令和5年3月30日法務省民二第555号司法書士による本人確認情報の作成について(回答)

要件

申請人と面識がある場合

・医療機関・施設などから、入所者の健康上の理由等により、直接面談が困難であるとの要請があった場合→自宅療養の場合でケースワーカー、介護支援専門員から要請された場合は?家族の要請の場合は?

・直接面談と変わらない、相互に意思の疎通ができる状況であること。

・資格者代理人は、テレビ会議による面談を行った合理的理由(医療機関・施設などから、入所者の健康上の理由等により、直接面談が困難であるとの要請があった場合)を明らかにして提供すること。

・同席した施設の職員又は申請人等の家族等から、画面越しに映された申請人等が本人に相違ない旨を聴取して具体的に記録して提供。

・テレビ会議による面談の際に本人に間違いないという判断をした理由を、本人確認情報の内容として提供。

・登記官への事前照会。

申請人と面識がない場合

申請人と面識がある場合に加えて、

・事前に、申請人を知る者から、不動産登記規則第72 条第2項各号に掲げる本人確認書類の原本の提示を受け、提示された当該書類の内容を直接確認。

申請人を知る者の例

・親族、ケースワーカー、社会福祉士、介護支援専門員、顧問税理士、取引に関わっていた宅地建物取引士、登記義務者と同じ会社の社員、登記義務者が入所直前に居住していたマンションの管理組合の理事長。

施設に現に赴いた司法書士によるテレビ会議を用いた本人確認情報の作成について

日本司法書士会連合会 不動産登記法改正等対策部

部長 里村美喜夫

当対策部において、標記の件について意見をまとめましたのでご意見を求めます。

【意見の趣旨と概要】

不動産登記法第23 条第4項第1号の規定により、登記官が資格者代理人から提供を受ける、申請人が申請の権限を有する登記名義人であることを確認するために必要な情報(以下「本人確認情報」という。)を提供する方法により登記を申請する場合においては、不動産登記規則第72 条第1項第1号の規定により申請人(申請人が法人である場合にあっては、代表者又はこれに代わるべき者。以下「申請人等」という。)と面談した日時、場所及びその状況を明らかにするものでなければならないとされている。

一方、近時、医療機関や高齢者施設等(以下「施設」という。)での面談について、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、対面による直接の面談(以下「直接面談」という。)をすることができない状況になっているとの事例報告が増えている。よって、本人確認情報を提供する面談方法については、直接面談以外のこれに準じる方法により、提供する情報を明らかにすることが要請されている。

そこで、申請人等が入院・入所している施設に現に赴いた資格者代理人が、同じ施設内の申請人等とは別室または施設内の別の場所において、申請人等とテレビ会議やウェブ会議等を用いた面談(資格者代理人と申請人等が、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に同時に認識しながら通話をすることができる方法。以下「テレビ会議による面談」という。)により、本人確認情報を得た場合においては、下記のとおり、一定の要件のもとに、不動産登記規則第72 条第1項第1号に該当すると考える。

(前提条件)

1.前提として、テレビ会議による面談であっても、直接面談と変わらない意思の疎通ができる状況である必要がある。

(面識がある場合)

2.資格者代理人が申請人等の氏名を知り、かつ、当該申請人等と面識があるとき施設に入所している申請人等の施設から、入所者の健康上の理由等[1]1により、直接面談が困難であるとの要請があった場合において、直接面談ができない合理的理由があると認められるときは、テレビ会議による面談により、資格者代理人は本人確認情報の提供をすることができる。なお、資格者代理人は、テレビ会議による面談を行った合理的理由を明らかにして提供しなければならない。

併せて、本人確認をする資格者代理人は、同席した施設の職員又は申請人等の家

族等(以下「申請人を知る者」という。)から、画面越しに映された申請人等が本人に相違ない旨を聴取してその旨を具体的に記録することにより、テレビ会議による面談の際に本人に間違いないという判断をした理由を、本人確認情報の内容として提供しなければならない。

この場合、テレビ会議による面談によって、資格者代理人が適式に本人確認をし

ており、本人確認情報の内容として登記官がその内容を相当と認めるときは、登記官はこれを受理して差し支えない。

→現時点で、事前照会必要。

(面識がない場合)

3.資格者代理人が申請人等の氏名を知らず、又は当該申請人等と面識がないとき上記「2.資格者代理人が申請人等の氏名を知り、かつ、当該申請人等と面識があるとき」に加え、資格者代理人は、申請人を知る者から、不動産登記規則第72 条第2項各号に掲げる本人確認書類の原本の提示をあらかじめ受け、提示された当該書類の内容を直接確認した上で、テレビ会議による面談を行わなければならない。

この場合、テレビ会議による面談によって、資格者代理人が適式に本人確認をし

ており、本人確認情報の内容として登記官がその内容を相当と認めるときは、登記官はこれを受理して差し支えない。

考え方

面識がある場合においても、面識がない場合においても、資格者代理人が現に赴いた施設の別室に申請人等がおり、当該施設内で映像と音声の送受信により相手方と相互に通話をし、直接面談と変わらない状態で意思の疎通や本人の確認ができること。

テレビ会議による面談を行ったやむを得ない事由が、申請人等の入所する施設から、健康上の理由等により直接面談が困難であるとの要請があったものであり、本人確認情報の内容として、テレビ会議による面談を実施する合理的理由が明らかにされていること。

施設におけるテレビ会議による面談に同席した申請人を知る者から、画面越しに映された申請人等が本人に相違ない旨を資格者代理人が聴取して、本人に間違いないという判断した理由が本人確認情報の内容として具体的に明らかにされていること。

資格者代理人が申請人等の氏名を知らず、又は当該申請人等と面識がない場合には、申請人を知る者から、不動産登記規則第72 条第2項各号に掲げる本人確認書類の原本の提示をあらかじめ受け、かつ、提示された当該書類の内容を直接確認しなければならないこと(同条第1項第3号)。

資格者代理人が行った本人確認情報の提供について、登記官がその内容を相当と認めること。

別室・面識あり・同席者あり

本 人 確 認 情 報

○○法務局 御中

当職は、本件登記申請の代理人として、下記のとおり、申請人が申請の権限を有

する所有権登記名義人であることを確認するため必要な情報を提供します。

令和4年12月11日

○○○○市西区○○一丁目2番3号 司法書士 司法三郎

(登録番号 ●●県司法書士会第○○○○号)

1 登記の目的 所有権移転

2 不動産の表示 ●●県○○市〇〇区○町○番 宅地 111・11㎡

3 登記済証を提出できない理由 紛失

4 申 請 人 ○○市〇〇区○丁目○番○号 法務一郎

生年月日 昭和**年**月**日生

5 面談した日時・場所・状況

日 時 令和4年12月11日 午前10時30分より

場 所 司法書士 司法三郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 1階 面会室

法務一郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 3階 面会室

面談状況 本件登記申請人が本件不動産について所有権移転登記をするにあたり、所有権移転登記申請の必要書類の確認等を行うため、当職が登記義務者と面談した。

〇〇病院から、現在職員以外の人間と原則として面会禁止としているので、ZOOMを用いて、司法書士 司法三郎の面談場所である面会室と、登記義務者の面談場所である面会室を接続して面談する方法以外での面談は認められないという要請があり、このような方法で面談を行った。

映像及び音声のやり取りは司法書士 司法三郎の携帯電話と病院が用意したパソコンを接続して行い、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に同時に認識しながら通話をすることができる状態で、対面の面談と変わらない状態での意思疎通、本人の確認ができる状態で行われた。

同 席 者 登記権利者 法務太郎氏(長男)1階 面会室で同席した。

6 申請人との面識の有無 当職は申請人とは過去に面識がある。

7 面識の経緯・時期 具体的な事由

当職は本件登記申請の3ケ月以上前に当該申請人について、資格者代理人として本人確認情報を提供して次の所有権移転登記の申請をしている。

御庁 平成**年**月**日 受付第 ****** 号

(以下省略)

事例1

別室・面識なし・同席者あり

本 人 確 認 情 報

○○法務局 御中

当職は、本件登記申請の代理人として、下記のとおり、申請人が申請の権限を有する所有権登記名義人であることを確認するため必要な情報を提供します。

令和4年12月11日

○○市西区○○一丁目2番3号 司法書士 司法三郎

(登録番号 ●●県司法書士会第○○○○号)

1 登記の目的 所有権移転

2 不動産の表示 ●●県○○市〇〇区○町○番 宅地 111・11㎡

3 登記済証を提出できない理由 紛失

4 申 請 人 ○○市〇〇区○丁目○番○号 法務一郎

生年月日 昭和**年**月**日生

5 面談した日時・場所・状況

日 時 令和4年12月11日 午前10時30分より

場 所 司法書士 司法三郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 1階 面会室

法務一郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 3階 面会室

面談状況 本件登記申請人が本件不動産について所有権移転登記をするにあたり、所有権移転登記申請の必要書類の確認等を行うため、当職が登記義務者と面談した。

〇〇病院から、現在職員以外の人間と原則として面会禁止としているので、ZOOMを用いて、司法書士 司法三郎の面談場所である面会室と、登記義務者の面談場所である面会室を接続して面談する方法以外での面談は認められないという要請があり、このような方法で面談を行った。

映像及び音声のやり取りは司法書士 司法三郎の携帯電話と病院が用意したパソコンを接続して行い、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に同時に認識しながら通話をすることができる状態で、対面の面談と変わらない状態での意思疎通、本人の確認ができる状態で行われた。

面談に同席した○○病院の職員〇〇○○氏より、画面に映し出された登記義務者は同病院に入院している者で、本人に間違いないことを聴取した。

同 席 者 ○○病院の職員〇〇○○氏 1階 面会室で同席した。(注)

6 申請人との面識の有無 当職は申請人とは過去に面識はない。

7 面識がない場合における確認資料

職は、申請人の氏名を知らず、又は面識がないため、申請人から次の確認資料の提示を受け確認した。

確認資料のうち次の①②の原本は〇〇病院が登記義務者から預かり、保管していたので、登記義務者の同意を得て、面談当日に、〇〇病院の職員からあらかじめ当職に手渡された。

①確認資料の特定事項及び有効期限

名称 国民健康保険の被保険者証

令和*年1月まで有効

②確認資料の特定事項及び有効期限

名称 基礎年金番号通知書

8 登記名義人であることを確認した理由

前項の本人確認書類につき、以下のとおり確認した。

①②の確認資料に記載されている氏名及び住所が一致していること、及び記載されている氏名及び住所が登記名義人本人のものであることを確認した。加えて、証明書の外観・形状に異常がないことを視認した。

さらに、住所・氏名・生年月日、本件不動産に関すること、本件不動産の取得の経緯、登記済証紛失に関することについて申述を求めたところ正確に矛盾なく回答した。

(以下省略)

(注)司法書士が申請人と面識がない場合においては、当該申請人を知る者に面談状況を確認させ、その内容を本人確認情報に記載して提供したときは、当該記載は、登記官が本人確認情報の内容を相当と評価する際の重要な判断材料であると考える。

事例2

別室・面識なし・同席者あり

本 人 確 認 情 報

○○法務局 御中

当職は、本件登記申請の代理人として、下記のとおり、申請人が申請の権限を有する所有権登記名義人であることを確認するため必要な情報を提供します。

令和4年12月11日

○○市西区○○一丁目2番3号 司法書士 司法三郎

(登録番号 ●●県司法書士会第○○○○号)

1 登記の目的 所有権移転

2 不動産の表示 ●●県○○市〇〇区○町○番 宅地 111・11㎡

3 登記済証を提出できない理由 紛失

4 申 請 人 ○○市〇〇区○丁目○番○号 法務一郎

生年月日 昭和**年**月**日生

5 面談した日時・場所・状況

日 時 令和4年12月11日 午前10時30分より

場 所 司法書士 司法三郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 1階 面会室

法務一郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 3階 面会室

面談状況 本件登記申請人が本件不動産について所有権移転登記をするにあたり、所有権移転登記申請の必要書類の確認等を行うため、当職が登記義務者と面談した。

〇〇病院から、現在職員以外の人間と原則として面会禁止としているので、ZOOMを用いて、司法書士 司法三郎の面談場所である面会室と、登記義務者の面談場所である面会室を接続して面談する方法以外での面談は認められないという要請があり、このような方法で面談を行った。

映像及び音声のやり取りは司法書士 司法三郎の携帯電話と病院が用意したパソコンを接続して行い、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に同時に認識しながら通話をすることができる状態で、対面の面談と変わらない状態での意思疎通、本人の確認ができる状態で行われた。

当職は、面談に同席した、登記義務者の息子である法務太郎氏より、画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。(注)

