旧民法・応急措置法の相続の実務研修メモ

田邊英士司法書士     令和4年3月4日

明治2 版籍奉還

明治5.2.1       戸籍法施行

明治5年式戸籍(壬申戸籍)

明治19.10.16 明治19年式戸籍

明治31.7.16   旧民法施行

明治31年式戸籍

大正4.1.1       ⼤正4年式戸籍

昭和22.5.3     日本国憲法発効

日本国憲法の施⾏に伴う民法の応急的措置に関する法律施行

https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/Detail_F0000000000000044631

昭和23.1.1     新民法施行

戸籍法(新戸籍法)施⾏

1953.11.16 戸籍整備法制定(沖縄における戸籍再製手続き開始)

1957(昭和32年).1.1(昭和32年)      沖縄県において、新民法・新戸籍法の施⾏。それまでは明治民法(明治29年4月27日法律第89号)の適用。家督相続など。

1955/12/2琉球政府行政主席官房総務課立法案第11号民法の一部を改正する立法の署名及び公布について

https://www3.archives.pref.okinawa.jp/RDA/data01/R00000936B/index.html?title=%E7%AB%8B%E6%B3%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9B%B8%E9%A1%9E%201955%E5%B9%B4%E3%80%8014-1%20%20%E7%AB%8B%E6%B3%95%E3%80%81%E7%AB%8B%E6%B3%95%E6%A1%88%E3%80%81%E5%8F%82%E8%80%83%E6%A1%88%E7%B6%B4&page=306

1957.1.1     新民法・新戸籍法の施⾏

1945      ニミッツ布告

https://www3.archives.pref.okinawa.jp/GRI/ryukyu_documents/%E5%B8%83%E5%91%8A%E3%83%BB%E5%B8%83%E4%BB%A4%E3%83%BB%E6%8C%87%E4%BB%A4%E7%AD%89%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89%E6%B2%96%E7%B8%84%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E3%81%AE%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A/

S20.8.15      終戦の詔書

昭和37.7.1     改正⺠法施⾏

S47.5.15     沖縄返還

昭和56.1.1     ⺠法改正施⾏

法定相続分改正

兄弟姉妹の代襲相続人はその子まで

平成13.7.1     平成25.9.4最高裁判決の基準日

平成25.9.4     最高裁判所大法廷判決(相続分)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=83520

平成25.12.11 ⺠法改正施⾏

「ニミッツ布告により、1945年7⽉1⽇現在の⽇本法の効⼒持続が宣⾔され」たため、「本⼟の新⺠法、新戸籍法は沖縄には適⽤がないものであった」(横浜国際科学研究第11巻第3号12(360)頁

沖縄における戸籍の経緯

■第⼆次世界⼤戦によりほとんどの戸籍が焼失等

 現存しているものもあったようだが、公式には滅失公告(1954年3⽉9⽇)によりすべて焼失したものとして取り扱うこととなった

■     昭和21年9⽉19⽇臨時戸籍取扱要綱が通達臨時戸籍を編製

⼀戸ごとに現住する者のみを編成する「配給台帳というような性格」

■     戸籍整備法が施⾏(1954年3⽉1⽇)

原則として、旧戸籍法(⼤正4年式戸籍)に基づいた再製

■     新戸籍法施⾏(1957年1⽉1⽇)

新戸籍法に基づいた(昭和21年式)戸籍の再製・整備

■     「沖縄の復帰に伴う法務省関係法令の適⽤の特別処置などに関する政令」沖縄の戸籍法による戸籍は、戸籍法による戸籍とみなす

(参考)並列して、福岡法務局内の沖縄関係戸籍事務所においても沖縄の戸籍が

(⼀部)編製されていた

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347CO0000000095

注意)S37の⺠法改正について、別途沖縄で対応がされていない場合、  上記のように昭和37年改正についても適⽤にタイムラグが⽣じる?

日本法令と沖縄法令のズレ

■     新⺠法の施⾏時期

日本   昭和23年1⽉1⽇  

沖縄   昭和32年1⽉1⽇⇒9か年のズレ

ズレた9か年の間、本⼟では共同相続、沖縄では家督相続

問題1(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、沖縄に居住、不動産が沖縄。

相続⼈が東京に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   沖縄の法律に基づく家督相続が発⽣する。

問題2(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、沖縄に居住、不動産が沖縄県外。

相続⼈が東京に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   被相続⼈の住所が沖縄であれば、相続⼈の住所・不動産の所在地に関わらず沖縄の法律に基づく家督相続が発⽣する。

問題3(相続発⽣は昭和31年12⽉1⽇とする)

■     被相続⼈が沖縄に本籍、本⼟に居住、不動産が沖縄にあります。

相続⼈が東京またはその他に移住している場合、相続は、共同相続と家督相続のいずれか?

