外国籍の人に関する通達の整理

・領事の所在地国を限定せず、日本以外の国に駐在する本国の領事も含まれる。

・外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、署名証明書を取得することができないときは、

登記の申請書に押印すべき者の作成したその旨の上申書と

当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した署名証明書

の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書に代えることができる。

やむを得ない事情の具体例

①当該外国人の本国に署名証明書の制度自体がなく、本国官憲において署名証明書を取得することができない場合

②当該外国人の本国においては署名証明書の取得が可能であるが、当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名証明書を取得することができない場合

③当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない場合

・日本に住所を持っていない外国人が、株式会社設立のための通帳を作成する場合、日本人などに委任して日本人名義の通帳を作成して、お金を払い込み、会社設立後に会社名義にしても良い。

(内閣府規制改革推進会議 第2回行政手続部会 議事次第資料1より抜粋)

外国企業等から見た課題の例

1.法人設立登記関連 

日本に住所がない外国人の場合は、印鑑証明書の代わりに、サイン証明書を取得することが必要。 

株式会社の設立登記のためには、金融機関に資本金を払い込み、その証明書類を提出することが必要であるが、外国法人や日本に居住していない代表者が銀行外国語原文の資料について、日本語の翻訳の提出が求められる。口座を開設することは困難。

登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の

作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて(通達)

平成28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達

法務局長,地方法務局長宛て

改正 平成29年2月10日法務省民商第15号

第1 商業登記規則第9条関係

1 登記の申請書に押印すべき者が印鑑を提出する場合には,印鑑を明らか

にした書面に商業登記規則(昭和39年法務省令第23号。以下「規則」

という。)第9条第1項各号に定める事項のほか,氏名,住所,年月日及

び登記所の表示を記載し,押印したもの(以下「印鑑届書」という。)を

もって行い(同項),当該印鑑届書に押印した印鑑につき市町村長(特別

区の区長を含むものとし,地方自治法(昭和22年法律第67号)第25

2条の19第1項の指定都市にあっては,市長又は区長若しくは総合区長

とする。以下同じ。)の作成した証明書で作成後3月以内のものを添付し

なければならないとされている(規則第9条第5項第1号)。

2 外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)が申請書に押印

して登記の申請をする場合における印鑑の提出についても,1の手続によ

る。この場合において,印鑑届書の署名が本人のものであることの当該外

国人の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲を含む。

以下同じ。)の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印鑑

証明書の添付に代えることができる。

なお,あらかじめ登記所に印鑑を提出していない外国人が登記の申請を

する場合(会社の支店の所在地において登記の申請をする場合を除く。)

には,当該登記の申請書又は委任状の署名が本人のものであることの本国

官憲の証明が必要である。

第2 規則第61条関係

1 株式会社の設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請

書には,設立時取締役又は取締役会設置会社における設立時代表取締役若

しくは設立時代表執行役(以下「設立時取締役等」という。)が就任を承

諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付し

なければならず,取締役又は取締役会設置会社における代表取締役若しく

は代表執行役(以下「代表取締役等」という。)の就任(再任を除く。)

