加工商業登記受託促進研修会第1部

商業登記受託促進研修会第1部 日本司法書士会連合会

1.登録免許税の基礎知識編

1ー1商業登記と法人登記

(1)商業登記

商業登記の意義

商法、会社法または商業登記法の規定に基づき商人の組織等について商業登記簿にする登記

商業登記規則(登記簿の編成)第1条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339M50000010023

商業登記簿は、登記簿の種類に従い、別表第1から第8までの上欄に掲げる各区に区分した登記記録をもつて編成する。

主体での分類

個人商人、未成年者、支配人、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)

(2)法人登記

法人登記の意義

・会社以外の法人について、それぞれの法人の設立根拠法に基づき、各種法人登記簿にする登記

・統一した法律根拠法なし

設立根拠法による分類

社団法人・財団法人

組合等登記令の別表に記載のない法人

組合等登記令の別表に記載のある法人

独立行政法人等登記令の別表に記載のある法人

・組合等登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029

(2)法人登記|一般社団法人・一般財団法人

設立根拠法(実体法)と登記手続法令(手続法)が同一

法人名、設立根拠法(実体法)、登記手続法令(手続法)

一般社団法人、法人法、法人法(法登規)

一般財団法人、法人法、法人法(法登規)

※法人法 = 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法48号)

※法登規 = 一般社団法人等登記規則(平成20年法務省令48号)

実体法             手続法

法人法301条(一般社団法人の設立の登記)

一般社団法人の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければならない。

一 省略二 省略

2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。省略

一般社団法人等登記規則2条(登記簿の編成)

一般社団法人等の登記簿は、登記簿の種類に従い、別表第1又は第2の上欄に掲げる各区に掲げる区分した登記記録をもって編成する。

2 前項の区には、その区分に応じ、別表第1又は第2の下欄に掲げる事項を記録する。

【コラム】株式会社と社団・財団法人の準用関係

法人法330条により、大部分を商業登記法を準用法登規3条により、大部分を商業登記規則を準用

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律

(商業登記法の準用)第三百三十条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000048

条文摘要 

1条の2会社法人等番号

50条商号【名称】の登記に用いる符号

61条1項 定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に定款を添付

61条4項 設立(合併及び組織再編による設立を除く。)の登記は、設立時取締役【理事】が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付取締役【理事】の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても同様

61条5項 取締役会【理事会】設置会社における前項の規定の適用については「設立時取締役【理事】」とあるのは「設立時代表取締役【理事】」

【コラム】株式会社と社団・財団法人の準用関係

61条6項 代表取締役【理事】の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役【理事】が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

①株主総会【社員総会】の決議によって代表取締役を定めた場合

議長及び出席した取締役【理事】が株主総会【社員総会】の議事録に押印した印鑑

②取締役【理事】の互選によって代表取締役【理事】を定めた場合取締役【理事】がその互選を証する書面に押印した印鑑

③取締役会【理事会】の決議によって代表取締役【理事】を選定した場合

出席した取締役【理事】及び監査役【監事】が取締役会【理事会】の議事録に押印した印鑑(※法人法95条3項で押印者の別段の定めが可能)

(理事会の決議)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000048

第九十五条 1項、2項略

3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

61条7項 本人確認証明書

61条8項 登記所に印鑑を提出した代表取締役【理事】の辞任の登記は、辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書の添付。又は、登記所に提出した印鑑での押印

81条の2 役員等につき、旧氏の併記の申出

(2)法人登記 組合等登記令の別表に記載がある法人

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029

組合等登記令第1条(適用範囲)

別表の名称の欄に掲げる法人の登記については、他の法令に別段の定めがある場合を除くほか、この政令の定めるところによる。

別表の名称に記載(84種類)

・登記事項

目的及び業務

名称

事務所の所在場所

代表権を有する者の氏名、住所及び資格

組合等登記令プラスαの登記事項

資産の総額

存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

別表の登記事項の欄に掲げる事項(プラスα)

(※各法人固有の登記事項)

設立根拠法:医療法第43条

医療法人は、政令【筆者注:組合等登記令】で定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転、その他登記事項の変更、解散、合併、分割、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。

(2)法人登記―組合等登記令の別表に記載がない法人

株式会社、社団・財団法人、組合等登記令対象法人以外に法人は存在するか?

宗教法人設立根拠法:宗教法人法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000126

宗教法人法52条(設立の登記)

宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から2週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。

2 設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 目的(第6条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。)

二 名称

三 事務所の所在場所

四 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別

五 基本財産がある場合には、その総額

六 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

七規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第23条第1号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項

八規則で解散の事由を定めた場合には、その事由

九公告の方法設立根拠法に登記手続法令も規律その他、事業協同組合(中小企業等協同組合法)が該当

(2)法人登記 独立行政法人等登記令の別表に記載のある法人(参考)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000028

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)

独立行政法人通則法

9条(登記)独立行政法人は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000103

独立行政法人等登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000028

2条(設立の登記)

独立行政法人等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地においてしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一名称

二事務所の所在場所

三 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

四 独立行政法人及び国立大学法人等にあつては、資本金

五 代表権の範囲又は制限に関する定めがある独立行政法人にあつては、その定め

六 独立行政法人北方領土問題対策協会にあつては、基金

七 別表の名称の欄に掲げる法人にあつては、同表の登記事項の欄に掲げる事項

(3)課税対象

法人は登録免許税適用法人ではない

登録免許税・・・第三者に対する対抗要件を備える等、その権利が保護される利益に着目して課税

登録免許税は、別表第1に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課する。

登録免許税法 別表第1(抜粋)

1不動産の登記(不動産の信託の登記を含む)

2船舶の登記

5 工場財団等

9 動産譲渡又は債権の譲渡若しくは質権の設定の登記

法人登記の規律なし

租税法律主義(憲法84条)

会社又は外国会社の商業登記(相互会社及び外国相互会社の登記並びに一般社団法

24人及び一般財団法人に関する法律の規定によってする一般社団法人(公益社団法人を除く。)及び一般財団法人(公益財団法人を除く。)の登記を含む。)

25特定目的会社の登記

26投資法人の登記

27有限責任事業組合契約の登記(LLP)

28投資事業有限責任組合契約の登記(LPS)

28の2 限定責任信託の登記

29個人の商業登記(※未成年者・後見人の登記を含む)

登録免許税法別表1・24(抜粋)

登録免許税は、別表第1に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課する。

(一)会社・一般社団法人、一般財団法人

登記の事項、課税標準、税率

イ 株式会社の設立の登記(新設合併・組織変更・新設分割の設立を除く)

資本金の額×1000分の7(計算した税額が15万円に満たないときは15万円)

ロ 設立の登記合名会社・合資会社・一般社団(財団)法人の申請

件数 1件につき6万円

合同会社の設立の登記

ハ (新設合併・新設分割・組織変更・種類変更による設立を除く)

資本金の額×1000分の7(計算した税額が6万円に満たないときは6万円)

ニ (株式会社吸収合併・合同会社の資本金の増加の登記吸収分割による資本金の増加を除く)

増加した資本金の額×1000分の7(計算した税額が3万円に満たないときは3万円)

ホ 合同会社の設立の登記新設合併・組織変更・種類の変更による株式会社又は資本金の額×1000分の1.5(新設合併により消滅した会社等の新設合併等の直前における資本金の額として財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については1000分の7)計算した税額が3万円に満たないときは3万円

登録免許税法別表1・24(抜粋)

登録免許税は、別表第1に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、認可、指定及び技能証明について課する。

(一)会社・一般社団法人、一般財団法人

登記の事項、課税標準、税率

ヘ 増加の登記吸収合併による株式会社・合同会社の資本金の増加した資本金の額

1000分の1.5(吸収合併により消滅した会社の吸収合併の直前における資本金の額として財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については1000分の7)(税額が3万円に満たないときは3万円)

ト 新設分割による株式会社・合同会社の設立の登記  

資本金の額×1000分の7(計算した税額が3万円に満たないときは3万円)

チ 吸収分割による株式会社・合同会社の資本金の増加の登記  資本金の額増加した資本金の額×1000分の7  (計算した税額が3万に満たないときは3万円)

