お気軽にどうぞ。
2022年9月30日(金)14時~17時
□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え
1組様 5000円
場所
司法書士宮城事務所(西原町)
要予約
司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp
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2022年9月30日(金)14時~17時
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□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託
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令和4年9月3日(土)
【テーマ】 「司法書士の可能性~多様なニーズに応えうる法律家を目指して~」
【内 容】 我々の業界には、社会の多様性や地域の特殊性、または多様化する市民のニーズに応える形で、新たな業務を発掘し拡大させてきたトップランナー達が全国津々浦々に存在する。彼らは、職域の制限を抱えつつ、市民からの要望には最大限応えるという信念や情熱に従い、業務範囲拡大の観点から司法書士制度の発展に尽くしてきた。我々司法書士には、こうしたポテンシャル(潜在能力)があるはずだが、それを100%使いこなせているのであろうか。
今回、司法書士制度150年を迎えるにあたって、多様化する社会のニーズに応える形で30 年前には考えられなかった新たな業務を発掘し、最前線を走って来られた先生方をお招きした。司法書士が今後開拓していく新しい業務分野においてもビジネスチャンスを掴む指標となるよう、先生方にはその分野での業務を始めたきっかけや業務実績などをご報告いただき、司法書士の潜在能力を活かすための方策や、AIやロボットによる自動化が進む中での司法書士の社会における存在意義を、業務の多様化を踏まえて議論いただく。
12:40~ 開場・受付開始
13:00~13:10 九B会長挨拶・研修部長主旨説明等
78%司法書士の業務はAIに置き換わる。コンサルティングは残る。AIが何を指すのか、コンサルティングが何を指すのかは分かりませんでした。マーケティングに関する研修はあまりない。今回は業務開拓にも役立たて欲しい。
13:10~14:40 第一部 講演
「司法書士の可能性~多様なニーズに応えうる法律家を目指して~」(仮題)
講師 湯淺 墾道(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授・日司連理事)
14:55~16:55 第二部 パネルディスカッション
「司法書士のマーケティング戦略~制度150年を迎えて~」
コーディネーター 安河内肇(福岡県司法書士会副会長)
コメンテーター 湯淺墾道(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授・日司連理事)
パネリスト 工藤克彦(日司連民事信託等財産管理業務対策部部委員)
パネリスト 谷口毅(日司連民事信託等財産管理業務対策部部委員)
パネリスト 河野将也(九州ブロック司法書士会協議会 研修部部長)
個々の司法書士としてのマーケティングと、司法書士会としてのマーケティング。情報提供。
司法書士であれば出来る業務は可能な限りやってきた。司法書士法施行規則31条に基づく業務を司法書士業務として確立したかった。不動産6割、法人4割。
司法書士試験に出てこない法律に基づく業務、債務整理、民事保全法改正に基づく処分の制限の登記、仮処分の登記、後見人選任審判前の保全処分、遺産承継管理業務の開始時期、など。民事信託は、誰もやっていなかった。平成28年頃から流行りものとなってきた。社会の目、弁護士さんの目も厳しくなってきた。個々の司法書士がプロボノとしてやってきたことが、会のマーケティングとして上手くいっている。
谷口毅司法書士への質問
・信託の学校というのは、非営利事業か営利事業か、どちらでしょうか。有料会員に司法書士はいるのでしょうか?・・・回答なし。
谷口先生から、信託の学校はシステムを作るのに何百万もかけたから同業者相手にやる、と直接聴きましたが、それはマーケティング・ブランディングではないのでしょうか。プロボノでしょうか。・・・回答なし。
谷口毅司法書士
月報司法書士が言論活動として、結果としてマーケティングの役割を果たしている。司法書士を応援してくれる学者、人を増やしていく。政治の場に持っていく。司法書士は元々、同業からお金を取ったりせず、こういう仕事をした、と教えたくなる。福祉信託株式会社が営業許可を受けたのは、組織として活動したから。寄付について議論がない。草の根活動を会が拾っていく。リーガルテックサービスでは、権利や公示制度を保証してくれない。現在は、登記制度を壊し、登記官の負担を増やしている。法定相続証明情報一覧図の作成、住所変更登記や氏名変更登記は、単純な情報処理の仕事なので、消える可能性がある。価値を作る。信託、簡裁代理、遺産承継業務、成年後見業務は情報処理ではない。
価値を作るとは?