の登記の申請書に添付すべき代表取締役等が就任を承諾したことを証する

書面の印鑑についても,同様とされている(規則第61条第4項及び第5

項)。

外国人が設立時取締役等又は代表取締役等に就任した場合において,当

該設立時取締役等又は代表取締役等が就任を承諾したことを証する書面に

署名しているときは,当該就任を承諾したことを証する書面の署名が本人

のものであることの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長

の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

2 規則第61条第6項本文の規定により,同項各号に掲げる場合の区分に

応じ,それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を

添付すべき場合において,当該各号に規定する書面に外国人である議長又

は取締役若しくは監査役が署名しているときは,当該書面の署名が本人の

ものであることの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の

作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

3 規則第61条第8項本文の規定により,代表取締役若しくは代表執行役

又は取締役若しくは執行役が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町

村長の作成した証明書を添付すべき場合において,当該辞任を証する書面

に外国人である代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役

が署名しているときは,当該辞任を証する書面の署名が本人のものである

ことの本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印

鑑証明書の添付に代えることができる。

第3 日本の公証人等の作成した証明書

外国人の署名につき本国官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村

長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる場合において,当該

外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から,当該署名が本人

のものであることの本国官憲の作成した証明書を取得することができない

ときは,その旨の登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び当該

署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住し

ている国の官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印

鑑証明書の添付に代えることができる。なお,署名が本人のものであるこ

との証明書を日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発

行していないため当該証明書を取得することができない場合又は日本に当

該外国人の本国官憲がない場合には,日本以外の国における本国官憲にお

いて当該証明書を取得することが可能であっても,やむを得ない事情があ

るものとして取り扱ってよい。

法 務 省 民 商 第 1 6 号

平成29年2月10日

法 務 局 民 事 行 政 部 長 殿

地 方 法 務 局 長 殿

法務省民事局商事課長

(公 印 省 略)

「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市

町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いにつ

いて」の一部改正について(依命通知)

標記について,本日付け法務省民商第15号民事局長通達が発出され,平成

28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達(以下「通達」とい

う。)が一部改正されたところですが,通達の運用に当たっては,下記の点に

留意するよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

1 通達第3に定める外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があ

るとして,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び日本の公証人

又は当該外国人が現に居住している官憲の作成した署名が本人のものである

ことの証明書をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えること

ができる具体例は,次のとおりである。

(1) 当該外国人の本国に署名が本人のものであることを証明する制度自体が

なく,当該国の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲

を含む。以下同じ。)において署名が本人のものであることの証明書を取

得することができない場合

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該国の本国官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明

書を発行していない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

(2) 当該外国人の本国においては署名が本人のものであることの証明書の取

得が可能であるが,当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する

当該外国人の本国官憲では署名が本人のものであることの証明書を取得す

ることができない場合

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官

憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行してい

ない旨の回答があった旨が記載されていれば足りる。

(3) 当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がな

い場合(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含

む。)

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,

当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない

旨が記載されていれば足りる。

2 署名が本人のものであることの証明書を当該外国人の本国の日本における

領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していないため当該証明書

を取得することができない場合又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合

(第三国に存在する当該外国人の本国官憲が兼轄している場合を含む。)に

は,日本以外の国における本国官憲において当該証明書を取得することが可

能であっても,外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情があるも

のされた。この場合には,登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及

び署名が本人のものであることの日本の公証人の作成した証明書をもって,

市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

この場合における登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書には,当

該外国人の本国の日本における領事又は日本における権限がある官憲に確認

したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回

答があった旨又は日本に当該外国人の本国官憲がない旨が記載されていれば

足りる。

法 務 省 民 商 第 4 1 号

平成29年3月17日

法 務 局 長 殿

地 方 法 務 局 長 殿

法務省民事局長

( 公 印 省 略 )

株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項

の規定による払込みがあったことを証する書面の一部として払込取扱機

関における口座の預金通帳の写しを添付する場合における当該預金通帳

の口座名義人の範囲について(通達)

