Financial Adviser(ファイナンシャル・アドバイザー)」 2017年5月20日

Financial Adviser(ファイナンシャル・アドバイザー)」 5月20日 

〈ワイド特集〉

資産管理・承継の新トレンド!家族信託を使いこなす

●〈Q&Aで学ぶ〉家族信託のメリットと注意点

 Q1 そもそも家族信託とは何か。普及してこなかった理由は?

 Q2 家族信託の活用が効果的だと考えられるのはどんな場合?

 Q3 「家族信託」はどんな家庭で利用されている?

 Q4 成年後見制度と家族信託は、どう使い分ける?

 Q5 商事信託と家族信託は、どう使い分ける?

 Q6 家族信託には遺言の機能もあるが、遺言との違いは?

 Q7 家族信託の普及にあたりリスク要因となり得る点は?

 Q8 家族信託に関して新たな動きが出てきていると聞くけど…

 Q9 FPは家族信託をどうとらえ、どのように関わるべき?

●契約締結の流れと利用時のチェックポイント

●〈ケーススタディ〉家族信託はこう活用する!

 CASE1 認知症になっても計画・実行中の相続税対策を遂行したい

 CASE2 老親の自宅を空き家にせずにスムーズに売却したい

 CASE3 認知症を患う妻に財産を遺したうえで、妻亡き後の承継先まで指定しておきたい

 CASE4 再婚予定の後妻に財産を遺すことについて前妻の子の理解を得たい

 CASE5 生前の遺産分割の合意を法的に有効にさせておきたい

 CASE6 自社株を後継者に引き継がせたいが、経営権は手元に残しておきたい

 CASE7 自社株を後継者に相続させたいが、兄妹への代償分割の原資がない

 CASE8 将来の不動産共有を回避したいが代償資産がない

 CASE9 親亡き後、障がいのある1人息子の生活を守りたい

●三井住友信託銀行の取組みにみる民事信託の支援事例

執筆:宮田浩志

このような雑誌が発売されています。

雑誌自体買ってはいないのですが、私だったらどう書くか目次をみながら想像してみます。

Q1 そもそも家族信託とは何か。普及してこなかった理由は?

A1 家族信託とは、家は雨風を凌ぐ家、族は多様性を持つ家族、親族その他の共同体と家族を定義して、その人達のための信託ということができます。

 普及してこなかった理由として考えられるのは、

(1)成年後見制度と同様に家族の中での法的手続きは面倒

(2)利用しなくても今何とかなっている

(3)専門家の報酬が高い

(4)セミナーなどの講師は家族信託を本当に理解している専門家は少ない、と言う人が多い。ということは実は多い。

でしょうか。

Q2家族信託の活用が効果的だと考えられるのはどんな場合?

A2現在の民法で達成することができない目的がある場合に利用すると効果的です。例えば、認知症になっても自宅や賃貸不動産を適切に管理したい、孫の生活費、学費を定期的に給付したい。共有不動産があって、共有物分割を利用せずに管理一本化したい、などでしょうか。

Q3 「家族信託」はどんな家庭で利用されている?

A3 制限はありません。どのような家庭でも利用されています。

Q4 成年後見制度と家族信託は、どう使い分ける?

A4 成年後見制度を利用して、日常生活に必要な身上監護と財産管理を行います。家族信託を利用して不動産や株式、将来定期的に給付したいまとまったお金などを管理します。結果的に併用を考えることが多くなるのではないでしょうか。

Q5 商事信託と家族信託は、どう使い分ける?

A5 受託者が家族という括りをしていないので、受託者候補に適任者がいない場合など、依頼者に必要であれば、信託銀行、信託会社を紹介させていただくこともあります。それも家族信託です。

Q6 家族信託には遺言の機能もあるが、遺言との違いは?

A6 家族信託の場合は、所有権を相続させるのではなく受益権という債権を取得させることになります。また遺言では、遺留分減殺の順序指定、割合指定と死後認知をすることができるのに対して、家族信託では出来ません。

Q7 家族信託の普及にあたりリスク要因となり得る点は?