工藤克彦司法書士
司法書士法施行規則31条業務に懸かっている。法律改正にアンテナを張る。所有者不明土地の管理者の養成研修。
司法書士の可能性~多様なニーズに応えうる法律家を目指して~
湯淺墾道明治大学教授・日本司法書士会連合会理事
「死者の個人情報の保護」
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/handle/10291/22386
「故人のデジタルデータの扱い」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/71/11/71_491/_article/-char/ja/
「個人情報保護法制の最新動向:3.個人情報保護法改正と学術研究への影響」
1. デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
DX に関係する法改正
今後のDX 化の方向性
2025年の崖、Zoomのような企業が日本にはない、このままだと日本は敗者になる、経済産業省と総務省のDXは異なる。
2. デジタル化で何が変わるのか
・行政のデジタル化の例と今後の方向
情報処理の促進に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000090
デジタル庁は、他の省庁に勧告することが出来る。
デジタル庁設置法
・行政のデジタル化と規制緩和
現在司法書士であることの証明(IDなどで電子的に。)。これまで各省庁で執行していた事務に対してデジタル庁も権限を持つことが多くなった。
子育てワンストップサービス(行政から通知が来るプッシュ型)
各種行政手続におけるオンライ化の推進~ 子育てワンストップサービについて~2022 年4月 19 日(火)国民向けサービスグループ
マイナンバーカード・ワンストップサービス( OSS )班
https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka14-10.pdf
引っ越しワンストップ
死亡・相続ワンストップ(暗号資産、デジタル通貨、海外事業者はどのように探すのか。)
「エンディングノートのデータ標準α版」の公開
https://cio.go.jp/onestop-sibousouzoku
・デジタル化と対面手続のオンライン化
・NFT、メタバース等の新たな技術と法手続
・有体物と自然人という実定法の前提は変わるか
3. AI(人工知能)と士業
AI でなくなる職業、生き残る職業
「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」
人工知能が人工知能を超える人工知能のためのプログラムを書く繰り返し。
司法書士(パラリーガル)AI置き換えられる可能性。創造性がないから。創造性が発揮できると生き残ることが出来る。
創造性がよく分かりませんでした。提案業務が創造性?
・第五世代コンピュータと法律人工知能、エキスパートシステム
法律エキスパートシステム
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsai/5/3/5_369/_article/-char/ja/
知識エンジンでは、スジとスワリ、暗黙知の解明は出来なかった。
・法律関係業務におけるAI 利用の例
・裁判所における例
顔認証、テキスト認識、会話処理
・弁護士の例
法律家ロボット
利用(注意義務など)
・AI による法的推論
4. デジタル化・AI 時代の司法書士の役割
・他業種の現状
弁護士 専門化、コンサルティング、紛争防止
行政書士 協業
ロングテール理論?
