法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第2章 家族法 

第2章 家族法

第1節 はじめに

  ネパールにおける家族間紛争に関する規律は 1853年国法(ムルキ・アイン)にお ける家族に関する諸条項であり、2010 年民法典草案は、これらの規定を整理した上 で、全面的に改正したものである。以下、ネパールにおける家族法を検討するに当た っては、次の点に触れる必要があると思われるが、ここでは民法典条文にのみ限って触れることにする。 

 第一には、実体法である家族に関する諸条項、第二には家族関係の登録制度、第三 には家族構成員間の紛争を処理する手続(司法外の紛争処理も含まれる)などを明らかにすることによって、家族構成員間の紛争が生じた場合の法的処理の仕組み全体を理解することが可能となる。

  また、家族に関する条項を理解する前提として、いくつかの点に留意しておかなくてはならない。ネパール社会は、民族・宗教・カーストが複雑に入り組んでおり、例えば、民族(社 会的身分であるカーストと関係する)は30以上、宗教はヒンドゥー教徒 80.6%, 仏教徒 10.7%, イスラム教徒 4.2%, キラント教徒 3.6%, その他 0.9%(2001 年国勢調査)などと言われており、家族形態や家族関係を律する規範は単一ではないと思わ れる。

とりわけイスラム教徒の家族問題については、シャーリア(イスラム法)を適用するべきであるという主張が強くみられるので、国家による制定法との齟齬が出る可能性は高い。さらに、国境地域では、ネパール住民が隣国の住民と通婚関係をもつことは珍しくないので(インド国境はネパール国民にとっては事実上フリーパスなのでモノの自由な往来だけでなく人の自由な往来によってインド人との婚姻やインドに居住するネパール人との通婚などの可能性は高い)、家族関係あるいは親族関係を 規律する規範は国家法およびそれぞれの地域の法慣行などが重なり合って一層複雑 になるといえよう。

すみれ

「通婚、か。」

 また、地理的にもインドと国境を接する低地からチベットと接する高地まで、生活環境は大きく異なっている。同時に、カトマンズやポカラなどの都市を除いた地方では、村落ごとに文化や慣行が大きく異なることも珍しくない。さらに家族関係の登録に関しては、15歳以上で読み書きできる人の割合は 48.6%(うち男性 62.7%、女性 34.9% (2001 年国勢調査))という現状では、どこまで登録制度が有効に機能するか留保が必要と思われる。 

番人

「2001年だから、今はどのくらい上がっているかな。」

財産法をめぐる法的問題と若干異なり、家族に関する法的問題は当該社会の文化や慣習に強く影響されるので(生ける法)、国家法である民法と生ける法との関係をどのように理解するかが重要となる。例えば、男女平等が明確にされた憲法原則と家族法の規定に齟齬がいくつも見られるが、それはネパール社会に現在でも生きている規範の原理と近代的憲法の原理の対立から生じた「妥協」の産物であるといえ、近代法 原則を今後ネパール社会に定着させるための過渡的段階と解することができる。 

また、2010 年民法典法案(家族法)には国際養子に関する条文が独立して置かれ るなど、他の国の家族法とは趣を異にしているが、これも、国境を超える人身売買が 社会問題化しているネパール社会の置かれた特殊な状況の反映である。

  このように、家族に関する条項は現在ネパール社会が置かれている状況を強く反映 した部分のあることを指摘しておきたい。 

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第2節 総論

第1項「1853年国法(Muluki Ain)」家族法条項

  家族に関する現行諸条項は、1853 年の制定以降、何度も改正が加えられて次の構成になっている。第3 部は全 22章で構成されており、家族に直接かかわる条項は、第 12章「夫と妻」 (全 6 条)、第 13章「分割」(全 35 条)、第 14 章「女性の持分と財産」(全 8 条)、 第 15章「養子」(全 13 条)、第 16 章「相続」(全 20 条)、となっている。

家族にか かわる条項は、いわゆる「民事法」だけでなく、第4部の刑事法にも見られ、第 11 章「人身売買」(全 5 条)、第 13章「性交の意思〔セクシャルハラスメント〕 」(全 6 条)、第 14 章「強姦」(全 11 条)、第 15章「近親相姦」(全 12条)、第 16章「獣姦」 (全 5 条)、第 17章「婚姻」(全 11 条)、第 18 章「姦通」(全 6 条)、など特異な構造となっている。

 ネパール社会では、男系秩序が優先することや男性優位の社会構造となっていることから、第2節 総論 第1項「1853年国法(Muluki Ain)」家族法条項  家族に関する現行諸条項は、1853 年の制定以降、何度も改正が加えられて次の構成になっている。

 第3 部は全 22章で構成されており、家族に直接かかわる条項は、第 12章「夫と妻」 (全 6 条)、第 13章「分割」(全 35 条)、第 14 章「女性の持分と財産」(全 8 条)、 第 15章「養子」(全 13 条)、第 16 章「相続」(全 20 条)、となっている。家族にか かわる条項は、いわゆる「民事法」だけでなく、第4部の刑事法にも見られ、第 11 章「人身売買」(全 5 条)、第 13章「性交の意思〔セクシャルハラスメント〕 」(全 6 条)、第 14 章「強姦」(全 11 条)、第 15章「近親相姦」(全 12条)、第 16章「獣姦」 (全 5 条)、第 17章「婚姻」(全 11 条)、第 18 章「姦通」(全 6 条)、など特異な構造となっている。 

ネパール社会では、男系秩序が優先することや男性優位の社会構造となっていることの結果と思われるが、男性と女性に関して別々に規定されている事項が散見される。 例えば、婚姻要件や離婚要件などは、男性と女性とでは別個規定されており、その内 容も異なっている。また、家族共同財産分割などでも男性にかかわる条項がある一方 で、婚出した娘に対する言及がないなど、いくつかの事項では男女別の条項となって いる点に特色がみられる。 

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第2項「2010年民法典草案」について

  すでに触れられたように現行法は制定されてから幾度も改正を経たが、社会の変容 により全面的な改正が必要となり、現代のネパール社会および家族の状況に対応でき る内容の民法典草案が 2010 年に作成された。

憲法草案にも盛り込まれている男女平等や個人の尊重理念に基づくと同時に、ネパール社会において現実に展開している家族をめぐる「生ける法」にも配慮しながら、法案が作成された。民法典草案第 3 部が 家族にかかわる条項であるが、第 1 章「婚姻」(全 18 条)、第 2 章「婚姻の効果」(全 8 条)、第 3章「離婚」(全 12条)、第 4章「親子関係」(全 19条)、第 5章「親権」 (全 11 条)、第 6章「後見」(全 18 条)、第 7章「保佐」(全 14条)、第 8章「養子」 (全 19 条)、第 9 章「国際養子」(全 22条)、第 10章「家族共同財産分割」(全 32 条)10、第 11 章「遺言」(全 16条)、第 12章「相続」(全 14条)、という構成となっ ている。

ただ、家族共同財産分割など家族構成員と財産にかかわる事項については、 いわゆる財産法の諸条項の中にも規定されている。とくに家族共同財産分割に関する 事項については、第 3部 10章以外にも関係する規定がおかれている。

ネパール社会における家族をめぐる法的事項の特殊性から、行為能力に問題のある者の保護制度が後見と保佐のみとなり、また、人身売買などの被害から未成年者を保護するための国際養子が独立した章となっている。さらに、これまでネパール法にはかった遺言に関する条項が新たに加えられることとなった。

すみれ

「人身売買から守るために国際養子の章があるんだ。」

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第3節 現行家族法の概要

 第1項 財産関係における女性の法的地位

 ネパール社会における女性の社会的経済的地位が「低い」ので、特別な法的救済が必要とされており、財産関係と女性に関する特別な規律が第3部に設けられている(以後、特に断らない限り第 3部のみを対象とする) 。

(1)特有財産

  未婚・既婚・寡婦を問わず、女性は自己の努力で得た動産ならびに不動産を自由に処分することができる(第 14 章 1 条)。また、家族と同居していない女性は、家族共同財産分割持分としての動産・不動産を自由に処分することができる(第14章2条)。 ただし、女性が負っている債務に関しては、女性が使用できない不動産によって返済することはできない(第 14章 3条)。

 (2)特有財産の種類

  女性が、父母両系の家族から受領した、もしくは自己の努力で得た動産・不動産は 「嫁資(Daijo)」といわれる。また、女性が、夫側のすべての相続人の家族共同財産持分権者(coparcener)・夫側の家族共同財産持分権者の書面による贈与もしくは夫 側の他の親族、知人による贈与、または自己の努力で得た動産・不動産は、「女性特有財産(Pewa)」といわれる(第 14 章 4条)。

すみれ

「自分の財産と、家族の財産があるんだ。」

 (3)特有財産の処分 

女性は、嫁資および女性特有財産を自由に処分することができる。(第 14章 5条)。 女性が財産の処分に関して書面を作成したのちに死亡した場合には、書面に従って財産は処分されることになるが、書面を残さないで死亡した場合には、女性と同居していた子、同居していた子がいない場合には別居していた子に財産は承継される。

女性が既婚者の場合、子がいないときに夫へ、夫がいないときには婚出した娘へ、婚出した娘がいない場合には男の孫もしくは未婚の娘へ、それらもいない場合には、相続人 (Hakwala)へ承継される12(第 14 章 5条) 。 

女性が、嫁資および女性特有財産以外の財産を、信仰目的の寄付、通常の贈与もしくは売却した場合、女性が財産を移転した者と婚姻した場合には、当該財産の移転は効力を発生せず、当該財産にもともと権利を有する者は、その返還を求めることができるとされている(第 14 章 7条) 。

(4)特有財産に関する訴えと時効 

特有財産に関する訴えは、第 14 章 7条の場合には婚姻の日、その他の場合には、原因となる事実が生じた日から 2年以内に提起しなくてはならない(第 14章 8 条) 。

(5)女性の特有財産に関する特色 

男性の財産は基本的には男系で承継されていくことになっているので、女性固有の財産については女性の意思を重視することや、女性とかかわった者へ第一に移転するという規定をおくなど、女性固有の財産に関する規定がおかれている。

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第3項 婚姻の効果

(1)財産上の効果

  婚姻により生じる財産関係については第 3部に規定がおかれている。ただし、婚姻財産というのではなく家族共同財産に関する条項14として規定されているので、婚姻の効果というよりも家族構成員に認められた法的地位と言えよう。財産をめぐる、妻の権利、息子の権利、未婚の娘の権利、死亡した息子の寡婦(「嫁」)の権利という構成で規定が組み立てられている。 

妻は、家族共同財産に対して有する持分は他の家族共同財産持分権者と同じである (第 13章 1 条・2条)。妻が複数いる場合には、それぞれの妻は夫の持分を等分することになる(第 13 章 4条)。夫が夫の家族共同財に対して有する持分の分割前に死亡した時には、妻は夫の持分を請求することができる(第 13 章 5条)。

 妻は、夫の生存中は、夫の同意なしに、家族共同財産を取得して別居することはできない(第 13 章 10条)。 

すみれ

「妻に厳しいね。」

夫が妻の存在を公にしていない場合には、妻は夫の死後に夫の財産への持分はない (第 13章 8 条) 。

 なお、女性は婚姻をすると実家の家族共同財産分割請求が認められないことがある (第 13章 1A 条)。

 (2)妻が持分を有する場合の対象となる財産

 別居している夫が、自己が家族共同財産持分として分割された財産と妻および息子に帰属する財産とをまとめて管理している場合、当該財産とそこに含まれる少額調整財産(jieuni)(老親扶養のために家族共同財産分割持分の中に認められた一定の額)が分割されるときには、再婚した妻とその間に生まれた子も含まれることになる。

 なお、まとめられた財産管理が始まった後に、再婚した妻とその間に生まれた子は、 すでに別居している他の家族が有する財産への持分を請求することはできない。夫が 自己の持分を分割してもらった後で、再婚した妻とその間に生まれた子は、夫の持分に対してのみ家族共同財産分割持分を有する(第 13章 11 条)。これらの対応は、家族の財産と同居とが密接に関係していることを示している。

 (3)婚姻に要する費用の特例

  家族共同財産から、未婚の息子と娘の数にかかわりなく結婚費用を取り分けておく ことができる。財産総額によってその割合は 5%から 20%になるが、婚姻時に等分に分割される。特定の子の婚姻のための費用が相当額に上る場合、取得分は他の子の取得分の 4分の 3までとされる(第 13 章 17条) 。

(4)家族構成員の財産帰属形態

  同居して台所をともにしている家族の場合、家族共同財産請求権者により共同して取得した財産および債務は、同居するすべての家族共同財産請求権者に平等に分割される。ただし、自己の努力あるいは贈与もしくは相続などで得た財産ならびに第 3 部 14章で規定される女性の特有財財産は、その者により自由に使用でき、他の家族共同財産持分権者に対して分割する義務はない。 持分を取得しないで台所を分けて生活している場合、持分を登録しないで使用してきた場合、自己の利益や損失に責任をもち、また、かかる持分によって生計を維持しているときには、台所を分けて生活しているとし、かかる者の収入や債務はその者のものとする(第 13章 18 条) 。

すみれ

「どこに登録するんだろ。」

 以上のような規定から判断すると、家族の財産は、団体的な考え方のもとにおかれ ており、同居すること、かまどを一にすることなどが家族財産への持分を決める場合 の大きな要素になっていると言えよう。

 (5)夫が財産に対して有する権限

  夫もしくは父は、妻、息子、未婚の娘、死亡した息子の寡婦が家族共同財産に対する持分を分割していない場合、当該財産は以下のように扱われる。

  第一に、夫もしくは父は、祖先から承継した動産の全部もしくは不動産の半分を、家族の生計のために、妻たちの同意なくして使用することができる。かかる者の同意なくして不動産の半分以上を使用した場合、有効な使用とはされない(第 13章 19条 1 項)。

夫もしくは父に家長としての権限を与えると同時に、他の家族構成員の財産的保護が図られている。

すみれ

「家長というのがあるんだね。」

  第二に、夫は、自己の努力で得た動産・不動産に関して、妻が一人のみで、その妻から生まれた息子と未婚の娘のみの場合、かかる財産を自由に使用することができる。 また、妻、その妻から生まれた息子、未婚の娘の場合も、前述の自己の財産については自由に使用できる。夫に複数の妻がおり、それらの妻の間にできた息子と未婚の娘がいる場合にも、かかる財産を自由に使用することができるが、お気に入りの妻(favorite wife)、息子、未婚の娘に対して、贈与(Bakas)もしくは他の方法で、かかる財産を移転することができる(第 13章 19 条 2項) 。

すみれ

「お気に入りの妻って何だろ。」

 そして、かかる財産の使用については、妻、息子、未婚の娘、死亡した息子の寡婦の同意を得なくとも有効である。他方、自由に使用が許されない財産については、祖先から承継した動産・不動産を、お気に入りの妻(favorite wife)、息子、未婚の娘に対して与える場合には、かかる者が 21歳を超えており家族共同財産分割持分を得ていないことが条件とされる(第 13 章 19条 3項)。

 自己の自由な使用が認められない財産の場合、自己の家族共同財産分割分を超えない範囲で、かかる財産を処分することができる(第 13章 19条 4項)。

(6)夫以外の者が財産に対して有する権限

  特定の妻、息子、未婚の娘、息子の寡婦などが、家族共同財産分割手続の前に、特定 の財産を書面によって贈与されている場合には、かかる財産を自由に使用することがで き、家族共同財産分割時に改めて分割対象とされることはない。ただし、贈与が効力を もたない場合には、家族共同財産分割時に全体財産に組み込まれて分割対象とされる (第 13章 19 条 5項)。

(7)家族共同財産分割手続き

  家族共同財産持分請求権者(妻など)から分割の請求が出た場合、裁判所の判決 (verdict)がなされる前に、かかる財産すべての取引に責任ある家長(the head of the family)は、分割対象になる財産についてすべて開示していると宣誓し、債務を含む 動産・不動産目録を作成して分割が行われる。財産目録作成の義務を負っている者が、 裁判所の命令に従わない場合には、全財産の目録が開示されるまで 6 月を上限に収監され、財産目録が開示されたときに収監が解かれ、家族共同財産の分割が行われる(第 13 章 20条) 。 

すみれ

「家長は、権利もあるけど同じくらい責任もあるんだ。」

財産目録作成の義務を負っている者が、裁判所の命令に従わず収監された場合には、 当該の者は収監時から 2 か月ごとに財産目録を提出しなければならない。家族共同財産持分請求権者にも、分割されるべき財産の正確な財産目録を書面で提出するよう通知がなされる。収監された者が、収監の日より 6月以内に財産目録を提出した場合には、受理され財産は法に従って分割される。 

なお、円滑な分割手続きをするために、財産の確定をするために家屋への立入や、 財産目録未提出の者に対する罰金などの規定がおかれている(第13章24条、26条) 。

(8)家族共同財産分割終了後の問題

  有効に分割が完了した場合には、その後に当該持分財産に瑕疵が発見されても、当該財産の取り換えなどを求めて争うことはできない(第 13 章 25条)。隠匿された財産がのちに発見された場合には、財産を隠匿した者は、持分を失い、 他の家族共同財産持分権者がその持分を分割取得する(第 13章 27条)。分割された財産に良し悪しがある場合、家族共同財産持分権者は良し悪しのある財 産について争うことができるが、争いある時は「くじ」によって分割するとされる(第 13 章 28条)。

すみれ

「どこか他の国でもくじ引きがあったような。」

家族共同財産の分割後 3年以内に、当該分割財産である動産・不動産が他人のものであることが明らかになった場合には、当該家族共同財産持分権者は、他の家族共同財産持分権者から代替の財産を受け取ることができる(第 13章 29条) 。

分割財産に対しての異議は、家族共同財産分割が行われた時から 3 か月以内に訴えによるものとする。その後の異議は認められない。なお、原告が期日に出頭しない場 合でも、ただちに棄却されるのではなく、相当の理由があるかどうかに基づいて判断 が可能である(第 13章 32条)

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第5項 寡婦(寡夫)の法的地位(相続)

  妻は、夫の死亡に際して、夫の葬儀の後に残った、夫ならびに同居または別居の夫の父の収入ならびに債務を含むすべての財産に対して、妻たち(複数の場合がある)と子と平等の持分を有する(第 13 章 14条) 。 

寡婦は、家族共同財産に対する自己の持分を取得して、別居することができる。子 がいない寡婦が再婚する場合、当該持分を処分することができる。子がいる寡婦が再 婚する場合、寡婦は(母は)、当該財産を用いて、子が成人になるまで、子を監護し、 教育し、指導しなくてはならない。当該財産は、この目的のために処分することができる。

  寡婦が(この場合は女性のみ)再婚して子がいない場合、寡婦の持分は、前夫の子どもに帰属し、前夫の子がいない場合には、寡婦の死後、前夫の相続人に帰属する(第 13 章 12条)。

現行法は、既婚女性の保護のために、終的には男系に財産が帰着するという限界はあるものの家族共同財産に対する持分を息子の寡婦に認めて寡婦の経済的保護を図っている。 

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第5項 親子法の特色

  親子に関する条項は、家族に関する各章に散らばって規定されている。嫡出子や非嫡出子の明確な区別は見られず、家族集団の中で同居するか否かによって保護の対応が変わっている。また、子にも家族共同財産に対して持分を認めるなど、家族関係、とりわけ親子関係における家族という集団の観点からの保護規定が特色といえよう。

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第7節 相続に関する規律

 第1項 相続の手続

(1)相続人の範囲  第一に、相続人(heir)の範囲は 7親等(seven generations)内にある家族共同財 産持分権者のもっとも近親の者をいう(第 16 章 1条) 。

 第二に、祖先からの承継財産(ancestral property)については、夫、妻、息子、 未婚の娘、男孫(息子の息子)、男孫の未婚の娘が相続(inherit)する。息子がいない場合には、死亡した息子の寡婦が息子同様に承継権を有する。上記の何人もいない場合には、次順位は、婚出した娘、その息子もしくはその未婚の娘である。

これらの者がいない場合には、法定の相続人が財産を承継する(第 16章 2条) 。

第三に、夫、妻、息子、未婚の娘、男孫、男孫の未婚の娘が、別居して被相続人の世話をしていなかった場合、被相続人の世話をした既婚の娘、義理の息子、義理の息子の息子もしくは娘は、相続が認められる。他方、かかる者以外の相続人には相続権はない(第 16 章 3条) 。

すみれ

「実際にも、お世話をしたことがちゃんと認められているのかな。」

  第三に、家族共同財産を、自己の分、妻たち(複数の妻がいることが前提となっている)、息子、未婚の娘、死亡した息子の寡婦にそれぞれの持分を与え、自分の持分とかれらの持分と一緒に管理している場合、妻、息子、未婚の娘、死亡した息子の寡 婦と同居していた者が死亡した時には、同居していた者のみが、相続権を有する。証書があればそれによる(第 16章 6 条)。

  第四に、夫、妻、息子、未婚の娘、男孫、未婚の孫娘が被相続人の世話をしなかった場合、同一の父を被相続人とする同朋が、被相続人の面倒をみた場合には、相続は 面倒をみた者にのみ生じ、他の相続人は相続することはできない(第 16章 7条)。

 第五に、息子や未婚の娘が家族共同財産分割持分を分割した後に、息子、未婚の娘もしくは息子の妻(daughter-in-law)と同居したにもかかわらず、かかる者が世話をしなかったために、自己の全家族共同財産ならびに他の財産を持参して、他の息子、 未婚の娘もしくは息子の妻(daughter-in-law)と同居した後に死亡した場合、同居して世話をした者のみ相続権を有する。ただし、同居が数日(some days)の場合にはこの限りではない(第 16章 9条) 。

  第六に、息子と未婚の娘のみの場合、妻と別居している、あるいは息子もしくは未 婚の娘と同居している者が死亡すると、妻は夫の財産に対して家族共同財産分割持分を有する。他方、妻が死亡した場合、夫は妻の持分を有することになる。妻が別居して家族共同財産分割持分を分割してもらったのちに死亡した場合、息子もしくは未婚の娘、彼らがいないときには夫が、相続する。どちらもいない場合には、義理の息子か未婚の娘(妻の連れ子のこと)が相続する(第 16章 10 条) 。

  第六に、被相続人が近親によって世話をされないで死亡した場合、死亡時に世話をしていた者が死亡した者の動産・不動産すべてへの権利を有する(第 16章 11 条) 。

すみれ

「第六が二つある。」

  第七に、兄弟と未婚の姉妹の相続については、自己の家族共同財産分割持分を取得した後で別居している兄弟と未婚の姉妹は、同居している兄弟と未婚の姉妹が死亡した時には、別居している者は相続することはできない。異母兄弟姉妹であっても、同居している場合には、相続権を有する。なお、自己の家族共同財産分割持分を分割して独立して生計をたてている全血の兄弟もしくは未婚の姉妹は、同居者の相続だけでなく別居している全血の兄弟もしくは未婚の姉妹について相続することができる。母を異にする兄弟もしくは未婚の姉妹は相続権がない(第 16 章 12条) 。

  このように相続に対して権利を有する者は、同居の者、相互に扶養したと思われる者、保護の必要な者というように、家族の共同財産を核として生活している者、とりわけ男系の者に財産が移転してゆく仕組みとなっている。

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 (2)相続放棄や相続人をめぐる問題 

第一に、相続放棄が可能であるが、被相続人の葬祭は相続に関係なく相続人の義務とされている(第 16章 15条)。

ポリー

「葬祭は関係ないですよね。」

  第二に、相続放棄(相続できなかった者)をした者の債権者は、葬儀などが行われた後の残余財産について権利を有する。債権者がいない場合には、すべての財産、債権者がいる場合には清算を終えたのちに残った財産は国庫に帰属する(第16章16条)。

  第三に、住民が死亡した地域に相続人がいない時には、死亡した地域の徴税官などがその旨を公示した上で、財産目録を作成し、相続人に通知を行い、一定の期間(3 か月)内に相続人が出頭した場合には、財産から 10%(の価格)を差し引いてを財産を引き渡す。相続人が出頭しない場合もしくは不明の場合には、国庫への帰属手続きがとられることになる(第 16章 17 条) 。

  第四に、相続欠格については、怒りもしくは怨恨で他者を謀殺した者もしくはその子は、死者もしくはその子の相続をすることができない(第 16章 19 条)。  第五に、相続をめぐる訴えの時効は、相続が生じた時より 3 年である(第 16章 20 条) 。

第2項 相続に関する条項の特色 

相続に関する条項は、被相続人と財産を承継できる者の関係、被相続人をめぐる扶 養の状況、家族共同財産とその他の財産の関係など、ネパールの特殊な家族(親族) 関係と財産帰属関係が反映されたものである。また、男子の財産は、先祖から承継されてきたものについては、帰属過程でどのような変転をしても結果的には男系の支配におかれる構造をもっている。 

他方、相続時には、死亡した息子の寡婦(「嫁」)にも一定の権利を認めるなど、同居している事実や被相続人の世話をした事実などと財産承継を連動させ家族構成員の保護が図られている。 

2003年の改定で男女の不平等など大幅に改正されたところもあるが、婚出した娘には条件付きでのみ相続権を認めるなど、子どもの間での財産承継には依然として差別がみられる。さらに家族財産分割手続きなどにおいては、手続きの実効性を高めるためと思われるが、手続違背者に対する刑事罰がおかれており、人の死亡における財産移転が単なる私事ではないととらえられているところも特色と言えるだろう。

番人

「刑事罰か。」

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第8節 2010 年民法典草案 第1項 基本原則の特色

  第1 章で触れたように、ネパール社会の変容によって現行法である Muluki Ain で は条項の整理や改正もしくは追加が必要となり、2010 年民法典草案が作成されるよ うになった。第 3部が家族に関する条項であり全 203 条である。ただ、家族関係をめ ぐる紛争に直接かかわる条項は財産法の中にも散らばっており、まとまりを若干欠くものとなっている。 

家族法の基本原則は、憲法草案の基本原則でもある個人および男女の平等である。 しかし、他方では、家族財産や扶養をめぐって家族集団を重視する団体主義的な原則も見られ、ネパール社会の「現実」を反映したものとなっている。

理論的には相反する条項が見られる妥協的な側面は否定できない。また、家族関係をめぐる紛争とその 処理原則には地域的な多様性が顕著にみられるために、判断基準などを地域の慣行に 委ねることを認める条項もあり、国家法としての統一性が完全ではない。ただ、ネパ ール社会は人種の多様性(少数民族の多さ)や南北または高地低地による社会構造の違いなどが顕著であり、地域の実態を重視することも不可避であろう。

すみれ

「不可避っていうか重視した方がいいんじゃないか。」

現行法と 2010 年民法典草案の関係は以下の表のようになっている。 

2010 年民法典草案 現行法 第 3部「家族法」 (第1章) 「婚姻」 (67~84 条) 

(第2章) 「婚姻の効果」 (85~92条) 

(第3章) 「離婚」 (93~104 条) (第4章) 「親子関係」 (105~123条) (第5章) 「親権」 (124~134 条) (第6章) 「後見」 (135~152 条) 

(第7章) 「保佐」 (153~166 条) (第8章) 「養子」 (167~185 条) (第9章) 「国際養子」 (186~207条) (第10章) 「家族共有財産分割」 (208~239条)  (第11章) 「遺言」 (240~255 条) (第12章) 「相続」 (256~269 条)  

← 「1853年国法」 (第4部:第17章) ・ 「1853 年国法」(第 4部:第15 章) ← 「1853年国法」(第 3部:第 13 章など に関連条文) ← 「1853年国法」(第 3部:第12 章) ← 「1853年国法」(第 4部:第12 章) ← 「1991年子ども法」 ← 新設( 「1853 年国法」(第 1 部:第 1章 などに関連条文) ← 新設 ← 「1853年国法」(第 3部:第15 章) ← 新設 ← 「1853年国法」 (第3部:第13章) ・ 「1853 年国法」(第 3部:第14 章) ← 新設 ← 「1853年国法」(第 3部:第 13 章・第 16 章)

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第7項 後見(135~152 条)

 (1)後見制度の概要

  行為能力を十分持たないために保護が必要な者に対して後見制度がおかれている。 未成年の子の場合には保佐制度として独立した規定があるので、後見制度では、多くの場合、成人の保護が考えられていると思われる。未成年の子に関する記述もあるが、未成年の子の保護という視点から見ると、保佐制度と明確な差異があるとは思えない。 

後見人の順位(第 6章 136 条 1項) 1. 同居する夫または妻

2. 父または母

3. 息子、死亡した息子の寡婦、未婚の娘

4. 別居している夫または妻

5. 別居している息子、死亡した息子の寡婦、未婚の娘

6. 父方の祖父または祖母

7. 孫息子もしくは未婚の孫息子

8. 母方の祖父または祖母、叔父または叔母

9. 兄弟、未墾の姉妹

10. 既婚の孫娘

11. 既婚の姉妹

*なお、同順位者がいる場合には、当事者の合意もしくは裁判所が決定する。

*14歳になっている者で判断能力のある者は、当人の判断による。 ただし、書面を作成しなくてはならない。

(2)後見人選任手続き 

第一に、被後見人が行為能力を欠くときには、上記の者が後見人となるが、それ以外の者が後見人となるときには、裁判所の承認を必要とする(第 5章 137条) 。また、子どもが施設などに収容されている場合は、機関が後見人となる(第 6章 138条) 。

 また、父母が死亡した場合、父が死亡した後に母が再婚した場合、もしくは、父母の双方に精神的異常がある場合には、同居する後見人が親権を行使して子の監護にあたるものとされる(第 5章 131条)。このように、保護の必要性が発生した場合には、当然に後見人としての職に就くという仕組みとなっている。

 第二に、関係する当局もしくは関係人は、上記の者以外の後見人の選任を裁判所に 申請することができる。裁判所は諸般の事情を検討して後見人を選任するが、その者の同意を得るものとする(第 6章 139 条 1項・3項) 。

 第三に、後見人には、①行為能力に問題のある者、②被後見人の権利や利益に反する行為をした者、③3年以上の懲役に処せられた者、④裁判所が後見人として不適格とした者、などは就くことができない(第 6章 141条)。

  第四に、裁判所は後見人を選任する場合、必要と判断すると後見監督人を選任することができる。後見監督人は、後見事務を監督し、後見の終了とともに後見監督も終了する(第 6 章 140条) 。

(3)後見の業務

  後見業務の内容は、被後見人の監護や療養などであり、その費用は被後見人の財産もしくは後見人自身の財産を持って充てるとされている(第 6章 142 条 1項)。被後見人の動産を通常充てるが、それがない場合には、裁判所の許可を得て被後見人の不 動産を処分して後見費用に充てることができる(第 6章 142 条 2項)。後見人は、被後見人の財産管理を行うが、当該財産を使って投資などで利益をあげることができる (第 6章 143 条)。

  後見人は、被後見人のために訴訟を起こすことができる(第 6章 145 条)ほか、後見業務のために必要な行為をすることができる(第 6章 146 条)。ただし、後見業務に条件が付けられている場合には、その範囲で後見業務を行わなくてはならない(第 6 章 147条) 。 

後見人は、後見業務に関して財産管理の帳簿を作成管理しなければならない。被後見人が成人に達した場合もしくは行為能力を回復した場合には、その時より 1年以内 に、死亡した場合には 6 か月以内に、後見人は帳簿などを提出しなければならない(第 6 章 144条) 。

 なお、夫、妻、親、息子、娘、祖父母、孫息子、孫娘が後見人の場合には、不動産 の処分や帳簿などの提出をしなくてよいとされている(第 6章 142条、144 条)。後 見人になる場合も同じことが言えるが、こうした免除条項は、親族がきちんと世話や 財産管理をするという前提に立っていると言えよう。

(4)後見の終了 

第一に、後見は、

①後見人が辞任の申立てをして裁判所が認めた場合、

②後見人もしくは被後見人が死亡した場合、

③被後見人が行為能力を回復した場合、

④被後見人の申し出により裁判所が後見人を交代させた場合、には終了する(第 6章 148条 1 項)。

ただし、後見人は、次の後見人が選任されるまで被後見人の面倒をみなくてはならない(第 6章 148条 2項)。後見人が死亡した場合、後見人の地位は相続されない(第 6章 149 条) 。  第二に、後見業務が終了した場合、後見人は後見業務のために自己の負担による出 費を被後見人の財産で清算することができる。ただし、夫、妻、親、息子、娘、祖父 母、孫息子、孫娘が後見人の場合、清算は許されない(第 6章 150条)。ここにも「身内」は相互に支援をしあうという考え方がうかがえる。

番人

「後見人の地位は相続されないんだ。それが普通のような気もする。」

 第三に、後見人が悪意もしくは害意で被後見人の財産に損害を与えた場合には、後見人が利益を得たか否かにかかわらず、その賠償の賠償の責任がある(第6章151条) 。 

(5)後見制度の特色

 後見業務は他の国の立法と大きく変わるところはないが、被後見人の財産などに関する監視体制が十分とは言えないこと、当然に後見人になる仕組みであること、親族に信頼を置いて後見業務を行うとする点などは、性悪説に立つとも言える近代国家の法としては、被後見人保護に薄い。ただ、ネパール社会の親族構造と親族に期待され る役割がこうした条文に反映していると思われる。

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第8項 保佐(153~166 条)

 (1)保佐制度の概要 

未成年子に対する保佐人については、両親が死亡した場合、両親が行為能力を欠如した場合、両親が行方不明の場合、両親が子の保護や世話に関する取り決めをせずに外国にいる場合で後見人が選任されていない時には、保佐人が子の保護にあたる。子の保護を図るために別に保佐人を置くことができる(第 7 章 153条)。  成人に対する保佐人については、行為能力を欠く者に後見人がいない場合には、保 佐人が被保佐人の世話および財産の管理を行う(第 7章 154 条 1項) 。

(2)保佐人の選任

保佐人には、前記の状況にある子を引きとって監護している者あるいは行為能力を 欠く者を看ている者が就くことになる(第 7章 153条 1項・154条 2 項)。なお、10 歳未満の子の父が死亡した時には、母が再婚している場合でも、保佐人となる(第 7 章 155条)。子が機関で養育されている場合には、機関の長が保佐の業務を行う(第 7 章 156条)。保佐人になる者がいない場合には、地方当局の申し立てに基づき、裁判所は適任者を選任するとされる(第 7章 157 条) 。

  保佐人には、自然人の場合には、破産していない者、法人の場合には登録をしたも のが就くものとされる(第 7章 158 条) 。  保佐人が外国に行くなど保佐の業務を遂行できない場合、代理人を決めることがで きる。代理人は財産を管理することができるが、保佐人が返還を求めた場合には、当該財産を返還しなければならない(第 7章 165 条) 。

(3)保佐の業務  

保佐人は被保佐人の財産管理を行うことができ、また、身上監護を行うことができる(第 7章 159 条)。保佐業務に必要な経費は、被保佐人の財産を充てることができる(第 7章 160 条) 。

 保佐人は必要な場合には、裁判所の許可を得て不動産を処分することができる(第 7 章 161条)。

  保佐人は、被保佐人の財産を相当の注意を持って管理しなくてはならない(第 7章 162 条 1項)。保佐人が害意をもって適切な管理をしなかったことにより損害が生じた場合には、その賠償の責任が生じる(第 7 章 162条 2 項)。

また、被保佐人の不動産を保佐人に譲渡しても無効であり、所有権の移転は生じない。ただし、売買の日 から 3 年以内に相続があった場合を除くとされている37(第 7章 163条) 。

(4)保佐開始・終了の要件 

第一に、保佐は、①未成年子が 18 歳に達した場合、②行為能力を回復した場合、 ③父もしくは母あるいは両親が子の監護をする場合、④後見人が選任された場合、⑤ 行方不明の者が現れた場合、⑥保佐人の職を裁判所によって解かれた場合、⑦親が外 国から帰国した場合、⑧保佐人が適格性を失った場合、⑨保佐人が死亡した場合、などに終了する(第 7章 164 条) 。

  第二に、保佐人が被保佐人の財産を適切に管理しなかった場合には、裁判所は保佐人の職を解くことができる(第 7章 162条 3項) 。  第三に、保佐が終了した場合には、対象となる財産を保佐人は本人に返さなければならない(第 7章 164条 2項) 。

(5)保佐制度の特色 

後見人が不在の時に活用される制度が保佐であるようだが、ネパール社会では初めての制度と言われている。

すみれ

「利用はあるのかな。」

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第11項 家族共同財産分割(208~239 条) 

(1)家族共同財産制度の特色 

家族共同財産は、ヒンズーの伝統的な制度であり、息子は出生により持分を分割してもらい、娘は婚姻時に持分を与えられるというものであったと言われる。しかし、 現代社会では、祖先から承継した財産を息子も娘も取得するという考え方に変わってきており、家族共同財産持分権者は、夫、妻、父、母、息子、娘となっており、家族集団で生活する者に平等な持分が認められている(第 10章 208条・209 条 1項)。

 (2)家族共同財産持分権者と持分

  当該財産の持分を請求できるものは、上記に記載された者のほか、共同財産が分割される時に、胎児であった者にも持分権が認められる。だたし、死産の場合には、胎児の持分は他の者に平等に分割される(第 10 章 209条 2 項・3 項) 。 

また、子は親が婚姻しているか否か、婚姻が無効とされたか否か、婚姻を解消して いるか否かにかかわらず、親の財産に対して家族共同財産分割持分を有する(第 10 章 210条)。  父親が不明な場合、子は母に対する請求権のみ認められるが、婚姻が公にされてい ない場合、妻は夫へ子は父へ家族共同財産分割持分を請求することはできない(第 10 章 211条) 。

 同居する兄弟の妻もしくは子は、その夫もしくは父が有する持分のみを請求することができる。夫もしくは父が死亡した場合も同じである(第 10章 212 条 1項 2項) 。

 また、妻が複数いる場合には、夫の持分の限りで妻たちには権利が認められる(第 10 章 212条 3項)。

番人

「妻が複数、か。」

  夫が妻および子の財産と自己の家族共同財産分割持分をまとめて管理している場 合、夫が他に妻をもち、その妻との間に子が出生すると、新たな妻と子は、夫・父の 持分のみに対して家族共同財産分割持分を有する(第 10章 213条 1項)。次に、夫が 家族共同財産分割持分を取得しない前に、他の女性と婚姻した場合、新たな妻は夫が 得られる持分に対してのみ、自己の持分が認められる(第 10章 213 条 2項) 。

(3)家族共同財産と家族構成員の扶養

 家族共同財産分割持分を有する者(同居する夫、妻、父、母、息子、娘)は、自己 の社会的地位や収入に応じて相互に扶養し世話をしなくてはならない(第 10章 214 条 1項)。親は子に対して適切に子を監護養育しなくてはならないとされている(第 10 章 214条 2項)。  前述の義務を負う家族構成員が、扶養の責任を果たさない場合には、家族共同財産 分割持分を有する者は、財産の分割を求めることができる(第 10章 214条 3項)。 

これらの規定から判断すると、家族共同財産は、個人に帰属するというよりも家族生活を支える財産として集団に帰属すると解されており、その点で、財産共有と扶養ならびに同居が関連するとして重視されていると思われる。

(4)家族共同財産の分割

 第一に、家族構成員が合意した場合は、何時でも家族共同財産の分割をすることができる。夫、父、家長は、適切と判断した場合には、当該家族構成員との同居よりも 財産を分割して別居することを選択できる(第 10章 215 条) 。 

第二に、特段の事由がある場合の財産分割請求に関しては、①夫婦の一方が他方を家から追い出した場合、②夫婦の一方が他方に対して身体的精神的な傷害を与えた場合、には、夫婦の一方は家族共同財産を分割して別居を求めることができる(第 10 章 216条 1項)。夫が新たな婚姻をしたとき、妻は家族共同財産を分割して別居することができる(第 10章 216条 2項)。家族共同財産分割持分を得て別居した妻が、他の男性と再婚した場合には、その持分は前夫との間にできた子、それがいない時には、前夫もしくは直近の相続人に返還されるものとされる(第 10章 216 条 3項) 。

 第三に、寡婦は何時でも家族共同財産分割持分を請求して別居することができる (第 10章 217 条 1項)。ただし、再婚した場合には、前夫との間にできた子、それがいない時には前夫に返還し、それらもいない時には自己のものとすることができる (第 10章 217 条 2項) 。 

第四に、同居する者が家族共同財産の分割を行う場合、①同居する家族の債務を考慮に入れる、②財産の価額に争いがある場合には、まず合意で、合意がまとまらない 時には「くじ」で、分割を行うものとする(第 10章 219 条 2項・3 項)。分割をめぐ って争いがある場合には、争いが終結するまで分割は行われない(第 10章 219 条 4 項) 。  第五に、財産の分割は書面をもって行われるが(第 10章 219条 5項)、分割を行う 書面には次の事項が特定されなくてはならない。①氏名、年齢、住所、持分権者の父 及び祖父の氏名、②対象となる財産、③債務ならびに財産、④持分権者が同居してい る者の関連事項、⑤持分権者が財産についてすべて開示している旨の宣言、⑥分割が 父、母、夫、妻の死亡による場合には、その詳細、⑦該当する財産が他人に委託され た場合には、その詳細、⑧その他必要な事項、とされている(第 10 章 220条) 。  第六に、分割手続きでは、証人の立会いのもとに書面が作成され、証人が署名押印 などを行って登録がなされる(第 10 章 221条)。

  第七に、家長は自己の持分が分割されていない場合、同居する家族の財産を持分権者に提供することはできない。ただし、他の家族共同財産持分権者の合意がある場合、または、合意がないときでも自己の持分の範囲である場合はこの限りでない(第 10 章 222条) 。

 第八に、家族共同財産持分権者は、自分が他の持分権者と別居して自活し始めた年 月日および不動産や債務などの目録を開示することによって、自己の持分を請求する ことができる(第 10章 223条 1項)。この申立てに対して他の家族共同財産持分権者 は、申立て者がすでに持分を分割済であるか否か、財産目録を提供するか否かなどに 関して陳述書を提出しなくてはならない(第 10 章 223条 3 項)。分割の申立てがなされた場合には、裁判所は、提供された財産目録などをもとに、家族共同財産持分権者 などから事情を確認して、持分の分割を行うことになる(第 10章 225 条)。分割が行 われた後に、新たに家族共同財産が見つかった場合には、裁判所は当該財産を分割し なくてはならない(第 10 章 226条 3項) 。 

第九に、財産目録が提出されない場合もしくは提出が遅れる場合、裁判所は、財産 目録が提出されるまで、家族共同財産の分割を停止することができる(第 10章 228 条 1項)。財産目録が提出された場合には、裁判所は分割手続きを行わなければなら ない(第 10 章 228条 2 項) 。  第十に、対象となる財産については以下の対応がなされる。  公平な分割が行われるためには、分割の対象となる財産の隠匿行為を行った者は、 持分を喪失するとされる(第 10章 229条 2項)。また、家族共同財産の確定のために 必要な場合、裁判所は、当事者ならびに地方機関の係官を含む2名の立会いのもとに、 施錠された家屋に立ち入ることができる(第 10 章 227条)。さらに、分割された財産 に瑕疵があって利用ができない者に対しては、すべての家族共同財産持分権者が等し い割合で補償しなくてはならない(第 10章 230 条) 。

 家族共同財産持分権者が分割を求めた場合、財産目録において財産もしくは収入に ついて支払い(分割)を保留する旨が記載されているときには、分割対象となる財産 の範囲をめぐる紛争を防ぐために、裁判所は当該財産や収入を分割が終了するまで保留することができる(第 10章 233 条) 。

 また、家族共同財産持分権者が分割対象となる財産に抵当権などを設定しているこ とが明らかになった場合には、裁判所は、家族共同財産持分権者全員の合意を得て、 ①当該財産を放棄する、もしくは②同居家族の財産(property of undivided family) からの負担により抵当権の解除をするという条件をつける、という形で家族共同財産 分割を行うことができる(第 10章 232条 1項)。家族共同財産持分権者全員の同意が 得られない場合でも、家長として行動している者もしくは成人の者が上記の抵当権な どを設定していることが明らかになった場合には、裁判所は上記同様の対応をするこ とができる(第 10章 232 条 2項)。上記の場合のほか、家族共同財産持分権者が分割 対象となる財産に抵当権などを設定していることが明らかになった場合、裁判所は共 同財産(common property)40に対する当該人の持分からの負担で上記同様の対応を することができる(第 10 章 22条 3 項) 。

 分割の対象となった財産が囲繞地の場合には、家族共同財産持分権者は、囲繞地利 用のための通路を提供するものとされる(第 10 章 234条)。

第十一に、ひとたび分割が終了すると、家族共同財産持分権者の合意がない限り、 その財産が気に入らないなどの理由で分割された財産を交換することはできない(第 10 章 231条)。

  第十二に、同居する家族が有する債務は、債権者の同意がない限り家族共同財産持 分者の一人に移転することはできない(第 10 章 235条 1 項)。上記の条件に反して、 一人に移転した場合には、家族共同財産持分者全員が等しい割合で債務の弁済の責任 を負うとされている(第 10章 235 条 2項) 。

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

 (5)表見家族共同財産持分権者

  家族共同財産分割請求権を有しない者が、持分請求の陳述書を提出した時には、裁 判所は、請求額が特定されている場合にはその額を、特定されていない場合には相当 額を、損害賠償として支払うよう命じることができる(第 10章 236 条) 。

 (6)家族共同財産分割持分の放棄

 家族共同財産分割持分は、他の家族構成員の合意がある場合には、その一部もしく は全部を放棄することができ、また、持分に相当する現金に代えることができる(第 10 章 218条)。

(7)家族共同財産分割制度の特色

  家族共同財産制度はネパールの独特のものであるといえる。家族(男系家族)集団 に帰属する財産として位置付けられ、その利用や処分には制約が付けられている。一方で個人の財産としての性質を有し、他方では家族構成員のための生活保障としての 性質をもっている。現実の生活では、こうした財産の集団的帰属が必要なのであろうが、近代法的な視点からは問題がいくつもあるので、遺言規定との関係で、本民法典が制定施行されたときには効力を失うとされている。

すみれ

「問題があるのか。近代法的な視点から。」

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 第12項 遺言(240~255 条)

(1)遺言制度の概要 

遺言制度はネパールでは初めて法制度化されたものである。従来家族共同財産分割制度が家族構成員間の財産移転を規律してきたが、ネパール社会の変容に対応できない状況もあった。そこで、個人が自己の財産を処分するための制度として遺言制度が 設けられることになった。

そして、民法典が施行されると、夫婦、親子、その他の親 族にかかわる家族共同財産分割持分をめぐる諸条項は効力を失うとされている(第 11 章 254条 1項・2 項)。ただ、離婚の場合には、夫婦の合意もしくは夫に有責原因が ある場合には、妻の申立てに基づいて、裁判所は夫の収入や資産ならびに子の数を考慮して、適切と思われる支払いを夫に命じることができる(第 11 章 254条 3項)など、家族共同財産をめぐる条項が効力に変化があっても、一定の保護は残されている。

なお、妻の資産収入が夫のそれよりも大きい場合にはこの限りではない(第 11 章 254 条 4項)。

 (2)遺言作成能力

  18歳になった者で意思能力のある者は自己の財産に関して、条件をつけるか否か を問わず、遺言することができる。ただし、共同遺言は認められない(第 11 章 240 条)

(3)遺言作成の過程

 第一に、通常の遺言の場合、遺言者は遺言書を 2 通作成して遺言作成担当の係官の 面前で、行為能力ある証人 2 名の立会いのもと、係官が遺言書を読み上げ、遺言者が その内容を了解して同意すると、作成場所および作成日時を明記して、遺言書に署名 封印する。遺言書 1通は当局に保管し、他の 1 通は遺言者が保管する(第 11 章 241 条 1項~5項)。

遺言作成時に立ち会う係官は、土地税事務所、在外国公館、公証人である。なお、不動産の移転について公証人は除く(第 11 章 242 条)。  第二に、証人としての欠格事由は、①18歳に達しない者、②正常な判断のできな い者、③当該の遺言書を確証する係官、④公証人による遺言の場合には、公証人、公 証人の同居する配偶者、公証人もしくは公証役場の職員の 3親等以内の親族、⑤遺言 により財産を取得する受遺者もしくはその卑属である(第 11 章 247 条) 。

  第三に、遺言者は、遺言により自己の財産のうち 4分の 1を分離して、①財産もし くは収入のない配偶者、②財産もしくは収入のない障害をもつ子、③21歳に満たな い子(21歳まで)、に与えなくてはならない(第 11 章 252 条)。

遺留分に近い規定である。

番人

「遺留分よりも事情に合ってるね。」

(4)「封印遺言(sealed testamentary will)」

  本遺言の場合、遺言者が遺言を作成して当局に持参し、係官は遺言書を確認して封印した上で、遺言書に「封印遺言」と記載して遺言者および係官が署名するものであり、証人は不要である(第 11 章 243 条 1項~3 項) 。  封印遺言では、相続開始時まで受遺者の名前は公にされない。かかる情報が公にさ れた場合には、担当する係官はその責任を負うことになる(第 11 章 243条 5項・6 項) 。 

遺言者が死亡した時、相続第一順位者は、担当係官 1名以上の立会いのもとで、遺 言を開封する(第 11 章 243条 8項)。遺言で特定された受遺者は、土地税事務所に対 して、財産の名義変更(title)を求めるために遺言を提出し、土地税事務所は保管す る遺言との照合を行い、称号が終わると、財産の名義が変更される(第 11 章 243 条 9 項~11項) 。

(5)「自筆証書遺言」

  遺言者が遺言内容を詳細に記載した遺言書に署名すると遺言書は有効に成立する が、不動産の権利移転についてはこの限りではない(第 11 章 244 条)。

 (6)「視覚障害者による遺言」  視覚障碍者が遺言を作成する場合には、担当係官が遺言内容を口授し、証人 1 名が 同じく口授し、その上で、遺言者が遺言内容を理解して署名する(第 11 章 245 条) 。

(7)「聴覚障碍者による遺言」  聴覚障碍者が遺言書を作成する場合、遺言書の内容を口授するとともに記載したも のを遺言者に見せて内容を理解得る(第 11 章 246条 1項)。聴覚障碍者が、内容を理解しない場合、非識字者の場合には、①シンボルを使って内容を説明する、②同居する配偶者もしくは子に内容を説明する、③遺言者が 2名を選任する、などの方法がとられることになる(第 11 章 246条 2項) 。

 (8)遺言と効力 

遺言者は、条件を付けて遺言により財産を処分できるが、条件が成就するまで遺言は効力を生じない(第 11 章 248 条)。遺言者が死亡すると遺言が発効し、財産の名義は受遺者に移転することになる(第 11 章 253 条 1項) 。

(9)遺言の取消

 第一に、遺言は、①受遺者が遺言者より先に死亡した時、②受遺者が遺産を取得す る目的で遺言者を殺害した時、には事実上取り消されたもの(revoke)とする(第 11 章 249条)。また、受遺者が財産の承継を拒否した場合には、遺言は事実上取り消さ れ、相続法の原則に基づいて相続人に財産は分割される(第 11 章 251 条 1項) 。  第二に、遺言者は、すでに作成した遺言を新たな遺言を作成することによって、い つでも取り消すことができる(第 11 章 250条 2項) 。 

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第13項 相続(256~269 条)

 (1)相続人と順位 

相続人は以下の表の順位で相続する(第 12章 258条 1項)。被相続人が、家族財産 (family property とされるが家族共同財産分割持分と思われる)を分割した場合、被相続人と同居する親族が相続人となる(第 12 章 259条)。また、被相続人の面倒を生前に見た親族は、相続順位が遠い場合でも相続する(第 12章 260 条)。同順位の相続人が相続放棄をした場合には、同順の相続人が放棄した財産を承継し、同順位の者がいない時には、次順位の者が相続する(第 12 章 258条 4項) 。

すみれ

「面倒をみたことを証明したりする必要があるのかな。」

 被相続人が家族共同財産分割持分を分割した後に同居をしていた相続人が、被相続人の面倒をみなかった場合には、別居している相続人に相続が開始する(第 12章 261 条)。

相続人以外の者が被相続人の面倒を見ている場合、この者が被相続人を相続す ることになる(第 12章 262条)。基本的には、同居と扶養が相続の重要な要素となっている。  被相続人を殺害した者もしくは殺害した者の卑属は相続欠格とする(第 12章 264 条) 。 

相続人の順位(第 12章 258条 1項)

1. 夫もしくは妻(同居していること)

2. 息子、娘、同居している死亡した息子の寡婦

3. 父、母、継母、同居する息子の子(孫息子もしくは孫娘)

4. 別居している夫、妻、息子、娘、父、母、継母、婚出した娘

5. 祖父母、同居する兄弟姉妹

6. 同居している叔父、叔母、甥、姪

7. 別居している息子方の子(孫息子もしくは孫娘)