A7 信託契約書その他の書類や信託業務の標準化がまだなされていないことです。

Q8 家族信託に関して新たな動きが出てきていると聞くけど…

A8 何でしょう。分かりません。

Q9 FPは家族信託をどうとらえ、どのように関わるべき?

A9 FPの専門性を活かし、保険との類似性、将来の生活設計に対するリスクの説明、その中で家族信託が利用できそうだと思えば制度を紹介することもできるのではないでしょうか。

受託者が、指図権者の指図に従わなかった場合の法律関係の整理

1、取締役会を設置していない株式会社において、現経営者を委託者兼受益者、後継者を受託者として、会社の全株式を信託する。

2、指図権(指図権者は受益者)の定めを信託行為に記載し、株主総会での議決権の行使は、現経営者が元気なうちは、その指図に従う。

3 株主総会の際、受託者が受益者の指図に従わず、自らの意思で議決権を行使した(例えば現経営者を解任し、自らを経営者に選任した)。株主総会収集通知の議題は、計算書類の報告および承認の件。指図権は、信託行為に定められている基準の通り適正に行使され、受託者も理解している。

・株主総会の決議は、無効や取消の対象になるか?

株主総会の決議は有効に成立しますが、決議の不存在、無効、取消しの対象にはなり得ると考えます。

信託法上、指図権者(受益者)は、受託者に対する債権者であり、会社との直接の関係はありません。

会社法上、現経営者は会社の代表取締役であり、信託行為によって株式の所有権は受託者に移転しているので、会社の株主は後継者です。このような前提から、 

(1)株主総会の決議の方法が著しく不公正なとき。

(2)株主総会の決議について手続的な不適切の度合いが著しく、決議が存在するとは認められないような場合。

(3)株主総会の決議が法令に違反する場合。

のいずれか、または双方に当てはまる可能性があると考えます(会社法830条から834条)。

かふうvol.608特別受益・寄与分

1、亡くなった方

母(被相続人)

2、相続人

長男、次男の2人

3、相続財産

農地4000万円

4、寄与分

次男800万円(40年間無償で農業を手伝ったから)

5、特別受益

長男300万円(亡き母から40年前に100万円を貰ったから)

6、相続額

長男1450万円

次男2550万円

この結果、納得の方がいるでしょうか。

亡き母は1450万円の現金を残してくれたのでしょうか。

次男はどうやってお金を準備するのでしょうか。

もし、亡き母が病院や老人ホームなどに通っていて次男1人で付き添いを全部行っていたとしても、現在の民法では原則として評価されません。亡き母の遺産の維持・増加に貢献する行為ではなく、病院や老人ホームなどへの送迎や付き添い、お見舞いは親族として当たり前のこととみなされるからです。

 私なら、実質的な公平、という言葉の前に「現在の法律上」と付けるか形式的公平とします。

・・・・・・・・・・・

参考

・琉球新報かふうvol.608よくわかる不動産相続Q&A File.4

・『別冊NBL157民法(相続関係)等の改正に関する中間試案』

判例 受託者の租税債権滞納による信託財産に係る賃料債権の差押え

平成28年3月29日  最高裁判所第三小法廷  判決

1、差押権者の意思により充当を判断できるか。

できないと考えます。

2、債権者は信託登記のされていない建物を差押えすることは出来なかったのか。

できます。

3、固有財産(建物)と信託財産(土地)とを一括しての賃貸は、分別管理ではなく、運用である。

→そうであると解釈しても、賃料の入金額のうち、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。

4、分別管理義務は、信託財産を他の財産と区別して管理する義務であって、同一の契約に基づいて処分するなど、合同して運用することまでは禁止するものではないのか。

→禁止されていないのでしても良いのですが、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。

5、1つの債権のうち一部が信託財産に属することは、問題ない。

→1つの債権にすることは、問題ありませんが預金債権で受託者名義だと差押えは行われるので、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。そのためには、金庫で保管する、信託口口座を作成することになると考えます。