同 席 者 登記権利者 法務太郎氏(長男)1階 面会室で同席した。

6 申請人との面識の有無 当職は申請人とは過去に面識はない。

7 面識がない場合における確認資料

当職は、申請人の氏名を知らず、又は面識がないため、申請人から次の確認資料の提示を受け確認した。

確認資料の原本は〇〇病院の職員を介して面談当日にあらかじめ当職に手渡された。

確認資料の特定事項及び有効期限

名称 普通自動車運転免許証

20**(令和*年)**月**日まで有効

写真の添付 別紙のとおり

8 登記名義人であることを確認した理由

前項の本人確認書類につき、以下のとおり確認した。

証明書の写真により本人との同一性を確認し、証明書の外観・形状に異常がないことを視認した。

また、住所・氏名・生年月日、本件不動産に関すること、本件不動産の取得の経緯、登記済証紛失に関することについて申述を求めたところ正確に矛盾なく回答した。

(以下省略)

(注)司法書士が申請人と面識がない場合においては、当該申請人を知る者に面談状況を確認させ、その内容を本人確認情報に記載して提供したときは、当該記載は、登記官が本人確認情報の内容を相当と評価する際の重要な判断材料であると考える。

■親族以外の「当該申請人を知る者」の事例について

1.登記義務者のケースワーカーである(相談員である社会福祉士である)○○○○氏より画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。

2.登記義務者の顧問税理士、○○○○氏より画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。

3.不動産売買の仲介業者であり、本件取引に関わっていた、宅地建物取引士、○○○○氏より画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。

4.登記義務者と同じ会社の社員○○○○氏より画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。

5.登記義務者が入所直前に居住していたマンションの管理組合の理事長である○○○○氏より画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取した。

事例3

別室・面識なし・同席者なし

本 人 確 認 情 報

○○法務局 御中

当職は、本件登記申請の代理人として、下記のとおり、申請人が申請の権限を有する所有権登記名義人であることを確認するため必要な情報を提供します。

令和4年12月11日

○○市西区○○一丁目2番3号 司法書士 司法三郎

(登録番号 ●●県司法書士会第○○○○号)

1 登記の目的 所有権移転

2 不動産の表示 ●●県○○市〇〇区○町○番 宅地 111・11㎡

3 登記済証を提出できない理由 紛失

4 申 請 人 ○○市〇〇区○丁目○番○号 法務一郎

生年月日 昭和**年**月**日生

5 面談した日時・場所・状況

日 時 令和4年12月11日 午前10時30分より

場 所 司法書士 司法三郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 1階 面会室

法務一郎:○○市〇〇区〇〇二丁目2番2号

〇〇病院 3階 面会室

法務花子:○○市〇〇区○丁目○番○号(登記義務者の自宅)

面談状況 本件登記申請人が本件不動産について所有権移転登記をするにあたり、所有権移転登記申請の必要書類の確認等を行うにため、当職が登記義務者と面談した。

〇〇病院から、現在職員以外の人間と原則として面会禁止としているので、ZOOMを用いて、司法書士 司法三郎の面談場所である面会室と、登記義務者の面談場所である面会室を接続して面談する方法以外での面談は認められないという要請があり、このような方法で面談を行った。同時に登記義務者の自宅を接続し、登記義務者の妻、法務花子ともZOOMを用いて面談を行った

映像及び音声のやり取りは司法書士 司法三郎の携帯電話と病院が用意したパソコン、同時に法務花子が用意したパソコンを接続して行い、映像と音声の送受信により三者が相手の状態を相互に同時に認識しながら通話をすることができる状態で、対面の面談と変わらない状態での意思疎通、本人の確認ができる状態で行われた。(注)

当職は、同時に接続した法務花子氏から、画面に映し出された登記義務者が本人に間違いないことを聴取し、確認した。

同 席 者 なし。

6 申請人との面識の有無 当職は申請人とは過去に面識はない。

7 面識がない場合における確認資料

当職は、申請人の氏名を知らず、又は面識がないため、申請人から次の確認資

料の提示を受け確認した。

確認資料の原本は〇〇病院の職員を介して面談当日にあらかじめ当職に手渡された。

確認資料の特定事項及び有効期限

名称 普通自動車運転免許証

20**(令和*年)**月**日まで有効

写真の添付 別紙のとおり

8 登記名義人であることを確認した理由

前項の本人確認書類につき、以下のとおり確認した。

証明書の写真により本人との同一性を確認し、証明書の外観・形状に異常がないことを視認した。

また、住所・氏名・生年月日、本件不動産に関すること、本件不動産の取得の経緯、登記済証紛失に関することについて申述を求めたところ正確に矛盾なく回答した。

(以下省略)

(注)司法書士が申請人と面識がない場合においては、当該申請人を知る者に面談状況を確認させ、その内容を本人確認情報に記載して提供したときは、当該記載は、登記官が本人確認情報の内容を相当と評価する際の重要な判断材料であると考える。

申請人を知る者の登記義務者の確認は、同時の機会にテレビ会議で相互に認識しながら行うのであれば、必ずしも登記義務者や司法書士と同一の場所に赴いて同席して行われる必要はないと考える。

資格者代理人による不動産登記法第23条第4項の本人確認の取扱いについて

○ 医療機関・高齢者施設では、新型コロナウイルス感染症対策として、入居者と外部の者との直接的な面会を制限する傾向にあり、対面が困難な状況にあることを踏まえ、次の条件を満たす場合には、テレビ会議やウェブ会議を用いた面談であっても適式な面談とする。

前提となる現行制度

○ 申請人(登記義務者)が、登記識別情報を(失念した等の理由で)提供できない場合において、資格者代理人が申請人と面談を行い、(本人確認を行った上で作成した)本人確認情報を登記申請時に提供し、登記官がこれを相当と認めたときは、事前通知手続が省略される(不動産登記法第23条第4項)。

①現在の面談方法

資格者代理人が申請人と対面にて面談を行う(申請人と面識がない場合には、対面で身分証の提示を求める。)。

②新たな面談方法

★ 実施に必要な条件

① ウェブ会議によっても、対面の面談と変わらない意思疎通ができること。

② 施設側の要請に基づくものであり、感染拡大防止等、申請人と直接面談ができない合理的理由があること。

③ 資格者代理人と申請人との間に面識がない場合には、事前に申請人の身分証(運転免許証等)原本の提示を受けること。

④ 同一施設内(資格者代理人は施設に現に赴く)で、かつ、施設の職員又は申請人の家族の同席の下で行われること(具体的な面談事例は以下のとおり。)。

直接面談が困難な状況にある施設に入所中の申請人を対象とした本人確認情報の提供について(お知らせ)

新型コロナウイルス感染症の拡大などに伴い、集団感染の防止の観点から、高齢者施設・医療機関等(以下「施設」という。)においては、申請人や申請人たる法人の代表者である入所者・患者等(以下「申請人等」という。)と対面による直接の面談(以下「直接面談」という。)ができない場合があります。

そこで、不動産登記制度の円滑な運用のため、下記のとおり、資格者代理人が施設に直接赴いた上で、テレビ会議を用いて本人確認を行った場合の不動産登記法第23 条第4項第1号に規定する本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)の提供について、下記のとおり取りまとめましたので(概要は別添資料を参照)、お知らせいたします。貴会会員にご周知くださるようお願いいたします。

なお、下記の内容は、法務省民事局に確認済みですので、申し添えます。

【本通知の趣旨と理由】

施設において申請人等と直接面談ができない状況下において、資格者代理人が施設に直接赴き、申請人等とは直接接触しない施設内の別室等においてテレビ会議を用いて本人確認を行った場合において、以下の【要件】を満たしているときは、不動産登記規則第72 条の本人確認情報に該当するものとして差し支えない。

【要件】

・面識がある場合においても、面識がない場合においても、資格者代理人が現に赴いた施設の別室に申請人等がおり、当該施設内で映像と音声の送受信により相手方と相互に通話をし、直接面談と変わらない状態で意思の疎通や本人の確認ができること。

・テレビ会議による面談を行ったやむを得ない事由が、申請人等の入所する施設から、健康上の理由等により直接面談が困難であるとの要請があったものであり、本人確認情報の内容として、テレビ会議による面談を実施する合理的理由が明らかにされていること。

・施設におけるテレビ会議による面談に同席した施設の職員や申請人等の家族等から、画面越しに映された申請人等が本人に相違ない旨を資格者代理人が聴取して、本人に間違いないという判断をした理由が本人確認情報の内容として具体的に明らかにされていること。

・資格者代理人が申請人等の氏名を知らず、又は当該申請人等と面識がない場合には、施設の職員又は申請人等の家族等から、不動産登記規則第72 条第2項各号に掲げる本人

【別紙2】

確認書類の原本の提示をあらかじめ受け、かつ、提示された当該書類の内容を直接確認しなければならないこと(同条第1項第3号)。

・資格者代理人が行った本人確認情報の提供について、登記官がその内容を相当と認めること。

(ご留意)具体的な事案の対応にあたっては、管轄法務局と事前協議をしてください。

参考

登記研究 745号 127頁  2010年3月30日 【質疑応答】 〔七九〇七〕遺言執行者である司法書士が自身に申請権限があることを証明するために作成した本人確認情報の提供があった場合の事前通知の省略の可否

登記研究 735号 159頁  2009年5月30日 【質疑応答】 〔七八八九〕破産管財人代理と面談した結果をもって法二三条四項一号の本人確認情報とすることの可否について

登記研究 714号 197頁  2007年8月30日 【質疑応答】 〔七八五四〕海外に居住する日本人が登記識別情報の提供を要する登記の申請をする場合において、登記識別情報を提供できないときに、日本領事の署名証明書をもって本人確認情報とすることの可否


[1] コロナなどの感染の拡大を防止する場合。施設の衛生上の必要性がある場合。

加工令和5年3月28日法務省民二第538号民法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(通達)

令和5年3月28日法務省民二第538号民法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(通達)

第2 不登法改正関係

1 相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記手続の簡略化

  • 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、不登法第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができることとされた(改正不登法第63条第3項)。
  • これに伴い、不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「不登令」という。)の一部が改正され、改正不登法第63条第3項の規定により登記権利者が単独で遺贈による所有権の移転の登記を申請するときは、登記原因を証する情報(以下「登記原因証明情報」という。)として、次の情報を提供しなければならないこととされた(不動産登記令等の一部を改正する政令(令和4年政令第315号。以下「令和4年政令」という。)による改正後の不登令(以下「改正不登令」という。)別表の30の項添付情報欄ロ)。
    • 相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)
    • 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)によって所有権を取得したことを証する情報
  • 不登法の規定を準用する建設機械の登記(建設機械登記令(昭和2

9年政令第305号)第16条第1項)及び船舶の登記(製造中の船舶の登記を除く。船舶登記令(平成17年政令第11号)第35条第1項)についても、添付情報に関する所要の整備がされた(令和4年政令による改正後の建設機械登記令別表の8の項添付情報欄ロ、船舶登記令別表1の8の項添付情報欄ロ)。

  • 改正不登法第63条第3項の規定は、当該規定に係る改正法の施行の日(令和5年4月1日)以後にされる登記の申請について適用することとされた(改正法附則第5条第1項)。

2 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化

  • 買戻しの特約に関する登記の抹消
    • 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、その買戻しの特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、不登法第60条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができることとされた(改正不登法第69条の2)。
    • これに伴い、不登令の一部が改正され、改正不登法第69条の2の規定により登記権利者が単独で買戻しの特約に関する登記の抹消を申請する場合には、登記原因証明情報を提供することを要しないこととされた(改正不登令第7条第3項第1号)。
    • 改正不登法第69条の2の規定により登記権利者が単独でする買戻しの特約に関する登記の抹消の申請において、申請情報の内容とする登記原因は、「不動産登記法第69条の2の規定による抹消」とするものとし、登記原因の日付を要しない。
    • 登記官は、改正不登法第69条の2の規定による申請に基づく買戻しの特約に関する登記の抹消を完了した場合には、当該登記の登記名義人であった者に対し、登記が完了した旨を通知しなければならないこととされた(不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和5年法務省令第6号。以下「令和5年法務省令」という。)による改正後の不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「改正不登規則」という。)第183条第1項第3号)。

この通知の様式等については、令和5年3月28日付け法務省民二第534号当職通達による改正後の不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号当職通達。以下「改正不登準則」という。)によるものとし(改正不登準則第117条、第118条第14号)、当該登記の登記名義人であった者の登記記録上の住所に宛てて通知書を発送するものとする。