8. 同居している兄もしくは弟の妻

9. 別居している兄弟姉妹

10. 別居している祖父母、孫の妻

11. 男系かつ 7親等内の親族 *条文と説明書の記述が異なるが、説明書案の記述に従った。 

(2)相続分

  同順位者の相続分は平等である(第 12章 258 条 3項) 。

(3)相続の放棄

 相続人は、相続放棄をする場合には、相続開始後 3年以内に書面をもって裁判所にその旨を申し立てなければならない(第 12章 263条 2項)。また、相続開始後 3 年以内に相続を承認しないと放棄したものと扱われる(第 12 章 263条 3項)。

なお、相続を放棄しても被相続人の葬儀などは執り行わなくてはならない(第 12章 263 条 4 項)。

相続放棄があった場合、相続財産は、葬儀費用ならびに相続債務の弁済に充てられ た後、残余があれば所定の手続きを経て地方機関(local body)に帰属し、公的目的のために使用されることになる(第 12章 267 条 1項~9 項)。ネパール国内で死亡したネパール国籍を持たない者に相続人がいない場合、同様の手続きにより地方機関に 財産が帰属し利用される(第 12章 268条)。

(4)相続人の権利義務 

相続人は、①被相続人の葬儀などを行う義務、②被相続人の債権者に債務を弁済する義務、③被相続人の債務者に対する債権、を有する(第 12章 265 条 1項)。相続人以外の者が、被相続人の葬儀などを行った場合、相続人は葬儀などの実費に 25%を加 えた額を、葬儀を行った者に支払わなくてはならない(第 12章 265 条 2項)。 相続人は相続債務を被相続人の財産の範囲で弁済する義務を有する(第 12章 266 条) 。

(5)相続制度の特色 

ネパールでは家族財産が家族構成員の共同財産として扱われるために、相続開始以前に共同財産分割持分の分割などが行われている。そのため、相続時に被相続人の財産を一挙に分配するという仕組みにはなっていない。この点で、相続手続きに詳細な規定を必要としないのかも知れない。 

すみれ

「家族が出来た段階で、既に遺産分割みたいな状態になっているんだ。」

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第3章 ネパールにおける財産法の現状と展望

第1節 財産法の現状分析

第1項 ムルキ・アインにおける財産法 

ネパールの現行法のベースにあるムルキ・アインは,独特な体系をもっている。そ れは,第Ⅰ部(基礎的事項について)に続き,第Ⅱ部では,裁判手続(第 1章)と刑 罰(第 2章)から始まっている。

これは,ムルキ・アインが基本的に訴権体系をとっており,実体法と手続法が明確に分離されていないことを示唆している。そこでは, 訴訟手続,文書,証言,その他の方法による証明方法に関するルールがまずは定められている。また,民事と刑事が両方の規定が入っている点にも特色がある。 

このような特色をもつムルキ・アインのうちで,財産法に関する規定としては,第 Ⅳ部の刑事法に関する規定を除けば,以下のものが挙げられる。

すなわち,―― 第Ⅱ部・第2 章(保証について),第 3章(土地の埋蔵物の発見について),第 6章(遺 失物拾得について),第 7章(信託について),第 8 章(土地の耕作について),第 9 章(土地の明渡しについて),第 10 章(土地の侵害について),第 11 章(建物の建築 について),第 17章(一般取引について),第 18章(寄託について),第 19章(贈 与について),第 21 章(証書の登記について)である。

これらは,内容的には,(ア)土地の譲渡に関する法規,(イ)信託に関する法規, (ウ)不動産・動産の原始取得に関する法規,(エ)土地の利用に関する法規,(オ)土地の侵害に対する救済に関する法規,(カ)担保に関する法規などに分類することができる。

  このうち,本節では,ネパール財産法の現状として,ネパールにおける財産権の保護と取引に関する法制度について概観し,ネパール財産法の現状を探る手がかりとしたい。

まず初に,土地を中心とする不動産取引について概観する。ついで,公用収用に対する損失補償について概観する。後に,その他財産法に関連する現行法の特色を概観する。 

第2項 不動産取引

  不動産取引に関しては,ムルキ・アイン第Ⅲ部・第 21 章(証書の登記について) 等のほか,1964 年土地法(the Land Act, 1964),土地税法(the Land Revenue Act, 1977)等が存在する。 

1964年土地法以前は,ネパールにおける土地の所有権は伝統に従い,国家(国王) および国王の家臣ならびに以前の支配者に帰属し,政府の役人および私人は国家(国 王)の権力が付着した供与物としての土地利用権を付与されていたにすぎない。1964 年土地法により,所有上限の範囲内ではあるが,私人たる土地保有者および農夫に土地所有権が付与された。

 ムルキ・アイン第Ⅲ部・第 21章は,証書の登記手続を具体的に定める手続規定の中に,実体法規を組み込んでいる。

  売買に基づく所有権移転の証書,各種形態の抵当権設定の証書等は登記されなけれ ばならない(第 21 章・1条) 。  証書の登記を申請するには,自然人の場合は,証書に本人の名前のほか,父母,祖 父母の名前も記載しなければならない(第 21 章・31 条)。  不動産の登記においては,境界が明示されなければならない(第 21 章・15条) 。

すみれ

「登記は義務なんだ。家族関係も書かないといけないんだね。それも登記されるのかな。」

 土地の売買による所有権移転の証書は,所有権の証拠および管轄登記所への土地税の支払いの受領証が提出されなければ,登記されないものとされている(第 21 章・ 17 条)。また,証書を登記するためには,少なくとも 2人の証人が譲渡人ならびに譲受人の同一性およびこれらの者の住所を証明し,署名または拇印の押捺をしなければならない(第 21章・21 条) 。 

証書の登記はいずれの登記所でも行うことができる。登記の申請を受けた登記所は, 土地・建物については,その所在場所を管轄する登記所にその謄本を送付し,管轄登記所が当該証書に連番を付して登記簿に登記する(第 21 章・29 条)。 

内容が競合する証書が 2通以上作成されたときは,初に登記されたものが有効とみなされる(第 21 章・39条) 。  登記された証書の閲覧およびその謄本の付与は,誰にでも認められる(第 21 章・ 26 条)。費用は,謄本が 1枚 2ルピー,閲覧が 1ルピーである(第 21 章・39条) 。 

不動産取引の実務でも,売買等の契約書のほかに,土地の譲渡証書が作成され,それが登記される仕組みになっている。土地の譲渡証書は,大判のネパール和紙に,簡単な土地の形状とともに,土地の表示,地積・地目,近隣の権利者(先買権者),家族の共同財産の場合にはその家族員の表示,譲渡人と譲受人の署名・指紋の押捺等がされている。

番人

「指紋は印鑑の代わりかな。」

  この譲渡証書は,必要な審査が終わると,土地税事務所の公印が押されたうえで,地番ごとに簿冊に編綴され(これがネパールにおける土地譲渡の登記にほかならない),土地税事務所に保管されている。これが土地登記簿の本体である。なお,建物 については別個の登記簿は設けられてはいない。

また,土地税事務所には,土地登記簿とは別に,所有者名ごとの写真付き帳簿も備え付けられている。この帳簿には,当該所有者が所有する物件,それについての取引記録が記載されている。まさに人的編成の帳簿である。

ポリー

「人で分けてまとめる国って結構多いんですね。」

そこに挙げられた物件情報は, 土地登記簿と連動している。  さらに,土地税事務所とは別に,土地の測量事務所があり,地図を管理している。 そこでは,管轄区域内の土地関する構図が作成されており,各筆の土地にはすべて番号が付されている。これは,土地登記簿の情報とリンクしており,これによって土地の同一性は容易に確かめることができる。 

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

1.  土地の収用に対する損失補償

(1)1977年土地取得法の特色 

ある国で財産(権)がどの程度尊重され,保護されているのかを測定する指標と して,土地の公用収用の制度とその運用は有力な手がかりになる。なぜなら,国家 (政府)が強制権力を背景に,公益の実現を理由にして国民の財産権を強制的に収用または使用しようとする場合に,公共事業による公益の実現と,制限されようとしている国民の財産権の調整を図るために,どれだけ慎重な手続を履み,かつどれだけ損失補償をしているかということが,その国家(政府)が国民の財産権をどれ だけ尊重しているかを如実に示しているからである。

  ネパールにおける現在の用地取得は,1961 年土地取得法に代わる 1977 年土地取得法に基づいて行われている。かつて政府は国民の土地を自由に取得することができたが,その後,財産権保障の要請が高まるに従い,法定手続の遵守および損失補償の支払いが求められるようになってきた。

同法は,公益目的を実現するために 土地を強制的に取得する制度の中核であるが,「公益目的」とは,一般公衆の利益・ 便益・利用のほか,ネパール政府によって引き受けられた機能(例えば,政府が同 意したプロジェクト,様々なレベルの地方公共団体によって引き受けられたプロジ ェクト)を含むものとして,比較的緩やかに捉えられている(2 条 b 項)。

他方,ネパールでは「土地」には土地に継続的に設置された建物,樹木,壁等も含むと観念されていること(2条 a項)に留意する必要がある。   土地収用権限の主体は,あくまでもネパール政府(3条)であり,政府自身の必 要性によるほか,事業主体(地方政府の開発委員会,会社,国有企業)の要請(例 えば,労働者の宿舎,製造物や原材料を貯蔵する倉庫の建設,国有企業のプロジェ クトなど)に応える形で,ネパール政府が土地収用権限を発動することも可能とさ れている(4 条)。

その際,事業主体の要請に基づく土地取得手続は,

①土地取得 に必要な費用の政府への支払い,

②建設期間,利用形態などを記した証書の作成(4 条 2項)に基いて行われる。

 政府は,本法の実施を目的とする規則制定権をもつとされているが(42条),規則は未制定で,代わりに各地方のプロジェクトごとの移転政策(Resettlement Policy)が策定されている。

 (2)土地の任意取得

  政府は土地所有者との任意の交渉により,「いかなる土地も,いかなる目的のためにも,取得することができる」ものとされ(27 条),この場合は土地取得法に規定された手続に従う必要はないものとされている。

その結果,とくに政府・国有企業以外の事業主体(会社等)が政府に要請しては,一般的に任意交渉を行うとされる。任意交渉で合意に至らなかったときは,関連する政府機関に強制取得の手続を要請することになる。

例えば,ネパール石油会社が販売店の建設用地を取得するた めに地権者と任意交渉したが,合意に至らなかったときは,商業省に申請し,商業省が当該地方における郡行政事務所に土地取得(収用)手続の開始を要請することになる。これに対し,政府や国有企業が土地を必要とするときは,比較的早期に強制取得の手続がとられるようである。

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(3)土地の強制取得

 (ⅰ)土地取得のための第一次手続は,

①政府による土地取得の決定後,原則とし て官報告示クラス 3以上の公務員(責任官)が任命され,この者が取得すべき土地 およびその場所を確認・調査することにより,強制取得の手続が開始される(5条) 。 責任官は,

②告示のコピーを公示し(6 条 1 項),

③同公示から 3 日経過以後に立 入りによる土地調査・図面作成・土質調査,用地幅杭の打設(6 条 2 項)を行うことができる。これらの調査・準備作業のために,用地上の作物・樹木・壁・その他 の障害物の除却が必要なときは,「可能な限り関係者の立会いの下で」 (6条 3項) 行うものとされている。

④作物・樹木・壁等の除却,土石・溝の除却,土地の穿孔 等によって生じる損失に対しては,補償が行われる(7 条 1 項,2 項)。補償額は 第一次手続の責任官が決定する。

補償額に不満の場合,地権者は地方長官(the Chief District Officer)に不服申立てができるが,その判断が終決定とされている(7 条 3 項)。⑤責任官は第一次手続の開始から 15 日以内に調査結果を提出し,土地が取得に適しているかを判断して,前記④の損失補償額・明細等を含む必要事項を 記載した報告書を地方事務所に提出する(8条) 。

(ⅱ)強制取得のための第二段階は,土地取得の告示である。すなわち,(ア)当 該土地を取得すべき旨の第一次手続の報告書に基づき,地方長官が告示を発出する (9条 1項,10条) 。

告示の記載事項は,

①土地取得の目的,

②土地のみの取得か, 土地上の建物,壁・作物等の定着物の取得も含むか(後者の場合,地権者は定着物 も取得するよう申請できる。29 条),

③土地が所在する市町村名と区番号,

④土地の区画番号(調査・測量済の土地の場合),または土地の同一性・境界を明らかに する個別事項(調査・測量済でない土地の場合),

⑤土地の範囲,

⑥その他必要な 個別事項,

⑦地権者が補償金を請求するために提出すべき申請書(土地の権原を証明する文書を含む)の提出(低 15 日以上の期限を付加しなければならない)に 関する個別事項(10条 a 項),

⑧被取得者が土地上の建物の除却,樹木・作物等の 定着物の収去を許容された場合における作業期限(10 条 b 項。当該期限内に定着 物の収去がされなかった場合,地方長官はそれらを無補償で没収することができる。 36 条)である。

(イ)土地取得の告示は,そのコピーが公示されなければならない(9 条 2 項) 。

 告示自体が公示行為であるが,地権者への告示の周知が必ずしも確保されない状況にあることから,同告示のコピーが,

①プロジェクトが行われる地方事務所,

②郡事務所,

③市町村事務所,

④土地税事務所(土地取得告示およびそのコピーの公示 後,該当する土地税事務所は,土地登記の記録に,土地取得の告示がされている旨 を公示する(9 条 4 項)。これにより,事実上の土地取引の凍結が図られている)。

⑤用地周辺の街路,

⑥その他地方長官が適切と考える場所に公示されなければならない。

 (ウ)さらに,土地取得告示およびそのコピーの公示にもかかわらず,地権者が土地取得について知りえないと地方長官が判断した場合,地方長官が個別に告知するものとされている(9 条 3 項)。その際,損失補償額が決定されている場合は,補償金を受領すべき期間と事務所名も告知する(9 条 3 項)。

このことは,損失補償が地権者による取立債務であることを意味している。個別の住所表記すらないネパ ールの現状に鑑みて,このことはやむをえない面もあるが,財産権の保障の制度と しては,現状では欠陥といわざるをえない。

 (ⅲ)土地取得の第三段階は,土地取得に対する不服申立て,およびそれがあった 場合に審理手続である。

(ア)不服申立ては,土地取得告示の公示後 7 日(プラス 移動に必要な期間)以内に,①被収用地の所有者,および②借地人(土地所有者の 同意を得て土地上に建物を建築・所有する者)は,土地取得が行われるべきでない 理由を添えて,地方長官を通じ,内務省に不服申立てができるものとされている(11 条 1項) 。

(イ)審理は,内務省が,第一次手続の責任官と,また,必要に応じて地 方長官と協議して行う (11条2項) 。 内務省は,審理に当たり,地方調査(sarjameen), 証人召喚,陳述記録,文書調達に関して,地方裁判所に付与された権限の行使が認 められている(11 条 3項) 。

(ウ)審決は,原則として,不服申立て受理後,15 日 以内に行うものとする(11 条 4項)。 (ⅳ)土地取得の第四段階は,占有取得である。これは,①土地取得の告示および 公示に対して不服申立てがなかったときは不服申立期間経過後に,同じく不服申立 てがあったときは土地取得を認める審決後に,地方長官が用地の占有を取得し,プ ロジェクトの事務所または事業主体に引き渡すことによって行われる(12条1項) 。 その際,②土地と共に建物も取得される場合において,当該建物を所有者が占有し ているときは,補償額の 50%以上が支払われるか(補償額が決定している場合) ,

またはその者が住居を移転するために要する合理的な費用が予め支払われるのでなければ(補償額が決定していない場合),地方長官は占有を取得することができ ない(12 条 2 項)。なお,③占有取得が円滑に行われない場合,地方長官等,本法 に基づいて権限を付与された公務員は,職務遂行上必要なときは,郡長官または警 察に支援を要請することができる(38条) 。

(ⅴ)土地取得の第五段階は,土地所有権の移転である。①土地所有権は,地方長 官による土地の占有取得(12 条)の後,政府または土地取得を必要とする事業主体に帰属するものとされている(22 条)。②地方長官は,土地の占有取得後,土地登記記録を保有する土地税事務所に対し,政府または事業主体への所有権移転登記を文書で依頼する。当該土地税事務所は,土地税記録における従前の記録を削除し, 政府または事業主体の所有権を記録して,その旨を地方長官および従前の所有者に 対し,可能な限り速やかに通知するものとされている(23 条 1項)。もっとも,③ 登記記録の変更および所有権の移転は,登記記録が実際に行われた日にかかわらず, 所有権の発生日に生じたものとみなされる(23 条 2項) 。

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 (4)損失補償 

(ⅰ)補償は,金銭(現金)で支払われるものとされている(13条 1項) 。

 (ⅱ)補償額の決定は,補償額決定委員会による。その構成メンバーは,①郡長官 (議長),②土地管理事務所長または土地税事務所長,③プロジェクトの責任者ま たは郡長官に任命された者,④郡開発委員会からの代表者である(13 条 2項)。

補償額は,補償額決定委員会による決定後,郡長官によって政府に通知される(19 条)。他方,補償額の決定は,新聞での公表,市町村への通知等によって公示され る。

(ⅲ)現物(代替地)補償は,土地の全部を収用される者から要求がある場合に,政府にとって可能であれば,代替地と交換することができるものとされている(14 条)。

なお,宗教上の信託地である Guthi land の場合は,The Guthi Cooperation Act, 1976 に従って補償が行われる(15 条) 。これは,一種の公共補償と解される。 現実問題としては,大規模な住民移転を伴うときは,政府は移転先の土地を用意 することが通常である。また,少数民族に対しては,一般市民よりも有利な条件が提供されている(それに関する移転政策による)。

番人

「宗教上の信託地、か。」

 (ⅳ)補償請求権者に土地税,その他の租税等の滞納金があるときは,補償金の支払時に差し引かれるものとされる(21条) 。

 (ⅴ)補償請求権者が補償金を期限までに受領しなかったとき,または受領を拒んだときは,地方長官は 3 か月間の終期限を明記した通知を発出する。同期限内に 補償金を受領しなかった補償請求権者は,補償請求権を喪失するものとする(37 条) 。

(ⅵ)損失補償基準 

(ア)政府・地方自治体・国有企業による土地取得の場合(16 条 1 項)は,

①定着物に対する補償(政府のガイドラインによる),および

②住居,営業場所の移転 によって被った損失とされている。ここに土地価格が入っていないのは,伝統的に は,国(政府)は無償で土地を強制収用できたことが反映しているものとみられる。

もっとも,実際には,(イ)にみる場合と同様に,財産権保障の要請,憲法上の財 産権の保障の強化とともに,実務上は土地価格分も支払われている。この点が, 1977 年土地取得法の改正が検討されている背景の一つと考えられる。

(イ)他方,(ア)以外の事業主体による土地取得の場合(16条 2項)は,

①土地 取得告示(9条)の公示時点の土地価格,

②土地と共に取得される作物,建物,壁, 小屋等の価値,

③住居,営業場所の移転によって被った損失が補償すべきものとされている。

 (ウ)土地保有制限(1964 年土地法)を超える土地を政府・地方自治体・国有企業が取得する場合,補償額は 1964 年土地法の下で支払可能な額を超えないものとする(17条)。

(ⅶ)補償請求権者

 ①土地取得告示に明示された期限内に受領された申請に基づき,地方長官は補償請 求権者のリストを作成し,被補償者への情報提供のために告示する(18 条 1 項)。

 ②補償請求権者リストの内容に対して不服のある者は,補償請求権者リストの告示時から 15 日以内に内務省に不服申立てができる(18 条 2 項)。

③不服申立てが, 所有権または占有権に関する紛争を含んでいないときは,内務省は原則として 15 日以内に処理する(18条 3項)。

④不服申立てが,所有権または占有権に関する紛 争を含んでいるときは,補償は裁判所の確定判決によって権原が証明された者に支 払われる旨,および補償金を保管する事務所の名前を示した告示が提示される(18 条 3項)。この場合,確定判決によって権原を証明した者は,確定判決から 2年以 内に前記事務所に保管中の補償金を受領しなければならない。同期限内に受領されなかった補償金は,同期間満了後に統合基金に移管される(18 条 4項)。

⑤借地の場合,借地人は,補償額の 50%について補償請求権をもつ。借地人が土地所有者 の同意を得て建築した建物に対する補償金は,その全額を借地人が受領する(20 条) 。

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

(5)特別状況下における土地取得の特別権限

 河川における突然の流路変更,その他の自然災害,その他の異常事態が発生した場合において,交通・通信施設の維持,生命・財産の確保,公共財産の保護のために,政府が土地を取得する緊急の必要が生じたときは,政府は地方長官に対し,土地取得手続の開始を命じることができる(25条 1項)。この場合,地方長官は,略式の土地取得告示を発出した後,土地を占有することができ,それによって政府が 所有権を取得する(25条 2項・3項)。そして,地方長官は,土地税事務所における登記記録の変更を嘱託する(25条 8 項)。

補償額の決定,土地,土地上の作物・ 樹木・建物・壁等に対する補償は一般の場合と同様であるが,補償額に関するほかは不服申立てができないものとされている(25 条 4項~6 項)。補償額に関する不 服申立ては,補償決定委員会による決定通知の発出日から 15日以内に内務省に対して行う。この場合,内務省の判断が終決定である(25 条 7項) 。

 (6)土地取得の中止 

 政府は,土地取得手続のどの段階においても,土地取得の中止を決定することができる。この場合,地方長官は被取得者への情報のために,このことを告示する(30 条 1項) 。

  土地取得の第一次手続(6 条)が行われた後に中止決定がされたときは,第一次 手続によって生じた損失に対する補償が行われる(31条)。

 (7)取得後の土地の管理

 (ⅰ)政府は,土地取得後,その使用目的に従った使用を開始するまで,契約によ り,同土地を耕作のために他人に利用させることができる。この場合において,耕 作者は土地の耕作に関する現行ネパール法上の借地権をもたないものとする(31 条)。これは,いわゆる占用許可に該当するものと解される。

(ⅱ)政府または事業主体による土地取得後,その書面の同意を得ずに,建物,小 屋,壁等を建築し,または土地を耕作したときは,政府または事業主体はそれらを 無補償で接収することができる(32 条)。無許可建築物等の接収である。

 (8)取得された土地が不要になった場合

  (ⅰ)政府または国有企業は,土地取得後,当初の目的のために当該土地が不必要 になった場合,またはその目的のために他の土地が十分にある場合,政府は公益目 的のために,国有企業は 4 条 1 項所定の活動のために,当該土地を使用すること ができる(33 条。土地の使用目的の変更) 。

(ⅱ)政府または国有企業が土地を何らの用途にも使用しない場合,これを被取得者に返還し,補償金の返還を求めることができる(34 条 1 項。被取得者への土地 の返還)。その他の事業主体が取得した土地を 4 条 2項の証書で合意された目的の ために使用しないときも,同様である(34条 2 項)。ただし,被補償者が補償金を 返還しないかぎり,土地は返還されない(34条 3項)。この場合,地方長官は当該 土地を管轄の土地税事務所に登記名義の変更を書面で嘱託し,同事務所はその終了を地方長官に報告する(34条 5項)。

(ⅲ)被取得者が土地の返還(34 条)を拒んだとき,または所在不明のときは,何ぴとに対しても売却することができる(35条。返還に代わる土地の売却) 。

(9)罰則の適用

 (ⅰ)土地取得手続に対する妨害等をした者は,1000 ルピー以下の罰金,1 か月 以内の禁錮またはその併科に処される(39 条) 。

(ⅱ)罰則の適用に関する第一審の管轄権は,郡長官に属する(40 条 1 項) 。

(ⅲ)郡長官の判断に対する上訴は, 35 日以内に控訴裁判所に対して行われる。

(10)現行用地補償制度の問題点

 (ⅰ)第一に,土地所有者の確認・確定の困難が挙げられる。ネパールでは,個別の住所表記の制度が未整備であり,政府による住民の所在,その世帯構成等の把握状況は低い。その結果,土地取得の告示,補償額決定の通知等の送達方法の整備も困難になっている。 

他方,土地が未登記のゆえに,所有者の確定が困難な事例も少なくないとされる が,登記制度は比較的整備されている。  政府による住民把握状況の不完全さは,補償金請求権の取立債務(1977 年土地 取得法 9条 3 項)を必然化させる原因にもなっていると考えられる

ポリー

「家族で一人というような感じなんでしょうか。」

(ⅱ)第二に,土地取得および損失補償に対する救済手続(とくに司法的救済)の 未整備がある。例えば,

①土地調査等の段階で障害物除却・土地穿孔等による損失 の補償額に不満の場合,地方長官の判断が終決定である(7 条 3 項)。

②土地取得に対する不服は,用地の所有者および借地人が地方長官を通じて内務省に申し立 てうるにとどまる。内務省は,第一次手続の責任官および必要に応じて地方長官と 協議して審理し,地方裁判所に付与された調査権限の行使が認められる。

③補償請求権者リストの内容に対する不服も,所有権または借地権に関する紛争以外は,内務省に申し立てることができるのみである。

④災害,その他の緊急事態が発生した 場合の土地取得に関する略式の土地取得手続に対しては,補償額関する不服申立てのみが認められ,内務省の判断が終決定である。

  このように,土地取得および損失補償に関しては,司法手続の保障が十分ではなく,刑事手続に関してのみ,裁判所が部分的に関与するにすぎない。この点は,今後の制度改正で問題にされるものと予想される。

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

(ⅲ)損失補償基準の未整備

  ネパールの現行補償基準の具体化は,

①各地方のプロジェクトごとに政府が策定する移転政策等によっており,統一的な補償基準(とくに法律を具体化する規則以 下のルール)が未整備である。また,その点と関連して,

②任意取得に関する裁量 の広さも問題である。その結果,土地所有者が補償額に満足せず,交渉が難航する ケース(ゴネ得的問題か)が頻繁に起こっているとされる。

(ⅳ)一旦立退きに合意しておきながら,履行しない(不法占拠)等の場合  

ネパールでも,用地取得後に,法外な補償要求や,建設工事等に地権者自身やその仲間を加えよといった不当要求が行われたり,要求に応じない場合に工事等の妨害がされることもある。そのような場合,軍に支援を要請して強制的に立ち退かせたケースもある。  この問題には,前述した明確な補償基準の未整備に加え,既存の関連法令の執行(enforcement)が不十分であるという問題も関わっていると考えられる。

番人

「こんな時に軍が出てくるんだ。」

(ⅴ)公共事業・土地取得・損失補償をめぐる政府・被取得者との争いに対する政治(政党)の介入 

損失補償に関する制度の未整備は,公共事業の計画・遂行,そのための土地取得 や損失補償の問題に,政党が,政略的な利害関心から,政府と地権者との紛争に介 入し,問題をより複雑かつ深刻にする余地も許しているように思われる。

(ⅵ)住民移転について

 土地収用に際しては,住民移転を伴う場合がとくに問題になる。この点については, 後述する土地取得法(Land Acquisition Act)の改正とともに,アジア開発銀行の支援をえながら,生活再建措置(Resettlement Policy)の見直しについて,国家計画委員会が中心となって検討している。

現在,大規模な住民移転を伴うプロジェクトの場合,政府は 移転先の土地を用意することに努めている。また,とりわけ少数民族に対しては,一般 市民よりも有利な条件を提供することが行われている。

(ⅶ)公共事業の遅れの原因について

  公共事業の遅れがしばしば指摘され,マスコミ報道もされているが,その原因として は,土地収用の対象となっている土地の住民が,土地登記をしておらず,所有者である ことを証明できないために,係争となるケースがある。これに対する対応としては,正 式の書類がなくとも,他の証拠で確認することにより,損失補償の対象としている。

 その他の原因としては,国家的に重要なプロジェクトでも地元住民が利益を感じない 場合,政党間で公共事業のメリットをめぐって争いになる場合,住民が一つのプロジェ クトからあらゆるものを得ようとして,過度の期待をもち,過当な要求をする場合等が ある。 

(ⅷ)土地の登録・登記について

 住民が土地を所有しているが,登記をしていない場合,公共事業のプロジェクトのチー ムが現場に出向き,VDC など地元関係者から話を聞いて,本当に所有者か否かを確認 する等の措置をとっている。登記されている土地であれば,所有権をめぐって争いにな ることはない。

土地の所有者が出稼ぎ等で不在の場合は,補償金を地方行政に預け,本人が帰ってきた時に交付するように措置している。土地登記は,全国全ての場所で,土地管理局事務所が同一のシステムで行っている。

すみれ

「管轄とかはないのかな。」

 (11)法改正に向けた動き

  財務省をフォーカル・ポイントとし,公共事業省,土地管理省,地方開発省等からな るチームが改正案を検討中である。改正内容の焦点としては,――

 ①政府が補償金を支払う一方で,開発税(development tax)を徴収する,

 ②土地取得前の用地の転売を防ぐ措置をとる,

 ③補償金は初の 1回のみ支払うものとする,

 ④補償金決定のプロセスを明確化するといった点が重視されている。

 (12)日本の用地補償制度・実務経験・制度運用技術の提供可能性

  財産権の保障と損失補償に関しては,日本は土地収用法および関連政省令,通達等の ほか,任意買収に関しても,閣議決定,それに基づく損失補償実務者間の申合せ等に基 づく緻密な損失補償基準を策定し,必要に応じて見直しと改訂を進めてきた実績がある。

また,それに基づき,各起業者がそれぞれ個性ある多様な現場に応じた法令の運用技術 を蓄積してきた。これらの法領域でも,日本の法整備の経験を,インフラ整備が急務と なっている現在のネパールに提供する価値があるように思われる。

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第4項 財産法に関する現行法のその他の特色

(1)贈与・寄付について

  物の所有者はその物を特定の相続人または第三者に贈与し,あるいは不特定の者に 対して寄付することができる。その物が共同所有者(coparcener(s))による所有の客体であるときは,他の共同所有者の同意を得なければならない(「国法」第Ⅲ部・第 19 章・1 条)。  すでにある者に贈与または寄付した動産または不動産について,別の者に贈与また は寄付した者は,500ルピー以下の罰金に処するものとされている(「国法」第Ⅲ部・ 第 19章・4条)。このように二重贈与はまずは刑事罰の対象とされており,そのような行為自体が否定される一方,その民事上の効果がどうなるかということは,直接には規定されていない。

このことは,第 2 の贈与・寄付はなしえず,したがって,当然に無効であるという理解を前提にしているように思われる。ここにも,第一次的には 行為規制的なネパール法の特色が現れているように思われる。

  もっとも,すでにある者に贈与または寄付した場合でも,それが死因贈与または寄付の効果をもつものであるときは,贈与者または寄付者は何時でもその証書を無効にすべく,管轄登記所に申立てをすることができる。この撤回の申立てが行われたときは,ただちに当該贈与または寄付の証書にそれが撤回されたことを示し,その所長が署名した付箋またはメモを挿入し,かつそのことを 7日以内(通知の伝達に必要な期 間を除く)に申立人に通知しなければならない。この申立てに必要な費用は 500 ルピ ーである(「国法」第Ⅲ部・第 19章・2 条)。

(2)担保について

 債権担保の手段として,自己が所有する動産または不動産の占有を債権者に移して設定される担保(収益担保)と,担保目的物の占有を債権者に移さずに設定される担保(非占有担保)の 2種類がある。いずれも証書によって設定される。

  収益担保の場合は,担保設定時から目的物から得られる収益(果実)を債権者が享 受し,弁済に充てることができる。これに対し,非占有担保の場合は,弁済期到来時から目的物の占有を債権者に移し,それ以後債権者が目的物から得られる収益(果実)を享受し,それを弁済に充てることができる。この収益(果実)の取得ができる期間は,収益担保の場合には担保実行時から2年間,非占有担保の場合には弁済期が到来し,債権者が占有を取得して 2年間に制限されている(「国法」第Ⅲ部・第 17章・3 条)。

その一方で,債務者は,収益担保の場合は設定後 10 年間は,債務および利息を弁済し,目的物を買い戻すことができる(「国法」第Ⅲ部・第 17 章・14条)。また,非占有担保は設定後 5年間は有効である(「国法」第Ⅲ部・第 17 章・15条)。

 また,収益担保または非占有担保が設定された場合,その債権額の範囲内であれば, 転担保も可能である(「国法」第Ⅲ部・第 17章・29 条) 。

  さらに,すでに担保が設定されている物件について,再度担保が設定されたときは, 第二の担保設定は効力をもたない。その前後は,担保設定の証書の日付によって判断される(「国法」第Ⅲ部・第 17章・25 条)。すなわち,二重の担保設定は認められない。二重担保の設定をした者は罰金の支払義務を負う。

その額は,担保設定時に(違約罰として)定められていればそれによる(まずは第二担保の設定契約に定められていればそれにより,その定めがないときは,第一担保の設定契約に定められていれば,その定めによる),そうした定めがない場合は 500 ルピー以下である(「国法」第Ⅲ部・ 第 17章・28 条)。

もっとも,二重の担保設定であることを知らずに第二担保の設定 を受け,かつその担保の実行として担保目的物の所有権を取得した債権者は,第一担保権者に対して被担保債権を弁済することにより,その目的物の所有権を取得することが認められる(「国法」第Ⅲ部・第 17章・26 条)。このように,担保取引の実情に わせて,低限の取引安全の保護が図られていることが注目される。

 このような担保制度は,

①所有者が担保流れによって所有権を失うリスクを抑制し ようとする傾向をもつ。また,

②担保権の実行方法として,競売による競売代金から 債権を回収する方法ではなく,債権者に占有を許可してその収益(果実)から債権を回収する方法を採用している。これは,担保物の競売市場が形成されていないという現実の中で,可能な限り費用を節約し,かつ実効的な担保物権の実行手続を経験的に模索した結果であるとも考えられる。いずれにせよ,担保権に対しては相当に強い規制が加えられていることが窺われる。 

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第2節 民法典草案における財産法の提案

 第1項 概観

  ネパールの現行法における財産法の現状を踏まえ,それが今後どのように改正され ようとしているか,その動向を民法典草案を題材にして探ってみたい。  民法典草案における財産法は第Ⅳ部に当たる。それは,次表に示した 15 章から構成されている。 

2010 年民法典草案

現行法第 4部「財産法」

 (第 1 章)財産(権)に関する一般規定

(第 2 章)所有権および占有に関する規定

(第 3 章)財産の使用に関する規定

(第 4 章)土地の耕作,使用および登記に関する規定

(第 5 章)政府財産,公共財産およびコミュニティ財産に関する規定

(第 6 章)信託(トラスト)に関する規定

(第 7 章)用益権に関する規定

(第 8 章)役権に関する規定

(第 9 章)建物賃貸借に関する規定

(第 10 章)寄付および贈与に関する規定

(第 11 章)財産の移転および取得に関する規定

(第 12 章)不動産の抵当に関する規定

(第 13 章)不動産の先買に関する規定

(第 14 章)権原証書の登記に関する規定

(第 15 章)(消費貸借・使用貸借)取引に 関する規定 

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・諸章) 

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・諸章) ← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 8章) 

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・諸章) 

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 7章)  

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 4章) ← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 19 章) ← 「1964年土地法」 

← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 2章) ← 「1853年国法」(第Ⅲ部・諸章) ← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 21 章) ← 「1853年国法」(第Ⅲ部・第 17 章)

  このような財産法(財産編)の構成を現行法と対比してみると,つぎのような特色 が認められる。すなわち,――

(1)新たな規律  

新たな規律として,所有権と占有権の相違が明確にされていること,用益権および役権についての規定が設けられたことが注目される。

(2)契約関連の規律の編入

 大陸法系諸国の民法典では一般的に契約類型として規律されることの多い法律関係が,財産法に編入されている。例えば,――

①賃貸借一般が契約に規定されている一方で,建物の賃貸借は財産法に入っている。  ②寄付・贈与が契約ではなく,財産法に入っている。

 ③一般取引(消費貸借など)が財産法に入っている。

  以上の概観を踏まえ,以下では,前記の表に示したような各章に規定された財産法関連の規定について,主要なトピックごとに,その特色を分析する。

(3)財産法関連規定の債務法への編入

 ムルキ・アイン第Ⅱ部・第 6 章(遺失物拾得について)は,2010年民法典草案では, 新たに設けられた不当利得に関する章(第Ⅴ部・第 16章・699 条)に編入されている。この点については,規定の位置づけおよび内容に関し,今後議論が起こることも 予想される。

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第2項 財産および財産権の概念 

民法典草案においても,財産と財産権との区別(より一般的には,権利の客体と権利との区別)は明確ではない。 

財産としては,現金,動産,不動産に加え,行為も財産として捉えられ,売買,その他の処分の対象となる(草案 270 条)。

すみれ

「○○すること、が財産なんだ。」

なお,民法典草案で「物」(goods)という場合には,動産と不動産の双方が含まれる(草案270条説明)。

不動産には,土地,建物,土地・建物への附属物,地中(に埋め込まれたまま)の 鉱物,石,自然流水,地下水,河川・池・湖に恒常的に浮かばせる形で設置された建 物・その他の構造物,樹木・その果実が含まれる(草案 272 条) 。

 動産は,移動可能な物一般のほか,社債・株式・手形・小切手等の有価証券,知的 財産,担保化された権利,暖簾,販売権,その他の不動産以外の物が含まれる(草案 273 条)。動産の概念の中に無体財産(non-material or intangible property)も含まれるものとして観念されている点に特色がある(草案 271条,273 条)。

  所有主体ないし所有形態による財産(権)の分類にも特色がある。すなわち,財産 (権)はその所有形態により,――

①私有財産,

②家族共同財産,

③共有財産,

④コミュニティ財産,

⑤公共財産,

⑥政府財産,

⑦信託財産の 7 種類に分類される。

 ①私有財産は,その取得原因によって定義され(自らの知識,技術または努力によ って獲得されたもの等。草案 270条 1項),その効果として,排他的処分の権原が認 められる(草案 275条 2 項) 。 

②家族共同財産は,家族員によって共有されている財産である。世襲財産,家族員による共有財産,家族員による共有財産の耕作や取引から得られた財産は家族共同財産とみなされる(草案 276 条 1項) 。

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 また,法律に別段の定めがない限り,「配偶者によって取得された財産」やそれに由来する財産も,すべて夫婦による家族共同財産とみなされる点に特色がある(草案 276 条 2項)。

これは,夫婦をはじめとする家族員のコミュニティの観念が根強いこ とを窺わせる。 

③共有財産は,家族員(members of undivided family)以外の複数の者によって所有される財産である(草案 277条)。各共有者は持分をもち,それは証書によって明確にされるが,証書がないときは共有者の持分の権原は等しいものとみなされる(草案 277 条 2項) 。  共有財産に変更を加えるためには,前共有者の同意を要する(草案 278条) 。 

共有財産の維持・管理も全員の同意を求めるべきであるが,全員の同意が得られないときは,過半数(頭数)の決定により,過半数の同意が得られないときは,大の持分権者が決定権をもつ(草案 280 条 1~3項)。他方,共有物の維持・管理のために 生じた費用は,共有者が持分に応じて負担する。ある共有者Aが他の共有者Bの分も 負担したときは,Bは 1 年以内に償還する義務を負い,それを履行しないときはAは Bの持分を時価で買い取る権利をもつ(草案 280 条 4~6項) 。

 共有物に関して訴えを提起し,または訴えを受けることは,全共有者が共同でしな ければならないが,それができない共有者がいるときは,他の共有者が 1 人または数 人で全共有者を代表して,訴えまたは訴えを受けることができる(草案 281 条)。 共有者はいつでも共有物の分割を請求することができる(草案 282 条) 。 ④政府財産,⑤公共財産および⑥コミュニティ財産については,後述。

第3項 政府財産,公共財産およびコミュニティ財産

(1)政府財産  政府の庁舎,その他の建物およびそれらの敷地,道路ならびに鉄道,山林およびそ の樹木,河川・流水・池沼・その土手,運河・通水路・未耕作地,山岳・砂漠,その 他公共財産でも,コミュニティ財産でも,信託財産でも,私有財産でもない財産(権) は,政府財産とみなされる(草案 318 条) 。 

政府財産を処分するためには,政府が,各省庁の当該機関の同意を得て,行うことができる(草案 327 条)。その前提として,政府財産も各省庁の機関によって所有されていること,各省庁の機関が法人格をもつものとされていることに留意する必要がある

 (2)公共財産 

古代からの建物・土地・下水・道路,泉・湖岸・その土手,放牧地・墓地,宿泊施 設・記念物・宗教的な瞑想施設・寺院・神社・僧院・教会・市場,催事場,運動場, その他政府が官報の公告によって公共財産として規定した財産は,公共財産とみなされる(草案 319 条) 。  もっとも,湖岸ならびにその土手は,政府財産としても挙げられており(前述(1) , 草案 318 条),両者の関係に不明確な点が残っている。

 (3)コミュニティ財産  コミュニティがその利用のために保有する土地,建物,その他の財産は,コミュニ ティの財産とみなされる(草案 321 条) 。

  コミュニティがその財産を早利用する必要性がなくなったときは,そのコミュニティの全世帯主の同意により,土地税事務所に申請して所定の手続をすることにより, コミュニティ財産を公共財産に編入することができる。土地税事務所は,その旨の登録を行い,その結果を郡の行政事務所および地方政府に通知しなければならない(草 案 328条) 。

(4)公有財産の管理  政府財産,公共財産およびコミュニティ財産(以下,公有財産という)については, 土地税事務所が,地方政府の支援を得て,それに関する情報を管理し,かつ定期的に その内容を更新するものとされている。すなわち,公有財産の位置ないし所在(土地・ 建物の場合は,その所在地と地番),その管理者の詳細,その他必要な事項である(草 案 321条 1項・2 項)。コミュニティ財産の場合は地方政府がそうした情報の準備と 更新を行う(草案 321条 4項) 。  土地税事務所は,これらに関する情報のコピーを郡の行政事務所(District Administration Office)および地方政府に交付しなければならない(草案321条4項) 。  公有財産は政府,公共団体およびコミュニティがそれぞれ維持・管理しなければな らない(草案 323条)。公有財産を個人の名前で登記することは認められない(草案 324 条) 。 

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第4項 所有権と占有の区別 

所有者は財産の使用,売却・その他の方法による権原の移転,担保化,果実の取得 等をする権原をもつ(草案 286 条)。

  他方,法律に従って財産を占有する意図をもつ者は,占有権をもつことが認められる(草案 287 条)。ただし,所有者でない者は,占有者の同意または法律の規定によって占有権を取得できる。占有権は,平穏,公然かつ善意で取得されたのでない限り,合法的に取得されたものとはみなされない(草案 288 条)。

占有は代理人によっても取得することができる(草案 289条)。占有権をもつ者は,法律によるのでなければ占有を妨げられない。

また,目的物から生じる便益を利用することができる。さらに,善意の占有者は目的物の維持・管理に要した費用を所有者に償還請求することができ,償還を受けるまでは目的物を留置することができる(草案 290条)。

  このように占有権は所有権からひとまず区別されている。そして,強暴,隠秘または悪意で占有(権)を奪った者は,占有(権)を奪われた者に対し,目的物およびその占有から得た利益を返還しなければらなず,自己の過失によって生じさせた損害があれば,それを賠償しなければならない(草案 293条)。

  占有権の効果として,反対占有権(adverse possessory right)が認められている。すなわち,動産の場合は 3 年間,土地の場合は 30 年間占有を継続することにより,反 対占有権を取得する。これは所有権と同様の機能をもつものであり,取得時効に相当する。ただし,政府財産,公共財産,コミュニティ財産に対しては,反対占有権は成立しない(時効取得は認められない)。また,契約があればそれが優先する。さらに,強暴または隠秘に行われた占有によっては,反対占有権は取得することができない (草案 292条)。

番人

「反対占有権、か。」

第5項 財産の使用に関する一般規定

 所有権の効果として,目的物の使用権が認められる(草案 295 条)。ただし,ネパ ール政府が公益のために法律に従って個人の財産を取得することは認められる(草案 295 条)。

  何ぴとも他人の財産(権)を侵害してはならない。民法典草案は,この点について 細かな行為規範を定めている(草案 295条 3項・4 項,草案 296 条)。そして,財産 (権)の侵害を予防するための措置(security measure)をとるべき義務まで規定している。もっとも,隣の土地または建物から生じるガス,臭気,煙,騒音は,それが事業によるものでない限り(日常生活上生じるものである場合),自己の土地・建物に 対する侵害とはみなされない(草案 297条) 。

  財産(権)不可侵義務の一環として,何ぴとも土地所有者の書面による同意なしには,他人の土地の上に建物を建築することができないものとされる。もし書面による同意なしに他人の土地の上に建物を建築したときは,以下のように処理される(草案 298 条) 。  ①土地所有者は,もし望むならば,その建物を市場価格よりも 25%安い値段で買い取ることができる。 

②土地所有者が①の買取権を行使しないときは,建物所有者は,土地所有者の同意を得て,当該土地を市場価格よりも 25%高い値段で買い取ることができる。

③土地所有者も建物所有者も①・②の買取権を行使しないときは,建物所有者は当該建物を建築から 6か月以内に収去しなければならない。 

④建物所有者が③の収去義務を履行しないときは,当該建物は土地所有者に帰属する。

  以上の規定は,民法典草案が,土地と建物を別不動産と捉えていることを前提とし ている。 建物を建築する際に,窓を設置するときは,建物を境界から 5フィート以上離さなければならない(草案 299 条)。

何人も雨水や排水を他人の土地や公道に直接に流してはならないほか,トイレ用タ ンクの掘削,井戸の掘削,樹木の植栽等について,相隣関係規定が定められている(草 案 300条~303 条)。例えば,A所有地に植栽された樹木の枝または根がB所有地を 侵害しているときは,「植栽者」は当該枝または根を切除しなければならず,もし植 栽者がそのようにしないときは,Bが自ら当該枝または根を切除することができる。また,Bはその費用を植栽者に対して償還請求することができる(草案 303 条)。も っとも,Aが植栽した土地をCに譲渡した場合は,Cが切除義務を負うと解すべきで あろう。 

なお,相隣関係に関する規定は,次に述べる第 4 章(草案 306 条以下)にも存在する。 

第6項 土地の耕作,使用および登記

  土地所有者Aがその土地の耕作のために通水路を設ける必要があるときは,Aは通 水路の設置を求める土地の所有者Bに同意を求めることができる。その際,Aは代わりの土地の提供,当該土地の市場価格,または合理的な損害の賠償をしなければならない。

ただし,Bの土地が公共財産または政府財産の場合は,この限りでない(無償で利用できる)(草案 307 条)。このほか,流水の利用,通水路の利用に関し,詳細な規定が置かれている(草案 308 条~314条)。河川に隣接する土地の所有者は,河川が流れを変えた場合,その結果生じた土地を取得し,その土地を耕作することができる(草案 314 条)。

  土地の登記に関して,他人の土地を自己の名前で登記してはならない旨が,あえて規定されている(草案 315 条)。そして,土地の所有名義人が死亡した場合,または土地に対する権利が移転したときは,関係者は35日以内に登記の移転を申請しなければならない。35 日を経過したときは,100ルピーを支払わなければならない(草案 316 条) 。

すみれ

「あえて規定されているのか。やる人も多い事情があるのかな。」

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第7項 用益権 

民法典は用益権(usufruct)について規定を設けた。これは現行法にはない,新たな 制度の導入である。実際に用益権に対するどのような需要がネパール社会あるのか, また,今後民法典が施行され,この制度が導入された場合に,どのような形で利用され,普及してゆくかが注目される。 

用益権は契約または遺言によって設定され,ある財産の所有者Aが他人Bに対し, 当該財産から得られる果実,便益,収入,利用利益等を獲得させるものである(草案 371 条,372 条)。用益権者Bは,あたかも所有者と同様に,当該目的物を利用し, 果実等の利益を享受することができる。

ただし,用益権者は,目的物の性質により, または所有者の事前の同意がなければ,目的財産自体を変更したり,損傷するような利用をすることはできない(草案 376 条)。

用益権の存続期間は契約または遺言によって定められるが,そのような定めがない場合は,用益権者が自然人のときは用益権者が死亡するか,用益権が効力を生じてから 49 年間が経過するか,いずれか早い期限の到来時点で終了する(草案 382 条 1項 a号)。

用益権者が法人のときは,法人が解散するか,用益権が効力を生じてから 29年間が経過するか,いずれか早い期限の到来時点で終了する(草案 382条 1 項 b号)。用益権者が服するある場合は,契約ま たは遺言に別段の定めがない限り,死亡または解散によって用益権を失った者の持分 は所有者に復帰する(草案 382条 3 項) 。

ポリー

「50年は長いという感覚ですね。」

  用益権者は目的物の賃貸や担保設定をすることもできる。そのためには証書を作成 し,登記する必要がある。ただし,賃料が月額 1,000ルピーを超えない場合は,証書の作成を要しない(草案 377条)。また,賃貸や担保設定をしたときは,用益権者は所有者に通知しなければならない。

さらに,用益権の有効期間を超えて存続するよ うな賃貸や担保設定はすることができない(草案 377条 1 項)。また,賃貸や担保設定の証書には,目的財産が用益権の対象財産であることを示さなければならない(草 案 377条 2項)。これに反する賃貸借や担保設定は無効である(草案 377 条 3項)。

  不動産に用益権を設定する場合は,証書を作成し,登録しなければならない(草案 373 条 1項)。家族共同財産に用益権を設定する場合は,家族員の同意を得なければならない(草案 373条 2 項)。用益権者は,所有者と同様の注意義務を負う(草案 378 条 1項)。

また,財産の維持に必要な費用を負担しなければならない(草案 378条 3 項)。なお,目的財産自体の財産税は所有者が支払うが,収益に対する毎年の課税は用益権者が支払わなければ ならない(草案 380 条)。さらに,用益権者は目的物が滅失・損傷を受けないようにしなければならず,滅失・損傷した場合には賠償責任を負う。ただし,自然災害による場合はこの限りでない(草案 379 条)。第三者が目的財産について権利を主張したり,侵害したりしたときは,そのことがあってから 15日以内に所有者に通知しなければならない(草案 381 条) 。  用益権者が目的財産に損害を与えたり,約定どおりの利用をしていないときは,目的物の所有者は用益権の設定を取り消すことができる(草案 383 条)。  他方,用益権者は用益の必要がなくなったときは,少なくとも 45 日前に所有者に通知して,用益権を放棄し,目的物を所有者に返還することができる(草案 384 条) 。 

すみれ

「使っている人に税金の請求がくる仕組みになるんだ。」

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第8項 役権

  役権(servitude)の概念は,現行法には存在せず,民法典によって初めて導入されるものである。民法典草案が導入しようとする役権は,不動産の所有者が,その不動産の便益を増すために,他人の不動産の全部または一部を,その目的に応じて利用す る権利である。役権は,契約によって設定され,または当該不動産が存在する地方の慣習もしくは法律の規定によって認められる(草案 387条)。役権は,承役不動産の譲渡や分割によっても影響を受けずに存続する(草案 389 条 1項・2 項) 。

なお,第Ⅳ部・第 8章が規定する役権には,いわゆる法定役権も含まれている。緊急事態の場合において,犠牲者を救うために,他人の土地や建物を利用する権利である(草案 391 条)。ある土地所有者にとって,公道へのアクセスが自然災害によって遮断された場合は,公道に至るまで他人の土地を合理的な場所と範囲において通行す 権利が認められる(草案 392 条)。

土地の分割や譲渡によって公道に通じない土地を生じるときは,予め通路を確保しなければならない(草案 393条 1 項)。また,ある者の土地に下水道,上水道,電線,ガス管または電話線といった生活上の基本的サ ービスの提供を受ける必要があるときは,その者は他の者がもつ土地を利用し,これらの設備を敷設する権利をもつ。

その場合には,要役財産の所有者は,承役財産の所有者に対し,合理的な損賠賠償の支払義務を負う(草案 394 条)。このほか,通行権 に関するその他の規定(草案 396条,399条。人間による通行のほか,家畜による通 行を認める),水の利用に関する規定(草案 395 条,396条)などがある。

第9項 財産(権)の移転および取得 

売買や交換(草案 459 条参照)による財産(権)の移転は,譲渡人における所有権 の消滅と譲受人における所有権の発生として観念されている(草案 443 条 1項) 。 

共有財産は共有者全員の同意がなければ譲渡できず,同意しない共有者があるときは,他の共有者はその持分を譲渡できるにすぎない(草案 445条)。これは,ごく一 般的に認められる共有法理である。他方,家族共有財産は,家族員の書面による同意がなければ譲渡できない(草案 446 条)。

しかしながら,世帯主は,家計を維持するために必要なときは,動産についてはその財産の全部を,不動産についてはその半分を,家族員の同意なしに譲渡することができる(草案 447条)。この点に,一般の共有財産との違いがある。

すみれ

「世帯主は強いんだね。」

  また,寄付・贈与の場合と同様に,売却等による譲渡の場合にも,他人物譲渡はで きないものとされており,その旨の証書を作成しても無効である。したがって,その ような証書に基づいて引渡しがされたとしても,相手方はそれを所有者に返還しなければならない(草案 448 条 1項~3項) 。 