ヌ 新株予約権の発行による変更の登記

申請件数

1件につき9万円

ル 支店・従たる事務所の設置の登記

支店・従たる事務所の数1か所につき6万円

ヲ 本店(主たる事務所)・支店の移転の登記  

事務所の数1か所につき3万円

登録免許税法別表1・24(抜粋)

(一)  会社・一般社団法人、一般財団法人

登記の事項、課税標準、税率

ワ 取締役会、監査役会、監査等委員会・指名委員会等又は理事会に関する事項の変更の登記

申請件数1件につき3万円

取締役、会計参与、監査役、会計監査人、指名委員会等のカ 委員、執行役、社員(※持分会社)理事、監事、評議員に関する事項の変更の登記  

申請件数1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社・一般社団法人等については1万円)

ヨ 支配人の選任の登記・その代理権の消滅の登記

申請件数1件につき3万円

レ 会社・一般社団法人等の解散の登記

申請件数1件につき3万円

ソ 会社・一般社団法人等の継続の登記

申請件数1件につき3万円

ツ 登記事項の変更、消滅又は廃止の登記(上記以外)

申請件数1件につき3万円

ネ 登記の更正の登記

申請件数1件につき2万円

ナ 登記の抹消の登記

申請件数1件につき2万円

登録免許税法別表1・24(抜粋)

(二)外国会社・外国相互会社の登記 省略

(三)会社・一般社団法人等の清算に係る登記

登記の事項、課税標準、税率

イ 清算人・代表清算人の登記

申請件数1件につき9,000円

ロ 清算人(代表清算人)の職務執行者の停止、その取消、変更又は清算人(代表清算人)の職務代行者の選任、解任、変更の登記

申請件数1件につき6,000円

ハ 清算の結了の登記

申請件数1件につき2,000円

登記事項の変更、消滅、廃止の登記

ニ (これらの登記のうちロに掲げるものを除く)登記の更正の登記、登記の抹消

申請件数1件につき6,000円

(2)定額課税

申請件数、本店・支店の数を基準に登録免許税が定められているもの

論点

登録免許税法別表における同一区分の扱い(数個の登記)は?

結論

1件の登記として登録免許税を納付

根拠     昭和29年4月2日民甲866号通達 (登記研究79号42頁)

登記事項が時を異にする場合でも可能

• 例:令和5年2月1日商号変更、2月10日の目的変更を同一申請(大正11年11月10日民事4841号民事局長回答

具体例免許税根拠、結論、備考

商号変更、目的変更、(ツ)、同一区分 

商号変更、取締役の変更、(ツとカ)、同一区分ではない         

商号変更、取締役会設置会社の定めの廃止、(ツとワ)、同一区分ではない     

監査役変更、監査権限の廃止、(カ)、同一区分

取締役会廃止、監査役廃止、(ワとツ)、同一区分ではない     

支店設置、支店廃止、(ルとツ)、同一区分ではない、設置は支店数基準、廃止は申請件数基準

支配人の辞任、選任、(ヨ)、同一区分取り扱わない(昭和42年7月22日民甲2121号、登記研究237号114頁)【例外】財貨の流通があるときは、資本金の額等に一定の比率を乗じた税額を算定。ただし、最低税率の定めあり

ポイント

その税額の基準となる額 = 課税標準額

課税標準額×税率=登録免許税

具体例 課税標準額、税率、根拠

株式会社の設立の登記、資本金の額、1000分の7、24号(1)イ

株式会社の資本金の額の増加の登記、増加した資本金の額、1000分の7、24号(1)ニ

吸収合併による株式会社の資本金の増加の登記、増加した資本金の額、100分の1.5、24号(1)ヘ

増資により、発行済株式の総数が増加するが、別途、登録免許税は不要

端数処理

課税標準額に1,000円未満の端数

端数切り捨て(国税通則法118条1項)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000066

税額に100円未満の端数

端数切り捨て(国税通則法119条1項)

課税標準が1,000円未満

1,000円として計算(登録免許税法15条)

【具体例】3,015万9,500円の増資(すべて資本金の額に計上)

3,015万9,000円

1000分の7

21万1,113円

21万1,100円

課税標準額                  税率                登録免許税

最低税額

具体例  課税標準額      計算式  計算額             最低額

株式会社設立   1,000万円     ×7/1000      7万円  <15万円

株式会社設立   3,000万円     ×7/1000      21万円>15万円

合同会社設立   500万円        ×7/1000      3万5,000円<6万円

合同会社設立   1,000万円     ×7/1000      7万円>6万円

増資     300万円        ×7/1000      2万1,000円<3万円

増資     2,000万円 ×7/1000         14万円 >3万円

(4)定率課税と定額課税の同一申請の計算方法

それぞれの登記について登録免許税を合算

登録免許税法18条

(2以上の登記等を受ける場合の税額)

同一の登記等の申請書により、別表第1に掲げる登記等の区分に応じ2以上の登記等を受ける場合における登録免許税の額は、各登記等につき同表に掲げる税率を適用して計算した金額の合計金額とする。

特例有限会社の株式会社移行(資本金変動なし)と目的変更

登記事項、登録免許税、根拠

有限会社の解散、3万円、24(一)レ

株式会社の設立、3万円、税法17条の3、24(一)ホ

目的変更、※課税なし(設立に内包されていると考える。

合計6万円

増資・同一管轄内の本店移転・商号変更

登記事項、登録免許税、根拠

増資分、3万5,000円、24(一)ニ 定率課税

本店移転、3万円、24(一)ヲ 定額課税

商号変更、3万円、24(一)ツ 定額課税

合計     9万5,000円

  • 現金納付(納付書)の方法

登録免許税法第21条

方策 税額に相当する金銭を納付書を添えて提出

提出先 日本銀行・金融機関・国税の収納を行う税務署

貼付 領収書(原本)を登記申請書に貼付

(2)電子納付

歳入金電子納付システム(登録免許税法第24条の2)

•電子情報処理組織を使用して登記の申請をする方法による納付の特例

ATMを利用した方法(ペイジー)

•ATMのメニューの中から「税金・各種料金の払込み」を選択

•通知された納付情報の収納機関番号を入力

•事前に金融機関に登録

•申請用総合ソフトを利用の場合は電子納付画面の「納付」ボタンを利用して各金融機関のインターネットバンキングにアクセス

インタ―ネットバンキングを利用した方法

登記・供託オンライン申請システムの解説(法務省HP)

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/charge/charge.html

•手数料の納付状況は、処理状況一覧画面の納付情報で確認

•電子納付を利用できる時間は、各金融機関のシステムで確認

•手数料合計金額が11桁を超える場合は、電子納付不可

(2)電子納付

連件申請の電子納付に係る一括納付の取扱いが可能に

対象•電子納付

•書面申請や領収書・印紙納付は対象外

時期•令和4年12月19日~

留意点•申請時に一括納付の希望を選択

•連件の1件目に対し、合算した納付情報が発行

•連件申請内に無税や免税の申請があっても可能

従来の連件申請としての範囲の登記が対象

•一括納付希望後に収入印紙で納付することも可能

(3)印紙納付

登録免許税法22条

条文上の原則

•管轄登記所の近傍に収納機関が存在しないために現金納付が困難であると(地方)法務局長が認め、これを当該登記所に公示した場合

•登録免許税が3万円以下であるか、または税額の3万円未満の端数の部分を納付する場合

•このほか、印紙により納付することに特別の事情があると登記機関が認めた場合

実務上の取扱い

• 昭和45年12月8日民事三発958号依命通知(登記研究 278号 70頁)

「特別の事情があると認められる場合には、(省略)登録免許税を印紙によって納付することができるが、右の特別の事情が認められない場合でも登録免許税相当額の印紙を申請書にはり付けて申請された登記の申請を、商業登記法の規定によって却下するのは、相当ではない。

結論

•事実上、無限定で印紙納付が認められている

(2)特定創業支援事業証明書

創業希望者、創業して間もない人を支援するための国・自治体によるサポート事業「産業競争力強化法」に基づく支援事業

•セミナーや勉強会への参加

株式会社・・・資本金×0.35% (最低額7.5万円)