6、1つの債権のうち、どの部分がそれぞれ信託財産と固有財産に帰属するか明らかになれば、第3者への対抗力を失わない。

→第3者への対抗力は失われないと考えますが、差押えされるかどうかとは別だと考えます。

7、信託財産に属する旨を主張できる状態とは

→受託者の債権者からの差押えの効力が、信託財産に及ばない状態に置くことだと考えます。

8、「委託者氏名 受託者氏名 信託口」ではなく、「受益者氏名 受託者氏名 信託口」ではないのか。

→最初は委託者が財産を出しており、受益者が受け取るのは受託者の信託事務処理の義務上当然のことだからだと考えます。

9、何のための「信託口口座」か。

→受益者のため。受託者の債権者からの差押えが及ばないようにするため。義務の加重との解釈もありますが、予防と考えると費用、時間が抑えられるのではないかと考えます。

10、信託口の預金通帳を作成すると同時に計算の方法による分別管理にもなるか。

→使途ごとに、その都度の入出金で書き込みがあれば「計算の方法による」にも当てはまると考えます。

11、信託口口座を開設しても、受託者の義務違反となる場合。

→受託者の債権者からの差押えと取り立てに異議なく応じた場合。

 受託者個人の死亡により、口座が凍結されたが新受託者は金融機関に信託財産であることを意思表示しなかった場合。

平成19年6月22日信託に関する法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)

 昭和44年5月1日付直審(法)25「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか3件の法令解釈通達の一部について、平成19年度税制改正のうち信託に関する事項を別紙のとおり改正したから、これによられたい。
 なお、別紙には、この通達により新たに取扱いを定めたもの及び既往通達につき表現を改めたものについてはその全文を掲げ、単に法令改正に伴う引用条文等を改めたもの及び通達番号を改めたものについてはその改正箇所のみを掲げることとした。

「信託に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)

(平19.6.22 課法2-5他1課共同)

この法令解釈通達は、平成19年度の法人税関係法令等の改正に対応し、信託に関する法人税基本通達等につき所要の整備を図ったものです。

主な改正点は次のとおりです。 

第一 法人税基本通達関係

1 法人課税信託に係る所得の金額の計算等  

平成 19 年度の税制改正により、信託のうち、受益証券を発行する信託、受益 者等の存しない信託、法人が委託者となる一定の信託、投資信託及び特定目的 信託については、集団投資信託、退職年金等信託及び特定公益信託等に該当す るものを除き、受託者を納税義務者として法人税を課税することとされました。  

この法人課税信託にあっては、受託者は、その法人課税信託の信託資産等及 び受託者の固有資産等ごとにそれぞれ別の者とみなして、法人税を課税するこ ととされています(法4の6①)。

 ○ 法人の事業の全部又は重要な一部の信託(基通 12 の6-1-3 新設)     法人(公共法人及び公益法人等を除きます。)が委託者となる信託で、当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権の保有割合が 50%を超えることが見込まれているものは、法人課税信託に該当することとされています。

この場合に、その信託した事業が「当該法人の事業の全部又は重要な一部」 に該当するかどうかは、その譲渡につき当該法人の会社法第 467 条第1項(第 1号又は第2号に係る部分に限ります。)の株主総会の決議(これに準ずる ものを含みます。)を要するものかどうかで判定することとされています(法 2二十九の二ハ⑴)。    

本通達においては、この株主総会の決議を要するものとは、法人の事業の全部又は重要な一部の譲渡を行う場合において、当該法人の株主総会の決議によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととされる 行為をいいますから、現にその決議が行われたかどうかは問わないことを明らかにしています。 

○ 法人課税信託に係る受託法人の内外判定と納税地(基通 12 の6-1-5 新設)  

法人課税信託に係る受託法人(法人課税信託の受託者である法人又は個人 について、当該法人課税信託に係る信託資産等につき別の者とみなして法人 税が課税されるものをいいます。)は、当該法人課税信託の信託された営業 所が国内にある場合には内国法人とされ、当該営業所が国内にない場合には外国法人とされて、法人税法の規定を適用することとされています(法4の – 2 7一、二)。

