信託フォーラムvol.22/2024年10月号

信託フォーラムvol.22、2024年10月号

信託フォーラム2024年10月号、日本加除出版

 特集1令和6年改正公益信託法制/特集2 民事信託をめぐる近時の紛争事例 vol.22

巻頭言 結婚・子育て支援信託制度~「こどもまんなか社会」の実現に向けて~

(こども家庭庁長官官房参事官(総合政策担当)●中原茂仁)

https://www.cfa.go.jp/policies/shoushika/zouyozei

 贈与された資金を、金融機関において18歳以上の子・孫等(受贈者)名義の専用口座により管理し、専用口座から払い出した金銭が結婚・子育て資金に充てられたことを金融機関が領収書等により確認・記録し、保存します。専用口座は、子・孫が 50 歳に達する日などに終了。

対談 社会的弱者の権利擁護と信託の可能性

(日本弁護士連合会会長●渕上玲子× 中央大学研究開発機構教授●新井 誠)

 認知後見制度について、コスト面で課題。信託監督人への就任。信託契約に、福祉的要求を満たす、という条項を入れると、後見の費用を賄える。については分かりませんでした。

特集1 令和6年改正公益信託法制

公益信託に関する法律の改正の概要(内閣府大臣官房公益法人行政担当室企画官●古谷真良/前内閣府大臣官房公益法人

行政担当室参事官補佐●太田道寛/法務省民事局調査員●藤井梨絵/内閣府大臣官房公益法人行政担当室主査●大塚一輝)

 公益信託に関する法律は、信託法1条の他の法令。33条により、信託法の適用関係について規定。4条、8条、6条、12条などにおいて、信託法の特則を規定。手続の流れに沿うという意味で、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律と同様の条文構成。認定許可基準を法律に規定。2026(令和8)年4月に施行予定。

 

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律について(内閣府大臣官房公益法人行政担当室参事官補佐●勝山貴之)

 公益法人information「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告」

https://www.koeki-info.go.jp/regulation/koueki_meeting.html

 中期的な期間における収支相償原則へ。遊休資産から使途不特定財産へ。収益事業等の内容の変更について、届出事項へ。区分経理を義務付けへ。監事の独立性を保つための、法人内における一定の親族関係廃除。

信託業界の視点から見た新しい公益信託法制(一般社団法人信託協会専務理事●川嶋 真)

 公益信託の信託事務及び信託財産の範囲の拡大。公益信託の受託者の範囲の拡大。主務官庁制の廃止・行政庁一本化。

公益信託に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000030/20260521_000000000000000#506AC0000000030-Sp

(旧公益信託の新法の規定による公益信託への移行)

第四条旧法公益信託及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第百九号。以下「信託法整備法」という。)第二条の規定によりなお従前の例によることとされた信託法整備法第一条の規定による改正前の信託法(大正十一年法律第六十二号。第三項及び附則第八条第二項において「旧信託法」という。)第六十六条に規定する公益信託(以下この項において「旧信託法公益信託」という。)は、移行期間内において、新法第三条に規定する行政庁(以下「行政庁」という。)の認可(以下「移行認可」という。)を受けた場合には、新法第七条第一項に規定する公益信託認可(附則第十二条において「公益信託認可」という。)を受けたものとして新法の規定による公益信託となることができる。この場合において、移行期間内に当該移行認可を受けていない旧法公益信託及び旧信託法公益信託(以下「旧公益信託」という。)は、移行期間が満了する日に終了するものとする。

2項、3項略。

信託会社を利用した公益信託の活用(ふくし信託株式会社・弁護士●清水 晃)

 高齢者や障碍者のための施設を運営するケースにおいて、公益信託を利用した場合の信託会社の役割を想定。

弁護士から見た新しい公益信託法(弁護士●平井信二)

 内閣府令、政令への委任が数多く存在し、規制法的性格が強い。

 弁護士が公益信託の受託者に就任した場合に想定される事業として人権擁護活動支援事業など。信託管理人に弁護士が就任することの意義。

 新しい公益信託税制(東京大学社会科学研究所教授●藤谷武史)

 公益信託が収益事業を行わないことによる税務の簡素化。特定資産公益信託に該当しない公益信託の財務規制。

法人税法(定義)第二条二十九の二

https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034/20250401_505AC0000000021#Mp-Pa_1-Ch_1

法人課税信託 次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する特定公益信託等を除く。)をいう。

以下略

新しい公益法人制度・公益信託制度への期待(多摩大学サステナビリティ経営研究所教授・主任研究員●小林立明)

 NPO法人等への寄付、公益法人設立との違い。財産の隔離。信託契約で寄付金の使途や運営について規定可能。受託者を変更することが出来る可能性がある。設立・運営コストが高い。

 人材派遣会社が公益信託の認定を受けることが出来る可能性がある。社会的インパクト評価の専門家関与の必要性。

 特集2 民事信託をめぐる近時の紛争事例

受託者の裁量をめぐる裁判例─東京高裁令和6年2月8日判決(弁護士●志田博文)