合同会社 資本金×0.35% (最低額3万円)

合名会社・合資会社 3万円 (通常6万円)

設立における登録免許税軽減(半減

日本政策金融公庫の新規開業資金融資の低利率

日本政策金融公庫の新創業融資が受けやすい

自治体の助成金や補助金の利用範囲の拡充

•創業計画書の作り方の指導

•専門家の派遣

※対象でない自治体もあり支援事業の受講を修了

 「特定創業支援事業の支援を受けたことの証明書」

1還付理由

•申請が却下された場合(登録免許税法第31条1項1号)

•申請が取り下げられた場合(同条2号)

•登録免許税を過大に納付したとき(超過額)(同条3号)

•再使用証明の還付(同条5項)

2対象

•領収書、収入印紙、電子納付

3留意点

•代理人が受領することも可能

•委任状必要(平成21年3月31日法務省民二第844号)

•代理受領の委任状につき、登記申請の際の委任状に代理人の還付金受領権限が記載されているものでもよい(平成26年5月9日法務省民二第272号・商事課長依命通知、登記研究 805号178頁。)

•申請人に国税の未納がある場合、還付金は未納付の国税に充当される委任状記載事項:「登記に係る還付金を受領すること」

却下事由(商業登記法24条)

一 申請に係る当事者の営業所の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。

二 申請が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。

三 申請に係る登記がその登記所において既に登記されているとき。

四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。

五 第21条第3項に規定する場合において、当該申請に係る登記をすることにより同項の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができなくなるとき。

六 申請書がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。

七 申請書に必要な書面(第19条の2に規定する電磁的記録を含む。)を添付しないとき

八 申請書又はその添付書面(第19条の2に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。

九 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。

十 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。

十一 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。

十二 申請が第27条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。

十三 申請が法令の規定により使用を禁止された商号の登記を目的とするとき。

十四 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。

十五 登録免許税を納付しないとき。

還付通知書

•登録免許税の過誤納があるときは、登記を受けた日から5年以内に、請求することが可能(登税31条2項、登税施行令31条2項)

•領収証書又は印紙について再使用の証明を受けた場合、その領収証書、又は印紙を再使用しないこととなったときは、その証明の日から1年以内に、再使用証明を無効とするとともに、登録免許税の還付を受けたい旨の申出をすることが可能

•特定創業支援事業の支援を受けたことを失念し、通常の税率による設立を了した場合には、すでに納付した登録免許税の還付は不可

登記官から所轄税務署長に通知(登録税31条)

•商業登記等事務取扱手続準則第76条(別記48号様式)

(2)再使用証明

収入印紙または領収証書が対象(電子納付は再使用の概念なし)

趣旨

• 都度、還付手続をとることは煩雑

• 商業登記等事務取扱手続準則第77条(別記50号様式)

取下げの日から1年以内

再使用証明をした登記所に申出書を提出

領収書・印紙を張り付けた用紙の余白に

「再使用できることを証明する」旨の文言

(2)再使用証明

1補正のための取下げ

• 登記の申請を却下しなければならない場合であっても、登記官が相当と認めるときは、事前にその旨を申請人又はその代理人に告げ、その申請の取下げの機会を設ける(商業登記準則40条4項)

2申請意思の撤回

撤回に係る委任状が別途必要(昭和29年12月25日民事甲2637号通達、登記研究 87号 33頁)

3留意点

•登記の完了、申請の却下の決定があるまでは、いつでも申請の取下げ可

(商業登記準則54条2項)

•数個の登記の申請がされた場合に、一部の取下げも可(商業登記準則54条8項)

•取下げが不動産登記の印紙の場合、商業登記に再使用することも可

同じ登記所において使用(登録免許税法31条3項)

(1)設立類型

設立行為

形態、単独

完全子会社設立、完全親会社設立

類型、通常設立、新設分割、株式移転

留意点

•設立登記申請日が会社設立日になるため、法務局が開庁していない土日祝日は選択できない

•日付のバックデートが当然にできない

•債権者異議手続等が必要な類型については、時間がかかる

•組織再編のスケジュールについては、後半の組織再編を参照

•法人の届出印の作成についても考慮

•グループ再編としての位置付けの場合、新設分割や株式移転のスキームによることも

(1)設立類型

圧倒的に発起設立が多い

発起設立

定款の作成(26条)

定款の認証(30条)

設立時発行株式に関する事項の決定(32条)

出資の履行(払込)(34条)

設立時役員等の選任 (38 条)

設立時役員による事項の調査(46 条)

本店所在場所の決定

設立時代表取締役の選定

設立登記申請

募集設立

定款の作成(26条)

定款の認証(30条)

設立時発行株式に関する事項の決定(32条)

出資の履行(払込)(34条)

設立時募集株式に関する事項の決定(58条)

設立時募集株式の申込み(59条)

設立時募集株式の割当(60条)

設立時募集株式の引受け(62条)

設立時募集株式の払込金額の払込(63条)

創立総会における役員等の選任(88条)

設立時役員による設立事項の調査(93条)

本店所在場所の決定

設立時代表取締役の選定

設立登記申請  

(2)設立時発行株式に関する事項(32条)

•発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数(各発起人ごとに記載)

•設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額

•成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項

設立時発行株式に関する事項が「定款」に記載してあるか否か

ある→ 充足

ない→発起人同意書

問題意識

定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じない(30条)

定款に発起人を記載。効力が生じないとすると発起人の定めも未確定ではないか?

認証後でなければ、払込ができないのではないか?

1 時期

• 設立時発行株式の引受「後」、遅滞なく出資に係る金銭の全額払込み(34条)

2例外

• 定款認証日であっても払込金額が記載された定款又は発起人全員の同意書の作成日よりの日付をもって払い込まれた事実が判明する払込も可(昭和31.5.19民四第103号回答。登記研究103号29頁。)

3 さらに例外的(救済的)処置

•条文上、設立時発行株式の引受後の払込となっているが?

払込時期の緩和(例外的・救済的措置)

令和4年6月7日規制改革実施計画(閣議決定)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html

(5.個別のスタートアップ・イノベーションより)

• 株式会社発起設立時の出資に係る払込みの時期について、設立時発行株式に関する事項が定められている定款の作成日又は発起人の同意があった日前に払込みがあったものであっても、発起人又は設立時取締役(発起人からの受領権限の委任がある場合に限る)の口座に払い込まれているなど当該設立に際して出資されたものと認められるものについて、設立登記申請の4週間前など近接した時期のものであれば、出資に係る払込みがあったものと認めることとする。

令和4年6月13日株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の払込みの時期について(令和4年6月13日民商286号)通知

•預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面に記載された払込みの時期については、設立時発行株式に関する事項が定められている定款(商業登記法第47条2項1号)の作成日又は発起人全員の同意があったことを証する書面(同条第 3項)に記載されているその同意があった日後に払込みがあった場合はもとより、

•その前に払込みがあった場合であっても、発起人又は設立時取締役(発起人からの受領権限の委任がある場合に限る(平成29年3月17日民商第41号通達参照。登記研究 833号 147頁。))の口座に払い込まれているなど当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、差し支えない。

払込取扱場所(34条)

払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法2条第1項に規定する銀行をいう。)、信託会社(信託業法第2条第2項に規定する信託会社をいう。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所

可否、備考

○株式会社ゆうちょ銀行、昔の郵政公社は不可

○外国金融機関の本店、施行規則7条・銀行法47条

○信用金庫、施行規則7条

○農業協同組合、施行規則7条

○ネット銀行、銀行法4条1項

邦銀の海外支店、平成28年12月20日民商179号。登記研究 832号 172頁。

払込があったことを証する書面(商業登記法47条2項5号)