 本通達においては、これによりその法人課税信託に係る受託法人が内国法 人、外国法人のいずれに該当するかにかかわらず、当該受託法人の納税地は 受託者の納税地であることを明らかにしています。

○ 法人課税信託に該当することとなった日の意義(基通 12 の6-1-7 新 設)  

法人課税信託の受託法人は、当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生 ずる日に設立されたものとし、法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日に設立されたものとして、法人税法の規定を適用することとされています(法4の7七)。  

ところで、受益者段階でその信託収益の受領時に課税される信託である特定受益証券発行信託は、信託事務の実施につき所定の要件に該当することに ついて税務署長の承認を受けた法人(以下「承認受託者」といいます。)が 引き受けたものであることがその要件とされていますが、その計算期間の開 始の日の前日までに、 ① 当該承認受託者がその承認を取り消された場合 ② 当該特定受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合 には、当該信託は、当該計算期間の開始の日から特定受益証券発行信託に該当しないこととされています(法2二十九ハ⑴)。   本通達においては、特定受益証券発行信託がその計算期間の中途において 承認受託者がその承認を取り消された場合又はその特定受益証券発行信託の 受託者に承認受託者以外の者が就任した場合における「法人課税信託に該当 することとなった日」とは、その取り消され又は就任した日をいうのではな く、これらの日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日となることを明らか にしています。    ○ 公益法人等の法人課税信託に係る課税所得の範囲(基通 12 の6-2-1 新設)   法人課税信託の受託法人(会社でないものに限ります。)は、会社とみな して法人税法の規定を適用することとされています(法4の7三)。   本通達においては、公益法人等が法人課税信託の受託者となった場合には、 当該法人課税信託に係る受託法人は当該公益法人等とは別の会社とみなされ ることから、当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は収益事業か ら生じた所得に限られないことを明らかにしています。

 – 3

○ 受益者等が存しない信託に係る清算所得に対する法人税の課税関係(基通 12 の6-2-2 新設)   法人課税信託のうち受益者等が存しない信託については、信託の終了があ った場合又は受益者等が存することとなった場合には、当該法人課税信託に 係る受託法人の解散があったものとして法人税法の規定を適用することと されています(法4の7八)。 一方、解散の場合の清算所得に対する法人税の課税については、受益者等 が存することとなったことに起因して解散したものとされる場合は、清算所 得に対する法人税を課さないこととされています(法 92①)。 本通達においては、これらの規定により、法人課税信託のうち受益者が存 しない信託に係る受託法人は、受益者が存することなく信託の終了があった 場合に限り、清算所得に対する法人税が課されることを明らかにしています。

2 受益者等課税信託による損益 平成 19 年度の税制改正により、信託のうち、集団投資信託、退職年金等信託、 特定公益信託等又は法人課税信託のいずれにも該当しないもの(以下「受益者等課税信託」といいます。)については、受益者(受益者としての権利を現に 有しているものに限ります。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされました(法 12①)。

 ○ 信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費 用の帰属(基通 14-4-1 新設)

受益者等課税信託における受益者は、信託の受益者のうち受益者としての権利を現に有しているものに限られています。一方、信託行為においては、 一の受益者の有する権利が受益者としての権利の一部にとどまり、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていない場合もあり得ます。

本通達においては、そのような場合であっても、当該受益者がその信託の 信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることを明らかにしています。 

○ 信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期(基通 14-4-2 新 設)    受益者等課税信託においては、その信託財産に帰せられる収益及び費用は 受益者(受益者とみなされる者を含みます。以下「受益者等」といいます。)の収益及び費用とみなされることとされていますが、信託の計算期間の始期及び終期と受益者等である法人の事業年度の開始の日及び終了の日が一致しない場合もあり得ます。   

本通達においては、そのような場合の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に対応する収益及び費用となることを明らかにしています。 

○ 信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算(基通 14 -4-3 新設)

   受益者等課税信託においては、その信託財産に帰せられる収益及び費用は 受益者等の収益及び費用とみなして当該受益者等である法人の各事業年度の 所得の金額が計算されることとなります。    