 平成29年6月15日、母、遺言作成。母と次女による信託契約1を締結。委託者長女、受託者次女、受益者長女。および信託契約1に基づく登記申請。

 平成29年10月26日、母、死亡。母死亡による信託契約2の委託者を孫とする変更、受益者を孫とする変更登記申請。

 平成29年12月7日、長女と次女との間で、受託者を母と次女とする信託契約2を締結。委託者母、受託者母および次女、受益者母および長女。および信託契約2に基づく登記申請。

 平成30年6月27日、長女が次女に対して、信託契約1の解除による終了と、信託契約1の受託者の解任を通知。

 受益権(信託法2条2項7号)と受託者の裁量(信託法26条)について。

・受託者の信託事務として、

信託金融資産から公租公課、保険料、修繕費その他の必要経費を支払い又は控除した上、受託者が相当と認める額の生活費等を受益者に交付し、受益者の施設利用費、病気療養費等を銀行振り込み等の方法で支払う。また、「受益者の希望に沿った必要な費用」、祭祀に係る費用を支払う。

・受益権の内容として、

 委託者の長女に対する扶養の範囲で受益権を与える。

との記載がある場合。

・賃料収入から、

受益者の施設利用費、病気療養費、信託不動産の管理費、固定資産税等、火災保険料、電気料金及び雑費、受託者報酬、リフォーム代、専門家費用を控除した額の受益者が2人なので、2分の1の額を長女が取得することは認められない。

・理由

 受託者の信託事務・受益権の内容に、生活費等の具体的金額や計算方法、交付時期は明記されていない。

 信託契約の締結後、定期的に賃料収入の一部を、施設利用費、病気療養費を除く生活費等として交付していた事実を認めることが出来ない。

 受託者には、信託不動産の修繕等に備えて、賃料収入を留保する裁量が認められる。

・感想

受益権について具体的に明記していない場合、給付の事実がなければ、受託者の裁量が認められる可能性が高い。信託の目的などから総合的に判断して認められる、という可能性は低い。

・対応

 受益権について、給付される最低額や具体的な算定方法を定める。

 

民事信託において委託者兼受益者による受託者の解任が認められなかった事案 ─ 東京地裁令和5年3月17日判決(弁護士●金子順一)

平成28年11月、信託契約締結。委託者父、受託者次男、受益者父。残余財産の帰属権利者次男。

(信託の変更、終了に関する規定)受益者は受託者との合意により、本件信託契約の内容を変更し、若しくは本件信託を一部解除し、又は終了することができる。

令和3年9月、受益者父から受託者次男に対して、信託財産に関する目録や帳簿の開示、未精算賃料全額の支払い、今後は毎月の賃料収入から必要経費を控除した残額の給付を請求。

令和3年10月、令和3年9月の請求に受託者次男が応じなかったため、受益者父から受託者次男に対して、受託者を解任する意思表示。

令和3年10月、受益者父の配偶者が新しい受託者に就任する意思表示。

(争点)

受託者次男の解任は有効か。

(結論)

有効ではない。

(理由)

 信託の終了に制限をかけているから。信託の終了を受益者が任意に出来ない場合に、任意に受託者を解任することが出来ると、信託の終了と同様の形を作り出すことができる。例えば、受託者を交代して、新しい受託者との合意により信託を終了することができる。

 また、受託者は無報酬であり、残余財産の帰属権利者に指定されているので、受益者の任意で受託者の解任を認める信託と認めるのは難しい。

 だから、信託の受託者の解任にも制限を付けた(信託法58条3項)と解釈するのが相当。

(対応)

 受託者の解任について、信託行為に規定を置く。

信託財産の追加時における委託者の意思内容及び意思能力の有無が問題となった事例 ─ 横浜地裁令和5年12月15日判決(東洋大学法学部准教授●根岸 謙)

平成19年9月30日、信託契約締結。委託者X、受託者Xの弟、受益者X。

(追加信託に関する条項)

 Xの配偶者死亡によりXが相続人となった場合は、受託者Xの弟がXに代わって遺産分割協議を行うことが可能。取得した遺産について管理処分する権限を持つ。

平成22年3月30日、公正証書遺言作成。遺言者X、受遺者はXの姪。

令和2年5月、Xの配偶者死亡。

令和2年9月28日、Xの配偶者名義の不動産について、Xに対する所有権移転登記。

令和2年10月9日、Xについて後見開始の審判確定。

令和2年10月19日、信託を原因として、受託者Xの弟に対する所有権移転登記及び信託登記。

令和2年12月28日、Xの成年後見人が、受託者Xの弟に対して、信託契約の解除及び所有権移転及び信託登記抹消の意思表示。

令和3年1月7日、Xが自筆証書遺言作成。受遺者はXの弟。

令和3年4月、X死亡。平成23年3月30日付公正証書遺言に基づく遺言執行者就任。

(結論)