すでにある残高でもよいか→不可

振込でなければならないのか→入金でもよい

発起人各自での入金が必要か→複数人まとめても可

複数回分けての入金でもよいか→可能

資本金の額よりも多い金額の入金は→可能

発起人が法人の場合、代表取締役個人口座は→不可

発起人毎に口座への入金は→可能

当該預金通帳の口座名義人の範囲について

原則・発起人

例外・設立時取締役

発起人から払い込みの受領を委任した旨の書面をあわせて添付記載例 「出資の払込を受領する権限を設立時代表取締役○○に委任」

例外

外国居住の例外

発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合の特

例として、発起人及び設立時取締役以外の者であっても差し支えない

平成29年3月17日民商第41号通達)。

募集設立の場合には払込保管証明書を金融機関で発行してもらうことが必要

払込を証する書面には押印の有無の審査を要しない

令和2年7月17日(閣議決定)

「経済財政運営と改革の基本方針2020」

• 書面・押印・対面主義からの脱却等

書面・押印・対面を前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続できるリモート社会の実現に向けて取り組む。このため、全ての行政手続を対象に見直しを行い、原則として書面・押印・対面を不要とし、デジタルで完結できるよう見直す。また、押印についての法的な考え方の整理などを通じて、民民間の商慣行等についても、官民一体となって改革を推進する。行政手続について、所管省庁が大胆にオンライン利用率を引き上げる目標を設定し、利用率向上に取り組み、目標に基づき進捗管理を行う。

平成3年1月29日民商10号「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」(通達)

• 第4 押印既定の見直し

法令上,押印又は印鑑証明書の添付を要する旨の規定がない書面については,押印の有無について審査を要しないものとする。

※申請書・商業登記規則61条4項(就任承諾)、6項(選任担保の議事録)、8項(登記所に印鑑を提出した者の辞任)については押印規定を維持

(4)取締役・監査役の選任

出資の履行が完了した後に選任(38条)

役員の記載

定款に定められている場合

出資の履行が完了した段階で設立時役員に選任されたものとみなす(38条4項)

定款に定められていない場合

発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時役員を選任(38条1項)

(5)現物出資

金銭以外の財産を出資すること

1メリット

• 会社が必要としている財産を発起人が所有している場合、端的に取得することが可能

2デメリット

•検査役の調査が必要(時間と費用がかかる)

•検査役調査不要の例外規定あり(合同会社は常に不要)

3定款記載事項(28条1号)

• 出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額、その者に割り当てる株式の数

4規定の理由

• 現物出資の目的財産の価額を過大評価し、他の株主持分の希釈化を阻止するため

•いつ、検査役の選任を申し立てるのか?→公証人の定款認証後遅滞なく(33条1項)

•選任された検査役は、必要な調査を行い、調査報告書を裁判所に提出

(5)現物出資

現物出資の検査役がいらない類型

33条10項、備考

1号 現物出資の目的財産の定款に定めた価額の総額が500万円を超えない場合

全体の価額× 自動車200万円 有価証券400万円

2号 市場価格のある有価証券であり、定款に定めた価額 が、その市場価格を超えない場合

原則、市場価格の算定は、公証人の認証の日における最終市場価格

3号 目的財産の定款に定めた価額が相当であることにつき、弁護士等の証明を受けた場合(不動産である場合には、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価

証明者:弁護士・弁護士法人、外国法事務弁護士、共同法人、公認会計士・監査法人、税理士・税理士法人)※資格者である旨の証明書は不要

定款認証の機能

認証地

会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人(公証人法62条の2)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=141AC0000000053

紛争予防機能、不正な起業を抑止する機能、実質的支配者を把握する機能。

•不明瞭な規定の防止

•面前認証による心理的抑止

•暴力団員・国際テロリスト関与の否定

•定款に沿わない行為の防止

•なりすましによる起業の防止

•マネー・ロンダリングの防止

規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)

規制改革推進会議

共通課題対策WG

スタートアップ・イノベーションWG

人への投資WG

医療・介護・感染症対策WG

地域産業活性化WG

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/221111/startup02_agenda.html

実態調査中

規制改革の内容

法務省は、定款認証時の不正抑止の効果やマネー・ロンダリング防止の効果が定量的に把握されていないことを踏まえて、公証人や嘱託人を対象として、定款認証に係る公証実務に関する実態を把握するための調査を行った上で、当該結果を分析し、定款認証が果たすべき機能・役割について評価を加えるとともに、その結果に基づいて、定款認証の改善に向けて、デジタル完結・自動化原則などのデジタル原則を踏まえた上で、面前での確認の在り方の見直しを含め、起業家の負担を軽減する方策を検討し、結論を得た上で、必要な措置を講ずる。

定款認証の手続のコスト

•手続の所要時間

•予約が取れずに待った時間

設立手続全体に要する金銭的コスト

•設立手続全体の費用

•その内訳

今後の手続コストの削減の方策

•Web認証の利用率、理由

• その他手続全般の改善点

面前での定款認証のスケジュール

1定款案の連絡

法令に沿っているか

2実質的支配者申告書案の連絡

不正な起業の抑止等

3認証日の予約

公証人との日程調整

4定款作成・認証の委任

委任状と定款合綴

5定款の電子署名

電子署名の用意、定款認証日前に申請

6オンライン申請

電子署名の自認

7公証人面前での認証

8費用の精算(クレジット払い)

9定款・実質的支配者申告書の受領

電子媒体・紙媒体

公証人手数料令35条の改正

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405CO0000000224

令和4年1月1日からの公証事務運用(令和3年12月10日付)

変更された背景規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)

会社設立時の定款認証に係る公証人手数料について、起業促進の観点からその引下げを検討し、必要な措置を講ずる。

→資本的規模の小さな会社に係る定款認証の手数料をその規模に応じて引き下げることに

従来

定款認証の手数料5万円

改正後

成立後の株式会社の資本金によって金額が変更

認証費用は、定款記載の資本金等の額

定款記載の資本金の額

1号 資本金100 万円未満のもの 3万円

2号     100万円以上300万円未満のもの 4万円

3号 前2号に掲げる場合以外のもの 5万円

ポイント

資本金の額の記載がなければ、「設立に際して出資される財産の価額」

• 一般社団法人の定款認証の手数料は、公証人手数料令35条により5万円

その他費用、費用額、根拠条文、備考

電子定款、収入印紙不要

電磁的記録の保存、300円、41条の2

同一情報の提供、700円、41条の3

紙謄本代、枚数×20円、41条の4、認証文頁込み

事象、定款認証費用

具体例

•定款 資本金75万円定款 資本準備金75万円→3万円

具体例

•定款 設立に際して出資される財産150万円

発起人同意 資本金75万円、資本準備金75万円→4万円

具体例

•定款 設立に際して出資される財産の最低額50万円

発起人同意 資本金50万円→5万円(注:3号に該当)

(3)テレビ電話を利用した認証手続

オンラインでの定款認証制度の創設(平成31年)

社会的背景

•未来投資戦略2018年(平成30年6月15日閣議決定)

•より効果的・効率的な定款認証手続の実現及び利便性の向上

•「株式会社の設立手続に関し、一定の条件の下、本年度中にテレビ電話等による定款認証を可能に」

指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部改正(平成31年法務省令第4号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000010024

•平成31年3月5日公布

•平成31年3月29日施行

法令    

要旨•嘱託人が指定公証人の面前において行う行為を映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法(FaceHubというテレビ電話ソフト)によってする

•Skype、zoomの使用は不可

•電磁的記録の認証の付与についても、電気通信回線により嘱託人に送信してすることが可能

難点

• 電子署名された委任状を送信する方法による必要があったため、電子証明書の普及が進んでおらず、送信が事実上、難しい

(3)テレビ電話を利用した認証手続

オンラインでの定款認証制度の課題の克服

再改定  •指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部改正(再改正)令和2年5月1日公布•令和2年5月11日施行

要旨

•発起人の実印の押印された紙の委任状と、当該委任者の印鑑証明書を郵送する方法も可能に

•原始定款をオンラインで受領するか、紙ベースで返送されるか選択可能

•パソコン使用の場合には、Google Chromeを事前にインストールスマートフォンの場合には、FaceHubアプリのインストール

手続

1. 定款案、実質的支配者申告書案(定款作成代理を行う場合は、司法書士の電子署名など)の連絡

2. 認証日の予約(認証費用の事前連絡)