  • 登記の記録は、別紙1の振り合いによるものとする。
    • 改正不登法第69条の2の規定は、当該規定に係る改正法の施行の日(令和5年4月1日)以後にされる登記の申請について適用することとされた(改正法附則第5条第1項)。
  • 除権決定による登記の抹消等
  • 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第99条に規定する公示催告の申立てをすることができることとされ(改正不登法第70条第1項)、この適用対象となる所在が知れない者として、登記義務者である登記名義人のほか、その相続人その他の一般承継人が該当することが明確化された。
  • 改正不登法第70条第1項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合であって、当該登記の抹消の申請に係る登記権利者において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用することとした上で(改正不登法第70条第2項)、改正不登法第70条第1項及び第2項の場合において、非訟事件手続法第106条第1項に規定する除権決定があったときは、不登法第60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で改正不登法第70条第1項の登記の抹消を申請することができることとされた(改正不登法第70条第3項)。
  • 不登法第70条の改正に伴い、不登令において所要の整備がされ(改正不登令別表の26の項添付情報欄)、また、不登法の規定を準用する建設機械の登記(建設機械登記令第16条第1項)、船舶の登記(船舶登記令第35条第1項・第2項)及び農業用動産の抵当権の登記(農業用動産抵当登記令(平成17年政令第25号)第18条)についても、所要の整備がされた(令和4年政令による改正後の建設機械登記令第16条第1項、同登記令別表の5の項添付情報欄、船舶登記令第35条第1項・第2項、同登記令別表1の5の項添付情報欄・別表2の14の項添付情報欄、農業用動産抵当登記令第18条、同登記令別表の16の項添付情報欄)。
  • 改正不登法第70条第2項の「相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法」は、次の措置をとる方法とすることとされた(改正不登規則第152条の2)。

一 改正不登法第70条第2項に規定する登記の抹消の登記義務者(以下このエの項目において単に「登記義務者」という。)が自然人である場合

ⅰ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の

①から⑤までに掲げる措置

  • 登記義務者が記録されている住民基本台帳、除票簿、戸籍簿、除籍簿、戸籍の附票又は戸籍の附票の除票簿(以下「住民基本台帳等」という。)を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書、除票の写し又は除票記載事項証明書、戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書並びに戸籍の附票の写し及び戸籍の附票の除票の写し(以下「住民票の写し等」という。)の交付の請求
    • ①の措置により登記義務者の死亡が判明した場合には、登記義務者が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求
    • ②の措置により登記義務者の相続人が判明した場合には、当該相続人が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する当該相続人の戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求
    • ③の措置により登記義務者の相続人の死亡が判明した場合には、当該相続人についてとる②及び③に掲げる措置
    • ①から④までの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が判明した場合には、当該者が記録されている住民基本台帳又は戸籍の附票を備えると思料される市町村の長に対する当該者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書及び戸籍の附票の写し(①の措置により交付の請求をしたものを除く。)の交付の請求

ⅱ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の①及び②に掲げる措置

  • 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(ⅰの措置により登記義務者の死亡及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)
    • ⅰの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付

二 登記義務者が法人である場合

ⅰ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の

①及び②に掲げる措置

  • 登記義務者の法人の登記簿を備えると思料される登記所の登記官に対する登記義務者の登記事項証明書の交付の請求
    • ①の措置により登記義務者が合併により解散していることが判明した場合には、登記義務者の合併後存続し、又は合併により設立された法人についてとる①に掲げる措置

ⅱ ⅰの措置により法人の登記簿に共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者(共同して登記の抹消の申請をすべき者が合併以外の事由により解散した法人である場合には、その清算人又は破産管財人。以下同じ。)として登記されている者が判明した場合には、当該代表者の調査として当該代表者が記録されている住民基本台帳等を備えると思料される市町村の長に対する当該代表者の住民票の写し等の交付の請求

ⅲ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の①及び②に掲げる措置

  • 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(ⅰの措置により登記義務者が合併により解散していること及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)
    • ⅰの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付

ⅳ ⅰ及びⅱの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者が判明した場合には、当該代表者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の①及び②に掲げる措置

  • 共同して登記の抹消の申請をすべき者の法人の登記簿上の代表者の住所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付
    • ⅰ及びⅱの措置により当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付
  • 前記イのとおり、改正不登法第70条第2項に規定する場合において、非訟事件手続法第99条に規定する公示催告の申立てがされ、同法第106条第1項に規定する除権決定があったときは、改正不登法第70条第3項の規定により、不登法第60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で改正不登法第70条第1項の登記の抹消を申請することができる。この場合には、非訟事件手続法第106条第1項に規定する除権決定があったことを証する情報が添付情報となる(改正不登令別表の26の項添付情報欄ロ)。
  • 改正不登法第70条第2項の規定は、当該規定に係る改正法の施行の日(令和5年4月1日)以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用することとされた(改正法附則第5条第2項)。

解散した法人の担保権に関する登記の抹消

ア 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、改正不登法第70条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から30年を経過し、かつ、その法人の解散の日から30年を経過したときは、不登法第60条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができることとされた(改正不登法第70条の2)。

  • これに伴い、不登令の一部が改正され、改正不登法第70条の2の規定により登記権利者が単独で先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請するときは、登記原因証明情報として、次の情報を提供しなければならないこととされた(改正不登令別表の26の項添付情報欄ホ)。
    • 被担保債権の弁済期を証する情報
    • 共同して登記の抹消の申請をすべき法人の解散の日を証する情報
    • 改正不登法第70条第2項に規定する方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人の所在が判明しないことを証する情報
  • 前記イの登記原因証明情報としては、次のようなものが該当する。
  • イの一について

金銭消費貸借契約証書、弁済猶予証書、債権の弁済期の記載がある不動産の閉鎖登記簿謄本等

  • イの二について

共同して登記の抹消の申請をすべき法人の登記事項証明書等

  • イの三について

改正不登法第70条第2項に規定する方法による調査(前記(2) エの二の方法による調査)の結果を記載した報告書(共同して登記の抹消の申請をすべき法人及びその清算人の調査の過程で収集した書類並びにこれらの者の所在調査に係る郵便記録等を添付したものをいう。以下「調査報告書」という。)

エ 改正不登法第70条の2の規定により登記権利者が単独でする先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消の申請において、申請情報の内容とする登記原因は、「不動産登記法第70条の2の規定による抹消」とするものとし、登記原因の日付を要しない。

  • 不登法の規定を準用する建設機械の登記(建設機械登記令第16条第1項)、船舶の登記(船舶登記令第35条第1項・第2項)及び農業用動産の抵当権の登記(農業用動産抵当登記令第18条)についても、所要の整備がされた(令和4年政令による改正後の建設機械登記令第16条第1項、同登記令別表の5の項添付情報欄ホ、船舶登記令第35条第1項・第2項、同登記令別表1の5の項添付情報欄ホ・別表2の14の項添付情報欄ホ、農業用動産抵当登記令第18条、同登記令別表の16の項添付情報欄へ)。
  • 前記(2)エの二ⅱの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人が死亡していることが判明した場合には、同ⅳ② の「当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合」には該当しないものとし、改正不登法第70条の2の「法人の清算人の所在が判明しない」場合に該当するものとする。
  • 前記(2)エの二ⅱの措置に関し、請求に係る共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人の住民票の除票等が廃棄等されているために、調査報告書に住民票の写し等を添付することができない場合には、不在住証明書や不在籍証明書等を調査報告書に添付するものとし、これらの証明書等の交付を受けることができない場合には、その旨を調査報告書に記載するものとする。
  • 共同して登記の抹消の申請をすべき法人が、会社法(平成17年法律第86号)第933条の規定による外国会社の登記がされていない外国会社である場合や、共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人が外国に住所を有する者である場合などであっても、前記(2)エの二の措置が行われていれば足り、外国の登録、登記制度等に基づく調査を行う必要はない。
  • 登記の記録は、別紙1の振り合いによるものとする。
  • 改正不登法第70条の2の規定は、当該規定に係る改正法の施行の日(令和5年4月1日)以後にされる登記の申請について適用することとされた(改正法附則第5条第1項)。
    • 情報の提供の求め
    • 登記官は、職権による登記をし、又は不登法第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができることとされた(改正不登法第151条)。
    • この「職権による登記」には、改正不登法第76条の4の規定に基づいてする登記官の職権による登記(所有権の登記名義人についての符号の表示。施行期日は、改正法の公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日(改正法附則第1条第3号))、不登法第28条の規定に基づいてする登記官の職権による表示に関する登記等が該当する。
    • その他

不登法第162条(検査の妨害等の罪)の改正に伴い、同規定を引用する不動産登記規則別記第4号様式(登記官の身分を証する書面)が改められた(令和5年法務省令第1条)。

第3 その他運用の見直し関係

1 法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化

  • 法定相続分での相続登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記をいう。以下同じ。)がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、所有権の更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとする。
    • 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記
    • 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
    •  特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記

四 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

  • (1)の所有権の更正の登記の申請において、申請情報の内容とする登記原因及びその日付は、次の振り合いによるものとする。

ア (1)一の場合「年月日【遺産分割の協議若しくは調停の成立した年月日又はその審判の確定した年月日】遺産分割」

イ (1)二の場合

「年月日【相続の放棄の申述が受理された年月日】相続放棄」

ウ (1)三の場合

「年月日【特定財産承継遺言の効力の生じた年月日】特定財産承継遺言」

エ (1)四の場合

「年月日【遺贈の効力の生じた年月日】遺贈」

(3) (1)の所有権の更正の登記の申請をする場合に提供する登記原因証明情報としては、次のようなものが該当する。

ア (1)一の場合

遺産分割協議書(当該遺産分割協議書に押印した申請人以外の相続人の印鑑に関する証明書を含む。)、遺産分割の審判書の謄本

(確定証明書付き)、遺産分割の調停調書の謄本

イ (1)二の場合

相続放棄申述受理証明書及び相続を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

ウ (1)三の場合

遺言書(家庭裁判所による検認が必要なものにあっては、当該検認の手続を経たもの)

エ (1)四の場合

遺言書(家庭裁判所による検認が必要なものにあっては、当該検認の手続を経たもの)

  • 登記官は、(1)の三及び四の登記(所有権の更正の登記)の申請(登記権利者が単独で申請するものに限る。)があった場合には、登記義務者に対し、当該申請があった旨を通知しなければならないこととされた(改正不登規則第183条第4項)。

この通知の様式等については、改正不登準則によるものとし(改正不登準則第117条、第118条第15号)、当該申請の調査完了後、速やかに登記義務者の登記記録上の住所に宛てて通知書を発送するものとする。

なお、登記官において、当該通知後に、登記義務者からの求め等に応じ、登記手続の処理を中止・停止することを要しない。

  • 建設機械の登記(建設機械登記規則(平成17年法務省令第30号))及び船舶の登記(製造中の船舶の登記を除く。船舶登記規則(平成17年法務省令第27号))についても、所要の整備がされた(令和5年法務省令による改正後の建設機械登記規則第35条、船舶登記規則第49条)。
  • (1)の所有権の更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾がなければ申請することができないことなどは、従前のとおりである(不登法第66条、第68条等)。
  • 登記の記録は、別紙2の振り合いによるものとする。
  • 本取扱いは、令和5年4月1日以後にされる登記の申請から実施するものとする。

2 胎児を相続人とする相続による所有権の移転の登記手続の見直し

  • 胎児を相続人とする相続による所有権の移転の登記の申請において、申請情報の内容とする申請人たる胎児の表示は、「何某(母の氏名)胎児」とするものとする。
  • 登記の記録は、別紙3の振り合いによるものとする。
  • 本取扱いは、令和5年4月1日以後にされる登記の申請から実施するものとする。

別紙1

<不動産登記法第69条の2の規定による抹消>

(注)1 買戻権の登記の抹消は主登記でする。

2 買戻しの特約に関する登記を抹消する記号(下線)を記録する。

<不動産登記法第70条の2の規定による抹消>

(注)1 抵当権の登記を抹消する記号(下線)を記録する。

2 先取特権及び質権の登記の抹消の登記の記録は、この記録例に準ずる。

別紙2

  • 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記の場合

(注)更正前の共有者を抹消する記号(下線)を記録する。

  • 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記の場合

(注)更正前の共有者を抹消する記号(下線)を記録する。

特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記の場合

(注)更正前の共有者を抹消する記号(下線)を記録する。

相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記の場合

(注)更正前の共有者を抹消する記号(下線)を記録する。

別紙3

  • 所有権の移転の登記(胎児の相続)

参考

登記研究 461号 118頁  1986年6月30日 【第六部 質疑応答】 〔六七二九〕代位による相続登記完了後に相続放棄をした者がいる場合の登記申請人

登記研究 462号 116頁、1986年7月30日 【第六部質疑応答】 〔六七三六〕包括遺贈による登記の申請人

加工令和5年3月28日法務省民二第533号民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(民法改正関係)(通達)

令和5年3月28日法務省民二第533号民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(民法改正関係)(通達)

本通達に抵触する従前の取扱いは、この通達により変更

第1 共有に関する規律の見直し

1 共有物の軽微変更

(1)共有者が共有物に変更を加ええる行為であっても、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(以下「軽微変更」という。)については、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することとされた(改正民法第251条第1項、第252条第1項)。