答え   本⼟の法律に基づく共同相続が発⽣する。

  •  被相続人の住所により、家督相続か共同相続かが決定する。

不動産所在地、相続⼈の住所地には左右されない。

久⾙良順「戦後沖縄における法体系の整備ー登記簿・⼾籍簿を含めてー」

沖大法学9号(1990年3⽉)105〜106頁

 ⽴法者の意図は上記だが、上記と相違する下級審判決がいくつかあるので、注意を要する(⿅児島地判s30.10.28家月17巻11号109頁、横浜地判s47.10.17判時694号83頁、福岡高那覇支判s56.2.27⾦融・商事判例638号6頁。)。

奄美諸島などは、日本に復帰した⽇時を以って新⺠法が適⽤される。

旧法における家督相続

■     家督相続とは戸主の法律上の地位の承継と財産の承継

■     家督を相続する者は、前戸主の家⻑としての⾝分、所有財産、祭祀(トートーメーを含む)をすべて受け継ぐ。

■     家督相続をするのは1名に限定

家督相続が開始する原因(旧⺠964)と登記原因

■     登記原因はいずれも「年⽉⽇家督相続」

旧法における家督相続

家督相続が開始する原因の開始時期

1 戸主が死亡した場合はその死亡の⽇。 失踪宣告の場合は死亡と⾒なされた⽇。

2 隠居は届出⽇(旧⺠757、旧戸115)

3 国籍喪失は国籍喪失日(旧国籍18乃至22)

4 婚姻⼜は養⼦縁組の取消により戸主が家を去ったときは裁判確定⽇

5 入夫婚姻は届出⽇(旧⺠775、旧戸100)

6 入夫戸主の協議離婚は届出⽇(旧⺠810、775、旧戸104)

7 入夫戸主の裁判離婚は判決確定⽇

家督相続の原因

■     隠居

 戸主が、⽣前に⾃らの意思で戸主の⾝分を退いて、その戸主権を新たな戸主に承継させる⾏為。財産留保が可能。戸主はその家の家族となる

■     国籍喪失

1.     戸主が国籍を喪失すると戸籍に属することができなくなるので、その家における戸主権も喪失

2.     家には戸主が必要なので家督相続が発⽣。

3.     新戸主は、戸主権と系譜、祭具及び墳墓の所有権は承継するが、原則として財産は承継せず、外国⼈となった前戸主がなお継続して所有

4.     但し、国籍喪失により享有できなく場合(外国人が土地所有権を保有できない等)はその権利を他に譲渡しなかったとき、その権利は家督相続⼈に帰属

「基礎から始める旧⺠法相続に関する法律と実務 p244」

家督相続の原因

■     入夫婚姻(旧⺠736、旧戸100)

1.     ⼥戸主との婚姻と共に夫がその家に⼊ること。

2.     原則として、夫が⼥戸主の家に⼊ると⼊夫が新たな戸主となり、⼥戸主から入夫への家督相続が開始する。

3.     但し、当事者が婚姻届の際に⼊夫が戸主になることを届け出なかった場 合には、夫は家族となり妻は⼥戸主のままとなり家督相続は開始しない。

4.     ⼥戸主であったものは、財産留保が可能

家督相続人の特定

■     戸籍に、戸主の死亡か隠居か⼊夫婚姻かなど、家督相続の原因とその⽇付並びに次の戸主が誰になったかが記載

■     これにより、家督相続人及び登記原因日を特定することができる(家督相続により新たに編成された戸籍により、前戸主と新戸主を確認。)。

次の戸主が事項欄等に記載されていない場合

■     家督相続⼈が誰なのかを法律上の解釈から判断する必要があり

■     戸籍に家督相続の届出がないまま除籍となっている事例では、家督相続の旨の記載がなくとも、その子が当然に旧法中に家督相続人になっていたと認定

家督相続⼈の不選定の場合

家督相続⼈の不選定(と判定するケース)

■     絶家の記載および「区裁判所の許可により絶家」の記載が戸籍にある

■     被相続⼈が死亡時に、同じ⼾籍に⽣存している直系卑属、配偶者、兄弟姉妹、甥姪以下の直系卑属、直系尊属がいるが、次の家督相続人の記載がない。

⇒家督相続⼈不選定の状態が新⺠法施⾏まで継続すると新⺠法が適⽤(新⺠法附則第25条第2項(沖縄は第23条第2項)により新⺠法が適⽤。)。⼊夫婚姻の取消、⼊夫離婚⼜は養⼦縁組の取消の場合を除く。

■     平成29年11⽉9⽇に⼭形地⽅法務局と⼭形県司法書⼠会による登記事務打合会の中、⼭形地⽅法務局回答

「(被選定者のない旨の)証明書は先例上必要とされているものではないが、⼭形局管内では、実務上の取扱いとしても、本件証明書を求めないことで周知する。」

旧⺠法における遺産相続

遺産相続

■     家族(戸主以外)が死亡することにより、その者の財産上の地位を⼀定の者に法律上当然に承継させる制度

遺産相続となる財産

■     家族が自己の名において得た特有財産

■     隠居した戸主が留保した財産(旧民988)

■     ⼥戸主が入夫婚姻した際に留保した財産(旧民988)

遺産相続が開始する原因(旧民992)と登記原因

■     家族の死亡のみ(失踪宣告により死亡とみなされる場合を含む)(旧民992)

■     登記原因は「年⽉⽇遺産相続」

財産留保(旧⺠988)

家督相続、遺産分割のいずれか?