3. 必要書類(委任状・印鑑証明書等)を事前に郵送(紙謄本や申告受理証明書が必要の場合、返信用封筒を同封)

4. 公証人がテレビ電話用のURLを嘱託人にメール送信

5 認証費用について事前に振込み

6 公証センターに、登記・供託オンライン申請システムから、電子定款の認証申請

6. 認証日当日に画面越しに顔写真付き身分証明書(会員証と、運転免許証など)の提示による自認

7. 認証後、定款データのダウンロード(紙媒体での返送も可能)

実質的支配者申告書については、法人の銀行口座開設の際に必要になることが多い

社会的背景

•昨今、法人の実質的支配者を把握することにより法人の透明性を高め、暴力団員等による法人の不正使用(マネー・ロンダリング、テロ資金供与等)を抑止することが国内外から求められている

対象•株式会社一般社団法人•一般財団法人

ポイント

•公証人法施行規則13条の4の新設(平成30年法務省令26号)平成30年10月12日公布•平成30年11月30日施行

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324M50000001009

内容•定款認証を行う公証人に実質的支配者の氏名・住所・生年月日、当該者が暴力団員又は国際テロリストに該当するか否かを申告

実質的支配者となるべき者が、暴力団員又は国際テロリストに該当(該当するおそれがある)場合、嘱託人又は実質的支配者となるべき者に必要な説明をさせなければならない

公証人法施行規則第13条の4第1項第2号に基づく嘱託人の申告の方法等について(照会)

令和3年7月1日付日公連第18号

•嘱託人と実質的支配者となるべき者が異なる場合、嘱託人は、実質的支配者が暴力団員等に該当するか否かを証明する必要はない

•実質的支配者となるべき者が作成したその旨の表明保証書を提出することも可能

•公証人連合会HP参照

株式会社が発起人である場合の定款認証の際の実質的支配者の認定根拠資料

令和4年6月7日(閣議決定)「規制改革実施計画」(28頁)

• 法人設立手続の迅速化・負担軽減

・定款認証時における実質的支配者の申告の際に公証人が嘱託人に提出を求める資料に関し、株主名簿に代えて株式会社が発起人である場合における実質的支配者の認定根拠資料としては当該株式会社の議決権数上位 10 名の株主又は議決権割合が3分の2に達するまでの株主のいずれか少ない方の株主を対象として作成される株主リスト(商業登記規則(昭和 39 年法務省令第 23 号)第 61 条第3項参照)等をもって足りるものとする運用を全国統一的に実施する。

FATF対応定款認証制度に関するQ&A(問31)

•発起人が法人である場合などの実質的支配者の認定根拠資料としては、どのようなものが考えられるか。

•従前は株主名簿の提出を求めることもあったが、株主が多数いる場合に嘱託人に不必要な負担を課すものであるという批判を招いた。また、会社法上、株主名簿の閲覧、謄写の請求権があるのは、株主及び債権者とされており(会社法125条)、一般に公開されているものではなく、個人情報保護の観点からも問題がある。このような株主名簿の性質を考慮すると、発起人が法人である場合の実質的支配者の認定根拠資料として、株主名簿にこだわるべきではなく、むしろその提出を求めることが不適切となる場合がある。

•実質的支配者の認定根拠資料となる書類は、当該会社のしかるべき立場の者が作成名義人となっており、所要の事項(実質的支配者である株主の名前・住所、保有株式数、議決権割合など)が記載されているもので足りる。

具体的書類:上申書、報告書、陳述書、株主リスト

(1)その他手続の流れ

取締役・監査役による設立手続の調査(46条)

設立時取締役(設立時監査役)は、その選任後遅滞なく、調査しなければならない。

会計監査に限定した監査役にはこの調査義務はない

•現物出資がない限り、この書類は登記の添付書類にならない調査事項

1号検査役の調査のいらない現物出資、財産引受の価額の相当性

2号現物出資の弁護士等の証明書が相当であること

3号出資の履行が完了していること

4号上記のほか設立手続が法令又は定款に違反していないこと

設立起算日は、発起設立による会社法第46条第1項の規定に基づく調査が終了した日か、発起人が定めた日のどちらか遅い方。

登記懈怠のないことの確認が必要(911条)登記の事由 令和●年●月●日発起設立の手続終了

(1)ファストトラック(優先的処理)

• 「登記・法人設立等関係手続の簡素化・迅速化に向けたアクション・プラン」に基づく会社の設立登記の優先処理について(平成30年2月8日民商第19号通達、登記研究 864号104頁)

社会的背景•世界最先端IT国家創造宣言(平成25年6月14日閣議決定)国のIT化・業務改革の推進や起業の促進等の観点から、法人設立に必要な各種手続の簡素化・迅速化が強く求められる

ファストトラックの対象• 株式会社の設立、合同会社の設立、新設合併・新設分割・株式移転によるものを含む

時期•平成30年3月12日~

内容•申請の受付日の翌日(オンライン申請において別送書類がある場合には書面の全部が登記所に到達した日の翌日)から起算して、原則として3日以内に完了

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00110.html

  • スーパー・ファストトラック・オプション

内容・定款認証と設立登記のオンライン同時申請が可能

時期・令和3年2月15日

対象○ 株式会社、✖合同会社 (※定款認証不要のため )、✖一般社団法人 ・一般財団法人

要件(定款認証)

•定款認証と 設立登記のオンライ同時申請がされたこと

・テレビ電話を使用した認証であること

要件(登記申請)

添付情報がすべて電磁的記録により作成されいること(完全オンライン)

•※就任承諾書等への電子署名が必要

•補正の必要がないこと

•設立時役員等が5人以内

•登録免許税の電子納付利用

効果•同時申請のから24時間以内に電子定款の認証とも設立登記を完了

通常の設立手続の流れとの差異に注意

1 発行株式の引受け(定款又は発起人全員の同意)

2出資の払込

3設立時取締役等の選任

4定款認証以外の手続完了

5定款認証・設立の同時申請

留意点

•申請できる士業:弁護士・司法書士(行政書士を除く)

•オンライン同時申請がされた定款は、遅くとも当日中に公証人の認証手続を完了する必要

•実務的には、午後3時ころまでを推奨

•同時申請がされた日に定款が認証されないと、登記申請は却下(定款認証自体は、有効なものとして維持)

•オンライン申請は定款認証の予定日前に行うことはできない

(1)解散の端緒

株主総会の決議によることが多数

1        存続期間の満了(471条)

2        解散事由の発生

3        株主総会の特別決議

4        合併(当該株式会社が消滅する場合に限る)

5        破産手続開始の決定

6        解散命令

7        解散判決

8        一定の営業に係る免許等の取消し(銀行法40条・保険業法152条3項)

(2)解散原因

解散をもって事業年度が終了(494条)

清算事務年度の開始 (※合同会社では、同様の規定なし)

例:3月決算の会社が令和4年12月31日に解散した場合解散時期は、月末や事業年度に合わすことが望ましい

当初事業年度

清算     当解 年           初散 度           決時 開           算期 始           期

3月31日

12月31日・解散時期

1月1日・清算年度開始

3月31日・当初決算期

12月31日

1月1日から12月31日が清算事業年度

(3)期限付解散決議と存続期間

期限付決議の有効性を認めつつ、存続期間との異同に留意

趣旨• 期限付解散決議自体は、公示の対象にならず、債権者に不測の損害を及ぼすおそれ

原則• 数ヶ月も先の一定日時に解散する旨の解散決議は、期限付解散決議ではなく、存続期間の定め(昭和34年10月29日民事甲第2371号回答、登記研究145号 27頁。

留意点・会社法上、変更の登記及び解散の登記にいずれも2週間の猶予期間が設けられていることに鑑みれば、当該株主総会決議日から解散日が2週間以内とされているものであれば、取引の安全を図るという会社法の趣旨に必ずしも反しないと考えられ、期限付解散決議に係る解散の登記を受理して差し支えない。

12月1日に、12月31日を解散とする決議をした場合

存続期間の定めと解する

登記事由 令和5年1月1日存続期間の満了により解散

株主総会のほか、下記の組み合わせ(477条)

