お気軽にどうぞ。
2022年5月27日(金)14時~17時
□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え
1組様 5000円
場所
司法書士宮城事務所(西原町)
要予約
司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp
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登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(8)」からです。
4.信託条項
4.その他の信託の条項
本信託は、受益権証書の発行を禁止する
「受益権証書」と「受益証券」は異なるものであるので、その差異を認識しておきたい。受益権証書は、当事者間において任意に作成される証拠証券にすぎない。受託者が便宜的に発行する受託者と受益者の間の当事者間における証拠証券であり、営業信託における長年の慣行である。受益権の質権設定の質物としての必要性を言う人がいるが、そもそも、受益者が自ら受益者であることを証する書面がある。民事信託においても受益者連続型信託などでは、後続の受益者が、証書をよくする場面を生じるかもしれない。
信託法(平成十八年法律第百八号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108
(受益証券の発行に関する信託行為の定め)
第百八十五条 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
2 前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
3 第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
4 第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123
(信託の登記の登記事項)
第九十七条
五 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨
受益権証書を、受益権情報とすれば受益証券と紛らわしくならずに済むのではないかなと思います。
国内外の信託、特に信託会社によってせっていされていない、あるいは管理されていない信託の透明性に関しては、課題がある。
FATF第4次対日相互審査報告書(2021年8月30日)より抜粋
この勧告に対しては、日本政府のマネロン・テロ資金供与拡散対策のための行動計画もある。不動産の民事信託は、一般に金銭信託とセット行われる場合も多いが、今、信託登記の悪用防止のため、その真実性及び透明性の確保の方法が注視されている。
現在、株式会社が利用することが出来る、実質的支配者リスト制度を民事信託制度で利用することが考えられます。この制度を利用が想定される場面としては、法人・個人問わず受託者が金融機関で信託口口座を開設する場合に、受益者の情報を提出するようなときです。
不動産登記制度においては、現在よりも受益者・受益者代理人・信託監督人・後見人等のの関与を強めることが考えられます。
実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
[1] 890号、令和4年4月(株)テイハンP63~
沖縄県司法書士会70周年記念会誌「沖縄県における民事信託の現状・展望・課題」の下書きです。なぜ、70周年なのでしょう。
司法書士制度150周年記念プレ事業「遺言・相続セミナー」
那覇支部 宮城直
民事信託[1]に関する委員会や、民間団体の役職などに所属していない一司法書士の私見です。
1 現状
(1)金融機関
信託法34条の分別管理義務として信託財産に属する金銭の管理に必要な、信託口口座[2]の開設に関係する、金融機関の現状について私が把握している情報です。
(株)琉球銀行について、2017年に信託口口座の開設を確認しています。2018年に(株)沖縄銀行、(株)沖縄海邦銀行に関して開設を確認しています。コザ信用金庫、沖縄県農業協同組合その他の金融機関に関しては把握していません。会員の方で情報を持っている方がいらっしゃれば指摘願います。なお、2018年に(株)琉球銀行は、みつばホールディングスと民事信託分野にて業務提携[3]、(株)沖縄銀行については県内司法書士と業務提携[4]を行っているようです。
(2)公証センター(公証人役場)
現在の実務の現状として、金融機関において信託口口座を開設するためには、信託行為を公正証書にする必要があります。沖縄県内で、信託行為が年間どのくらい公正証書にされているのか、件数を把握していません。
全国的な統計[5]として、2018(平成30)年2,223件、2019(平成31)年2,974件、2020年2,924件という数字があります。ただ、この数字を人口割合や世帯割合で割れば、沖縄県に当てはめられるかというと、私には分かりません。他に(株)三井住友信託銀行[6]、(一社)家族信託普及協会[7]などが公表している数字がありますが、現在の沖縄県にそのまま当てはめるのは難しい[8]のではないかと思います。
公証実務は、元公証人の遠藤英嗣弁護士の書籍、研修の考えが中心になっていると思われますが、全てについて正しいのかというと、私には分かりません。
(3)判決
信託法(平成十八年法律第百八号)施行後の主な判決です。
・令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)第11035号損害賠償請求事件
・令和2年12月24日東京地方裁判所判決
・令和2年10月30日札幌地方裁判所判決平成30(ワ)1940詐害信託取消等請求事件
・平成31年1月25日東京地方裁判所判決平成29年(ワ)第32855 号信託契約有効確認請求事件