1.     隠居による家督相続の場合、隠居者は⽣存。財産の⼀部を隠居者に留保することを認める(旧民988)。その⽅法は、第三者に対して明らかにするために確定⽇附のある証書ですべき(民施4条から8条)。

2.     留保された財産は、隠居者が隠居中に取得した財産と併せて遺産相続の対象となり、家督相続の対象にはならない。

3.財産留保は、戸籍・登記簿に記載されず、財産留保された財産かは判明しない実務では、原則、留保財産でないものとし、家督相続による相続登記で⾜りる但し、隠居後に取得した財産は遺産分割による相続登記をする。

財産留保の補⾜

■     財産留保の有無は登記官の審査権限に属さない

■     登記原因証明情報の提供が必要なことから、死亡日を原因日付とする(隠居者または⼥戸主名義が戸主当時に取得した財産についての)家督相続以外の相続登記には、当該不動産が留保財産であることの証明が必要

例)確定⽇付のある証書、判決書の正本、相続⼈全員の合意書など

■     家督相続によるときは、留保財産でないことの証明書は不要

結論として、留保財産であることを証する情報がない限り、家督相続による相続登記を申請することで足りると考えられる。

旧⺠法における遺産分割の法定相続⼈と順位

第1順位は直系卑属(旧⺠994)

■     家督相続の場合と異なり、同じ家にいることを必要とせず、他家にいる者も相続人

■     継親⼦関係の継⼦、嫡⺟庶⼦関係においての庶⼦も直系卑属として

同順位

■     第1順位の直系卑属が、相続開始前に死亡し又は相続権を失った場合には、その者に直系卑属がいるときは、その直系卑属が被代襲者と同じ順位で遺産相続人に(旧⺠法995)

注意)旧民法時代に出生した非嫡出子には、⽗⺟の戸籍に記載されないものも あった。実務においては戸籍上判明した限りのこの他はないもとして処理するしかない。

継親⼦・嫡⺟庶⼦(1)

■     継親子関係

その継子との親の配偶者で、子にとり親でない者と子が家を同じくする場合の法定親族関係

■     典型的な継親子関係

婚姻後子どもが生まれ、妻死亡後に再婚時の、後妻と先妻の子どもとの関係

 ⽗の後妻を先妻の⼦から⾒て継⺟(けいぼ)、⺟の後夫を先夫の⼦から⾒て継父(けいふ)、それら継親から⾒て配偶者の⼦を継⼦(けいし)

■     嫡⺟庶⼦関係

 父が認知した非嫡出子(父との関係では庶子)が、その⽗の妻であり庶⼦の⺟でない者とが、家を同じくする場合の両者の関係

継親⼦・嫡⺟庶⼦(2)

■     いずれも親⼦間と同⼀の法律関係が⽣じる

遺産相続に関しては、継親・茶久保に実子、養子がいるときはいずれも同順位の相続人に。

■     ⼀度継親子関係が発⽣した後は、継⼦が婚姻、縁組等で他家に⼊っても継親子関係は消滅しない。継親と継子が家を同じくすることは継親子関係の発生要件だが、存続の要件ではない(明治44.2.14 民刑24 民刑局長回答)。

■     継親子関係・嫡⺟庶子関係は、本⼟では応急措置法施⾏により、沖縄では新⺠法施⾏により、消滅

旧⺠法における遺産分割の法定相続⼈と順位

■     第2順位は配偶者(旧⺠996)

 相続人に直系卑属がいない場合、被相続人の配偶者が遺産相続人に 現⾏法と違い、直系卑属が相続⼈になる場合には配偶者は相続⼈にはならない。

■     第3順位は直系尊属(旧民996)

■     第4順位は戸主(旧民996)

家附の継⼦の新法施⾏後の相続権(新⺠法附則第26条)

■     家附の継⼦:継⼦の中でもその家⽣来の者

例)⼥戸主Aが再婚し、他家のBが⼊夫婚姻で戸主となった場合の、⺟Aと前夫Cの⻑男D

■     応急措置法施⾏(沖縄)新民法施⾏の際における戸主が婚姻又は養子縁組によって他家から入った者である場合には、その家の家附の継⼦は、新法施⾏後に開始する相続に関しては、嫡出である⼦と同⼀の権利義務を有する。

■     応急措置法施⾏中に相続が開始した場合、家附の継子は相続権を喪失。このため、附則第26条1項により、相続人に対する財産の一部の分配請求権を与えることで保護。

家附の継子の新法施⾏後の相続権を認められる要件

■     被相続⼈の死亡が新民法施⾏後であること

■     被相続⼈が、応急措置法の施⾏の際に戸主であった者であること

■     当該戸主であった者が、他家から⼊った(⼊籍した)ものであったこと

■     当該戸主であった者が他家から⼊った事由が、婚姻か養子縁組であったこと

■     相続権を有すべき者は、応急措置法の施⾏時において、当該戸主であったものの継子であったこと

■     当該継⼦は、戸主であった者の家の家附であったこと

■     当該戸主であった者が、応急措置法施⾏後に、婚姻の取消若しくは離婚又は縁組の取消若しくは離縁によって氏を改めていないなこと(新旧⺠法相続キーワード215 p.60。)。

応急措置法施⾏中の相続

■     家制度の廃⽌

1家督相続の廃止

2親⼦関係及び嫡⺟庶⼦関係は効⼒喪失

3家の概念は廃⽌。よって、家を出ても養親⼦関係は継続し相続権あり。

4⼦離縁後の養親及びその⾎族と養親の家に残った養⼦の直系卑属との親族関係は応急措置法施⾏により消滅(昭和28.10.2 福岡高裁決定)

旧⺠法における⽤語(1)

■     去家(きょけ)