なお,即時取得制度は認められていない。もっとも,盗品・遺失物が譲渡されたときは,盗難または遺失から 3 年間は,所有者は所有権を証明することにより,取得者に対して返還請求することができる。この場合,取得者はまず当該財産の維持・管理にかかった費用の償還を請求できる。

さらに,取得者が当該盗品・遺失物を公の市場で購入したときは,取得者が当該財産の取得に際して支払った費用,または当該財 産の現実の価値の償還を受けるまでは,当該財産を返還する義務はない(草案 448 条 4 項~6項)。その限りで,取得者は保護されることになる。なお,ここでの取得者は, 善意であることが前提とされているものと解される。 

さらに,やはり寄付・贈与の場合と同様に,二重譲渡はできないものとされている。その結果,不動産の場合には初に証書が作成・登記された譲渡が,動産の場合には初に行われた取得が有効であり,不動産に関する第二の譲渡の証書または動産に関する第二の譲渡行為は無効である(草案 449条) 。

  後に,外国人に対する不動産の譲渡および担保設定は,政府による事前の同意がなければ無効である。政府の事前同意なしに不動産の譲渡行為がされたときは,当該不動産は政府に移転する。譲受人たる外国人は,支払った代価を無担保の債権者として,譲渡人に返還請求するほかない(草案 460 条) 。 

すみれ

「政府の同意を得るのは厳しいのかな。」

第10項 不動産の先買権

  前述したように,ネパールはコミュニティ財産,家族財産等の制度を維持しているが,それと密接に関連する形で,不動産の所有者が当該不動産を譲渡した場合に,当該不動産に対して一定の密接な関係をもつ者による先買権の制度が存在する。

これもネパール民法の特色として看過することができない。  先買(Hak safa)の制度は,すでに現行法に存在し,実際にも利用されている。それに関する規定は,ムルキ・アインの諸章(一般取引,土地の耕作,寄付および贈与,登記に関する章)に分散している。民法典草案は,これを 1章に取りまとめ,包括的に規定しようとするものである。 不動産の所有者が,その不動産を他人に譲渡しようとする場合,当該不動産と一定の緊密な関係をもつ者は,所定の手続に従い,当該不動産を優先的に取得することができる(草案 482条) 。

  そのような先買権をもつ者としては,当該不動産に隣接する不動産を所有する相続 人がある。この相続人は,買主が支払った代価および証書作成費用等を当該買主に提供することにより,当該不動産を優先的に取得することができる(草案 483条 1項)。

 そのような相続人が複数いる場合は,近親の相続人が優先する。そのような相続人が複数いるときは,その全員が平等の割合で先買いすることができる(草案 483 条 2 項)。

近親の相続人が先買権を行使しないときは,次順位の相続人に先買権が移転する(草案 483 条 3項)。さらに,近隣の相続人がいない場合,またはそのような相続人がいても先買権を行使しないときは,当該不動産の賃借人がいれば,その者が先買権をもつ(草案 484条)

なお,建物の一部が売却されたときは,当該建物のたの部分を所有する者が優先的に先買権をもつ(草案 485 条)。ただし,区分所有建物(コンドミニアム)が譲渡されたときは,先買権の規定は適用されない(草案 487 条)。

番人

「コンドミニアムは別扱いか。」

  先買権をもつ者がそれを行使するときは,管轄する土地税事務所で手続を行う。先 買権行使の申立てがあったときは,管轄土地税事務所は初に当該不動産を購入した買主を,交通に要する期間を除き,7日以内に出頭するよう召喚する(草案 488 条)。

  先買権者は,該当不動産の譲渡があったことを知った時から 35日以内,かつ譲渡の登記がされた時から6か月以内に先買権を行使しなければならない(草案490条)。 この期間制限により,不動産売買における取引安全と先買権者の利益保護との調整が図られているものと考えられる。 

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第11項 権原証書の登記

 不動産の譲渡等,証書の作成・登記が必要な場合が規定されている。これは,すで に現行法であるムルキ・アイン第Ⅲ部・第 21 章に規定されている。民法典草案第Ⅴ 部・14 章はこれを承継し,必要な修正を加えている。  証書は管轄事務所(現行法では,管轄土地税事務所)で登記されなければならず(草 案 491条),登記されない証書は,証書としての法的に承認されない(草案 492 条 2 項)。

証書の作成・登記が必要な場合は,

①不動産の譲渡,

②抵当権(譲渡担保)の設定,

③遺言による不動産の寄付・贈与,

④不動産の交換,

⑤家族共同財産の分割または放棄,

⑥信託の設定,

⑦世帯の分割,

⑧月額 10,000ルピー以上の建物の賃貸借,

⑨不動産に対する用益権の設定,

⑩民法,その他の法律によって登記が必要とされる その他の証書である(草案 492条 1 項)。

 もっとも,法律上登記が必要とされるこれらの証書のほかにも,当事者が任意に証書を作成し,その登記を管轄事務所に求めることができる(草案 493 条),とされていることに留意する必要がある。証書を作成し,登記するためには,所定の費用を支 払わなければならない(草案 497条)。もしも競合する内容の複数の証書が登記されてしまったときは,初の登記が有効 なものとされる(草案 500 条) 。 

第12項 不動産の抵当 

不動産の抵当の制度は,すでにネパールの現行法に存在する。  不動産の抵当には 2種類のものがある。1つは設定と同時に債権者に占有を移す用益抵当(usufructuary mortgage)であり,もう 1 つは設定後,債務者の債務不履行があった時に債権者が占有する権利をもつ非占有抵当(mortgage without possession) である(草案 464条 1項・2 項)。抵当債権者は,用益抵当の場合は証書の登記後ただちに,非占有抵当の場合は債務不履行後 2年以内に占有をしなければならない(草案 466条)。

番人

「質権みたいなものかな。」

用益抵当の債権者は利息を収受することができない一方,非占有抵当の債権者は利息を徴収することができる(草案 470 条)。用益抵当は,証書に別段の定めがない限り,10 年間を超えて占有をすることはできない。

10 年経過後は,たとえ 抵当不動産が返還されなくとも,債権者の債権は無担保債権となる(草案 471条) 。 他方,非占有抵当の存続期間(占有開始前)は 5年間を超えることができず,占有開始後は 10年間を超えて占有することはできない。それを超えて占有しても,無担保の債権となる(草案 472 条)。

いずれにしても,抵当の対象となる不動産は,債権者によって収益可能な性質のものに限られる(草案 464条 3 項)。これは,後述する抵当の執行方法と関連する。また,権原のない不動産を抵当にすることはできない(草案 464条 4項)。

  不動産の抵当を設定するためには,証書を作成し,登記しなければならない(草案 465 条)。  抵当不動産は,その全部もしくは一部,または果実のみを転抵当に付すこともできる(草案 474 条,475条)。しかし,同一不動産を二重抵当に付すことはできない(草 案480条) 。  用益抵当にせよ,非占有抵当にせよ,債権者が当該不動産の占有を始めた後は,その果実等を収取し,債務の弁済に充てることになる。抵当債権者は当該不動産の占有を開始した後は,所有者と同様の合理的な注意をもって当該不動産を管理し,保護する義務を負う。

また,土地税を除き,収益に対する租税は抵当債権者が負担する(草 案 469条)。抵当債権者が抵当不動産に損害を加えたときは,賠償責任を負う(草案 478 条) 。 

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第13項 信託(トラスト) 

ある者Aが所有する財産(権)を,他の者Bが,受益者Cのために,必要な運用や管理をするために,信託が設定される(草案 333 条)。

信託は,前述したように,現行法にも存在する制度である。  受益者としては,個人だけでなく,団体,一般公衆,法人,その他の社団も,信託財産から便益を受けるかぎり,受益者として含まれる(草案 333 条説明)。 

すみれ

「あるんだ。」

信託には公的信託と私的信託がある。公的信託は,経済開発のためのインフラ整備や開発事業のために基金を設立し,運営し,利用することなど,公益の増進に寄与することを目的とするものである(草案 334条 2 項)。

これに対し,特定の個人や団体に対する便益,便宜,施設の提供等を目的とするものは,私的信託とされる(草案 334 条 3項)。なお,信託が公的目的と私的目的の双方を達成するために設立されたときは,公的信託とみなされる(草案 334 条 4項)。

番人

「公益、私益じゃなくて、公的、私的っていう呼び方もいいね。」

公的信託と私的信託はいくつかの点で重要な違いがある。例えば,私的信託の場合,信託行為文書(instrument of a trust) に別段の定めがない限り,受益者が 1人でその者が契約を締結するのに必要な能力を具備したとき,または複数の受益者のすべてが能力者となり,かつ全員が同意したと きは,受託者に対し信託財産の移転を指示することができ,かかる指示を受けた受託者はそれに従って信託財産の所有権を移転しなければならない(草案 362条)。

また, 私的信託の場合,受益者は,契約締結するのに必要な能力を具備したときは,受益の全部または一部を放棄することができるが,すべての受益者がすべての受益を放棄したときは,信託は解除されたものとみなされる(草案 363 条) 。 

信託は,信託財産の内容の詳細とその価格,受益者・受益の内容・その条件や期限の詳細等,所定の事項を記載した申請書を登記官に提出することによって行われる。

すみれ

「不動産以外もかな。公正証書のような役割もしているのかな。」

その際には,信託行為文書,受託者の氏名・写真・同意証書,委託者の同一性を証明する文書のコピー,信託の登記料を支払った旨の領収書も併せて提出することが求められる(草案 335条 1項・2 項)。

このうち,信託行為文書には,委託者の氏名・住所等,信託財産の対象と性質,受託者の氏名・住所・職業等,受益者の詳細,信託財産の利用方法,受託者の職務機関や報酬等を受ける場合の詳細,信託の期限・その他 の終了事由とその帰結,信託の運営・管理・監査の方法等を記載しなければならない(草案336条)。

 信託は,所定の手続により,遺言によっても設定できる(草案 335 条 3項)。

外国人または外国法人も信託の設定をすることができる。その場合には,受託者の少なくとも 1 人がネパールに恒常的な住所(permanent residence)をもっていなければならない(草案 335条 4項) 。 

信託の登記申請がされたときは,登記官は信託の目的や信託財産の詳細について必要な質問をしたうえで,合理的であると判断したときは,申請から 35 日以内に,信託の登記を行い,信託登記証明書を発行する。信託は登記によって設立される(草案 337 条 1項・2項)。

ただし,私的信託は,登記をしなくとも運営することができる(草 案 337条 3項)。他方,申請書に不備があったり,信託の名前がすでに登記された信託のそれと同一または類似していたり,信託の目的等が公益上不適切であるとか,違法であるとか,曖昧であって実行可能性がない等の事情がある場合は,登記官は信託の登記を拒絶することができる(草案 338 条)。 

信託が設立されたときは,3か月以内に,委託者は信託財産を受託者に移転しなければならない(草案 339 条 1項) 。この期間内に信託財産が移転されなかったときは, 信託は解除されたものとみなされ,登記は効力を失う(草案 340 条)。

  受託者は,信託行為文書に別の定めがない限り,委託者が指名する。受託者が信託行為文書で指定されていなかったり,委託者が指名しなかったりして,決まらないと きは,委託者自身が受託者とみなされる(草案 343条 2項・3 項)。受託者の数は, 低 1 名・大 7 名とされる(草案 345条)。法人も受託者となることができる(草案 346条) 。

 受託者の権限については,さまざまな規制がある。例えば,受託者は,信託行為文書に別段の定めがない限り,管轄登記官の事前の同意なしには,信託財産たる不動産の全部または一部を売却および担保とすることができない(草案 341 条)。

また,信託財産から取得された収益で,信託目的の達成のためにただちに必要とされないものは,信託行為文書に別段の定めがない限り,信託目的の達成のための投資に利用することができる。その際には,信託行為文書に別段の定めがない限り,低 25%はネ パール国債の購入に充てなければならない。

すみれ

「国債買う義務があるの。」

また,商業銀行の定期預金口座への預金は大 25%にとどめなければならない。さらに,開発銀行の定期預金口座への預金は大 10%,商業銀行の普通株の購入は大 5%,融資会社の定期預金口座への預金は大 10%,公開有限会社の普通株の購入は大 5%に制限されている(草案 342 条 4項)。

  受託者がその義務の履行に反し,受益者に損害を与えたときは,その損失を補填しなければならない。義務に違反した受託者が複数いる場合は,連帯責任を負う(複数の受託者がただちに連帯責任を負うのではない)(草案 357 条 3項・4 項) 。 

受託者が欠けた場合において(草案 347 条参照),信託行為文書に受託者の承継者名簿が付されていないときは,受託者の死亡により,長男,義理の娘または娘がその順で受託者の地位を承継する。この者が能力者でないときは,その後見人が代理して受託者の職務を行う(草案 348 条)。  信託財産は,課税上は受託者の財産とはみなされず(草案 366 条),実質的に受益者の財産として取り扱われる(草案 364条)。

  なお,信託財産について,例えば,受託者が横領,詐欺等をした場合に,受益者がその責任を追求するときは,受益者の権利は消滅時効にかからない(草案 370条)。そのようにして受託者の重い責任が維持されている。 

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法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第14項 寄付および贈与

  寄付(donation)とは,ある財産の所有者が他人または他の組織に対し,宗教的・社会的・公益的な利益またはコミュニティの利益のために,当該財産を譲渡するもので ある。

それは,相続人に対して行うことはできない(草案 424条 1項)。

  他方,贈与(gift)とは,ある財産の所有者が他人または他の者に対し,その功績を讃えたり,贈与者の利益(見返り)を期待したり,家族員に対する愛情等に基づいて,当該財産を譲渡するものである。それは,相続人に対しても行うことができる(草案 424 条)。

  寄付・贈与は,現金または 1,000 ルピーの価値を超えない動産を除き,証書を作成して行わなければならない(草案 432 条) 。いずれにせよ,寄付・贈与は合意に基づくものであるから,相手方が寄付・贈与の 受領を拒絶したときは,贈与は無効である(草案 435 条)。 

寄付者は,相手方が寄付者に対して犯罪を犯したときは,寄付を撤回することがで きる(草案 437 条 a号)。また,贈与者は,受贈者が贈与者に対して誤った申立てや告訴をしたときは,贈与を撤回することができる(草案 437 条 b号)。さらに,受贈 者が贈与の証書に規定された義務履行等をしなかったときも,贈与者は贈与を撤回す ることができる(草案 437 条 c号) 。 

興味深いことに,民法典草案は,他人物寄付・贈与および二重寄付・贈与を禁止している。他人物寄付・贈与はしてはならないものとされ(草案 425条),二重寄付・ 贈与行為が行われたときは,第一寄付・贈与のみが有効で,第二寄付・贈与は法的に 無効であるとされる(草案 426 条)。 

第15項 建物の賃貸借

 建物の賃貸借に関する規定が第Ⅳ部・第 9章に編入されている点に,民法典草案の 1 つの特色が認められる。

 建物賃貸借の長存続期間は5年間とされている(合意による更新は何度でも可能) (草案 403条)。  賃貸人の義務としては,賃借人に利用させる義務,特別の合意がない限り,水道・ 電気・下水道のサービスを供給し,衛生状態を維持する義務,住居の安全を確保する義務,その他合意を遵守する義務がある(草案 407条)。また,土地および建物の税金は,所有者(賃貸人)が支払義務を負う(草案 410 条)。

  賃借人の義務としては,約定通りに賃料を支払う義務,自己の所有物と同じように建物の安全,衛生状態を保ち,損傷しないように注意する義務,隣接居住者の安全を脅かさない義務,その他合意を遵守する義務がある(草案 408条)。

また,事業のために建物を賃借する者は,損害保険契約を締結する義務を負う(草案 411条)。もし この賃借人が損害保険に加入していなかったときは,建物に生じた損害は,自然災害 や暴動,放火等によるものであっても,その危険は賃借人が負担すべきことになる。 また,建物の修繕義務は,別段の合意がないときは,賃借人が負担する(草案 412条) 。

 賃借人は,賃貸人の同意がある場合にのみ,目的建物の全部または一部を第三者に転貸することができる(草案 413条)。  賃借人は存続期間の満了前であっても賃借権を放棄して建物から退去することはできるが,少なくとも 35 日前に書面で賃貸人に通知しなければならない。他方,賃借人は,賃貸人が当該建物を自ら使用する必要が生じ,少なくとも 35 日前に文書で明渡しを請求してきたときは,明け渡さなければならない(草案 419 条 1 項 c 号))。

また,賃借人が賃料を支払わずに 3 か月以上行方不明のときは,賃貸人は賃借人が建 物に置き去った物を留置し,地方政府の代表者,警察官または警察官が利用困難なと きは当該地方の 2 人の者を証人として,その物を自己に帰属させることにより,未払賃料(の一部)を回収することができる(草案 422条)。  以上のように,概して,賃貸人の権利・義務と賃借人のそれらとを比較すると,賃貸人に相対的に有利な規定であると考えられる。 

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第16項 一般取引に関する規定 

一般取引(消費貸借取引)が財産法に編入されていることも,民法典草案の特色である。これも現行法に由来する。これは,当事者の一方が他方から,一定量の金銭,その他の物を受領したときは,受領者が同じ(種類・品質・数量)の物を返還するものとされた場合に成立する(草案 502 条)。これは消費貸借取引に相当するが,かならず証書を作成・登記して行わなければならない(草案 504 条)。

すみれ

「ここでも登記か。」

証書には,取引当事者(婚姻している場合には,その配偶者),その父母,祖父母の氏名・年齢・ 住所,取引が行われた理由,取引の量,物の価格・性質,借入額(取引がそれに当たる場合),利率(利息の約定がある場合),借主の債務不履行の場合に債権者が返還を 受けるべき代わりの財産があるときはその内容,証書の登記場所と日時,その他取引 の性質上必要な事項が記載されなければならない(草案 505 条)。

このように一般取引は,消費貸借などに用いられるが,不動産取引と同様に,証書の作成・登記によっ て行われる点で,財産編の中に編入されていると考えられる。  証書に利息の約定が記載されていないときは,債権者は債務者に利息の支払いを請求することができない(草案 507条) 。

第3節 小括

ネパールにおける財産法の特色として,以下の点が挙げられる。

第1項 財産(権)の概念について 

①財産と財産権の区別(一般的に権利とその客体との区別)は必ずしも明確ではないように思われる。 

②動産の概念が広く,知的財産(権)や有価証券を含むものと観念されている。

③土地と建物は別不動産と捉えられている(草案 298条参照)。

④法律に別段の定めがない限り,「配偶者によって取得された財産」やそれに由来する財産は夫婦による家族共同財産とみなされており,夫婦をはじめとする家族員のコミュニティの観念が根強い。

⑤公共財産と区別されたコミュニティ財産が存在する。それは土地税事務所により, 当該コミュニティの名前で登録され,管理される。

⑥政府財産は各省庁の機関が独自に所有するものと構成されている。 

第2項 財産(権)の取引について

①全体として,動的安全よりも,静的安全を重視している。財産の意義,所有形態, 利用についての規定が,財産の取引や担保化についての規定に先立つ。 

②寄付・贈与に関して,他人物寄付・贈与および二重寄付・贈与を禁止している。 他人物寄付・贈与はしてはならないものとされ(草案 425。行為規範的),二重寄付・ 贈与行為が行われたときは,第一寄付・贈与のみが有効で,第二寄付・贈与は法的に無効であるとされる(草案 426 条)。

③売却等による譲渡の場合にも,他人物譲渡はできないものとされており,その旨の証書を作成しても無効である。したがって,そのような証書に基づいて引渡しがされたとしても,相手方はそれを所有者に返還しなければならない(草案 448条 1 項~3 項) 。 

また,二重譲渡もできないものとされている。その結果,不動産の場合には初に証書が作成・登記された譲渡が,動産の場合には初に行われた取得が有効であり, 不動産に関する第二の譲渡の証書または動産に関する第二の譲渡行為は無効である(草案 449条) 。 

④即時取得制度は認められていない。もっとも,盗品・遺失物が譲渡されたときは, 盗難または遺失から 3年間は,所有者は所有権を証明することにより,取得者に対して返還請求することができる。この場合,取得者はまず当該財産の維持・管理にかかった費用の償還を請求できる。さらに,取得者が当該盗品・遺失物を公の市場で購入したときは,取得者が当該財産の取得に際して支払った費用,または当該財産の現 実の価値の償還を受けるまでは,当該財産を返還する義務はない(草案 448条 4 項~6 項)。その限りで,取得者は保護されることになる。

なお,ここでの取得者は,善意であることが前提とされているものと解される。

 ⑤不動産の譲渡に対しては,近隣の親族等の先買権という大きな制限が付着している。もっとも,先買権の行使期間をある程度制限することにより,取引安全との調整を図っている。  

⑥財産所有権の移転は,動産の場合は引渡主義,不動産の場合は登記主義をとっている。これは現行法を承継するものであり,コモン・ローをの考え方をベースにするものと解される。

第3項 担保について

  担保権については,占有担保(不動産質)のタイプと非占有担保(譲渡担保)のタ イプがある。いずれも執行の便宜を相当考慮している。すなわち,前者の場合は,基 本的に果実を担保権者に帰属させることによる。後者の場合は,基本的に非占有担保 (譲渡担保)権者が目的物の所有権を取得し,または処分することによる。これは, 執行システムの未整備をカバーするための工夫と解することもできる。 

第4項 その他  ①信託(トラスト)を民法典に導入している。これは,コモン・ローとシビル・ロ ーとの折衷構造の一例といえる。  ②何ぴとも他人の財産(権)を侵害してはならないといった,細かな行為規範を定 めている(草案 295条 3 項・4 項,草案 296条)。これらはある意味では当然のこと ともいえるが,それらをあえて規定している点に,行為規範を重視するネパール民法 の特色がよく表れているといえよう。

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

第4節 小括 

これまでの検討を踏まえて、ネパール契約法および不当利得法・不法行為法の現状 と今後の立法動向について所見を述べる。 

現在のネパールにおいて契約法を規律する主たる法律は、1854 年に制定された「ム ルキ・アイン」 (1963年に一部改正)と 2000 年に制定された「契約法」であり、前者は「賃金」 、「一般取引」(金銭消費貸借・使用貸借契約)、および、「寄附・贈与」 に関する規定を、また、後者は、契約法の一般規定(成立要件、有効要件、履行・義務、違反・救済)と幾つかの個別契約に関する規定(保証・補償契約、寄託契約、担保・預託契約、物品売買契約、代理契約、貨物運送契約)を置く。

後者の制定法は、 イギリスの判例法を成文化して制定されたインドの「1872 年契約法」を模範としているが、あくまでもネパール側が主体的、選択的に同法の一部を取り入れたという経緯があり、その内容は必ずしも同一ではない。しかし、 「2000 年契約法」の構成や内容が英米法の影響を強く受けているのは事実である。それに対して、前者のムルキ・ アインにおいて規律される契約は、ネパールの慣習法や法実務に基づいた内容となっている。

  2010年に完成した「民法典草案」においては、上述した二つの現行法の契約法に関わる諸規定が、一定の修正や新設条項を盛り込みつつ、同草案の第 4部(財産法)の一部と第 5 部(契約法および義務に関する法)に踏襲されている。

従って、将来、 同草案をベースとした民法法案が公布・施行されたとしても、現行法上の規律と大きな乖離はなく、ネパールにおける契約法実務が混乱するような事態にはならないと予 想される。

 もっとも、今回の民法典草案の起草過程では、契約法の統一を目指す国際的な趨勢をも視野に入れて、現行ネパール契約法の「現代化」が図られた部分も多く見られる。

例えば、

①契約の解釈に関する一般規定の導入、

②共通錯誤や一部無効の規定の導入、

③契約が取り消された場合の第三者保護規定の導入、

④事情変更の原則の効果として の契約改訂権・再交渉権の導入、

⑤履行遅滞に関する規定の導入、

⑥物品売買契約における売主の保証責任規定の充実化、

⑦保証契約における継続的保証の導入、

⑧代理契約における表見代理規定の充実化、

⑨被用者 10名以下の雇用契約を規律するルー ルの充実化などが挙げられよう。

また、今回の民法典草案では、

⑩賃貸借契約(建物 賃貸借を除く)と

⑪分割払い契約に関する章が新設され、これらの契約を規律するル ールが置かれることとなった。

 残された課題としては、

①一方的錯誤を規律するルールの不備、

②契約違反に対する救済としての損害賠償につき、その範囲を確定するルールが精緻化されていない点、

③過失相殺に関する規定の不備、また、

④多数当事者間の債権債務関係を規律するル ールが単純であることなど、これらは幾つかの例にすぎないが、個々の契約ルールに 関して今後改善を期待したい点がある。

また、贈与契約や金銭消費・使用貸借契約に関する規定が第 4部の財産法に置かれており、賃貸借契約に至っては、建物賃貸借が第 4 部に、その他の賃貸借が第 5部に規律されているなど、契約法の体系性という観点からは分かりにくい構成となっている。

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2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

その他、消費者契約や電子的取引への対応なども、今後の課題として浮上するであろう。  後に、比較法的見地から見た(ネパール民法草案における)契約法の位置づけについて言及する。民法典草案における契約法の多くの部分が、現行の「2000 年契約法」を踏襲している結果、同草案の契約法ルールも英米法(とりわけインド契約法) の影響を強く受けていると評価できる。

しかし、それは英米法系に属する契約法であることを意味しない。例えば、英米法系の契約法の特徴として、契約の成立要件として「約因」を要求すること、また、契約責任は帰責事由を要しない厳格責任であるこ となどが挙げられるが、ネパール民法においては、前者の要件は不要としており、後者の点については過失責任を想定した規定も置く。また、今回の契約法の現代化の過程では、CISG や PICC などの国際取引に関わる条約やモデル法を参考にしたルール も導入しており、さらには、ネパール慣習法やムルキ・アインの影響も残っている。

以上のことから、ネパール民法における契約法は、英米契約法のルールや構成を基礎としつつも、それに限定されない多様なルールを内包した内容となっているのである。

  民法典草案第 5 部に導入された「準契約」、「不当利得」 、「不法行為」および「欠陥 製品に対する責任」の各章は、すべて新設規定である。不当利得法については、英米法系の「準契約」と大陸法系の「不当利得」の両制度を導入している点は比較法的に見てユニークであり、家族法、財産法、また契約法を補充するルールとして、その運用が期待される。

不法行為法についていえば、現在のネパールには、わずかの個別立法を除けば、一般不法行為法に対する規律は存在せず、他者への侵害行為はもっぱら刑事責任を課すことで対応している。その意味で、民法典草案に「不法行為」に関する章が設けられた意義は大きい。

もっとも、契約責任が認められる場合や、侵害行為が刑事責任を問われる場合には、不法行為責任は成立しないので、同責任が生じる場面は限定されている。その克服が今後の課題だと思われる。不法行為法の内容それ自体は、日本民法上の不法行為規定と類似している点が多いが(過失責任主義を前提とする)、いずれにせよ、不法行為法は「判例法による法形成」による発展が期待される領域であるため、同章で規定された不法行為法がネパール社会においてどのように 定着、進展していくかは未知数である。なお、併せて導入された「欠陥製品に対する 責任」(製造物責任)の章についても、同じことが当てはまるであろう。

第5章 むすび 

現行ネパール民法は、すでに指摘したように民事法と刑事法、実体法と手続法が混在しているために、紛争処理基準としては極めて使い勝手の悪いものである。また、 発展するネパール社会の現実にも十分応じることができないものとなっている。そこで、2010 年民法典草案が作成されたが、ネパールの不安定な政治状況のもとで、制定のめどは立っていない現状にある。

番人

「草案ができても、大変だね。」

2010 年民法典草案は、現行法に比べると、構成が全面的に変わっただけでなく内容の整理や新たな規定の追加などにより整備されたものとなっている。ただ、新たな立法をめぐっては、裁判官や検察官の間では理解は広まるとしても、利用者である国民にどのようにして周知していくのかを含め弁護士への実効性ある情報提供をどのようにするのか、弁護士の中には現行法でも取り立てて問題はないという意見への対応など、多くの課題が残されている。

さらに、すでに触れたように、新法案は現状に「妥協する」部分もあって近い将来に制定されたとしても、施行後には修正の必要が出てくると思われる。また、立法作業に時間を要することになると、法案を修正する必要があるとの指摘もでてくることも予想され、 民法草案をめぐる状況は現段階では流動的と言えよう。

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H21年度 海外制度調査 インドネシアの不動産利用制度

2016年加工

 H21年度 海外制度調査

インドネシアの不動産利用制度

2010年1月

ジェトロ・ジャカルタセンターより

目次

1.不動産の権利関係3

1-1.所有権

1-2.事業権

1-3.建設権

1-4.使用権

1-5.運用権

1-6.ストラータ・タイトル

2.外国人の不動産手続きの留意点

2-1.外国人の定義

2-2.不動産登記手続きの流れ

2-3.不動産法制度の現状と問題点

インドネシアでは外国人(法人を含む)の不動産所有は認められていない。従って、外国人は不動産の利用権等を取得することでそのニーズを満たしているが、外国人(現地法人を設立した外国法人等)の範囲が曖昧であったり、不動産登記制度等についても不明確な点が多く、これら不動産利用に関する留意点について整理する。

1.不動産の権利関係

土地・建物から成る不動産については、1960年9月24日付第5号「土地基本法」がいまだ有効である。同法第16条1項には土地に係わる権利として以下を挙げている。

(1)所有権(hak milik)

(2)事業権(hak guna-usaha)

(3)建設権(hak guna-bangunan)

(4)使用権(hak pakai)

(5)借地権(hak sewa)

(6)開墾権(hak membuka tanah)

(7)林産物徴収権(hak memungut-hasil hutan)

(8)その他 (hak-hak lain yang tidak termasuk dalam hak-hak tersebut diatas yang akan ditetapkan)

このうち土地台帳に登記され、権利書が発行されるのは(1)~(4)のほか、運用権、ストラータ・タイトル(区分所有権)がある。

1-1.所有権

所有権とは個人で土地を所有する権利であり、土地基本法による所有権は土地に対して人が有し得る最も強い、代々相続される権利とされている。

(1)権利の保有者:

所有権が設定された土地を有することができる者は「インドネシア国籍者のみ」とされており、外国人は不可。また、インドネシア国籍のほかに他の国籍を有する二重国籍者も所有権の土地を有することは認められていない。

また、所有権が設定された土地を有することのできる法人については、その条件とともに政府が定めることになっており、1963年6月19日付第38号政令は所有権が設定された「土地を有することのできる法人」として政府系銀行、農業組合連合、宗教・社会団体を挙げている。国内外資本の別にかかわらず、一般の会社を含むこれら以外の法人は所有権が設定された土地を有することができない。一般の会社は事業権、建設権、あるいは使用権が設定された土地を取得することになる。

外国人や二重国籍者、または政府が定めた法人以外の法人に所有権が設定された土地が譲渡される土地取引は法的に認められないとされている。

また、遺言書の無い相続や婚姻による資産の共有により外国人が所有権を有することになった場合、または所有権者がインドネシア国籍を喪失した場合は、これら事項が発生した時点から1年以内に譲渡などの方法により所有権を手放さなければならない。

(2)所有権の有効期限は、原則的に永久に有効。

(3)譲渡・担保権:

所有権は売買、交換、贈与、遺言や慣習に基づく供与など、他者へ譲渡したり譲渡されたりすることが可能。また、抵当権を設定することにより、借入保証にすることもできる。

(4)義務規定:

土地基本法では、土地に係る全ての権利は社会的機能を有すると定められており、例えば道路建設のような公共目的のために所有する土地の一部を政府に提供するよう求められた場合、当該土地所有者はこれに応じなければならない(補償あり)。

この義務は以下全ての権利に共通する。

(5)権利の消滅:以下の場合に所有権は消滅する。

Ø 公共目的(国や国民)のため、補償を伴う接収が行なわれる場合

Ø 土地所有者が自主的に移譲する場合

Ø 土地が放置された場合

Ø 遺言書の無い相続や婚姻による資産の共有により外国人が所有権を有することになった場合、あるいは所有権者がインドネシア国籍を喪失した場合、これら事項が発生した時点から1年以内に譲渡などの方法により所有権を手放さなければならないにも係わらず、1年以内に手続きが行われなかった場合

Ø 土地が処分された場合

1-2.事業権

事業権、建設権、使用権については土地基本法のほか、1996年6月17日付第40号政令に詳しく規定されており、同細則として1997年第3号土地担当国務大臣/国土庁長官規定がある。

事業権とは、農業用・水産及び畜産用に最小5ha以上、最大25haの国有地を使用する権利(但し、法人は25ha以上も可能)。事業権が設定される土地は国有地のみである。

(1)権利の保有者:

事業権は、インドネシア国籍者またはインドネシアの法律に則り設立されインドネシアに所在する法人(外国投資会社PMAも含む)に与えられる。

但し、当該事業権者がそのステータスを変更した場合は、1年以内に条件を満たした者に権利を譲渡する必要があり、譲渡しない場合その土地は政府に戻される。

(2)有効期限:

事業権の有効期間は最長35年(土地基本法では最長25年間、法人の場合は最長35年)であるが、土地の維持管理が適切であれば25年の延長が可能。

その後の更新もケースバイケースで認められることになっている。延長/更新は期限の2年前までに行う必要がある。投資面の便宜を図るため、延長・更新時の納入金を最初の権利設定時に一括納付することもできる。(建設権・使用権も同様)

(3)譲渡・担保権:

事業権は売買、交換、資本参加、贈与、相続という方法で譲渡が可能。また、抵当権を設定することにより借入保証にすることもできるが、抵当権は事業権の消滅と同時に失効する。

(4)義務規定:事業権者には主に以下の義務がある。

Ø 国への納入金支払い

Ø 事業権供与決定の記載に従い、農業、農園、水産業、畜産業を営むこと

Ø 定められた要件に従って適正に事業を行うこと

Ø 周辺施設・設備の建設・維持

Ø 土地の肥沃さの維持、天然資源の破壊回避、環境能力の管理

(土地がその地形上、環境上から他の土地、道路や水路を閉じ込める結果となった場合には、何らかの解決策をとらなくてはならない。また、地域社会の利害にも十分に配慮する必要もある)

Ø 使用状況について年1回報告すること

Ø 権利消滅後は速やかに国へ土地を返還すること

Ø 権利消滅後の権利書の土地管理当局への返却すること

すみれ

「権利書だ。」

(5)権利の消滅:

以下の場合に事業権は消滅し、土地は国へ返還される。

Ø 事業権の有効期間満了

Ø 条件を満たさない/あるいは、上記義務の不履行/あるいは、裁判所の判決による/あるいは、1961年9月26日付第20号土地とその上物の権利取消法に基づき/あるいは、公共目的のため期間途中で事業権が取り消された場合

Ø 期間途中で事業権者が自主的に手放した場合

Ø 土地が放置された場合

Ø 土地が処分された場合

Ø 事業権者がそのステータスを変更した場合、その事業権は1年以内に条件を満たした者に譲渡する必要があるにも係わらず、譲渡しなかった場合

事業権が放棄され、延長や更新がなされなかった場合は、その最終権利保有者は土地にある建造物を取り壊し、土地を国に返還しなければならない。当該土地上の建造物や作物/物件が引き続き必要とされる場合は、大統領決定で規定される形態と金額で補償が与えられる。

1-3.建設権

国有地、運用権(1-5.参照)が供与された土地、または個人所有の土地の上に建物を建設し所有する権利である。

(1)権利の保有者:

インドネシア国籍者またはインドネシアの法律に則り設立されインドネシアに所在する法人(外国投資会社PMAも含む)。建設権者がそのステータスを変更した場合は、1年以内に条件を満たした者に譲渡する必要があり、譲渡しない場合その土地は政府に戻される。

また、個人所有権の土地の建設権は、建設権者と所有権者との間の合意を土地証書作成官(PPAT、公証人が兼任)の下で証書化する必要がある。

(2)有効期限:

建設権の有効期間は最長30年で、さらに最長20年の延長が可能。運用権が供与された土地の建設権の延長は運用権者の事前同意が必要で、当初契約設定時と同額の費用が必要である。更新も許可される場合がある。

(3)譲渡及び担保権

建設権は売買、交換、資本参加、贈与、相続という方法で譲渡が可能。また、抵当権を設定することにより借入保証にすることもできるが、抵当権は建設権の消滅と同時に失効する。

(4)義務規定:建設権者の義務としては主に以下のとおり。

Ø 建設権供与決定に記載された金額と支払方法での納入金の支払い

Ø 建設権供与決定並びに供与契約に定められた使途と条件に従い土地を利用

Ø 土地・建物を良好な状態に維持し環境を保護すること

(土地がその地形上、環境上から他の土地、道路や水路を閉じ込めるような結果になった場合は何らかの解決策をとらなくてはならない。また、地域社会の利害にも十分に配慮する必要がある)

Ø 権利消滅後は速やかに国/運用権者/所有権者へ土地を返還すること

Ø 権利消滅後の権利書の土地管理当局への返却すること

(5)権利の消滅:

次の場合、建設権は消滅し、土地は国/運用権者/所有権者へ返還される。

Ø 建設権の有効期間満了

Ø 条件を満たさない/あるいは、上記義務の不履行/あるいは、裁判所の判決による/あるいは、1961年9月26日付第20号土地とその上物の権利取消法に基づき/あるいは、公共目的のため期間途中で事業権が取り消された場合

Ø 期間途中で事業権者が自主的に手放した場合

Ø 土地が放置された場合

Ø 土地が処分された場合

Ø 建設権者がそのステータスを変更した場合その建設権は1年以内に条件を満たした者に譲渡する必要があるにも係わらず、1年以内に譲渡しなかった場合

建設権が放棄され延長や更新がなされなかった場合は、その最終権利保有者は土地にある建 造物を取り壊し土地を国に返還しなければならない。当該土地の上に建つ建造物や作物/物件が引き続き必要とされた場合には、大統領決定で規定される形態と金額で補償が与えられる。

1-4.使用権

国有地、運用権が供与された土地、個人所有権の土地を使用する権利である。

(1)権利の保有者:

使用権を取得できるのは、インドネシア国籍者、インドネシアの法律に則ってて設立されインドネシアに所在する法人、中央政府機関と地方政府、宗教・社会団体、インドネシアに居住する外国人、インドネシアに代表部を有する外国法人、国際機関と外国政府のインドネシア代表部。

使用権者がそのステータスを変更した場合、その使用権は条件を満たした者に譲渡する必要があり、1年以内に譲渡しない場合その土地は政府に戻される。

(2)有効期限:

国有地、運用権が供与された土地の場合、同一目的に使用される限り、原則最長25年、さらに最長20年の延長が可能であり更新も可能。個人所有権者の土地上の使用権は最長25年で延長はできないが、証書化した合意により新規の使用権として更新することはできる。

(3)譲渡・担保権:

使用権は売買、交換、資本参加、贈与、相続という方法で譲渡が可能。但し、個人所有権者の土地上の使用権は、土地使用契約書に規定する場合に限り譲渡可能。

また、全ての使用権は抵当権を設定することにより借入保証にすることができるが、抵当権は使用権の消滅と同時に失効する。

(4)義務規定:使用権者の義務は主に以下のとおり。

Ø 建設権供与決定、運用権の土地使用契約書、所有権者との使用権供与契約に記載された金額と支払方法での納入金の支払い

Ø 建設権供与決定、運用権の土地使用契約書、所有権者との使用権供与契約に定められた使途と条件に従って土地を利用

Ø 土地とその上に建つ建物を良好な状態に維持し環境を保護すること

Ø 権利消滅後は速やかに国/運用権者/所有権者へ土地を返還すること

Ø 権利消滅後の権利書の土地管理当局への返却すること

(5)権利の消滅:

次の場合、使用権は消滅し、土地は国/運用権者/所有権者へ返還される。

Ø 使用権の有効期間満了

Ø 条件を満たさない/あるいは、上記義務の不履行/あるいは、裁判所の判決による/あるいは、1961年9月26日付第20号土地とその上物の権利取消法に基づき/あるいは、公共目的のため期間途中で事業権が取り消された場合

Ø 期間途中で事業権者が自主的に手放した場合

Ø 土地が放置された場合

Ø 土地が処分された場合

Ø 使用権者がそのステータスを変更した場合その使用権は1年以内に条件を満たした者に譲渡する必要があるにも係わらず、1年以内に譲渡しなかった場合

使用権が放棄され延長や更新がなされなかった場合は、その最終権利保有者は土地にある建造物を取り壊し土地を国に返還しなければならない。当該土地の上に建つ建造物や作物/物件が引き続き必要とされた場合には、大統領決定で規定される形態と金額で補償が与えられる。

1-5.運用権

上記のほか、土地台帳に登記され、権利書が発行される権利として次のものがある。

運用権は、1965年12月6日付第9号土地大臣規定で追加されたもので、国が省庁や総局など政府機関に提供した土地を、その利用のために当該政府機関が第三者に提供する場合に、その土地について当該政府機関に土地管轄大臣が供与する権利である。ジャカルタのアンチョール(娯楽施設)やバタム島などがその一例である。

運用権を認められた者には次のような権限が認められる。

(1)当該地の用途・使用目的を計画すること

(2)当該地を用途・使用目的の為に使用すること

(3)当該地の一部を第三者に対し6年間の使用権で委任すること

(4)収入・賠償・年次納入金の形で資金を受領

特に(3)については次のような規制が設けられている。

Ø 委任できる面積は最大1千平方メートル

Ø 被委任者はインドネシア国籍者およびインドネシアの法律に従い設立されインドネシアに所在する法人に限り、委任は1回だけ認められる。

登記が定められているのは有効期間が5年を超える運用権で、有効期間について特に定めのない場合は5年以上と見なされる(登記規定については1966年1月5日付第1号土地大臣規定に定めがある。

すみれ

「使用権と運用権があるんだ。」

1-6.ストラータ・タイトル

アパートなどで建物全体を入居世帯で分割し、そのユニット・ロットを所有する形態では、ストラータ・タイトル(Strata Title)が採用されている。法令では「共同所有地の権利とその上の建築物の区分所有」(Hak atas Tanah Kepunyaan Bersama dan Pemilikan Bagian-Bagian Bangunan Yang Ada di Atasnya)に相当する。

ストラータ・タイトルの権利書発行については、1975年12月3日付第14号内務大臣規定で、「共同所有地の権利」とは、2人以上/2つ以上の法人が共同で所有する土地の権利とされており、このような土地の上に建つ建築物が区分所有される場合に、これら各所有についての権利書を発行することとなっている。

登記手順については、1977年10月29日付第4号内務大臣規定に定めがある。

2.外国人の不動産手続きの留意点

2-1.外国人の定義

1996年第40号政令から解釈すると、外国人(個人)とはインドネシア国籍ではなく外国籍を有する者のことで、インドネシアに居住する外国籍者、さらに1985年12月31日付第16号アパート法第8条(1)の注釈によれば、インドネシア国籍のほかに外国籍も有する二重国籍者もまた外国人に含まれる。例えば、インドネシア人と結婚してインドネシア国籍を取得した外国人は、元の外国籍を完全に手放してインドネシア国籍のみになっていれば外国人とはならないが、元の外国籍が残っていれば二重国籍になるので外国人の範疇となる。

また、「外国法人」とはインドネシアの法律に則り設立されたものでない、つまり外国の法律に則り設立された会社等を指すもので、インドネシアに駐在員事務所などを有して会社が「外国法人」と見なされる。逆に、株式会社PTの形で設立された外国投資(PMA)会社はインドネシアの法律に則り設立された会社であるので、外国法人ではなくインドネシア法人である。インドネシアの法律に従って設立されたかどうかがポイントであって、出資比率は基準とはならない。

外国人/法人が所有できるのは原則、使用権の付された土地のみ。アパートの所有も、アパートが建つ土地の権利が使用権でない限り認められない。1996年6月17日付第41号政令、1996年10月7日付第7号土地担当国務大臣/国土庁長官決定(1996年10月15日付第8号土地担当国務大臣/国土庁長官決定で一部変更)に詳しく規定されている。

なお、国際機関のインドネシア事務所や大使館のような在インドネシア外国代表部も外国人の範疇であるが、使用権の有効期間は使用に供される限りなど特別措置がある。

2-2.不動産登記手続きの流れ

不動産登記制度は、1997年7月8日付第24号政令及び実施細則1998年第37号政令、1997年10月1日付第3号土地担当国務大臣/国土庁長官規定に基づいている。

(1)関連書類の審査

希望の土地・建物が決まると、土地の権利書、土地所有/占有者によって納められる土地保有税(PBB)の納付証明(少なくとも過去5年間)、所有者の身分証明書(KTP)/家族証明(KK、土地の売買には配偶者の同意が必要)/婚姻証明(以上 所有者が個人の場合)

すみれ

「夫婦の物か。」

/会社定款/当該土地売却について決議した株主総会議事録(RUPS)/事業許可(SIUP等)/商業省の会社登録証(TDP)、以上 所有者が法人の場合/納税者番号(NPWP) 個人・法人共通、その他 電気・水道・電話代の支払い証明(最新月のもの)など必要書類を提示のうえ、チェックを受ける。

(2)価格・条件等の交渉

取引価格や支払い方法、完済時期のほか、売主の所得税・買主の名義変更料の負担をどうするか、土地譲渡証書を作成する土地証書作成官は誰にするかなどを決定する。(売主・買主どちらかでも法人の場合、特に交渉・決定内容を覚書の形で残しておくことが望ましい)

(3)土地証書作成官による土地権利書の確認

土地権利書が土地証書作成官に預けられ、権利書に不正や不足がないかどうか、当該の土地を管轄する国土庁事務所にてチェックされる。

(4)所得税・名義変更料の納付

権利書が真正であることが確認された後、所得税・名義変更料を納める。課税基礎額は実際の土地取引価格または政府が毎年定める土地課税対象販売価格(NJOP)のうち高い方が適用される。税率は所得税・名義変更料とも5%で、名義変更料は当該地域の定める非課税額(ジャカルタの場合は現在Rp60,000,000)を控除した額に5%をかける。

(5)土地譲渡証書の作成

所得税・名義変更料の納付証明を確認後、土地譲渡証書(AJB)が作成される。

Ø 代金の完済

Ø 証書署名(完済が確認されて初めて土地譲渡証書に双方が署名し、売買成立)

Ø 権利書の名義変更

土地譲渡証書と土地権利書、土地保有税の過去5年間の納付証明コピー等を当該土地を管轄する国土庁事務所で名義変更する。土地譲渡証書を作成した土地証書作成官に依頼するのが一般的で、費用は土地取引代金の1%前後が多いが、地価や取引面積などによる。所要期間は最低でも1ヶ月。

なお、上記は代金一括完済の場合の手順であり、分割払いの場合は、土地権利書が国土庁事務所にて真正であることを確認後に、土地売買契約証書(土地譲渡証書は完済後)に売主・買主双方が署名する。分割払い回数は通常3~5回。完済後に所得税・名義変更料を納めて、初めて土地譲渡証書への署名となり、権利書名義変更手続きに移る。

2-3.不動産法制度の現状と問題点

土地基本法(1960年制定)ほか一連の土地建物に関する法令は古いものが多く、投資に関しても未だ2007年4月26日付第25号投資法で失効となった1967年第1号外国投資法を参照したままで、新投資法と古い土地関連法令との整合性の欠如が指摘されている。

例えば、1980年3月20日付第23号大統領令でインドネシア出資者と外国出資者との合弁による外国投資(PMA)企業の場合、事業権取得の申請はインドネシア側出資者が行い、インドネシア側出資者の名義で権利登記され、この名義人が合弁事業に対し土地使用委任の形をとることで事業に使用することができるとされているが、これは100%外資企業が認められなかった時代の法令であり、100%外資企業設立が認められている今日では、事業権が外国投資(PMA)企業に上記条件で認められるかどうか、法的裏付けが求められる。

また、2007年第25号投資法では、外国投資と国内投資に対する土地取得の便宜について次のように定めており、土地基本法ほか関連法令との整合性に不安が残るとされている。

第22条

1) 土地に対する権利の取得は、下の2)の条件を満たす場合には事前に延長/更新分を一括して供与ができ、投資家の申請に応じて再更新も受けることができる。

a. 事業権は、事前に延長分を含め60 年で取得し、さらに35 年更新の方法で、合計95年供与できる

b. 建設権は、事前に延長分を含め50 年で取得し、さらに30年更新の方法で、合計80年供与できる

c. 使用権は、事前に延長分を含め45 年で取得し、さらに25 年更新の方法で、合計70年供与できる

2) 上記の土地に対する権利の延長分まで一括供与できるのは、以下の条件による。

a. 長期的でインドネシアの競争力を高める経済構造変化に関連する投資

b. 投資分野に応じ、投資回収に長期間を要するリスクレベルにある投資

c. 広いエリアを必要としない投資

d. 国有地に対する権利を利用する投資

e. 社会の公平感を阻害せず、公益を害しない投資

3) 土地の権利の一括付与・更新に関して、投資会社が土地の利用に違反した場合、これを停止又は取り消すものとする。

憲法裁判所はこれら上記の一括権利供与を違憲とする判決を下している(2008年3月)が、その後の法規定改正等は行われていない。

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。」

ベトナム社会主義共和国 2020 年を目標とする法・司法改革支援プロジェクト (PHAP LUAT 2020)より

2016年加工

2020 年を目標とする法・司法改革支援プロジェクト (PHAP LUAT 2020)より

国会 ベトナム社会主義共和国

法律番号:91/2015/QH13 独立・自由・幸福

民法典

ベトナム社会主義共和国憲法に基づき, 国会は民法典を発行する。

第四編 相続

第XXI章 総則

第609条 相続権

個人は自己の財産の処分のために遺言を作成し,法令に基づいて相続人に自己の財産を残し,遺言又は法令に基づいて遺産を享受する権利を有する。

個人でない相続人は遺言に従って遺産を享受する権利を有する

第610条 個人の相続に対する平等権

すべての個人は,自己の財産を他人に残す権利,遺言又は法律に基づいて遺産を享受する権利に関して平等である。

第611条 相続開始の時点・場所

1. 相続開始の時点は,財産を有する者が死亡した時点である。裁判所が人の死亡宣告をした場合,相続開始の時点は,本法典第71条2項で確定される日である。

2. 相続開始の場所は,遺産を残した者の最後の居所である。最後の居所が確定されない場合,相続開始の場所は,遺産の全部がある場所又は大部分がある場所である。

第612条 遺産

遺産は,死亡した者の固有の財産,他人との共有財産のうち死亡した者の財産持分から構成される。

第613条 相続人

個人である相続人は,相続開始時点において生存している者又は遺産を残した者が死亡する前に胎児となって相続開始時点の後に出生し生存している者でなければならない。遺言に基づく相続人が個人でない場合,相続開始時点において存在していなければならない。

第614条 相続人の権利と義務の発生時点

相続開始時点から,相続人は死亡した者が残した財産に対する権利,義務を有する。

第615条 死亡した者の残した財産的義務の履行

1. 他の合意がある場合を除き,相続人は,死亡した者の残した財産の範囲内で財産的義務を履行する責任を負う。

2. 遺産が分割されていない場合,死亡した者の残した財産的義務は,遺産管理者によって,死亡した者の残した財産の範囲内で,各相続人との合意に基づいて履行される。

3. 他の合意がある場合を除き,遺産が分割された場合,各相続人は,死亡した者の残した財産的義務を,自己が受け取った財産部分を超えないように履行する。

4. 個人でない相続人が遺言に基づいて遺産を享受する場合,個人の相続人と同じように死亡した者の残した財産的義務を履行しなければならない。

第616条 遺産管理者

1. 遺産管理者は,遺言により指定された者又は各相続人との合意により選定された者である。

2. 遺言で遺産管理者を指定せず,各相続人がまだ遺産管理者を選定できない場合,遺産を占有し,使用し,管理している者は,各相続人が遺産管理者を選定できるまで,その遺産を引き続き管理する。