令和2年10月19日、信託を原因として、受託者Xの弟に対する所有権移転登記及び信託登記の抹消について。・・・認められる。

(理由)

・信託契約書に、信託する旨の文言がない。

・信託契約書作成後、Xの弟が受託者として信託事務を具体的に行っていたことが認められない。

・平成22年3月30日付の公正証書遺言で、受遺者はXの姪としていることと整合性が取れない。

(論点)

・平成22年3月30日付の公正証書遺言がなく、信託契約書に、Xの配偶者が死亡しXが相続した不動産は、信託財産たる不動産とする。受託者Xの弟は、Xが相続により取得した不動産について、所有権移転及び信託登記を行う。と記載されていた場合、信託法149条4項に基づく追加信託として有効か。

民事信託に関する裁判外紛争(弁護士●伊庭 潔)

 信託設定後に親族間の関係が悪化したケース。追加信託の際に書面を作成しなかったケース。第二次受益者に対して十分な給付が行われないケース。借地上の建物を信託する場合。

P79、受託者が無償で信託の引受けを行っているのであれば、信託業に該当せず受託者になることは信託業法に違反しない。について・・・無償であっても反復継続して信託の引受けを行う場合、信託業法2条に違反します(小出 卓哉『逐条解説信託業法』2008年、清文社、P17)。

白鳥教授の投資信託研究入門 第22回(一般社団法人投資信託協会●青山直子)

 1,月々に投資できる額や投資期間、目標とする資産額のイメージ。

 2.期待リターンとリスクの設定。

 3.設定に合う投資対象があるか探してみる。

家族信託への招待 第22回(弁護士●遠藤英嗣)

 現状、裁判所の考えは、信託が信託契約によって設定された場合、その契約性を重視され、新任関係破壊の法理はまだ確立されていない。

P123、信託行為に信託が途中で終了したときの残余財産の帰属者を終了時の受益者とする定めがないことが多く、結果信託が終了しても信託財産は信託設定者には戻ってこないのである。について・・・そのような状況であることについて知りませんでした。

信託と税金 no.22(税理士●菅野真美)

消費税法

https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108#Mp-Ch_1-At_14

(信託財産に係る資産の譲渡等の帰属)

第十四条信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引(資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、法人税法第二条第二十九号(定義)に規定する集団投資信託、同条第二十九号の二に規定する法人課税信託又は同法第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託若しくは同項第二号に規定する特定公益信託等の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、この限りでない。

2項、3項略。

民事信託と登記 第13回(渋谷陽一郎)

登記研究915号P139、令和6年1月10日法務省民二第17号法務省民事局民事第二課長通知「信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について」

 受益者変更登記を、受託者が報告形式の登記原因証明情報を提供して単独で申請するための要件。

 受益者変更登記を受託者が申請する義務の有無。

ここからはじめる! 民事信託実務入門 第7回(弁護士●金森健一)

 信託契約の効力発生要件を、債権契約の構成にするか、要物契約の構成にするか。

■信託のひろば

事業性融資の推進等に関する法律について─企業価値担保権に係る信託に関する規律を中心に

(金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐●水谷登美男)

(森・濱田松本法律事務所 弁護士・NY州弁護士(元・金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐)●飯島隆博)

(金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐●五十嵐一裕)

事業性融資の推進等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000052/20280613_000000000000000#Mp-Ch_3-Se_1

6条3項

3 この章及び次章において「企業価値担保権信託契約」とは、債務者と企業価値担保権信託会社との間で締結される信託契約であって、債務者を委託者とし、企業価値担保権信託会社を受託者とするものをいう。

(登記)

第十五条企業価値担保権の得喪及び変更は、債務者の本店の所在地において、商業登記簿にその登記をしなければ、その効力を生じない。ただし、一般承継、混同又は特定被担保債権の消滅による得喪及び変更については、この限りでない。

(他の権利との関係)

第十八条債務者の財産の上に存する先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第三号に係るものに限る。)に限る。)、質権又は抵当権(以下この款において「他の担保権」という。)と企業価値担保権とが競合する場合には、それらの優先権の順位は、他の担保権に係る登記、登録その他の対抗要件の具備と企業価値担保権に係る登記の前後による。

2項以下略

 担保付社債信託法が適用される場合の適用除外について、225条。

 担保権の実行、換価は事情譲渡等によってすることについて、157条。

■論 説 家族信託と専門職の在り方─ 台湾(中華民国)との比較を通じて

( 大阪経済大学経営学部ビジネス法学科教授●橋谷聡一)

台湾(中華民国)民法

https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001

金融監督管理委員會 信託2.0

https://www.fsc.gov.tw/ch/home.jsp?id=834&parentpath=0,2,310

中華民國信託業商業同業公會 我國辦理家族信託模式建議與架構分析

https://www.trust.org.tw/tw/research?page=2

家族信託規劃顧問師という資格がある。国家資格ではない。72時間の授業。

https://web.tabf.org.tw/page/1110615

高齡金融規劃顧問師における地政士の言及。

https://web.tabf.org.tw/page/1100317

P92、民事信託士検定を行っている。対象は弁護士・司法書士である。―中略―弁護士会、司法書士会、行政書士会に所属する者を対象としている。について・・・行政書士会の位置付けが分かりませんでした。