旧民法上、家にある者が何らかの原因でその家を去ること。戸籍で⾔えば除籍。

1⽣存配偶者の継親⼦関係の終了

夫婦の⼀⽅が死亡時、⽣存配偶者がその家を去ったとき、継親⼦関係が終了する。

2親の去家による養親⼦関係の終了

 養親が、養家を去った(去家した)ときも、その者及びその実方の血族と養子との親族関係は終了した(夫婦が婚姻し、夫婦が養子と養子縁組をした後、離婚し、妻が復籍すると、妻であった養⺟と養子の養親子関係は終了した)

3親⼦関係の終了の例外

 養子の配偶者、直系卑属⼜はその配偶者は、養子の離縁によっても、当該養子と養家を去らないときは、その者と養親及びその⾎族との親族関係は終了しない。

応急措置法施⾏中の相続

■     家附の継子

相続権を喪失(但し新⺠法附則にて、財産の⼀部の分配請求権は後⽇附与された)

■     兄弟姉妹の相続権が新しく成⽴

■     兄弟姉妹の直系卑属に代襲相続権は認められない

■     兄弟姉妹の相続分の差

 ⽗⺟の双⽅を同じくする者(いわゆる全⾎の兄弟姉妹)と⽗⺟の⼀⽅を同じくする者(いわゆる半血の兄弟姉妹)による相続分について差を設けていない。

新⺠法施⾏後の相続

■ 昭和23年1⽉1⽇、(沖縄)昭和32年1⽉1⽇以降の相続に適⽤

■     応急措置法の規定を取り入れ

1 家制度・家督相続を廃⽌し、遺産相続(単に「相続」と呼称)に⼀本化継親子関係及び嫡母庶子関係は効⼒喪失、去家の概念は廃⽌

2 配偶者相続権の確⽴ (常に配偶者は相続人となる)

3 諸子均等相続制の確⽴

4 祭祀財産の別除

■     応急措置法との相違

1 半血兄弟姉妹の相続分を、全血の兄弟姉妹の相続分の2分の1に

2 兄弟姉妹についての代襲相続の規定の新設(代襲相続が無制限に成⽴)

昭和37年改正

■     全面的な改正には相当の時間を要することから,従来から解釈上疑義があり,実務に混乱をもたらしている問題等について,先⾏して⾒直し

■     代襲相続制度の⾒直し

(1)代襲者は被相続⼈の直系卑属でなければならないと明記(⺠法第887条第2項ただし書)

(2)当時の⺠法第888条第2項を削除し,被代襲者が相続権を失った後に出⽣した⼦や縁組をした養子でも代襲相続することができると明示

■     相続の限定承認・放棄の⾒直し

(1)詐欺,強迫による相続の限定承認・放棄の取消しの⽅法について,家庭裁判所に申述して⾏うことを明記

(2)相続の放棄の効果について,解釈が分かれていたので⺠法第939条全体が改正

■     特別縁故者への分与制度の新設

昭和55年改正

(1)    配偶者の法定相続分の引上げ

従前は,配偶者の法定相続分について,子と相続する場合は3分の1,直系尊属と相続する場合は 2分の1,兄弟姉妹と相続する場合は3分の2とされていたところ,それぞれ2分の1,3分の2,4分の3に引き上げ(⺠法第900条第1号から第3号まで)。

(2)    寄与分制度の新設

(3)    代襲相続制度の⾒直し(兄弟姉妹の代襲相続の制限)

従前は,兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲相続人の範囲について特に制限がなかったところ,兄弟姉妹の⼦(被相続⼈から⾒て甥・姪)までに制限

(4)    遺産分割の基準の⾒直し

遺産分割を⾏う際の基準として,相続⼈について考慮すべき事情の例⽰として「職業」のほかに「年齢」と「⼼⾝の状態及び⽣活の状況」が追加(⺠法第906条)。

(5)    遺留分の⾒直し

配偶者の法定相続分 の引上げに伴い,遺留分が2分の1に統⼀(⺠法第1028条)

旧民法における⽤語(2)

■     絶家(ぜっけ)(旧民764、旧戸144)

戸主を死亡などで失い家督相続が開始したにもかかわらず、家督相続⼈がいないことが確定した場合にその家が断絶すること。家督相続人がいないことが確定したときに絶家となる。廃家が戸主の意思によるものであるのに対し、絶家は、家が法律上及び事実上自然に消滅する。

■     廃家(はいけ)(旧民762、763、旧戸143、26)

1.     「廃家はその家を絶滅させる意思をもってする戸主権の任意の放棄」

2.     廃家は、戸籍法上の届出により成⽴(旧戸143)。それにより法律上の家を消滅させること

3.     廃家者の権利義務はその後も廃家者に属するため、廃家者が持っていた不動産は廃家後も同⼈の所有に属す。よって、廃家者名義の不動産があることが判明したときは、廃家者が死亡したときに戸主か家族かを確認したうえで、家督相続か遺産相続を登記原因として処理

参考文献

■     日司連「【eラーニング】  相続登記のための旧民法・旧戸籍法」 第1部講義資料・第2部講義資料

■     奥山京子「戦後沖縄の法体制と戸籍の変遷(1)」 横浜国際科学研究第11巻第3号12

■     久貝良順「戦後沖縄における法体系の整備ー登記簿・戸籍簿を含めてー」沖大法学9号(1990年3月)

■     末光祐一「事例でわかる戦前・戦後の新旧民法が交差する相続に関する法律と実務」日本加除出版

■     末光祐一「基礎から始める旧民法相続に関する法律と実務」日本加除出版

加工内閣府 第2回 デジタル基盤ワーキング・グループ(自筆証書遺言・公正証書)