3. この条第1項及び第2項の規定に基づき相続人がまだ確定されず,遺産管理者がまだいない場合,その遺産は権限のある国家機関によって管理される。

第617条 遺産管理者の義務

1. 本法典第616条1項,3項に規定する遺産管理者には,次の義務がある。

a) 遺産のリストを作成する;法律の他の規定がある場合を除き,他人に占有されている,死亡した者の遺産に属する財産を回収する。

b) 遺産を保管する;文書による各相続人の同意を得なければ,財産の売却,交換,贈与,質入れ,抵当の設定又はその他の形式による財産の処分をすることができない。

すみれ

「日本の遺言執行者とは、また違うみたい。」

c) 各相続人に遺産の状態について通知する。

d) 自己の義務に違反して損害を加えた場合,損害を賠償する。

đ) 相続人の請求に基づき遺産を引き渡す。

2. 本法典第616条2項に規定する遺産の占有者,使用者,管理者には,次の義務がある。

a) 遺産を保管する;財産の売却,交換,贈与,質入れ,抵当の設定又はその他の形式による財産の処分をすることができない。

b) 各相続人に遺産について通知する。2020年を目標とする法・司法改革支援プロジェクト(PHAPLUAT2020)

c)自己の義務を違反して損害を加えた場合,損害を賠償する。

d)遺産を残した者との契約による合意又は相続人の請求に基づき遺産を引き渡す。

第618条遺産管理者の権利

1. 本法典第616条1項,3項に規定する遺産管理者は,次の権利を有する。

a) 相続財産に関係する第三者との関係において相続人を代理する。

b) 各相続人との合意により報酬を得る。

c)遺産の保管費用の支払いを受ける。

2. 本法典第616条2項に規定する遺産の占有者,使用者,管理者は次の権利を有する。

a) 遺産を残した者との契約による合意又は相続人の同意に基づき,遺産を引き統き使用することができる。

b) 各相続人との合意に基づき報酬を得る。

c)遺産の保管費用の支払いを受ける。

3.各相続人間で報酬額について合意に達しない場合,遺産管理者は合理的報酬額を得る。

第619条同時点に死亡した互いの遺産の相続権を有する複数の者の相続

互いの遺産の相続権を有する複数の者が,同時点で共に死亡したか,いずれの者が先に死亡したか確定できないことにより同時点に死亡したと見なされる場合(以下,「同時点で共に死亡した」と総称する。),それらの者は,互いの遺産を相続することができない。各自の遺産は,その者の相続人によって受け取られる。ただし,本法典第671条の規定に基づく代襲相続の場合を除く。

第620条遺産受領の拒否

1. 相続人は,遺産の受領を拒否する権利を有する。ただし,その拒否が他人に対する自己の財産に関する義務の履行を逃れる目的である場合を除く。

2. 遺産受領の拒否は,文書によりなされ,周知のため遺産管理者,他の各相続人,遺産分割の任務を引き受ける者に通知されなければならない。

3. 遺産受領拒否は,遺産分割前に表明されなくてはならない。

すみれ

「相続放棄のようなものかな。」

第621条遺産を享受する権利のない者

1. 次の者は,遺産を享受する権利がない。

a) 遺産を残した者に対する故意による生命・健康の侵害行為又は著しく苛め,虐待する行為,その者の名誉,人格を著しく侵害する行為に関して有罪判決を受けた者

b) 遺産を残した者に対する扶養義務に著しく違反した者

c)他の相続人が享受する権利のある遺産の一部又は全部を得る目的で,他の相続人の生命を故意に侵害した行為に関して(有罪)判決を受けた者

2020年を目標とする法・司法改革支援プロジェクト(PHAPLUAT2020)

d)遺産を残した者の意思に反して遺産の一部又は全部を得る目的で,遺言の作成において,遺産を残した者に対して詐欺,強追又は妨害;遺言の偽造,遺言の変造,遺言の破損,遺言の隠匿をする行為をした者

2. 遺産を残した者が,この条1項に規定する者の行為を知っているが,そのまま遺言に従って遺産をそれらの者に提供する場合は,それらの者は,遺産を享受する。

第622条実際に相続する者4がいない財産

遺言,法令に従った相続人がいない場合,又は相続人がいるが,遺産を享受する権利がないか,遺産の受領を拒否する場合,財産に関する義務を履行した後に残った,実際に相続する者がない遺産は国家に属する。

第623条相続の時効

1. 相続人の分割請求の時効は相続開始から不動産につき30年,動産につき10年である。この期間が満了したときは,遺産はその遺産を管理している相続人に属する。遺産を管理している相続人がいない場合,遺産は次のように解決される。

a) 本法典236条の規定に基づき遺産を占有する者の所有権に属する。

b) この項第a号に規定する占有者がいない場合は,遺産は国家に属する。

2.相続人が自らの相続権の確認又は他人の相続権の否認を請求する時効は,相続開始から10年である。

3.相続人に対する死亡した者が残した財産についての義務履行請求権の時効は,相続開始から3年である。

第XXII章遺言による相続

第624条遺言遺言は,死亡時に,他人に自己の財産を移転することを目的とする個人の意思を表明するものである。

第625条遺言者

1. 本法典第630条1項a号の規定に従った条件を十分に備える成年者は,自分の財産を決定するため遺言をする権利を有する。

2. 満十五歳から十八歳未満の者は,遺言をすることにつき父,母,又は後見人の同意を得たときは,遺言をすることができる。

第626条 遺言者の権利

遺言者は,次の権利を有する。

1. 相続人を指名する。相続人の遺産を享受する権利を排除する。

2. 各相続人に対する遺産の分け前を決める。

3. 遺贈,祭祀のために遺産における財産の一部を保存する。

4. 相続人に義務を引き受けさせる。

5. 遺言保管者,遺産管理者,遺産分割者を指名する。

第627条 遺言の形式

遺言は文書によりなされなければならない;文書により遺言することができないときは,口頭で遺言することができる。

第628条文書による遺言

文書による遺言は,次のものからなる。

1. 証人のない文書による遺言

2. 証人のある文書による遺言

3. 公証された文書による遺言

4. 確証された文書による遺言

第629条 口頭による遺言

1. ある者が,死亡の危急に迫っており,文書による遺言をすることができない場合,口頭による遺言をすることができる。

2. 口頭による遺言をした時点から3か月の後,遺言者が存命で意識がはっきりする場合,口頭による遺言は当然取り消される。

第630条 合法的な遺言

1. 合法的な遺言は,次の条件を満たすものである。

a) 遺言者は,遺言作成時において,意識がはっきりしていて,詐欺,強迫,強制を受けていない。

b) 遺言の内容が法律の禁止事項に違反せず,社会道徳に反しない。遺言の形式が法律の規定に反しない。

2. 満十五歳から満十八歳未満の者の遺言は,文書によりなされなければならず,父,母,あるいは後見人の遺言作成についての同意を得なければならない。

3. 身体障害者又は識字できない者の遺言は,証人が文書で作成して,公証あるいは確証されなければならない。

4. 公証,確証のない文書による遺言は,この条第1項に規定される各条件を全て満たす場合に限り,合法的と看做される。

5. 口頭で遺言をする者が少なくとも二人の証人の前で最後の意思を表明して,その表明の日の後に証人が筆記してその文書に共に署名するか又は指印を押した場合,その口頭による遺言は,合法的なものと看做される。口頭で遺言をする者が最期の意思を表明した日から5営業日以内に,遺言は公証人あるいは確証権限を有する機関により証人の署名又は押印を確認されなくてはならない,

第631条 遺言の内容

1. 遺言は,次の主要な各内容からなる。

a) 遺言をした年月日

b) 遺言者の氏名と居所

c) 遺産を受領する,個人の氏名,機関,組織の名称

d) 残した遺産と遺産の存在場所

2. この条第1項で規定する各内容のほか,遺言はその他の各内容を有することができる。

3. 遺言を略字や記号で書くことはできない。遺言が複数の頁により構成されているときは,各頁に番号を記し,遺言者が署名又は指印する。

遺言が消去,修正された場合,遺言を自ら書いた者又は遺言の証人は,消去,修正の隣に,名前を記載しなければならない。

第632条 遺言の証人

次の場合を除き,何人も遺言の証人となることができる。

1. 遺言者の遺言又は法令による相続人

2. 遺言の内容に関係する財産の権利,義務を有する者

3. 未成年者,民事行為能力喪失者,行為認識制御困難者

第633条 証人のいない文書による遺言

遺言者は,自筆で遺言書を書き,署名しなければならない。

証人のいない文書による遺言は,本法典第631条の規定を遵守しなければならない。

第634条 証人のいる文書による遺言

遺言者が自筆で遺言書を書かない場合,遺言書を自らタイプ打ちをする,又は他人に書くこと若しくはタイプ打ちをすることを依頼することができるが,少なくとも二人の証人がいなければならない。遺言者は,証人の面前で遺言書に署名し,又指印をしなければならない。証人は,遺言者の署名又は指印を確認し,その遺言書に署名する。

証人のいる文書による遺言をするにあたっては,本法典第631条及び第632条の規定を遵守しなければならない。第635条 公証又は確証のある遺言

遺言者は,遺言書の公証又は確証を請求することができる。

第636条 公証営業組織又は社級人民委員会における遺言の作成の手続

公証営業組織又は社級人民委員会における遺言の作成は,次の手続を遵守しなければならない。

1. 遺言者は,公証人又は社級人民委員会の確証権限者の前で,自分の遺言の内容を宣言する。公証人又は社級人民委員会の確証権限者は,遺言者が宣言した遺言の内容を書き取らなければならない。遺言書が,正確に書き取られ,自分の意思が適切に表明されたことを確認した後,遺言者は,その遺言書に署名し,又は指印を押す。公証人又は社級人民委員会の確証権限者は,遺言書に署名する。

2. 遺言者が遺言書を読めない,又は聞けない,署名できない,指紋を押すことができない場合,証人を依頼し,その証人は,公証人又は社級人民委員会の確証権限者の面前で,確認署名をしなければならない。公証人又は社級人民委員会の確証権限者は,遺言者及び証人の面前で遺言書を認証する。

第637条 遺言を公証し,確証することのできない者

公証人,社級人民委員会の確証権限者が次の各場合のいずれかに属する場合,遺言を公証し,確証することができない。

1. 遺言者の遺言又は法令に基づく相続人

2. 遺言又は法令に基づく相続人である父,母,妻又は夫,子がいる者

3. 遺言の内容に関係する財産の権利,義務を有する者

第638条 公証され,確証された遺言と同一の価値を有する文書による遺言

1. 公証又は確証を請求することができない場合に,大隊以上の隊長に確認される軍人の遺言

2. 船,飛行機に乗っている者の,その船,飛行機の長によって確認される遺言

3. 病院,治療施設,その他静養施設で治療している者の,病院,施設の責任者に確認される遺言

4. 山岳地帯,島嶼部において考察,探査,研究をしている者の,部門責任者によって確認される遺言

5. 外国滞在中のベトナム人の,その国のベトナムの領事機関,外交代表者に承認される遺言

すみれ

「これはベトナムの人にとっては良いかも。」

6. 臨時的に拘置されている者,暫定留置されている者,監獄にいる者,教育施設, 治療施設において行政処罰措置を受けている者の,その施設の責任者に確認される遺言

第639条 公証人によって遺言者の所在地で作成される遺言

1. 遺言者は,公証人に対し,自己の所在地に来て遺言を作成するよう請求することができる。

2. 遺言者の所在地で作成する手続は,本法典第636条の規定に基づき公証営業組織における手続と同じように行われる。

第640条 遺言の修正,補充,代替,撤回

1. 遺言者は,いつでも遺言を修正し,補充し,代替し,撤回することができる。

2. 遺言者が遺言を補充する場合,作成済みの遺言と補充した部分は,同等の法的効力を有する。作成済みの遺言の一部と追加した部分が矛盾するときは,追加した部分のみ,法的効力を有する。

3. 遺言者が新遺言を遺言に代替する場合,前の遺言は撤回される。

第641条 遺言の寄託

1. 遺言者は,公証営業組織に対し,遺言書を保管するか,他者に遺言を寄託するよう請求することができる。

2. 公証営業組織が遺言書を保管する場合,本法典又は公証に関する法令の規定に基づき保管,保存しなければならない。

3. 遺言書を保管する者は,次の義務がある。

a) 遺言の内容の秘密を保持する。

b) 遺言書を保存,保管する;遺言書を紛失し,破損した場合,遺言者に直ちに通知しなければならない。

c) 遺言者が死亡した時,遺言書を相続人又は遺言を公表する権限を有する者に引き渡さなければならない。遺言書の引渡しは,文書によりなされなければならず,少なくとも二人の証人の前で,引渡人と受取人に署名される。

すみれ

「コピーはもらえないのかな。」

第642条 紛失し,破損した遺言

1. 相続開始の時点以降,遺言書が紛失又は破損して,遺言者の意思が十分に表明することができず,遺言者の願望を事実どおりに証明する証拠がない場合,遺言がないと看做され,法定相続に関する規定を適用する。

2. 遺産がまだ分割されないうちに遺言が見つかった場合,遺産は,その遺言に従って分割される。

3.遺産分割請求の時効期間経過前で,遺産分割後に遺言を見つけた場合,遺言に従った相続人が請求すれば,遺言に従って再分割しなければならない。

第643条 遺言の効力

1. 遺言は,相続開始の時点から効力を有する。

2. 遺言は,次の場合において,全部又は一部の効力を有しない。

a) 遺言に従った相続人が,遺言者より前に又は同時に死亡した

b) 相続人であると指定された組織,機関が相続開始時に存在しない。

遺言に従った相続人が複数いるが,その中に遺言者より前に若しくは同時に死亡した相続人がいる,又は遺言に従った相続人であると指定されたいずれかの機関,組織が相続開始時に存在しない場合,その個人,機関,組織に関係する遺言の部分のみが効力を有しない。

3. 相続人に残された遺産が相続開始の時点において存在しない場合,遺言は効力を有しない;相続人に残された遺産の一部だけが存在する場合,存在する遺産に関する遺言の部分は効力を有する。

4. 遺言に合法でない部分があるが,残りの部分に影響を与えない場合,その合法でない部分のみが効力を有しない。

5. 一人の者が,一つの財産に対して複数の遺言書を残した場合,最後の遺言書のみが効力を有する。

第644条 遺言の内容にかかわらない相続人

1. 遺言者から遺産を享受させてもらえない又は遺産が法律に基づき分割された際の法定相続人の一人分の三分の二より少ない遺産の分しか享受することができない場合,次の者は,法定相続人の一人分の三分の二と同等の遺産の分を享受することができる。

a) 未成年の子,父,母,妻,夫

b) 成年者となっているが,労働能力がない子

2.この条1項の規定は,本法典第620条の規定に基づき遺産受領を拒否した者,又は第621条1項の規定に基づき遺産を享受する権利を有しない者に対しては適用されない。

第645条 祭祀に用いられる遺産

1. 遺言者が遺産の一部を祭祀用に残した場合,その遺産の分は相続の対象にならず,遺言で指定された者に引き渡され,祭祀のために管理される;指定された者が遺言を適切に,又は各相続人の合意に基づいて実施しない場合,各相続人は,祭祀用の遺産を祭祀のために管理するその他の者に引き渡す権利を有する。

遺言者が祭祀用の遺産管理者を指定しない場合,各相続人は,祭祀用の遺産管理者を選任する。

遺言に従った相続人全てが死亡した場合,祭祀用の遺産は,法定相続人の中でその遺産を合法的に管理している者に属する。

2. 死亡した者の全財産がその者の財産義務を精算するのに十分ではない場合,祭祀用の遺産を残すことができない。

第646条 遺贈

1. 遺贈とは,その他の者に贈与するために,遺言者が遺産の一部を残すことである。遺贈は遺言に明確に記載されなければならない。

2. 受遺者が個人の場合,相続開始時点において生存している又は遺産を残した者が死亡する前に胎児になって相続開始の後に出生し生存していなくてはならない。受贈者が個人でない場合,相続開始時点で存在していなくてはならない。

3. 受遺者は,遺贈される遺産の分に対する財産義務を履行しなくてもよい。遺言者の全財産が遺言者の財産義務を精算するのに不足している場合,遺贈用の遺産は遺言者の残りの義務履行に用いられる。

第647条 遺言の公表

1. 文書による遺言が公証営業組織に保管される場合,公証人が遺言の公表者となる。

2. 遺言者が遺言の公表者を指定した場合,その者は遺言を公表する義務を負う;遺言者が遺言の公表者を指定しない又は指定したが指定された者が遺言の公表を拒否する場合,残りの相続人が合意により遺言公表者を選定する。

3. 相続が開始した後,遺言の公表者は,遺言を複写して,遺言の内容に関係するすべての者に送付しなければならない。

4. 遺言の写しを受け取った者は,遺言の原本との対照を請求する権利を有する。

5. 遺言が外国語で作成される場合,その遺言書はベトナム語に翻訳され,公証又は確証されなければならない。

第648条 遺言の内容の解釈

遺言の内容が明確でなく,相互に異なる複数の理解方法がある場合,遺言に従った相続人は,死亡した者の生前の事実どおりの願望に基づき,死亡した者と遺言による相続人との関係を考慮して,遺言の内容を解釈する。それらの者が,遺言の内容の理解方法について一致しないときは,裁判所に対し,解決を請求する権利を有する。

遺言の内容の一部を解釈することができないが,遺言の残りの部分に影響を与えないときは,解釈できない部分のみが無効となる。

第XXIII章 法定相続

第649条 法定相続

法定相続は,法令が規定する相続の順位,条件と相続の順番に従った相続のことである。第650条 法定相続のいくつかの場合

1. 法定相続は,次の場合に適用される。

a) 遺言がない。

b) 遺言が合法でない。

c) 遺言による相続人が全員遺言者より前に死亡した又は遺言者と同じ時点で死亡した;遺言による相続人である機関,組織が相続開始の時点において存在しない。

d) 遺言による相続人と指定された者が遺産を享受する権利を有しない又は遺産受領を拒否した。

2. 法定相続は,次の遺産の部分に対しても適用される。

a) 遺言において処分されない遺産の部分

b) 遺言の無効な部分に関係する遺産の部分

c) 遺産を享受する権利を有しない,又は遺産の受領を拒否した,遺言者より前又は同じ時点で死亡した遺言による相続人;相続開始の時点において存在しない,遺言により遺産を享受する機関,組織,に関係する遺産の部分。

第651条 法定相続人

1. 法定相続人は,次の順序に従って規定される。

a) 第一相続順位は,死亡した者の配偶者,実父,実母,養父,養母,実子,養子からなる。

b) 第二相続順位は,死亡した者の父方の祖父母,母方の祖父母,実の兄弟姉妹,父方の祖父母,母方の祖父母である死亡した者の実孫からなる。

c) 第三相続順位は,死亡した者の曾祖父母,死亡した者の伯父・伯母,叔父・叔母,死亡した者の実の甥・姪,死亡した者の実の曾孫からなる。

2. 同じ相続順位にある複数の相続人は,相互に均等の遺産部分を享受する。

3. 死亡したか,遺産を享受する権利を有しないか,相続権を取り消されたか,遺産の受領を拒否したかの理由で先相続順位の者がいない時にのみ,次相続順位の者は相続を享受することができる。

第652条 代襲相続

遺産を残した者の子が,遺産を残した者より先に死亡した又は同時に死亡した場合,遺産を残した者の孫は,自分の父又は母が存命していれば享受する遺産の部分を享受することができる;遺産を残した者の孫も,遺産を残した者より先に死亡した又は同時に死亡した場合,曾孫は,自分の父又は母が存命していれば享受する遺産の部分を享受することができる。

第653条 養子と養父,養母と実父母との相続関係

養子と養父,養母は,互いの財産を相続することができ,また本法典第651条,第652条の規定に基づき遺産を相続することもできる。

第654条 継子と継父,継母との相続関係

継子と継父,継母は,親子のように面倒をみて,扶養している関係であるときは,互いの財産を相続することができ,加えて本法典第652条,第653条の規定に基づき遺産を相続することもできる。

第655条 妻,夫が共有財産を既に分割した;妻,夫が離婚申請中である,又は他の者と結婚した場合における相続

1. 婚姻している間に妻,夫が共有財産を既に分割し,その後,一方が死亡した場合,存命者は,遺産を相続することができる。

2. 妻,夫が離婚申請中であるが未確定である又は離婚を認めた裁判所の判決,決定に法的効力が生じていない間に,一方が死亡したときは,存命者は,遺産を相続することができる。

3. 死亡した者の寡掃又は寡夫は,別の者と結婚しても遺産を相続することができる。

第XXIV章 遺産の精算と分割

第656条 相続人の集合

1. 相続開始が通知された,又は遺言が公表された後,相続人は,次のことを合意するために集合することができる。

a) 遺産を残した者が遺産管理人と遺産分割人を指定しない場合,遺産の管理人と遺産の分割人の選定,それらの者の権利と義務の確定

b) 遺産の分割方法

2. 相続人の全ての合意は,文書によりなされなければならない。

第657条 遺産分割人

1. 遺産分割人は,同時に,遺言で指定された又は相続人の合意によって選定された遺産管理人であってもよい。

2. 遺産分割人は,遺言どおりに,又は法定相続人の合意どおりに,遺産を分割しなければならない。

3. 遺産を残した者が遺言で許可した,又は相続人の合意がある場合には,遺産分割人は報酬を受け取ることができる。第658条 精算優先順位

財産義務及び相続に関する費用は,次の順序に従って精算される。

1. 慣習に従って死亡した者の埋葬にかかる合理的な費用

2. 未済の扶養料

3.遺産の保管費用

4. 死亡した者に依存している者に対する支援金

5. 労働賃金

6. 損害賠償金

7. 税金,国家予算に納入しなければならない他の金額

8. 個人,法人に対するその他の債務

9. 罰金

10. その他の各費用

第659条 遺言による遺産の分割

1. 遺産の分割は,遺言者の意思に基づいて行われる;遺言が相続人ごとの相続分を明確に確定していないときは,遺産は,遺言に指定された者に対して均等に分割される。ただし,他の合意がある場合を除く。

2. 遺言が現物による遺産の分割を確定している場合,相続人は,現物とその現物から生じる天然果実と法定果実を受け取るものとし,現物が遺産分割の時点で価値が滅少していてもその現物を引き受けなければならない;他人の故意過失によって現物が滅失した場合,相続人は,損害賠償を請求する権利を有する。

3. 遺言が財産の総価値に対する比率で遺産の分割のみを確定している場合,この比率は,遺産の分割時点における遺産の残存価値に基づいて決められる。

第660条 法令による遺産の分割

1. 遺産を分割するとき,同相続順位の相続人が胎児で未出生であっても,他の相続人の享受する分と同じ遺産の部分を取っておかなければならない。その相続人が出生後も生きていれば,その遺産の分を享受する。出生前に死亡したならば,他の相続人が享受する。

2. 相続人は,遺産の現物分割を請求する権利を有する;現物で均等に分割できない場合,相続人は,現物を価格鑑定すること及び現物を受け取る者について合意することができる;合意できなければ,現物は売却され,分割される。

第661条 遺産分割の制限

遺言者の意思又は相続人の全ての合意により,遺産が一定期間の後に分割される場合,その期限が満了した後にのみ,遺産は分割される。

遺産相続の分割請求で,遺産分割が存命している妻又は夫及びその家族の生活に著しく影響を与える場合,存命当事者は,裁判所に対し,相続人が享受する遺産の部分の確定と一定期間において分割させないよう請求する権利を有する。この期限は相続開始の時点から

3年を超えない。3年の期限が満了しても,存命当事者は,遺産分割が依然として家族の生活に著しく影響を与えることを証明することができれば,裁判所に対し,3年を超えない期間の一回延長を請求することができる。

第662条 新しい相続人が出現する又は相続権が取り消される相続人がいる場合の遺産の分割

1. 遺産の分割後,新たに相続人が出現した場合,遺産の現物による再分割はしないが,遺産を受け取った相続人は,受け取った遺産分に相当する割合で遺産分割時点における新相続人の遺産分に相当する金額にて新相続人に対して清算を行わなければならない。ただし,他に合意がある場合を除く。

2. 遺産の分割後相続権が取り消される相続人がいる場合,その者は遺産を返還し,又は遺産分割時点に享受した当人の遺産の価値に相当する金額を他の相続人に対して清算しなければならない。ただし,他に合意がある場合を除く。

第五編 外国的要素を持つ民事関係に適用する法令

第XXV章 総則

第663条 適用範囲

1. この編は,外国的要素を持つ民事関係に適用する法令について規定する。

その他の法律に外国的要素を持つ民事関係に適用する法令に関する規定があり,本法典第664条から第671条の規定に反しない場合は,その法律が適用される。反する場合は,本法典第五編に関連を有する規定が適用される。

2. 外国的要素を持つ民事関係とは,次のいずれかに属する民事関係をいう。

a) 参加する少なくともいずれか一方の当事者が外国の個人,法人である。

b) 参加する各当事国はともにベトナムの公民,ベトナムの法人であるが,当該関係の確立,変更,実施,消滅が外国において生じている。

c) 参加する各当事者はともにベトナムの公民,法人であるが,当該民事関係の対象が外国に所在する。

第664条 外国的要素を有する民事関係に適用する法令の確定

1. 外国的要素を有する民事関係に適用する法令は,ベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約又はベトナム法に従って確定される。

2.ベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約又はベトナム法に,各当事者が選択権を有するとの規定がある場合,外国的要素を有する民事関係に適用する法令は,各当事者の選択に従って確定される。

3.この条第1項及び第2項の規定に基づき適用する法令を確定できない場合,適用法令は,その外国的要素を有する民事関係と最も密接に関係する場所を有する国の法令である。

第665条 外国的要素を有する民事関係に対する国際条約の適用

1.ベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約が,外国的要素を有する民事関係に参加する各当事者の権利義務に関する規定を有する場合,その国際条約の規定を適用する。

2.ベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約が,外国的要素を有する民事関係に適用する法令について,この章の規定及び他の法律と異なる規定を有する場合,その国際条約の規定を適用する。

第666条 国際慣習の適用

本法典第664条2項が規定する場合において,各当事者は国際慣習を選択することができる。その国際慣習の適用結果がベトナム法令の基本原則に反する場合には,ベトナム法令を適用する。

第667条 外国法令の適用

適用する外国法令に相互に異なった理解の仕方がある場合,その国において権限を有する機関の解釈に従って適用しなくてはならない。

第668条 参照25法令の範囲

1. 参照法令は,この条第4項に規定する場合を除き,適用法令の確定に関する規定及び民事関係に参加する各当事者の権利義務に関する規定からなる。

2ベトナム法令を参照する場合,適用する民事関係に参加する各当事者の権利義務に関するベトナム法令の規定を適用する。

3第三国の法令を参照する場合,適用する民事関係に参加する各当事者の権利義務について第三国の法令の規定を適用する。27.

4本法典第664条2項に規定する場合,各当事者が選択する法令は,民事関係に参加する各当事者の権利義務に関する規定であり,適用法令の確定に関する規定を含まない。

第669条 複数の法令体系を持つ国の法令の適用

複数の法令体系を持つ国の法令が参照される場合,適用法令はその規定の国の法令が規定する原則に基づいて確定される。

第670条 外国法令を適用しない場合

1. 参照される外国法令は,次の場合には適用することができない。

a) 外国法令の適用結果がベトナム法令の基本原則に違反する。

b) 訴訟法の規定に基づき必要な各措置を適用したにもかかわらず,外国の法令の内容を確定することができない。

2. この条第1項の規定に基づき外国法が適用されない場合,ベトナム法令が適用される。

第671条 時効

外国的要素を有する民事関係の時効は,当該関係に適用する法令に基づき確定される。

第XXVI章 個人,法人に適用される法令

第672条 無国籍の者,多国籍の者に対する適用法令確定根拠

1. 参照される法令が個人が国籍を有する国の法令であるが,その者が無国籍である場合,適用法令は,外国的要素を持つ民事関係が生じた時点でその者が常住していた地の国の法令である。その者が外国的要素を持つ民事関係が生じた時点で複数の居所を有していた,又は居所を確定することができない場合,適用法令は,その者が最も密接な関係を有する地の国の法令である。

2. 参照される法令が個人が国籍を有する国の法令であるが,その者が多国籍者である場合,適用法令は,その者が外国的要素を持つ民事関係が生じた時点で国籍を有し,常住していた地の国の法令である。その者が外国的要素を持つ民事関係が生じた時点で複数の居所を有していた,居所を確定することができない,又は居所と国籍を有する地が相互に異なる場合,適用法令は,その者が国籍を有し,かつ,最も密接な関係を有する国の法令を適用する。

参照される法令が個人が国籍を有する国の法令であるが,その者が多国籍者であり,その中にベトナム国籍がある場合,適用法令はベトナム法令である。

第673条 個人の民事法律能力

1. 個人の民事法律能力は,その者が国籍を有する国の法令に従う。

2. ベトナムに所在する外国人は,ベトナム法令が他の規定を有する場合を除き,ベトナム公民と同じ民事法律能力を有する。

第674条 個人の民事行為能力

1. 個人の民事行為能力は,この条第2項に規定する場合を除き,その者が国籍を有する国の法令に従う。

2. 外国人がベトナムにおいて民事取引を確立,実施する場合,その外国人の民事行為能力はベトナム法令に従って確定される。

3. ベトナムにおける個人の民事行為能力喪失,行為認識制御困難又は民事行為能力制限の確定は,ベトナム法令に従う。

第675条 失踪又は死亡した個人の確定

1.失踪又は死亡した個人の確定は,この条第2項に規定する場合を除き,その者に関する最後の情報があった時点の前にその者が国籍を有していた国の法令に従う。

2.失踪又は死亡した個人のベトナムにおける確定は,ベトナム法令に従う。

第676条 法人

1. 法人の国籍は,法人が設立された地の国の法令に従って確定される。

2. 法人の民事法令能力;法人の名称;法人の法定代表者;法人の組織,再編,解体;法人と法人構成員の関係;法人及び法人構成員の法人の義務に対する責任は,この条第3項が規定する場合を除き,法人が国籍を有する国の法令に従って確定される。

3.外国法人がベトナムにおいて民事取引を確立,実施する場合,その外国法人の民事法令能力はベトナム法令に従って確定される。

第XXVII章 財産関係と身分関係に対して適用される法令

第677条 財産の分類

財産の動産,不動産への分類は,財産がある地の国の法令に従って確定される。

すみれ

「財産がある国の法令、か」

第678条 所有権及び財産に対するその他の権利

1. 所有権及び財産に対するその他の権利の確立,履行,変更,消滅は,この条2項が規定する場合を除き,財産がある地の国の法令に従って確定される。

2. 輸送中の動産に対する所有権及び財産に対するその他の権利は,その他の合意がある場合を除き,動産の輸送先の地の国の法令に従って確定される。

第679条 知的所有権

知的所有権は,知的所有権の対象が保護を求められる地の国の法令に従って確定される。

第680条 相続

1. 相続は,相続される遺産を残した者が死亡の直前に国籍を有していた国の法令に従って確定される。

すみれ

「国籍で決まるんだ。」

2. 不動産に対する相続権の行使は当該不動産の所在する地の国の法令に従って確定される。

第681条 遺言

1. 遺言の作成,変更又は撤回の能力は,遺言作成,変更又は撤回の時点で遺言作成者が国籍を有する国の法令に従って確定される。

2. 遺言の形式は,遺言が作成された地の国の法令に従って確定される。遺言の形式も,次の各国のいずれかの法令と合致する場合,ベトナムにおいて公認される。

a) 遺言を作成した時点又は遺言作成者が死亡した時点で,遺言作成者が常住していた地の国

b) 遺言を作成した時点又は遺言作成者が死亡した時点で,遺言作成者が国籍を有していた地の国

c) 相続遺産が不動産である場合,不動産の所在地。

第682条 後見

後見は,被後見人が常居する地の国の法令に従って確定される。

第683条 契約

1. この条第4項,第5項及び第6項に規定する場合を除き,契約関係における当事者は,契約に対する適用法令の選択につき合意することができる。適用法令につき各当事者間に合意がない場合,その契約と最も密接な関係を有する国の法令が適用される。

・・・中略・・・・・

第六編 施行条項

第688条 経過規定

1. 本法典が効力を有する日の前に確立された民事取引については,次のように規定される法令を適用する。

a) まだ実施されていないが,内容,形式が本法典の規定と異なる民事取引については,取引主体は引き続き民法典33/2005/QH11及び民法典33/2005/QH11を詳細に規定する各法規範文書の規定に基づき実施する。ただし,民事取引当事者が取引の内容,形式を本法典に合致させ,本法典を適用するために修正,補充する合意を有する場合を除く。

実施中の民事取引で内容,形式が本法典と異なる場合,民法典33/2005/QH11及び民法典33/2005/QH11を詳細に規定する各法規範文書の規定を適用する。

b) まだ実施されていない又は実施中であるが,内容及び形式が本法典の規定と合致する民事取引は,本法典の規定を適用する。

c) 本法典が効力を有する日の前に実施が完了したが紛争が生じている民事取引は,民法典33/2005/QH11及び民法典33/2005/QH11を詳細に規定する各法規範文書の規定を適用して解決する。

d) 時効は,本法典の規定に基づき適用する。

2. 本法典が効力を有する日の前に民事に関する法令の規定に基づき裁判所が解決した事件の,監督審,再審の手続に従った異議申し立てのために,本法典を適用しない。

第689条 施行効力

本法典は,2017年1月1日から施行効力を有する。

民法典33/2005/QH11は,本法典が効力を有した日から効力を失う。

本法典は,ベトナム社会主義共和国第13期国会第10会期において採択された。

国会議長

グエン シン フン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。上原ひろみさんすごいですね。」

不動産登記の委任状(解説)

1 所有権移転登記の申請書を作成すること及び当該登記の申請に必要な書面と共に登記申請書を管轄登記所に提出すること

(登記を、代わりに法務局へ出します。)

2 原本還付請求受領及び登記識別情報の暗号化に関する一切の権限

  (登記が終わったら、返してもらう書類を代わり法務局から受け取ります。)

  (登記識別情報、以前の権利証を、データにして登記を法務局へ出します。)

3 登記が完了した後に通知される登記識別情報通知書につき、

  ■受領に関する一切の件 □通知を希望しない

  (登記が終わったら発行される、登記識別情報を代わりに法務局から受け取ります。)

4 登記が完了した後に通知される登記完了証を受領すること

  (登記が終りました、という通知を、代わりに法務局から受け取ります。)

5 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の申請を取下げ、又は補正すること

  (登記手続に間違いがあった場合、代わりに訂正や登記の取り下げ法務局へします。)

6 登記に係る登録免許税の還付金を受領すること、又は再使用証明申出の請求受領に関する一切の件

  (登記する時にかかる印紙代を多く払った場合、代わりに還付金を受け取って本人に返します。もう一回同じ印紙を利用する場合は、その請求もします。)

7 上記各号につき、下記の登記の申請に関し復代理人の選任等必要な一切の権限

  (その他に、病気などで他の司法書士に頼んだりします。また、登記を無事に完了す

るために必要なことをします。)

2016年加工  ベトナム社会主義共和国  土地法2

国会は、ベトナム社会主義共和国憲法に基づき、以下の土地法を制定する。

1 . 総則

 第 1 . 規律範囲

本法は、土地所有制度、土地の全人民所有者を代表して土地を統一して管理する国家の権限及び責任、土地管理・使用制度、ベトナム社会主義共和国の領土に属する土地に対する土地使用者の権限及び義務を規定する。

2 . 適用対象

1.土地について、土地の全人民所有者を代表する権限・責任及び統一的な国家管理を実施する国家機関

  • 土地使用者
  • 土地の管理、使用に関連するその他の対象者第 3 . 用語解釈

本法では、以下の用語は以下の通り理解される。

1. 土地ロットとは、現地において確定され、又は書類に記述される境界で限定される土地面積である。

2.土地使用企画とは、土地の潜在力及び各産業・分野の土地使用需要に基づき、経済・社会発展、国防、安寧、環境保護及び気候変動対応の目標を目指し一定の期間において各経済・社会地域毎に対して土地を使用空間によって分布・区画整理することである。

3.土地使用計画とは、土地使用企画の期間中に実施するために土地使用企画を時間に沿って分割することである。

4.土地管理地図とは、土地ロット及び関係の地理的要素を表す地図であり、市町村の行政単位で作成され、国家権限機関により承認されるものである。

  • 土地使用現状地図 とは、一定の時点における各種類の土地の分布を表す行政単位別の地図である。
  • 土地使用企画地図とは、企画期首時点で作成される地図であり、その企画の期末時点における各種類の土地の分布を表すものである。

7.国家による土地使用権の交付(以下、「国家による土地の交付」と呼

ぶ)とは、土地使用需要を持っている対象者に土地使用権を交付する土地交付決定書を国家が発行することである。

8.国家による土地使用権の賃貸(以下、「国家による土地の賃貸」と呼

ぶ)とは、国家が土地使用需要を持っている対象者に土地使用権を土地使用権賃貸契約を通じて引き渡すことである。

9.国家による土地使用権の公認とは、国家が確定の土地ロットに関して土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産の所有権に関する証明書の初回発行を通じて土地を交付し、賃貸されていないが、安定して土地を使われる者に土地使用権を与える。

10.土地使用権譲渡とは、土地使用権の変換、譲渡、相続、贈与及び土地使用権による出資の形で土地使用権をある者から他の者に移転することである。

11.国家による土地回収とは、国家が国家から土地使用権を交付された者から土地使用権の回収、又は土地関連法令に違反した土地使用者から土地の回収決定することである。

12.土地に関する賠償とは、国家が回収土地の面積に対する土地使用権の

価値を土地使用者に返還することである。

13.土地への投資費用残額とは、国家による土地回収時点にまだ回収できないが、既に投資したことを証明する根拠がある造成費用及び他の直接費用を含む。

14.国家による土地回収時の援助とは、生活、生産の安定及び発展をするために土地の被回収者に対する国家の援助である。

15 土地、土地に定着する住宅その他の財産の登記とは、ある土地ロットに対する土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産の法的状態を土地管理台帳に申告・記録することである。

16.土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産の所有権証明書とは、国家が土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産の所有権を持っている者の合理的な土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産の所有権を確認するための法的証書である。

17.土地統計とは、国家が統計時点における土地の使用現状及び二回の統計間の土地変動状況を土地管理台帳に基づき統計・評価することである。

18. 土地棚卸とは、国家が棚卸時点における土地の使用現状及び二回の棚卸間の土地変動状況を土地管理台帳及び現地で調査・集約・評価すること。

19.土地価格とは、単一の土地面積単位に当たる土地使用権の価値である、

20.土地使用権の価値とは、一定の土地面積に対する一定の土地使用期間内における土地使用権の現金での価値である。

21.土地使用額とは、国家から土地使用額収納付きの土地を交付され、土地使用目的の変更を認可され、土地使用権を公認される際に土地使用者が国家に支払うべく金額である。

22.土地情報システムとは、土地情報を収集・保管・更新・処理・分析・集約・抽出するために構築され、情報技術の各インフラ要素、ソフトウェア、データ、規程、手続きのからなる統合システムである。

23.土地データベースとは、電子手段でアクセス・開拓・管理・更新する

ために配置・分類される土地データのコレクションである。

24.土地紛争とは、土地関係における両側当事者又は複数当事者間の土地使用者の権限、義務に関する紛争である。

25.土地破壊とは、地形の変形、土質の低下、土壌汚染、確定された目的に応じる土地の利用性の紛失・低下を発生させる行為である。

26.公立事業組織とは、国家の権限のある機関、政治組織、政治・社会組

織により成立され、法令の規定に従って公共の役務活動を実施する組織である。

27.経済組織は、外資系企業を除き、民事に関する法令の規定に従う企業、合作社及び他の経済組織を含む。

28.地下工事建設向けの土地とは、地上に建てられる工事の地下部分ではなく、地下において工事を建設するための土地である。

29.土地使用家族世帯とは、国家が土地を交付・賃貸し、土地使用権を公認する時点において同居し、土地共同使用権を持ち、又は土地使用権の譲渡を受取する婚姻家庭に関する法令の規定に従う婚姻・血縁・養育関係を持つ者である。

30.農業直接生産家族世帯、個人とは、国家から農地使用権を交付・賃貸・公認され、又は農地使用権の譲渡を受け、その農地上の農業生産から安定的な収入を得る家族世帯、個人である。

4 . 土地所有

土地は全人民所有に属し、国家が所有者の代表としてそれを統一して管理する。国家は本法の規定に従って土地使用者に土地使用権を交付する。

5 . 土地使用者

本法の規定に従って国家から土地を交付・賃貸され、土地使用権を公認され、土地使用権の譲渡を受取する土地使用者は以下の者を含む。

1.国家機関、人民武装単位、政治組織、政治・社会組織、経済組織、政治・社会・職業組織、社会組織、社会・職業組織、公立事業組織及び民事に関する法令の規定に従う他の組織を含む国内組織(以下、「組織」と呼ぶ)。

2. 国内の家族世帯、個人(以下、「家族世帯・個人」と呼ぶ)。

3.同一の村落、村、山地の村、隣組、居住地の地区に暮らして、同じ風俗、習慣又は家系を共有するベトナム人の共同体を含む住民共同体。

4.寺、教会、礼拝堂、聖室、聖堂、念仏堂、修道院、宗教の専用訓練学校、宗教組織の事務所及び他の宗教の基礎を含む宗教拠点。

5.外国代表機関、領事機関、外交の機能を持つことがベトナム政府に認められた他の外国代表機関、国連に属する組織の代表機関、連政府の機関・組織、連政府組織の代表機関を含む外交の機能を有する外国組織。

  • 国籍関連法令の規定に従って在外定住ベトナム人。
  • 投資関連法令の規定に準拠する 100%外資企業、合弁企業、外国人投資家が投資関連法令に従って株式を取得し、合併・買収するベトナム企業を含む外資系企業。

6 . 土地使用原則

  1. 土地の使用企画・計画及び土地の使用目的を正しく遵守すること。

2.節約し、効率的に使用し、環境を保護すること。周辺の土地使用者の正当な利益に損害を与えないこと。

3.土地使用者は、本法の規定及び他の関連法令の規定に従って自分の権限、義務を土地使用期間中に履行すること。

7 . 土地使用に関する国家への責任者

1.組織、外交機能を有する外国組織、外資系企業の長はその組織の土地使用に関して責任を負う。

  • 市町村人民委員会会長は、農地を公益目的に使用すること、市町村人民委員会(以下、「市町村級人民委員会」と呼ぶ)に交付された非農地を人民委員会の事務所建設、文化・教育・医療・体育体操・娯楽・市場、霊園・霊地及びその他地方の公共的な工事の建設に使用することに関して責任を負う。

3.住民共同体の代表とする村落、村、山地の村、隣組、居住地の地区の長、又は住民共同体が合意し、選定した者はその住民共同体に交付・公認された土地の使用に関して責任を負う。

  • 宗教拠点の長はその宗教拠点に交付された土地使用に関して責任を負う。
  • 家族世帯主はその家族世帯の土地使用に関して責任を負う。
  • 海外定住ベトナム人、個人は自分の土地使用に関して責任を負う。

7.土地使用権を共有する者、又は共有土地使用権を有する人達の代表者はその土地の使用に関して責任を負う。

8 .管理目的で交付された土地に関する国家に対する責任者

1. 組織の組織長は、以下の場合に土地の管理に関する責任を負う。

a)道路、橋、排水溝、歩道、給水システム、排水システム、水利工事システム、堤防、広場、モニュメント、記念碑を含む公共工事を管理させられる組織。

b) 建設・譲渡(BT)形態及び投資関連法令の規定に準拠するその他の形態により投資案件を実施するための土地面積を管理させられる経済組織。

c)河川水域のある土地及び専用水域のある土地を管理させられる組織。

d)国家権限機関の決定によって回収された土地基金を管理させられる組織。

2.市町村級人民委員会会長は、管理するために交付された公共目的用土地、地方における渡されていない土地、賃貸されていない土地の使用を管理することについて責任を負う。

3.省・中央直轄都市人民委員会会長は、その地方に属するまだ人が暮らしていない島における未使用土地の管理について責任を負う。

4.住民共同体の代表者は、その住民共同体が管理させられた土地に関する責任を負う。

9 . 土地への投資の奨励国家は、土地使用者が以下のことに労働力、資材、資金の投資、科学技術成果の適用を奨励する政策を講じる。

1. 土壌肥沃度の保護、改善、向上。

2.土地使用企画・計画に従う開墾、回復、海の埋め立て、空地・禿げた丘山・水域がある原野面積の使用。

3. 土地の価値を高めるためのインフラ基盤の発展。

10 .土地の分類

土地はその使用目的に基づき、以下のように分類される。

1. 農地組みは、以下の土地を含む。

  1. 稲作地及びその他年間樹木栽培地を含む年間樹木栽培地
  2. 多年性樹木の植林地
  3. 生産森林地
  4. 防護森林地

đ) 特用森林地

  • 水産物養殖地
  • 製塩地
  • 栽培目的に使用される温室その他建物の建設(地上直接に栽培しない

場合も含む)、法令に許可された家畜・家禽その他動物を飼育する施設の建設、勉強・研究・試験目的に使用される栽培地・飼育地・水産物養殖地、苗木・子動物の生産地及び花・盆栽の栽培地を含むその他農地。

2. 非農地組みは以下の土地を含む。

  1. 農村部と都会部の居住地を含む居住地
  2. 機関本部の建設土地
  3. 国防・安寧の目的に使用される土地
  4. 事業組織の事務所の建設用の土地、文化・社会・医療・教育訓練・体育体操・科学技術・外交基礎及びその他事業工事を含む事業工事の建設土地

đ)工業団地・小規模工業地・輸出加工区の土地、商売・サービス業用の土地、非農業事業所の土地、鉱業の活動に使用される土地、建設材料生産・陶製の土地を含む非農地の生産経営地

  • 交通工事の土地(空港、国内水道港、航海港、鉄道システム、歩道システム及びその他交通工事を含む)、水利、歴史文化遺跡・観光名所がある土地、公共活動地、公共遊園地・娯楽地、エネルギー工事の土地、郵便・通信工事の土地、市場の土地、廃棄物の捨場・処分場及びその他公共工事を含む公共目的に使用される土地
  • 宗教・信教拠点の土地
  • 霊園・霊地、葬式場、火葬場の土地
  • 河川、チャンネル、泉の土地及び専用水域

k) 事業所の労働者向けの宿泊所、納屋、宿所の建設に使用される土地、農産物・植物保護剤・肥料・農業機械・工具を保管する倉庫の建設に使用される土地、居住地に付かず商売目的を目指さない土地使用者のその他の工事の建設に使用される土地を含むその他非農地

3. 使用目的が未確定の土地を含む未使用地組み第 11 . 土地種類の判定根拠土地種類の判定は以下の根拠のいずれかに基づく。

1. 2009 年 12 月 10 日前に交付された土地使用権証明書・住宅所有権及び居住地使用権証明書、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産の所有権証明書

2.本条第 1 項に定められている証明書が未交付の場合の本法の第 100 条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている土地使用権に関する書類

3.本法第 1 項に定められている証明書が未交付の場合の国家権限機関の

土地交付・賃貸・使用目的変更認可の決定

4.本条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている書類がない場合、土地種類の判定は、政府の規定に従う。

12 . 禁止行為

  1. 土地の侵入、占有、破壊。
  2. 公表・公開された土地使用企画・計画への違反。
  3. 土地を使用せず、使用目的と違って土地を使用する行為。
  4. 土地使用者の権限を行使する時に法令の規定を正しく施行しない行為。

5.本法において規定されている家族世帯個人に対する限度を越えた農地使用権の譲渡を受取する行為。

6.国家権限機関に登録せず、土地を使用し、土地使用権に関する取引を実施する行為。

  • 国家に対する財務的な義務を施行しない、又は十分に施行しない行為。
  • 役職・権限を利用し、土地管理に関する規定に違反する行為。
  • 法令の規定に従って土地に関する情報を提供しない、又は正確ではない情報を提供する行為。

10.法令において規定されている土地使用者の権限の行使への阻止。

2 .

土地に対する国家の権限及び責任

 第 1 . 土地に対する国家の権限第 13 . 土地の所有者代表の権限

  1. 土地使用企画、土地使用計画を決定する。
  2. 土地の使用目的を決定する。
  3. 土地使用の限度、土地使用期間を規定する。
  4. 土地の回収、徴用を決定する。
  5. 土地価格を決定する。
  6. 土地使用者への土地使用権の交付を決定する。
  7. 土地に関する財政政策を決定する。
  8. 土地使用者の権限及び義務を規定する。

14 . 国家が土地使用目的を決定する

国家は、土地使用企画、土地使用計画及び土地使用目的変更認可を通して土地使用目的を決定する。

15 . 国家が土地使用限度、土地使用期間を規定する

1.国家は、農地交付の限度、居住地交付の限度、居住地使用権公認の限度及び農地使用権受譲限度を含む土地使用限度を規定する。

2. 国家は以下の形態で土地使用期間を規定する。

  1. 安定且つ長期的な土地使用
  2. 一定期間の土地使用

16 . 国家が土地の回収、徴用を決定する

1. 国家は、以下の場合において土地の回収を決定する。

a)国防・安寧の目的、国家利益・公益を目指す経済・社会開発のために土地を回収する場合

  • 土地に関連する法令の違反で土地を回収する場合
  • 法令に準拠する土地使用終了、随意での土地の返還、人の生命に影響を与える危機があるために土地を回収する場合

2. 国防・安寧の任務を実施し、又は戦争状態・天災防止・緊急の状態であり、非常に必要な場合において国家が土地の徴用を決定する。

すみれ

『戦争は起こるかもしれない前提かな。』

17 . 国家が土地使用者に土地使用件を交付する国家は以下の形態により土地使用件を土地使用者に交付する。

1. 土地使用料を収納する・しない形態の土地交付決定

2.土地賃貸料を毎年に徴収し、又は賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態の土地賃貸決定

3. 土地使用権の公認

18 . 国家が土地価格を決定する

  1. 国家は土地価格確定の原則、方法を規定する。
  2. 国家は土地価格枠、土地価格表を発行し、具体的な土地価格を決定する。

19 . 国家が土地に関する財政政策を決定する

1. 国家は土地に関する財政収支政策を決定する。

2.国家は、税務政策、土地使用料、土地賃貸料、インフラ基盤への投資、土地を回収された者に対する援助政策により、土地使用者の投資以外が齎す土地の価値の増加分を調節する。

20 . 国家が土地使用者の権限及び義務を規定する

国家は土地の交付・賃貸・土地使用権公認の形態、土地使用の根元及び土地使用者の財務的な義務に応じて都市使用者の権限及び義務を規定する。

21 . 土地所有者を代表する権限を行使する

1.国会は土地関連法令、議決を発行し、国家級土地使用企画・計画を決定し、全国範囲内における土地の管理及び使用に対する 高監察権を行使する。

2.各級人民評議会は、本法に定められている権限に従って、権限のある機関の認許に提示する前その地方の土地使用企画・計画を承認する権限、土地価格表、国家の利益・地方の公益を目指す経済・社会発展案件を実施するための土地回収を承認する権限、地方における土地関連法令の施行を監察する権限を行使する。

3.政府、各級の人民委員会は、本法に規定されている権限に従って、土

地所有者を代表する権限を行使する。

2 . 土地に対する国家の責任

22 . 土地に関する国家管理内容

  1. 土地の管理、使用に関する法律規範的な文書を発行し、その文書の施行を実施する。
  2. 土地行政境界を確定し、土地行政境界書類を作成・管理し、行政地図を作成する。
  3. 土地管理地図、土地使用現状地図、土地使用企画地図を考察・測量・作成し、土地資源を調査・評価し、土地価格を調査・検討する。
  4. 土地使用企画・計画を管理する。
  5. 土地の交付・賃貸・回収・使用目的変更を管理する。
  6. 土地回収時の賠償、援助、再定住を管理する。
  7. 土地を登記し、土地管理台帳を作成・管理し、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付する。
  8. 土地を統計・棚卸する。
  9. 土地情報システムを構築する。
  10. 土地及び土地価格に関する財政的な管理を行う。
  11. 土地使用者の権限の行使及び義務の履行を管理・監察する。

12.土地関連法令の規定の遵守を査察・検査・監察し、土地関連法令の違反を処分する。

  1. 土地関連法令を普及・教育する。
  2. 土地に関する紛争、土地の管理・使用における不服申立、告訴を解決する。
  3. 土地に関するサービス活動を管理する。

23 . 土地に関する国家管理責任

  1. 政府は全国範囲内における土地を国家統一管理する。
  2. 資源環境省は土地に関する国家統一管理について政府に対する責任を負う。

関連の省・省級機関は自分の任務・権限範囲内において土地に関する国家管理について政府を支援する責任を負う。

3.各級の人民委員会は本法に規定されている権限に従って、地方における土地に関する国家管理責任を負う。

24 . 土地管理機関

  1. 土地管理組織機関の仕組みは中央から地方まで統一的に組織化される。
  2. 中央における土地の国家管理機関は資源環境省である。

地方の土地管理機関は省・中央直轄都市及び県・区・町・省直轄市に設立される。土地に関する公共役務組織は政府の規定に従って設立され、活動する。

25 . 市町村における土地管理公務員

1. 市町村に幹部・公務員法の規定に準拠する土地管理事業を担当する公務員がある。

2.市町村の土地管理公務員は、市町村級人民委員会の地方における土地の管理について支援する責任を負う。

26 . 土地使用者に対する国家の確保

  1. 都市使用者の土地及び土地に定着する財産の合法的な使用権を保護する。
  2. 法令により規定されている条件が揃った場合に土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を土地使用者に交付する。

3.国家が国防・安寧の目的、国家利益・公益を目指す経済・社会発展のために土地を回収する場合、土地使用者は法令の規定に従って国家から賠償・援助・再居住を受ける。

4.土地使用構成の変更及び経済構成の変更によって生産地がなくなる農業・林業・水産物養殖・製塩を直接に生産する者に対して職業訓練、職業変更及び仕事探しができるようにする政策を出す。

5.ベトナム民主共和国家、ベトナム南部共和臨時革命政府及びベトナム社会主義共和国家の土地政策の施行過程における国家の規定によって他の者に交付された土地に関する回収申請を認めない。

27 .居住地、農業生産地に関する少数民族に対する国家の責任

1.各地の風俗、習慣、文化及び実際の状況に合わせて、少数民族向けの居住地・共同体活動地に関する政策を出す。

2.農村において農業を直接に生産する少数民族が農業生産のための土地があるようにする政策を出す。

28 . 土地情報の構築・提供における国家の責任

1.土地情報システムを構築・管理し、その土地情報システムに対する組織個人のアクセス権を確保する。

2.法令上機密情報として規定されている情報を除き、土地情報システムに属する情報を即時に組織個人に公表・公開する。

3.土地管理分野における行政決定、行政行為を合理的な権利・利益が損害を受ける組織個人に通知する。

4.土地の使用・管理における国家機関、権限のある者は、法令の規定に

従って土地に関する情報を組織個人に提供する責任を負う。

3 .