本通達においては、受益者等課税信託の受益者等である法人は、(純額法に より)当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人 の収益又は費用とするのではなく、(総額法により)当該法人に係る当該信託 財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を 当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うことを 明らかにしています。 

○ 受益者等課税信託に係る受益者の範囲(基通 14-4-7 新設)   

受益者等課税信託における受益者とは、信託の受益者(受益者としての権 利を現に有するものに限ります。)及び信託の変更をする権限を有している など受益者とみなされる者をいうこととされています(法 12①、②)。   

本通達においては、この「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、信託の帰属権利者、委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者及び委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける受益者は含まれないことを、例示的に明らかにしています。 

○ 受益者とみなされる委託者(基通 14-4-8 新設)  

 受益者等課税信託において、信託の受益者以外の者で当該信託の変更をする権限を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者は、受益者とみなされることとされています(法 12②)。

   本通達においては、この「みなし受益者」には、信託の変更の権限を現に有している委託者について、 ① 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている 場合

② 信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがな い場合又は信託行為の定めに残余財産受益者等として指定を受けた者のす べてがその権利を放棄した場合 の当該委託者が含まれることを、例示的に明らかにしています。 

第二 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

1 措置法第 42 条の5~第 48 条関係 ○ 信託財産に属する減価償却資産の特別償却等に係る証明書類等の添付(措 通 42 の5~48(共)-6 新設)     措置法に定める特別償却等の適用に当たっては、その減価償却資産が特別 償却等の適用対象資産であることの所定の証明書類等の確定申告書等への添 付を要件としているものが少なくありません。 ところで、受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該信託の信託財 産に属する減価償却資産についても、これらの特別償却等の規定の適用を受 けることができますが、信託財産に属する資産は名義上は受託者の所有する ところであるので、証明書類等についても受託者名で発行されることとなり ます。 本通達においては、このような場合における証明書類等の添付に当たって は、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係る ものである旨の受託者の証明を受ける必要があることを明らかにしています。    (土地譲渡益重課制度における適用除外に係る証明書類の添付及び資産の譲 渡の場合の課税の特例制度における証明書類の添付についても、上記と同様 の通達を新設しました。) 

2 措置法第 65 条の2関係

 ○ 信託財産に属する資産の譲渡への適用(措通 65 の2-11 新設)   法人の有する資産につき土地収用法等の規定により収用換地等による譲渡 があった場合には、措置法第 65 条の2((収用換地等の場合の所得の特別控 除)) の規定の適用を受けることができることとされています。 ところで、同条の規定は、法人が受益者等となっている受益者等課税信託 の信託財産に属する資産について収用換地等による譲渡があった場合にも適 用を受けることができますが、その適用に当たっては、当該譲渡が公共事業 施行者から最初に買取り等の申出のあった日から原則として6か月を経過し た日までに行われること等の同条に規定する一定の要件を満たす必要があり ます。 本通達においては、受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収

用換地等による譲渡があった場合の同条の規定の適用に当たっては、「公共 事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の当該申出のあった日」とは、 当該受益者等課税信託の受託者が公共事業施行者から当該資産につき最初に 買取り等の申出を受けた日をいうなどの留意点を明らかにしています。 

(注)平成 19 年度税制改正における信託法(平成 18 年法律第 108 号)(以下「新信託法」といいます。)

の制定に伴う法人税法の改正後の規定は、原則として、新信託法の施行の日以後に効力が生ずる信託(遺言によってされた信託にあっては同日以後に遺言がされたものに限り、新法信託を含みます。)につい

て適用し、同日前に効力が生じた信託(遺言によってされた信託にあっては同日前に遺言がされたもの

を含み、新法信託を除きます。)については従前どおりとされています(改正法附則 34①、改正令附則

8)。

  (新法信託とは、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成 18 年法律第 109 号)第3条

第1項、第6条第1項、第 11 条第2項、第 15 条第2項、第 26 条第1項、第 30 条第2項又は第 56 条第 2項(新法の適用等)の規定により同法第3条第1項に規定する新法信託とされた信託をいいます。)

(出典:国税庁HP)

平成19622日付課法25ほか1課共同「信託に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

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