■ガバナンスの潮流

紅麹健康被害問題におけるコーポレート・ガバナンスの冤罪─「死体蹴り」や「目くらまし」からの脱却

(一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻教授●得津 晶)

2024年7月23日 小林製薬株式会社 事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について

https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20240723_01

 各規定に整合性が取れていない部分があること。経営者の業績評価の必要性。

■信託事例紹介

若年者の民事信託(弁護士 田中智芳)

委託者兼受益者は、成人後数カ月を経過したA。受託者は叔母。信託監督人は未成年後見人であった弁護士。

(信託の目的)

 詐欺被害、浪費の予防

 Aが一定の年齢に達するまで、またはAの財産承継者が現れるまで(Aが結婚するなど。)

(信託財産)

委託者兼受益者の父母が遺した遺産。不動産は信託契約前に換価。

(信託財産の管理方法)

投資信託・・・現状維持。

金銭・・・大学生活に必要なお金は信託財産たる金銭に含めず、Aに渡し、残りを信託財産として、不足した時に随時給付。

預貯金口座の解約要件・・・受託者の同意。

(追加信託)

 信託監督人の意見を参考にして、数年ごとにAと受託者Bが協議。

(信託の終了事由)

 Aが死亡したとき。

 Aが婚姻したとき。

 Aが25歳になったとき。

 Aが紺養子縁組したとき。

 Aが婚姻前にこどもができたとき。

(残余財産の帰属権利者)

 Bと親戚1名。

■民事信託の最新動向

民事信託士検定10期を迎えて─ 軌跡と展望

(一般社団法人民事信託推進センター代表理事・民事信託士検定委員長・司法書士●押井 崇)

 信託会社を受託者とする選択肢。

 P111、極論ではあるが、民事信託は、財産管理、財産承継に関し、どのような事例においても採用することが可能である。について・・・どのような文脈なのか分かりませんが、疑問です。

登記情報756号2024年11月号

登記情報756号2024年11月号、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 個人情報保護法改正をめぐる昨今の状況

弁護士法人片岡総合法律事務所 弁護士 高松志直

個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi

最二小判令5.5.19を踏まえた不動産登記に関する遺言執行者の権限および当事者適格の整理と平成30年改正民法および令和3年改正不動産登記法の判例への影響

久保井総合法律事務所 弁護士 上田 純

 □遺言の作成日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か(平成30年法律第72号附則2条、8条2項)。

 □遺言執行者の原告適格。遺言執行者の権限の範囲内(民法1012条1項、1014条2項)か。

□相続開始日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か。

□遺言の内容は、特定遺贈、包括遺贈(民法964条)か、相続分の指定(民法902条)か、遺産の分割の方法の定め(民法908条)か、特定財産承継遺言(民法1014条)か。

□相続、遺贈の登記を経て、第三者に所有権移転登記がされていないか(民法1013条2項ただし書)。

遺言執行者の帰責性の有無。民法94条2項類推適用の有無を判断する対象は、遺言執行者か受遺者・相続分の指定により相続する相続人か。

口座登録法・口座管理法の概要

セブン銀行 小山正之

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000038

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000039

(相続時における預貯金口座に関する情報の提供)

第八条 相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する当該相続人の被相続人(包括遺贈者を含む。以下この条において同じ。)である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、次に掲げる事項の通知を求めることができる。

一金融機関及びその店舗の名称

二預貯金の種別及び口座番号

2預金保険機構は、前項の規定による求めを受けた場合には、主務省令で定める方法により、当該求めをした相続人が本人であること及び当該預貯金者が当該相続人の被相続人であることを確認するため、当該相続人及び預貯金者の本人特定事項その他当該相続人及び預貯金者を特定するために必要な事項として主務省令で定めるもの並びに当該相続人及び預貯金者の身分関係(当該相続人が包括受遺者である場合にあっては、遺言の内容)を確認しなければならない。

3預金保険機構は、第一項の規定による求めを受けた場合には、全ての金融機関に対し、当該求めをした相続人の被相続人である預貯金者の個人番号を通知しなければならない。

4前項の規定による通知を受けた金融機関は、当該個人番号に係る預貯金者を名義人とする預貯金口座を管理しているときは第一項各号に掲げる事項を、当該預貯金口座を管理していないときはその旨を、預金保険機構に対し、通知しなければならない。

5前項の規定による通知を受けた預金保険機構は、主務省令で定めるところにより、第一項の規定による求めをした相続人に対し、当該通知に係る事項を通知しなければならない。

1 相続人の1人が、金融機関に対して、

 ・相続時口座照会申込書

・法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の死亡の事実と相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本