土地行政境界及び土地に関する基本調査 

 第 1 . 土地行政境界第 29 . 土地行政境界

1.政府は、全国範囲内における土地行政境界の確定、各級の土地行政境界書類の作成・管理を指導する。

内務省の大臣は土地行政境界の確定規程・手続き、土地境界標及び各級の土地行政境界書類の管理を定める。

資源環境省の大臣は 土地境界標の設置、各級の土地行政境界書類の作成における技術及び経済・技術標準を規定する。

2.各級の人民委員会は、実地上における土地行政境界確定を実施し、地方範囲内の土地行政境界書類を作成する。

市町村級人民委員会は、地方の実地上における土地境界標を管理する責任を負う。土地境界標の紛紛失、移動、毀損が発生した場合、即時に県・区・市・省直属市の人民委員会(以下、「県級の人民委員会」と呼ぶ)に報告しなければならない。

3.土地行政境界書類は、行政単位及びその行政単位の土地境界標、土地境界線の設立・調整に関する情報を表す文面・電子の資料を含む。

下位の級の土地行政境界書類は上位の級の人民委員会により直接に承認される。省・中央直轄都市の土地行政境界書類は内務省により承認される。

各級の土地行政境界書類は該当の級の人民委員会及びその上位の級の人民委員会、内務省、資源環境省において保管される。

4.行政単位間における土地行政境界の紛争についてはそれらの行政単位の人民委員会が協力し、解決する。土地行政境界の判定について合意できない場合、又はその解決が土地行政境界を変更する場合、解決権限は以下のように規定される。

  1. 省・中央直轄都市の行政単位の土地境界に関する紛争の場合、政府が国会の決定を申請する。
  2. 県・区・市・省直属市、市町村の行政単位の土地境界に関する紛争の

場合、政府が国会常務委員会の決定を申請する。資源環境省、省・中央直轄都市、 県・区・市・省直属市の土地管理機関は、必要な資料を提供し、土地行政境界の紛争を解決するために国家権限機関と協力する責任を負う。

30 . 行政地図

  1. 各地方の行政地図はその地方の土地行政境界地図に基づき作成される。
  2. 行政地図の作成は以下の規定に従って実施される。
  3. 資源環境省が全国範囲内における各級の行政地図の作成を指導・案内し、全国・省・中央直轄都市の行政地図の作成を実施する。
  4. 人民委員会 省・中央直轄都市(以下、「省級人民委員会」と呼ぶ)が県・区・市・省直属市の行政地図の作成を実施する。

2 . 土地に関する基本調査

31 . 土地管理地図作成・整理

1.土地管理地図の測量・作成は市町村の行政単位別で土地ロット毎まで詳細に実施される。

2.土地管理地図の整理は土地ロットの形・サイズ・面積及び土地管理地図の内容に関連するその他の要素に関する変更が発生した場合に行われる。

3.資源環境省の大臣は、全国範囲内における土地管理地図の作成・整理・管理、地図測量業の登録条件を規定する。

4. 省級人民委員会は、地方における土地管理地図の作成・整理・管理を実施する。

32 . 土地に関する調査・評価活動

1. 土地に関する調査・評価は以下の活動を含む。

  1. 土質、土地の潜在力に関する調査、評価
  2. 土地劣化、土壌汚染の調査、評価
  3. 農地の調査、ランキング
  4. 土地の統計、棚卸

đ) 土地価格の調査・統計、土地価格変動の監視

  • 土地資源の観測・監察システムの構築及び維持

2. 土地に関する調査・評価は以下の内容を含む。 a) 土地の観測データのサンプリング、分析、統計

  • 土質、土地の潜在力、土地劣化、土壌汚染、農地ランキング、土地価格に関する地図の作成
  • 土質、土地の潜在力、土地劣化、土壌汚染、農地ランキング、土地価格に関する報告書の作成
  • 土地の統計・棚卸報告書の作成、土地使用現状地図・土地価格及び土地価格の変動に関する報告書の作成

33 . 土地に関する調査・評価の実施

1. 資源環境省は以下の責任を負う。

  1. 全国、各地域の土地に関する調査・評価及びその結果の公表・公開を主題別に 5 年毎に定期的に実施する。
  2. 省・中央直轄都市の土地の調査・評価の実施を指導する。
  3. 全国の土地の調査・評価結果を集約・公表公開する。
  4. 省級人民委員会は、地方の土地の調査・評価を実施し、その結果を公表・公開し、集約のために結果を資源環境省に送付する責任を負う。
  5. 資源環境省の大臣は、土地の調査・評価及び土地の調査・評価を実施する機関の能力条件を定める。

34 . 土地の統計・棚卸、土地使用現状地図の作成

1.土地の統計・棚卸は、定期統計・棚卸及び主題別統計・棚卸を含む。

2. 土地の定期統計・棚卸は以下の規定に従って実施される。

  1. 土地の統計・棚卸は市町村の行政単位で実施される。
  2. 土地の棚卸を実施する年を除き、土地の統計は年次に一回実施される。
  3. 土地の棚卸は 5 年毎に一回実施される。

3. 土地使用現状地図は本条第 2 項に定められている土地の棚卸に付けられ、5 年毎に一回作成される。

4.国家管理の要求に応じる主題別の土地棚卸は政府の首相、資源環境省の大臣の決定に従って実施される。

5. 土地の統計・棚卸を実施し、土地使用現状地図を作成する責任は以下のように規定される。

  1. 各級の人民委員会は地方の土地の統計・棚卸、土地使用現状地図の作成を実施する。
  2. 県級・市町村級人民委員会は直接の上位の人民委員会に、省級人民委員会は資源環境省に、地方の土地の統計・棚卸、土地使用現状地図作成の結果を報告する。
  3. 国防省、公安省は主催し、又は省級人民委員会と協力して、国防・安寧用土地の統計・棚卸を実施し、結果の報告を資源環境省に送付する責任を負う。
  4. 資源環境省は集約報告を政府の首相に提示し、全国の毎年の土地統計結果、5 年毎の土地棚卸結果を公表・公開する。

6. 資源環境省の大臣は土地の統計・棚卸、土地使用現状地図作成の詳細を定める。

4 .

土地使用企画・計画

35 . 土地使用企画・計画

作成の原則

1.経済・社会、国防、安寧の全体企画、戦略、計画に適う。

2.全体レベルから詳細レベルまで作成される。下位の土地使用企画が上位の土地使用企画に、土地使用計画が国家権限機関により承認された土地使用企画に適うこと。国家級土地使用企画が各経済・社会地域の特殊性・連携性を確保し、県級土地使用企画が市町村級土地使用内容を表さなければならない。

  • 土地を節約的・効率的に使用する。
  • 自然資源を合理的に開拓し、環境を保護し、気候変動に対応する。
  • 歴史・文化遺跡、観光名所を保護・修復する。
  • 公開性と民主性を確保する。

7.土地基金を国防・安寧の目的、国会利益・公益、食料安定及び環境保護のために優先的に使用することを確保する。

8.土地を使用する業・分野・地方の企画・計画が国家権限機関により決定・承認された土地使用企画・計画に適うものとする。

36 . 土地使用企画・計画システム

  1. 国家級土地使用企画・計画
  2. 省級土地使用企画・計画 
  3. 県級土地使用企画・計画 
  4. 国防用土地使用企画・計画 
  5. 安寧用土地使用企画・計画 

37 .土地使用企画・計画の期間

1. 都市使用企画の期間は 10 年間とする。

2.国家級・省級土地使用計画の期間、国防・安寧用土地使用計画の期間は 5 年とする。県級土地使用計画は年次に作成される。

38 . 国家級土地使用企画・計画  

1.国家級土地使用企画の作成根拠は以下のものを含む。

国の経済・社会、国防、安寧の発展戦略、経済・社会地域の全体発展企画、業・分野発展戦略・企画

  • 自然、経済・社会の条件
  • 土地使用の現状、土地の潜在力、前期の国家級土地使用企画の実績 d) 各業・分野の土地使用需要

đ) 土地の使用に関連する科学技術成果

2.国家級土地使用企画の内容は以下のものを含む。

  1. 10 年間の土地使用方針
  2. 農地組み、非農地組み、未使用土地組みに対する土地使用指標の確定及びその内の数種の土地(稲栽培地、水稲栽培専用地、保護森林地、特用森林地、生産森林地、水産物養殖地、製塩地、国防用土地、安寧用土地、工業団地土地、輸出加工区土地、ハイテック地区土地、経済地区土地、国家級のインフラ開発土地、歴史・文化遺跡、観光名所のある土地、都会地及び廃棄物の捨場・処分場の土地を含む)の面積の確定。
  3. 本項の b に規定されている各種の土地の企画期間における省級行政単位及び経済・社会地域毎の面積の確定。
  4. 国家級及び各経済・社会地域の土地使用企画地図の作成 đ) 土地使用企画の実施対策

3. 国家級土地使用計画の作成根拠は以下のものを含む。

  1. 国家級土地使用企画
  2. 全国の経済・社会発展の 5 年計画、年次計画 c) 各業・分野の 5 年間の土地使用需要

d) 前期の国家級土地使用計画の実績

đ) 土地使用計画を実施するためのリソースの投資・調達見込み

4. 国家級土地使用計画の内容は以下のものを含む。前期の国家級土地使用計画の実績の分析、評価

  • 土地使用の 5 年計画の期間内における本条第 2 項の b に規定されている各種の土地の面積の確定
  • 各省級行政単位及び経済・社会地域毎の土地使用 5 年計画 d) 土地使用計画の実施対策

39 . 省級土地使用企画・計画  

1. 省級土地使用企画の作成根拠は以下のものを含む。

  1. 国家級土地使用企画
  2. 経済・社会地域、省・中央直轄都市の経済・社会全体発展企画、業・分野の発展戦略・企画
  3. 省・中央直轄都市の自然、経済・社会の条件 
  4. 土地使用の現状、土地の潜在力、前期の省級土地使用企画の実績

đ) 省級の各業・分野の土地使用需要

  • 土地使用の限度

g) 土地の使用に関連する科学技術成果

2. 省級土地使用企画の内容は以下のものを含む。

  1. 10 年間の土地使用方針
  2. 国家級土地使用企画において分配された各種の土地の面積及び省級土地使用需要による各種の土地の面積の確定
  3. 使用機能による土地の使用地区の確定
  4. 本項の b に確定されている各種の土地の県級行政単位毎の面積の確定

đ) 省級土地使用企画地図の作成

  • 土地使用企画の実施対策

3.省級土地使用計画の作成根拠は以下のものを含む。

国家級土地使用 5 年計画、省級土地使用企画 b) 省級の経済・社会発展の 5 年計画、年次計画 c) 省級の各業・分野の 5 年間の土地使用需要

d) 前期の省級土地使用計画の実績

đ) 土地使用計画を実施するためのリソースの投資・調達見込み

4. 省級土地使用計画の内容は以下のものを含む。

  1. 前期の省級土地使用計画の実績の分析、評価
  2. 土地使用の年次計画の期間内における県級行政単位毎の本条第 2 項の b に規定されている各種の土地の面積の確定
  3. 土地使用の年次計画の期間内における県級行政単位毎の本法第 57 条第 1 項の a、b、c、d、e に規定されている土地使用目的の変更が必要とする各種の土地の面積の確定
  4. 本法第 61 条、第 62 条に定められている目的に土地を使用する国家級・省級の工事、案件の土地使用の年次計画の期間内における県級行政単位毎までの規模、場所の確定

技術基盤、都会地区・農村住民地区の建設・整理の案件の場合、住宅・

商売・サービス・生産・営業案件の実施土地使用権をオークションするために、付近地域における回収される土地の位置、面積を同時に確定しなければならない。

đ) 県級土地使用計画地図の作成

  • 土地使用計画の実施対策

40 . 県級土地使用企画・計画  

1. 県級土地使用企画の作成根拠は以下のものを含む。

  1. 省級土地使用企画
  2. 省級・県級の経済・社会全体発展企画
  • 県・区・市・省直属市の自然、経済・社会の条件 

d)土地使用現状、土地の潜在力及び前期の県級土地使用企画の実績

đ) 県級・市町村級の各業・分野の 5 年間の土地使用需要

e) 土地使用の限度

g) 土地の使用に関連する科学技術成果

2. 県級土地使用企画の内容は以下のものを含む。

  1. 10 年間の土地使用方針
  2. 省級土地使用企画において分配された各種の土地の面積及び県級・市町村級の土地使用需要による各種の土地の面積の確定
  3. 使用機能による市町村級行政単位毎の土地の使用地区の確定
  4. 本項の b に確定された各種の土地の市町村級行政単位毎の面積の確定

đ) 県級土地使用企画地図の作成。稲栽培地の企画地区、本法第 57 条第 1 項 a、b、c、d に規定されている使用目的変更の企画地区に対しては市町村級行政単位毎まで詳細に表す。

  • 土地使用企画の実施対策

3. 県級土地使用年次計画の作成根拠は以下のものを含む。

a) 省級土地使用計画 b) 県級土地使用企画

  • 各業・分野・級の計画年における土地使用需要
  • 土地使用計画を実施するためのリソースの投資・調達見込み

4. 県級土地使用年次計画の内容は以下のものを含む。

  1. 前年の土地使用計画の実績の分析、評価
  2. 省級土地使用計画において分布された各種の土地の面積及び計画年に

おける県級、市町村級の年使用需要による各種の土地の面積の確定

  • 本法第 61 条、第 62 条に規定されてる目的に土地を使用する工事、案件の計画年内における市町村級行政単位毎までの回収すべく土地の位置、面積の確定

技術インフラ、都会地区・農村住民地区の建設・整理の案件の場合、住宅・商売・サービス・生産・営業案件の実施土地使用権をオークションするために、付近地域における回収される土地の位置、面積を同時に確定しなければならない。

  • 本法第 57 条第 1 項の a、b、c、d、e に規定されている変更許可を申請すべく土地に対する土地使用目的の変更が必要とする各種の土地の計画年内における市町村級行政単位毎までの面積の確定

đ) 県級土地使用年次計画地図の作成 g) 土地使用計画の実施対策

5.国家権限機関により都会企画が承認された区に対しては土地使用企画を作成せず、土地使用年次計画を作成すること。区の都会企画が省級土地使用企画において分布された面積に合わない場合、省級土地使用企画に合わせて都会企画を調整しなければならない。

41 . 国防・安寧用土地使用企画・計画  

1. 国防・安寧用土地使用企画の作成根拠は以下のものを含む 。

  1. 国家級土地使用企画
  2. 国の経済・社会、国防、安寧の発展戦略及び各経済・社会地域の全体発展企画
  3. 自然、経済・社会の条件

d)土地使用現状、土地の潜在力及び前期の国防・安寧用土地使用企画の実績

đ) 国防・安寧用土地使用需要

e) 土地使用の限度

g) 土地の使用に関連する科学技術成果

2. 国防・安寧用土地使用企画の内容は以下のものを含む。

  1. 国防・安寧用土地の使用方針
  2. 国の経済・社会、国防・安寧の全体発展企画及び経済・社会発展計画に応じる土地使用企画の期間内における国防・安寧用土地の使用需要の確定
  3. 地方に交付され、経済・社会の発展目的に使用される国防・安寧用土地の位置、面積の確定
  4. 国防・安寧用土地使用計画の実施対策

3. 国防・安寧用土地使用計画の作成根拠は以下のものを含む。

a) 国家級土地使用 5 年計画、国防・安寧用土地使用企画 b) 国防・安寧の 5 年間の土地使用需要

  • 前期の国防・安寧用土地使用計画の実績
  • 国防・安寧用土地使用計画を実施するためのリソースの投資・調達見込み

4. 国防・安寧用土地使用計画の内容は以下のものを含む。

  1. 前期の国防・安寧用土地使用計画の実績の分析、評価
  2. 5 年計画の期間内及び年毎の国防・安寧の目的に使用される土地の地区、面積の詳細確定
  3. 5 年計画の期間内における地方に土地の管理が交付される国防・安寧用土地の位置、面積の具体的な確定
  4. 国防・安寧用土地使用計画の実施対策第 42 .土地使用企画・計画を作成する組織の責任
  5. 政府は国家級土地使用企画・計画の作成を実施する。資源環境省は国

家級土地使用企画・計画の作成において政府に支援する。

  • 省級人民委員会は省級土地使用企画・計画の作成を実施する。県級人民委員会は県級土地使用企画・計画 の作成を実施する。

省級・県級の土地管理機関は土地使用企画・計画の作成において同級の人民委員会に支援する。 

  • 国防省は国防用土地使用企画・計画の作成を実施する。公安省は安寧用土地使用企画・計画 の作成を実施する。
  • 政府は本条の詳細を定める。

43 .土地使用企画・計画に関する意見収集

1.本法第 42 条第 1 項、第 2 項に規定されている土地使用企画・計画の作成を実施する機関は土地使用企画・計画についての人民の意見を収集する責任を負う。

2.土地使用企画・計画についての人民の意見収集の形式、内容及び時間は以下の規定に従って実施される。

  1. 国家級・省級の土地使用企画・計画に関する人民の意見を資源環境省、

省級人民委員会のウェブサイトに土地使用企画・計画内容の情報を公開することを通して収集する。県級土地使用企画・計画に関する人民の意見の収集は会議を開催し、直接に意見を収集し、省級人民委員会、県級人民委員会のウェブサイトに土地使用企画・計画内容の情報を公開することより行われる。

  • 土地使用企画・計画に関する人民の意見収集対象は土地使用企画・計画の各指標、土地使用企画・計画の期間内において実施される工事・案件を含む。
  • 土地使用企画・計画に関する意見の収集期間は国家権限機関が意見の収集を実施することを決定する日から 30 日とする。

3.本条第 1 項に規定されている土地使用企画・計画に関する意見を収集する責任を負う機関は、土地使用企画・計画の査定評議会に提示する前、人民の意見の集約報告書を作成し、人民の意見を受付・解説し、土地使用企画・計画の提案を完全させる責任を負う。

  • 国防・安寧用土地使用企画・計画に対して、国防省、公安省は土地使用企画・計画の作成過程において省級人民委員会の意見を集める責任を負う。
  • 政府は本条の詳細を定める。

44 .土地使用企画・計画の査定

1.土地使用企画・計画の査定評議会の設立権限

  1. 政府の首相は国家級土地使用企画・計画の査定評議会を設立する。

資源環境省は土地使用企画・計画の査定過程において査定評議会に支援する責任を負う。

  • 資源環境省の大臣は国防・安寧用土地使用企画・計画及び省級土地使用企画・計画の査定評議会を設立する。

中央土地管理機関は土地使用企画・計画の査定過程において査定評議会に支援する責任を負う。

  • 省級人民委員会会長は県級土地使用企画・計画の査定評議会を設立する。

省級、県級の土地管理機関は土地使用企画・計画の査定過程において査定評議会に支援する責任を負う。

2.各級の土地使用企画・計画の査定評議会は査定を実施し、土地使用企画・計画の査定結果通知書を本法第 42 条に定められている土地使用企画・計画の作成を実施する機関に送付する責任を負う。土地使用企画・計画の作成を実施する機関は、土地使用企画・計画の査定結果通知書を受付し、その内容によって解説する責任を持つ。

必要な場合、(特に稲栽培地・保護森林地・特用森林地の使用目的の変更の場合)土地使用企画・計画の査定評議会は土地の使用目的を変更する予定がある地区の検査、現場考察を実施する。

3. 土地使用企画の査定内容は以下のものを含む。

  1. 土地使用企画の作成の法的根拠、科学根拠
  2. 国及び地方の経済・社会、国防、安寧の全体発展戦略・企画、業・分野の発展企画に対する土地使用企画の提案の適切度
  3. 経済・社会・環境的な効果
  4. 土地使用企画提案の実現性

4. 土地使用計画の査定内容は以下のものを含む。

  1. 土地使用企画に対する土地使用計画の適切度
  2. 経済・社会発展計画に対する土地使用計画の適切度
  3. 土地使用計画の実現性

5.土地使用企画・計画の査定実施費用は土地使用企画・計画の作成費用において 1 つの項目として確定される。

45 .土地使用企画・計画の決定、承認権限

  1. 国会は国家級土地使用企画・計画を決定する。
  2. 政府は省級土地使用企画・計画、国防用土地使用企画・計画、安寧用土地使用企画・計画を承認する。

省級人民委員会は、政府に承認を申請する前、省級土地使用企画・計画を同級の人民評議会に提示し、承認を受ける。

  • 省級人民委員会は県級土地使用企画・計画を承認する。

県級人民委員会は、省級人民委員会に承認を申請する前、県級土地使用企画を同級の人民評議会に提示し、承認を受ける。

県級人民委員会は県級の土地使用年次計画を省級人民委員会に提示し、承認を受ける。県級の土地使用年次計画を承認する前、省級人民委員会は省級人民評議会に本法第 62 条第 3 項に定められている土地回収対象者の案件一覧表を提示し、承認を受ける。

46 .土地使用企画・計画の調整

1. 土地使用企画の調整は以下の場合のみ実施されること。

  1. 国の経済・社会、国防、安寧の発展戦略、各経済・社会地域の全体発展企画の調整があって、その調整が土地の使用構成に変更を発生させる場合
  2. 天災、戦争の影響により土地の使用目的、構成、位置、面積の変更が発生する場合
  3. 直接上級機関の土地使用企画の調整が土地使用企画に影響を与える場合
  4. 地方の土地行政境界の調整がある場合

2.土地使用計画の調整は土地使用企画の調整、又は土地使用計画の実現性の変更がある場合のみ実施されること。

3.土地使用企画の調整内容は決定・承認された土地使用企画の一部とする。土地使用計画の調整内容は決定・承認された土地使用計画の一部とする。

土地使用企画・計画の調整は本法第 42 条、第 43 条、第 44 条、第 48 条の規定に従って実施されること。

4.各級の土地使用企画・計画を決定・承認する国家権限機関も該当の級の土地使用企画・計画の調整を決定・承認する権限を持つ。

47 .土地使用企画・計画作成の諮問

1.土地使用企画・計画の作成過程において、土地使用企画・計画の作成主催の責任を持つ機関が土地使用企画・計画作成の諮問を受けることが可能とする。

2.政府は土地使用企画・計画作成に関する諮問を提供する組織、個人の条件を規定する。

48 .土地使用企画・計画の公表・公開

1. 国家権限機関により決定・承認された国家級、省級、県級の土地使用企画・計画が公表・公開されること。

2.土地使用企画・計画 を公表・公開する責任は以下のように規定される。

  1. 資源環境省は国家級土地使用企画・計画を資源環境省の事務所及びウェブサイトに公表・公開する責任を負う。
  2. 省級人民委員会は省級土地使用企画・計画を省級人民委員会の事務所及びウェブサイトに公表・公開する責任を負う。
  3. 県級人民委員会は県級土地使用企画・計画を県級人民委員会の事務所及びウェブサイトに、市町村に関連する県級土地使用企画・計画の内容を市町村級人民委員会の事務所に公表・公開する責任を持つ。

3.土地使用企画・計画公表・公開の時点及び期間は以下の規定を従う。

  1. 国家権限機関が決定・承認する日から 30 日以内に公表を実施すること。
  2. 公開は土地使用企画・計画の期間内において実施される。

49 .土地使用企画・計画の実施

1. 政府は国家級土地使用企画・計画を実施・指導する。

政府の首相は、国会が決定した国家級の土地使用指標に基づき、各省・中央直轄都市、国防省、公安省に土地使用指標を分布する。

省級・県級人民委員会は地方の土地使用企画・計画を実施する責任を負う。

市町村級人民委員会は市町村の地区において土地使用企画・計画を実施する責任を負う。

国防省、公安省は国防・安寧用土地使用企画・計画を実施する責任を持つ。

2.土地使用企画が公表されたが県級の土地使用年次計画がない場合、土地使用者が引き続き土地を使用し、法令の規定に従って土地使用者の権限を実施することが可能とする。

県級の土地使用年次計画ができた場合、計画より土地使用目的を変更し、

土地を回収すべく地区内の土地の使用者は引き続き土地使用者の権限を行使できるが、住宅・工事の新規建設、多年性樹木の植栽は不可能とする。土地使用者が既存の住宅・工事を改修したい場合、法令の規定に従って国家権限機関により許可されなければならない。

3.県級の土地使用年次計画に記載され、案件実施のために回収し、又は土地の使用目的を変更すべくと公表された土地の面積に対して、3 年が過ぎても土地回収決定書、又は土地の使用目的の変更がまだ許可されない場合、土地使用計画の承認権限を持つ国家機関は、土地使用計画に記載されるその土地の面積に対する回収又は目的変更を調整・破棄し、その調整・破棄を公表すること。

土地使用計画の承認権限を持つ国家機関が調整・破棄しない、又は調整・破棄するがその調整・破棄を公表しない場合、土地使用者の権限は本条第

2 項の規定に従って限定されない。

4.土地使用企画の期間が終了しても土地使用企画の指標の実施がまだ完了していない場合、国家権限機関により次期の土地使用企画が決定・承認される時まで引き続き実施すること。

5. 政府は土地使用企画・計画の実施の詳細を規定する。

50 .土地使用企画・計画の実施報告

1.土地使用企画・計画の実績についての年次報告の責任は以下のように規定される。

  1. 市町村級・県級人民委員会は土地使用企画・計画の実績報告書を直接上級人民委員会に送付する責任を負う。省級人民委員会は土地使用企画・計画の実績報告書を資源環境省に送付する責任を持つ。
  2. 国防省、公安省は国防・安寧用土地使用企画・計画の実績報告書を資源環境省に送付する責任を負う。
  3. 資源環境省は全国の土地使用企画・計画について年次の実績をまとめ、

年末の会期への提示に向けて政府に報告する。

2.土地使用計画初期の 後の年に対する土地使用年次計画の実績報告書に土地使用計画全期の実績の纏め報告書を添付すること。

土地使用計画期の 後の年に対する土地使用年次計画の実績報告書に土地使用計画後期の実績の纏め報告書と土地使用計画全期の実績の纏め報告書を添付しなければならない。

51 . 本法が発効する時以降生じる土地使用企画・計画に対する解決

1.本法の発効日の前に国家権限機関により決定・承認された土地使用企画・計画の場合、土地使用 5 年計画(2016 – 2020)を作成する時、再度チェック・追加調査を行い、本法の規定に合わせて土地使用企画・計画を調整しなければならない。

2.本法が発効する時に県級土地使用企画・計画がまだ国家権限機関により承認されていない場合、土地の回収・交付・賃貸、土地使用権公認、土地使用目的の変更は省級土地使用計画及び県級人民委員会が省級人民委員会に決定を申請する県級の経済・社会発展向けの案件一覧表に基づくものとする。

県級土地使用企画・計画の承認は、本法の発効日から 1 年間以内完了し

なければならない。

5 .

土地の交付、賃貸、使用目的変更

52 . 土地の交付、賃貸、使用目的変更の根拠

  1. 国家権限機関により承認された県級土地使用年次計画
  2. 投資案件、土地交付・賃貸・使用目的変更の申請書に表われる土地の使用需要

53 . 使用者が既に存在している場合の土地交付、賃貸

国家が使用者が既に存在している土地を別の者に交付・賃貸するのは、

国家権限機関が本法の規定に従って土地の回収を決定した後に実施されること。立ち退きが必要な場合、法令の規定に準拠した賠償、援助、再定住を事前に完了させなければならない。

54 . 土地使用料を収納しない場合の土地交付以下の場合、国家は土地使用料を収納せずに土地を交付する。

1. 農業・林業・水産物養殖・製塩を直接に生産する家族世帯、個人が本法第 129 条に規定されている限度の範囲内に農地を交付される場合

2.保護森林地、特用森林地、自然林地の生産森林地、事務所建設用土地、国防・安寧目的に使用される土地、商売目的を目指さぬ公益の目的に使用される土地、本法第 55 条第 4 項に規定されている場合に属しない霊園・霊地用土地の使用者の場合

  • 財政的独立していない公立事業組織が事業工事を建設するために土地を使用する場合
  • 国家の案件に応じて再定居用住宅を建設するために土地を使用する組織の場合
  • 住民共同体が農地を使用し、本法第 159 条に規定されている宗教拠点が非農地を使用する場合

55 . 土地使用料を収納する場合の土地の交付以下の場合、国家は土地使用料を収納し、土地を交付する。

1. 居住地を交付される家族世帯、個人の場合

2.販売又は販売・賃貸用住宅の建設投資案件を実施するために土地を交付される経済組織の場合

3.販売又は販売・賃貸用住宅の建設投資案件を実施するために土地を交付される海外定住ベトナム人、外資系企業の場合

4.インフラ付き土地使用権を譲渡するために経済組織が霊園・霊地のインフラ投資案件用土地を交付される場合第 56 . 土地の賃貸

1.以下の場合、国家は土地を賃貸し、土地賃貸料を毎年に徴収するか又は賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する。

  1. 家族世帯、個人が農業・林業生産、水産物養殖、製塩のために土地を使用する場合
  2. 家族世帯、個人は引き続き本法第 129 条に定められている限度を超えた農地を使用する需要がある場合
  3. 家族世帯、個人が商売・サービス用土地、鉱業用土地、建設材料・陶器生産用土地、非農業生産事業所用土地を使用する場合
  4. 家族世帯、個人が商売目的を目指す公共工事を建設するために土地を使用する場合

đ) 経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が農業・林業生産、水産物養殖、製塩の投資案件用土地、非農業生産・経営用土地、商売目的を目指す公共工事建設用土地、賃貸住宅の投資案件実施用土地を使用する場合

  • 経済組織、財政独立の公立事業組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が事業工事の建設に土地を使用する場合

g) 外交機能を持つ海外組織が事務所の建設に土地を使用する場合

2.農業・林業生産、水産物養殖、製塩に土地を使用し、又は農業・林業生産、水産物養殖、製塩を国防・安寧の任務と結合し、土地を使用する人民武装単位に対して、国家は土地を賃貸し、土地賃貸料を毎年に徴収する。

57 . 土地使用目的の変更

1.国家権限機関の許可が必要である土地使用目的の変更は以下の場合を含む。

  1. 稲栽培地を多年性樹木の植林地、植林地、水産物養殖地、製塩地に変更する場合
  2. その他の毎年樹木栽培地を池・湖・沼形でかん水の水産物養殖地、製

塩地、水産物養殖地に変更する場合

  • 特用森林地、保護森林地、生産森林地を農地組みの他の使用目的に変更する場合
  • 農地を非農地に変更する場合

đ) 非農地を国家が交付するが土地使用料を収納しない形から交付して土地使用料を収納する形、又は賃貸形に変更する場合

  • 居住地ではない非農地を居住地に変更する場合

g) 事業工事建設用土地、商売目的を目指す公共目的に使用される土地、商売・サービス用土地ではない非農業の生産・経営用土地を商売・サービス用土地に変更し、商売・サービス用土地、事業工事建設用土地を非農業生産事業所用土地に変更する場合

2.本条第 1 項の規定に基づき土地使用目的を変更する時、土地使用者は法令の規定に従って財政的な義務を履行しなければならない。土地使用制度、土地使用者の権限及び義務は使用目的変更後の土地種類に応じて適用される。

58 .投資案件を実施するための土地交付、賃貸、土地使用目的変更許可の条件

1.国会が決定し、政府の首相が投資方針を承認する場合に属せず、稲栽培地、保護森林地、特用森林地を他の目的に使用する案件に対しては、国家権限機関が以下の文書のいずれかが存在する場合のみ土地の交付、賃貸、使用目的変更許可を決定すること。

  1. 10 ヘクタール以上の稲栽培地、20 ヘクタール以上の保護森林地、特用森林地の使用目的を変更する場合に対する政府の首相の承認文書
  2. 10 ヘクタール未満の稲栽培地、20 ヘクタール未満の保護森林地、特用森林地の使用目的を変更する場合に対する省級人民評議会の議決

2.島、国境、海浜にある土地を使用する案件に対して、国家権限機関は関連の省・業により文面で承認される場合のみ土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可を決定すること。

3.投資案件を実施するために国家から土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可を受ける者は以下の条件を満たさなければならない。

  1. 投資案件の進捗に応じて土地の使用を確保できる財政能力を持つこと。
  2. 投資関連法令の規定に従って手付けすること。
  3. 別の投資案件を実施するために国家から交付・賃貸された土地を使用している場合、土地関連法令の規定に違反しないこと。

4. 政府は本条の詳細を定める。

59 . 土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可の権限

1. 以下の場合、省級人民委員会が土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可を決定する。

  1. 組織に対する土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可の場合
  2. 宗教拠点に対する土地の交付の場合
  3. 本法第 55 条第 3 項に規定されている海外定住ベトナム人、外資系企業に対する土地の交付の場合
  4. 本法第 56 条第 1 項のđ 、e の規定による海外定住ベトナム人、外資系企業に対する土地の賃貸の場合

đ) 外交機能を持つ海外組織に対する土地の賃貸の場合

2. 以下の場合、県級人民委員会が土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可を決定する。

a)家族世帯、個人に対する土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可の場合。面積が 0.5 ヘクタール以上の土地を家族世帯、個人に賃貸し、農地の使用目的から商売・サービス使用目的への変更を許可する場合、決定する前に省級人民委員会の文面での承認がなければならない。

b) 住民共同体に対する土地の交付の場合

3. 市町村級人民委員会が農地基金に属する土地を市町村の公益目的に賃

貸する。

4.本条第 1 項、第 2 項に規定されている土地の交付、賃貸、土地使用目的変更許可の決定権限を持つ機関は委嘱してはいけない。

60 . 本法の発効日前の土地公布、賃貸の処理

1.本法の規定により土地の賃貸に当たり、本法の発効日前に土地使用料を収納する形態で国家から土地を交付された経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人は土地賃貸形態に変更せず、残りの土地使用期間において土地を使用し続けることが可能とする。土地使用期間が終了する時、国家権限機関が延長する場合、本法の規定に従って土地の賃貸形態に変更すること。

2.本法の規定により土地の賃貸に当たり、本法の発効日前に土地使用料を収納しない形態で国家から土地を交付された組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人は本法の発効日から土地の賃貸形態に変更し、賃貸料を納付しなければならない。

3. 本法の規定により土地の賃貸に当たり、本法の発効日前に合法的な土地使用権の譲渡を受けた経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人は、本法の規定に従って土地賃貸形態に変更せず、残りの土地使用期間において土地を使用し続けることが可能とする。

4.本法の規定により土地野賃貸に当たり、本法の発効日前に土地使用料を収納しない形態で国家から土地を交付された家族世帯、個人から農業生産投資案件を実施するために農地の使用権の譲渡を受けた経済組織は、本法の規定による土地の賃貸形態に変更せず、案件の残りの期間において土地を使用続けることが可能とする。

5.販売、販売・賃貸用住宅建設の投資案件を実施するために賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で本法の発効日前に国家から土地を賃貸された海外定住ベトナム人、 外資系企業は残りの土地使用期間において土地を賃貸し続けることが可能とする。又は需要があれば、本法の規定による土地使用料を収納する形態の土地交付に変更するこのもできる。

6 .

土地の回収、徴用、賠償、援助、再定居

 第 1 . 土地の回収、徴用

61 . 国防・安寧目的のための土地回収以下の場合、国家は国防・安寧目的のために土地を回収する。

  1. 駐留場所、事務所にする場合
  2. 軍事拠点を建設する場合
  3. 国家防衛工事、戦場及び国防・安寧に関する特別な工事を建設する場合
  4. 軍事用駅・港を建設す場合
  5. 国防・安寧に直接に使用される工業・科学・技術・文化・スポーツ工事を建設する場合 
  6. 人民武装力の倉庫を建設する場合
  7. 射撃場、練習場、武器テスト場、武器廃棄場にする場合
  8. 人民武装力の訓練所、トレーニングセンター、病院、休養所を建設する場合
  9. 人民武装力の公務ビルを建設する場合

10.国防省、公安省が管理する拘留所、教育所を建設する場合第 62 . 国家利益、公益を目指す経済・社会発展のための土地回収

以下の場合、国家は国家利益、公益を図る経済・社会発展のために土地を回収する。

1. 国会が投資方針を決定し、土地を回収すべく国家の重要な案件を実施する場合

2.政府の首相が投資を承認・決定し、土地を回収すべく下記の案件を実

施する場合

  1. 工業団地・輸出加工区・ハイテック地区、経済地区、新規都会地区を建設する案件、政府開発援助(ODA)で投資される案件
  2. 国家機関、中央の政治組織、政治・社会組織の事務所、外交機能を持つ海外組織の事務所、ランキングされた歴史・文化遺跡、観光名所の工事、公園、広場、モニュメント、記念碑、国家級公共事業工事を建設する案件
  3. 交通、水利、給水、排水、電力、情報通信を含む国家級の技術インフラ基盤、ガソリン・ガスラインシステム、国家予備倉庫、廃棄物収集・処理工事を建設する案件

3.省級人民評議会が承認し、土地を回収すべき下記の案件を実施する場合

  1. 国家機関、政治組織、政治・社会組織の事務所、ランキングされた歴史・文化遺跡、観光名所の工事、公園、広場、モニュメント、記念碑、地方の公共事業工事を建設する案件
  2. 交通、水利、給水、排水、電力、情報通信を含む地方の技術インフラ基盤、廃棄物収集・処理工事を建設する案件
  3. 住民共同体の共通生活に使用される工事を建設する案件、再定居用住宅、学生用寮、社会住宅、公務住宅を建設する案件、宗教拠点の工事、公共の文化・スポーツ・遊園地、霊園、霊地、葬式場、火葬場を建設する案件
  4. 新規都会地区・新規農村住民地区を建設する案件、都会・農村住民地区を整理する案件、工業地の案件、農産物・林産物・水産物・海産物の集中生産・加工地区の案件、保護森林・特用森林を開発する案件

đ) 権限のある機関により許可される鉱産開拓案件(普通の建設材料とする鉱産、泥炭、鉱産が小規模で分散する地区における鉱産を開拓する場合、鉱産を全部開拓する場合を除く)

63 .国防・安寧目的及び国家利益・公益を目指す経済・社会発展の

ための土地回収の根拠国防・安寧目的及び国家利益・公益を目指す経済・社会発展のための土地回収は以下の根拠に基づくこと。

  1. 本法第 61 条、第 62 条に定められている土地回収に属する案件
  2. 国家権限機関により承認された県級土地使用年次計画
  3. 案件実施用土地の使用進捗第 64 . 土地関連法令の違反による土地回収

1. 土地関連法令の違反による土地回収は以下の場合を含む。

  1. 国家から交付・賃貸・土地使用権公認された目的と違って土地を使用し、かつ相違目的に土地を使用した行為に対して行政違反を処罰されたのにその違反を続ける場合
  2. 土地使用者が故意土地を破壊する場合
  3. 土地の交付・賃貸は不正な対象者に対して実施され、又は権限と落ちる場合
  4. 本法の規定により譲渡・贈与不可とする土地の譲渡・贈与を受け取る場合

đ) 国家から管理させられた土地の侵入・占有を発生させる場合

  • 本法の規定により土地使用権の譲渡不可とする土地が土地使用者の責任不足の原因で侵入・占有られる場合
  • 土地使用者が国家に対する義務を履行しないため行政違反処罰されたのに執行しない場合
  • 毎年樹木栽培地が連続の 12 ヶ月期間に、多年性樹木の植林地が連続の 18 ヶ月期間に、植林地が連続の 24 ヶ月期間において使用されない場合
  • 投資案件を実施するために国家が交付・賃貸する土地が連続の 12 ヶ月期間において使用されない、又は土地の使用進捗が投資案件に記載される進捗より 24 ヶ月遅延する場合(実地の渡しを受け取る時から計算する)。土地を使用しない場合、投資家は使用期間を 24 ヶ月延長されることが可能で、その期間において案件実施の進捗遅延期間分に対する土地使用料・賃貸料に該当する金額を国家に納付すること。延長期間が終了しても投資家がまだ土地を使用しない場合、不可抗力の場合を除き、国家は土地及び土地に定着する財産を賠償せず、土地を回収するものとする。

2.土地関連法令の違反による土地回収は土地関連法令の違反行為を確定する国家権限機関の文書、決定に基づかなければならない。

3. 政府は本条の詳細を定める。

65 .法令に準拠する土地使用終了、随意での土地の返還、人の生命の危機があるための土地回収

1.法令に準拠する土地使用終了、随意での土地の返還、人の生命の危機があるための土地回収は以下の場合を含む。

  1. 土地使用料を収納しない形態、国家予算から来る土地使用料を収納する形態で国家から土地を交付された組織が解散・破産・引越しして、土地の使用需要がなくなるか又は減ってきた場合。土地賃貸料を毎年に徴収する形態で国家から賃貸された土地の使用者が解散・破産・引越しして、土地の使用需要がなくなるか又は減ってきた場合。
  2. 後継者無しの土地使用個人が死亡する場合
  3. 使用者が随意で土地を返還する場合
  4. 国家から期間付きで交付・賃貸される土地の使用期間が延長されない場合

đ) 人の生命に影響を与える危機がある環境汚染地区における土地の場合

  • 沈落・沈下の危機があり、他の天災現象から影響を与え、人の生命に影響を与える可能性がある居住地の場合

2. 本条第 1 項の規定による土地回収は以下の根拠に基づくこと。

  1. 発効となった本条第 1 項の a に規定されている土地回収に対する解決

権限のある機関の文書

  • 本条第 1 項の b に定められている土地回収に対する法令の規定に準拠する死亡届け又はある人の死亡を宣言する決定書及び後継者無しその旨を確認するその死亡者の常駐地の市町村級人民委員会の文書
  • 本条第 1 項の c に規定されている場合に対する土地使用者の土地返還文書
  • 本条第 1 項の d に定められている場合に対する土地交付決定書、土地賃貸決定書

đ) 本条第 1 項のđ、e に規定されている場合に対する人の生命に影響を与える危機のある環境汚染度、沈落・沈下、他の天災現象からの影響を受けることを確定する権限のある機関の文書

3. 政府は本条の詳細を定める。

66 . 土地回収権限

1. 以下の場合、省級人民委員会が土地回収を決定する。

  1. (本条第 2 項の b に規定されている場合を除く)宗教組織・基礎、海外定住ベトナム人、外交機能を持つ海外組織、外資系企業に対する土地回収の場合
  2. 市町村の公益土地基金に属する農地を回収する場合

2. 以下の場合、県級人民委員会が土地回収を決定する。 a) 家族世帯、個人、住民共同体に対する土地回収の場合

b) ベトナムにおける住宅を所有する可能の海外定住ベトナム人に対する土地回収の場合

3.土地回収対象地区に本条第 1 項、第 2 項に規定されている対象が含まれる場合、省級人民委員会が土地回収を決定する、又は土地回収の決定を県級人民委員会に委嘱する。

67 .国防・安寧目的、国家利益・公益を目指す経済・社会発展のた

めの土地回収の通知及び土地回収決定の執行

1.国家権限機関は、土地回収決定書が出る時より農地の場合 低で 90 日前、日農地の場合 低で 180 日前、土地回収される者に土地回収を通知しなければならない。土地回収通知の内容は土地の回収・調査・考察・測量・計算の計画を含む。

2. 土地回収対象地区にある土地の土地使用者が国家権限機関が本条第 1 項に規定されている期限前に土地を回収することを合意する場合、権限のある該当の級の人民委員会が土地回収通知期限切れまで待たずに、土地回収を決定する。

3.土地回収される者は調査、考察、測量、計算、賠償・援助・再定居の提案立案の過程において賠償・立ち退きを担当する機関、組織と協力する責任を負う。

4.土地回収決定書が発効し、国家権限機関により承認された賠償・援助・再定居の提案が公表・公開される時、土地回収される者は土地回収決定書を執行しなければならない。

68 . 賠償・立ち退き任務の担当組織、回収された土地の管理

1.賠償・立ち退きを担当する組織は土地に関する公共サービス組織、賠償・援助・再定居評議会を含む。

2. 回収された土地は以下の規定に従って管理・使用に交付される。

  1. 本法第 61 条、第 62 条の規定に従って回収された土地は、投資案件を実施するために投資家に交付されるか、又は管理のために土地に関する公共サービス組織に交付される。
  2. 本法第 64 条第 1 項及び第 65 条第 1 項の a、b、c、d の規定に従って回収された土地は、土地使用権の管理・オークションのために土地に関する公共サービス組織に交付される。

本法第 64 条第 1 項及び第 65 条第 1 項の a、b、c、d の規定に従って回収された土地が農村にある家族世帯、個人の農地の場合、市町村級人民委員会に管理させられる。この土地基金は法令の規定に従って土地がない、又は生産用土地が足りない家族世帯、個人に交付・賃貸される。

3. 政府は本条の詳細を定める。

69 .国防・安寧目的、国家利益・公益を目指す経済・社会発展のための土地回収の手順、手続き

1. 土地の回収、調査、考察、測量、計算の計画の策定及び実施は以下のように規定される。

  1. 土地回収権限のある人民委員会が土地回収通知書を発行する。

土地回収通知書が個々の土地被回収者に送付され、土地回収対象地区の住民に周知され、マスコミ手段より通知され、土地回収対象地区の市町村級人民委員会の事務所、住民地区の公共生活場所に公示される。

  • 土地の回収・調査・考察・測量・計算計画を展開・実施するには市町村級人民委員会が賠償・立ち退きを担当する組織と協力する責任を負う。
  • 賠償・援助・再定居の提案を立案するために、土地使用者が土地面積の調査・考察・測量、住宅その他土地に定着する財産の統計において賠償・立ち退きを担当する組織と協力する責任を負う。
  • 土地回収対象地区における土地使用者が調査・考察・測量・計算において賠償・立ち退きを担当する組織と協力しない場合、土地回収対象地区の市町村級人民委員会、市町村級ベトナム祖国戦線委員会と賠償・立ち退きを担当する組織がその土地使用者を説得する。

説得を受ける日から 10 日以内に土地使用者が賠償・立ち退きを担当する組織と協力しない場合、県級人民委員会会長が強制計算決定書を発行する。土地被回収者が強制計算決定書を施行する責任を負う。土地被回収者が施行しない場合、県級人民委員会会長が本法第 70 条に従って強制計算決定書の強制施行決定書を発行し、強制実施を行う。

2.賠償・援助・再定居提案の立案及び査定は以下のように規定される。

  1. 賠償・立ち退きを担当する組織は、賠償・援助・再定居提案を立案し、

土地回収対象地区の市町村の人民委員会と協力し、賠償・援助・再定居提案に関する意見を土地回収対象地区の住民との直接会議の形態で収集し、同時に賠償・援助・再定居提案を市町村級人民委員会の事務所、土地回収対象地区住民の公共生活場所に公示する責任を負う。

意見の収集は議事録にして、市町村級人民委員会の代表者、市町村級ベトナム祖国戦線委員会の代表者、土地被回収者の代表者により確認されること。

賠償・立ち退きを担当する組織は意見を文面で纏めて、賠償・援助・再定居提案に対する合意意見数、不合意意見数、その他意見数を明記し、賠償・援助・再定居提案に対する不合意意見がある場合、土地回収対象地区の市町村の人民委員会と協力して、対話を開催し、提案を完成し、権限のある機関に提示する責任を負う。

  • 土地回収決定を権限のある人民委員会に申請する前、権限のある機関が賠償・援助・再定居提案を査定する。

3.土地回収の決定、賠償・援助・再定居提案の承認及び実施は以下のように規定される。

  1. 本法第 66 条に定められている権限のある人民委員会は同一の日に土地回収決定書、賠償・援助・再定居提案承認決定書を発行する。
  2. 賠償・立ち退きを担当する組織は、市町村級人民委員会と協力して、賠償・援助・再定居提案承認決定書を周知し、土地回収対象地区の市町村の人民委員会の事務所及び住民地区の公共生活場所に公示し、各土地被回収者毎に賠償・援助額・賠償額・再定居用住宅又は土地の割り当て(該当の場合)、賠償金・援助金支払の時期・場所、再定居用住宅又は土地の割り当て時期(該当の場合)、賠償・立ち退きを担当する組織への回収された土地の譲り渡し時期を明記する援助・再定居決定書を送付する責任を負う。
  3. 承認された賠償・援助・再定居提案二従って賠償、援助、再定居割り

当てを実施する。

  • 土地被回収者が賠償・立ち退きを担当する組織に土地を渡さない場合、

土地回収対象地区の市町村の人民委員会、市町村級ベトナム祖国戦線委員会及び賠償・立ち退きを担当する組織がその土地被回収者を説得する。

土地被回収者が説得を受けても賠償・立ち退きを担当する組織への土地の譲り渡しを執行しない場合、県級人民委員会会長が本法第 71 条の規定に従って土地強制回収決定書を発行し、強制回収を実施する。

4. 賠償・立ち退きを担当する組織は立ち退き済み土地を管理する責任を負う。

70 . 強制計算決定書の強制実施

1. 強制計算決定書の強制実施原則

  1. 強制を公開的・客観的に実施し、民主性、秩序性、安全性を確保し、法令の規定を遵守しなければならない。
  2. 強制実施の開始時点は営業時間帯以内とする。

2. 以下の条件が十分に揃っている場合、強制計算決定書の強制実施が行われる。

  1. 土地回収対象地区の市町村の人民委員会、市町村級ベトナム祖国戦線委員会及び賠償・立ち退きを担当する組織が説得した後、土地被回収者が強制計算決定書を執行しない。
  2. 強制計算決定書の強制実施決定書が既に土地回収対象地区の市町村の人民委員会の事務所、住民地区の公共生活場所に公示された。
  3. 強制計算決定書の強制実施決定書が発効した。
  4. 強制対象者が発効済みの強制決定書を受け取った。

強制対象者が強制決定書の受け取りを拒否し、又は強制決定書を渡す時に不在の場合、市町村級人民委員会が議事録を作成する。

  • 県級人民委員会会長は強制計算決定書の強制実施決定書を発行し、強

制決定書の実施を行う。

  • 強制計算の強制実施決定書の実施手順、手続きは以下のように規定される。
  • 強制実施を任務された組織が強制対象者との説得、対話を行う。
  • 強制対象者が強制決定書を執行する場合、強制実施を任務された組織はその執行を記録する議事録を作成し、調査・考察・測量・計算を実施する。

強制対象者が強制決定書を執行しない場合、強制実施を任務された組織は強制決定書を執行する。

71 . 土地回収決定書の強制実施

1.土地回収決定書の強制実施の原則は本法第 70 条第 1 項の規定に従って実施される。

2. 以下の条件が十分に揃っている場合、土地回収決定書の強制実施が行われる。

  1. 土地回収対象地区の市町村の人民委員会、市町村級ベトナム祖国戦線委員会及び賠償・立ち退きを担当する組織が説得した後、土地被回収者が土地回収決定書を執行しない。
  2. 土地回収決定書の強制実施決定書が既に土地回収対象地区の市町村の人民委員会の事務所、住民地区の公共生活場所に公示された。
  3. 土地回収決定書の強制実施決定書が発効した。
  4. 強制対象者が発効済みの土地回収決定書の強制実施決定書を受け取った、

強制対象者が強制決定書の受け取りを拒否し、又は強制決定書を渡す時に不在の場合、市町村級人民委員会が議事録を作成する。

3.県級人民委員会会長は土地回収決定書の強制実施決定書を発行し、強制決定書の実施を行う。

4. 土地回収の強制実施手順、手続き

  1. 強制を実施する前、県級人民委員会会長が強制実施組みの設立を決定する。
  2. 強制実施組みが強制対象者に対する説得、対話を行う。強制対象者が執行する場合、強制実施組みが議事録を作成し、その執行を記録する。土地の譲り渡しは議事録作成日から 30 日以内に実施されること。

強制対象者が強制決定書を執行しない場合、強制実施組みが強制実施を行う。

  • 強制実施組みは、強制対象者及び関係者が強制対象土地から離れ、強制対象者及び関係者が自分で財産を強制対象土地から移動することをさせる権限を持つ。実施しない場合、強制実施組みが強制対象者、関係者及び財産を強制対象者の土地から移動する責任を負う。