1清算人

2清算人+監査役(公開会社又は大会社)

3清算人+清算人会

4清算人+清算人会+監査役

5清算人+清算人会+監査役+監査役会

留意事項

•取締役会設置会社が、清算人会設置会社に移行しなければならないわけではない

•会計参与、会計監査人又は委員会(指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社)を置くことは不可

→会計監査人・会計参与は、解散と同時に退任

•清算開始段階で「公開会社」又は「大会社」であった場合、監査役を置かなければならない(477条3項)

合併、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、清算人による清算が必要(478条)

1定款の定め

2株主総会の決議

3清算開始時の取締役

•これらにより清算人となる者がないときは、裁判所が選任した者

(解散命令又は解散判決によって解散した場合には、常にこの方法による)

•解散前に任期満了又は辞任により退任した取締役が存在する場合(346条)、株主総会で清算人を選任せず、かつ、定款に清算人に関する規定がなかった場合には、権利義務取締役の全員が清算人(昭和49年11月15日民四5938号、登記研究 325号 68頁。)

代表清算人

清算人会を置かない場合

1各自代表(483条)

2定款の定め

3株主総会の決議

4定款に清算人互選の定めを設け、清算人の互選

清算人会を置く場合

・清算人会で選任(489条3項)

(5)登記事項

株式会社と特例有限会社の異同

清算人が1名の場合

株式会社 清算人氏名 代表清算人住所・氏名

特例有限会社 清算人住所・氏名

清算人が複数の場合

株式会社 清算人氏名 代表清算人住所・氏名

特例有限会社 清算人住所・氏名 代表清算人氏名

会社法928条、整備法43条2項

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000087

 (登記に関する特則)

第四十三条 1項略

2 特例有限会社の清算人の登記については、会社法第九百二十八条第一項第一号中「氏名」とあるのは「氏名及び住所」と、同項第二号中「氏名及び住所」とあるのは「氏名(特例有限会社を代表しない清算人がある場合に限る。)」とする。

解散の際の検討事項

定款変更の検討

•清算手続中も譲渡制限規定の効力が維持されるため、その承認機関の変更をすることを要する

•解散と同時に譲渡制限規定を変更しないことが解散登記の却下事由に該当はしない(登記研究708号177頁)

本店移転の有無

•営業所を借りていたが、清算結了にむけて代表者個人の住所またはその他の所在地に本店を移すことはないか

特別清算申立ての義務(511条)

債務超過の疑いがあること

破産手続申立ての義務(484条)

•財産がその債務を完済するに足りないことが明らかとなったとき

解散・清算人就任登記の添付書類

定款

•清算人会設置会社の定めの有無を確認するため

•定款で定める者が清算人となる場合には、その定めを確認するため

•特例有限会社取締役が法定清算人となる場合に定款に別段の定めがないことを確認するため(消極証明)

•清算人会設置不可(整備法33条1項)のため、株主総会決議で解散決議

・清算人を選任する限り、定款の添付は要しない

株主総会議事録

•解散決議、清算人の選任のため株主リスト

• 提出者は、清算人

就任承諾書 •• 商業登記規則商業登記規則6161条条47項の適用なく、市町村長の作成した証明書の添付は不要項に基づく本人確認証明書の適用なし

登記委任状 • 委任者は、清算人

印鑑届書 • 印鑑証明書の徴収は必要

その他  • 婚姻等により氏を改めた清算人、代表清算人、(商業登記規則81条の2) 旧氏をも登記するよう申出可能

登録免許税(その他の事由と同時に申請する場合)

解散•3万円 (一)ㇾ

清算人選任•9,000円(三)イ

代表取締役住所変更•1万円 (一)カ ※(三)ニの登記事項変更 (6,000円)に該当しない

商号変更•3万円(一)ツ ※(三)ニの登記事項変更 (6,000円)に該当しない

(1)解散後の規律の適用の有無

適用不可

•        自己株式の取得(但し、無償による自己株式の取得は可能)

•        計算書類の公告

•        資本金(準備金)の額の減少

•        剰余金の配当

•        株式交換・株式移転・株式交付の当事者となること

•        特別支配株主の株式等売渡請求の対象会社となること

•        合併存続株式会社、分割承継株式会社となること(474条)

•        監査役の任期の不適用(491条、336条)

適用可 

•        商号の変更

•        本店移転

•        募集株式の発行(487条2項)(※資本金が増えない点に留意)

•        募集新株予約権の発行

•        支配人の選任

•        支店の設置

•        社債の発行

個別催告

•「知れている」債権者への個別催告(499条)

•官報のほか、定款に定める公告方法による(ダブル公告)、個別催告の省略は不可(組織再編との違い)

債権者保護手続

公告

•官報

•会社が定める公告方法ではない

•官報販売所に申込みについては、後述

•解散公告は、旧商法では、3回必要だったが、1回でよいことに

•2か月間の除斥期間(2か月の期間計算については後述)

【官報公告案】

解散公告

当社は、令和○年○月○日開催の株主総会の決議により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から2箇月以内にお申し出下さい。

なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。

令和○年○月○日

○県○市○丁目○番○号

○○商事株式会社代表清算人 法務太郎

個別催告書案

令和○年○月○日債権者各位

○県○市○丁目○番○号

○○商事株式会社代表清算人 法務太郎債権申出のご催告

拝啓 時下ますますご清栄の段慶賀申し上げます。

さて、弊社は、令和○年○月○日開催の株主総会において、同日をもって解散いたしました。これまで債権者各位より賜りましたご愛顧に感謝いたすとともに、今後とりおこなわれます清算手続において速やかに債務の弁済をなしご迷惑のかからぬよういたす所存であります。

つきましては、令和○年○月○日までに同封の債権申出書をもって、貴殿の弊社に対する債権をお申出頂きたくお願い申し上げます。なお、上記期間内にお申出がないときは清算から除斥されます。

敬 具

(ご参考)

会社法の規定に基づき、債権者各位に、このような催告をすることになっております。不明な点につきましては、弊社●●部(電話××-××××―××××)までご連絡頂きたく存じます。

個別催告書案

債権申出書

令和 年 月 日

○県○市○丁目○番○号

○○商事株式会社

代表清算人 法務太郎 殿

債権者の表示

(住所)

(氏名)

(電話)

(担当者の部署・氏名)

令和○年○月○日現在において、貴社に対して下記のとおり債権を有しているので、その旨申出ます。

債権の表示

1.債権額

(元本額)

(利 息)

(損害金)

2.債権発生の年月日及びその原因

債権者保護手続期間中の取扱い

会社視点                    

公告・催告開始の翌日から2か月間は、債務の弁済不可(500条)

債権者視点

債権者の裁判上、裁判外問わず、個別権利行使は許容せざるを得ない

•実務上、解散前に債務の弁済によって対処することも

•債権者の平等が阻害されるような場合には留意が必要

清算人の職務(481条)

・現務の結了

・債権の取立て

・債務の弁済

・残余財産の分配(金銭以外の現物を交付することも可能(504条1項1号))

(3)少額債権弁済

少額債権弁済の申立て

意義

•債権申出期間中は、裁判所の許可を得てする場合を除き、債務の弁済をすることができない(500条2項)総債権者に対する公平な弁済を保障する趣旨

•債権者が清算株式会社に対して強制執行を禁ずる趣旨ではない

管轄

•清算株式会社の本店所在地を管轄する地方裁判所(会社法869条)

申立人 

•清算株式会社清算人が2名以上あるときは、その全員の同意が必要

要件

•公告及び催告したこと上記期間内(2か月)であること弁済しても他の債権者を害するおそれがないこと

•弁済期にあること

中小企業では、解散前にある程度、会社の規模縮小のため、弁済等が行われていることもあり、当該手続の利用が積極的に行われている状況ではない

(4)清算事務の終了

清算事務終了後に決算報告書(清算事務報告書)作成

• 株主総会(普通決議)での承認(507条3項)

• 清算結了の添付書類に「決算報告の承認があったことを証する書面」(商登法75条)

• 清算結了 登録免許税2,000円決算報告書の必要的記載事項

1債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額

簿外の債務がないか(連帯保証人)