  • 分筆又は合筆の登記については、前記(1)の軽微変更に該当し、分筆又は合筆の登記を申請しようとする土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人(不登法第39条第1項)の持分の価格に従い、その合計が過半数となる場合には、これらの者が登記申請人となって分筆又は合筆の登記を申請することができ、それ以外の共有者らが登記申請人となる必要はない(改正民法第252条の2第1項に規定する共有物の管理者が代理人となって登記申請をする場合については、後記5のとおり。)。
  • 登記官は、登記申請人となった共有者らの有する持分の価格に従った合計が過半数であることを登記記録で確認することになる。
  • 所有権の登記がある土地の合筆の登記申請時に提供を要する登記識別情報(不登令第8条第2項第1号)は、登記申請人に係るもののみで足りる。
  • 登記官は登記の完了後、登記申請人にならなかった共有者全員に対し、不登規則第183条第1項第1号に基づき登記が完了した旨を通知するものとする(同条第2項の規定にかかわらず、登記申請人にならなかった共有者全員に通知するものとする。)。
  • 区分所有法の適用がある建物の敷地(以下「区分所有敷地」という。)の分筆の登記についても、上記と同様に取り扱うものとする(区分所有法第25条第1項に規定する管理者が代理人となって登記申請をする場合については、後記5のとおり。)。

2 所在等不明共有者がいる場合の共有物の変更

  • 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者(以下「所在等不明共有者」という。)以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができることとされた(改正民法第251条第2項)。
  • 前記(1)の裁判に基づいて共有物に変更が加えられ、これに基づいて当該共有物の変更に係る登記の申請をする場合、具体的には、後記3(1) アからエまでに掲げる期間を超える賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下「長期の賃借権等」という。)を設定し、当該長期の賃借権等の設定の登記(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定の登記としては、地上権の設定の登記、永小作権の設定の登記、地役権の設定の登記、賃借権の設定の登記及び採石権の設定の登記がある。以下同じ。)を申請する場合には、改正民法第251条第2項の趣旨から、所在等不明共有者以外の共有者全員が登記申請人となり(所在等不明共有者は登記申請人とはならないが、登記義務者としてその氏名又は名称及び住所を申請情報の内容とする必要がある。)、確定裁判に係る裁判書の謄本及び請求を行った共有者が所在等不明共有者以外の他の共有者全員の同意を得て共有物(不動産)に長期の賃借権等を設定したこと(所在等不明共有者以外の共有者全員が契約当事者になる場合と、その一部が契約当事者になる場合がある。)を証する情報が、登記原因を証する情報(以下「登記原因証明情報」という。)となる。
  • 登記官は、登記の完了後、所在等不明共有者に対して登記が完了した旨を通知することを要しない。

3 共有物の管理(短期の賃借権等の設定)

  • 共有者が、共有物に次のアからエまでに掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利であって、次のアからエまでに掲げる期間を超えないもの(以下「短期の賃借権等」という。)を設定することについては、共有物の管理に関する事項の規律に基づいて各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することとされた(改正民法第252条第4項)。

ア 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 10年

イ アに掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 5年

ウ 建物の賃借権等 3年

エ 動産の賃借権等 6か月

  • 前記(1)の過半数で決するところにより短期の賃借権等が設定され(当該過半数による決定を行った共有者全員が契約当事者になる場合と、その一部が契約当事者になる場合がある。)、これに基づいて当該短期の賃借権等の設定の登記を申請する場合には、改正民法第252条第4項の趣旨から、各共有者の持分の価格に従い、その過半数を有する共有者らが登記申請人となれば足りる(当該共有者ら以外の共有者らは、登記申請人とはならないが、登記義務者としてその氏名又は名称及び住所を申請情報の内容とする必要がある。)。また、当該過半数で決するところにより短期の賃借権等が設定されたことを証する情報が登記原因証明情報となる。この場合には、登記官は、登記申請人となった共有者らの有する持分の価格に従った合計が過半数であることを登記記録で確認することになる。
  • 登記官は、登記の完了後、登記申請人にならなかった共有者全員に対し、不登規則第183条第1項第2号の場合に準じて登記が完了した旨を通知するものとする(同条第2項の規定にかかわらず、登記申請人にならなかった共有者全員に通知するものとする。)。

4 所在等不明共有者等がいる場合の共有物の管理

  • 裁判所は、①共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、②共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないときは、当該①又は②の他の共有者(以下この項において「所在等不明共有者等」という。)以外の共有者の請求により、当該所在等不明共有者等以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができることとされた(改正民法第252条第2項)。
  • 前記(1)の裁判に基づいて所在等不明共有者等以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で決するところにより短期の賃借権等が設定され(当該過半数による決定を行った共有者全員が契約当事者になる場合と、その一部が契約当事者になる場合がある。)、これに基づいて当該短期の賃借権等の設定の登記を申請する場合には、改正民法第252条第2項の趣旨から、所在等不明共有者等以外の共有者のうち、各共有者の持分の価格に従い、その過半数を有する共有者らが登記申請人となれば足り(当該共有者ら以外の共有者らは登記申請人にはならない。)、確定裁判に係る裁判書の謄本及び所在等不明共有者等以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で決するところにより短期の賃借権等が設定されたことを証する情報が、登記原因証明情報となる。この場合には、登記官は、登記申請人となった共有者らの有する持分の価格に従った合計が過半数であることを登記記録で確認することになる。なお、登記申請人とはならなかった共有者らについても、登記義務者としてその氏名又は名称及び住所を申請情報の内容とする必要がある。
  • 登記官は、登記の完了後、所在等不明共有者に対して登記が完了した旨を通知することを要しないが、所在等不明共有者以外で登記申請人にならなかった共有者全員に対し、不登規則第183条第1項第2号の場合に準じて登記が完了した旨を通知するものとする(同条第2項の規定にかかわらず、所在等不明共有者以外で登記申請人にならなかった共有者全員に通知するものとする。)。

5 共有物の管理者等

  • 共有物の管理者の選任等

共有物の管理者の選任及び解任は、共有物の管理に関する事項として、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することとされた(改正民法第252条第1項)。選任された共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができるが、共有物に変更(軽微変更を除く。以下同じ。)を加えることについては、共有者の全員の同意を得なければならないこととされた(改正民法第252条の2第1項)。

また、共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該所在等不明共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができることとされた(同条第2項)。

  • 分筆又は合筆の登記
    • 共有物の管理者が共有物について分筆又は合筆の登記を申請する場合には、管理者を選任した共有者らが登記申請人となり、それ以外の共有者らは登記申請人となる必要はない。当該共有物の管理者が分筆又は合筆の登記の申請をする場合には、管理者を選任した共有者らの代理人として行うものと解される。この場合には、法定の要件(改正民法第252条第1項)を満たしていることを担保するため、共有持分の価格を合算して過半数となる表題部所有者又は所有権の登記名義人が登記申請人となることを要する。
    • 前記(1)の過半数による決定により共有物の管理者を選任したことを証する情報が、代理人の権限を証する情報となる(これとは別に登記申請について代理権を授与したことを証する情報の提供は要しない。)。この場合には、登記官は、登記申請人となった共有者らの有する持分の価格に従った合計が過半数であることを登記記録で確認することになる。

→士業が登記申請の代理を行う場合は、共有者の管理者か、共有者の管理者を選任した共有者全員と委任契約を行う。

なお、分筆の登記を申請する場合には、代理人の権限を証する情報に印鑑証明書の添付は不要であるが、共有物の管理者を選任した共有者らの押印を要し、合筆の登記を申請する場合には、共有物の管理者を選任した共有者らの押印及び作成後3か月以内の印鑑証明書の添付(電子申請の場合にあっては電子署名及び不登規則第43条第1項各号に規定する電子証明書の提供。以下同じ。)を要する。

  • 登記官による登記が完了した旨の通知については、前記1(5)と同様に取り扱うものとする。
  • 区分所有敷地の分筆の登記
    • 区分所有法第39条第1項及び第17条第1項に基づき、集会において、区分所有敷地の分筆の登記申請行為を区分所有法第25条第1項所定の管理者に行わせることについて区分所有者及び議決権の各過半数(規約に別段の定めがある場合には、その定めによる割合。以下同じ。)による決議がされた場合において、当該管理者が当該決議に基づいて区分所有敷地の分筆を申請する場合には、当該集会決議を行った区分所有者らが登記申請人となり、それ以外の区分所有者らは登記申請人となる必要はない。当該管理者は、当該集会決議を行った区分所有者らの代理人となると解される。この場合には、法定の要件(区分所有法第39条第1項及び第17条第1項)を満たしていることを担保するため、区分所有者及び議決権の各過半数の者(表題部所有者又は所有権の登記名義人)が登記申請人となることを要する。
    • 一筆の土地のどの部分を分割するかという区画決定行為及び区分所有敷地の分筆の登記申請行為を管理者に行わせることについて決定された旨の内容が明らかにされた集会決議の議事録が、代理人の権限を証する情報となる(これとは別に登記申請について代理権を授与したことを証する情報の提供は要しない。)。この場合には、登記官は、区分所有者及び議決権の各過半数の者が登記申請人となっていることを登記記録で確認することになる。

   なお、集会決議の議事録は、区分所有法第42条第3項により議長及び集会に出席した区分所有者の二人の署名を要するとされているが、登記申請に当たってはその印鑑証明書の添付は不要である。おって、集会決議の議事録が電磁的記録で作成されている場合において、書面申請の方法により登記申請をするときは、不登令第15条に規定する磁気ディスク(不登規則第52条第1項に規定する電子署名を含む。)及び同条第2項所定の電子証明書の提供を要する。

  • 登記官による登記が完了した旨の通知については、前記1(5)と同様に取り扱うものとする。
  • 短期の賃借権等の設定
    • 共有物の管理者が、共有物について短期の賃借権等を設定し(管理者自らが契約当事者になる場合と、共有者の全部又はその一部が契約当事者になり、管理者がこれらの者から委任を受けて契約を締結する場合がある。)、当該短期の賃借権等の設定の登記を申請する場合には、管理者を選任した共有者らが登記申請人となり(それ以外の共有者らは、登記申請人とはならないが、登記義務者としてその氏名又は名称及び住所を申請情報の内容とする必要がある。)。当該共有物の管理者は、管理者を選任した共有者らの代理人となって申請をすることになると解される。
    • 過半数による決定により共有物の管理者を選任したことを証する情報が、代理人の権限を証する情報(共有物の管理者を選任した共有者らの押印及び作成後3か月以内の印鑑証明書の添付がされたもの)となる(これとは別に登記申請について代理権を授与したことを証する情報の提供は要しない。)。この場合には、登記官は、登記申請人となった共有者らの有する持分の価格に従った合計が過半数であることを登記記録で確認することになる。
    • 登記官は、登記申請人にならなかった共有者全員に対し、不登規則第183条第1項第2号の場合に準じて登記が完了した旨を通知するものとする(同条第2項に規定にかかわらず、登記申請人にならなかった共有者全員に通知するものとする。)。
  • 長期の賃借権等の設定

共有物の管理者が共有物について長期の賃借権等を設定し(管理者自らが契約当事者になる場合と、共有者の全部又はその一部が契約当事者になり、管理者がこれらの者から委任を受けて契約を締結する場合がある。)、当該長期の賃借権等の設定の登記を申請する場合には、共有者全員が登記申請人となり、管理者がその代理人となって申請をすることになる。この場合には、上記(4)の代理人の権限を証する情報として挙げたものに加えて、各共有者が共有物について長期の賃借権等を設定したことに同意したことを証する情報(作成者の押印及び作成後3か月以内の印鑑証明書の添付がされたもの)が代理人の権限を証する情報として必要となる(不登令第18条)。

  • 所在等不明共有者以外の共有者らの同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判があった場合における不動産登記の取扱い

共有物の管理者の請求により前記(1)の所在等不明共有者以外の共有者らの同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判があった場合における不動産登記の取扱いは、前記(5)及び所在等不明共有者がいる場合の共有物の変更(前記2)における取扱いと基本的に同様であるが、当該裁判に関する確定裁判に係る裁判書の謄本は、過半数による決定により共有物の管理者を選任したことを証する情報を兼ねることができる。

  • 裁判による共有物の分割

裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができることとされた(改正民法第258条第2項)。

  • 共有物の現物を分割する方法
    • 共有物に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法

裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができることとされた(改正民法第258条第4項)。

なお、共有物の分割の裁判に係る従前の不動産登記事務の取扱いに変更はない。

  • 所在等不明共有者の持分の取得
  • 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該所在等不明共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができることとされた(改正民法第262条の2第1項前段)。この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求した各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させることとされた(同項後段)。この規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用することとされた(同条第5項)。
  • 前記(1)の請求をした共有者に所在等不明共有者の持分を取得させる裁判があり、当該裁判に基づいて当該持分の移転の登記の申請がされた場合には、当該持分を取得した共有者は、当該所在等不明共有者の代理人となると解される。また、確定裁判に係る裁判書の謄本が代理人の権限を証する情報及び登記原因証明情報となる。この場合において、登記原因は「年月日民法第262条の2の裁判」と記載し、登記原因の日付は当該裁判が確定した日(当該裁判がされた日ではない。)とする。