強制対象者が財産の受取を拒否する場合、強制実施組みが議事録を作成し、法令の規定に従って財産を保管し、その財産の所有者に通知し、財産の受取を求めること。

5. 土地強制回収決定書の実施における組織、個人の責任

  1. 県級人民委員会は、強制を実施し、不服申立に関する法令の規定に従って強制についての不服申立を解決し、強制を実施する前に再定居提案を実施し、強制に必要な条件、手段を確保し、土地回収強制用費用を用意する責任を負う。
  2. 強制実施組みは、主催として強制提案及び強制活動用費用の予算を作成し、権限のある人民委員会に承認を申請し、承認された提案に従って強制を実施し、賠償・立ち退きを担当する組織に土地を渡す責任を負う。

回収対象土地上に財産が存在する場合、強制実施組みがその財産を保管しなければならない。その財産の保管費用はその所有者が負担する。

  • 公安は土地強制回収決定書の実施過程において秩序、安全を確保する

責任を負う。

  • 土地回収対象地区の市町村の人民委員会は関連する機関・単位を協力し、土地強制回収決定書の渡し・公示を実施し、強制実施に参加し、賠償・立ち退きを担当する組織と協力し、土地強制被回収者の財産を封印・移動する責任を負う。

đ) 他の関連機関、組織、個人は強制実施組みの要求に応じて強制実施組みと協力し、土地強制回収を実施する責任を負う。

6. 政府は本条の詳細を定める。

すみれ

「ここら辺は土地収用法のようなところかな。」

72 . 土地徴用

1.国家は、国防・安寧任務の施行に本当に必要な場合、又は戦争・緊急・天災防止の状態の場合において土地を徴用する。

2.土地徴用の決定を文面で表すこと。文面の決定が出せなく緊急の場合、権限のある者が口頭により土地徴用を決定することが可能とするが、徴用時点にその土地徴用の決定の確認書を書かなければならない。土地徴用決定は発行時点から発効する。

口頭で土地徴用を決定する時点から 48 時間以内に、口頭で土地徴用を決定した者の機関がその土地徴用を文面で確認し、土地使用対象者に送付する責任を負う。

3. 国防省大臣、公安省大臣、交通運輸省大臣、農業農村開発省大臣、医療省大臣、産業貿易省大臣、資源環境省大臣、省級人民委員会会長、県級人民委員会会長は土地徴用決定、土地徴用延長決定の権限を持つ。

4.土地徴用期間は徴用決定の発効日から 30 日以内とする。戦争状態、緊急状態の場合、徴用期間は徴用決定発行日から、戦争状態、緊急状態の解除日以降の 30 日まで計算される。

土地徴用期間が終了しても徴用目的が完了していない場合、徴用期間を延長することが可能とするが、30 日を越えないものとする。土地徴用延長決定を文面で表し、徴用期間が終了する前に土地徴用対象者に送付しなければならない。

5.土地徴用対象者が徴用決定を執行すること。土地徴用決定が法令の規定の通り実施されたのに土地徴用対象者が執行しない場合、土地徴用の決定者が強制執行決定を発行し、強制執行を実施する、又は徴用対象土地がある所の省級、県級人民委員会会長に強制執行の実施をさせる。

6.土地徴用の権限を持つ者は組織、個人に徴用土地を正しく、効率的に管理・使用させ、徴用期間が終了する時に土地を返還し、土地徴用によって発生した損害を賠償する責任を負う。

7. 土地徴用によって発生した損害の賠償は下記の規定に従って実施される。

  1. 徴用土地が破壊される場合、土地徴用が直接に土地徴用された者の収入に損害を与える場合、土地徴用をされた者が損害賠償を受けるものとする。
  2. 徴用土地が破壊される場合、賠償は決済時点における市場の土地使用権譲渡価格に基づく金銭で実施される。
  3. 土地徴用が直接に土地徴用された者の収入に損害を与える場合、賠償額が徴用土地の渡し日から徴用土地返還決定書に記載される徴用土地の返還日までの収入損害の実績額に基づき確定される。

収入損害の実績額が、徴用時点前に通常の条件で徴用土地から得る収入に適切でなければならない。

  • 土地使用者の申告書及び土地管理台帳に基づき土地徴用が発生させた損害に対する賠償額を確定するために、徴用対象土地がある所の省級・県級人民委員会会長は評議会を設立する。評議会が確定した損害に対する賠償額を元にして、省級・県級人民委員会会長が賠償額を決定する。

đ) 土地徴用が発生させた損害の賠償金額が土地の返還日から 30 日期間以内に国家予算から一回で土地徴用された者に支出される。

8. 政府は本条の詳細を定める。

73 .土地使用権受譲・土地使用権賃貸・土地使用権での生産・経営

への出資の受取の形態による土地の使用

1.案件、生産・経営用工事を実施するための土地使用が本法第 61 条、第

62 条に規定されている国家による土地回収に属せぬ、かつ国家権限機関により承認された土地使用企画・計画に合致する場合、投資家が法令の規定に従って土地使用権の譲渡を受け取って、土地使用権を賃貸し、土地使用権での出資を受けることが可能とする。

2.国家は、案件・生産経営工事を実施するための経済組織、家族世帯、個人の土地使用権の賃貸、土地使用権での出資の受取を勧奨する政策を出す。

3. 政府は本条の詳細を定める。

2 . 土地に対する賠償、援助及び再定居

74 . 国家が土地を回収する際の土地に対する賠償原則

1.国家が土地を回収する際、本法第 75 条に規定されている賠償条件が揃った場合、土地使用者が賠償を受けるものとする。

2.賠償は回収される土地の同一種類の土地の交付で実施される。賠償用土地がない場合、土地回収の決定時点で省級人民委員会が決める回収土地種類の具体的な土地価格によって金で賠償すること。

3.国家が土地を回収する際の賠償は適時に実施され、民主性・客観性・公平性・公開性を確保し、法令の規定を遵守しなければならない。

75 .国防・安寧目的、国家利益・公益を目指す経済・社会発展のために国家が土地を回収する際の賠償受取条件

1.家族世帯、個人が土地賃貸料を毎年支払う形態以外で土地を使用して、かつ土地使用権証明書、住宅所有権・居住地使用権証明書、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書(以下「証明書」と呼ぶ)を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない(本法第 77 条第 2 項に規定されている場合を除く)場合。海外定住ベトナム人がベトナムにおいて土地使用権に付く住宅を所有可能とする対象に属して、証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。

2.住民共同体、宗教・信仰基礎が国家から交付・賃貸された土地以外の土地を使用し、かつ証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。

3.海外定住ベトナム人が土地使用料を収納する形態、賃貸期間全体に一

回土地賃貸料を徴収する形態により国家から土地を交付・賃貸され、工業団地、工業地、輸出加工区、ハイテック地区、経済地区における土地の使用権譲渡を受け、かつ証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。

4.組織が土地使用料を収納する形態、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態により国家から土地を交付・賃貸され、納付した土地使用料・支払った受譲料が国家予算から来るものではない土地使用権の相続・譲渡を受け取って、かつ証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。

  • 外交機能を持つ海外組織 が賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態により国家から土地を賃貸され、かつ証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。
  • 経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が販売、販売・賃貸用住宅を建設する案件を実施するために土地使用料を収納する形態、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態により国家から土地を交付・賃貸され、かつ証明書を持ち、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他

の財産所有権証明書の交付条件を全部満たしているのにまだ交付されない場合。

76 .国防・安寧目的、国家利益・公益を目指す経済・社会発展のために国家が土地を回収する際の土地への残存投資費用に対する賠償

1.国家が土地を回収する際に土地に対する賠償を受けず、土地への残存投資費用の賠償を受ける場合は以下のものを含む。

  1. 土地使用料を収納しない形態で国家から交付される土地(本法第 54 条第 1 項に規定されている国家から家族世帯、個人に交付される農地を除く)
  2. 土地使用料を収納する形態で国家から組織に交付され、かつ土地使用料が免除される土地
  3. 土地賃貸料を毎年に徴収する形態、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で国家から賃貸され、かつ土地賃貸料が免除される土地(家族世帯、個人が革命への貢献者に対する優遇政策の実施による賃貸土地を使用する場合を除く)
  4. 市町村の公益土地基金に属する農地

đ) 農業・林業生産、水産物養殖、製塩に使用される請負耕作地

2. 政府は本条の詳細を定める。

77 .国家が家族世帯、個人の農地を回収する際の土地・土地への残存投資費用に対する賠償

1.国家が土地を回収する時に農地を使用している家族世帯、個人は以下の規定に従って土地・土地への残存投資費用に対して賠償される。

  1. 賠償される農地の面積は本法第 129 条、第 130 条に規定されている限度以内の面積及び相続された面積を含む。
  2. 本法第 129 条に定められている限度を超えた農地の面積は土地に対して賠償されないが、土地への残存投資費用に対して賠償される。
  3. 本法の発効日の前に土地使用権の譲り渡しを受けることで限度を超え

た農地の面積に対する賠償、援助は政府の規定に従って実施される。

2. 2004 年 7 月 1 日前に既に使用されている農地であり、かつ土地使用者が農業を直接に生産する家族世帯、個人であるが証明書を持たず、又は本法の規定による土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件が揃っていない場合、実際に使用している土地野面積に対して賠償される。

賠償対象面積が本法第 129 条に定められている農地の交付の限度を超えてはいけない。

78 .国家が経済組織、財政的独立する公立事業組織、住民共同体、宗教拠点の農地を回収する際の土地・土地への残存投資費用に対する賠償

1.国家が土地を回収する際、本法第 75 条に規定されている賠償の条件を全部満たす場合、土地使用料を収納刷る形態、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で国家から土地を交付・賃貸され、土地使用権の譲渡を受ける農地を使用している経済組織が土地に対する賠償を受ける可能とする。土地に対する賠償額は残りの土地使用期間に基づき確定される。

2.土地賃貸料を毎年に徴収する形態で国家から賃貸される農地を使用している経済組織、財政的独立する公立事業組織は国家が土地を回収する際に土地に対する賠償を受けないが、国家予算から来ない土地への残存投資費用に対する賠償を受けるものとする。

農地が特用森林地、保護森林地、経済組織が法令の規定に従って家族世帯、個人に請負を交付した自然林地である生産森林地以外の場合、国家が土地を回収する際、請負を受けた家族世帯、個人が土地に対する賠償を受けないが、土地への残存投資費用に対する賠償を受けるものとする。

3. 国家が土地を回収する際に農地を使用している住民共同体、宗教拠点が本法第 75 条に定められている賠償の条件を満たす場合、政府の規定に従って賠償されるものとする。

79 . 国家が居住地を回収する際の土地に対する賠償

1.国家が土地を回収する際に居住地を使用している家族世帯・個人、ベトナムにおいて土地使用権に付く住宅を所有している海外定住ベトナム人が本法第 75 条に規定されている賠償の条件を満たす場合、以下のように賠償されること。

  1. 土地回収対象地区の市町村の地区において他の居住地・住宅を持たない場合、居住地或いは住宅で賠償される。居住地・住宅による賠償の需要がない場合、国家が金で賠償する。
  2. 土地回収対象地区の市町村の地区において他の居住地・住宅を持っている場合、金で賠償される。居住地基金を持っている地方の場合、居住地で賠償するように検討されること。

2.家族世帯、個人が国家が住宅有りの土地を回収する際に引越しすべく、かつ居住地の賠償条件を満たさず、他の住居場所を持たない場合、国家から住宅を販売・賃貸・割賦され、又は土地使用料を収納する形態で居住地を交付される。

3.国家が土地を回収する際に、住宅を建設する案件の実施に土地を使用している経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が本法第 75 条に規定されている賠償条件を満たす場合、土地に対する賠償を受けるものとする。

4. 政府は本条の詳細を定める。

80 .国家が家族世帯、個人の居住地以外の非農地を回収する際の土地・土地への残存投資費用に対する賠償

1.国家が土地を回収する際に、居住地でない非農地を使用している家族世帯、個人が本法第 75 条に規定されている賠償条件を満たす場合、同一使用目的を持つ土地で賠償されること。賠償用土地がない場合、使用期間付き土地に対して、残っている土地使用期間に応じて金で賠償されるものとする。

2.土地賃貸料を毎年に徴収する形態、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収するのに賃貸料が免除される形態で国家から賃貸される居住地でない非農地を使用している家族世帯、個人は、国家が土地を回収する際に土地に対する賠償を受けないが、土地への残存投資費用に対する賠償を受けること(家族世帯、個人が革命への貢献者に対する優遇政策の実施による土地を使用する場合を除く)

3. 政府は本条の詳細を定める。

81 . 国家が経済組織、財政的独立する公立事業組織、住民共同体、宗教・信仰基礎、海外定住ベトナム人、外交機能を持つ海外組織、外資系企業の居住地でない非農地を回収する際の土地・土地への残存投資費用に対する賠償

1.国家が土地を回収する際に、居住地・霊園地・霊地でない非農地を使用している経済組織、, 海外定住ベトナム人が本法第 75 条に規定されている賠償条件を満たす場合、同一使用目的を持つ土地で賠償されること。賠償用土地がない場合、残っている土地使用期間に応じて金で賠償される。

2.国家が土地を回収する際に、本法第 55 条第 4 項に定められている国家から霊園・霊地の建設用として交付された土地を使用している経済組織、本法第 184 条に規定されている土地使用権での出資を受けることより出来た居住地以外の非農地を使用している合弁企業は政府の規定に従って土地に対する賠償を受けること。

3.国家が土地を回収する際に、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で国家から賃貸される非農地を使用している経済組織、財政的独立する公立事業組織、海外定住ベトナム人、外交機能を持つ海外組織、外資系企業が本法第 75 条に規定されている賠償条件を満たす場合、残っている土地使用期間に応じて土地に対する賠償を受けること。

4. 国家が土地を回収する際に、土地賃貸料を毎年に徴収する形態で国家

から賃貸される非農地を使用している経済組織、財政的独立する公立事業組織、海外定住ベトナム人、外交機能を持つ海外組織、外資系企業は土地への残存投資費用に対する賠償を受けること。

5.国家が土地を回収する際に、非農地を使用している住民共同体、宗教・信仰基礎が本法第 75 条に規定されている賠償条件を満たす場合、政府の規定に従って土地に対する賠償を受けること。

82 . 土地に対する賠償無しの国家による土地回収

以下の場合、国家が土地に対する賠償無しで土地を回収する。

  1. 本法第 76 条第 1 項に定められている場合
  2. 管理のために国家から交付された土地

3.本法第 64 条、第 65 条第 1 項の a、b、c、d に規定されている場合に回収される土地

4. 本法が規定する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件が足りない場合(本法第 77 条第 2 項に定められている場合を除く)第 83 . 国家が土地を回収する際の援助

1. 国家が土地を回収する際の援助原則

  1. 国家が土地を回収する際に、本法の規定に準拠する賠償に加えて、国家が土地使用者に対する援助を検討するものとする。
  2. 援助は客観性、公平性、適時性、公開性を確保し、法令の規定を遵守しなければならない。

2. 国家が土地を回収する際の援助は以下のものを含む。

  1. 生活及び生産の安定化への援助
  2. 直接に農業を生産する家族世帯、個人の農地を回収する場合、家族世帯、個人の居住地兼サービス経営地を回収し、引越しを発生させる場合に対する職業訓練・変更及び仕事探しへの援助。
  3. 家族世帯、個人、海外定住ベトナム人の居住地を回収し、引越しを発生させる場合に対する再定居の援助
  4. その他の援助

3. 政府は本条の詳細を定める。

84 . 国家が土地を回収する際の家族世帯、個人に対する職業訓練・

変更、仕事探しの援助

1. 農業を直接生産する家族世帯、個人は、国家が農地を回収するのに賠償用農地がない場合、 金による賠償に加えて、職業訓練・変更、仕事探しの援助も受けること。

生産年齢である職業訓練・変更、仕事探しの被援助者が職業訓練の需要がある場合、職業訓練基礎に受入れられ、仕事探しの諮問・援助を受け、生産・経営開発のために優遇型で資金を借りることが可能とする。

2.居住地兼サービス経営地を使用しており、主な収入がそのサービス経営活動から来る家族世帯、個人が国家の土地回収で引越ししなければならない場合、生産・経営開発のために優遇型で資金を借りることが可能とする。土地被回収者が生産年齢である場合、職業訓練・変更、仕事探しの援助を受けること。

3. 県級土地使用年次計画に基づき、省級人民委員会、県級人民委員会は、

農地・居住地兼サービス経営地である土地の被回収者向けの職業訓練・変更、仕事探しの援助提案を立案し、実施する責任を負う。職業訓練・変更、仕事探しの援助提案は賠償・援助・再定居提案と同時に作成・承認されること。

職業訓練・変更、仕事探しの援助提案の作成過程において、省級人民委員会、県級人民委員会が土地被回収者の意見を収集し、その意見を受けて、解説する責任を負う。

85 . 再定居案件の立ち上げ及び実施

1. 土地を回収する前、省級人民委員会、県級人民委員会が再定居案件を立ち上げて、実施する責任を負う。

2.集中再定居地区のインフラ基盤を充実させ、建設の標準・基準を確保し、各地域、地方の条件、風俗、習慣に合致しなければならない。

3.再定居地区の住宅又はインフラ基盤の建設が完了しないと土地回収を実施できないものとする。

4. 政府は本条の詳細を定める。

86 . 引越しすべく居住地被回収者のための再定居の割り当て

1.省級人民委員会、県級人民委員会により再定居の割り当て責任を命じられた賠償・立ち退きを担当する組織は、国家権限機関が再定居割り当て提案を承認する前、引越し対象に属する土地被回収者に再定居の割り当て提案の案を通知し、その案を土地回収対象地区の市町村の人民委員会の事務所、住民地区の公共生活場所、再定居場所に 15 日以上公示しなければならない。

通知内容は再定居の場所、再定居用土地基金・住宅基金の規模、土地ロット・アパートメント毎のデザイン・面積、再定居用土地・住宅の価格、土地被回収者に対する再定居割り当ての予定を含む。

2.土地回収地区に再定居案件があり、又は再定居割り当てが可能な場合、土地被回収者に現地の再定居を割り当てする。土地を早めに渡す土地被回収者、革命への貢献者である土地被回収者に便利な位置を優先する。

承認された再定居割り当て提案を土地回収対象地区の市町村の人民委員会の事務所、住民地区の公共生活場所及び再定居場所に公示しなければならない。

3.再定居場所における土地の使用料を計算するための具体的な土地価格、再定居用住宅の販売価格は省級人民委員会により決定されること。

4.再提供が割当てられる土地被回収者がその賠償・援助の金額で一所の低の再定居を買えない場合、一所の 低の再定居土地を買えるように国家から援助金を受けること。

政府は各地域、地方の条件に応じて 低の再定居土地を具体的に規定する。

87 . 特別な場合に対する賠償、援助、再定居

1.住民共同体を移動させ、共同体の生活、経済・社会、伝統的な文化全体に影響を与える、国会により投資方針が決定され、政府の首相により投資方針が承認された投資案件、複数の省・中央直轄都市に係わる土地回収案件の場合、政府の首相が賠償・援助・再定居政策の枠を決定する。

2.国際・海外組織からの借入資本を使用し、かつベトナム国家が賠償・援助・再定居政策の枠について約定する案件の場合、その対策の枠に従って実施する。

3. 本法第 65 条第 1 項のđ 、e に規定されている回収の場合に対して、土地被回収者が生活・生産を安定化するために政府の規定に従って賠償・援助・再定居を受けること。

3 . 財産、生産、経営に関する損害の賠償

88 .国家が土地を回収する際の財産及び生産・経営の中止に関する損害の賠償原則

1.国家が土地を回収する際に、土地に付けられる合法的な財産の所有者が財産に関する損害を受ける場合、賠償されるものとする。

2.国家が土地を回収する際に、組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業が生産・経営を中止することで損害が発生する場合、その損害の賠償を受ける。

89 . 国家が土地を回収する際の土地に定着する住宅・建設工事に関する損害の賠償

1.国家が土地を回収する際に、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人の土地に定着する住宅、生活用工事が全部取り外されるか、又は一部を取り外した結果の残り分が法令の規定による技術標準を確保しない場合、その住宅・工事の所有者が、同等の技術標準を持つ住宅・工事の新規建設の価値で賠償される。

住宅、工事の残り分が法令の規定による技術標準を確保する場合、実際の損害に応じて賠償すること。

2.国家が土地を回収する際に、本条第 1 項に規定されている場合に該当しない土地に定着する住宅その他の建設工事が全部取り外されるか、又は一部を取り外した結果の残り分が法令の規定による技術標準を確保しない場合、政府の規定に従って損害の賠償を受けること。

3.本条第 1 項、第 2 項の場合に該当せず、使用されている土地上の技術インフラ・社会インフラ工事の場合、賠償限度は専業法令の規定による同等の技術標準を持つ工事の新規建設の価値で計算されること。

90 . 植木、飼い動物に対する賠償

1.国家の土地回収が植木に損害を与える場合に対する賠償は以下の規定に従って実施される。

  1. 毎年樹木の場合、収穫時期の生産量の価値で賠償額を計算する。収穫時期の生産量の価値は、現地の植木の直前の 3 年における 高生産量及び土地回収時点の平均価格により計算されること。
  2. 多年樹木の場合、賠償額は、回収時点の現地価格に基づく木園の現在価値で計算され、土地使用権の価値を含まない。
  3. 別の所に移動できる未収穫の植木の場合、移動費用及び移動・再植樹が与える実際の損害に対する賠償を受けること。
  4. 国家予算からの資金で植樹された林木、植樹・管理・養成・保護のために組織・家族世帯・個人に交付された自然森林の木の場合、木園の実際損害の価値に基づき賠償する。賠償金は森林保護・開発法の規定に従ってその管理・養成・保護の担当者に分けられる。

2.国家の土地回収から損害を受けた水産物である飼い動物に対する賠償は以下の規定に従って実施される。

  1. 土地回収時点で収穫時期となった水産物である飼い動物に対しては賠償しない。
  2. 土地回収時点でまだ収穫時期になっていない水産物である飼い動物の場合、早収穫から受けた実際の損害に対する賠償を受ける。移動できる場合、移動費用及び移動から受けた損害を賠償される。具体的な賠償額は省級人民委員会により規定される。

91 . 国家が土地を回収する際の移動費用の賠償

1.国家が土地を回収する際に、財産を移動する必要な場合、取り外し・移動・組み立ての費用に対する賠償を国家から受けること。機械システム、生産ラインを移動しなければならない場合、取り外し・移動・組み立てにおける損害に対しても賠償される。

2. 省級人民委員会が本条第 1 項の賠償額を規定する。

92 . 国家が土地を回収する際に土地に定着する財産を賠償しない場合

1. 土地に定着する財産が本法第 64 条第 1 項の a、b、d、đ、e、i 及び第

65 条第 1 項の b、d に定められている土地回収のいずれかに該当する場合

2.土地に定着する財産が法令の規定に違反して作り立てられ、又は国家権限機関の土地回収通知書が発行された後に作り立てられる場合

3. 使用されていない技術・社会インフラ工事及びその他の建設工事の場合

93 .賠償・援助・再定居の金額の支払い

1. 国家権限機関により発行された土地回収決定書の発効日から 30 日以内の期間において、賠償責任機関、組織が土地被回収者に賠償・援助金を支払わなければならない。 

2.賠償責任機関、組織の賠償支払いが遅れた場合、土地被回収者に賠償・援助金を支払う時、権限のある機関により承認された賠償・援助・再定居提案に準拠した賠償・援助金に加えて、土地被回収者は、支払い遅延金額及び遅延期間に基づいて計算される税管理法の規定による収納遅延額と等しい金額も受けること。

3.土地被回収者が権限のある機関が承認した賠償・援助・再定居提案によって賠償・援助金を受けない場合、その賠償・援助金が国庫の仮納付の口座に預けられるものとする。

4.国家が土地を回収する際に賠償される土地使用者が法令の規定による国家に対する土地に関する財政的な義務を履行していない場合、国家予算への返済のために財政的な義務が未実施の金額分をその賠償金額から引かなければならない。

5. 政府は本条の詳細を定める。

94 .安全保護回廊のある工事を建設する際の安全保護回廊範囲内に入る土地に対する賠償

国家が安全保護回廊に含まれる土地を回収せず、公共・国防・安寧用工事を建設する場合、土地使用者が土地利用性、土地に定着する財産への損害で政府の規定に従って賠償を受けること。

7 .

土地登記、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産の所有権証明書交付

1 . 土地・土地に定着する住宅その他の財産の登記

95 . 土地・土地に定着する住宅その他の財産の登記

1.土地使用者、管理のために土地を交付された者に対して土地を登記するのは必須とする。土地に定着する住宅その他の財産に対する所有権の登記は所有者の要求に応じて実施される。

すみれ

「土地の登記は、必須だよ。」

2. 土地・土地に定着する住宅その他の財産の登記は初期登記と変更登記を含み、土地管理機関に所属する土地登記組織において、同じ法的な価値と見做される紙上登記方式又は電子登記方式で実施される。

3.初期登記は以下の場合において行われる。

すみれ

「初期投資みたいだね。」

  1.  
  2.  
  3. 使用目的に交付・賃貸される土地ロットの場合
  4. 使用されている土地ロットが未登記の場合
  5. 管理目的に交付される土地ロットが未登記の場合
  6. 土地に定着する住宅その他の財産が未登記の場合

4. 変更登記は、証明書交付済み又は登記済みで以下の変更が発生する場合において実施される。

  1. 土地使用者、土地に定着する財産所有者が土地使用権、土地に定着する財産に対する変更、譲渡、賃貸、転貸、贈与の権限を行使し、土地使用権、土地に定着する財産で担保・出資する場合
  2. 土地使用者、土地に定着する財産所有者が改名の許可を得る場合
  3. 土地ロットの形・サイズ・面積・番号・住所に関する変更が発生する場合
  4. 土地に定着する財産が登記されている内容より変わった場合 đ) 土地使用目的の変更の場合
  5. 土地使用期間の変更がある場合

g) 国家が土地を賃貸し土地賃貸料を毎年に徴収する形態から賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態に、国家が土地を交付し土地使用料を収納しない形態から土地賃貸形態に、土地賃貸形態から土地を交付し土地使用料を収納する形態に本法の規定に従って変更する場合

h)主婦又は主人の土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産所有権を夫婦の共有土地使用権、共有財産所有権に変更する場合

i) 組織、家族世帯、夫婦、土地を共用する人組、土地に付けられる共通財産の所有者組の土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産所有権を分割する場合

  • 権限のある人民委員会に認められた土地紛争について和解成立の和解結果、債務を処分するための担保契約における合意、施行済みの国家権限機関の土地紛争・土地に関する不服申立・告訴の解決決定・人民裁判所の決定又は判決・判決施行機関の施行決定、土地使用権のオークション結果が法令に適合することを公認する文書によって土地使用権、土地に定着する財産所有権を変更する場合
  • 隣接土地の制限的な使用権を確立・変更・終了する場合
  • 土地使用者の権限制限に関する変更がある場合

5.登記を申告した土地使用者、土地に定着する財産所有者が土地管理台帳に記入され、需要がありかつ本法の規定及び関連の法令の規定に定められている条件を満たす場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付される。土地の変更を登記する場合、土地使用者が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付され、又は交付された証明書に変更の公認を記入される。

初期登記で土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を満たさない場合、国家が政府の規定に基づき処分決定を出す時まで、土地を使用している者が一時的にその土地を使用することを可能とする。

6.本条第 4 項の a、b、h、i、k、l に定められている変更登記の場合、変更の発生日から 30 日以内に土地使用者が変更登記手続きを実施しなければならない。土地使用権を相続する場合、変更登記期間は相続遺産である土地使用権の分配が完了する日から計算される。

すみれ

「分配についての期間制限はないのかな。」

7. 土地、土地に定着する財産の登記は土地管理台帳への登記時点から発効する。

96 . 土地管理台帳

  1. 土地管理台帳は、各土地ロットの詳細情報、土地管理担当者、土地使用者、土地に定着する財産所有者、土地使用権、土地に定着する財産所有権及びその変更を表す紙・電子の書類を含む。
  • 資源環境省の大臣は、土地管理台帳及び土地管理台帳の作成・整理・管理、紙の土地管理台帳から電子土地管理台帳への移行路程を定める。

2 .土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付

97 . 土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書

  1. 土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書が全国に統一される様式で土地使用権、住宅所有権、土地に付けられるその他の財産所有権を持つ者に交付される。

資源環境省の大臣が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書について具体的に規定する。

  • 2009 年 12 月 10 日前に土地関連法令、住宅に関する法令、建設に関する法令に従って交付された土地使用権証明書、住宅所有権・居住地使用権証明書、 住宅所有権証明書、建設工事所有権証明書の法的価値が維持され、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書への交換が不要とする。 2009 年 12 月 10 日前に証明書を交付された者が交換を求める場合、本法の規定に従って土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書に交換される。

98 .土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付原則

1. 土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書が土地ロット毎に交付される。同一の市町村にある複数の農地の土地ロットを使用している土地使用者が求める場合、それらの土地ロットに対して 1 部の共有土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されるものとする。

2.複数の者が土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産を共同所有する土地ロットの場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書に土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産の各共有者の氏名を全部記載し、各共有者に 1 部の証明書を交付しなければならない。使用主、所有主が求める場合、1 部の共通証明書を交付し、その代表者に渡すこと。

3. 法令の規定による財政的な義務の履行が完了した後、土地使用者、土地に定着する住宅その他の財産の所有者が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を受け取ること。

土地使用者、土地に定着する住宅その他の財産の所有者が財政的な義務の履行対象に属しない、又は財政的な義務を免除・保留される場合、土地賃貸量を毎年に支払う形態で土地を賃貸する場合は権限のある機関が交付した後、直ちに土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を受け取ること。

4.土地使用権、又は土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産所有権又は土地に定着する住宅その他の財産所有権が夫婦の共有財産の場合、主婦の氏名及び主人の氏名の両方を土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書に記載しなければならない。(夫婦が主婦の氏名或いは主人の氏名のみを記載することを合意する場合を除く)

土地使用権、又は土地使用権、土地に定着する住宅その他の財産所有権又は土地に定着する住宅その他の財産所有権が夫婦の共有財産で、かつ交付された証明書に主婦の氏名或いは主人の氏名のみが記載されている場合、要求があれば、主婦の氏名も主人の氏名も記載されるように土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書に交換されるものとする。

5.現地測量の面積と本法第 100 条に規定されている書類、或いは交付された証明書に記載される面積との差異があり、かつ使用されている土地ロットの境界が土地使用権に関する書類の発行時点における土地ロットの境界より変わらず、隣の土地の使用者との紛争がない場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付・交換する時、その土地の面積が現地で測量される面積で確定される。現地の面積が書類のものより広くても土地使用者はその差分に対する土地使用料を納付すべきではない。

再測量の時の土地ロットの境界が土地使用権に関する書類の発行時点における土地ロットの境界より変わって、かつ実際の測量面積が土地使用権に関する書類に記載される面積より広い場合、その差分(該当の場合)に対する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付が本法第 99 条の規定に従って検討される。

99 .土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を

交付される土地使用

1.国家は以下の場合に対して土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付する。

  1. 土地を使っている者が本法第 100 条、第 101 条、第 102 条に規定されている土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付条件を満たす場合
  2. 本法の発効日以降国家から土地を交付・賃貸される者の場合
  3. 土地使用権の変更・譲渡・相続・贈与、土地使用権での出資を受ける者、債権を回収するために土地使用権での担保契約を処理する際に土地使用権を受ける者の場合
  4. 土地紛争に対する和解成立の和解結果、施行済みの人民裁判所の決定又は判決、判決施行機関の施行決定、土地に関する紛争・不服申立・告訴に対する国家権限機関の解決決定によって土地を使用できる者 

đ) 土地使用権についてのオークションの落札者の場合

  • 工業団地、工業地、ハイテック地区、輸出加工区、経済地区にある土地を使用する者の場合
  • 土地に定着する住宅その他の財産を買う者の場合
  • 国家から土地に定着する住宅を安売りされる者、国家所有に属する住宅を買う者の場合
  • 土地使用者が土地の分割・統合をする場合、土地を使用する人組或いは家族世帯のメンバー、夫婦、組織が土地を分割し、現存の土地使用権を統一する場合

k) 紛失の証明書の交換・再交付を申請する土地使用者の場合

2. 政府は本条の詳細を定める。

100 . 土地使用権に関する書類のある土地を使用している家族世帯、

個人、住民共同体に対する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付

1. 土地を安定に使用しており、下記の書類のいずれかを持っている家族世帯、個人は土地使用料を納付せず、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付される。

  1. ベトナム民主共和国、ベトナム南部共和臨時革命政府及びベトナム社会主義共和国の土地政策実施過程において 1993 年 10 月 15 日前に権限のある機関が交付した土地に関する書類
  2. 1993 年 10 月 15 日前に国家権限機関が交付した臨時土地使用権証明書、又は農地登記台帳、土地管理台帳に氏名が記載されている場合
  3. 土地使用権或いは土地に定着する財産の相続・贈与に関する合法的な書類、土地に付けられる情義の家・人道の家寄付書類
  4. 1993 年 10 月 15 日前に交付され、かつ 1993 年 10 月 15 日前に市町村級人民委員会により使用済みと確認された土地使用権の譲渡、居住地に付けられる住宅の売買書類

đ) 居住地に付けられる住宅の安売り書類、法令の規定に準拠する国家所有に属する住宅の購買書類

すみれ

「住宅の安売り書類というのは?」

  • 旧制度の権限のある機関が土地使用者に交付した土地使用権に関する書類

g) 政府の規定による 1993 年 10 月 15 日前に確立された他の書類

2.本条第 1 項に定められているいずれかの書類及び各関係者が署名した土地使用権の譲り渡しに関する書類のある土地を使用している家族世帯、個人が本法の発効日の直前までにまだ法令の規定に従って土地使用権の譲渡手続きを実施しない、かつその土地の紛争がない場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されるものとし、土地使用料を納付すべきではない。

3.施行済みの人民裁判所の決定又は判決、判決施行機関の施行決定、和解成立の和解結果の公認書、土地に関する紛争・不服申立・告訴に対する国家権限機関の解決決定によって土地を使用できる者家族世帯、個人が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されること。財政的な義務を履行していない場合、法令の規定に従って履行しなければならない。

4.本法の発効日までに、1993 年 10 月 15 日から国家が交付・賃貸した土地を使用している家族世帯、個人がまだ証明書を交付されない場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されること。財政的な義務を履行していない場合、法令の規定に従って履行しなければならない。

5.住民共同体が使用している亭、神社、廟、小礼拝堂、祠堂、家系礼拝堂の工事がある土地、本法第 131 条第 3 項に定められている農地について紛争がなく、かつその土地のある市町村級人民委員会が住民共同向けの共用土地と確認される場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されること。

101 . 土地使用権に関する書類を持たず、土地を使用している家族世帯、個人に対する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付

1.本法の発効日前に本法第 100 条に規定されている書類を持たずに土地を使用しており、その地方に常駐戸籍が登記済みで、困難な経済・社会状況の地域、非常に困難な経済・社会状況の地域において農業・林業生産、水産物養殖、製塩を直接にしている家族世帯、個人がその土地のある市町村の人民委員会により紛争無しで安定的に土地を使用している者と確認される場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付され、土地使用料を納付すべくではない。

2.本法第 100 条に定められている書類を持たずに土地を使用しており、

2004 年 7 月 1 日前にその土地を安定的に使用し、かつ土地関連法令違反がない家族世帯、個人が、市町村級人民委員会によりその土地に関する紛争がなく、国家権限機関が承認した土地使用企画、都会建設詳細企画、農村部の住民地区建設企画(企画がある地区の場合)に適合することを確認される場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されること。

  • 政府は本条の詳細を定める。

102 . 土地を使用している宗教組織・基礎に対する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付

1.土地を使用している組織は、使用目的に沿って正しく使用されている土地面積の分に対して土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付される。

2.組織が使用しているが土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されない土地面積分は以下のように解決される。

  1. 国家は、未使用・不正な目的で使用される土地、不合法的な貸与・賃貸される土地、侵入・占有された土地の面積の分を回収する。
  2. 組織は、管理のために、居住地として使用された面積分を県級人民委員会に渡すこと。その居住地が国家権限機関が承認した土地使用企画に適合する場合、居住地の使用者が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付される。国家から土地を交付された農業・林業生産、水産物養殖、製塩の国営企業が 2004 年 7 月 1 日前に家族世帯、個人がその土地の一部を居住地として使用することを許可した場合、地方の管理に渡す前、その居住地面積を住民地区に割当てる提案を立案し、その土地のある所の省級人民委員会に提示し、承認を申請しなければならない。

3.本法第 56 条に規定されている国家から賃貸される土地を使用している組織の場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付する前、省級土地管理機関が土地賃貸契約の締結手続きを実施すること。

  • 土地を使用している宗教拠点が以下の条件を全部満たす場合、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付されること。
  • 国家に活動許可されること
  • 紛争がないこと
  • 2004 年 7 月 1 日後に譲渡・贈与で受けられた土地ではないこと
  • 政府は本条の詳細を定める。

103 . 庭、池がある場合の居住地面積の確定

  1. 居住地として確定される家族世帯、個人の庭、池の土地は住宅がある土地と同一土地ロットに属しなければならない。
  2. 1980 年 12 月 18 日前に形成された庭、池のある土地ロットであり、かつその土地を使用している者が本法第 100 条第 1 項、第 2 項、第 3 項に定められている土地使用権に関する書類のいずれかを有する場合、居住地の面積がその書類に基づき確定される。

本法第 100 条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている土地使用権に関する書類に居住地の面積が明確に確定されていない場合、土地使用料を納付しないと認められる居住地の面積は本法第 143 条第 2 項、第 144 条第 4 項に定められている土地の交付限度の 5 倍を超えないと確定されること。

  • 1980 年 12 月 18 日から 2004 年 7 月 1 日前に形成された庭、池のある土地ロットであり、その土地を使用している者が本法第 100 条に規定されている土地使用権に関する書類を持ち、その書類に居住地の面積が明記されている場合、居住地の面積がその書類に基づき確定されること。
  • 1980 年 12 月 18 日から 2004 年 7 月 1 日前に形成された庭、池のある土地ロットであり、その土地を使用している者が本法第 100 条に規定されている土地使用権に関する書類を持ち、その書類に居住地の面積が明記されていない場合、居住地の面積は以下のように確定されること。
  • 省級人民委員会が地方の状況、習慣を基にして、家族世帯の人口及び地方の習慣に応じて家族世帯毎の居住地の公認限度を規定する。
  • 土地ロットの面積が地方の居住地の公認限度を超えた場合、地方の居住地の公認限度を居住地面積とする。
  • 土地ロットの面積が地方の居住地の公認条件より小さい場合、その土地ロットの全面積を居住地面積とする。

5.本法第 100 条に規定されている土地使用権に関する書類がなく、かつその土地が 1993 年 10 月 15 日前に安定的に使用されている場合、居住地の面積は本条第 4 項に定められている限度で確定される。土地が 1993 年 10 月 15 日以降安定的に使用されている場合、居住地の面積は本法第 143 条第 2 項、第 144 条第 4 項に規定されている家族世帯、個人毎に交付される居住地の限度に従って確定される。

6.本条第 2 項、第 3 項、第 4 項、第 5 項の規定に従って居住地を確定した後に残る庭、池の土地面積分は、本法第 10 条第 1 項の規定によって現状の使用目的に使用される土地と確定される。

7. 政府は本条の詳細を定める。

104 .土地に定着する財産に対する証明書の交付

1.土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を交付される土地に定着する財産は土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付時点に存在している住宅、その他の建設工事、植林・多年性樹木である生産森林を含む。

2.土地に定着する財産に対する土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付は政府の規定に従って実施される。

105 .土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付権限

  1. 省級人民委員会が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を宗教組織・基礎、投資案件を実施する海外定住ベトナム人・外資系企業、外交機能を持つ海外組織に交付する。

省級人民委員会が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付を同級の資源環境機関に委嘱することが可能とする。

  • 県級人民委員会が土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を家族世帯、個人、住民共同体、ベトナムにおいて土地使用権に付けられる住宅を所有できる海外定住ベトナム人 に交付する。

3.証明書、住宅所有権証明書、建設工事所有権証明書を交付された者が土地使用者、土地に定着する財産所有者の権限を行使し、又は証明書、住宅所有権証明書、建設工事所有権証明書を交換・再交付する場合は政府の規定に従って、資源環境機関により対応される。

106 . 交付された証明書の訂正、回収

1. 交付された証明書に以下の誤りがある場合、証明書交付権限のある機関その証明書を訂正する責任を負う。

  1. 証明書の交付時点に存在している土地使用者、土地に定着する財産所有者の法人証明書類あ或いは身分証明書類と異なる氏名・法人証明書類あ或いは身分証明書類・住所に関する誤り
  • 土地登記機関が確認した土地・土地に定着する財産登記申告書類と異なる土地ロット、土地に定着する財産に関する誤り

2. 以下の場合、国家が交付された証明書を回収する。

  1. 交付された証明書の土地の全面積を回収する場合
  2. 交付された証明書を交換する場合
  3. 土地使用者、土地に定着する財産所有者が、土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書を新規交付する必要な土地・土地に定着する財産の変更を登記する場合
  4. 交付された証明書に関する交付権限、土地使用対象、土地面積、交付条件、土地使用目的、土地使用期間、土地使用根拠が不正で、土地関連法令の規定を遵守していない場合(その証明書を交付された者が土地関連法令に従って土地使用権、土地に定着する財産所有権を譲り渡した場合を除く)

3.同級の査察機関の結論、土地紛争の解決国家権限機関の有効な文書が発行された後、本法第 105 条に定められている土地使用権・土地に定着する住宅その他の財産所有権証明書の交付権限のある機関が本条第 2 項の d に規定されている場合に対する交付済みの証明書の回収を決定する。

8 .

土地に関する財政、土地価格及び土地使用権のオークション

 第 1 . 土地に関する財政

107 . 土地から徴収される財政的な金額

1. 土地から徴収される財政的な金額は以下のものを含む。

  1. 国家が土地使用料を収納する形態で土地を交付する場合、土地使用料を納付する必要な土地使用目的変更の許可・土地使用権の公認の場合の土地使用料
  2. 国家が土地を賃貸する場合の土地賃貸料
  3. 土地使用税金
  4. 土地使用権の譲渡から得た収入にかかる収入税金

đ) 土地関連法令の違反処罰で徴収された金額

  • 土地の管理・使用において損害を与えた場合に国家に賠償する賠償金

g) 土地の管理・使用における料金及び手数料

2.政府は土地使用料、土地賃貸料、土地関連法令の違反処罰金、土地の管理・使用において損害を与える場合の国家に対する賠償金の徴収を詳細に定める。

108 . 土地使用料、土地賃貸料の計算の根拠、時点

1. 土地使用料の計算根拠

  1. 交付・目的変更・土地使用権公認された土地面積
  2. 土地使用目的
  3. 本法第 114 条の規定に準拠する土地価格。土地使用権をオークションする場合、落札価格を土地価格にする。

2. 土地賃貸料の計算根拠

a) 賃貸される土地面積 b) 土地賃貸期間

  • 土地賃貸の単価。土地賃貸権をオークションする場合、落札単価を土

地賃貸価格にする。

  • 国家の土地賃貸の形態:土地賃貸料を毎年に徴収する形態、又は賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態

3.土地使用料、土地賃貸料を計算する時点は、国家が土地の交付・賃貸、土地使用目的変更許可、土地使用権の公認を決定する時点とする。

109 . 土地使用目的を変更し、土地使用期間を延長する際の土地使用料、土地賃貸料の納付

1.本法第 57 条第 1 項の d、đ、e、g に規定されている土地目的変更の場合、土地使用者は以下の規定に従って土地使用料、土地賃貸料を納付すること。

  1. 土地使用目的変更後の土地種類に応じる土地使用料、土地賃貸料と土地使用目的変更前の土地種類に応じる土地使用料、土地賃貸料との差額と等しい賃貸期間全体に一回支払う土地使用料、土地賃貸料を納付する。
  2. 土地使用目的変更後の土地種類に応じる土地賃貸料を毎年納付する。

2.土地使用期間を延長される土地使用者が土地使用料・土地賃貸料の支

払対象に属する場合、延長期間に対する財政的義務を履行しなければならない。

3. 政府は本条の詳細を定める。

110 .土地使用料、土地賃貸料の減免

1.土地使用料、土地賃貸料の減免は以下の場合に実施される。

  1. 商売住宅を建設する投資案件除き、投資関連法令の規定に準拠する投資優遇分野或いは投資優遇地区に属する生産・経営の目的に土地を使用する場合
  • 革命への貢献者、貧乏な家族世帯、非常に困難な状況である経済・社会地域、境界地域、島に住む少数民族の家族世帯、個人に対する住宅・居住地政策を実施し、住宅に関する法令によって社会住宅を建設し、人の生命に影響を与える危機があるために国家が土地を回収する場合において移動する者に居住地を交付する目的で土地を使用する場合

すみれ

「革命、貧乏な、直接的だね。」

  • 少数民族である家族世帯、個人が農業生産地を使用する場合
  • 公立事業組織の事業工事の建設に土地を使用する場合

đ) 空港インフラ基盤の建設土地、航空サービスを提供する基礎、工事の建設土地の場合

  • 合作社が土地を使用し、事務所、干し庭、倉庫、農業・林業生産、水産物養殖、製塩に直接に使用されるサービス工事を建設する場合

g) 政府の規定に準拠する他の場合

  • 政府は本条の詳細を定める。

111 . 土地開発基金

1.地方の土地開発基金は省級人民委員会により、又は委嘱された地方の投資開発基金、その他の財政基金により成立され、国家権限機関が承認した土地使用企画・計画に従う賠償、立ち退き、土地基金作成向けの資金を供給する。

2.土地開発基金の財政源は国家予算から割当てられ、法令の規定に従って他の源から調達される。

  • 政府は本条の詳細を定める。

2 . 土地価格

112 . 土地価格の確定原則、方法

1. 土地価格の確定は以下の原則を守ること。

  1. 確定時点における合法的な土地使用目的に基づくこと。
  2. 土地使用期間に基づくこと。
  3. 同一の使用目的で譲渡された土地種類の市場上の一般的な土地価格、土地使用権をオークションする所の場合は土地使用権の落札価格、又は土地の使用から得る収入に適合すること。
  4. 同一の時点で、同一の使用目的を持ち、土地使用から得られる利益・収入が同等の隣の土地ロットは同じ価格標準とする。

2. 政府が土地価格の確定方法を定める。

113 . 土地価格の枠

政府は土地種類毎に、地域毎に土地価格の枠を 5 年毎定期的に発行する。

ある土地価格の枠の適用期間において市場上の一般的な土地価格が、土地価格枠の 高価格より 20%以上上がり、又は 低価格より 20%以上下がる場合、政府が土地価格枠を合わせて調整する。

114 . 土地価格表及び具体的な土地価格

1.土地価格の確定原則・方法及び土地価格枠に基づき、省級人民委員会を土地価格表を作成し、発行する前に同級人民評議会に承認を申請する。土地価格表が 5 年毎定期的に作成され、初期の年の 1 月 1 日に公表・公開される。

土地価格表の適用期間において政府が土地価格枠を調整し、又は市場上の一般的な土地価格に変動があった場合、省級人民委員会が土地価格表を合わせて調整する。

同級人民評議会に承認を申請する時より 60 日以上前、省級人民委員会が土地価格表の草案を土地価格枠を作成する機能を持つ機関に送付し、検討を申請する。各省・中央直轄都市間の隣接土地の価格の差分が大きい場合、政府の首相に報告し、決定を申請する。

2. 土地価格表は以下の場合、根拠として使用される。

  1. 国家が限度を超えない面積分に対する家族世帯・個人の居住地使用権を公認し、家族世帯・個人に対して、居住地の交付限度を超えぬ、居住地ではない面積の農地・非農地から居住地への土地使用目的の変更を許可する時に土地使用料を計算する場合
  2. 土地使用税金を計算する場合
  3. 土地の管理、使用における料及び手数料を計算する場合
  4. 土地分野における行政違反の処罰金を計算する場合

đ) 土地の管理、使用において損害を与えた場合の国家に対する賠償金を

計算する場合

  • 返還される土地が土地使用料を収納する形態で国家から交付・土地使用権公認された土地、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で賃貸された土地の場合に対して、土地を随意で国家に返還する者に支払う土地使用権の価値を計算する場合
  • 省級人民委員会が具体的な土地価格を決定する。省級土地管理機関が具体的な土地価格の確定実施において省級人民委員会を支援する責任を負う。実施過程において、省級土地管理機関が土地価格確定諮問機能を持つ組織を使って、具体的な土地価格を確定するために諮問を受けることが可能とする。

具体的な土地価格の確定はその土地ロットに関する情報の調査・収集、市場の土地価格及び土地データベースに存在している土地価格情報に基づき、適切な土地価格確定方法を適用しなければならない。土地価格確定の諮問結果を基にして、同級の人民委員会の決定を申請する前、省級土地管理機関が査定評議会に提示し、検討を申請する。

土地価格査定評議会は会長とする省級人民委員会会長及び関連の機関、組織の代表者、土地価格確定諮問機能を持つ組織からなる。

  • 具体的な土地価格は以下の場合に根拠として使用される。
  • 国家が限度を超えた面積分に対する家族世帯・個人の居住地使用権を公認し、家族世帯・個人に対して、居住地の交付限度を超え、居住地ではない面積の農地・非農地から居住地への土地使用目的の変更を許可する時に土地使用料を計算する場合、農地の交付限度、農地使用権の受譲限度を超えた農地に対する家族世帯・個人の土地賃貸料を計算する場合
  • 国家が土地使用権をオークションする形態ではなく、土地使用料を収納刷る形態で土地を交付し、土地使用権を公認し、土地使用目的変更を許可する場合において土地使用料を納付すべく組織に対する土地使用料を計算する場合
  • 国家が土地使用権をオークションする形態以外で土地を賃貸する場合

に対する土地賃貸料を計算する場合

  • 国営企業を株式化する時、株式会社が使用する土地が国家から土地使用料を収納する形態で交付され、賃貸期間全体に一回土地賃貸料を徴収する形態で賃貸されたもの場合に対する土地使用権の価値を計算する場合、株式化された国営企業が土地賃貸料を毎年に徴収する形態で国家から土地を賃貸される場合に対する土地賃貸料を計算する場合

đ) 国家が土地を回収する際の賠償金を計算する場合

5. 政府は本条の詳細を定める。

115 . 土地価格確定の諮問

1. 以下の場合、土地価格確定の諮問が実施される。

  1. 土地価格枠の作成・調整、国家権限機関が求める土地価格表の作成・調整及び具体的な土地価格確定の場合
  2. 国家権限機関、関係者の要求に応じる土地価格に関する不服申立を解決する場合
  3. 当事者が求める具体的な土地価格に関する民事取引を実施する場合

2.土地価格確定諮問の活動条件、土地価格確定諮問の経営は政府の規定に従うこと。

3.土地価格確定諮問の土地価格確定は独立性、客観性、忠実性を確保し、

本法第 112 条に規定されている土地価格確定原則・方法を遵守しなければならない。

4.諮問が確定した土地価格は国家権限機関の土地価格の規定、決定の根拠の一つとする。

116 .土地価格確定諮問機能を持つ組織の権限及び義務

1.土地価格確定諮問機能を持つ組織の権限は以下のようとする。

  1. 本法、価格法及び関連法令の規定に従って土地価格確定諮問を実施する。
  2. 土地価格確定諮問に関する情報、資料の提供を被諮問者に求める。契約の合意に従ってサービス料を受ける。
  3. 諮問を受ける者が契約で両方が合意した条件を違反する時、又は法令の規定に従って契約を一方的に契約を中止・破棄する。
  4. 法令の規定に準拠する他の権限

2. 土地価格確定諮問機能を持つ組織の義務は以下のようとする。

  1. 土地価格に関する諮問結果の正確性、忠実性、客観性について法的な責任を負う。
  2. 土地価格確定諮問で諮問を受ける側と合意した事項を実施する。
  3. 国家権限機関の査察、検査を受ける。突然の場合又は定期的に毎年に組織、土地価格確定諮問の活動実績について国家権限機関に報告する。
  4. 法令の規定に従って納税義務及び他の関連の財政的な義務を履行する。

đ) 価格確定担当者一覧表及びその担当者一覧表の変更・追加を土地価格確定諮問組織の本事務所が配置される地区の国家権限機関に登録する。

  • 土地価格確定諮問の結果に関連する書類、資料を保管する。

g) 法令の規定に準拠する他の義務

3 . 土地使用権のオークション

117 . 土地使用権オークションの原則

  1. 土地使用権のオークションが公開的・連続的に実施され、客観性、忠実性、公平性を確保し、参加者の合法的な権限及び利益を保護する。
  2. 土地使用権オークションが土地関連法令及び財産オークションに関する法令の規定に準拠する手順、手続きを遵守しなければならない。

118 .土地使用権をオークションする場合及び土地使用権をオークシ

ョンしない場合

1. 本条第 2 項に定められている場合を除き、以下の場合、国家が土地使用権をオークションする形態で土地を交付・賃貸し、土地使用料を収納する。

  1. 販売・賃貸・割賦販売用住宅を建設するための投資の場合
  2. 譲渡・賃貸用インフラ基盤を建設するための投資の場合
  3. 土地基金を使って、インフラ基盤建設への投資の資金を調達する場合
  4. 商売・サービス用土地、非農業生産事業所の土地を使用する場合

đ) 農業・林業の生産、水産物養殖、農業の共益的な目的に使用される農地基金に属する土地を賃貸する場合

  • 国家が、土地に定着する財産が国家所有に属する事務所、事業活動基礎、生産・経営事業所の再配置、処理により回収する土地を交付・賃貸する場合
  • 都会、農村にある居住地を家族世帯、個人に交付する場合
  • 土地使用料、土地賃貸料を削減される対象に土地を交付・賃貸する場合

2. 国家が土地を交付・賃貸する時に土地使用権をオークションしない場合は以下のものを含む。

  1. 土地を交付するが土地使用料を収納しない場合
  2. 本法の第 110 条に規定されている土地使用料、土地賃貸料を免除される土地を使用する場合
  3. 本法第 56 条第 1 項の b、g 及び第 2 項に定められている土地を使用する場合
  4. 鉱業活動の目的に土地を使用する場合

đ) 再定居用住宅、社会住宅、公務住宅を建設する投資案件を実施するために土地を使用する場合

  • 権限のある機関の異動決定によって勤務場所を変更された幹部、公務

員、職員に居住地を交付する場合

  • 市町村に常駐戸籍が登記済みで、かつ居住地を持たず、まだ国家に居住地を交付されない家族世帯、個人に居住地を交付する場合
  • 経済・社会が困難な状況の地域、経済・社会が非常に困難な状況の地域に属する市町村に常駐戸籍が登記済みで、かつ居住地を持たず、まだ国家に居住地を交付されない家族世帯、個人に居住地を交付する場合
  • 政府の首相が決定する他の場合

3.本条第 1 項の規定に従って開催される土地使用権のオークションに参加する者が一人もいない、又はオークションへの参加を登録する者が一人のみで、或いは 2 回以上オークションを開催するが成功しない場合、国家が土地使用権をオークションせずに土地を交付・賃貸する。

119 . 土地使用権オークションの実施

1. 国家が土地を交付・賃貸する際に土地使用権のオークションを実施する条件は以下の通り。

  1. 県級の土地使用年次計画が国家権限機関により承認されること。
  2. 立ち退き済みの土地、土地に定着する財産が国家の所有に属する土地であること。
  3. 土地使用権のオークション提案が国家権限機関により承認されること。

2. 土地使用権のオークションに参加する組織、個人は以下の条件を全部満たすこと。

  1. 本法第 55 条、第 56 条の規定に従って国家に土地を交付・賃貸される対象に属すること。
  2. 投資案件実施のために土地を交付・賃貸される場合、本法第 58 条に規定されている投資案件の実施条件を満たすこと。

9 .