株式会社の設立の登記の申請において,発起設立の場合には,設立時代表取

締役又は設立時代表執行役の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証

する書面に,払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その

他払込取扱機関が作成した書面のいずれかを合てつしたものをもって,会社法

(平成17年法律第86号)第34条第1項の規定による払込みがあったこと

を証する書面(商業登記法(昭和38年法律第125号)第47条第2項第5

号)として取り扱って差し支えないものとされている(平成18年3月31日

付け法務省民商第782号当職通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱

いについて」第2部第1の2(3)オ(イ))ところですが,当該預金通帳の口

座名義人の範囲については,下記のとおり取り扱うこととしますので,事務処

理に遺憾のないよう,貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

1 預金通帳の口座名義人として認められる者の範囲

預金通帳の口座名義人は,発起人のほか,設立時取締役(設立時代表取締

役である者を含む。以下同じ。)であっても差し支えない。

払込みがあったことを証する書面として,設立時取締役が口座名義人であ

る預金通帳の写しを合てつしたものが添付されている場合には,発起人が当

該設立時取締役に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書

面を併せて添付することを要する。

2 発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合の特

登記の申請書の添付書面の記載から,発起人及び設立時取締役の全員が日

本国内に住所を有していないことが明らかである場合には,預金通帳の口座

名義人は,発起人及び設立時取締役以外の者であっても差し支えない。

払込みがあったことを証する書面として,発起人及び設立時取締役以外の

者が口座名義人である預金通帳の写しを合てつしたものが添付されている場

合には,発起人が当該発起人及び設立時取締役以外の者に対して払込金の受

領権限を委任したことを明らかにする書面を併せて添付することを要する。

3 発起人からの払込金の受領権限の委任

1及び2の場合における発起人からの払込金の受領権限の委任について

は,発起人全員又は発起人の過半数で決する必要はなく,発起人のうち一人

からの委任があれば足りる。

受益権の放棄に制限を付けることができるか。

例えば、信託契約書にこのような定めがあった場合

受益者は、受託者の書面による承諾を得た場合に限り、その受益権の分割、放棄、譲渡その他の担保設定を行うことができる。

受益権は、受益債権+受益者としての地位です。

委託者が、最初の受益者となる場合、その受益者は信託法に基づいて受益権を放棄することが出来ません。委託者は信託行為の当事者で、自らの意思で受益者になったからです。

委託者、受託者以外の人が受益者として指定された場合、受益権の放棄は自由です。

この場合の受益者は、自分で進んで受益権を取得したわけではないので、もらう権利もあれば、もらわない権利もあります。

ただし、信託法に基づく受益権の放棄は、さかのぼって効力を発生させる、最初からなかったことになるので、受益権が放棄されて困る人がいる場合は、受益権の放棄は出来ません。困る人がいる場合というと受益者として受益権に担保を設定した後、受益権を放棄すると、担保設定者は困るので出来ません。

それでも放棄した場合、詐害行為取消しの対象になるかは、見解が分かれています。

ということで、受益権の放棄に、「受託者の書面による承諾を得た場合に限り」などの制限を付けることはできません。

・・・・・・・・・・・・・

参考

寺本昌広「逐条解説 新しい信託法」

能見善久他「信託法セミナー3」

全国商工会連合会が提出した資料

(出典:内閣府規制改革推進会議2017年4月27日閲覧、平成28年11月21日第5回行政手続部会 議事次第)

Ⅱ.その他、規制・行政手続について負担と感じていることについて

「行政手続きの簡素化」に関するアンケート調査結果

2016 年 10 月期の景気動向調査の付帯調査として実施した。 

■調査期間 2016 年 10 月 25 日~11 月 10 日

■調査対象 商工会の経営指導員

■回答商工会数 159 商工会

■回答方法 WEB アンケート(選択記入方式、一部記述) 

1.中小・小規模事業者が負担を感じている行政手続き項目(複数回答可)

<回答数 635>

負担を感じている行政手続き項目 回答数

①補助金や助成金の申請等に関する手続き 117

②社会保険(労働保険、厚生年金、健康保険)に関する手続き 102

③税務申告に関する手続き(事業開始、電子申請、納付、書類保存等) 90

④労務に関する手続き(就業規則、36 協定等) 85

⑤会社の登記に関する手続き(設立、役員選任、定款変更等) 75

⑥飲食店、建設、運輸業等の営業許可に関する手続き 52

⑦知的財産に関する手続き(出願、審査等) 45

⑧公共入札に関する手続き 36

⑨外国人雇用(技能実習生含む)に関する手続き(在留資格等) 31  

2.負担を感じている内容(複数回答可)