・インターネット・コマースからの教訓
・「馬の法律」論から考える
社会が変わるから司法書士が変わるのか、司法書士が変わって社会を変えるのか
・司法書士に期待される今後の役割
創造性
開業している地域による。
以上
登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(12)」からです。記事の中で民事信託実務、組成などの用語が使われていますが、ここでは司法書士が行う民事信託支援業務を利用します。
信託目録に記録すべき情報は、信託契約書の信託条項をそのまま引き写したような冗長な文章ではなく、客観性ある箇条書きとして要約して提供されるべきことは言うまでもない(それが登記事項に対する情報の当てはめの作法である。)。
信託行為の設定書類を、特に信託目録に記録する部分においては箇条書き形式で作成することが必要だと思います。
むしろ、ここでは、「財産の管理」という信託の定義を構成する基礎概念それ自体が、「信託の目的」という公示に価するのか、という問題の延長で考えるべき論点である。
記事の下の文章と同じく、受託者は受益者のために事務を行うので不要だと考えます(信託法2条1項など。)。
受託者も親族(委託者の推定相続人)として、中立な財産管理者でない場合が少なくない。
中立な財産管理者は委託者の推定相続人でない者、とすると受託者が見つかるのか、と感じます。また中立な財産管理者が、事業として行う信託会社などの立ち位置を想定しているとすると、司法書士は民事信託支援業務に不要なケースなのかなと思いました。
やむにやまれぬ目的(認知症対策や介護施設入所に備えて)で、信託を行うわけである。
保険や預貯金の種類が色々とあるように、他にも理由はあると思いますが、福祉型信託というと、この2つが代表的な目的だと執筆者は考えられているかもしれません。
4 信託の条項
1 信託の目的
相続税対策を継続するための財産管理
相続税対策とは、委託者が認知症となった以降も、当該信託財産に関して、相続税の負担を少なくするために活動を続けることであり、例えば、金融資産の少ない地主の場合、相続税支払いを想定しての売却活動の継続や資産の組み替えなども含まれる、と言われる場合がある。―中略―かような文言が信託目的の公示対象となしうるか否か、適法か違法か、適切か不適切か、これから議論が必要となろう。
相続税支払いを想定しての売却活動の継続や資産の組み替えなどは、信託行為(信託契約の場合)を作成する過程で、委託者と受託者が合意するものであり、受託者の事務となります。受託者の財産管理・処分の方針であり、信託の目的としては、円滑な承継で足りるのではないかと考えます。適法か違法かでいうと適法だと考えますが、その前に不要だと思います。適切か不適切かについては、信託の目的としては不適切、受託者の権限の範囲(信託法26条)としては適切、と考えます。
しかし、逆説的ではあるが、「信託の目的」こそが信託登記の土台であり、基礎工事であるから(信託とは、そもそも信託の目的の実現の手段である。)、その部分が曖昧であれば、信託登記の機能それ自体が曖昧となってしまう。
信託の目的が、信託目録欄の信託の目的のみで判断される、ということはないのではないかと思います。具体的な財産の管理方法その他の記録から総合的に判断されるものだと考えます[2]。
信託法26条は、「又は」や「及び」の接続詞の係り方を読み解くのが難しいが、後段の「信託の目的の達成のために必要な」という修飾句(限定句)は、後段の「行為」だけではなく、前段の「処分」にも係るはずだ。
後段の「信託の目的の達成のために必要な」という修飾句(限定句)は、後段の「行為」だけではなく、前段の「処分」は信託法2条5項の信託行為の定めに従い、に係るのだと思います。
4 信託の条項
1 信託の目的
高齢者の生活支援
安定した住居の無償の提供
2 信託財産の管理方法
受託者の権限 信託財産の管理に限る
このような信託目録に記録すべき情報が提供されている場合、形式的には却下事由に該当するという判断もありうる。
受託者の権限が信託財産の管理に限る、と記録されている場合にこの不動産の売買による所有権移転登記申請が却下事由に該当する可能性はあると思います。
信託の目的違反で却下事由になることは、ないのではないかと思います。住居がこの不動産を指しているとは限らないからです。
4 信託の条項
2 信託財産の管理方法
信託法26条但書の定め 信託財産の処分を禁止する
このような信託条項の場合、受託者の権限に対する一般的な制約であるが、かような信託法26条但書による包括的な定めで、信託法49条2項の費用償還に基づく処分も禁止されるのであろうか。