土地情報システム及び土地データベース

120 . 土地情報システム

  1. 土地情報システムが全体的に設計され、全国範囲内における統一システムとして構築され、多目標に使用され、ベトナムで公認される国内・国際の標準、基準に基づく。
  2. 土地情報システムは以下の基本要素を含む。
  3. 土地情報の技術インフラ
  4. オペレーティングシステム、システムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアシステム
  5. 国家土地データベース

121 . 国家土地データベース

  1. 国家土地データベース が全国範囲内において統一的に構築される。
  2. 国家土地データベース は以下の要素を含む。
  3. 土地に関する法的な文書、規範のデータベース
  4. 土地管理データベース
  5. 土地の基本調査に関するデータベース

d)土地使用企画・計画データベース

đ) 土地価格データベース

e) 土地の統計・棚卸データベース

  • 土地に関する査察、検査、紛争・不服申立・告訴解決データベース
  • 土地に関連する他のデータベース

3.土地情報データベースの内容、構成及びデータ型は資源環境省の大臣の規定に従って実施されること。

122 .土地データベースの管理、開拓

1.国家権限機関が提供した土地データベースの情報は紙上の書類と同じ

法的な価値を持つ。

2. 国家の財産である土地データベースが厳密に安寧・安全を確保される。

土地データベースへの不正アクセス行為、情報を破壊し、違わせる行為を全部禁止する。

3

.需要がある組織、個人は中央・地方にある土地情報ポータルを通して土地に関する情報・データを開拓・使用することが可能で、料金を納付しなければならない。土地に関する情報・データの開拓・使用は法令の規定を遵守すること。

123 . 土地分野における電子公共サービス

  1. 実施可能な電子公共サービスは土地・土地に定着する財産の登記、土地・土地に定着する財産の取引実施、土地に関する情報・データの提供を含む。

2.土地管理機関は本条第 1 項に規定されている公共サービスを実施し、ネットワーク環境において組織・個人に便利・簡単・安全なサービスを提供する責任を負う。

124 .土地情報システムの構築責任

1.国家は土地情報システム、土地データベースの構築投資政策を出し、土地情報システム、土地データベースの運用・維持用経費を確保する。

  • 資源環境省は、国家土地情報システム、データベースの構築・管理・開拓を実施する責任を負い、政府の規定に従って土地分野における電子公共サービスを実施する。

3.関連の各省、業、機関は、資源環境省に国家土地データベース、土地情報システムに更新される基本調査結果及び土地に関するデータ、情報を提供する責任を持つ。

  • 省級人民委員会は地方における土地情報システム、データベースの構築・管理・開拓を実施し、国家土地データベースに統合される土地データを資源環境省に提供する責任を負う。
  • 資源環境省の大臣は土地情報システムの構築・管理・開拓、土地情報

データベース、システムについて諮問する組織、個人の条件を詳細に規定する。

10 .

土地各種の使用制度

 第 1 . 土地使用期間

125 . 長期的・安定的に使用される土地

以下の場合、土地使用者が長期的・安定的に土地を使用することが可能とする。

1.家族世帯、個人が使用する居住地の場合

  • 本法第 131 条第 3 項に規定されている住民共同体により使用される農地の場合
  • 自然森林である保護森林地、特用森林地、生産森林地 の場合

4.家族世帯、個人が安定的に使用している商売・サービス用土地、非農業生産事業の土地であり、かつ国家から期間付きで交付・賃貸されない土地の場合

5.本法第 147 条第 1 項に規定されている機関の事務所の建設土地、本法第 147 条第 2 項に定められている財政的独立していない公立事業組織の事業工事の建設土地野場合

6.国防・安寧目的に使用される土地の場合

  • 本法第 159 条に規定されている宗教拠点の土地の場合
  • 信仰用土地の場合

9.交通・水利用土地、歴史・文化遺跡、観光名所のある土地、経営目的以外の公共工事の建設土地の場合

  1. 霊園、霊地用土地の場合
  2. 本法第 127 条第 3 項及び第 128 条第 2 項に規定されている経済組織に

より使用される土地の場合

すみれ

「何年?」

126 .期間付き使用される土地

1.本法第 129 条第 1 項、第 2 項、第 3 項の b、第 4 項、第 5 項に準拠する農業を直接生産する家族世帯、個人対する農地の交付・土地使用権公認の期間は 50 年とする。期間が切れた時、農業を直接生産する家族世帯、個人の需要があれば本項に規定されている期間で土地を使用し続けることが可能とする。

2.家族世帯、個人に対する農地の賃貸機関は 50 年を超えてはいけない。賃貸期間が切れた時、家族世帯、個人の需要があれば、国家が土地賃貸の継続を検討する。

3.農業・林業生産、水産物養殖、製塩の目的で組織に、商売・サービス・非農業生産事業所の目的で組織、家族世帯、個人に、投資案件の実施で組織に、ベトナムにおける投資案件の実施で海外定住ベトナム人、外資系企業に土地を交付・賃貸する期間は、投資案件或いは交付・賃貸申請書に基づき検討・決定されるが、50 年を超えてはいけない。

投資資本が大きくてかつ資本の回収が遅い案件、経済・社会が困難な状況の地区、経済・社会が非常に困難な状況の地区に投資する案件がより長い期間を求める場合、土地交付・賃貸期間が 70 年を超えないものとする。

販売・賃貸・割賦用住宅を経営する案件の場合、投資家に対する土地交付期間は案件の期間に基づき確定される。土地使用権に付けられる住宅を購買する者は土地を長期的・安定的に使用することが可能とする。

期間が切れた時、土地使用者が引き続き土地を使用する需要がある場合、

国家が土地使用期間の延長を検討するが、本法に規定されている期間を超えてはいけない。

4.外交機能を持つ海外組織の事務所を建設するために賃貸される土地の賃貸期間は 99 年を超えてはいけない。期間が切れた時、外交機能を持つ海外組織が引き続き土地を使用する需要がある場合、国家が賃貸期間の延長又は別の土地の賃貸を検討する。一回で延長される期間は本項が定められている期間を超えないものとする。

5.農地基金に属し、市町村の公益的な目的 2 使用される土地の賃貸期間は 5 年を超えてはいけない。

6.本法第 147 条第 2 項に規定されている、財政的独立している公立事業組織の事業工事及び経営目的がある公共工事の建設用土地の使用期間は 70 年を超えないものとする。

期間が切れた時、土地使用者が引き続き土地を使用する需要がある場合、

国家が土地使用期間の延長を検討するが、本項に定められている期間を超えてはいけない。

7.複数の目的に使用される土地ロットの場合、土地使用期間は主な目的

2 使用される土地の種類に対する期間で確定される。

8.本条に規定されている土地の交付・賃貸期間は国家権限機関の土地交付・賃貸決定書の発行日から計算される。

127 . 土地使用目的変更の場合の土地使用期間

1.土地使用目的を変更する時の家族世帯、個人に対する土地使用期間は以下のように定められる。

  1. 使用中の保護森林地、特用森林地を他の使用目的に変更する場合、使用期間は使用目的変更後の土地種類の使用期間によって確定される。土地使用期間は土地使用目的変更を許可する決定書の発行時点から計算される。
  2. 稲栽培地、他の毎年樹木栽培地、多年性樹木の植林地、生産森林地、

水産物養殖地、製塩地を保護森林、特用森林の植林に変更する場合、家族世帯、個人が長期的・安定的に土地を使用することが可能とする。

  • 他の毎年樹木栽培地、多年性樹木の植林地、生産森林地、水産物養殖地、製塩地を含み、各土地種類間の使用目的の変更の場合、土地を使用する家族世帯、個人が引き続き交付・賃貸された期間でその土地を使用できること。

期間が切れた時、土地を使用する家族世帯、個人が引き続き土地を使用する需要がある場合、国家が土地使用期間の延長を検討するが、本法第 126 条第 1 項に規定されている期間を超えてはいけない。

  • 農地から非農業の目的に変更する場合、土地使用期間は使用目的変更後の土地書類に基づき確定される。土地使用期間は土地使用目的変更を許可する決定書の発行日から計算される。

đ) 長期的・安定的に使用される非農地から使用期間付きの非農地に、使用期間付きの非農地から長期的・安定的に使用される非農地に使用目的を変更する場合、家族世帯、個人が長期的・安定的に土地を使用できる。

2.土地使用目的を変更する時、工業団地、工業地、輸出加工区、ハイテック地区に属しない投資案件を実施する組織、海外定住ベトナム人、外資系企業に対する土地使用期間は本法第 126 条第 3 項に規定されている投資案件に基づき確定される。

3.長期的・安定的に使用される非農地から使用期間付きの非農地に、使用期間付きの非農地から長期的・安定的に使用される非農地に使用目的を変更する経済組織はその土地を長期的・安定的に使用できる。

128 . 土地使用権の譲渡を受ける際の土地使用期間

1. 土地使用権の譲渡を受ける時、期間が規定される土地種類に対する土地使用期間はその土地使用権の譲渡を受ける前の土地使用期間の残り土地使用期間とする。

2.長期的・安定的に使用できる土地種類に対する土地使用権の譲渡を受ける者はその土地を長期的・安定的に使用することが可能とする。

2 .

 農地第 129 . 農地の交付限度

1. 農業を直接生産する家族世帯、個人毎に交付される毎年樹木栽培地、水産物養殖地、製塩地の交付限度は以下の通り。

  1. 東南部及びキュウロンデルタに属する省・中央直轄都市に対する各種の土地の交付限度は 3 ヘクタールを超えてはいけない。
  2. 他の省・中央直轄都市に対する各種の土地の交付限度は 2 ヘクタール

を超えてはいけない。

2. 平地にある市町村の場合、家族世帯、個人毎に対する多年性樹木の植林地の交付限度は 10 ヘクタールを超えないものとする。中部、山地にある市町村の場合、家族世帯、個人毎に対する多年性樹木の植林地の交付限度は 30 ヘクタールを超えてはいけない。

3.家族世帯、個人毎に対する以下の土地種類の交付限度は 30 ヘクタールを超えないものとする。

  1. 保護森林地
  2. 生産森林地

4.家族世帯、個人が毎年樹木栽培地、水産物養殖地、製塩地を含む複数の種類の土地を交付される場合、交付限度の合計が 5 ヘクタールを超えてはいけない。

家族世帯、個人が多年性樹木の植林地を追加交付される場合、多年性樹木の植林地の限度が平地にある市町村の場合に 5 ヘクタールを、中部、山地にある市町村の場合に 25 ヘクタールを超えないものとする。

家族世帯、個人が生産森林地を追加交付される場合、生産森林地 の交付限度が 25 ヘクタールを超えないものとする。

5.土地企画によって農業・林業生産、水産物養殖、製塩に使用されるために家族世帯、個人に交付される未使用土地組みに属する空地・禿げた丘山・水域のある土地の交付限度は本条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている交付限度を超えなく、本条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている家族世帯、個人に対する農地交付限度に計算すること。

省級人民委員会が国家権限機関が承認した土地使用企画・計画によって使用されるために家族世帯、個人に交付される未使用土地組みに属する空地・禿げた丘山・水域のある土地の交付限度を定める。

6.家族世帯、個人毎に交付される毎年樹木栽培地、長年樹木の植林地、植林地、特用森林地の周辺地域にある水産物養殖地、製塩地の交付限度は本条第 1、2、3、4、5 項の規定に従って実施される。

7.家族世帯、個人が常駐戸籍が登記されている市町村以外に使用している農地面積は引き続き使用できる。土地使用料を収納しない形態で交付される土地の場合、家族世帯、個人毎の農地交付限度に計算されること。

農地交付限度を計算するために、土地使用料を収納しない形態で家族世帯、個人に農地を交付した所の土地管理機関がその家族世帯、個人が常駐戸籍を登記している市町村の人民委員会に通知を送付する。

8. 土地使用権の譲渡・賃貸・転貸・相続・寄贈の受取、他の人から土地使用権による出資の受取、下請け、家族世帯、個人が国家から賃貸された農地が本条に規定される農地交付限度に計算されない。

130 . 家族世帯、個人の土地使用権の受譲限度

1.家族世帯、個人の土地使用権の受譲限度は本法第 129 条第 1 項、第 2 項、第 3 項に規定されている各種の土地に対する家族世帯、個人の農地交付限度の 10 倍を超えてはいけない。

2. 政府は家族世帯、個人の土地使用権の受譲限度を各地方、各時期の具体的な条件に合わせて定める。

131 .家族世帯、個人、住民共同体の使用する農地

1.家族世帯、個人の使用する農地は、国家による交付・賃貸・土地使用権の公認される農地、他の組織、家族世帯、個人から土地使用権を賃貸した農地、法令の規定によって変換、受譲、相続、贈与を受けた農地を含む。

2.国家が家族世帯、個人に交付した農地の使用は、以下のように規定する。

  1. 本法の発効日前に国家から土地を交付された家族世帯、個人は、本法の規定に従って使用を継続することができる。
  2. 土地関連法令の規定に従って家族世帯、個人に土地を交付しない地方には、土地のあ村級人民委員会が土地交付提案を立案し、県級人民委員会に土地交付の決定を申請する。
  3. 1993 年 10 月 15 日以前の土地政策、法令の施行過程において各級人民委員会が家族世帯、個人に対して家族世帯や個人間の土地調整交渉を指導し、土地が安定して使用されている地方には、使用を継続することができる。

3.住民共同体の使用する農地は以下のように規定する。

  1. 各民族の風俗・習慣に付く民族的なアイデンティティを保存するために国家が住民共同体に土地を交付し、土地使用権を公認する。
  2. 国家に土地を交付され、土地使用権を公認された住民共同体は交付された土地を保護する責任を負い、他の使用目的に変更せず、農業生産及び水産物養殖の目的と結合し土地を使用できること。

132 . 公益的な目的に使用される農地

1.地方の土地基金、特徴、需要に基づき、各市町村が毎年樹木栽培地、多年性樹木の植林地、水産物養殖地の総面積の 5%を超えない公益的な目的に使用される農地基金を成立し、地方の公益的な需要に使用することが可能とする。

組織、家族世帯、個人が国家に返還し、又は土地使用権を国家に贈与した農地、開墾された土地、回収された農地が、市町村の公益的な目的に使用される農地基金の成立・追加源になる。

5%を超えた公益的な目的に使用される農地基金を作った地方の場合、

5%を超えた面積の分は、地方の公共工事の建設、又は公共工事の建設に別の土地を使用する場合に対する賠償に使用され、まだ土地を交付されない、或いは生産地が足りない農業直接生産・水産物養殖をする家族世帯、個人に交付されること。

2.公益的な目的に使用される市町村の農地基金は以下の目的に使用されること。

  1. 公共の文化・体操体育・娯楽、医療・教育の工事、市場、霊園、霊地

及び省級人民委員会の規定に準拠する他の公共工事を建設する目的

  • 本項の a に規定されている公共工事の建設に土地を使用された者に対する賠償の目的
  • 情義の家、人道の家を建設する目的

3.本条第 2 項に定められている目的に使用されていない土地面積に対し

て、農業生産、水産物養殖のために市町村級人民委員会が地方にある家族世帯、個人に賃貸用オークションの形態で賃貸する。一回の賃貸の土地使用期間は 5 年を超えてはいけない。

すみれ

「情義の家、人道の家、か」

公益的な目的に使用される農地基金に属する土地の賃貸から得た金額を市町村級人民委員会が管理する国家予算に納付し、法令の規定に従って市町村の公益的な需要のみに使用しなければならない。

4. 市町村の公益的な目的に使用される農地基金は、国家権限機関が承認した土地使用企画・計画に基づき、その土地のある市町村の人民委員会により管理・使用されること。

133 . 組織、海外定住ベトナム人、外資系企業が使用する農地

1.農業・林業生産、水産物養殖、製塩のために土地を使用する需要がある経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業は、投資案件を実施するための土地賃貸を国家から検討される。

2.本法の発効日前に、農業・林業生産目的に使用される土地を国家に交付・賃貸された経済組織、公立事業組織は土地使用の現状を調査し、土地使用提案を立案する。土地使用提案に使用面積・境界、使用のために預かる各種の土地の面積、土地の使用期間、地方に渡す土地面積を明確に確定しなければならない。

省級人民委員会は、土地使用提案を調査・承認し、承認された土地使用提案によって土地を交付・賃貸し、使用されない又は不正の目的に使用され、法令違反で譲り渡し・賃貸・貸借され、侵入・占有された土地面積を回収し、組織・家族世帯・個人に対して交付・賃貸される土地基金を作成する責任を負う。土地の交付・賃貸では、地方において土地を持たず、又は生産地が足りない少数民族である家族世帯、個人を優先すること。

3.本法の発効日前に農業・林業生産、水産物養殖、製塩の目的で国家に土地使用料を収納しない形態で土地を交付された経済組織は土地賃貸に変更すること。

134 . 稲栽培地

1.国家は稲栽培地を保護し、稲栽培地を非農業の使用目的に限定する政策を出す。使用中の稲栽培地面積の一部を他の目的に変更する必要な場合、土地面積を追加し、又は稲栽培地の使用効果を高める措置を出すこと。

国家は、高生産性、高品質の稲の栽培地として企画される地区のためのインフラ基盤構築、先進的な科学・技術の適用に投資・支援する政策を出すこと。

2.稲栽培地の使用者は土地の地力を高め、改善する責任を負う。権限のある機関の許可がない場合、多年性樹木植栽、植林、水産物養殖、製塩の目的及び非農業の目的に土地を使用してはいけない。

3.非農業の使用目的で国家に専用稲栽培地からの土地を交付・賃貸され

た者が政府の規定に従って、国家がなくなった面積分の専用稲栽培地を補足し、又は稲栽培地の使用効果を向上させるために一定の金額を納付すること。

135 . 生産森林地

  1. 国家は、森林の管理・保護・発展のために自然森林である生産森林地を森林管理組織に交付する。
  2. 国家は以下の規定に従って、植林である 生産森林地を交付・賃貸する。
  3. 林業生産目的のために、本法第 129 条第 3 項の b に規定されている限度に従って農業を直接生産する家族世帯、個人に土地を交付する。家族世帯、個人が使用している生産森林地が限度を超えた場合、その面積分を土地賃貸に変更しなければならない。
  4. 植林投資案件を実施するために経済組織、家族世帯、個人、海外定住

ベトナム人、外資系企業に土地を賃貸する。

  • 本項の a、b の規定に従って国家に生産森林地を交付・賃貸される経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は森林がない土地面積を使って、森林又は多年性樹木を植えることは可能とする。

3.生産森林地を使用する経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業は森林の周辺でエコツーリズムを経営できる。

4.森林の保護・発展を農業・林業生産、水産物養殖を同時に実施するために、国家は、住民地区に離れている所に集まり、家族世帯、個人に直接に交付できない生産森林地を組織に交付する。

136 . 防護森林地

  1. 国家は、防護森林地管理組織に保護林地を交付し、森林の管理、保護、再生、国家権限機関の承認された土地使用企画計画に基づく植林をさせる。この組織は森林保護開発に関する法令に規定する他の目的に交付土地を使用することができる。
  2. 防護森林管理組織は、防護森林地の所在に生活している世帯、個人に防護森林をその保護開発のためにを請負して交付する。県級人民委員会は当該家族世帯、個人に居住地、農地を交付して、使用させる。

3.森林保護開発の需要や能力があり、保護森林地域に生活している組織、世帯、個人は、防護森林管理組織に属せず、防護森林の植林地域が企画していないときに国家から森林保護開発のために保護森林地を交付され、森林保護開発に関する法令に規定する他の目的に交付土地を使用することができる。

  • 省級人民委員会は経済組織に林冠の下で景観、環境・エコツーリズムの経営を認められる地域に属する保護森林地を賃貸する。
  • 森林保護開発法に従って国家に保護森林を交付された住民共同体は森林保護開発のために保護森林地を交付され、森林保護開発法に規定する権利及び義務がある。

137 . 特用森林地

  1. 国家が特用森林地管理組織に特用森林地を交付して、森林の管理、保護、再生、国家権限機関の承認された土地使用企画計画に基づく植林をさせる。

この組織は森林保護開発に関する法令に規定する他の目的に交付土地を使用することができる。

  • 特用森林管理組織は、森林保護開発のために厳格保護地区に所在する特用森林地を短期に当該地区から移転できていない家族世帯、個人に請負して交付する。
  • 特用森林管理組織は、森林保護開発のために生態系回復区画に属する特用森林地をその区画に安定して生活している家族世帯、個人に請負して交付する。
  • 権限のある級人民委員会は、組織、家族世帯、個人に特用森林のクッション地区土地の交付を決定して、クッション地区森林開発計画に基づいて林業の生産、研究、実験又は国防安全の目的と合わせて土地を使用させる。当該組織、家族世帯、個人は、森林保護開発に関する法令に規定する他の目的に交付土地を使用することができる。
  • 省級人民委員会は経済組織に対して林冠の下で景観、環境・エコツーリズムの経営を認められる地域に属する特用森林地の賃貸を決定する。

138 . 塩生産地

  1. 国家は塩生産地を家族世帯、個人に対して現地における土地交付限度の範囲内に交付して、塩生産をさせる。土地交付限度を越えて使用する場合には、土地賃借をしなければならない。

国家が経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業に対して塩生産地を賃貸して、塩生産投資案件を実施させる。

  • 高品質、高能率の塩生産地域は保護され、塩生産に優先して使われる。
  • 国家は産業及び生活の需要に服務する塩生産のために塩生産可能な地域の使用を激励する。

139 . 国内水域のある土地

  1. 国家は池、湖、ラグーンを家族世帯、個人に交付して、水産物養殖栽培、農業生産の目的に使わせる。

国家が池、湖、ラグーンを経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業に交付して、水産物養殖栽培、農業生産、又は農業及び非農業目的を合わせた投資案件を実施させる。

  • 複数の村、町、小市に跨る池、ラグーンについては、県級人民委員会がその使用を決定する。複数の県、区、省直轄市に跨る池、ラグーンについては、県級人民委員会がその使用を決定する。服すの省、中央直轄市に跨る池、ラグーンについては、政府がその使用を決定する。

140 . 沿岸水域のある土地

  1. 国家が沿岸水域のある土地を経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業に交付して、水産物養殖栽培、農林塩生産、非農業生産のために使わせる。
  2. 沿岸水域のある土地の使用は以下の規定に従う。

a)国家権限機関に承認された土地使用企画計画に適合する。

  • 沿岸地の保護、堆積増加
  • 生態系、環境、景観の保護
  • 国家安全の保護及び海上通行を阻害しないこと。

141 . 沿河地、沿岸地

  1. 沿河地、沿岸地は、川沿の土地、川上の島、沿岸地及び海上の島を含む。
  2. 村、町、小市に属する沿河地、沿岸地は当該の村級人民委員会によって管理される。

常に土砂の堆積又は崩れる沿河地、沿岸地は、県級人民委員会によって

管理保護される。

  • 国家が沿河地、沿岸地を経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業に賃貸して、農業、非農業生産経営投資案件を実施させる。
  • 本法の発効日前に国家から沿河地、沿岸地を農業目的に交付された家族世帯、個人は、交付期間の残存期間に継続して使用することができる。交付期間が満了したときに、この需要が国家権限機関に承認された土地企画計画に適合する土地使用の需要があって、土地関連法令に違反しない場合に、国家に土地賃貸を検討される。
  • 国家は経済組織、家族世帯、個人に対して沿河地、沿岸地の活用を激励する。
  • 政府は本条の詳細を定める。

142 . プラント経営に使われる土地

  1. 国家は、生産開発のために土地を効果的に開拓し、サービス、農産物の加工及び販売と繋がる農業・林業・水産物養殖・製塩に関する土地使用規模の拡大及び効果向上をするために家族世帯、個人によるプラント経営形態を激励する。
  2. プラント経営に使われる土地は、国家が本法第 129 条に規定する農業・林業・水産物養殖・製塩を直接に生産する家族世帯、個人に対して土地使用料を収納せずに交付する土地、国家の賃貸土地、賃借土地、受譲土地、相続土地、贈与された土地、組織からの下請け土地、家族世帯・個人が出資する土地を含む。
  3. プラント経営のために土地を使用する家族世帯、個人は、法律規定に従って、各種土地の使用目的を変更することができる。
  4. 国家権限機関に承認された土地企画、計画に適合して、紛争がなく、プラント経営のために土地を使用している家族世帯、個人は以下の規定に従って継続して土地を使用することができる。
  5. 本条第 54 条第 1 項に従って、農業・林業・水産物養殖・製塩を直接に生産する家族世帯、個人に対して土地使用料を収納せず交付される土地の場合は、本条第 126 条第 1 項の規定に従って継続して使用することができる。
  6. 農業・林業・水産物養殖・製塩を直接に生産しない家族世帯、個人に対して土地使用料を収納せず交付される土地の場合は、交付期間が満了するときに土地賃借に切り替えられる。
  7. 国家から賃借される土地、受譲土地、相続土地、贈与された土地、組織から下請け土地、家族世界、個人による出資土地の使用の場合は、本法の規定に従って継続して使用することができる。

5. プラント経営形態を乱用して、生産以外の目的で土地を占領し、収集することを厳禁する。

3 節 非農地

143 . 農村居住地

  1. 家族世帯、個人が使用している農村居住地は住宅建設、生活のための施設建設地、農村共同体地域に属する居住区の敷地内の庭地、池を含め、国家権限機関に承認された土地使用計画、農村共同体建設計画に適合する。
  2. 地方の土地ファンド及び国家権限機関に承認された農村開発計画を踏まえて、省級人民委員会は家族世帯、個人に交付する農村居住地の限度。地方の条件及び習慣に整合する居住地の分割の 低の土地面積を定める。
  3. 土地使用企画、計画における農村地の配分は公共施設、事業施設の計画に合致し、生産、住民の生活の利便性、衛生、環境保護、農村の近代化に向けることである。
  4. 国家は農村共同体地域の既存の土地を活用し、農業地における農村共同体地域の拡張を制限することによって農村に生活している人が居住地を取得できる条件の整備政策を講じる。

144 . 都市居住地  

1.都市居住地は住宅建設、生活のための施設建設地、農村共同体地域に属する居住区の敷地内の庭地、池を含め、国家権限機関に承認された土地使用計画、農村共同体地域の建設計画に適合する。

2.都市居住地は公共施設、事業施設建設地に適合し、環境衛生及び近代的な都市景観を確保しなければならない。

  • 国家は都市居住地建設地の使用計画を作成し、都市に生活している人が居住地を得るような条件の整備政策を講じる。
  • 省級人民委員会は土地使用計画、都市建設計画及び地方の土地ファンドを踏まえて、居住地建設投資プロジェクトに基づいて土地を交付する条件を満たしていないが、自ら住宅を建設する家族世帯、個人に交付する土地の限度。

居住地を分割する 低の土地面積を定める。

  • 居住地を生産・経営地に移すには国家権限機関に承認された土地使用企画、計画、都市建設計画に一致し、都市の秩序、安全、環境保護についての規定を遵守しなければならない。

145 . 高層集合住宅建設地

  1. 高層集合住宅建設地は国家権限機関に承認された建設計画に基づく高層集合住宅建設地、高層集合住宅に住んでいる家族世帯の生活に直接関係する施設建設地及び公共のための施設建設地を含む。
  2. 高層集合住宅建設地の計画は公共施設の計画に適合し、また環境を保護しなければならない。

3.政府は高層集合住宅建設地の使用制度の詳細を規定する。

146 . 都市再開発、開発及び農村共同体地域の開発

  1. 都市再開発、開発に使用される土地は都心部における現状の土地。新しく拡大する又は新土地開発の土地を含める。

農村共同体地域の開発、再開発土地は農村の現在の再開発土地、公益を目的とした農業地ファンドに属する土地、農村共同体拡張のために計画された土地を含める。

  • 都市、農村共同体地域の開発、再開発は国家権限機関に承認された土地使用計画、企画、都市建設計画、農村共同体地域建設計画に適合し、また国家権限機関に公布された建設規格、基準に達しなければならない。
  • 省級人民委員会は新都市、新農村共同体地域の再開発又は建設のために、プロジェクトを立案し、経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業にそのプロジェクトの実現を交付する。各プロジェクトの土地はインフラ整備の土地、居住地、公共・事業施設の建設地、商業、サービス地、非農業生産の基盤地を含める全地域の土地使用計画、企画に同等に分配される。

インフラ整備プロジェクト、都市・農村共同体地域の建設、再開発をする時に、国家は土地使用計画、企画に基づいてインフラ整備の土地及び近隣の土地を含める土地の回収を自主的に行う。

  • 住民の出資又は国による補助金で住民共同体が公共プロジェクトを建設・再建する場合、その土地使用権での出資、賠償又は補助については、住民共同体と土地使用者の合意で決定する。

147 . 機関本部、事業施設建設地  

  1. 機関本部建設土地は国家機関、政治組織、政治・社会組織の本部の土地を含める。
  2. 事業施設建設土地は経済、文化、社会、医療、教育・訓練、体操体育、

科学技術、環境、外交に関する業種及び分野に属する事業施設及びたの事業施設の建設地を含める。

  • 本条第 1 項、第 2 項に定める土地の使用は国家権限機関に承認された土地使用計画、企画、都市建設計画、農村共同体地域建設計画に適合しなければならない。
  • 土地を交付、賃貸された機関、組織の長は交付、賃貸された土地面積を確保し、土地使用目的を正しく維持する責任を持つ。

機関本部建設地、事業施設建設地を他の目的に使用することが厳禁される。

  • 国家は文化、医療、教育訓練、体操体育、科学技術、環境開発目的に土地の使用を奨励する。

148 . 国防、安寧のために使用された土地

  1. 国防、安寧のために使用された土地は本法第 61 条に定める目的に使用される土地を含める。
  2. 省級人民委員会は地方の行政管理地域に属する国防、安寧の目的に使用された土地に対する国家管理を実施する。

国防省、公安省は経済・社会開発ニーズ、国防、安寧の強化に適合するよう国防、安寧目的に使用される土地使用計画、企画設定。国防安寧の目的に使用される地界の確定。地方が管理、使用するたに、使用ニーズがない、目的を正しく使用しない国防、安寧のための土地の位置、面積の確定を省級人民委員会と協力し実施する責任を持つ。

  • 国防、安寧のための土地使用企画に属するが、使用需要が無い土地については、使用している者は国家権限機関に土地回収決定を公布されるまでにその土地を引き続き使用できるが自然地形を変形させてはいけない。
  • 政府は本条の詳細を定める。

149 . 工業団地、加工輸出区、工業区、職業村

  1. 工業団地、加工輸出区、工業区、職業村の建設地の使用は国家権限機関に承認された土地使用計画、企画、建設の詳細計画に合致しなければならない。

工業区、加工輸出区の計画、設立する時、同時に工業区、加工輸出区に働く労働者の生活のために、工業区、加工輸出区外部の居住地、公共施設の計画設定、建設をしなければならない。

  • 国家は工業団地、工業区、加工輸出区のインフラ整備・運営に投資する経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業に土地を賃貸する。年次払いで借用する土地については、国家に土地を賃貸された者は年次払いで土地を転貸できる。一括払いで借用する土地については、国家に土地を賃貸された者は借用する期間に一括払い又は年次払いで土地を転貸できる。

工業団地、工業区、加工輸出区における共同使用地の面積に対して、投資する者は賃貸料を免除される。

  • 工業団地、工業区、加工輸出区において生産・経営を投資する経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人はインフラ整備の建設・経営を投資した他の経済組織、海外定住ベトナム人、外資系企業のインフラ整備をされた土地の転貸できるし、以下の義務を有する。
  • 借用全期間に一括払いで土地を転貸する場合、本法第 174 条に定める各権利及び義務を有する。
  • 年次払いで土地の転貸をする場合、本法第 175 条に定める各権利及び義務を有する。

4.工業団地、工業区、加工輸出区における土地を使用する者は確定された土地使用目的を正しく使用しなければならず、 土地使用権証書、住宅及び土地に定着する他の資産の所有権証書を給付され、また本法の規則に定める各権利及び義務を有する。

  • 本法の発効以前にインフラ整備の建設・経営を投資した他の経済組織、

海外定住ベトナム人、外資系企業のインフラが整備した土地の受譲りをした国家に土地を交付された工業団地、工業区、加工輸出区のインフラ整備・経営に投資する経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人は土地の賃貸に移すこと無くプロジェクトの残りの期限内に引き続き土地を使用することができる。

プロジェクトの実施期限が切れた場合、ニーズがあれば国家に本法に従って土地の賃貸を検討される。

  • 政府は本条の詳細を規定する。

150 . ハイテック地区に使用する土地  

  1. 首相の決定によってハイテック地区に使用する土地は、異なる種類の土地を使用するハイテック生産・経営基盤地、ハイテック研究・応用基盤地、ハイテック人材開発基盤地を含める。

ハイテック地区の計画、設立する時に、同時にハイテック地区に働く専門家、労働者の生活のために、ハイテック地区外部に住宅、公共施設の計画設定、建設をしなければならない。

  • ハイテック地区管理委員会は省級人民委員会にハイテック地区の土地を交付される。ハイテック地区管理委員会は本法に従って、組織、個人、海外定住ベトナム人。ハイテック地区の土地を使用する外資系企業に対して、土地を賃貸することができる。
  • ハイテック地区管理委員会はハイテック地区の建設の詳細計画を策定し、土地を有する省級の人民委員会に承認してもらうために提出する。

省級人民委員会はハイテック地区が承認された計画に基づいて、ハイテック地区の建設を組織し開発するために土地を交付する。 

  • ハイテック地区管理委員会にハイテック地区における土地を賃貸された土地使用者は本法の規定する国家に土地を賃貸されたような各権利及び義務を有する。
  • ハイテック地区開発企業、インフラ開発企業はハイテック地区管理委員会に土地を賃貸される。ハイテック地区に土地使用のニーズを有する人はハイテック地区開発器用、インフラ開発企業の土地を転貸できる。

6.ハイテック地区における土地使用者は土地借用契約とおりに目的を正しく使用し、本法に従って土地使用権、住宅及び土地に定着する田の資産の所有権の証書を給付され、また本法に従って各権利及び義務を有する。

ハイテック地区における土地使用権を譲渡する場合、譲渡された人は引

き続き確定された目的を正しく使用しなければならない。

  • 国は組織、海外定住ベトナム人、外資系企業がハイテック地区におけるインフラ整備の投資を奨励し、また組織、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業による科学技術開発目的に土地使用を奨励する。
  • ハイテック地区における土地賃貸の価格確定及び土地借用料金の計算は本法の規定に従う。

151 . 経済地区に使用する土地

  1. 首相の決定によって経済地区に使用する土地は、経済地区建設地、国境地帯経済地区建設地を含める。経済地区に使用する土地は非関税区、保税区、加工輸出区、工業団地、娯楽地、観光地、都市、住民地区、行政区及び他の機能地区を含める機能地区に使用する土地の面積であり、投資家に対する特別に円滑な投資及び経営環境の整備をするために各経済地区の特徴に適合する。

経済地区の建設、新規開設することは全国の経済地区システムのマスタープランに合致しなければならない。

  • 省級の人民委員会は、経済地区建設の詳細計画において承認された土地使用計画に基づいて経済地区建設を組織するために、経済地区管理委員会に土地を交付する。
  • 経済地区管理委員会は土地の再交付、賃貸をする前に、国家権限機関が回収し交付した土地の面積に対して賠償、土地収用をする責任を持つ。土地使用料金を収納する土地、納めない土地を交付された経済地区管理委員会は本法第 54 条、第 55 条及び第 56 条に従って経済地区の機能ゾンにおける土地使用の需要を有する人に対して土地を賃貸する。

経済地区において生産・経営のための土地使用の期限は 70 年間以内とする。

  • 経済地区における土地使用者は住宅、インフラの建設・経営に投資、また生産、経営、サービス提供をでき、以下の通りに権利及び義務を有する。
  • 経済地区管理委員会に経済地区にある土地を交付された場合、本法に従って国家に土地を交付された同様の各権利及び義務を有する。
  • 経済地区管理委員会に経済地区にある土地を賃貸された場合、本法に従って国家に土地を賃貸されたような各権利及び義務を有する。
  • 国家は経済地区におけるインフラ整備・経営を投資すること、また経済発展を目的として土地を使用することを奨励する。
  • 経済地区における土地使用制度、土地使用者の権利及び義務は本法に従って土地の種類ごとに適用される。
  • 国家に土地を交付された経済地区において生産・経営を投資した経済

組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人は本法の発行以前に他の経済組織、海外定住ベトナム人からの土地使用権の譲渡を受取りをした場合、土地の賃貸を移せず、プロジェクトの残りの期限に基づいて継続的に土地使用することができる。プロジェクト実施の期限が切れる時に需要があれば、経済地区管理委員会に本法に従って土地の賃貸を検討される。

  • 政府は本条の詳細を規定する。

152 開鉱事業のために使用する土地

  1. 開鉱事業のために使用する土地は、鉱物探査地、鉱物採掘地、鉱物生産地及び開鉱事業のためのサポート施設エリア及び開鉱事業における安全回路を含める。
  2. 鉱物探査地、鉱物採掘地は鉱物探査・採掘プロジェクトを実現する許可証を付与された組織、個人、海外定住ベトナム人に対して国家に賃貸される。

非農地の生産・経営地に属する鉱物生産基盤の建設のための土地は、本法第153条に定める商業・サービス地、非農地のような使用土地制度を有する。

  • 開鉱事業に土地を使用する時は以下の規則を遵守しなければならない。
  • 政府の決定によって、国家権限機関による開鉱活動許可証、鉱物探査・採掘のための土地賃貸決定書、あるいは鉱物生産のための土地賃貸決定書を持たなければならない。
  • また土地一帯とその周辺の土地使用者に損害を及ぼさないように、環境保護・廃物処理の対策及び他の対策を講じなければならない。
  • この土地の使用は、鉱物探査・採掘の進度に沿うようにおこない。土地使用者は土地借用の契約に定める、鉱物探査・採掘の進度及び土地の現状の通りに土地を返還する責任を持つ。
  • 土地を使用せず影響を及ぼさない鉱物探査・採掘の場合は、土地借用は必要ない。

153 . 商業・サービス土地。非農業生産基盤建設地

  1. 商業・サービス土地は商業・サービス経営建設地とその生産・経営に努めるほかの施設の建設地を含める。

   非農業生産基盤建設地は工業団地、工業区、加工輸出区外の非農業生産基盤建設地を含める。

  • 商業・サービス土地。非農業生産基盤建設地の使用は国家権限機関に承認された土地使用計画、企画、都市建設計画、農村共同体地域建設計画及び環境保護規則に適合しなければならない。
  • 経済組織、家族世帯、個人は商業・サービス土地。国家による土地の賃貸を通じる非農業生産基盤建設地の使用。土地使用権の受譲り、土地借用、土地の転貸、他の経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人の土地使用権での出資の受取り。外資系企業のインフラに結びつく土地の転貸をする。

海外定住ベトナム人は国家による土地の賃貸を通じて、商業・サービス土地。非農業生産基盤建設地の使用。他の経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人の土地借用、土地の転貸。外資系企業のインフラに結びつく土地の転貸をする。本法第 186 条 1 項に定める海外定住ベトナム人は非農業生産、商業・サービス基盤建設に使用する土地の使用権の相続権、献上権の受領もできる。

外資系企業は国家による土地の賃貸を通じて商業・サービス土地。非農業生産基盤建設地の使用。他の経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人の土地借用、土地の転貸。外資系企業のインフラに結びつく土地の転貸をする。

154 . 建設物資・陶器の生産地

  1. 建設物資・陶器の生産地は、原料採掘のための水面を有する土地及び建設物資・陶器の生産基盤の建設地を含める。

レンガ・瓦、陶器の生産の原料開拓には、山丘部、非農作の丘、空き地、

河底部の土地又は浚渫必要な池、湖、農業生産しない川沿いの土地、使用しない堤防の土地、畑改造地を活用しなければならない。

  • 原料開拓をするための土地、水面のある内地は国家に建設物資、陶器の生産のための原料開拓の認可を得た家族世帯、個人。建設物資、陶器生産のための原料開拓投資プロジェクトを実現することの認可を得た経済組織、海外定住ベトナム人、外国資本のある企業に対して賃貸される。

非農業生産・経営土地に属する建設物資、陶器の生産基盤建設地は本法第 153 条に定める商業、サービス、非農業生産基盤建設地のような土地使用制度を有する。

  • 建設物資、陶器の生産に土地を使用する時、以下の規定を遵守しなければならない。
  • 国家権限機関による原料開拓、建設物資、陶器の加工・生産目的に土地の賃貸決定を有する。
  • 生産、生活に損害を与えない、また環境、流れ、交通に悪影響を与えないように必要な対策を実施する。
  • 土地使用者は土地借用契約に定める原料開拓の進捗及び土地の現状通

りに土地を返す責任を持つ。

4. 瓦・レンガ、陶器の生産の原料開拓として以下の土地の使用を厳禁する。

  1. 格付けされた歴史・文化的な遺跡地、景勝地又は省・中央直轄市の人民委員会による保護決定地。
  2. 施設保全回路範囲にある土地。

5. 瓦・レンガ、陶器生産の原料開拓に土地を使用する過程において、土地使用者は合理的且つ節約に土地の採掘、使用のための適切な技術を導入しなければならない。周辺の土地使用者の生産、生活に被害を与えない、環境に悪影響を与えないように必要な対策を講じなければならない。

155 . 公共目的で使用される土地、建設・譲渡方式(BT)のプロジェクト及び建設・経営・譲渡方式(BOT)のプロジェクトを実現する土地

  1. 公共目的で使用される土地は、国家権限機関に承認された土地使用企画・計画、都市建設計画、農村共同体地域建設計画に適合しなければならない。
  • 公共目的で使用される土地については、経営目的でない公共目的に使用する機能ゾン及び経営目的である公共目的に使用する機能ゾンを明確に分布することを含める建設の詳細計画を作成しなければならない。

経営目的でない機能ゾンに属する土地については、国家は本法第 54 条に従って土地使用料金を納めない土地を交付する。経営目的である場合、国家は本法第 56 条に従って土地を賃貸する。

  • 国家は投資家に対して、建設・譲渡方式(BT)のプロジェクトを実現する土地を交付する。投資関連法令に従って、建設・経営・譲渡方式(BOT)及び他の方式のプロジェクトを実現するために投資家に対して土地を交付する又は賃貸する。
  • 政府は本条の詳細を規定する。

156 . 航空基地、民用空港地

1. 航空基地、空港地における民用航空事業地は以下の土地を含める。

  1. 航空地、空港において常時活動をする国家管理機関の本部建設地。
  2. 航空地、空港のインフラ整備地は着陸帯、滑走路、駐機場、管制塔、航空安全保障、空港緊急事態、囲い壁、公務用道路、空港内部の道路、空港の他のサポート施設、エリアを含む。
  3. 航空地、空港における航空サービス経営のための基盤、施設建設地。
  4. 非空港サービス経営のための施設建設地。
  5. 航空会社は国家権限機関に承認された土地使用計画及び航空地、空港地の企画を踏まえて省級人民委員会に土地を交付される。航空会社は航空地、空港における民用航空事業のための土地使用証書、住宅及び土地に定着する他の資産の所有権の証書を給付される。
  6. 民用航空の国家管理機関に承認された土地使用の計画、企画を踏まえて、航空会社は以下の規則に従って土地使用料金、土地賃貸料金を納めない土地を交付する。
  7. 本条第 1 項 a 号及び b 号に定める土地については、土地使用金を納めない土地を交付する。
  8. 本条第 1 項の c 号及び d 号に定める土地については、土地借用金を年次払いで賃貸をする。土地の借用料金の計算及びその料金の納めは本法に従って実施される。 

4. 航空地、空港における土地を使用する組織、個人は以下の権限及び義務を有する。

  1. 土地使用目的正しい使用。土地使用権の移転・譲渡・向上・賃貸・土地使用権の抵当を設定し、土地使用権での出資をしてはならない。
  2. 借用土地に定着する自分の所有資産でベトナムにおいて事業を認可された金融組織に抵当できる。資産の販売、賃貸し、借用土地に定着する私有資産での出資ができる。

5. 政府は本条の詳細を規定する。

157 . 安全回路を有する公共施設建設地

  1. 安全回路を有する公共施設建設地は交通、灌漑、堤防システム、給水システム、排水システム、廃棄物処理システム、給電システム、給油、ガスシステム、情報通信システム及びこれらの施設の安全回路に属する土地を含む。
  2. 安全回路を有する公共施設建設地の使用には、地上部及び地価部を合わせて利用することを確保し、土地の節約のために同じ地区に各種の施設を配置し、施設の安全防護に関する専門的な法律の規則を遵守しなければならない。
  3. 施設の安全防護回路にある土地の法律に認められる土地使用者は既に確定した目的に基づいて正しく継続的に土地を使用でき、施設安全防護に支障をしてはいけない。

土地の使用が施設の安全防護に影響を与える場合、施設の所有者及び土地使用者は克服するための対策を講じなければならない、克服できない場合、国家は法律に従って土地を回収し、賠償しなければならない。

  • 安全防護回路を有する施設を直接管理する機関、組織は施設の安全防護回路の境界を公表し、施設の安全防護の主な責任を持つ。施設の安全防護回路が違法拡大、違法占拠、違法使用される場合、適時に報告し、施設の安全防護回路が違法拡大、違法占拠、違法使用された村級人民委員会による処理を求める。
  • 安全防護回路を有する施設のある各級人民委員会は施設の直接管理機関、組織と協力し、施設安全防護に関する法律の宣伝、普及。施設安全防護回廊における土地使用の境界の公表。施設安全防護回廊の違法拡大、違法占拠、違法使用の適時な処理をする責任を持つ。
  • 政府は本条の詳細を規定する。

158 . 文化・歴史遺産、景勝地  

1.格付けられた、あるいは省級人民委員会に保護された歴史・文化的遺

跡地、景勝地は以下のような規則に従って厳格に管理される。

  1. 文化遺産の法律に基づいて組織、家族世帯、個人、住民共同体に直接に管理される歴史・文化的遺跡地、景勝地については、その組織、家族世帯、個人、住民共同体は歴史・文化的遺跡地、景勝地の使用について主な責任を持つ。
  2. 本項 a 号に属しない歴史・文化遺跡地、景勝地については、歴史・文化遺跡地、景勝地を有する村級人民委員会は歴史・文化遺跡地、景勝地の面積を管理することにおいて主な責任を持つ。
  3. 違法拡大、違法占拠、目的の正しくない使用、違法使用される歴史・文化遺跡地、景勝地については、土地のある村級人民委員会は発見、防止及び適時処理する責任を持つ。

2. 特別に歴史・文化遺跡地、景勝地の使用が他の目的に使用する必要な場合は、目的を変更することは権限のある機関に承認された土地使用計画、企画に適合し、またその歴史・文化遺跡、景勝地に対する各付けを決定する国家権限機関の許可文書を得なければならない。

159 . 宗教団体の使用地  

  1. 宗教団体のための使用地とは寺、教会、聖室、宗教学校用地、宗教団体オフィス建設地と、国家に宗教活動を許可されたその他の用地を含む。
  2. 省級人民委員会は国家の宗教政策、承認する国家権限機関に承認された土地使用の計画、企画を踏まえて、宗教団体に交付する土地面積を決定する。

160 . 宗教地

  1. 宗教地は、寺院、神社、ホール、家族の教会を含む。
  2. 宗教地の使用は目的の正しい使用、また国家権限機関に承認された土地使用計画、企画、都市建設計画、農村共同体地域建設計画に適合しなければならない。
  3. 公共の寺院、神社、ホール、家族の教会の建設、拡張は国家権限機関の認可を得なければならない。

161 . 地下施設建設地

  1. 地下施設建設地の使用は国家権限機関に承認された地下施設建設計画、土地使用計画、企画及び関係する他の計画に適合しなければならない。
  • 省級人民委員会は政府の規定に基づいて、地下施設建設のための土地の交付、賃貸を決定する。

162 墓地・霊園

  1. 墓地・霊園は居住区から遠く離れた、埋葬・礼拝の便宜、衛生、環境保護、土地制約を考慮した場所に集中的な地区として企画される。
  2. 省級人民委員会は、土地限度の交付、土地の節約を確保する上で墓地・霊園における墓・像・記念碑建設の管理制度を決定し、火葬を奨励する政策を策定する。

すみれ

「住宅地の近くには造ることができないんだ。」

  • 国家権限機関に承認された土地使用計画、企画に違反する墓地・霊園は厳禁される。

163 川・運河・小川及び専用水面地  

1. 確定された主な使用目的を踏まえて、川、運河、小川及び専用水面地は以下の規定に従って管理・使用される。

  1. 国家は非農業又は水産養殖・利用に伴う非農業の目的に専用水面のある内地を使用、開発及び管理するために組織を交付する。
  2. 国家は水産養殖のために、経済組織、家族世帯、個人に対して川、運河、小川及び専用水面のある内地を賃貸し、年次払いで土地使用料金を収納する。
  3. 国家は水産養殖投資プロジェクトを実現するために、海外定住ベトナム人、外資系企業に対して、川、運河、小川及び専用水面野のある内地を賃貸し、年次払いで土地使用料金を収納する。

2. 川、運河、小川及び専用水面のある内地の開発、使用は確定された主な使用目的に影響を与えない。関係業種、分野の技術に関する規則及び景観、環境保護に関する規則を遵守。自然の流れの支障をしない。河川交通に支障をしない。

4 . 未使用土地

164 . 未使用土地の管理  

  1. 村級人民委員会は地方の未使用の土地を管理、保護し、地政書類に登録する責任を持つ。
  2. 省級人民委員会は無人島の未使用の土地を管理する。
  3. 未使用の土地の管理は政府の規則に従う。

165 . 未使用の土地の使用

1. 国家権限機関に承認された土地使用計画、企画を踏まえて、各級の人民委員会は未使用の土地を使用できるように、土地の投資・開墾・復元・改造の計画を立てる。

2.国家は、国家権限機関に承認された土地使用計画、企画に基づいて、未使用の土地を使用できるように、組織・家族世帯・個人に、土地の投資を奨励する。

3. 農業目的で使用すると計画される土地の面積に関しては、土地を交付されない又は生産土地が不足している地方において、直接に農業、林業、水産養殖、塩作りをする家族世帯、個人に対して優先的に交付する。

11

土地使用者の権利及び義務第 1 . 総則

166 . 土地使用者の共通権利

  1. 土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産所有権の証書を給付される。
  2. 土地における労働成果、投資結果を享受する。
  3. 農地改造・保護についての国家プロジェクトの利益を享受する。
  4. 農地改造・充足についての国家案内・補助される。
  • 土地に関する合法的な権利、利益を侵害されたとき国家により保護され。
  • 国家に土地を回収される時本法に従った賠償される。
  • 土地の合法的な使用権とその他の土地法に違反した行為に対する不服申し立て、告訴告発、提訴できる。 

   第167. 移転・譲渡・賃貸・転貸・相続・贈与権、土地使用権での抵当、土地使用権での出資  

1. 土地使用者は本法に従って移転・譲渡・賃貸・転貸・相続・贈与権、土地使用権での抵当、土地使用権での出資を実施できる。

2.共通の土地使用権のある土地使用者のグループは 以下の権利及び義務を有する。

  1. 家族世帯、個人を含める土地使用者のグループは本法に規定される家族世帯、個人の権利及び義務同様の権利及び義務を有する。

土地使用者グループの中に経済組織の構成員を有する場合、本法に規定される経済組織の権利及び義務同様の権利及び義務を有する。

  • 個々の構成員に対して、土地使用権が分割された土地使用者グループの構成員が自分の土地使用権を実施したい場合、規則に従って土地の分割手続きを行い、土地使用権及び住宅及び土地に関連する他財産所有権の証書の給付申請手続きを行い、本法に従って土地使用者の権利及び義務を実施できる。

分割できない土地使用者グループの土地使用権の場合、土地使用者グル

ープの権利及び義務を実施するための代表者に委任する。

3. 契約書、土地使用者権利の実現文書の公証、証明は以下のように実施される。

  1. 譲渡・贈与・土地使用権、土地及び土地に関連する財産の使用権での抵当、出資契約書は公証又は証明されなければならない。本項 b 号に定める不動産の経営はこの限りではない。
  • 土地使用権、土地及び土地に関連する財産の使用権の賃貸・転貸、農地使用権の移転契約。取引に参加する片側又は各関係者は不動産経営組織である場合の土地使用権、土地及び土地に関連する財産の使用権の譲渡契約は関係者の要求に基づいて公証又は証明される。  
  • 土地使用権、土地及び土地に関連する財産の使用権の相続文書は民事に関する法律に従って公証又は証明される。
  • 公証については公証事業組織、証明については村級人民委員会に実施される。

168 . 土地使用者の各権利を実施する時期  

  1. 土地使用者は証書を有する時に譲渡、賃貸、転貸、贈与、土地使用権での抵当、出資の権利を実現できる。農地使用権を移転する場合、土地使用者は土地の交付、賃貸の決定を受けた後権利を実現できる。土地使用権の相続の場合、土地使用者は土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産使用権の証書を有する時、又は給付される充分な条件を満たす時に権利を実現できる。

土地使用者は財政義務の実現の見合わせ又は財政義務ができる場合、各権利を実現する前に財政義務を果たさなければならない。

  • 売却又は賃貸のための住宅建設経営投資プロジェクトにおける土地使用権の譲渡。譲渡又は賃貸のための土地使用権の譲渡と同時にインフラ整備投資プロジェクトの全体の譲渡を実施する時期は証書を取得し、本法第 194 条に定める充分な条件を満たす時である。

169 . 土地使用権の受取り

1. 土地使用権の受取り人は以下のように規定される。

  1. 家族世帯、個人は本法第 179 条第 1 項 b 号に規定される土地使用権の移転を通じて農地の使用権を受取るできる。
  2. 経済組織、家族世帯、個人は土地使用権の譲渡を通じて土地使用権を受取ることができるが、本法第 191 条に定める場合はこの限りではない。海外定住ベトナム人は工業団地、工業区、加工輸出区、ハイテック地区、経済地区における土地使用権の譲渡を通じて土地使用権を受取ることができる。外資系企業は政府の規定に従って土地使用権の価値である投資資金の譲渡を受取るできる。
  3. 組織、家族世帯、個人、住民共同体は本法第 174 条第 2 項 c 号及び第

179 条第 1 項 e 号に従って土地使用権の贈与を通じて土地使用権を受取ることができる。本法第 191 条に定める場合はこの限りではない。

  • 組織、家族世帯、個人、住民共同体は土地使用権の相続を通じて土地使用権を取得することができる。

đ) 住宅関連法令に従ってベトナムにおける住宅所有者である海外定住ベトナム人は居住地使用権に関連する住宅の購入、購入の借用、相続の受取り、贈与の受取り又は住宅開発プロジェクトにおける土地使用権の受取りを通じて居住地使用権の移転を受取できる。

  • 経済組織、合弁企業は土地使用権での出資を通じて土地使用権の移転を受取できる。
  • 組織、家族世帯、個人、宗教拠点、海外定住ベトナム人は国家に土地を交付されることを通じて土地使用権を受取できる。外資系企業は売却又は売却に伴う賃貸のための住宅建設投資プロジェクトを実施するために国家に土地を交付されることを通じて土地使用権を受取できる。
  • 経済組織、財政自主公立事業組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業、外交機関は国家に土地を賃貸されることを通じて土地使用権を受取できる。
  • 組織、家族世帯、個人、住民共同体、宗教団体は国家に安定使用土地に対する土地使用権を承認されることを通じて土地使用権を受取できる。
  • 組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は権限のある人民委員会に認められた土地紛争の和解成立結果。債権処理の抵当契約における合意。土地紛争、土地に関する不服申し立て、告訴告発争いに関する国家権限機関の決定、人民裁判官の決定又は判決、執行された執行機関の判決執行決定。合法的な土地使用権の競売結果を認める文書。共通土地使用権のある家族世帯又は土地使用権のあるグループに対する合法的な土地使用権の分割に関する文書に基づいて土地使用権を受取できる。
  • 住民共同体、宗教団体は権限のある人民委員会に認められた土地紛争の和解成立結果。土地紛争、土地に関する不服申し立て、告訴告発の解決に関する国家権限機関の決定、人民裁判所の決定又は判決、執行された執行機関の判決執行決定に基づいて土地使用権を受取できる。
  • 権限のある機関、組織の決定又は合法的な経済組織の分離又は合併に関する文書に基づく分離又は合併を通じて新しく形成された法人である組織は分離又は合併された法人である各組織からの土地使用権を受取できる。

2. 家族世帯、個人は居住地を問わず土地使用権の譲渡を受取できる。本法第 191 条及び第 192 条はこの限りではない。

170 . 土地使用者の共通義務  

1.土地使用目的・土地ラインの正しい使用、地下の深さ・建造物の高さ

の規定を正しく使用すること、地下における公共建物の保護とその他の規定を遵守することなどを有する。

  • 法に規定される土地の登録。土地使用権の移転・譲渡・賃貸・転貸・

相続・贈与手続きをする。土地使用権での抵当、土地使用権での出資をする。

  • 法に規定される財政義務を実施する。
  • 土地保護対策を実施する。
  • 環境保護に関する規則を遵守し、関係する土地使用者の合法的な利益

の損害をしない。.