なお、登記識別情報を提供することを要しない。

おって、所在等不明共有者が死亡していることは判明したが、戸除籍の廃棄等により、その相続人のあることが明らかでない場合には、当該持分の移転の登記の前提として、当該死亡した所有権の登記名義人の氏名変更の登記(相続財産法人名義への変更登記)をする必要がある。この登記の申請は、所在等不明共有者の相続財産法人が登記申請人となり、当該持分を取得した共有者が、その代理人となって行うことになる。この場合には、当該持分が相続財産法人に帰属する旨が記載された確定裁判に係る裁判書の謄本が代理人の権限を証する情報及び登記名義人の氏名変更を証する情報となる。

8 所在等不明共有者の持分の譲渡

  • 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該所在等不明共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができることとされた(改正民法第262条の3第1項)。この規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用することとされた(同条第4項)。

また、所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後2か月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失うこととされた。ただし、この期間は、裁判所において伸長することができることとされた(改正非訟法第88条第3項)。

  • 前記(1)の裁判があり、当該裁判に基づいて所在等不明共有者の持分全部の移転の登記の申請がされた場合には、請求を行った共有者は、所在等不明共有者の代理人となると解され、確定裁判に係る裁判書の謄本が代理人の権限を証する情報となる。

また、所在等不明共有者の持分全部の移転の登記の登記原因の日付は、当該裁判が効力を有する期間内である必要があるため、登記官は、当該登記原因の日付が当該裁判の確定後(当該裁判をした日を基準とするのではない。)2か月以内(裁判所による期間の伸長があったことを証する情報が提供された場合には、当該伸長された期間内)であるかを確認しなければならない。これらの期間内でない登記原因の日付による登記の申請は、不登法第25条第13号及び不登令第20条第8号の規定により却下しなければならない。これに対し、所在等不明共有者の持分全部の移転の登記の申請を上記期間内にする必要はない。

なお、登記識別情報の提供をすることを要しない。

これに対し、対象不動産が農地である場合には、農地法(昭和27年法律第229号)所定の許可を証する書面の添付を要することは、従前のとおりである。

また、所在等不明共有者が死亡していることは判明したが、戸除籍の廃棄等により、その相続人のあることが明らかでない場合には、当該持分全部の移転の登記の前提として、当該死亡した所有権の登記名義人の氏名変更の登記(相続財産法人名義への変更登記)をする必要がある。この申請は、所在等不明共有者の相続財産法人が登記申請人となり、請求を行った共有者がその代理人となって行うことになる。この場合には、当該持分が相続財産法人に帰属する旨が記載された確定裁判に係る裁判書の謄本が代理人の権限を証する情報及び登記名義人の氏名変更を証する情報となる。

第2 所有者不明土地管理命令又は所有者不明建物管理命令

1 所有者不明土地管理命令

  • 所有者不明土地管理命令の登記
    • 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができることとされた(改正民法第264条の2第1項)。また、裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならないこととされた(同条第4項)。さらに、所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならないこととされた

(改正非訟法第90条第6項)。

  • 所有者不明土地管理命令の登記の記録例は、別紙の1(1)及び3のとおりとする。
    • 所有権の登記名義人が死亡し、相続登記が未了である場合において、その相続人が所有者となった土地又は共有持分について所有者不明土地管理命令がされたときは、所有者不明土地管理命令の登記をするためには、その前提として、相続登記をする必要がある。この相続登記の申請は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分に係る相続人が登記申請人となり、所有者不明土地管理人がその代理人となって行うことになる。この場合には、裁判所に提出された戸籍関係書類の裁判所書記官の認証に係る謄本を、相続を証する情報として取り扱うことができるものとする。また、裁判所書記官の作成に係る所有者不明土地管理人選任及び印鑑証明書(共有に関する非訟事件及び土地等の管理に関する非訟事件に関する手続規則(令和4年最高裁判所規則第13号)第14条。以下「管理人の印鑑証明書」という。)又は所有者不明土地管理命令の裁判書謄本が代理人の権限を証する情報となる。

なお、所有者不明土地管理命令の対象である土地又は共有持分に係る所有権の登記名義人が死亡していることは判明したが、戸除籍の廃棄等により、その相続人のあることが明らかでない場合には、所有者不明土地管理命令の登記をする前提として、当該死亡した所有権の登記名義人の氏名変更の登記(相続財産法人名義への変更登記)をする必要がある。この登記名義人の氏名変更の登記の申請は、所有権の登記名義人の相続財産法人が登記申請人となり、所有者不明土地管理人がその代理人となって行うことになる。そして、管理人の印鑑証明書又は所有者不明土地管理命令の裁判書謄本が代理人の権限を証する情報となる。

この場合において、所有者不明土地管理命令の決定書からその変更の事実が明らかとならないときは、所有者不明土地管理人作成の報告書(変更があったことを具体的に証する内容のもので、所有者不明土地管理人が記名押印したものに限る。また、管理人の印鑑証明書の添付を要する。)を当該登記名義人の氏名について変更があったことを証する情報として取り扱うものとする。

  • 所有者不明土地管理命令の登記は、所有権の処分の制限の登記に該当するため、所有者不明土地管理命令の登記の嘱託がされた土地に表題登記がない場合又は所有権の登記がない場合には、登記官は、職権で、表題登記及び所有権の保存の登記をしなければならない(不登法第76条第2項及び第3項)。この場合における登記の記録例は、別紙の4及び5のとおりとする。

なお、所有者不明土地管理命令がされた土地について表題登記がなく、その所有者を知ることができないときは、裁判所の嘱託情報の内容に従い、表題部所有者や所有権の登記名義人の氏名又は住所を「住所不明 氏名不詳」などと登記するものとする。

おって、表題登記がない土地又は所有権の登記がない土地について所有者不明土地管理命令の登記がされたとしても、所在等が不明である土地の所有者に対しては、不登規則第184条第1項の規定による通知を行う必要はない。

  • 所有者不明土地管理命令の登記は、上記エのとおり、「処分の制限の登記」に該当し、当該登記の登録免許税は、不動産の価額の1000分の4となる(登録免許税法(昭和42年法律第35号)別表第一の一の項(五)、第11条第1項)。
  • 所有者不明土地管理命令の取消し等
  • 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができることとされた(改正非訟法第90条第9項)。また、裁判所は、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならないこととされた(同条第10項)。

所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならないこととされた(同条第7項)。

  • 所有者不明土地管理命令の登記の抹消の記録例は、別紙の1(2)のとおりとする。
  • 所有者不明土地管理命令の変更の例としては、所有者不明土地管理命令がされた後、対象である共有持分に係る共有者の一部が判明したため、所有者不明土地管理命令の対象となる共有持分の範囲及び割合を変更する場合等がある。この場合には、裁判所書記官から、所有者不明土地管理命令の登記の変更の嘱託がされることになる。

なお、この場合には、所有者不明土地管理命令の登記の変更の前提として、所有権の更正の登記をする必要がある。

  • 所有者不明土地管理命令の変更の登記の記録例は、別紙の6のとおりとする。

(3) 所有者不明土地管理人の権限

  • 所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属することとされた(改正民法第264条の3第1項)。また、所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならないこととされた(同条第2項)。
    • 保存行為
    • 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
  • 所有者不明土地管理人は、裁判所の許可を得て、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分を売却することができる。この場合には、売買を登記原因とする所有権移転の登記の申請は、当該土地又は共有持分に係る所有権の登記名義人が登記義務者となり、所有者不明土地管理人がその代理人となって、買受人と共同して行うことになる。この場合には、代理人の権限を証する情報及び印鑑証明書として管理人の印鑑証明書が、承諾を証する情報として当該売却についての裁判所の許可に係る裁判書の謄本が、それぞれ必要となる。

なお、登記識別情報を提供することを要しない。

2 所有者不明建物管理命令

裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人による管理を命ずる処分(以下「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができることとされた(改正民法第264条の8第1項)。また、裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならないこととされた(同条第4項)。さらに、所有者不明建物管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分について、所有者不明建物管理命令の登記を嘱託しなければならないこととされた(改正非訟法第90条第16項において準用する同条第6項)。

所有者不明建物管理命令の登記、所有者不明土地管理命令の取消し(改正非訟法第90条第16項において準用する同条第9項及び第10項)及びその登記(改正非訟法第90条第16項において準用する同条第7項)、登録免許税並びに所有者不明建物管理人の権限(改正民法第264条の8第5項において準用する改正民法第264条の3)等については、所有者不明土地管理命令の場合(前記1)と同様である。

なお、所有者不明建物管理命令の登記及びその抹消の記録例は、別紙の

2のとおりとする。

第3 管理不全土地管理命令又は管理不全建物管理命令

1 管理不全土地管理命令

  • 裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全土地管理命令」という。)をすることができることとされた(改正民法第264条の9第1項)。また、裁判所は、管理不全土地管理命令をする場合には、当該管理不全土地管理命令において、管理不全土地管理人を選任しなければならないこととされた(同条第3項)。この場合において、管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有することとされた(改正民法第264条の10第1項)。さらに、管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならないこととされた(同条第2項)。
    • 保存行為
    • 管理保全土地等の性質を変えない範囲において、その利用又は改良を目的とする行為

また、管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分について、裁判所が上記許可をするには、その所有者の同意がなければならないとされた(同条第3項)。

  • 所有者不明土地管理命令と異なり、管理不全土地管理命令があった場合であっても、管理不全土地管理命令の登記はされない。

管理不全土地管理人が、裁判所の許可を得て、管理不全土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分を処分した場合の登記の申請の取扱いについては、所有者不明土地管理命令の場合と基本的に同様である。

なお、管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分に係る登記の申請については、裁判所の許可に係る裁判書の謄本とは別に、所有者の同意があったことを証する情報を添付情報とすることは要しない。

2 管理不全建物管理命令

裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全建物管理命令」という。)をすることができることとされた(改正民法第264条の14第1項)。また、裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならないとされた(同条第3項)。この場合における管理不全土地管理人の権限(改正民法第264条の14第4項において準用する改正民法第264条の10)及び管理不全建物管理人が、裁判所の許可を得て、管理不全建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分を処分した場合等の取扱いについては、管理不全土地管理命令の場合と基本的に同様である。

別紙 記録例

1 所有者不明土地管理命令

  • 嘱託の登記

裁判所書記官の職権による登記の嘱託。

登録免許税は、不動産の価額の1000分の4。

・前提として、相続登記をする必要がある場合

登記申請人・・・所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分に係る相続人

登記申請代理人・・・所有者不明土地管理人

相続を証する情報・・・裁判所に提出された戸籍関係書類の裁判所書記官の認証に係る謄本

代理人の権限を証する情報・・・裁判所書記官の作成に係る所有者不明土地管理人選任及び印鑑証明書(共有に関する非訟事件及び土地等の管理に関する非訟事件に関する手続規則(令和4年最高裁判所規則第13号)第14条。以下「管理人の印鑑証明書」という。)又は所有者不明土地管理命令の裁判書謄本

・前提として氏名変更の登記(相続財産法人名義への変更登記)をする必要がある場合

登記申請人・・・所有権の登記名義人の相続財産法人

登記申請代理人・・・所有者不明土地管理人

代理人の権限を証する情報・・・管理人の印鑑証明書又は所有者不明土地管理命令の裁判書謄本

登記名義人の氏名について変更があったことを証する情報・・・決定書からその変更の事実が明らかとならないときは、所有者不明土地管理人作成の報告書(変更があったことを具体的に証する内容のもので、所有者不明土地管理人が記名押印したものに限る。また、管理人の印鑑証明書の添付を要する。)。

(2)抹消の嘱託の登記

裁判所書記官の職権による登記の嘱託。

登録免許税 不動産の個数1個につき1,000円。登録免許税法別表第一(十五)

2 所有者不明建物管理命令 嘱託の登記

嘱託の登記

抹消の嘱託の登記

(3)一部の共有持分について管理命令がされた場合

所有権の登記のない不動産に管理命令がされた場合

4管理命令がされた不動産が未登記であり、その所有者が不明な場合

管理命令がされた不動産の共有持分について、その後共有持分の一部の共有者が判明した場合

裁判所書記官による登記の変更の嘱託

前提として、所有権の更正の登記。

登記申請人は?