信託法49条2項については、信託法52条で対応することになると考えます[3][4]。
信託法52条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108
(信託財産が費用等の償還等に不足している場合の措置)
第五十二条 受託者は、第四十八条第一項又は第二項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産(第四十九条第二項の規定により処分することができないものを除く。第一号及び第四項において同じ。)が不足している場合において、委託者及び受益者に対し次に掲げる事項を通知し、第二号の相当の期間を経過しても委託者又は受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けなかったときは、信託を終了させることができる。
一 信託財産が不足しているため費用等の償還又は費用の前払を受けることができない旨
二 受託者の定める相当の期間内に委託者又は受益者から費用等の償還又は費用の前払を受けないときは、信託を終了させる旨
2 委託者が現に存しない場合における前項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「受益者」とする。
3 受益者が現に存しない場合における第一項の規定の適用については、同項中「委託者及び受益者」とあり、及び「委託者又は受益者」とあるのは、「委託者」とする。
4 第四十八条第一項又は第二項の規定により信託財産から費用等の償還又は費用の前払を受けるのに信託財産が不足している場合において、委託者及び受益者が現に存しないときは、受託者は、信託を終了させることができる。
4 信託の条項
2 信託財産の管理方法
信託法178条1項但書の定め
清算受託者は信託財産を売却処分し、残余財産受益者に対して金銭を分配する。
私は清算受託者の職務について、具体的な職務の記録申請をしたことがありませんが、確定している場合には公示として必要だと感じました。
[1] 894号、令和4年8月、テイハン、P41~
[2] 道垣内弘人編著『条解信託法』2017年、弘文堂、P18~
[3] 金森健一『民事信託の別段の定め実務の理論と条項例』2022年、日本加除出版、P108~
[4] 村松秀樹ほか『概説新信託法』、2008年、金融財政事情研究会P156~
金融機関と提携している士業が作成した信託目録を観てみたいと思います。不動産登記法第97条3項
委託者に関する事項です。不動産登記法第97条1項1号
当初委託者が登記され、1か月ほど期間をおいて、委託者変更の登記がされています。当初委託者に加えて、配偶者が追加となっています。
受託者に関する事項です。不動産登記法第97条1項1号
受託者は法人であり、株式会社となっています。代表取締役は変更後の委託者の子であり、第二次受益者の一人でもあります。
受益者に関する事項です。不動産登記法第97条1項1号
変更の形態は、委託者と同じです。1か月ほど期間をおいて、委託者変更の登記と同時にされています。当初受益者に加えて、配偶者を追加しています。委託者に関する事項と違うのは、受益権割合2分の1が登記されていることです。最終判断は税理士になりますが、私の推測です。下の税控除を行うための登記だと思います。
登記する必要があるかに関しては、私は消極です。税務署には信託契約書を提出することで足りると考えるからです。
No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm
信託条項の欄です。
信託の目的
・信託財産に属する財産は、信託契約公正証書の援用。
・判断能力の低下に備える
・共有を回避
・円滑な相続
受託者の権限
・信託不動産について、信託を原因とする所有権移転登記及び信託の登記手続をする。
・・・この登記記録のことなので、信託目録に記録する必要があるかといえば、私は不要だと思います。登記、登記手続は、登記申請、登記申請手続きに修正が必要だと思います。不動産登記法11条
・信託不動産の維持、保全、修繕、改良は、受託者又は受託者及び受益者代理人が適当と認める方法、時期、範囲において行う。
・・・この条項が必要かどうかは、維持、保全、修繕、改良について後続登記(担保設定など)が必要かどうかだと思います。受託者又は受託者及び受益者代理人という記録は、受益者代理人が就任している場合は、受益者代理人と受託者が協議して判断するのか、分かりませんでした。