令和4年3月1日(火)

議題1.自筆証書遺言のデジタル化について

(SAMURAI Security株式会社、陰山司法書士事務所、法務省からのヒアリング)

議題2.公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化について(フォローアップ)(法務省からのヒアリング)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2201_05digital/220301/digital02_agenda.html

資料1 自筆証書遺言のデジタル化に関する要望事項(SAMURAI Security株式会社 御提出資料)

SAMURAI Security株式会社

https://samurai-sec.jp/

サラス

財産共有契約

家族信託契約

自筆証書遺言が自書・押印を求めるポイントは「本人確認」と「真意性」

複合認証、電子署名(法)を活用すれば、厳格に本人確認、真意性を担保可能

変造、偽造リスクはブロックチェーン技術によって排除することができる

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等の本人特定事項の確認方法)

第6条1項ホ (プラス生体認証)

資料2 自筆証書遺言のデジタル化について(陰山司法書士事務所 御提出資料)

DocuSign

サポート 長期検証(LTV)とは

https://support.docusign.com/jp/articles/What-is-Long-Term-Validation-LTV

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

(顧客等の本人特定事項の確認方法)

第6条1項ワ

遺言書保管官による電子署名

東京地裁令和3年7月16日判決(令和元年(ワ)第30518号)

東京地裁令和3年4月22日判決(平成30年(ワ)第33173号・平成30年(ワ)第34196号)

東京地裁令和3年3月3日判決(令和元年(ワ)第25537号)

東京地裁令和3年6月23日判決(令和元年(ワ)第20063号)

東京地裁令和3年4月28日判決(令和元年(ワ)第18640号)

東京地裁令和3年3月4日判決(平成30年(ワ)第10423号・令和元年(ワ)第20888号)

資料3-1    【自筆証書遺言】論点に対する回答(法務省 御提出資料)

【論点1】

自筆であっても、遺言の有効性等について争いは生じるものであり、デジタル技術の活用や民間サービスの利用等により、本人確認、真意の確認、方式の正確性等が担保されている場合に、遺言を無効とする理由はないのではないか。

遺言の方式を法律で一律に定めるのではなく、本人確認、真意の確認、方式の正確性等が担保されているかという実質に着目するべきではないか。

仮に何らかの規律を設けるとしても、リスクベース・ゴールベースの規律や、技術の進展等を踏まえて機動的に対応し得るような規律(法律には原則を記載し、詳細は政省令で規律)とすべきではないか。

【回答1】

民法上、遺言をするためには、同法が定める一定の方式に従うことが要求されています(注1)。その趣旨は、遺言の場合には遺言者の死亡によって効力を生ずるという特殊性があること等を踏まえ、一定の蓋然性をもって遺言者の真意に基づいて遺言がされたとの判断が可能となるような方式をあらかじめ定めておき、これを満たすもののみを有効とすることで、遺言の有効性に関する信頼を確保してその効力をめぐる紛争の発生をできる限り予防し、その法的安定性を図ることにあります。自筆証書遺言については、全文を自書すること等の方式を定めることで、遺言者がその内容を認識し理解した上で作成したものであって、遺言者の真意に基づくものであることを担保することとしています。

このような趣旨に照らせば、デジタル技術の活用等によって自筆証書遺言と同程度の信頼性を確保することができるのであれば、遺言者の選択肢を増やす観点から、新たな方式を設けることはあり得るものと考えています。

このような方向で検討する場合には、デジタル技術の活用等により、具体的にどのような形であれば本人確認やその真意の確認が適正に担保されるかといった観点や、遺言者の負担の軽減といった観点から、検討を進めることになるものと考えています。特に、遺言の場合には、その効力が発生する際には遺言者は既に死亡していることに加え、相続人や第三者が被相続人の判断能力の低下等につけ込んで自己に有利な遺言を作成させるというリスクがあるため、他の法律行為以上に、本人の真意の確認を慎重に行う必要があるものと考えています。

これに対し、遺言について、一定の方式を定めることなく、真意の確認等が担保されているものであれば効力を認めるとの規律を設けるのは困難であるものと考えています。このような規律は、遺言の外部的方式の問題と、遺言という意思表示自体の成立・効力の問題との区別を失わせるものであり(注2)、個々の遺言について、真意の確認等が担保されたものであるか否かについて常に個別的・具体的判断を要することとなって、遺言者自身にとっての予測可能性が害されるのみならず、遺言者の最終意思の実現や円滑な遺産の分割が阻害される結果を招来するおそれがあるためです。

また、遺言の有効、無効は、相続人だけでなく、相続債権者や被相続人に債務を有していた者など、多くの利害関係人に極めて大きな影響を及ぼすものであり、その信頼性の確保が重要であること等に照らしますと、遺言の方式を政省令で定めることについては、憲法第41条の趣旨等に照らし極めて慎重な検討を要するものと考えています。 いずれにしても、新たな方式を定めることの当否や具体的にどのような方式を定めるかについては、遺言者の真意により作成されたものであることの適正な担保等が図られるか、遺言を作成しようとする者のニーズを的確に把握した上で、当該方式によって遺言の有効性に対する信頼等を確保することができるか、とりわけ、前述のとおり、第三者等が遺言の作成に不当に関与するリスクを増大させることにつながらないかといった観点から、慎重に検討を進める必要があるものと考えています。