・照会手数料

を提供。

2 金融機関が預金保険機構と連携。

3 預金保険機構が全金融機関へマイナンバーが付番されている口座の有無を照会。

4 預金保険機構は、相続人の1人へ郵送で結果を通知。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第5回~第7回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

研究会だより

商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会の取りまとめ

編集部

https://www.kinzai.or.jp/substantial_ruler.html

 金融機関が、オンラインで実質的支配者リストの交付を申請することの検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第3回会議、第4回会議が開催され、中間案が取りまとめられる

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款を利用した場合の発起人の本人確認について、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本とする。デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリを利用するかは不明。オンラインでの面談(面前確認)なら、アプリの利用ではなくマイナンバーカードの提示になるのかなと思います。

 代理人による面前確認については、原則不可でも良いと思います。制度趣旨として起業の負担軽減があり、モデル定款を利用するのはオンライン面談、電子署名に対応可能な人が想定されています。士業が関与するとすれば、定款の書類作成、発起人による電子署名の方法について支援、オンライン面談環境の提供・同席等になるのかなと思います。

NEWS

定款認証・設立登記の「72時間原則」が開始される

法務省民事局登記所適正配置対策室長 宇野直紀

 法務省 令和6年9月20日更新 新たな取組に関するリーフレット「定款認証の手続が「2つの原則」の導入で便利になります」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00076.html

商業登記規則逐条解説 第23回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-Ch_3

(電子情報処理組織による登記の申請等)

第百一条 次に掲げる申請、申出、提出、届出又は請求(以下「申請等」という。)は、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法によつてすることができる。ただし、当該申請等は、法務大臣が定める条件に適合するものでなければならない。

一登記の申請(これと同時にする受領証の交付の請求を含む。以下同じ。)

一の二第三十一条の二第一項及び第六項第一号、第三十一条の三第一項及び第四項第一号、第八十一条の二第一項、第七項及び第九項(第八十八条の二第二項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第八十八条の二第一項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)の申出(前号の登記の申請と同時にする場合に限る。以下第百五条の二第一項及び第百八条第一号において「住所非表示措置等の申出」という。)

二印鑑の提出又は廃止の届出(第一号の登記の申請と同時にする場合に限る。)

三電子証明書による証明の請求

四電子証明書の使用の廃止の届出

五電子証明書の使用の再開の届出

六識別符号の変更の届出

七電子証明書による証明の再度の請求

八登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求

2前項第八号の規定は、後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者が提出した印鑑の証明書については、適用しない。

3情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、登記所の使用に係る電子計算機と第一項に規定する申請等をする者の使用に係る電子計算機であつて法務大臣の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

4情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があると登記官が認める場合とする。

 各登記所にオンラインシステムが順次導入されるに伴い、登記所毎に回復した。登記申請、その他の申請や申出などがオンラインで可能になるごとに変更されてきた。登記の申請と同時にしなければならない申出などは、その旨記載される。記載がないものは単独で可能。部分オンラインを認めるための位置付け。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑸―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

犯罪収益移転危険度調査書の分析から始める。

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 自然人が議決権を間接保有するケースについて、法人の実質的支配者の判定。

目で見る筆界の調査・認定事例第9回 筆界特定書により筆界を認定した事案

大阪法務局首席登記官(不動産登記担当)田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接所有者の所在が不明なケース。過去に他の隣接地について筆界特定、官民境界確認協議が行われている。

法律業務が楽になる心理学の基礎第14回・完 連載で学んだ26のアクションアイテム

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 集団思考の特徴。集団成員相互の同調圧力、自己検閲、逸脱意見から集団を防衛する人物の発生、表面上の意見の一致、無謬性の幻想、道徳性の幻想、外集団に対するゆがんだ認識、解決方略の拙さ。

登記研究920号令和6年10月号

登記研究920号(令和6年10月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

取締役会非設置会社(会社法326条)と特例有限会社(会社法整備法3条2項)における代表権について。代表取締役の定め方によって、取締役と代表取締役の地位が分化するか一体なのか定まる。

分化しているか一体なのかは、

  • 1 取締役として就任承諾を会社にしたうえで、代表取締役としても就任承諾が必要なのか、
  • 2 代表取締役の一方的な意思表示により代表取締役のみ辞任して取締役として残ることが可能か否か、
  • 3 代表取締役が死亡した場合に、他の取締役が当然に代表取締役に就任するのか、選任決議が必要なのか、

に関わる。3、について定款に代表取締役は取締役の互選によって定めるという定めがある場合、法人の意思として、取締役のうち誰が代表取締役になっても良い、というところは納得でした。

 定款に、取締役が2名以上あるときは代表取締役を置き、株主総会の決議によって定める、と規定している株式会社の代表取締役が死亡して、他の取締役に代表権を付与する株主総会決議があった場合、他の取締役の代表取締役としての就任承諾を証する情報は必要か。

 有限会社の場合。取締役に代表権付与決議を行った株主総会議事録の添付の要否。登記申請権限の確認が根拠。登記申請権限の確認を根拠とするものとして定款の提供が必要な場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(1)