・受託者は、必要に応じて、次の行為を行うことができる。
ア 建物の建設、不動産の購入、信託不動産の売却、賃貸、解体
・・・建物の建設、不動産の購入に関しては、信託金銭に関する条項なので信託目録に記録する必要があるのか分かりませんでした。
イ 受託者による資金の借り入れ及びこの借入れのための信託不動産に担保権を設定すること
ウ 受益者による借入れのために信託不動産に担保権を設定すること
・受託者による第三者委託(信託法28条)
・委託者から受託者への賃貸人の地位の承継(民法605条の2第3項、第4項、同法605条の3)
・信託の終了事由
・受託者及び受益者又は受益者代理人が合意したとき(信託法164条3項)
・その他信託法に定める事由が生じたとき(信託法163条ほか)
・・・当初委託者兼受益者による単独で信託の終了することを、許容している条項だと考えます[1]。
・その他の信託条項
・善管注義務(信託法29条)・・・信託目録に記録する必要があるのか、判断が分かれるのかなと思います。
・受益権の譲渡、質入れ(信託法93条、同法96条)・・・対抗要件は登記ではありませんが、受益者変更登記が必要となったとき、金融機関の承諾が必要という制限があるので、信託目録に記録する必要はあると思います。融資金融機関と記録されていますが、担保権者として登記されている金融機関、などへの修正が必要なのかなと感じます。
・信託契約の変更(信託法149条4項)・・・信託の終了と違い、その他信託法に定める事由が生じたとき、という記録がありません[2]。受益者(受益者代理人)と受託者の書面合意(融資を受けている場合、金融機関の同意書添付)以外の方法では、信託の変更は出来ないことになると考えられます。
・受益権の内容、受益者代理人、帰属権利者・・・信託契約公正証書の援用。
[1] 金森健一『民事信託の別段の定め実務の理論と条項例』2022年、日本加除出版P226~
[2] 金森健一『民事信託の別段の定め実務の理論と条項例』2022年、日本加除出版P259~
登記情報[1]の記事、末光祐一司法書士「「疑わしい取引」と司法書士(39)」からです。
参考
金融庁
「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」
「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」
https://www.fsa.go.jp/policy/amlcftcpt/index.html
デジタル庁
トラストを確保したDX推進サブワーキンググループ
https://www.digital.go.jp/councils/
そこで、定期的な確認の頻度についても依頼者のリスクに応じて判断することになるが、金融庁「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下、「金融庁ガイドライン」という)を参考にすると、次のような頻度で情報を更新することが想定され、この期間を延ばす場合には、合理的かつ相当な理由が必要になる。
・高リスク先:1年に1度
・中程度のリスク先:2年に1度
・低リスク先:3年に1度
ただ、これらの頻度は司法書士が自ら事務所の規模や特性、依頼者のリスクなどに応じて、個別具体的に決定するものであり、例えば、高リスクではない依頼者で自然人にあっては3年、法人にあっては2年を目安にすることも考えられ、さらに低リスクと判断した上場会社等にあっては信頼できる公開情報をもとに更新することもあり得ようが、他方、高リスクの依頼者については、リスク低減措置として、依頼の拒否や辞任を検討せざるを得ないことも見込まれる。
定期的な情報の更新によることはもちろん、定期的な情報の更新のタイミング以外であっても、新たな依頼があった際や、依頼者あるいは外部から取得した情報によって依頼者のリスクに影響するようなときには、リスク評価を見直すことになる。いずれにしても、見直し後(上方遷移、下方遷移もあり、リスクの評価に変更がない場合もある。)のリスクに応じ、その評価に適切に連動した逓減措置が求められる。
リスクの低減措置が求められる(リスクが大きくなったことや変化がないことの記録の措置も求められる。)、という趣旨だと思います。
自動化出来ると良いのですが。例えば、事件記録などに新規追加、追加、削除した場合に赤に変わるなど。抱えている案件1つずつに対して、年に1度であればそこまでの負担はないと思いますが、急に状況が変わる場合(新たな依頼があった際や、依頼者あるいは外部から取得した情報によって依頼者のリスクに影響するようなとき)に毎回見直すのは負担が大きくならないのか、継続的に可能なのか、私には分かりませんでした。司法書士報酬に反映させても良いのかもわかりませんでした。
