・自己信託は他人のための公正証書?
自己信託は、公正証書、公証人の認証を受けた書面(宣誓認証)、確定日付のある証書を受益者に通知による必要があります(いずれもデジタルデータによることが可能)。他人のため、とは限らず、自身の含む誰か(受益者)のため、ということが出来ます。自己信託の設定方法によります。
信託法4条
(信託の効力の発生)
第四条 前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。
2 前条第二号に掲げる方法によってされる信託は、当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。
3 前条第三号に掲げる方法によってされる信託は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものによってその効力を生ずる。
一 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下この号及び次号において「公正証書等」と総称する。)によってされる場合 当該公正証書等の作成
二 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が二人以上ある場合にあっては、その一人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知
4 前三項の規定にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力を生ずる。
・遺言代用信託は、本人が委託者兼受益者となり、死亡後に受益権が移転する方法がベスト?
ベストなことが多い、といって良いと思います。なお、遺言代用信託は、遺言のように使える、というニュアンスで使われることが多いように思います。法令に遺言代用信託という言葉はありません。私は、信託法89条から91条までを何となくまとめて、遺言代用信託と使っています。実際に相談を受けたときは、図を書きながら、口頭で説明しながら、○○さんが亡くなった場合には、こうなります、○○さんが先に亡くなった場合は○○に受益権を取得させる契約内容にすることも可能です、というような説明を行っています。
法制審議会信託法部会第6回~第25回の中で、遺言代用信託という用語が使用されています。
(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)
第九十条 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
一 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
二 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託
2 前項第二号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)
第九十一条 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。
・遺言代用信託と任意後見契約の併用もありえる?
禁止する規定はなく、それぞれの役割が違うので、併用はあり得ます。お話を聴く中で、併用を決める方が多いというのが私の印象です。
・家賃の中から毎月定額を渡す方法がある?
信託契約の中で定めることが出来ます。定額を渡すことが出来ないも出てくるかもしれません。契約の定め方として、受託者の財産の管理方法で「毎月○○万円を受益者へ給付する。変更する場合は、〇日前に受益者に通知する。」、受益権の条項で、「毎月○○万円を受け取ること。」などと定めることが考えられます。
・妻の居住する自宅(土地と建物、夫婦で持分2分の1づつ所有、住宅ローン返済済)も信託不動産になる?
信託契約の中で、信託財産に属する財産に含めることは出来ます。この場合は、委託者の持分2分の1を信託財産に含めることになります。また、妻の所有する持分2分の1についても別途信託契約またはその他の方法を選択するのか検討が必要ではないかなということをお伝えさせていただきます。
・自宅だけを信託する場合、現金は信託できる?
現金を信託財産に属する財産とすることは可能です。固定資産税やペンキの塗り替え・リフォームなどに使うことが出来るようになります。
・アパートの借入れ負債がある際、借入先の銀行は信託を快く思わない?
銀行によって異なると思いますが、一般的に快く思わない、ということはないのではないか、とお伝えしています。もし私たちが銀行員なら、修繕や建て替えで貸付を行う際に、所有者の判断能力に疑問があったり、まだ20代前半で良く分かっていなかったりするよりは、隣で観てきた配偶者などが契約の相手だった方が安心できるのではないか、と伝えます。
・信託口座は何のために必要?沖縄県で信託口座を開設している銀行名は?
信託口座は、財産の所有者の口座と分けるために必要です。沖縄県の金融機関で信託業務を行うことが可能な金融機関は信託口座を作成することが出来ます。
・信託会社の報酬の割合(料金)はどの程度?
各社のホームページをみて、載っていない場合はそれぞれ問い合わせてみるしかありません。今検索をかけて気になったページを載せておきます。デジタル遺品の消去、ペットのことまでと、色々なサービスがまとまっているようです。
三井住友信託銀行 おひとりさま信託(特約付合同運用指定金銭信託)
https://www.smtb.jp/personal/entrustment/succession/after/
業務提携先?
一般社団法人 安心サポートセンター
財産管理・身元保証人・死後事務・後見・遺言・相続・見守り・日常生活支援
・買い物支援・代行・よろず屋相談(リフォーム・掃除・家屋や庭の管理・ペットに関する相談)・不動産売買・賃貸など・施設の紹介や現代の葬儀・納骨・自然葬(海洋葬・樹木葬)の紹介・諸手続き代行・税務の申告・年金や公共料金等の申請代行など・連帯保証
https://www.annshinn-sc.jp/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%A6%82%E8%A6%81/