・平成30年9月12日東京地方裁判所判決平成27年(ワ)第24934号信託契約有効確認請求事件
・平成28年10月19日東京高等裁判所判決
・平成25年4月3日名古屋高等裁判所判決平成20年(行ウ)第114号 贈与税決定処分取消等請求事件
2 展望
私見です。沖縄県は、2018年までならば、実務、理論ともに全国で1番になる可能性があったと思います。1番というのは、実務でいえば県外にお金を払って相談しなくても、ほぼ県内で解決できること、理論面でいえば査読付き論文に耐えられることです。2022年現在ではありません。私は2015年から県内金融機関を回り、2018年に沖縄県で(一社)家族信託普及協会から、専門家向け講座開催、(株)琉球銀行・(株)沖縄銀行を繋げて市民向け講座を開催するまでは出来ました。そのあと私から、講座に参加していた司法書士をはじめとする各専門家や金融機関関係者に対して、(一社)司法協会の研究助成に採択されたので、業界関係なく共同研究の形にして一緒にやらないか、参加の声掛けをしましたが、参加される方はいませんでした。2018年、沖縄県で業界や学会の垣根を超えた民事信託の研究・実践団体、勉強会が結成されていた場合、現在、(一社)民事信託推進センターが行っていることなどは、自前で可能だったと考えます。この時点で、それぞれ事務所、会社、金融機関の利益のために動くことになりました。
現状、例えば金融機関提携の専門家の下で家族信託・民事信託が設定された場合、利益の一部は東京都などの専門家(団体)に流れていきます。この流れが止まることは、ないと思います。現在、士業間ビジネスが活発です[9][10]。毎月3,000円~数万円の年会費、月会費を支払う固定費型のシステムのため、この流れも少なくとも数年は止まらないのではないかと思います。その他の民事信託を専門としている士業のホームページを覗いてみると、信託契約書のチェックなどで数万円というのは珍しくないと思います。故石川義博司法書士を知っている身としては、寂しい状態ですがそういう時代だと諦めます。
各司法書士会員の皆様には、業務の選択肢の1つとして考えていただければと思います。第二期成年後見制度利用促進基本計画(令和4年3月25日閣議決定)、民法(相続関係)改正その他の関連する新法施行[11]など、利用を検討する場面は多くなるのかもしれません。
民事信託・家族信託の書籍を開くと、奥が深い、日々変わっていく、失敗事例の指摘など、今までの法律書にはないような言葉が並びますが、成年後見関連業務をはじめ不動産・商業法人登記についても、司法書士業務で簡単な業務はないと思います。
3 課題
個人的な課題は、一点です。犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の改正[12]です。法令改正が可能になるまでは、日本司法書士会連合会における本人確認規定の改正、それが出来なければ県司法書士会における本人確認規定の改正による対応です。
[1] 大垣尚司、新井誠『民事信託の理論と実務』平成28年日本加除出版P2「委託者以外の物が尾受託者となる信託行為(他社信託)のうち、信託(受託者)の引受けが営業としてなされる結果商行為となる信託行為(協議の商事信託または営業信託【商法502条1項13号】)以外のもの(民事他者信託)と委託者が受託者となる信託行為(自己信託)のうち、信託業法に基づく登録(信託業法50の2条)が不要なもの(民事自己信託)、ならびに、営業として信託の引受けにあたるが、信託業法に基づく免許・登録(信託業法3条、同法7条)が不要なもの(適用除外信託、信託業法2項1項括弧書、信託業法施行令1の2条)の3つの信託の思総称。
[2] 『家庭の法と裁判』35号、2021年2月日本加除出版P141、P142「【1】受託者を預金者とし、【2】外観上、当該受託者個人の名義と区別できる表示が付され、【3】当該金融機関において、内部システム上、当該受託者の個人名義の預金口座(固有財産に属する預金口座に係るCIF(Customer Information File。顧客ファイル)コードとは別異のCIFコードが備えられる、内部手続上、当該預金口座とは異なる取扱いがされる旨の規定が設けられるなど、当該預金口座から分離独立した取扱いがされる預金口座)。」
[3] 司法書士法人みつ葉グループHP2019.07.31「お知らせ琉球銀行と業務提携へ」https://minjishintaku-kazokushintaku.com/news/669
2022年4月22日閲覧
[4] 『家族信託実務ガイド』第25号2022年5月、日本法令、司法書士・家族信託専門士宮城拓「私はこうして家族信託に取り組んだ」
[5] 『家庭の法と裁判』35号、2021年2月日本加除出版、藤沢公証役場公証人金子順一「公証役場からみた民事信託」
[6] 『ジュリスト』2018年6月(株)有斐閣、八谷博喜「家族を受託者とする信託」
[7] 『家族信託実務ガイド』第25号2022年5月、日本法令、(一社)家族信託普及協会事務局「実態調査家族信託最新情報~一般社団法人家族信託普及協会『Fact Book2021』より」
[8] (株)三井住友信託銀行については沖縄県内に実店舗を開設していないため、(一社)家族信託普及協会については、自己申告のため。
[9] 信託の学校、月3,500円(税抜)相談は別途費用が発生。https://schooloftrust.com/ 2022年4月23日閲覧
[10] (一社)家族信託普及協会専門士サポートサービス月11,000円
[11] 民法等一部改正法令和5年4月1日、相続土地国庫帰属法令和5年4月27日、相続登記義務化関係の改正について令和6年4月1日