(注1):民法第960条は、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」と定めています。

(注2):遺言の方式とその成立・効力の問題は区別されるものであり、そのような法制は海外法制においても一般的です。このことは、遺言の方式については、我が国が昭和39年に批准したハーグ国際私法会議条約である「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」及びその国内実施法である「遺言の方式の準拠法に関する法律」が適用され(なお、「法の適用に関する通則法」第43条第2項は、遺言の方式を適用除外とする旨を明定しています。)、遺言の成立・効力については「法の適用に関する通則法」(第37条第1項)が適用されることに端的に示されています。

資料3-2    【自筆証書遺言】法務省説明資料(法務省 御提出資料)

資料4-1    【公正証書】論点に対する回答(法務省 御提出資料)

資料4-2    【公正証書】公正証書制度の概要及び見直しのイメージ(法務省 御提出資料)

嘱託行為及び必要書類の提出をオンラインで可能に

資料4-3    【公正証書】公証制度の電子化の状況と今後の方向性について(法務省 御提出資料)

令和3年度中に工程表を作成し、遅くとも令和7年度までに順次措置

照会事例から見る信託の登記実務(21)

登記情報[1]の記事、横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(21)」から考えてみたいと思います。

登記官としては、信託目録の制約を受けていると考えられることから、承諾をする権限を付与されているかどうかは、信託契約の内容によるのではないでしょうか。登記官としては、信託目録の記録内容を手掛かりとせざるを得ず、最終的には信託目録の解釈問題になると思われます。

 記事記載の通りだと思います。もし、信託目録に承諾をする権限について、何も記録がない場合は、どのように考えればよいでしょうか。何も記録がない場合は、信託法26条のとおり、受託者には承諾する権限が付与されていると考えます。詳細に記録されている場合、例えば受託者は、受益者の承諾を得て信託財産に(根)抵当権、質権その他の担保権、用益権を(追加)設定し、登記申請を行うことができる、と記録がある場合は、受託者の権限に制限があると考え、受託者の承諾だけでは完全ではなく、受益者の承諾も必要になると考えます。

最高裁判所第二小法廷平成3年4月19日判決

土地所有権移転登記手続

裁判要旨

一 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきである。

二 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52445

民法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(第三者のためにする契約)

第五百三十七条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。

2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。

3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

・信託行為の成立と売買契約時の存続。

・売主と買主が、売買物件の所有権が、売主から買主が指定した者、(今回は受託者)に直接移転する、第三者のためにする特約を付した売買契約の成立。

・受託者が、売主に対して売買契約の利益(所有権移転)を受ける意思表示。

・受託者に所有権が移転したこと(売買代金の支払いが所有権移転の条件となっている場合は、受託者が買主に売買代金を支払ったこと。)。

・登記には記録されないが、契約不適合責任の有無。

宅地建物取引業法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176

(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)

第三十三条の二 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。

二 当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき。

(手付金等の保全)

第四十一条 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。以下同じ。)を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。

一 銀行その他政令で定める金融機関又は国土交通大臣が指定する者(以下この条において「銀行等」という。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務を負うこととなつた場合において当該銀行等がその債務を連帯して保証することを委託する契約(以下「保証委託契約」という。)を締結し、かつ、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付すること。

 保険事業者(保険業法(平成七年法律第百五号)第三条第一項又は第百八十五条第一項の免許を受けて保険業を行う者をいう。以下この号において同じ。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務の不履行により買主に生じた損害のうち少なくとも当該返還債務の不履行に係る手付金等の額に相当する部分を当該保険事業者がうめることを約する保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付すること。

宅地建物取引業法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332M50004000012_20210901_503M60000800053

(法第三十三条の二第一号の国土交通省令・内閣府令で定めるとき)

第十五条の六 法第三十三条の二第一号の国土交通省令・内閣府令で定めるときは、次に掲げるとおりとする。

一 当該宅地が都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の規定により当該宅地建物取引業者が開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事に係るものであつて、かつ、公共施設(同法第四条第十四項に規定する公共施設をいう。)の用に供されている土地で国又は地方公共団体が所有するものである場合において、当該開発許可に係る開発行為又は開発行為に関する工事の進捗の状況からみて、当該宅地について同法第四十条第一項の規定の適用を受けることが確実と認められるとき。

二 当該宅地が新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)第二条第一項に規定する新住宅市街地開発事業で当該宅地建物取引業者が施行するものに係るものであつて、かつ、公共施設(同条第五項に規定する公共施設をいう。)の用に供されている土地で国又は地方公共団体が所有するものである場合において、当該新住宅市街地開発事業の進捗の状況からみて、当該宅地について同法第二十九条第一項の規定の適用を受けることが確実と認められるとき。

三 当該宅地が土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第百条の二の規定により土地区画整理事業の施行者の管理する土地又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)第八十三条の規定において準用する土地区画整理法第百条の二の規定により住宅街区整備事業の施行者の管理する土地(以下この号において「保留地予定地」という。)である場合において、当該宅地建物取引業者が、当該土地区画整理事業又は当該住宅街区整備事業に係る換地処分の公告の日の翌日に当該施行者が取得する当該保留地予定地である宅地を当該施行者から取得する契約を締結しているとき。

四 当該宅地又は建物について、当該宅地建物取引業者が買主となる売買契約その他の契約であつて当該宅地又は建物の所有権を当該宅地建物取引業者が指定する者(当該宅地建物取引業者を含む場合に限る。)に移転することを約するものを締結しているとき。