法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

第1 はじめに

 登記事項証明書等における代替措置制度について。

法務省 登記事項証明書等における代替措置について(不動産登記関係)

令和6年7月2日、初回掲載日(令和6年4月5日)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00596.html

第2 関係法令と施行通達の解説

不動産登記法(登記事項証明書の交付等)

第百十九条 1項から5項まで略。

6登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

 これまで通達等により運用上の対応がされていたが、法律上の措置とされた。

不動産登記規則第四章第三節。

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_2-Se_3

(帳簿)第十八条

十二の二申出立件事件簿

十二の三申出立件関係書類つづり込み帳

十二の四申出立件事務日記帳

十二の五代替措置等申出書写しつづり込み帳

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二申出立件事件簿には、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2申出立件事件簿は、書面により調製する必要がある場合を除き、磁気ディスクその他の電磁的記録に記録して調製するものとする。

3申出立件関係書類つづり込み帳には、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4申出立件事務日記帳には、申出立件事件簿に記録しない代替措置等申出に関する事務又は代替措置申出の撤回に関する事務に係る書類の発送及び受領に関する事項を記録するものとする。

(代替措置等申出書写しつづり込み帳)

第二十七条の三代替措置等申出書写しつづり込み帳には、第二百二条の十二第二項(第二百二条の十五第七項及び第二百二条の十六第六項において準用する場合を含む。)の規定により送付を受けた書類をつづり込むものとする。

(保存期間)

第二十八条次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

1号から17号まで略

十八請求書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報受付の日から一年間

十九申出立件事件簿に記録された情報立件の日から五年間

二十申出立件関係書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報立件の日から五年間

二十一代替措置等申出書写しつづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報送付を受けた日から五年間

(公示用住所管理ファイル)

第二百二条の二 法務大臣は、第二百二条の十二第一項各号に掲げる事項を記録する公示用住所管理ファイルを備えるものとする。

2公示用住所管理ファイルは、法第百十九条第六項の申出(以下この節において「代替措置申出」という。)の申出人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3公示用住所管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(代替措置の要件)

第二百二条の三 法第百十九条第六項の法務省令で定める場合は、当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次に掲げる事由がある場合とする。

一ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第六条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第二条第一項に規定するつきまとい等又は同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。

二児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待(同条第一号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。

三配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第二項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(次号において「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。

四前三号に掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下この号において同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。

・・・不動産登記法119条の法務省令で定めるものの、具体的内容4つを規定。身体に対する暴力については、不動産登記法に定めがあるため、その他の精神的・心理的暴力について規定。抹消記号が付されている・過去の所有権登記名義人、閉鎖された登記記録に記録されている自然人も該当。商登登記の代表者の住所非表示措置も、制度趣旨からして同様の措置が採られても良いのではないかと思いました。

・代替措置等申し出は書面申請、管轄なし。

・新たなオンライン登記申請と共に代替措置等申出を行う場合は、補記が必要。

・完了証の交付はないが、完了の電話連絡希望は可能。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第125回)

一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 246 中小企業等協同組合の種類、登記事項及び登記手続法令について

 中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181#Mp-Ch_2-Se_1

 (名称)

第六条 組合は、その名称中に、次の文字を用いなければならない。

事業協同組合にあつては、協同組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同組合)

一の二事業協同小組合にあつては、協同小組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同小組合)

信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合

協同組合連合会にあつては、その種類に従い、協同組合、協同小組合又は信用協同組合のうちのいずれかを冠する連合会(第九条の九第四項に規定する特定共済組合連合会に該当するものにあつてはその種類に従い共済協同組合又は共済協同小組合のうちのいずれかを冠する連合会、同条第一項第三号の事業を行う協同組合連合会に該当するものにあつては共済協同組合連合会)

企業組合にあつては、企業組合

2この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会又は企業組合であることを示す文字を用いてはならない。

3組合の名称については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定を準用する。

 5種類。

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一事業

二名称

三地区

四事務所の所在場所

五出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八公告方法

九第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3中央会の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可があつた日から二週間以内にしなければならない。

4前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一事業

二名称

三事務所の所在場所

四代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五公告方法

 登記事項。

民法

(法人の成立等)第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

・・・設立根拠法。

(登記)第三十六条 法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。

・・・登記手続法令。

■Q&A不動産表示登記(96)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物)

 第一節 登記事項

Q266 敷地利用権、敷地権、敷地権である旨の登記とは何か。

Q267 専有部分と敷地利用権の一体性の原則とは何か。

建物の区分所有等に関する法律

(定義)

第二条 1項から5項まで略。

6この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

不動産登記法

(建物の表示に関する登記の登記事項)

第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1号から8号まで略。

九建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

不動産登記規則

(登記記録の編成)第四条 1項、2項略

3区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

別表三(第四条第三項関係)区分建物である建物の登記記録

一棟の建物の表題部

敷地権の目的である土地の表示欄

区分建物の表題部

敷地権の表示欄

不動産登記法(敷地権である旨の登記)