6.物品発掘の場合の法律遵守などを遂行する。

7. 国家の土地回収決定の公布、土地使用期限の完了であるが国家権限機関に延長されない時には、土地を返還する。

171 . 境界壁を共有する土地に対する使用制限権  

  1. 境界壁を共有する土地 に対する使用制限権は境界壁を共有する土地における合理的な通路。給排水。農業用給排水。ガス供給。送電、情報通信及び他の必要なニーズに関する権利を含める。
  2. 境界壁を共有する土地に対する使用制限権は民事の法律に従って確立され、また本法第 95 条に従って登録をしなければならない。

172 . 土地借用料支払い方法の選定権  

  1. 本法第56条第1項に定める経済組織、財政自主公立事業組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は借用期間に一括もしくは年次払いでの土地借用の方法の選択ができる。
  • 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された経済組織、財政自主公立事業組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は一括払いで土地使用料を収納することに移転でき、本法に従って借用期間全体の一括払いに移転することを認可する決定を有する時点に土地借用料を計算するために、具体的な土地価格の再確定をしなければならない。

2 . 土地使用組織の権利及び義務

173 . 土地使用料を収納しない形で、国家から土地を交付された組織の権利と義務

1. 土地使用料を収納しない形で国家から土地を交付された組織は本法第

166 条及び第 170 条に規定される共通な権利及び義務を有する。

  • 土地使用料を収納しない形で国家から土地を交付された組織は、土地使用権の移転権・譲渡権・贈与権・土地使用権の貸出権・土地使用権での抵当権・出資権を認められない。国家に回収される土地について賠償されない。    

174 .土地使用料を収納する形で国家から土地を交付された組織、借用全期間の土地借用料を一括払いで国家から土地を賃貸された組織の権利と義務

  1. 土地使用料を収納する形で国家国家から土地を交付された組織、借用全期間の土地借用料の一括払いで国家から土地を賃貸された組織は本法第 166 条及び 170 条に規定する共通の権利及び義務を有する。
  2. 土地使用を収納する形で国家から土地を交付された組織、借用全期間の土地借用料の一括払いで国家から土地を賃貸された組織は、本条第 1 項に規定される権利及び義務の他に、以下の各権利を有する。
  3. 土地使用権、土地に定着する私有財産を譲渡すること。
  4. 土地使用を収納する形で国家から土地を交付される場合、土地使用権、土地に定着する私有財産を賃貸すること。借用全期間の土地借用料の一括払いで国家から土地を賃貸される場合、土地使用権、土地に定着する私有財産を転貸すること。
  5. 国家に土地使用権を贈与すること。コミュニティの共通利益のための施設建設のため住民共同体への土地使用権を贈与すること。法律に従って土地に関連する義情家を贈与すること。
  6. ベトナムに営業を認可された金融組織に土地使用権、土地に定着する私有財産の抵当を設定すること。

đ) 法律に従って、組織、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業と生産、

経営を協力するために、土地使用権、土地に定着する私有財産で出資すること。

  • 国家予算ではない借用期間に一括払いで土地借用料を収納した土地を国家に賃貸された財政自主公立事業組織は本条第 1 項、第 2 項に規定される権利及び義務を有する。各権利を実現するためには、権限のある国家の機関によって文書で認可されなければならない。国家予算である借用期間に一括払いで土地借用料を収納した土地を国家に賃貸された財政自主公立事業組織は本法第 173 条に規定される権利及び義務を有する。
  • 国家に土地使用料を収納する土地を交付され、全借用期間に一括払いで土地の借用料を収納する土地を賃貸されが土地使用料、土地借用料の免除・削減された組織は以下の義務及び権利を有する。
  • 住宅経営建設プロジェクトを実現するために国家に土地を交付、賃貸されたが、土地使用料、土地借用料が免除・削減された場合、土地使用料、土地借用料の免除又は削減されない場合同様の土地関連法令に規定される権利及び義務を有する。
  • この項 a 号に規定される場合に該当しない利益目的で投資プロジェクトを実現するために国家に土地を交付、賃貸されたが、土地使用料、土地賃貸料を削減された場合は同様の使用目的を有する土地に対する土地使用料、土地賃貸料を免除されない又は削減されない場合のように土地関連法令に規定される権利及び義務を有する。
  • この項 a 号に該当しない利益目的で投資プロジェクトを実施するために、国家に土地を交付・賃貸されたが、土地使用料、土地賃貸料を免除された場合は、同様の目的を有する土地に対する年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された場合のように土地関連法令に規定される権利及び義務を有する。

175 . 年次払いで土地借用料を収納して、借用土地を使用する経済組織、公立事業組織の権利及び義務

1. 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を借用された経済組織、公立事業組織は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務を有する。
  2. ベトナムにおいて営業を認可された金融組織に借用土地に定着する私

有財産の抵当を設定する。

  • 本法第 189 条に規定される充分な条件を満たす時に、借用土地に関連する私有資産の売却をする。財産を購入した者は確定目的に基づいて引き続き国家に土地を賃貸される。
  • 借用土地に定着する私有財産での出資をする。財産での出資を受取った人は確定された目的にに基づいて引き続き国家に土地を賃貸される。

đ) 工業団地、工業区、加工輸出区、ハイテック地区、経済地区の土地については、インフラ整備経営投資を認可された場合において、年次払いで土地借用料を収納するインフラが整備された土地使用権の転貸をする。

2.工業団地、工業区、加工輸出区外の組織、家族世帯、個人の借用土地を使用する経済組織、公立事業組織は民事に関する法律に規定される権利及び義務を有する。

176 . 土地使用権の譲渡・土地使用目的の変更を受けた経済組織の義務と権利

1. 土地使用権の譲渡・使用目的の変更を受けた経済組織は本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の義務と権利を有する。

2.支払った土地使用料、土地借用料は国家予算でない且つ土地使用料を収納した国家に交付され、又は借用全期間に事前に一括払いで土地借用料を収納した国家に賃貸された土地使用権の譲渡を受けた経済組織は本法第 174 条第

2 項に規定される権利及び義務を有する。

3. 法律に従って農地使用権の譲渡を受けた経済組織は以下の権利及び義務を有する。

  1. 譲渡を受取り、土地使用目的を変更しない場合は本法第 174 条第 2 項に規定される権利及び義務を有する。
  2. 土地使用料を収納する形で国家から交付された又は借用全期間に一括払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された土地の譲渡を受け、

使用目的を変更した場合は本法第 174 条 2 項に規定される権利及び義務を有する。

  • 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された土地の譲渡を受け、使用目的を変更した場合、本法第 175 条に規定される権利及び義務を有する。

4. 権限ある国家機関による、土地使用料又は土地賃貸料を納めない土地から収納する土地への目的変更の認可を受けた経済組織の権利及び義務は以下の通りに規定される。

  1. 国家に土地使用料を収納する土地を交付された又は一括払いで借用料を収納する土地を賃貸された経済組織は本法第 174 条第 2 項に規定される権利及び義務を有する。
  2. 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された経済組織は本法第 175 条 1 項に規定される権利及び義務を有する。

177 . 土地使用権での出資を受けた経済組織の権利及び義務。解散、破産した経済組織の土地使用権  

  1. 家族世帯、個人、他の組織の土地使用権出の出資を受けた経済組織は以下の場合において本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。
  2. 土地使用料を収納する形で国家から交付された又は一括払いで土地借用料を収納する形で国家から賃貸された、土地使用権の譲渡を受けた経済組織による出資土地。
  3. 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から賃貸された土地ではない家族世帯、個人による出資土地。
  4. 解散、破産した農協の土地使用権は以下の規定に従って実施される。
  5. 土地使用料を収納しない形で国家から交付された土地。土地使用料、土地賃貸料、土地に関連する財産を購入する又は他人から合法的な土地使用権の譲渡を受けるが、土地使用料、土地借用料、土地に関連する財産の購入金、土地使用権の受譲り金は国家予算である土地については、国家にその土地を回収される。
  6. 借用全期間に一括払いで土地使用料、土地借用料を収納する形で国家から交付された土地、土地に関連する財産を購入する又は他人から合法的な土地使用権の譲渡を受けるが、土地使用料、土地借用料、土地に関連する財産の購入金、土地使用権の受譲り金は国家予算ではない土地。構成員が農協に土地使用権を贈与した土地については、国家に回収されず、その土地使用権は農協のものであり、農協の定款、総会の決議によって処理される。
  7. 解散、破産した時の企業である経済組織の土地使用権は法律に従って処理される。

178 . 地下施設建設用の土地借用ができる経済組織の権利及び義務

地下施設建設投資のために国家に土地を賃貸された経済組織は以下の権利及び義務を有する。

1. 一括払いで土地借用料を収納する土地を借用する場合は本法第 174 条

1 項、2 項及び 4 項に規定される経済組織同様の権利及び義務を有する。

2. 年次払いで土地借用料を収納する土地を借用する場合は本法第 175 条

1 項に規定される経済組織同様の権利及び義務を有する。

3 . 土地使用する家族世帯、個人、住民共同体の権利及び義務第

179 . 土地使用家族世帯、個人の権利及び義務  

1.農地使用家族世帯、個人は国家に限度内に土地を交付される。土地使用料を収納する形で国家から交付された土地、一括払いで土地借用料を収納する形で国家から賃貸された土地、土地使用権を国家に認められる土地。 移転・譲渡・贈与・相続を受けた土地は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務を有する。
  2. 他の家族世帯、個人と同じ村、区、町にある農地の使用権の移転をする。
  3. 法律に従って土地使用権の譲渡をする。

 d)ベトナムに投資する 他の組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人

が土地使用権を借用させる。

 đ) 土地使用個人は遺言書又は法律に基づいて土地使用権を相続させることができる。

国家に土地を交付された家族世帯の構成員が亡くなった場合、その構成員の土地使用権は遺言書又は法律に基づいて相続される。

相続人は本法第 186 条第 1 項に規定される対象に該当する海外定住ベトナム人である場合、土地使用権の相続をすることができる。本法第 186 条第 1 項に該当しない場合はその相続分の価値を享受できる。

e) 本法第 174 条第 2 項 c 号に規定される土地使用権の贈与。本法第 186 条第 1 項に規定される対象に該当する家族世帯、個人又は海外定住ベトナム人に対して土地使用権の贈与をする。

  • 法律に従ってベトナムにおいて営業を許可された金融組織、他の経済組織又は個人に土地使用権での抵当をする。
  • 生産、経営を協力するために、組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人に土地使用権での出資をする。
  • プロジェクトを実現するために回収される土地である場合、自主的に土地における投資をする権利があり、又はプロジェクトの実施主体に土地使用権を賃貸し、政府の規定に従ってプロジェクトを実施するためにプロジェクトの実施主体に土地使用権での出資をする。

2. 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸される家族世帯、個人は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び 170 条に規定される共通の権利及び義務。
  2. 借用土地に定着する私有財産の売却。財産購入者は確定された目的に基づいて引き続き国家に土地を賃貸される。
  3. 借用土地に定着する私有財産の相続をさせる・贈与する。財産の相続人、贈与を受けた人は確定された目的に基づいて引き続き国家に土地を賃貸される。
  4. 民事に関する法律に従って借用土地に定着する私有財産の賃貸をする。

    đ) 法律に従ってベトナムに営業を認可された金融組織、他の経済組織又は個人に借用土地に定着する私有財産での抵当をする。

  • 生産、経営を協力するために、組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人と借用期間中における借用土地に定着する私有財産での出資をする。財産での出資を受けた人は確定された目的に基づいて国家に引き続き土地を賃貸される。

3. 工業団地、工業区、加工輸出区における土地を再借用する家族世帯、個人は以下の権利及び義務を有する。

  1. 一括払いで土地借用料を収納する土地借用、土地再借用の場合は本条第 1 項に規定される権利及び義務を有する。
  2. 年次払いで土地借用料を収納する土地借用、土地再借用の場合、本条第 2 項に規定される権利及び義務を有する。
  3. 土地使用料、土地借用料が免除・削減された国家に土地を交付される家族世帯、個人は土地使用料、土地借用料が免除・削減されない場合同様の権利及び義務を有する。
  4. 本条第 3 項に該当しない組織、家族世帯、個人の借用土地を使用する家族世帯、個人は民事に関する法律に規定される権利及び義務を有する。

180 . 土地使用料を納めない土地から土地使用料又は土地借用料を収納する土地への土地使用目的を変更する家族世帯、個人の権利及び義務

  1. 土地使用料を納めない土地から土地使用料又は土地借用料を収納する土地への土地使用目的を変更する家族世帯、個人は本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務を有する。
  2. 権限のある国家期間に土地使用料を納めない土地から土地使用料又は土地借用料を収納する土地への土地使用目的の変更を認可された土地使用の家族世帯、個人の権利及び義務は以下のように規定される。
  3. 国家に土地使用料を収納する土地を交付された又は一括払いで土地借用料を収納する土地を借用した場合は本法第 179 条第 1 項に規定される権利及び義務を有する。
  4. 年次払いで土地借用料を収納する土地を国家に賃貸された場合は本法第 179 条 2 項に規定される権利及び義務を有する。

181 . 土地使用宗教拠点、住民共同体の権利及び義務

  1. 土地使用宗教拠点、住民共同体は本法第 166 条及び 170 条に規定される共通の権利及び義務を有する。

b)土地使用宗教拠点、住民共同体は土地使用権の移転・譲渡・賃貸・贈与。土地使用権での抵当権・出資権をしてはならない。

4 節 土地使用海外定住ベトナム人、外交機関、外資系企業の権利及び義務

182 . 外交機関の権利及び義務

1. ベトナムにおいて土地を使用する外交機関は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通権利及び義務。
  2. 権限のあるベトナムの国家機関の認可書に基づいて土地における施設の建設。
  3. 土地借用期間内に借用土地における自ら建設した施設の所有。
  4. ベトナム社会主義共和国は参加国である国際条約は別途の規則を有する場合、外交機関はその国際条約に基づく権利及び義務を有する。

183 . ベトナムに投資プロジェクトを実現するために土地を使用する海外定住ベトナム人、外資系企業の権利及び義務

1.土地使用料を収納するベトナム国家に土地を交付されたベトナムに投資する海外定住ベトナム人は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通権利及び義務。
  2. 本法第 174 条第 2 項に規定される権利及び義務。

2. 年次払いで土地借用料を収納する土地を国家に賃貸された海外定住ベトナム人、外資系企業は以下の権利及び義務を有する。

  1. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務を有する。
  2. ベトナムに営業を認可された金融組織に借用土地に定着する私有財産での抵当。借用土地に定着する私有財産での出資、財産での出資を受けた人は残りの期限に確定された目的通りに国家に土地を賃貸される。
  3. 本法第 189 条に定める充分な条件を満たす時、借用土地に定着する私有財産を売却する。
  4. 住宅建設経営投資を認可された場合における住宅を賃貸する。
  5. 海外定住ベトナム人、外資系企業は借用期間に一括払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸される。プロジェクトを実施するために土地使用料を収納するベトナム国家に土地を交付された外資系企業は以下の権利及び義務を有する。
  6. 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務。
  7. 土地使用期間内に土地、土地に定着する私有財産の使用権の譲渡。
  8. 土地使用期間内に土地、土地に定着する私有財産の使用権の賃貸、転貸。

 d)土地使用期間内にベトナムに営業を認可された金融組織に土地、土地に定着する私有財産の使用権での抵当。 

đ) 土地使用期間内に生産、経営の協力のために土地、土地に定着する私有財産使用権での出資。

  • ベトナム企業の株を購入することによって形成された土地使用をする外資系企業は以下の権利及び義務を有する。
  • 株の譲渡によつて形成された外資系企業は 100%の外資系企業又は外国投資家が企業に関する法律に基づいて支配する株を占める外資系企業である場合、外資系企業は土地使用料、土地借用料を収納する形式相当の本条第 2 項、第 3 項に規定される権利及び義務を有する。
  • 株の譲渡によつて形成された外資系企業であるがベトナム側が企業に関する法律に基づいて支配する株の割合を占める場合、外資系企業は本法第

174 条及び第 175 条に規定される経済組織のような権利及び義務を有する。

5. 一括払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を交付・賃貸されたベトナムにおける投資プロジェクトを実施するための土地を使用するが土地使用料、借用料を免除・削減される海外定住ベトナム人、外資系企業は本法第

174 条第 4 項に規定される権利及び義務を有する。

184 . 土地使用権での出資による土地使用の合弁企業。合弁企業から移転される 100%外資系企業の権利及び義務

1. 外国組織、外国個人、海外定住ベトナム人と土地使用権での出資をする経済組織との間の合弁企業は以下の場合において本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。

a)国家予算ではない土地使用料、土地借用料を一括払いで収納する形で国家から交付された経済組織の出資土地。

b) 年次払いで土地借用料を収納する形で国家から借用する土地ではない、

譲渡を受けるために支払った金額は国家予算ではない、土地使用権の譲渡を受ける経済組織の出資土地。

  • 2004 年 7 月 1 日までに国家に土地を賃貸された国有企業、企業に支給する予算のように土地使用権の価値を使用できる、外国組織、外国個人との間の合弁企業へ出資するための土地関連法令に従って土地借用料の債務を確認する必要がなく、返済をしない場合、合弁企業は本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。土地使用権の価値は合弁企業に国家の出資分である。
  • 土地使用料を収納する形で国家から土地を交付され、借用期間に一括払いで借用料を収納する形で国家から土地を賃貸される海外定住ベトナム人は外国組織、外国個人との間の合弁企業に国内組織として土地使用権での出資する場合、合弁企業は本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。
  • ベトナム側による土地使用権での出資をする合弁企業は 100%外資系企業に移転する場合は以下のような権利及び義務を有する。
  • 以前に出資を受けたことによる土地使用権は売却するための住宅投資プロジェクトを実現するために使用されない場合については本法第 183 条 2 項に規定される権利及び義務、また 100%外資系企業は本法第 56 条第 1 項に従って年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸される。
  • 以前に出資を受けたことによる土地使用権は売却するための住宅投資プロジェクトを実現するために使用されない場合については本法第 183 条第 2 項に規定される権利及び義務、また 100%外資系企業は本法第 56 条第 1 項に従って一括払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸される。
  • 以前に出資を受けたことによる土地使用権は売却するための住宅投資プロジェクトを実現するために使用される場合については本法第 183 条第 3 項に規定される権利及び義務、また 100%外資系企業は本法第 55 条第 3 項に従って国家に土地を賃貸される。

185 . 工業団地、工業区、加工輸出区、ハイテック地区、経済地区における土地を使用する海外定住ベトナム人、外資系企業の権利及び義務  

  1. 海外定住ベトナム人は業団地、工業区、加工輸出区、ハイテック地区、経済地区における土地使用権の譲渡を受けることができ、本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。

2.工業団地、工業区、加工輸出区、ハイテック地区、経済地区における土地を借用、再借用する海外定住ベトナム人、外資系企業は以下の権利及び義務を有する。

  1. 一括払いで土地借用料、土地再借用料を収納する場合、本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。
  2. 年次払いで土地借用料、再借用料を収納する場合、本法第 175 条に規

定される権利及び義務を有する。

186 . ベトナムに住宅を所有できる海外定住ベトナム人の居住地使用権利及び義務。ベトナムにおける土地使用権に定着する住宅を購入する対象者者に該当しない外国人又は海外定住ベトナム人は

1.住宅関連法令に従って住宅所有権を持つ対象に該当する海外定住ベトナム人はベトナムにおける土地使用権に定着する住宅所有権を持つ。

  • ベトナムにおける土地使用権に定着する住宅を所有できる海外定住ベトナム人は以下の権利及び義務を有する。
  • 本法第 166 条及び第 170 条に規定される共通の権利及び義務。
  • 居住するためのベトナムにおける住宅の所有対象に該当する国内組織、個人、海外定住ベトナム人に住宅を売却、贈与をする、相続させる、交換をする時の土地使用権の移転。国家、住民共同体に土地使用権に定着する住宅の贈与、本法第 174 条第 2 項 c 号に規定される義情住宅の贈与。ベトナムにおける住宅を所有する対象に該当しない対象に贈与する、相続させる場合、この対象は居住地使用権に関連する住宅の価値のみを享受できる。
  • ベトナムにおいて営業を認可される金融組織に土地使用権に定着する住宅での抵当。
  • 使用しない期間において住宅を賃貸し、管理の委任をする。
  • 土地使用権、住宅、土地に関連する他の財産所有権の相続をする全ての人は本条第 1 項に規定されるベトナムにおける居住地使用権に関連する住宅を購入できる対象に該当しない外国人又は海外定住ベトナム人である場合、相続人は土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産所有権の証書を給付されないが以下の規定に基づいて相続土地使用権の譲渡又は贈与ができる。
  • 土地使用権を譲渡する場合、相続人は土地使用権の譲渡契約における譲渡側になる。
  • 土地使用権を贈与する場合、贈与を受けた人は本法第 179 条第 1 項 e

号に規定される対象であり、また住宅関連法令に適合しなければならない。相続人は贈与契約又は約束文書において贈与側になる。 

  • 土地使用権をまだ譲渡又は贈与していない場合、相続人又は規則に基づいて委任状を有する代表者は地政帳に更新するために土地登録機関へ相続をすることに関する書類を提出する。
  • 相続人の中にベトナムにおいて土地使用権に定着する住宅を購入する対象者に該当しない海外定住ベトナム人がいる、その他の人は土地関連法令に基づく土地使用権の相続をする対象であるが相続をするそれぞれの人に土地使用権の相続を配分しない場合、相続人又は規則に従って委任状を有する代表者は地政帳に更新するために土地登録機関において相続に関する書類を提出する。

相続の配分を解決した後、土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産使用権の証書を交付される対象に該当する人に土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産所有権証書を給付する。ベトナムにおける土地使用権に定着する住宅を購入できる対象に該当しない海外定住ベトナム人については、相続分は本条第 3 項に従って解決される。

  • 本条第 3 項及び 4 項 c 号に規定される場合における相続人は看護者又は暫定的に使用する人に対して文書で委任でき、土地関連法令及び関係法律の他の規定に基づいて義務を実施する。

187 . 地下施設建設のために土地を借用する海外定住ベトナム人、外資系企業の権利及び義務

地下施設建設を投資するために、国家に土地を賃貸された海外定住ベトナム人、外資系企業は以下の権利及び義務を有する。

1. 借用前期間に土地借用料を一括払いで土地を借用する場合は本法第

183 条 3 項及び 5 項に規定される権利及び義務を有する。

2. 土地借用料を年次払いで土地を借用する場合は本法第 183 条 2 項及び

5 項に規定される権利及び義務を有する。

5 節 土地使用者の権利を実現する条件

188. 移転権・譲渡権・賃貸権・転貸権・相続権・贈与権、土地使用権での抵当権。土地使用権での出資権を実現する条件  

  1. 土地使用者は以下の条件を満たす時に、移転権・譲渡権・賃貸権・転貸権・相続権・贈与権、土地使用権での抵当権。土地使用権での出資権を実現できる。
  2. 証書を有する。本法第 186 条第 3 項に定める場合及び第 168 条に規定される相続をする場合はこの限りではない。
  3. 争いの無い土地。
  4. 判決執行確保のために留置されない土地使用権。
  5. 土地使用期間内である。
  6. 本条第 1 項に規定される条件以外に、土地使用者は移転権・譲渡権・賃貸権・転貸権・相続権・贈与権、土地使用権での抵当権。土地使用権での出資権を実現する時に、本法第 189 条、第 190 条、第 191 条、第 192 条、第 193 条及び第 194 条に規定される条件を満たさなければならない。
  7. 土地使用権の移転・譲渡・賃貸・転貸・相続・贈与、土地使用権での抵当、土地使用権での出資をするために、土地登録機関に登録しなければならない、地政帳に登録した時点から有効である。

189 条.年次払いで土地借用料を収納する形で国家から賃貸された土地に関連する財産の売却、購入の条件

1. 経済組織、家族世帯、個人、海外定住ベトナム人、外資系企業は以下の条件を満たす時に国家の借用土地に関連する財産を売却することができる。

  1. 法律に従って合法的に形成される借用土地に関連する財産。
  2. 承認、認可された詳細建設計画及び投資プロジェクト通りに建設を完了した。

2. 借用土地に関連する財産の購入者は以下条件を満たさなければならない。

  1. 投資プロジェクトを実現するための財政能力を有する。
  2. 投資プロジェクトに適切な経営業種を有する。
  3. 以前のプロジェクトを実施するために国家に土地を交付・賃貸された場合、土地関連法令を違反しない。
  4. 財産購入者は具体的な土地価格に基づいて国家に引き続き残りの土地使用期限に土地を賃貸され、プロジェクトに確定された目的で土地を正しく使用する。
  5. インフラ整備経営プロジェクトを実施するために土地を借用する場合については、本法第 194 条に従う。

190 . 農地使用権の移転条件  

国家に交付され、他人に合法的な土地使用権の移転され、譲渡・相続の受取り、贈与された農地を使用する家族世帯、個人は同じ村、区、町にある農地使用権を他の家族世帯、個人に農業生産のために移転でき、土地使用権による所得税及び所有税を納付しない。

191 . 土地使用権の譲渡、贈与を受取ることができない

  1. 組織、家族世帯、個人、住民共同体、宗居拠点、海外定住ベトナム人、外資系企業は法律に土地使用権の譲渡、贈与を認められない場合、土地使用権の譲渡、贈与を受けることができない。
  2. 経済組織は家族世帯、個人の稲作地、防護林地、特用林地の使用権の譲渡を受けるとこができない。権限のある機関に承認された土地使用計画、企画に基づいて土地使用目的の変更ができる場合はこの限りではない。

3.直接に農業生産をしない家族世帯、個人は稲作地の使用権の譲渡、贈与を受けることができない。

  • 防護林、特用林に生活していない家族世帯、個人は防護林、特用林に属する厳正保護地域、生態回復地域における居住地、農地の使用権の譲渡、贈与を受けることができない。

192 家族世帯、個人は条件付き土地使用権の譲渡、贈与をする場合

  1. 特用林に属する厳正保護地域、生態回復地域に生活しているがそれらの地域から移転する条件がまだ揃っていない家族世帯、個人はその地域に生活している家族世帯、個人に対して農業、林業、水産養殖伴う居住地、林地の使用権のみの譲渡、贈与をすることができる。
  2. 防護林における居住地、農業生産地を国家に交付された家族世帯、個人はその防護林に生活している家族世帯、個人に対して居住地、農業生産地使用権のみの譲渡、贈与をすることができる。
  3. 国家の支援政策に基づいて国家に交付された土地を使用する少数民族である家族世帯、個人は政府の規定に従って土地交付を決定された日から 10 年後に土地使用権の譲渡、贈与をすることができる。

193 . 生産投資プロジェクト、非農業経営を実施するために農地使用権の受譲、農地使用権での出資の受取、農地使用権の賃貸条件

経済組織、家族世帯、個人は以下の条件を満たす時に、生産投資プロジェクト、非農業経営を実施するために農地使用権の受譲、農地使用権での出資の受取、農地使用権の借用ができる。

  1. プロジェクトを実施するために農地使用権の受譲、農地使用権での出資の受取、農地使用権の借用をする経済組織に対する国家権限機関による承認の文書を持つ。
  2. 使用権の受譲、使用権での出資の受取、使用権の借用をする土地の面積に対する使用目的は国家権限機関に承認された土地使用権の計画、企画に適合しなければならない。
  3. 水田の稲作専用地については、本法第 134 条第 3 項に従って実施しなければならない。

194 . 住宅建設経営投資プロジェクト。譲渡又は賃貸のためのインフラ整備投資プロジェクトの実施における土地使用権の譲渡条件

1. 住宅建設経営投資プロジェクトにおける土地使用権の譲渡は以下の規

則に従って実施される。

  1. 省級人民委員会は都市種類の条件に関する政府の規定に基づいて、住宅建設経営プロジェクト投資する実施主体がインフラ整備投資及び土地に関する財政義務を完了した後ロット分割形式を通じて土地使用権を譲渡することを認可する。
  2. 住宅建設経営投資プロジェクトについては、証書があった時にプロジェクト全体又は一部の譲渡に伴う土地使用権の譲渡ができる。土地使用権の譲渡を受けた人は承認された進捗通りに投資プロジェクトを実施しなければならない。

2. 譲渡又は賃貸のためのプロジェクト全体又は一部の譲渡に伴う土地使用権の譲渡は以下の条件をみたさなければならない。

a) 本法第 188 条第 1 項に規定される条件を充分に満たす。

b)承認されたプロジェクトの進捗に応じるプロジェクトのインフラ整備が完了した。

3. 政府は本条の詳細を規定する。

12

土地に関する行政手続き

 第195 . 土地に関する行政手続き

1. 土地に関する行政手続きは以下の通りである。

  1. 土地の回収、土地の交付、土地賃貸、土地使用目的の変更手続き。  
  2. 土地、土地に関連する財産の申請手続き、土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産の所有権の証明書の交付手続き。
  3. 証明書、住宅所有権の証明書、建設施設所有権の証明書の更新、再交付、訂正、回収手続。
  4. 土地使用者の各権利実現の手続き。

đ) 強制的な土地検査決定実施の義務化、土地回収決定の実施の義務化の手続き。

  • 行政機関における土地紛争の和解手続、土地紛争の解決手続き。

g) 土地分野における行政違反の処罰手続。

2. 政府は本条詳細を規定する。

196 . 土地に関する行政手続きの公表

1. 土地に関する行政手続きの公表内容は以下の通りである。

  1. 権限のある機関は申請書類を受理し、結果を返す。
  2. 各行政手続きごとの解決の時間。

c)各手続きごとの書類の内容。 

d) 行政手続きごとの解決プロセス及び責任。

đ)行政手続ごとの財政義務、納付費用及び手数料。 

2. 本条第 1 項に規定される各内容についての公表は申請書類の受理及び結果の返事をする機関の本部において常時に掲載する。行政手続きに関する国家データベースのウェッブサイト、省級人民院会のホームページ、郡級人民委員会のホームページに掲載する形で行われる。

197 . 土地に関する行政手続きの実施  

  1. 省庁は自分の役割、任務、権限で土地に関する行政手続きの実施の指導、案内、検査において協力する責任があり、土地に関する行政手続きと関係する他の行政手続きの整合性を確保する。
  2. 各級人民委員会は地元における行政手続きの実施について指導、案内、検査及び組織する。土地に関する行政手続き及び関係行政手続きの解決に関する関係機関間の協力について規定する責任を持つ。
  3. 土地に関する行政手続き解決の権限のある機関は規則に従って順次、手続きを正しく実施する。
  4. 土地使用者及び関係する他の人は法律に従って土地に関する行政の順次、手続き及び財政義務を実施する責任を持つ。

13 . 土地に関する監督、監査、争い・不服申し立て・告訴告発の解決及び土地関連法令違反の処理

1 . 土地管理・使用についての監督、モニタリング及び評価

198 . 土地管理及び使用についての国会、各級人民評議会、ベトナム祖国前線、ベトナム祖国前線の構成組織の監督  

  1. 国会、各級人民評議会は憲法及び国会の監督活動法、人民評議会及び人民委員会の組織法の規則に従って土地管理及び使用に関する監督権を実施する。
  2. ベトナム祖国前線、ベトナム祖国前線の構成組織は憲法、ベトナム祖国前線法及び関係法の他の規則に従って土地の管理及び使用に関する監督権を実施する。

199 . 土地管理・使用に関する公民の監督

  1. 公民は自ら又は代表組織を通じて土地の管理及び使用についての監督権を実施し、違反を報告する権限を有する。
  2. 違反の監督及び報告は客観、誠実、合法でなければならない。監督権を利用し、社会秩序を乱す法律に従わない不服申し立て、告訴告発をしてはいけない。

報告した情報の正確性について法律上の責任を負う。

3.土地の管理及び使用における公民の監督内容は以下の通りである。

  1. 土地使用の計画、企画の作成、調整、公表及び実施。
  2. 土地の交付、賃貸、使用目的の変更の認可。
  3. 土地回収、賠償、支援及び住民移転。
  4. 土地、土地に関連する財産の登録、土地使用、住宅及び土地に関連する他の財産の所有権の証明書の給付。

đ) 土地使用料、土地賃貸料、土地関係の租税の徴収、免除、削減。土地価格の規定。

  • 土地使用者の権限及び義務に関係する行政手続きの実施。

4. 土地管理及び使用における公民の監督形式

  1. 解決の権限のある機関、権限を有する者に報告、建議書の送付を通じて直接に監督権を実施する。
  2. 法律に認められる代表組織が監督を実施するために、この組織に建議書を送付する。

5. 公民及び住民の代表組織からの意見を受けた時の国家権限機関の責任は以下の通りである。

  1. 権限に基づいて検査、処理し、文書で返事する。
  2. 権限範囲内でない場合、解決のために、国家権限機関へ建議書を回す。
  3. 報告をした組織、個人に対して結果を通知する。

200 . 土地管理及び使用のモニタリング及び評価システム

  1. 土地管理及び使用のモニタリング及び評価システムは土地に関する法律の施行、土地管理及び使用の効果、全国及び各地方省の経済・社会及び環境に対する土地に関する政策、法律の影響を評価するために使用される。
  2. 土地の管理及び使用のモニタリング及び評価システムは全国範囲における土地情報システム及び土地に関する法律施行過程からの他の情報収集を踏まえて構築され、以下の通りである。
  3. 土地使用の企画、計画。土地の統計、棚卸。土地価格及び土地税。土地の交付、土地の賃貸、土地の回収、土地使用目的変更の認可、土地使用権、住宅及び土地に関連する財産所有権の証明書の給付。土地を使用する投資プロジェクトの実施。土地に関する法律の執行。行政機関による土地に関する検査、監査及び違反の処理。
  4. 土地に関する争い、提訴の解決情報。
  5. 国会及び各級人民評議会。ベトナム祖国前線及び構成組織。関係する他の組織及び住民の土地に関する法律実施の監督過程からの情報。
  6. 衛星、飛行機及び他の飛行手段からの地球撮影を含める技術的な方法。現地調査及び他の技術手段から収集する必要な情報。  

đ) 相違する研究、調査、視察活動による土地管理及び使用に関する社会学の調査データ及び必要に応じる追加社会学の調査実施からの必要な情報。

  • 資源・環境機関はモニタリング及び評価システムの管理。法律施行、土地管理及び使用の効果、全国及び各地方省範囲における経済・社会及び環境に対する土地に関する政策、法律の影響の評価を組織する責任を負う。評価結果は政府、国会へ定期的に送付される。
  • 本条第 2 項に定める情報を保管する国家機関はモニタリング及び評価システム管理機関に対して充分に適時に正確な情報を提供する責任を負う。
  • 法律に従って組織、個人が情報を調べるために、土地の管理及び使用のモニタリング及び評価システムは公表される。 
  • 政府は土地管理及び使用のモニタリング及び評価システムの構築、運営の詳細を規定する。

2 . 土地に関する監査、争い・不服申し立て・告訴告発の解決及び法律違反の処理

201 . 土地の専門監査  

  1. 土地の専門監査とは土地に関する法律、土地分野における専門、技術、管理の規則の執行における機関、組織、個人に対する権限のある国家の機関の監査活動である。

天然資源環境省は全国の土地の専門監査の指導、実施の組織をする責任を負う。

地方省の土地管理機関は地方省における土地の専門監査の実施を組織する責任を負う。

  • 土地の専門監査内容は以下の通りである。
  • 各級人民委員会の土地に関する法律執行の監査。
  • 土地使用者及び関係する他の組織、個人の土地に関する法律執行の監査。
  • 土地分野における専門、業務に関する規則執行の監査。

3. 土地の専門監査は以下の任務を有する。

a) 土地管理及び使用における国家機関、土地使用者の法律執行の監査。

b)土地関連法令違反の発見、防止及び権限に従って処理する又は権限のある機関に処理してもらうために要請する。

4.監査団長、監査員、土地専門監査業務をする公務員の権利及び義務、土地専門監査実施プロセスは監査に関する法律に従って実施される。

202 . 土地紛争の和解                                    

  1. 国家は土地紛争関係者同士による和解又は現地和解を通じて土地紛争の解決を奨励する。
  2. 関係者同士で和解が図れない土地の争いの場合、和解のために、土地紛争を有する村級人民委員会に解決の請求書を送付する。

3.村級人民委員長は地元における土地紛争の和解を組織する責任を負う。実施を組織する際に、同級祖国前線、その他の構成員、社会団体と協力する。村級人民委員会による土地紛争の和解の期限は解決請求書を受けてから30日以内とする。 

  • 和解は紛争者のサインを有する調書として作成され、村級人民委員会による和解成立又は不成立の確認を有する。和解調書は紛争者に送付され、争い土地を有する村級人民委員会に保管される。 
  • 和解が成立したが土地の境の現状、土地使用者の変更を有する場合、村級人民委員会は家族世帯、個人、コミュティリティ間の土地紛争に関しては天然・環境課に、他の場合に関しては資源・環境局に和解調書を送付する。資源・環境課、資源・環境局は同級の人民委員会に地界の変更認可の決定書を提出し、土地使用権、住宅及び土地に関連する他の財産の所有権の証明書を新規給付する。

203 . 土地紛争解決の権限  

村級人民委員会における土地紛争の和解が不成立の場合、以下の通りに解決される。

  1. 当事者が証明書又は本法第 100 条に定める各書類の一つを有する場合の土地紛争については人民裁判所に解決される。
  2. 当事者が証明書又は本法第 100 条に定める各書類の一つを持っていない土地紛争の場合、当事者は以下のような規則に従う二つの土地紛争の解決方法の一つを選定できる。
  3. 本条第 3 項に従って権限のある級の人民委員会に紛争解決請求書を提出する。
  4. 民事訴訟に関する法律に従って権限のある人民裁判所に提訴する。

3. 当事者は権限のある級の人民委員会における争いの解決を選択する場合、土地紛争の解決は以下のように実施される。

  1. 家族世帯、個人、コミュティリティ間の紛争の場合、群級人民委員長が解決する。解決決定に合意しない場合、省級人民委員長に不服申し立て又は行政訴訟法に従って人民裁判所に起訴する。
  2. 片方の争い者は組織、宗教団体、海外定住ベトナム人、外資系企業である場合、省級人民委員長が紛争の解決をする。解決の決定を合意しない場合、資源環境大臣に不服申し立てをする又は行政訴訟に関する法律に従って人民裁判所に提訴する権利を有する。

4. 本条第 3 項に定める土地紛争解決についての権限を有する者は紛争解決決定を出さなければならない。有効の紛争解決決定については争い者は厳正に遵守しなければならない。争い者が執行しない場合は強制的に施行される。

204 . 土地に関する不服申立て、訴訟の解決

  1. 土地使用者、土地使用についての権利及び義務を有する者は土地管理に関する行政決定又は行政行為について不服申し立てをする権利を有する。
  2. 土地に関する行政決定、行政行為についての不服申し立ての解決順序、手続きは不服申し立てに関する法律に従う。土地に関する行政決定、行政行為についての訴訟解決順序、手続きは訴訟に関する法律に従う。

205 . 土地告訴告発の解決

  1. 個人は土地管理及び使用についての法律違反を告訴告発する権利を有する。
  2. 土地管理及び使用についての法律違反の告訴告発の解決は告訴告発に関する法律に従う。

206 . 土地関連法令の違反者の処理

  1. 土地関連法令違反者は違反の性質、限度に応じて行政規律又は法によって刑事追求で処理される。
  2. 土地法違反者は国家、他人に対して被害をもたらした場合、法律によって処理される以外に、国家又は被害者に対して、実際の被害に相当する金額を賠償しなければらない。

207 . 土地分野における公務を実施する時に土地関連法令の違反者の処理

1. 公務を実施する時に土地関連法令の違反者については、違反性質、限度に応じて以下の違反行為に対して法律によって規律又は刑事追及を処理される。

  1. 職権を利用し、土地交付、賃貸、土地使用目的の変更、回収、賠償、支援、住民移転、土地使用権の変更、土地使用企画、計画実施、土地に関する財政義務の確定、地政書類の管理、土地管理における行政決定に関する法律の規定を違反する。
  2. 土地関連法令の違反を発生させる管理上の責任不足又は土地資源、土地使用者の権限及び義務に被害をもたらす他の行為を有する。
  3. 意見照会、情報の公表、公示に関する規則の違反。行政順序、手続きの規則違反。土地管理における報告に関する規則の違反。

2. 政府は本条詳細を規定する。

208 . 土地管理・使用に関する法律の違反行為の発見、防止及び処理における各級の人民委員長の責任  

  1. 各級人民委員長は地方の土地管理・使用に関する法律に違反した行為を発見、防止し、適時に処理する責任を負う。
  2. 村級人民委員長は土地使用権変更違反、土地使用目的変更違反を発見、防止、適時処理。不法に拡大・占拠した土地、使用目的に違反した土地での工事建設

を発見、防止及び適時処理し、違反者にその土地を復元させる。

209 . 行政手続きの実施順次の違反における各級土地管理機関の長、公務員、職員及び村級の地政員の責任の受入れ及び処理  

1. 各級土地管理機関の公務員、職員、村・区・町の地政員が、土地交付・土地賃貸、土地使用目的の変更の認可、土地の回収、土地使用者の権利実現手続きの実施、証書の給付において、行政手続き・順次・期限に違反した場合、それを発見した組織・個人は、以下の規定に従って権限のある人に建議書を送る権利を有する。

  1. 村・区・町の地政員の違反については、村の人民委員長に建議書を送る。
  2. 各級土地管理機関公務員、職員の違反については同級各級土地管理機関の長に送る。
  • 土地管理機関の長の違反については同級人民委員長に送る。  

2. 本条第1項に定める人民委員長又は土地管理機関の長は、建議書を受けてから30日以内での調査・解決および建議者への通告を遂行する。

14 . 施行条項

210 . 経過条項  

  1. 2004 年 7 月 1 日以前に国家に土地を賃貸された人は借用全期間に土地借用料を支払った又は事前に数年間分の借用料を支払い、また借用料を収納した土地の借用期限の残りが 低 5 年間である場合、経済組織は本法第 174 条に規定される権利及び義務を有する。家族世帯、個人は本法第 179 条第 1 項に規定される権利及び義務を有する。
  2. 工業団地、工業区のインフラ整備・経営を投資するために年次払いで土地借用料を収納する形で国家から土地を賃貸された投資家は本法の発行日以前に一括払いで土地借用料を収納した形でインフラ整備された土地を転貸した場合、政府の規定に従って国家に土地借用料を納めなければならない。 土地再借用した人は投資家が国家予算に充分な土地借用料を収納した後、一括払いで国家に土地を賃貸されたような権利及び義務を有する。
  3. 本法の発行日以前に、土地を交付され、土地使用権を承認され、農地使用権の移転を受けた直接に農業生産をする家族世帯、個人は土地の使用期限が切れた時ニーズがあれば本法第 126 条第 1 項に定める期限に基づいて引き続き土地を使用できる。土地使用期限は 2003 年の土地法に従って 2013 年 10 月 15 日に期限が切れた場合 2013 年 10 月 15 日から計算される。2013 年 10 月 15 日以降に期限が切れた場合土地を交付する期限が切れた日から計算される。
  4. 本法の発行日前に農地を使用する家族世帯、個人は証書を給付されない場合、証書を給付した時の土地使用期限は本法の有効日からとする。
  5. プロジェクトに基づくインフラ整備の資金を造成するために経済組織に対する国家に交付された土地、経済組織の土地使用期限を確定しない 2004 年 7 月 1 日前に土地使用権の入札に落札した土地については、土地使用期限は政府の規定に従って実施される。
  6. 本法の発行日以前に賠償、支援、住民移転が済んだプロジェクト、項目は本法の規定に適用しない。本法の発行日以前に賠償、支援、住民移転案が承認された又は承認された案に基づいて賠償、支援、住民移転を実施されているプロジェクト、項目については、承認された案に基づいて実施し、の法律の規則を適用しない。
  7. 本法の発行日以前に土地を交付され、土地を借用し、土地使用目的を変更され、土地使用権を承認されたが土地使用者は財政義務を果たしていない場合、土地使用料、土地借用料を計算する時点は政府の規則に従う。
  8. 本法の発行日以前に限度を超える交付された農地の面積を使用している家族世帯、個人は本法に従って土地借用に移転しなければならない。
  9. 政府は本法の発行日以前に土地関連法令を違反する土地を使用している具体的な幾つかの具体例及び土地使用権での保証されたケースの処理を規定する。

211 . 施行効力

  1. 本法は2014 年7月1日に発効する。

本法の発行日以降、家族世帯、個人の毎年の植木栽培地、水産養殖地、製塩地使用期限の延長に関する土地法 13/2003/QH11 号及び 2013 年 6 月 21 日付き国会の決議 49/2013/QH13 が無効となる。

  • ベトナム民用航空法 66/2006/QH11 号の第 57 条。住宅法第 126 条及び土地法

第 212 条の改正、補足する法律 34/2009/QH12 の第 2 条。基礎建設投資に関連する法律の一部の条項の改正、補足する法律 34/2009/QH12 の第 4 条。訴訟行政法

64/2010/QH1 号第 264 条。財産強制購入徴用法 15/2008/QH12 号における土地徴用規則を削除する。

212 . 詳細規定

政府は法律に交付される各条項の詳細を規定する。

本法は20131129日にベトナム社会主義共和国第XIII期国会第6回会議に承認された。

                                                                     グェン シン フン国会議長

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