2については、仮に、信託の目的中の「処分すること」の文言に包括的な処分権限が付与されているというのであれば、そもそも「2 信託財産の処分」の項を設け、具体的な処分権限の内容を書き下す必要はないことになります。

 登記官は、信託目録について、そのように審査しているのだなぁ、と思いました。私は、具体的な処分権限については信託設定時に予想できること、受益者の承諾など制限が付いているものを中心に記録するようにしていました。登記官としては、具体的な処分権限について記録した場合、受託者はその権限しか持っていない限定列挙という風にみられることになります。

 そうであれば、今後、信託設定時に予想できることについては記録せず、受益者の承諾など制限が付いているものだけを記録し、その他は受託者の裁量による、などと記録した方が良いのかなと感じました。

 もう1つやり方としては、登記出来る権利と登記原因を全て信託目録に記録することです。


[1] 724号、2022年3月P54~(一社)金融財政事情研究会

3月相談会のご案内ー家族信託の相談会その41ー

お気軽にどうぞ。


2022年3月25日(金)14時~17時
□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円
場所
司法書士宮城事務所(西原町)

要予約
司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

加工令和4年1月1日施行公証人手数料令の一部を改正する政令

令和3年12月10日 日本公証人連合会

令和4年1月1日からの公証事務運用の改正について

1 株式会社等の定款認証手数料の改定

2 郵送による執行文付与申立て、正謄本交付申立てを認めること

3 嘱託人作成文書への押印を廃止すること

株式会社等の定款認証手数料の改定

(1)株式会社又は特定目的会社の定款の認証の手数料について、これまで「5万円」であったものが、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」に、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」に、その他の場合「5万円」にと改める。

(2)上記改定に伴う留意点は2点。

1点目は、経過措置の問題です。新制度は、定款認証の嘱託時を基準とします。1月1日前の申請のもの(電子定款は登記供託オンラインシステムにより受付処理された時、紙定款は公証役場窓口で定款の認証嘱 託がされた時を基準にします。)は、従前の一律5万円です。

2点目は、公証人手数料令の解釈の問題です。手数料は株式会社等の資本金の額等によって区分されています。この資本金の額等が定款案に記載されていない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」が基準となります。

 定款の中には、「設立に際して出資される財産の最低額」を記載しているものがあります。その場合、改正後の公証人手数料令第35条第1号及び第2号のいずれにも該当しない場合ですので、同条第3号の「前二号に掲げる場合以外の場合」に該当することとなり、「5万円」の手数料となります。

公証人手数料令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405CO0000000224

(定款の認証)第三十五条

 会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条及び第百五十五条の規定による定款の認証についての手数料の額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

一  株式会社又は特定目的会社(資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社をいう。以下この号及び次号において同じ。)であって、その株式会社の定款に記載され、若しくは記録された資本金の額(定款に資本金の額に関する記載又は記録がなく、かつ、会社法第二十七条第四号に規定する設立に際して出資される財産の価額の記載又は記録がある場合にあっては、当該価額)又は資産の流動化に関する法律第十六条第二項第四号の規定によりその特定目的会社の定款に記載され、若しくは記録された特定資本金の額(次号において「資本金の額等」と総称する。)が百万円未満である場合  三万円

二  株式会社又は特定目的会社であって、資本金の額等が百万円以上三百万円未満である場合  四万円

三  前二号に掲げる場合以外の場合  五万円

会社法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086

(定款の記載又は記録事項)

第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

一 目的

二 商号

三 本店の所在地

四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額

五 発起人の氏名又は名称及び住所

(設立時発行株式に関する事項の決定)

第三十二条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数

二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額

三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項

2 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。

郵送による執行文付与申立て、正謄本交付申立てを認めること

(1)執行証書に対する執行文付与の申立て及び執行文の謄本の交付の請求並びに公正証書の正本又は謄本の交付請求については、法務省先例によ って、郵送による申立や交付請求は認められていませんでした。

電子定款等の手続において本人確認や代理権限の証明がオンラインで行うことが可能とされていることや裁判所においても判決等の債務名義の正本や謄本の交付請求や執行文付与の申立てについて郵送によることが認められていること等を考慮し、この点を改め、郵送による申立てや交付請求を認めることとしました。

(2)公正証書の正謄本の交付請求については、公正証書の内容に関する秘密性等を考慮し、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しによって本人確認をする場合に限って、テレビ電話を使って本人確認をする。なお、印鑑登録証明書によって本 人確認をする場合は、テレビ電話による本人確認の手続は不要です。

 これまで最寄りの公証役場での正謄本の申立書の本人確認を認める運用を行ってきましたが、廃止。

(3)郵送による執行文付与申立て等について

郵送による執行証書に対する執行文付与申立て等の取扱い。

 必要書類は、

ア 執行文付与申立書

単純・数通執行文付与、事実到来・承継執行文付与の申立書(別 紙1、2)は、日本公証人連合会のHPに掲載。

イ 執行証書の正本

ウ 本人確認資料

1)実印と印鑑登録証明書で本人確認をしようとする場合は、執行文付与申立書等に実印を押捺し、発行後3か月以内の申立人の印鑑登録証明書を添付。

2)そうではない場合は、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しが必要です。なお、パスポートその他の公的機関が 公証した住居地の記載がない身分証明書の場合は、住民票、健康保険証等の公的機関が住所地を公証したものを添付。