2 債務の弁済、清算に係る費用の支払いその他の行為による費用の額 継続的提供契約が締結のままではないか

3残余財産の額  支払税額がある場合、税額・控除後の額

1株当たりの分配額(分配完了日)

種類株式発行会社は株式の種類ごと

4債権放棄証書の必要性

・清算過程における債権債務の取立や弁済について、逐一それらを証する書面の添付は求められていない

・清算結了の決算報告の承認総会時に、負債が残っていることが書類上判明する場合には、債権放棄証書を株主総会議事録の「附属書類」として添付

(4)清算事務の終了

留意事項

•債権者に対し公告・催告をしたことを証する書面の添付は要求されていない

ただし、解散から公告手続に要する2ヶ月の期間が経過した日以後でなければ、清算結了の登記は受理されない

(昭和33年3月18日民事甲572号通達)

帳簿資料保管者について

•清算結了の時から10年間、清算人は、清算株式会社の帳簿等を保存(508条1項)

•旧商法では、必ず裁判所に対し保存者の選任の申立をする必要があったが、清算人以外が帳簿資料の保管者となる場合を除き必須ではなくなった(改正前商法429条)

清算結了後に財産が見つかった場合

•残余財産がある限り、会社の法人格は消滅しておらず、残余財産の分配その他の清算手続を履践

•清算人は、清算結了の登記の抹消及び清算人就任の登記を申請し、登記官は、登記記録を復活して、これらの登記を行う(昭和45年7月17日民事甲回答参照

解散から10年経過後の登記記録の閉鎖

•登記官の職権での抹消(商業登記規則81条1項1号)

•清算結了していない旨の申出

(5)解散後の手続

会社継続

要件

株主総会の特別決議

•みなし解散が適用された会社にあっては、その後3年以内に限る(473条)

•残余財産分配後も清算手続の終了により清算中の会社が消滅するまで可能(最判昭和59年2月24日)

効果

• 解散前と同様に営業取引をなす権利能力を回復

•遡及的に解散がなかったことになるのではない

•解散前の取締役が復帰するのではなく、新たに選任する必要あり

渋谷陽一郎「裁判例・懲戒事例に学ぶ民事信託支援業務の執務指針」第5章

渋谷陽一郎「裁判例・懲戒事例に学ぶ民事信託支援業務の執務指針」、2023年1月、民事法研究会、第5章民事信託支援業務に関する懲戒事例と懲戒規範

前提として、私の解説では、組成という用語を使わないようにしています。引用としては利用します。

P346、P347

苦情が聞かれた、苦情も聞かれる、とも噂されるなどの記述について

→このような表現から結論が導いても良いのか、分かりませんでした。

P355

また、通常、子どもである受託者となるべき者の側から、本懲戒事例のように、自分たちのものにできないかとの旨の不法・不適切な動機を開示してくる場合は少ない。あくまでも、表面上、高齢の親のためであると言い張るだろう。そのような場合、司法書士は、どのようにして真の動機を知るのか、知りうべきか、知ることができるのか(そのメルクマークは何か)。

→信託設定時、外形上、明らかに子どもである受託者の利益のために設定されていると認められる信託でない限り(信託法8条)、結果として委託者・受益者に損害が出るかどうかになると考えられます。

P357

それでは、成年後見人事案でない場合で、親の財産の先取りや他の推定相続人からの囲い込みを意図した家族信託を組成した後、実際、信託財産を着服した場合、どの時点で犯罪の実行の着手と評価されるのだろうか、組成時だろうか、着服時だろうか。あるいは、家族信託だけの場合も、業務上横領罪であると評価されるのだろうか。

→犯罪の実行の着手と評価される時期について、外部に対して、明らかに受託者自身が自己の利益のために領得する意思を発現した場合を除いて、着服時だと考えられます。

家族信託だけの場合も、信託行為の内容によっては、法定後見制度、未成年後見制度と同様に業務上横領罪であると評価される可能性はあると考えられます。このような場合、公益信託の存在が評価に影響を与えるのではないかと思います。

最高裁判所第二小法廷平成24年10月9日決定

1 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,同条項は準用されない。

2 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があることを量刑上酌むべき事情として考慮するのは相当ではない。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82627

最高裁判所第一小法廷平成20年2月18日決定

家庭裁判所から選任された未成年後見人が業務上占有する未成年被後見人所有の財物を横領した場合,未成年後見人と未成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,その後見事務は公的性格を有するものであり,同条項は準用されない。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=35770

P358

会則違反について―中略―違法行為の射程は、信託組成支援業務の違法に留まると考えます。理由として、信託組成支援業務の違法により、信託の違法が生じているので、司法書士が実際に行った信託組成支援業務の評価に留めることが、妥当だと考えたからです。

P361

しかし、医師でもない司法書士に、認知症患者の積極的な意思能力の有無を判断する責任を負えるのか検討を要する。そのようなノウハウはあるのか。証拠保全方法はどうなるか。

→通院先のカルテや、施設・デイサービスの介護日誌などをコピーして保存する方法があるかと思います。

P365

他人の作成した信託契約書に対する有償でもって行う鑑定を法的根拠および公益意識なく反復継続し、それが不完全かつ悪質であり、かような鑑定により損害を生じたこと

→公益意識の有無、不完全かつ悪質、損害の有無が必要なのか、疑問に思いました。

P366

インターネットやSNS等を濫用し、公然と、書籍・資料等の無断転載等を行い、引用を逸脱し、違法となる著作権法違反(刑事罰)の行為

→多数決で、一方的に除名処分などをせず、根拠をもって立件や懲戒処分申立てをしていただきたいと思います。お互いに敬意があれば、メールでの議論で済むとは思うのですが。

P381

司法書士との長年にわたる継続的な依頼者の事案であるなどの特段の事情がある場合を除いて、医師でもない司法書士が、認知症患者の判断能力が戻ったなどの判断は容易ではない。

→前提として、認知症と診断されたことは、判断能力の喪失とイコールではありません。

なお、公証人が、判断能力ありと判定した場合は、司法書士の確認義務の程度はどうなるのか、などの応用問題がある。

→公証人が、判断能力ありと反転した場合、というのは、公正証書を作成した場合、と言い換えます。公証人が、この方には判断能力がある、と断定することを私は聴いたことがないからです。その場合でも、司法書士の確認義務は変わりません。司法書士と公証人は独立して仕事をしているからです。

渋谷陽一郎「裁判例・懲戒事例に学ぶ民事信託支援業務の執務指針」第4章

渋谷陽一郎「裁判例・懲戒事例に学ぶ民事信託支援業務の執務指針」、2023年1月、民事法研究会、第4章東京地判令和3.9.17にみる民事信託支援業務と5号相談

前提として、私の解説では、組成という用語を使わないようにしています。引用としては利用します。

P274

司法書士は、医師と同様の受託強制主義の下、公益代表型の法律家として、そのような債務を負っている。

→受託強制主義は司法書士法21条を指しているものと考えられます。民事信託支援業務は、原則として、簡裁訴訟代理等関係業務ではないことが想定されます。司法書士法3条1項各号を根拠として民信託支援業務を行う場合、司法書士法21条の依頼は、相談から依頼の間に、時間を要します。相談の段階で法律整序事務であることを、司法書士が判断した上での依頼であることが必要となります。法律整序事務ではない相談は、依頼される前に断る、他士業を紹介することになります。依頼に応じた後(委任契約締結後)においても同じです。

 そして、司法書士法21条の存在によって、依頼を受けた以上、きっちりやらなければいけない、というような感覚を持つことが多いような気がします。きっちりやる、というのは、完了させるまで出来るだけミスなく、違法になりそうな場合は事前に通知したうえ、そのような事実が起きた場合、すぐ断ることも含みます。民事信託支援業務を行うにあたって、委任契約の範囲を具体的に決めることが出来れば、良い方向に向かう場面が多いように感じます。

P279

なお、本判決の事案において、分別管理された信託口口座が開設出来なかった主たる理由は、信託契約公正証書の作成(信託契約の締結)にあたって、司法書士が委託者を代理してしまったことにあったようだ。