参考

昭和39年1月23日最高裁判所第一小法廷判決

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=74424

共有土地を賃貸する行為は、民法第二五二条にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」にあたる。

登記研究 720号 110頁 平成19年10月15日 法務省民二第2205号 民事局民事第二課長通知 担保権の登記がある土地又は建物について合筆の登記又は建物の合併の登記がされた後、当該担保権の登記名義人を登記義務者として登記の申請をする場合に提供すべき登記識別情報について

不動産登記規則183条2項

登記研究 197号 35頁 昭和39年2月28日 民事甲第422号 通達 相続人不存在のため「相続財産」たる法人名義に登記する場合の添付書類について

登記研究 382号 51頁 昭和54年9月4日 法務省民三第4503号 民事局第三課長通知 不動産登記記載例の改正について

権 利 部 (甲区)The rights Department(所有権に関する事項)
(The matters related to ownership)
登 記 の 目 的The purpose of registration. 受付年月日・受付番号
The receipt Date/Receipt Number. 権 利 者 そ の 他 の 事 項The titleholder Other matters.
所有者不明土地管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
The land Management Order for Land with Unknown Owner. 第何号 部)決定The cause, The date,The court,
The decision.

権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
所有者不明土地管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
第何号 部)決定
2番所有者不明土地管理命令抹消 令和何年何月何日 原因 令和6年6月13日何地方裁判所(支
The cancellation of land management order for land with unknown owner. 第何号 部)取消決定The revocation order.

権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
2 所有者不明建物管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
The order to manage building with unknown owner. 第何号 部)決定
(2) 抹消の嘱託の登記
権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
2 所有者不明建物管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
第何号 部)決定
3 2番所有者不明建物管理命令抹消 令和何年何月何日 原因 令和6年6月13日何地方裁判所(支
第何号 部)取消決定

権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
所有権移転 令和何年何月何日 原因 令和何年何月何日相続
第何号 共有者
A市B町3番地
持分3分の1乙 某
C市D町1番地
3分の1丙 某
A市B町3番地
3分の1丁 某
丙某持分所有者不明土地管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
第何号 部)決定

表 題 部 (主である建物の表示) 調製 余 白 不動産番号 1234567890123
所在図番号 余 白
所 在 甲市乙町二丁目 8番地 余 白
家屋番号 8番の5 余 白
① 種 類 ② 構 造 ③ 床 面 積 ㎡ 原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅 木造かわらぶき平家建 76 00 平成何年何月何日新築
所 有 者 A市B町3番地 甲 某
権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
1 所有権保存 余 白 所有者 A市B町3番地甲 某
令和何年何月何日順位2番の所有者不明建物管理命令の登記をするため登記
The registered in order to register the owner unknown building management order of rank 2.
2 所有者不明建物管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
第何号 部)決定

4管理命令がされた不動産が未登記であり、その所有者が不明な場合
表 題 部 (主である建物の表示) 調製 余 白 不動産番号 1234567890123
所在図番号 余 白
所 在 甲市乙町二丁目 8番地 余 白
家屋番号 8番の5 余 白
① 種 類 ② 構 造 ③ 床 面 積 ㎡ 原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅 木造かわらぶき平家建 76 00 所有者不明建物管理命令の登記をするため
〔令和何年何月何日〕
権 利 部 (甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
1 所有権保存 余 白 所有者 住所不明氏名不詳
令和何年何月何日順位2番の所有者不明建物管理命令の登記をするため登記
To register an owner-unknown building control order.
2 所有者不明建物管理命令 令和何年何月何日 原因 令和6年4月10日何地方裁判所(支
第何号 部)決定

表 題 部 (土地の表示) 調製 余 白 不動産番号 1234567890123
地図番号 A11-1 筆界特定 余 白
所 在 甲市乙町二丁目 余 白
① 地 番 ② 地 目 ③ 地 積 ㎡ 原因及びその日付〔登記の日付〕
31番 原野 3300 00
所 有 者 甲 某ほか2名
順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項

付記1号 所有権保存 余 白 共有者甲市乙町二丁目1番5号
持分3分の1甲 某
住所不明3分の2氏名不詳
令和何年何月何日順位2番の所有者不明土地管理命令登記をするため登記
1番所有権更正 令和何年何月何日 原因 錯誤
第何号 共有者
甲市乙町二丁目1番5号
持分3分の1甲 某
甲市乙町三丁目5番5号
3分の1乙 某
住所不明3分の1氏名不詳
2 氏名不詳持分所有者不明土地管理命 令和何年何月何日 原因 令和何年何月何日何地方裁判所(支部)
付記1号 令The name of the clan is not detailed holding subowner unknown land management order Order. 第何号 決定
2番所有者不明土地管理命令変更 令和何年何月何日 原因 令和何年何月何日何地方裁判所(支部)
第何号 決定
所有者不明土地管理命令 1番付記1号氏名不詳持分

加工相続土地国庫帰属の承認申請書、審査フロー

法務省 相続土地国庫帰属制度の概要令和5年2月15日

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html#mokuji6

相続土地国庫帰属制度の審査フローの概要

国庫帰属の承認申請(法2条)

・承認申請書の提出(法3条1項)

・審査手数料の納付(法3条2項)

受付、関係省庁・地方公共団体への情報提供

法務局担当官による書面調査(法6条)

法務局担当者による実地調査(法6条2項から8項)

法務大臣・管轄法務局長による承認(行政処分)(法5条)

・承認通知

・負担金通知

負担金の納付(通知を受けてから30日以内)(法10条1項・3項)

国庫帰属(法11条1項)

・国庫帰属通知(法11条2項)

・所有権移転登記嘱託

<本人が単独で申請書を作成する場合の記載例>

相続土地国庫帰属の承認申請書

令和 年 月  日

       】法務局長殿

(提出先:【       】法務局)

1承認申請者 

氏名【                 

住所【                 

2承認申請に係る土地(登記記録上の記載)

所在 【                 

地番【                 

地目【                 

地積【                 】㎡

3承認申請に係る土地の所有権登記名義人(又は表題部所有者)

氏名【                   

住所【                   

1の承認申請者と同じ場合は、「1と同じ」と記載

添付書類

(必須書面)

□(1)承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面

※国土地理院地図又は登記所備付地図等に、申請者が認識している土地の所有権の範囲をマーキングして明示する方法で作成することが可能。

□(2)承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

※上記図面に、撮影した各境界点の場所を記入し、撮影した写真がどの境界点を示しているか、法務局が理解できるようにする。

□(3)承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真

※近景・遠景の写真など土地の状況(承認申請に係る土地における建物や工作物の有無など)が分かる最新の写真を複数枚準備する。

□(4)申請者の印鑑証明書(市区町村作成)

(遺贈によって土地を取得した相続人の必須書面)

□(5)相続人が遺贈を受けたことを証する書面

(承認申請者と所有権登記名義人が異なる場合の必須書面)

□(6)土地の所有権登記名義人(or表題部所有者)から相続又は一般承継があったことを証する書面

(任意書面)

□固定資産税評価額証明書

※ 土地の使用状況(種目)を確認する際に参考とするため、任意で添付を求めるもの。

□承認申請土地の境界等に関する資料

境界確認書や過去に作成された図面等、所有権の範囲を判断するために資する資料が想定される。

□その他                 

5 審査手数料                 

6 承認申請に係る土地の状況

別紙のとおり

7 その他

(1)私は、本承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合、国庫帰属後に土地を管理する国の機関によって、私から国の機関への所有権移転の登記嘱託が行われることを承諾します。

□ はい

(2)私は、          法務局が、本承認申請に係る土地を有効活用する観点から寄附受付の可能性等を確認するため、関係する国の行政機関、地方公共団体や土地の有効活用に資する団体等に対し、本承認申請に係る情報(承認申請があった旨、承認申請に係る土地の所在・地番、承認申請者名、承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面・承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真・承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真)を提供することを承諾します。

□ はい

本件申請の内容は真実に相違ありません。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号。以下「法」という。)第2条第1項に基づき、上記のとおり、申請します。

申請者

住所【                 

氏名                 (        )実印

連絡先○○○-○○○○-○○○○

メールアドレス                 

(申請書の作成を資格者が代行する場合)

承認申請書作成者

住所                 

氏名                 

連絡先○○○-○○○○-○○○○

メールアドレス                 

(別紙) 承認申請に係る土地の状況について

□ 建物の存する土地ではありません。(法第2条第3項第1号)

□ 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地ではありません(法第2条第3項第2号)

□【森林の場合】森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地、入会権・経営管理権が設定されている土地ではありません。(法第2条第3項第2号)

□ 通路その他の他人による使用が予定される土地ではありません。(法第2条第3項第3号)

□ 【森林の場合】他人による使用が予定される林道、登山道が含まれる土地ではありません。(法第2条第3項第3号)

□ 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質により汚染されている土地ではありません。(法第2条第3項第4号)

境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地ではありません。(法第2条第3項第5号)

□ 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するものではありません。(法第5条第1項第1号)

□ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地ではありません。(法第5条第1項第2号)

□ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地ではありません。(法第5条第1項第3号)

□ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地)ではありません。(法第5条第1項第4号)

□隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地)ではありません。(法第5条第1項第4号)

【別荘地の場合】別荘地管理組合等から管理費用が請求されるなどのトラブルが発生する土地ではありません。(法第5条第1項第4号)

□ 【森林の場合】立木を第三者に販売する契約を締結している土地ではありません。(法第5条第1項第4号)

□土砂崩落、地割れなどに起因する災害による被害の発生防止のため、土地の現状に変更を加える措置を講ずる必要がある土地(軽微なものを除く)ではありません。(法第5条第1項第5号)

□ 鳥獣や病害虫などにより、当該土地又は周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがある土地(軽微なものを除く)ではありません(法第5条第1項第5号)

【森林の場合】適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が追加的に必要な森林ではありません。(法第5条第1項第5号)

□ 国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地ではありません。(法第5条第1項第5号)

□ 国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地ではありません。(法第5条第1項第5号)

私は、本承認申請に係る土地の状況について、上記のとおり、法第2条第3項に規定する申請できない土地及び同法第5条第1項に規定する帰属の承認ができない土地に該当しないことを確認しました。

申請者

氏名                 

収入印紙貼付台紙

2023/04/03追記

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令をここ
に公布する。
御名御璽
令和五年三月三十日
内閣総理大臣岸田文雄政令第九十七号
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令
内閣は、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)第三条第二項の規定に基づき、この政令を制定する。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和四年政令第三百十六号)の一部を次のように改正する。
第七条を第八条とし、第四条から第六条までを一条ずつ繰り下げる。
第三条第三項第三号中「第六条第二項」を「第七条第二項」に改め、同条を第四条とし、第二条の次に次の一条を加える。
(承認申請の手数料)
第三条法第三条第二項の規定により納付すべき手数料の額は、承認申請に係る土地の一筆ごとに一万四千円とする。
附則
この政令は、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行の日(令和五年四月二十七日)から施行する。
法務大臣藤健
内閣総理大臣岸田文雄

〇法務省令第十九号
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和五年政令第九十七号)の施行に伴い、並びに相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)第十五条第一項及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和四年政令第三百十六号)第五条第一項第二号及び第八条の規定に基づき、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。
令和五年三月三十日法務大臣斎藤健

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則の一部を改正する省令
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則(令和五年法務省令第一号)の一部を次のように改正する。
次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付した部分のように改める。

改正後
(農地の地積に応じた負担金が算定される区域)
第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第五条第一項第二号に規定する法務省令で定める事業は、次に掲げる要件を満たしてい
る事業とする。
一・二略

改正前
(農地の地積に応じた負担金が算定される区域)
第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第一項第二号に規定する法務省令で定める事業は、次に掲げる要件を満たしてい
る事業とする。
一・二同上
(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)
第十六条令第五条第一項の規定による申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を管轄法務局長に提出して行わなければならない。ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の管轄法務局長が二以上あるときは、そのいずれかに対して提出するものとする。

改正後
(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)
第十六条令第六条第一項の規定による申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を管轄法務局長に提出して行わなければならない。ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の管轄
法務局長が二以上あるときは、そのいずれかに対して提出するものとする。
一〜三略
四令第六条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨四令第五条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨

改正前
(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)
第十六条令第5条第一項の規定による申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を管轄法務局長に提出して行わなければならない。ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の管轄
法務局長が二以上あるときは、そのいずれかに対して提出するものとする。
一〜三略
四令第5条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨四令第五条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨

改正後
(権限の委任)
第二十二条略
一〜十六略
十七令第六条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限十七令第五条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限
十八令第六条第三項の規定による負担金の算定十八令第五条第三項の規定による負担金の算定
備考表中の[]の記載は注記である。
附則
この省令は、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行の日(令和五年四月二十七日)から施行する。

改正前
(権限の委任)
第二十二条同上
一〜十六同上
十七令第5条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限十七令第五条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限
十八令第5条第三項の規定による負担金の算定十八令第五条第三項の規定による負担金の算定

2023/03/29補足
2023(令和5)年4月1日施行の、農地の権利取得にかかる下限面積要件廃止について(農地法第3条2項5号関係)について、沖縄県のみ、市町村のWEBサイトで確認出来る箇所のみ調べてみました。
沖縄市廃止、うるま市廃止、読谷村廃止
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/chiiki_keikaku.html

下限面積要件の廃止に伴い「空き家に付随した農地」がさらに取得しやすくなりました、とする市町村もあるようです。
https://www.city.uki.kumamoto.jp/toppage/shinseisho/dl_sonota/2026312

試訳

The processed application form for approval of belonging to the national treasury of inherited land, examination flow.

