における当法人の監督に関する説明書

事前指示書

法人後見事務取扱標準報酬規程

削除

遺言公正証書

遺言書の保管等に関する約定書

・文言など

任意後見制度の仕組みについて、図の活用。

高松高判平成5年6月8日を題材としたQ&Aの削除。

意思決定支援と任意後見制度について、障害者の権利に関する条約[1]に触れる。

 任意代理との違い、の章において、持続的代理権[2]という用語を使用。任意代理契約と任意後見契約の併用の問題点について、法務省のアンケート実施を記載[3]

 任意後見契約における代理権目録に、契約の取消しなどについての代理権を予め付与することができることの記載。

 制度説明、動機の確認、制度選択の欄に、受任者のチェックポイントの記載。適切な後見事務が出来るか。受任者の心身の状態などについては削除。

死後事務委任契約についての記載の追加。

 令和4年法務省民事局「成年後見制度の利用促進に関する取り組みについて」アンケートによる、将来一定の公的機関等による監督、がなされる可能性について記載。

財産管理の監督の注意点として、原本確認を要することの記載を追加。

 未成年後見、障害のある子に任意後見任などがいるメリットについて、詳細な記述。注意点、メリットなど。老後の親の任意後見についての記載について、この章では削除。

 任意後見契約の登記について、数回の住所変更をしている場合の登記申請の回数について記載。

 任意後見契約書等作成のための業務委託契約書作成のために、委任者が遺言を作成していない場合、推定相続人の調査が必須、から、必ずしも必要ではない、に変更。

任意後見プランについて、即効型プランの場合は法定後見の利用を検討することを記載。

 任意後見等契約等の重要事項説明書において、報酬を決定する場合は根拠を示し、適正で、依頼者が納得するものであれば個別具体的な報酬で良いことの記載。

家庭裁判所が決定する任意後見監督人の報酬について、委任者に説明することを要することを記載。

 P85、私のライフプラン(案)について、孫の学費として―中略―ただし、私の将来の資産に不安があるときは、援助をやめても構いません。

→私の将来の資産に不安があるとき、が抽象的ではないかなと感じます。

 継続的見守り契約及び財産管理等委任契約書の欄で、(公社)成年後見センター・リーガルサポートでは、任意後見契約を伴わない任意代理契約は原則として締結しないことの記載。任意代理契約の代理権の範囲は、日常業務と一部の身上保護事務に限定することの記載。

任意後見契約書について、報酬規程の追加。

死後事務委任契約書について、費用の問題の記載追加。

参考

登記研究 667号 164頁 平成15年2月27日 法務省民二第601号 民事局民事第二課長通知 不動産登記申請における任意後見人の代理権限を証する書面について

登記研究 890号 145頁 令和4年1月31日 法務省民一第167号 法務省民事局長通達 後見登記等に関する省令の一部を改正する省令の施行に伴う「後見登記等に関する事務の取扱いについて」の一部改正について

入っているかなと思っていたけれど、入っていなかった項目


[1] https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html

[2] ニッセイ基礎研究所総合政策研究部研究員坂田紘野「海外の「成年後見制度」を概観する」2023 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74251?pno=2&site=nli

[3] 法務省「任意後見監督人選任に関する御案内及び意識調査への御協力依頼について」令和4年12月5日https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00014.html

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