[12] 駿河台法学第34巻第2号金森健一弁護士「司法書士による民事信託(設定)支援業務の法的根拠論について~(続)民事信託業務の覚書~―「民事信託」―実務の諸問題(5)」、平成29年(2017年)6月日弁連信託センター設置、2020年(令和2年)9月10日信託口口座開設等に関するガイドライン制定、https://www.nichibenren.or.jp/activity/civil/trust_center.html
2022年4月23日閲覧、(株)三井住友信託銀行「弁護士紹介制度」https://www.smtb.jp/personal/entrustment/introduction/lawyer
2022年4月23日閲覧
登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(6)」から考えてみます。
複雑な法技術である信託という分野の中でも、新しい法的仕組みである民事信託(家族信託)分野において、―略―
複雑、新しい、という形容詞が頻繁に記載することにより、同業者相手の民事信託事業を繁盛することになるのではないのかな、と感じました。平成16年不動産登記法改正、平成17年会社法改正の際、このような文言が頻繁に登場していたのでしょうか。今後も相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が施行され、電子署名、マイナンバーカード関係の法令は改正が続くと思います。その度に同業者相手、特に登録後日が浅い人の草刈り場になるのではないかな、と思いました。
あくまで、当該信託目録による公示は、当該信託条項が定める登記申請義務が履行された結果として存在するものだ。信託目録が作成され公示される際には、その前提となる登記申請義務の存在は消滅している。
この内容の文章はどこかで読んだ気がするのですが、同じ著者だったかもしれません。
更にいえば、受託者における信託の登記の申請義務は、信託法上の分別管理義務を構成する法定の義務であり、強行法規としての周知の義務である(信託法34条1項、2項)。公示すべき合理性なく、かつ、必要性のない情報を公示することは、公示であるがゆえにこそできない。
信託財産の管理方法で、受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産とを、分別して管理すると記録すれば足りるのかなと思いました。
登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(5)」から考えてみます。[1] 887号、令和4年1月号、テイハンP79~
信託財産を適正に管理・運用・処分して※申請構造の枠組み・「適正に」の意味と公示の効果は何か
適正にの意味と公示の効果は、信託行為の当事者への明示以外に、あまりないのではないかなと思います。信託法(受託者の利益享受の禁止)第八条、(脱法信託の禁止)第九条、(訴訟信託の禁止)第十条、(受託者の権限の範囲)第二十六条、(受託者の権限違反行為の取消し)第二十七条、(忠実義務)第三十条など。
受益者の生涯にわたる安定した生活の支援と最善の福祉を確保する※「生涯にわたる安定した生活の支援」形容詞・福祉の公示するか
形容詞・・・にわたる、副詞・・・安定した、かなと整理しましたが、公示してもしなくても、違いが出るとは思えませんでした。
信託財産をもって※条件節の意味上の主語
条件節というのが分からなかったのですが、もし~ならば、のような使い方をする場合のようです。他の財産ではなくて、信託財産をもって、という意味で条件節、ということになるのかなと思いました。
受益者の※「目的」の具体化(達成方法)居住の維持費、医療費、看護療養費、施設利用費など各種費用の支払いに充てる※「居住の維持費」、「医療費」、「看護療養費」、「施設利用費」は申請情報か
信託財産に属する金銭の用途についての記載なので、原則として不動産の信託目録の登記事項にはならないのではないかと思います。ただし、信託財産に属する不動産を売却し、金銭に換える場合の用途として定める場合、信託財産に属する不動産が収益不動産であり、賃料などが入ってくる場合で、他の収益不動産ではない信託財産に属する不動産には、信託目録に記録する事項に信託財産に属する金銭の用途についての記録がないときの意味は、少しあるのかなと思います。それでも私なら公示しない方向でまずは考えると思います。
受託者の裁量に基づき※条件か、受託者の権限なのか
受託者の権限だと思います。信託法(定義)第二条、(受託者の権限違反行為の取消し)第二十七条。
受益者の生活状況に応じた生活費等を給付する※形容詞的か副詞的な条件なのか※財産の管理方法か受益債権か。
形容詞的か副詞的な条件なのかについては、分かりませんでした。受益債権ではなく、財産の管理方法だと思います。信託法(定義)第二条第1項、第7項など。
その目的を達成する※述語動詞→目的=大目的。これら以外の一時的な多額の給付はしないものとする※信託規律→受託者権限の制約か※給付の制限→信託の安定性→認知症対策との明示はなし
する、が述語動詞なのでしょうか。分かりませんでした。受託者権限の制約に当たると思います。
なお、「信託財産の管理方法」欄には、受託者の「処分権限」が記される場合がある。この点、「処分権限」は信託に係る権利の登記の連続構造に関係するが、重畳的に「信託の目的」欄に「処分」の情報がない場合、どうなるのか。
信託の目的欄に、処分の情報がない場合でも、信託財産の管理方法欄に記録された受託者の処分権限は活きることになります。信託法2条第1項、第5項。信託の目的欄に、処分は出来ない、処分しない、○○の場合には処分できない等と記録されている場合は、信託財産の管理方法に影響を与えます。
登記事項の記載として「財産」と「資産」という文言の違いは、何ならかの機能の際をもたらすのだろうか。
財産と記録した場合、資産に加えて信託財産責任負担債務(信託法21条2項を含めて)も入るということを明示する記録なのかなと思います。資産と記録しても結果は同じだと思います。