The approval application for national treasury ownership (Law, Article 2).

・The submission of application for approval (Law, Article 3, Paragraph 1).

・The payment of examination fee (Law, Article 3, Paragraph 2).

Reception and provision of information to related ministries, agencies, and local governments.

The document investigation by the person in charge of the Legal Affairs Bureau (Law, Article 6).

The on-site investigation by a person in charge of the Legal Affairs Bureau (Law, Article 6, Paragraphs 2 to 8).

The approval by the Minister of Justice and Director of the Jurisdictional Legal Affairs Bureau (administrative disposition) (Law, Article 5).

・The Notice of approval.

・The Payment notification.

The attribution to the national treasury (Law, Article 11, Paragraph 1).

・The notice of attribution to the federal treasury (Law, Article 11, Paragraph 2).

・The  consignment of ownership transfer registration.

The description example is when the applicant prepares the application form by himself/herself.

The application form for approval of inherited land belonging to the national treasury.

[Reiwa year month day]

[] The director of the Legal Affairs Bureau(Submit to: [] Legal Affairs Bureau).

1 The approval Applicant.

The name.

The address.

The description in the registration record.

The location. 【            ]

The location. 【            ]

The lot number【                 ]

The location【                 ]

The land area【                 ]㎡

3 The registered land owner pertaining to the approval application (or the title section owner).

If it is the same as the approval applicant in 1, enter “same as 1.

The name.

The address.

4 The attachments(required document).

□ (1) A drawing that clarifies the location and extent of the land for which the application is being made.

* It is possible to create by marking the scope of land ownership recognized by the applicant on the map of the Geospatial Information Authority of Japan or the map provided by the registry office.

□ (2) The photographs that clarify the boundary points between the land pertaining to the approval application and the adjacent land

*Indicate the location of each boundary point in the above drawing so that the legal affairs bureau can understand which boundary point is shown in the photograph.

□ (3) A photo that clarifies the shape of the land for which the application is being made

*Prepare multiple up-to-date photos that show the state of the land (such as the presence or absence of buildings and structures on the land related to the approval application), such as close-up and distant photos.

□ (4) Applicant’s seal certificate (created by the municipality)

(Required Documents for Heirs Who Acquired Land by Testamentary Gift).

□ (5) A document certifying that the heir has received a testamentary gift

(Required Documents When Approval Applicant and Ownership Registration Holder Are Different).

□ (4) Applicant’s seal certificate (created by the municipality)

(Required Documents for Heirs Who Acquired Land by Testamentary Gift).

□ (5) A document certifying that the heir has received a testamentary gift

(Required Documents When Approval Applicant and Ownership Registration Holder Are Different).

□ (6) A document certifying that there was an inheritance or general succession from the registered owner of the land (or the title owner).

(The optional document)

□ The property tax assessment certificate.

* The attachments are voluntarily requested to be used as a reference when confirming the status of land use (items).

□ The materials related to the boundaries of the land for which approval is being applied for.

* The documents that contribute to determining the scope of ownership, such as boundary confirmation documents and drawings created in the past, are assumed.

□The others.【                 ]

5. The examination fee [] yen.

6 The status of the land pertaining to the application for approval

See attachment.

7 The others

(1) If the ownership of the land pertaining to this approval application belongs to the national treasury, I will be commissioned by the national agency that manages the land after it belongs to the national treasury to register the ownership transfer from me to the national treasury. I agree.

□ Yes

(2) In order for the [] Legal Affairs Bureau to confirm the possibility of receiving donations from the perspective of effective use of the land related to this approval application, Information related to this approval application (the fact that an approval application has been made, the location and lot number of the land related to the approval application, the name of the applicant for approval, the location and area of the land related to the approval application) I agree to provide photographs that clarify the boundary points between the land pertaining to the approval application and the adjacent land, and photographs that clarify the shape of the land pertaining to the approval application.

□ Yes

The contents of this application are true.

Based on Article 2, Paragraph 1 of the Act on the Attribution of Land Ownership Rights Acquired through Inheritance, etc. to the National Treasury (Act No. 25 of 2021, hereinafter referred to as the “Act”), I hereby apply as described above.

Applicant

The address. 【                 】

The name. 【                 ](    )Registered seal

The contact. ○○○-○○○○-○○○○

The mail address. 【                 】

(When a qualified person prepares the application form on behalf of the applicant)

Approval request from creator.

The address. 【                 】

The name. 【                 ]

The contact. ○○○-○○○○-○○○○

The address. 【                 】

The mail address.【                 】

(The attachment) The status of land related to the application for approval.

□ It is not land on which a building exists. (Law, Article 2, Paragraph 3, Item 1).

□ It is not land on which a security interest or right for the purpose of use and profit has been established (Article 2, Paragraph 3, Item 2 of the Law).

□ [In the case of a forest] It is not land that has concluded a consignment contract related to management or management such as a forest management consignment contract with a forestry cooperative, etc., or land that has membership rights or management rights. (Law, Article 2, Paragraph 3, Item 2).

□ It is not a land that is planned to be used by another person such as a passage. (Law, Article 2, Paragraph 3, Item 3).

□ [Forest] The land does not include forest roads or mountain trails that are planned to be used by others. (Law, Article 2, Paragraph 3, Item 3).

□ The land is not polluted by the specified hazardous substances prescribed in Article 2, Paragraph 1 of the Soil Contamination Countermeasures Act. (Law Article 2, Paragraph 3, Item 4).

□ It is not a land where the boundary is not clear or there is a dispute about the existence or non-existence of ownership, belonging, or range. (Law, Article 2, Paragraph 3, Item 5).

□ In the land with a cliff (those with a slope of 30 degrees or more and a height of 5 meters or more), it does not require excessive costs or labor for its normal management. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 1).

□ It is not a land with structures, vehicles, trees, or other tangible objects on the ground that interfere with the normal management or disposal of the land. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 2).

□ It is not land that has tangible objects underground that cannot be managed or disposed of normally unless removed. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 3).

□ It is not land that cannot be normally managed or disposed of without a dispute with the owner of the adjacent land (the land where passage is actually obstructed by the adjacent owner). (Law Article 5, Paragraph 1, Item 4).

□It is not land that cannot be managed or disposed of normally unless it is based on a dispute with the owner of the adjacent land (land that is currently hindering the use revenue based on ownership). (Law Article 5, Paragraph 1, Item 4).

□ [In the case of a villa land] It is not a land where troubles such as management fees being charged by the villa land management association etc. will occur. (Law Article 5, Paragraph 1, Item 4).

□ [In the case of a forest] It is not a land that has a contract to sell standing trees to a third party. (Law Article 5, Paragraph 1, Item 4).

□It is not a land (except minor ones) where it is necessary to take measures to change the current state of the land in order to prevent the occurrence of damage due to disasters caused by landslides, cracks, etc. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 5).

□ It is not land (excluding minor damage) that causes or may cause damage to the life or body of people, agricultural products, or trees on the land or surrounding land due to birds, animals, diseases and pests, etc. (Article 5 of the Law Paragraph 1, Item 5).

□ [For forests] Appropriate afforestation, thinning, and nurturing have not been implemented, and the forests do not require additional maintenance by the government. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 5).

□ After belonging to the national treasury, it is not a land for which the government will bear financial obligations other than the cost required for management based on the provisions of laws and regulations. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 5).

□ As the land belongs to the national treasury, the government does not take over the financial obligations of the approved applicant based on the provisions of laws and regulations. (Law, Article 5, Paragraph 1, Item 5).

Regarding the status of the land pertaining to this application for approval, as described above, I fall under the land that cannot be applied for as stipulated in Article 2, Paragraph 3 of the Act, and the land that cannot be approved for attribution as stipulated in Article 5, Paragraph 1 of the same Act. I confirmed not to.

The applicant.

The name. 【                 】

revenue stamp pasting mount

加工令和5年3月22日付け相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン

令和5年3月22日

法務省 相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

第1 はじめに

社会問題となっている所有者不明土地の発生を予防するため、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24 号。以下「一部改正法」という。)により不動産登記法(平成16年法律第123 号。以下「法」という。)が改正され、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化される。

本マスタープランは、相続登記の申請義務化に伴う新制度が、所有者不明土地問題の解決に効果的につながることが期待される一方、幅広い国民層に相当大きな影響を及ぼすものであることから、相続登記の申請義務化の施行1年前の現段階において、法務省として、新制度の開始に向けた環境整備策や予定している運用上の取扱い等を明らかにすることにより、国民に新制度の十分な理解と適切な対応を促すことを目的とするものである。

第2 本マスタープランの前提(一部改正法で規定された新しいルール)

1 相続登記の申請義務化の概要

⑴ 相続等により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない(法第76 条の2第1項)。

⑵ 遺産分割により不動産を取得した相続人についても、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない(法第76 条の2第1項前段、第2項、第76条の3第4項)。

⑶ 正当な理由がないのに、上記⑴又は⑵の申請を怠ったときは、10 万円以下の過料の適用対象になる(法第164 条)。

⑷ 相続登記の申請義務化は、令和6年4月1日から施行される。

⑸ 令和6年4月1日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていない場合には、相続登記の申請義務の対象となる。ただし、3年間の猶予期間が設けられており、猶予期間中に相続登記を行えば、過料2の適用対象となることはない(一部改正法附則第5条第6項)。

2 相続人申告登記制度の概要

相続登記の申請義務を履行するための簡易な方法として、相続人申告登記という制度が新設された。相続人申告登記の申出をした者は、上記1⑴の申請義務を履行したものとみなされる(法第76 条の3第1項、第2項)。もっとも、上記1⑵の申請義務(遺産分割後の申請義務)については相続人申告登記の申出によって履行することはできない(法第76 条の3第2項括弧書)。

第3 相続登記の申請義務化に向けて進める環境整備

相続登記の申請義務化は、国民に新たな負担を課すものであるため、令和6年4月からの円滑な新制度開始に向けて、国民の負担軽減のための環境整備をあらかじめ進めていくことが重要である。このような環境整備策として、次の1から4までの取組を進め、国民目線に立ったその他の方策も順次講ずるものとする。

1 相続登記を促進するため、令和4年4月1日から、①評価額が100 万円以下の土地に係る相続登記の申請や、②相続により土地を取得した者が相続登記をせずに死亡した場合の当該相続登記の申請については、その登録免許税の免税措置が講じられている(免税期間は令和7年3月31 日まで)(租税特別措置法(昭和32 年法律第26号)第84 条の2の3)。この免税措置について、国民への周知・広報を引き続き実施し、比較的価値の低い土地や数代にわたって相続登記が放置された土地について、相続登記の申請を積極的に促す。

2 相続登記の申請手続に係る国民の不安を解消し負担を軽減する観点から、相続登記の申請のために必要な準備や申請書の記載方法等を利用者目線で分かりやすくまとめた「登記申請手続のご案内」(登記手続ハンドブック)を法務省で作成して、令和4年12 月から法務局ホームページで公開している。今後も、遺言の有無など相続手続の違いを踏まえ、登記手続ハンドブックの類型化や内容の充実を図ったり、典型的な相続のケースにおいて通常想定される必要な対応を示したりする(別紙参照)など、引き続き、登記申請手続についてきめ細やかな情報発信を進める。

3 相続登記の申請義務化への対応として登記申請を検討する国民の増加が見込まれることを踏まえ、全国の法務局・地方法務局で、電話・ウェブ会議・対面の各方式を用いた相続登記の手続案内を効果的に実施する。

また、司法書士・土地家屋調査士を始めとする専門資格者及びその団体と連携し、国民に対し、相続登記その他の登記申請に関する相談先等の情報を提供する。

4 上記第2の2の相続人申告登記は、相続登記の申請義務を自ら速やかに履行したいと考える国民にとって、簡便な手続として選択肢になるものであり、利便性の高い手続となるよう、令和6年4月1日の施行に向けて準備を進める。

相続人申告登記は、対象となる不動産を特定した上で、①所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び②自らがその相続人である旨を申し出ることによって、相続登記の申請義務を履行したものとみなす制度であり、申出がされた場合には、登記官が所要の審査をした上で、登記簿に、申出をした者の氏名、住所等を職権で登記する(申出に係る登録免許税は、非課税)。

相続人申告登記は、相続人が複数存在する場合でも、他の相続人の関与なく単独で行うことが可能であって、例えば、相続登記の申請義務の履行期限が迫っている場合などに、その義務を果たすための簡易な方法として利用可能である。もっとも、相続人申告登記は、相続登記とは異なり、相続人の氏名、住所等の公示に特化した登記であり、不動産についての権利関係を公示するものではないから、効果が限定的であることに留意を要する。