第四十六条登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

不動産登記規則

(敷地権である旨の登記)

第百十九条登記官は、法第四十六条の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない。

一敷地権である旨

二当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番

三当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称

四当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号

五登記の年月日

2登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

■逐条解説不動産登記規則(49)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

(地番)

第九十八条地番は、地番区域ごとに起番して定めるものとする。

2地番は、土地の位置が分かりやすいものとなるように定めるものとする。

 不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年4月1日

(地番の定め方)第67条 地番は、規則第98条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。

(1) 地番は、他の土地の地番と重複しない番号をもって定める。

(2) 抹消、滅失又は合筆により登記記録が閉鎖された土地の地番は、特別の事情がない限り、再使用しない。

(3) 土地の表題登記をする場合には、当該土地の地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。

(4) 分筆した土地については、分筆前の地番に支号を付して各筆の地番を定める。ただし、本番に支号のある土地を分筆する場合には、その1筆には、従来の地番を存し、他の各筆には、本番の最終の支号を追い順次支号を付してその地番を定める。

(5) 前号本文の規定にかかわらず、規則第104条第6項に規定する場合には、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。

(6) 合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもってその地番とする。

(7) 特別の事情があるときは、第3号、第4号及び第6号の規定にかかわらず、適宜の地番を定めて差し支えない。

(8) 土地区画整理事業を施行した地域等においては、ブロック(街区)地番を付して差し支えない。

(9) 地番の支号には、数字を用い、支号の支号は用いない。

2 登記官は、従来の地番に数字でない符号又は支号の支号を用いたものがある場合には、その土地の表題部の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は土地の登記記録の移記若しくは改製をする時に当該地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

3 登記官は、同一の地番区域内の2筆以上の土地に同一の地番が重複して定められているときは、地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

4 地番が著しく錯雑している場合において、必要があると認めるときは、その地番を変更しても差し支えない。

■商業登記の変遷(66)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 悪意擬制説。異次元説。消極的公示力と積極的公示力。フランス法との比較。商業登記制度のデジタル化の経緯。積極的公示力と外観信頼保護規定。登記分社の専門六法。商業登記関係法令に関する注釈書(コンメンタール)。

■民事信託の登記の諸問題(37)

渋 谷 陽一郎

第254 受託者の権限に対する制約としての信託監督人の同意権に関する登記

P82、信託財産の管理方法、受託者の処分権限 信託不動産の売却処分、売却処分の条件 信託監督人の同意、と信託目録に記録されている場合、売却処分の文言のみで所有権登記申請まで読み取ることが出来るのか分かりませんでした。私なら、売買契約及び売買契約に基づく所有権移転登記申請、とします。信託不動産であることは登記記録から明らかなので除きます。

P84、信託監督人の同意を証する書面(抜粋)中の、所有権の帰属権者、という文言が分かりませんでした。

第255 信託法27条に基づく受託者の権限外行為に対する取消権

 詐害行為取消権(民法424条から426条)との比較。

第256 受託者と受益者への権利の分属(受益者の準物権的行為)

 未成年者の法定代理人による取消権(民法5条)との比較。

第257 受託者による権限外取引の取消権者は誰か

 不動産に関しては、第三者からみて誰が取消権者か分かるような公示の必要性。受益者に判断能力の喪失があったときのために、受託者の権限外行為に対する受益者に代わる同意権者を定めておくことの必要性。

第258 信託監督人と信託法27条の取消権限の帰属

 信託監督人の表示を登記申請することの許容性と相当性。

第259 信託監督人による登記申請権の行使の可能性

 信託監督人による、不動産登記法59条1項7号による代位登記申請の可否。

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(13)

 定款により取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに伸長した会社において、取締役の任期満了による退任の登記の申請書に添付すべき退任の事実を証する書面(商業登記法54条4項)は、定時株主総会議事録に、定款第〇条により任期満了の記載があれば、定款の添付は必要ない。記載がない場合は定款の添付が必要。登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、

 始期付きの辞任届は有効。

登記研究182号P161、昭和37年7月20日民事甲第2055号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議◎津地方法務局本局直轄管内登記官吏会同決議

 取締役の意思表示が会社に到達した日が辞任日。地方議会議員の兼任規定。

登記研究392号P102、昭和54年12月8日法務省民四第6104号 民事局第四課長回答「取締役辞任の時期について」、登記研究503号P37、 1989年12月30日、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(27)」

 

 法律、定款に定める取締役の定数に満たない場合について。

登記研究93号P41昭和30年5月23日民事甲第1008号民事局長回答「数人の取締役が任期満了又は辞任し、その数に満たない後任取締役が就任した場合の取締役変更登記について」。登記研究465号P108、1986年10月30日、神崎 満治郎:東京法務局総務部職員課長(前法務省民事局第一課補佐官)【先例漫歩】商業・法人登記の実務(11)

 