エ 事実到来執行文又は承継執行文の場合には、その事実の到来を証明する文書又は承継の事実を証明する文書が必要です。原本と併せて、その写しを添付してください。

レターパック・プラス又は書留郵便用の郵便切手を貼付した返送用封筒

返信先を記載したレターパック・プラス又は書留郵便用の郵便切手を貼付した返送用封筒を同封してください。そして、返信先は、 申立人の本人確認資料記載の住所地を記載してください。代理による申立ての場合にあっては、代理人の本人確認資料記載の代理人の住所地又は申立人の本人確認資料記載の住所地を記載します。

 代理人の場合

上記のアイエオに加え、代理権限を証する委任状と発行後3か月以内の申立人の印鑑登録証明書及び代理人の本人確認資料が必要です。

申立人又は代理人が法人である場合

上記の必要書類のほか、当該法人の代表者の資格を証する証明書が必要です。

 手数料等

謄本の作成手数料及び送達費用は、ATMやインターネットバンキング等を利用して振り込みます。

(4)郵送による公正証書の正謄本の交付請求

郵送による正謄本交付申立て等(別紙3)について、基本的に執行文付与申立ての場合と同じですが、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しを本人確認資料とする場合には、テレビ電話を利用した本人確認を行います。

なお、公証人の面識のある者からの申立てについては、公証人法第2 8条第1項及び第2項に鑑み、本人確認資料を省略できます。

4 嘱託人作成文書への押印を廃止することについて

近時の行政手続における押印の廃止を受け、公証事務においても、別表のとおり、これまで嘱託人に対して押印を求めていた嘱託人作成の文書の一部につき、押印を不要とすることにしました。

もっとも、実印及び印鑑登録証明書によって本人確認(人違いでないことの証明)をしようとする場合は、申立書等への実印による押捺を省略することはできません。

1 執行関係及び送達関係の書類の押印

押印の廃止をしないことにしました。裁判所は、執行関係、送達関係書類の押印については廃止しない方針のようですので、これと同様とします。

2正謄本の交付申立書及び閲覧申立書の押印

実印と印鑑登録証明書を本人確認資料とする場合には、申立書等に実印による押捺を必要とします。

公的機関が証明する顔写真付きの身分証明書を本人確認資料とする場合には、押印は不要です。

3 電子定款に関する申告書等の押印

電子定款に関する申告書((1)実質的支配者の申告書、(2)同一情報の提供の申告書、(3)嘱託人作成の各種上申書)については、押印や電子署名は不要です。

表明保証書は、嘱託人(定款作成代理人)以外の実質的支配者本人が作成するものですので、性質上、署名をお願いすることになります。この場合の押印は不要です。

4 保証意思宣明書の保証予定者の押印

保証意思宣明書の保証予定者の押印は不要です。

5 原本還付

公証人法施行規則第15条所定の、附属書類である印鑑証明書や登記事項全部証明書等を原本還付する場合には、嘱託人の押印は不要です。

6 上申書

上申書は、意思表示文書ですから、基本は署名又は記名押印が必要です。もっとも、メールの遣り取りなどで真正が容易に把握できる場合などは、押印も省略可能です。各公証役場に御照会ください

執行文(事実到来・承継)付与等申立書

   年   月   日 ○○法務局所属

公証人                   殿

次のとおり執行文の付与(下記1ないし7)を申し立てます。 

また、執行文の謄本等(下記5の文書を含む。)を下記8の者に送達し、その送達証明書の交付を申し立てます。

1 申 立 人 (債権者)  住  所   氏  名    代 理 人 代 表 者  電話番号   2 執行文付与を求める執行証書(強制執行認諾条項のある公正証書)の表示   3 債 務 者(公正証書上の表記ではなく、強制執行・配当要求をされる者)の表示   債務者・連帯保証人の種別 氏     名

 執行文 の通数 正本の 要否・通数 謄本の 要否・通数

1      ○○○○公証人作成 平成・令和  年第  号  契約公正証書

   事実到来・承継執行文の場合は、その事情                                                                                                                                                                                                           

事実到来・債権債務の承継を証明する文書の表題                                                                         

6 2通以上又は再度の付与の場合は、その理由                                                                                                                                                                      7 請求権の一部について執行文付与を申し立てる場合は、強制執行をすることができる範囲                                        

8 執行文の謄本等の送達先  住 所 等   氏名・名称   法定代理人 代 表 者    〔添付書類〕  委 任 状    資格証明書    印鑑証明書

   (以下は公証役場で利用します。)  

申立人に対して、   年   月   日に □ レターパックで送付した。 □ 書留郵便で送付した。   お問い合わせ番号(レターパック)・引受番号(書留)は次のとおりである。      □ レターパックの問い合わせ番号を貼付すること。     □ 書留郵便の引受番号を記入すること。 

(別紙3) (郵便申立て用) 正謄本請求書 ○○法務局所属 公証人       殿

年  月  日   請求者  住所        氏名                印 電話番号(   -   -    )   

次の公正証書又は定款に基づく、正本・謄本の交付を請求します。 

1 公正証書・定款    2 請求する正本・謄本の数   正  本 謄  本 通  数       (以下は公証役場で利用します。)   申立人に対して、   年   月   日に □ レターパックで送付した。 □ 書留郵便で送付した。  

お問い合わせ番号(レターパック)・引受番号(書留)は次のとおりである。    

  □ レターパックの問い合わせ番号を貼付すること。    

□ 書留郵便の引受番号を記入すること。

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