今は、持っている知識や経験に頼る場面が多いです。
一見の依頼と継続の依頼
マネー・ロンダリング及びテロ資金供与のリスクの低減措置は、すべての依頼者について、すべての依頼について実施されなければならない。それは、全ての依頼者の依頼の際から依頼の終了までの間、継続的顧客管理を実施することを意味している。
そこで、―中略―とくに次の3点が重要であると考えられている。
・法令等の対応を適切に実施すること
・リスクベースの対応を適切に実施すること
・説明を丁寧に実施すること
説明を丁寧に実施すること、に関して依頼の際から依頼の終了までの範囲を、明確にすることが求められる、と理解しました。ただ、登記が予定通り終わってくれれば良い、お金は払う、という依頼者も多いので時間や手間を取る最初の説明をどこまでやるのか、今までとどこを変えていくのか、分かりませんでした。
司法書士への依頼は、一見の依頼者によるほか、既存の依頼者による依頼もあり、そして、依頼の性質としては1回的な依頼(業務)と継続的な依頼(業務)がある。継続的顧客管理は、依頼(業務)に関して、開始時、継続時、終了時に行われるが、それらの依頼の組合せによる業務の性質に応じて、具体的に実行されなければならない。
継続時に関して、未だ私の中で整理できていません。また紹介の場合、紹介元が士業、以前の依頼者その他など複数あるのですが、紹介者の属性でリスクの大小を決めても良いのか、現時点で私には分からないので決めないことにします。
例えば、初めての依頼者による登記手続の依頼に基づいて行う当該登記手続が、その依頼から長期間の経過後に実行されることが想定されるようなときは、依頼の以後、登記手続が完了するまでの間、継続的顧客管理を行って依頼者のリスクの変化を注視しなければならない場合もあろう。なお、当初に見込まれた完了までの期間が、依頼者の都合で延長されるときは、合理的な事情が認められない場合、リスクの上昇について検討を要することになろう。
例えば、売買契約に基づく所有権移転登記申請の依頼を受けて、手続実行のために書類を預かったり、取得していた場合で当初予定より登記申請が遅れていつ申請するのか分からない場合、一旦依頼者に書類を返却し、書類の取得費用等は清算する、ということは行います。
登記手続が完了するまでの間には、登記後の書類、情報を関係者が確認するまでを含む趣旨だと理解しました。
(d)一見の依頼者による1回的な業務の依頼であっても、継続的に依頼を受けるような場合には、継続的顧客管理が必要となる。―中略―
(f)他方、一見の依頼者による1回的な業務の継続的な依頼であっても、以後の依頼を、すべて一見の依頼者として取り扱う場合は、継続的顧客管理の対象とならない。
どちらが良いのか、各司法書士の判断になると思いますが、法人の場合は(d)、個人の場合は(f)にする方が負担が少ないのかなと感じました。
依頼に当たって、リスクが高いと判断されるときは、リスク低減措置として、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認及び司法書士会の会則に基づく本人確認(職責に基づく本人確認)によって本人確認の義務を確実に履行することは大前提として、取引時確認及び本人確認において取得した情報以外の情報であって、リスク判断するうえで有益な情報を信頼に足る証跡をもって取得するなど―中略―このような場合には、依頼に応ずる業務、負わない業務の区別なく、依頼を受けてはならないといえる。
考え方自体には同感です。犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認及び司法書士会の会則に基づく本人確認(職責に基づく本人確認)によって本人確認の義務を確実に履行したうえで、残るリスクというのが、マネー・ロンダリングという点からはどのようなものがあるのか、分かりませんでした。
参考
国家公安委員会
犯罪収益移転危険度調査書 令和3年12 月
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm
[1] 729号、2022年8月、(一社)金融財政事情研究会P108~
イメージ
現在
20221116追記
参考
市民と法No.1372022年10月民事法研究会、浅野知則司法書士「司法書士業務のデジタル化に備えて」