 権利義務取締役の退任日について。

登記研究102号P31、昭和31年4月6日民事甲第746号民事局長回答「取締役の退任の日について」、登記研究508号P70、昭和30年6月18日民事甲第1271号民事局長回答「農業協同組合法(以下農協法と略記す)第三十一条第二項但書の期間をこえた設立当時の役員の任期について」

 権利義務取締役の辞任による退任の登記の可否。

登記研究144号P33、昭和34年9月23日民事甲第2136号民事局長電報回答「取締役及び監査役の変更登記について」、登記研究509号P25、1990年6月30日、柳田 幸三:法務大臣官房参事官(前法務省民事局第四課長)、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第一課係長(前法務省民事局第四課係長)、宮田 和一:法務省民事局第四【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(32)」

 権利義務取締役の辞任、解任の可否について。

登記研究512号P64、昭和35年10月20日民事四発第197号民事局第四課回答「商法第二百五十八条第一項の規定により権利義務を有する取締役の解任について」

 権利義務取締役が亡くなった場合の退任の登記原因。

登記研究170号P83、昭和36年8月25日民事甲第2069号民事局長指示◇登記官吏会同決議◎鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議、登記研究325号P73、1974年12月20日第六部質疑・応答五一二七「取締役の変更の登記について」

 登記留保措置の廃止と、登記完了前の申請書等の閲覧・交付等。本店移転登記と同時申請の場合における、普通郵便の発送場所。申請疑義事案の例と一部の役員の解任の場合。

登記研究869号P154、令和2年3月23日法務省民商第65号法務省民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて【解説付】」

 役員の死亡を原因として退任の登記を申請する場合の添付情報の内容。

登記研究303号P72、1973年2月20日第五部質疑・応答五〇二〇「役員が死亡した旨の記載のある議事録をもつて株式会社の役員の死亡による退任を証する書面とすることの可否」

 登記されている取締役が、社外取締役に該当することになった場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、登記研究658号P175、平成14年4月25日法務省民商第1067号民事局長通達「商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6245〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(令和6年4月1日付け法務省民二第555号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 別記第5号、調査結果調書(代替措置等申出関係)

家族信託の相談会その69

お気軽にどうぞ。

2024年11月29日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5,500円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

市民と法No.149

市民と法No.149、2024年10月、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/ct238/

大論公論 不安な時代における司法書士の役割

 早稲田大学教授 和田仁孝

 どこにつなげるか。

【論説/解説】・消費者被害救済の現状と課題─司法書士の視点と役割─

 日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会委員・司法書士 浅田奈津子・川戸周平・山田茂樹

 加害者特定のための法律。各種決済手段と適用される法律。

・地域の社会資源と司法書士

 一般社団法人倶知安観光協会前代表理事・司法書士 吉田 聡

 坪単価400万円超。

・相続登記申請義務化時代の司法書士制度論(5・完)──AI時代の司法書士原論──

 司法書士 長谷川清

 相続登記申請義務を商業・法人登記の申請義務と同じ意識、認識で司法書士が執務を行うのではないか、という予測。

 相続登記申請の依頼を受任した後、相続人の1人である依頼者から、遺産分割の合意成立に関与して欲しいと言われた場合に、遺産承継業務への切り替えの必要性。・・・最初に相続登記申請を依頼している時点でどの不動産を誰に、という聞き取りを行うと思います。その後に遺産分割の合意成立に関与して欲しい、と言われるということは、紛争になる可能性が出ているのではないかと思われます。私なら、弁護士さんに相談するように言うと思います。

【特集】デジタル資産を考える

[1]デジタル資産と終活

   弁護士 小坂谷聡

 ポイントについて。

[2]デジタル資産にアクセスできないケースの相続対応

   弁護士 渡邊涼介

 暗号資産やNFT。パスワードが分からなくて売却等ができない場合であっても、相続税の課税対象となる。

国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka

金融活動作業部会(FATF)「暗号資産:FATF基準の実施状況についての報告書」令和6年7月10日

https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20240710/20240710.html

[3]デジタル資産をめぐる被害の予防と救済

   弁護士・東京経済大学教授 坂勇一郎

金融庁 デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会

https://www.fsa.go.jp/singi/digital/index.html

[4]デジタル資産と司法書士実務

   司法書士 隂山克典

 デジタル資産。

財務省 CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_cbdc/cbdctorimatome.html

 不動産購入の対価としてデジタル資産が支払われる場合、司法書士報酬としてデジタル資産で支払いたいと要望があった場合。

[5]利用者死亡後におけるSNSアカウントの法的取扱い──デジタルな「死」について考える──

   大阪大学准教授 大塚智見

 SNSアカウントの相続性。

対談 司法書士のアイデンティティの行方(下)

 司法書士 稲村 厚、司法書士 渋谷陽一郎

 若い司法書士と相談会、司法書士法の相談について。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務9 信託契約書の起案の作法(4)

 司法書士 渋谷陽一郎

 信託契約書作成の依頼者は誰なのかについて、日本弁護士連合会と日本司法書士会連合会の違い。

PAGE TOP