<回答数 548>

負担を感じている内容 回答数

①申請書類の記入が多い、分かりにくく煩雑 123

②添付書類が多い(書類作成や収集に手間がかかる、用途不明の書類の要求等) 116

③手続きに要する時間が長い、所要時間が不明 72

④手続き方法が分かりにくい(相談窓口の不足、サポート対策が不十分等) 67

⑤手続きが不透明(審査基準が分かりにくい、部署・担当者ごとに基準が異なる) 59

⑥複数の行政機関・部門から類似の書類を要求される 47

⑦手数料・更新料が高い 38

⑧オンラインでの資料提出・様式の取り寄せができない 23

法定相続情報一覧図の保管及び写しの申出とそれに伴う戸籍収集だけの代理は出来ないのでしょうか。

士業が代理する場合、司法書士であれば相続登記などを引き受けないと、法定相続情報一覧図の保管及び写しの申出は代理出来ない、業務違背に当たるという考えがあります。

 改正不動産登記規則を読む限り、法定相続情報一覧図の保管及び写しの申出だけの代理は、出来ると考えます。

 不動産登記規則では、戸籍法第10条の2第3項の資格については記載していますが、受任した業務又は事務を遂行するのに必要な場合、の部分は記載していないからです。また改正の趣旨とも合わないと思います。

(法定相続情報一覧図)

第二百四十七条

表題部所有者、登記名義人又はその他の者について相続が開始した場合において、当該相続に起因する登記その他の手続のために必要があるときは、その相続人(第三項第二号に掲げる書面の記載により確認できる者に限る。以下本条において同じ。)又は当該相続人の地位を相続により承継した者は、被相続人の本籍

地若しくは最後の住所地、申出人の住所地又は被相続人を表題部所有者若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対し、法定相続情報(次の各号に掲げる情報をいう。以下同じ。)を記載した書面(以下「法定相続情報一覧図」という。)の保管及び法定相続情報一覧図の写しに登記官が認証文を付記したものの交付の申出をすることができる。

一被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡の年月日

二相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び被相続人との続柄

2 前項の申出は、次に掲げる事項を内容とする申出書を登記所に提供してしなければならない。

一申出人の氏名、住所、連絡先及び被相続人との続柄

二代理人(申出人の法定代理人又はその委任による代理人にあってはその親族若しくは戸籍法第十条の二第三項に掲げる者に限る。以下本条において同じ。)によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三利用目的

四交付を求める通数

五被相続人を表題部所有者又は所有権の登記名義人とする不動産があるときは、不動産の所在事項又は不動産番号

六申出の年月日

七送付の方法により法定相続情報一覧図の写しの交付及び第六項の規定による書面の返却を求めるときは、その旨及び送付先の住所

3 前項の申出書には、申出人又はその代理人が記名押印するとともに、次に掲げる書面を添付しなければならない。

一法定相続情報一覧図(第一項各号に掲げる情報及び作成の年月日を記載し、申出人が記名するとともに、その作成をした申出人又はその代理人が署名し、又は

記名押印したものに限る。)

二被相続人(代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書

三被相続人の最後の住所を証する書面

四第一項第二号の相続人の戸籍の謄本又は全部事項証明書

五申出人が相続人の地位を相続により承継した者であるときは、これを証する書面

六申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該申出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)

七代理人によって第一項の申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面

4 前項第一号の法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載したときは、第二項の申出書には、その住所を証する書面を添付しなければならない。

5 登記官は、第三項第二号から第四号までに掲げる書面によって法定相続情報の内容を確認し、かつ、その内容と法定相続情報一覧図に記載された法定相続情報の内容とが合致していることを確認したときは、法定相続情報一覧図の写しを交付するものとする。この場合には、申出に係る登記所に保管された法定相続情報一覧図の写しである旨の認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押印するものとする。

6 登記官は、法定相続情報一覧図の写しを交付するときは、第三項第二号から第五号まで及び第四項に規定する書面を返却するものとする。

7 前各項の規定(第三項第一号から第五号まで及び第四項を除く。)は、第一項の申出をした者がその申出に係る登記所の登記官に対し法定相続情報一覧図の写しの再交付の申出をする場合について準用する。

(法定相続情報一覧図の写しの送付の方法等)