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を履行する簡易な方法として、相続人本人であっても容易に申し出ることができるよう、その申出手続は、申出の真正を確保しつつ、相続登記の申請手続と比べて簡略化したものとする。その具体の手続等を規定する法務省令及び通達は追って公表する予定であるが、その基本的方向性として、次の⑴から⑶までのとおりとする。

⑴ 相続人申告登記の申出は、書面による方法(管轄法務局の窓口に提出する方法又は管轄法務局に郵送する方法)と、管轄法務局宛てにオンラインで送信する方法を認める。オンラインによる申出は、Web ブラウザ上での負担の軽い手続を可能とし、単純な相続の事案では、オンライン上で申出を完結することができるものとする。

⑵ 申出をする本人の意思確認の方法として、書面による申出の場合の提出書面に対する押印や、オンラインによる申出の場合の提供情報に対する電子署名の付与は不要とし、それに代わる負担の軽減された確認方法を用いることとする。

⑶ 申出に必要となる基本的な添付情報は、次のアからウまでのとおりであるが、行政間の情報連携等を効果的に用いることにより、可能な限り、添付省略や写し(コピー)等の提供で足りる取扱いを認めることとする。

ア 申出をする者の本人確認情報

イ 相続があったことを証する情報

戸籍関係書類として、申出をする者が登記簿上の所有者(被相続人)の相続人であることを確認することができる範囲で足りるものとし、相続登記の申請手続とは異なり、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍関係書類までは要しないこととする。

さらに、今後運用が開始されることになる戸籍電子証明書の活用により、戸籍関係書類の提出を不要とする方策についても、速やかに検討を進める。

ウ 申出をする者の住所を証する情報

申出をする者が、申出の際に、その生年月日等の検索用情報(登記官において住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)から情報を取得するために必要な情報)を法務局に提供して、登記官が住基ネットとの連携によりその住所を確認することができる場合には、住民票の写しの提供を不要とすることとする。

第4 相続登記の申請義務化の運用方針の決定

相続登記の申請義務化に伴う運用の在り方については、国民に自発的な申請を可能な限り促しつつ、新制度に関する予見可能性の確保と不安の解消を図るよう、法務局における運用の透明性及び公平性を十分に確保する。そのような観点から、今後、具体の運用や手続を規定する法務省令及び通達を早期に定めて公表することとするが、運用の方針として、以下のとおりとする。

1 過料通知及びこれに先立つ催告

登記官は、相続登記の申請義務に違反したことにより過料に処せられるべき者があることを職務上知ったときは、遅滞なく、管轄地方裁判所にその事件を通知するものとする(以下「過料通知」という。)。過料通知を受けた管轄地方裁判所は、過料決定に関する判断を行うことになる。

ただし、登記官が過料通知を行うのは、過料に処せられるべき要件を充足すると合理的に判断される場合に限るものとする。具体的には、登記官が過料通知を行うのは、申請義務に違反した者に対し、相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告したにもかかわらず、正当な理由なく、その申請がされないときに限ることとし、また、当該催告に応じて登記の申請がされた場合には、それ以前の正当な理由の有無にかかわらず、過料通知は行わないものとする。

2 登記官による相続登記の申請義務に違反した者の把握方法

登記官が行う催告の前提となる、相続登記の申請義務に違反した者の把握は、運用の統一性・公平性とともに国民の納得感を確保する観点から、登記官が登記申請の審査の過程等で把握した情報により行うこととする。

登記官による相続登記の申請義務違反の把握の端緒としては、例えば、次のような場合が想定される。

⑴ 相続人が遺言書を添付して遺言内容に基づき特定の不動産の所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺言書に他の不動産の所有権についても当該相続人に遺贈し、又は承継させる旨が記載されていたとき。

⑵ 相続人が遺産分割協議書を添付して協議の内容に基づき特定の不動産の所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺産分割協議書に他の不動産の所有権についても当該相続人が取得する旨が記載されていたとき。

3 「正当な理由」があると認められる場合

⑴ 上記1の催告をしたにもかかわらず、当該催告に係る登記の申請が相当の期間内にされない場合であっても、当該登記の申請をしないことに「正当な理由」があると認められるときには、過料通知は行わない。

「正当な理由」の有無は、登記官が、個別の事案における具体的な事情に応じて判断するものとし、上記1の催告手続においては、「正当な理由」の有無やその内容について申告することを求めるものとする。

⑵ 一般的に、例えば、次のアからオまでのような事情がある場合には、相続登記の申請をしていないことにつき「正当な理由」があると考えられる。もっとも、

「正当な理由」があると認められるのは、これらの場合に限定されるものではないため、「正当な理由」についての判断は、登記官において、相続登記の申請義務を負う者の具体的事情を丁寧に確認した上で行うものとする。

ア 数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

イ 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているために不動産の帰属主体が明らかにならない場合

ウ 相続登記の申請義務を負う者自身に重病等の事情がある場合

エ 相続登記の申請義務を負う者がDV被害者等であり、その生命・身体に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

オ 相続登記の申請義務を負う者が経済的に困窮しているために登記に要する費用を負担する能力がない場合

第5 相続登記の申請義務化に向けた周知・広報

相続登記の申請義務化に向けては、負担軽減のための環境整備策を含めた制度の内容や具体的ルールについて、関連する制度改正(例えば、令和5年4月から始まる具体的相続分による遺産分割の期間制限)等と併せ、国民一般に分かりやすく十分な周知を、引き続き図ることが重要である。

法務省では、これまでも、①法務局・地方自治体の窓口や、法務省ホームページ、パンフレット、動画等を用いた情報提供のほか、②地方自治体や専門資格者団体等と連携した説明会・相談会の開催等を進めてきたところであるが、新制度開始1年前の現時点で、国民の認知・理解が十分に進んでいる状況にはない。

今後、国民各層の認知度を一層向上させるため、従前の取組から一歩進めて、国民の幅広い層に必要な情報が確実に届けられるよう、住民に身近な各地の地方自治体、公共的団体(自治会等)、各種資格者団体、福祉団体及び経済団体等とも連携し、一段ときめ細やかな、幅広い周知・広報に取り組む。

その観点から、政府を挙げた省庁横断的な広報対応や、関係機関・団体の幅広いサポートを得た周知活動、国民各層の年齢・環境に応じて多様な広報ツール・手法を用いた情報発信等について、法務省を挙げて、国民の理解の増進と協力の確保に全力で取り組んでいく。

以 上

読んでみて

・法務局に相続人申告登記を申請する場合は、抵抗がなければ、同時に生年月日などの提供を行う。

・戸籍電子証明書について考えられること

・・・オンラインで発行する場合、マイナポータルからマイナンバーカードに、戸籍に関する電子証明書提供用識別符号を付与・格納してもらう。

対面で発行してもらう場合、役所などにマイナンバーカードを提供して、戸籍に関する電子証明書提供用識別符号を付与・マイナンバーカードに格納してもらう。

法務局に、相続人申告登記を申請する際、電子証明書提供用識別符号を付与・格納を提供すると、法務局は、LGWAN内の 戸籍連携システムで確認し、相続人であることが確認出来れば申告手続き完了。戸籍連携システムが間に合わない場合は、電子証明書提供用識別符号を各市町村に照会して確認。士業による職務上請求などの代理での利用は、現在想定されていない。

上に記載の

⑶ 申出に必要となる基本的な添付情報は、次のアからウまでのとおりであるが、行政間の情報連携等を効果的に用いることにより、可能な限り、添付省略や写し(コピー)等の提供で足りる取扱いを認めることとする。

は、 ア 申出をする者の本人確認情報がマイナンバーカードとその中に格納された電子証明書提供用識別符号であれば、イの相続があったことを証する情報は不要となる。

・健康保険証や年金などのように、戸籍の情報(入籍など)が連携・更新されるのかについて・・・マイナンバーカードに付与・格納される、戸籍に関する電子証明書提供用識別符号が1人につき1つ(一意)である場合、戸籍事項全部証明書や除籍事項全部証明書の情報が取得出来ることからすると、連携・更新する方向なのではないかと考えます。

参考

法務省 戸籍法部会資料 12戸籍法の改正に関する要綱案

https://www.moj.go.jp/content/001387519.pdf

5 電子的な戸籍証明情報(戸籍電子証明情報)の発行

(1) 本人等による戸籍証明書又は除籍証明書の交付の請求は,戸籍証明書又は除籍証明書の交付に代えて,戸籍電子証明情報(戸籍証明書に係る電磁的記録をいう。)又は除籍電子証明情報(除籍証明書に係る電磁的記録をいう。)の発行についてすることができるものとする(注1)。

(2) 前記4(1)後段及び同(2)の規定は,(1)の場合に準用するものとする。

(3) 戸籍電子証明情報又は除籍電子証明情報の発行の方法(注2)その他(1)及び(2)の規定の実施に関し必要な事項は,法務省令で定めるものとする。

(注1)戸籍電子証明情報等は,前記4の広域交付に係る戸籍証明書又は除籍証明書についても発行することができるものとする。

(注2)戸籍電子証明情報等の交付に当たっては,マイナンバー制度におけるマイナポータルの仕組みを活用し,オンラインにより交付請求を行うことも可能とすることを想定している。

戸籍法(令和元年法律第17号)施行日

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000224_20240530_501AC0000000017

第百二十条の二 第百十九条の規定により戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもつて調製されているときは、第十条第一項(第十二条の二において準用する場合を含む。次項及び次条(第三項を除く。)において同じ。)の請求は、いずれの指定市町村長(第百十八条第一項の規定による指定を受けている市町村長をいう。以下同じ。)に対してもすることができる。

 前項の規定によりする第十条第一項の請求(本籍地の市町村長以外の指定市町村長に対してするものに限る。)については、同条第三項及び第十条の三第二項の規定は適用せず、同条第一項中「現に請求の任に当たつている者」とあり、及び「当該請求の任に当たつている者」とあるのは、「当該請求をする者」とする。

第百二十条の三 前条第一項の規定によりする第十条第一項の請求は、戸籍電子証明書(第百十九条の規定により磁気ディスクをもつて調製された戸籍に記録された事項の全部又は一部を証明した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)又は除籍電子証明書(第百十九条の規定により磁気ディスクをもつて調製された除かれた戸籍に記録された事項の全部又は一部を証明した電磁的記録をいう。以下同じ。)についてもすることができる。

 前項の規定によりする第十条第一項の請求があつたときは、指定市町村長は、当該請求をした者に対し、戸籍電子証明書提供用識別符号(当該請求に係る戸籍電子証明書を識別することができるように付される符号であつて、法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)又は除籍電子証明書提供用識別符号(当該請求に係る除籍電子証明書を識別することができるように付される符号であつて、法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)を発行するものとする。

 指定市町村長は、行政機関等(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第二号に規定する行政機関等その他の法務省令で定める者をいう。)から、法務省令で定めるところにより、前項の規定により発行された戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号を示して戸籍電子証明書又は除籍電子証明書の提供を求められたときは、法務省令で定めるところにより、当該戸籍電子証明書提供用識別符号に対応する戸籍電子証明書又は当該除籍電子証明書提供用識別符号に対応する除籍電子証明書を提供するものとする。

 第一項の規定によりする第十条第一項の請求については、同項中「交付」とあるのは、「第百二十条の三第三項の規定により同項に規定する行政機関等に提供すること」とし、同項の請求(本籍地の市町村長以外の指定市町村長に対してするものに限る。)については、同条第三項及び第十条の三第二項の規定は適用せず、同条第一項中「現に請求の任に当たつている者」とあり、及び「当該請求の任に当たつている者」とあるのは、「当該請求をする者」とする。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027_20230401_504AC0000000026

(利用範囲)

第九条(1項2項略)

3 法務大臣は、第十九条第八号又は第九号の規定による戸籍関係情報(戸籍又は除かれた戸籍(戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百十九条の規定により磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製されたものに限る。以下この項及び第四十五条の二第一項において同じ。)の副本に記録されている情報の電子計算機処理等(電子計算機処理(電子計算機を使用して行われる情報の入力、蓄積、編集、加工、修正、更新、検索、消去、出力又はこれらに類する処理をいう。)その他これに伴う政令で定める措置をいう。以下同じ。)を行うことにより作成することができる戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている者(以下この項において「戸籍等記録者」という。)についての他の戸籍等記録者との間の親子関係の存否その他の身分関係の存否に関する情報、婚姻その他の身分関係の形成に関する情報その他の情報のうち、第十九条第八号又は第九号の規定により提供するものとして法務省令で定めるものであって、情報提供用個人識別符号(同条第八号又は第九号の規定による特定個人情報の提供を管理し、及び当該特定個人情報を検索するために必要な限度で第二条第五項に規定する個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号であって、同条第八項に規定する個人番号であるものをいう。以下同じ。)をその内容に含むものをいう。以下同じ。)の提供に関する事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で情報提供用個人識別符号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。

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