第二百四十八条

法定相続情報一覧図の写しの交付及び前条第六項の規定による書面の返却は、申出人の申出により、送付の方法によりすることができる。

2 前項の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならない。

3 前項の指定は、告示してしなければならない。

戸籍法第10条の2第3項

第十条の二    前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

一   自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由

二   国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由

三   前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由

3   第一項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法 人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法 人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法 人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法 人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

民事信託・家族信託契約をするときに、委託者の能力はどのくらい必要か。

委託者が3つの認識ができること必要です。

1、信託する財産がどれか、特定されている。

2、信託すると、信託した財産の所有者ではなくなるが、所有者とほぼ同じ権利持ち、その権利が侵されたときの救済を求めることが出来る。

3、信託すると、信託した財産は受託者が、受託者自身の財産とは別扱いで管理する。

民法上

権利能力

 生まれたときから持っている、とされる権利です(民法3条)。

行為能力

意思能力が取引成立の前提であるとすれば、行為能力は、その取引が自身にどのような意味を持つのか、土地を1億円で売ると決めたが、相手が値下げして欲しいと言ってきた場合、100万円値下げすると決めるか、これからもっと土地の値段は上がるかもしれない、下がるかもしれない、自身にとって値下げは有利か、不利か、といったことをある程度判断する能力。プロでも100%正確な判断は出来ないと思いますので、ある程度、です(民法7条など)。

また、社会状況によって行為能力が衰えた人を保護するための法律や判例も変わってきます。(高齢化社会、多様な取引形態、本人の自己決定権の尊重と保護のバランスなど)。

行為能力の有無や衰えの程度は、法定後見等の開始の審判がされる基準になります。事理を弁識する能力(民法7条等)は、行為能力のことを指しているといえます。

契約書に住所と名前を書くように、権利能力+行為能力+住所で契約をすることが出来ると考えることができます。

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その他、色々な名前の能力

意思能力

 この本を2,000円で買おう、この土地を1億円で売ろう、などの意思を表示することができる知識と能力。本を買う、という取引と土地を売るという取引では、土地を売るという取引の方がより高い意思能力が必要とされます。考えることが多いからです。この土地は売った方が良いのか、貸した方が良いのか、いくらなら買い手がつくか、仲介業者はどこにしようか、売った後の税金はいくらか、など。

1、意思能力があるとはいえない事例

2歳の幼児がジュースを飲みたい、お菓子を食べたいという意思表示。

→ジュースを100円で買おう、お菓子をお母さんから貰おうという意思の表示が必要。

2、意思能力がなかった場合の効果

意思能力を欠く人の意思表示は、明治時代から無効のようです(大判明治38年5月11日)。

任意後見契約を締結するとき

判断能力が必要とされています。

ここでいう判断能力とは、自身の判断能力が衰えたときに行われる後見事務の内容を認識していること、後見事務を行う任意後見人を自らの意思で決めることだといえます。

公正証書遺言を作成するとき

15歳になると、遺言を作成することができます。

また遺言者は、遺言を作成するときにおいて、遺言能力を持つことが必要とされています。遺言能力とは、意思能力のことを指します。

金融機関との取引

預金

複数の行職員による、意思能力と行為能力の確認。

本人から自署・捺印を受け、同居の家族や医師の確認をとったり、推定相続人の同意をとる。

借入れ

預金と同様の確認。

借入れの必要性の検討

返済

記述なし。

意思能力がなくても金融機関は、返済を受け続けることは出来るのでしょうか。よく分かりませんでした。

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参考

信託法1条、34条

一般社団法人金融財政事情研究会編著「CSのための金融実務必携」(株)きんざい P52-P55、P122-P126

新井誠他編「信託法制の展望」(株)日本評論社 P21-P30

任意後見契約に関する法律第2条

(社)成年後見センター・リーガルサポート「任意後見実務マニュアル

Q&Aと契約条項例」新日本法規出版(株)P14-P15

東京地判平成17年9月29日

民法961条、963条

内田貴「民法4」(財)東京大学出版会 P471-P473、「民法1」P91-P121

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