→主たる理由は、司法書士が信託契約公正証書の作成前に、信託口口座開設予定の金融機関に、事前に信託口口座の開設要件を確認しなかったことです。

P285

それでは、司法書士は、司法書士法上の業務範囲であれば、すべての分野において情報収集義務を生じるのだろうか。どのレベルまで情報収集を行うべきなのか。

→結果論ではありますが、依頼者が通常想定していなかったような損害を与えない程度の情報集、ではないかと考えています。

P311

民事信託の専門家を自負する若い司法書士の人々には、地に足を付けた民事信託支援業務の地固めのためにも、金森コラムに対するさらなる反論を期待したい。

→私はしています。なお、反論ではなく批評です。

 司法書士の体質として、ある程度の地位を得てから、何名かで議論を固めてから組織名で、というのが多いと考えられるので、難しいのではないかと思います。沖縄県会ではそうです。著者についても、実務に就いている場合に同じことが出来るのか、金森弁護士と面識がなく、予め反論しますと断っていない場合、同じことが出来るのか、私には分かりません。

P319

あるいは、受託者ではなく、最大の利害関係者である受益者に対して、このような訴えを提起して信託財産を保全すること、を期待することができるのだろうか。

→知り得るのであれば、受託者より期待できる場合もあると考えられます。

P343

ところで、以上みてきたとおり、司法書士による民事信託支援業務の生成のプロセスは、成年後見業務や簡裁訴訟代理等関係業務などの他の司法書士業務とは全く異なる。

→似ている場面はあると思います。相談時に情報提供、リスク説明を行うことはあるのではないでしょうか。

加工 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

令和5年2月8日法務省民二第70号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に

伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法

律第25号、相続等により取得)した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第333号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和4年政令第316号)及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則(令和5年法務省令第1号)が公布され、令和5年4月27日から施行されることとなったところ、これらに伴う相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する手続に関する事務の取扱いについては、別添の「相続土地国庫帰属制度事務処理要領」に拠るものとしますので、事務処理に遺憾のないよう、周知方取り計らい願います。

ヒグマがいないことを証する書面、猟友会、自治体との情報連携。

別記第6号様式 法務局がヒグマに関する照会をかける可能性。ニュースを情報源に?

国庫帰属の相談がありそうな土地・・・何処にあるか分からない山林、どうにもならない農地(面積小など)。

地積が小さい土地は可能性有り。

何処にあるか分からない山林は、断る説明が難しいかも。

1ヘクタール超・・・森林組合が欲しがる。超えない場合は国庫帰属相談に流れる。

接道要件を満たしていない土地は難しい。囲繞地通行権は通用するか?可能性は低いのでは?。実体との関係。

国民の期待の大きさ。

業務を行う上での論点

・境界に杭が埋まっているか?埋まっていなければ、土地家屋調査士の調査必要→コスト。所有権界は理解が難しい。

・代理ではないから、依頼者の責任で出来る?

・土地家屋調査士の責任が軽くなる方向で、運用できるか。名前が出てこない、懲戒の対象規範。

・相続登記はやる方向になると考えられる。

・災害などで隣地に迷惑をかける可能性。

・生前対策(子・孫に負の遺産を残さないように)として。

・委任契約で高低を付ける(添付書面だけチェックのみ、など。)

・実家の売却と併せて申請する場合は、費用負担も抑えられる場合あるかも。

・隣地所有者への贈与。

別添

相続土地国庫帰属制度事務処理要領

第1節定義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 法相続等により取得し「 た土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)

2 令「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」(令和4年政令第316号)

3 規則「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則」(令和5年法務省令第1号)

4 帰属制度法により創設された相続土地国庫帰属制度

5 相続等 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)

6 相続土地相続等により所有権又は共有持分を取得した土地

7 承認申請法第2条第1項又は第2項の規定による、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認の申請

8 承認申請者法第2条第1項又は第2項の規定により、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請する者

9 承認申請者等承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人

10 申請土地承認申請に係る土地

11 承認申請書類承認申請書及びその添付書類

12 法務局等法務局又は地方法務局の本局

13 法務局長等法務局又は地方法務局の長

14 帰属担当者法務局等において帰属制度の事務を担当する職員

15 管轄法務局申請土地の所在地を管轄する法務局等

16 管轄法務局長管轄法務局の長

17 国庫帰属地帰属制度により国庫に帰属した土地

18 管理予定庁国庫帰属地を管理する可能性がある行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

19 管理庁国庫帰属地を管理することが決定した行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

20 関係機関国の関係行政機関又は地方公共団体

21 却下要件法第2条第3項各号に規定する要件

22 不承認法第5条第1項の規定により承認をしないこと

23 不承認要件法第5条第1項各号に規定する要件

第2節 帰属制度の相談

第1 相談

1 帰属制度に関する相談(以下、単に「相談」という。)とは、法務局等において、帰属制度の概要等を説明することで、承認申請を受け付けた後の円滑な事務処理に資することを目的とする。さらに、相談者に帰属制度以外に採り得る手段(関係機関による寄附受け、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成25年法律第101号)に基づく農地中間管理事業(いわゆる農地バンク)や森林経営管理法(平成30年法律第35号)に基づく森林経営管理制度、相続放棄などの他の制度活用等)を紹介する等して相談者が抱える相続土地に係る問題の解決に助言を与えることとする。

2 相談は、帰属制度の手続についての一般的な説明に限らず、相談の内容に応じて個別に相談者が持参した資料等を踏まえた帰属制度の手続に関連する具体的な助言をする対応も可能とする。

3 相談は、原則として事前予約制で実施するものとする。ただし、制度の概要や手続についての簡単な説明は電話によることができるが、5分以内をめどとする。

4 相談は、原則として、対面又は電話で実施するものとする。

5 対面又は電話による具体的な個別事案の相談は、帰属制度の概要の説明及びその後の処理時間を含めて30分以内をめどとする。

6 相談は、土地の所有者及びその親族等のほか、これらの者からの依頼を受けた資格者を対象とするが、相談時において、土地の所有者本人であることや資格者であること等の厳密な確認は、特段の事情がない限り行わないものとする。

なお、相談対応の過程において、土地の所有者と関係性が全くないなど、相談の趣旨にそぐわないと判断した場合には、必要に応じて関係性を確認した上で、相談を終了して差し支えない。

7 相談は、管轄法務局以外の法務局等でも対応するものとする。ただし、承認申請は、管轄法務局に申請されることから、承認申請に係る具体的な内容を含む相談の場合については、必要に応じ、管轄法務局への相談を勧めるものとする。

8 管轄法務局以外の法務局等が相談に対応した場合であって、管轄法務局に共有しておくべき情報があるときには、相談対応した法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に相談内容を共有するものとする。

この場合、相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談者にあらかじめ管轄法務局と相談内容を共有する旨を伝え、了解を得るものとする。

9 相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談の結果について、可能な範囲

でその概要を記録するものとする。

第2 相談の留意事項

1 相談においては、以下の点に留意して、必要な事項を説明するものとする。

(1) 相談における帰属担当者の見解は、相談者が持参した資料等の範囲内で帰属担当者が自らの見解を述べているものであり、承認の可否を保証するものではないこと。

(2) 承認申請後の実際の審査においては、関係機関から提供される資料の確認や実地調査を行った上で判断することとなるため、相談における帰属担当者の見解と異なる結果になる可能性があること。

(3)実際の審査には一定の期間を要すること。

(4) 承認申請後は、法令上、いかなる理由があっても、納付された審査手数料を返還することはできないため、承認申請をする際にはその点を十分考慮すること。

(5)承認された場合、国に所有権を移転するためには、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に、原則として一筆の土地ごとに20万円が基本となる負担金を納付する必要があること。

(6) 偽りその他不正の手段により承認を受けたことが判明したときは、承認が取り消され、損害賠償責任を負う可能性があること。

2 相談に関する問合せがある場合には、相談者に対して、相談前に法務省のホームページに掲載している「相続土地国庫帰属制度のご案内」を確認し、相談に係る土地が却下要件及び不承認要件に該当しないかを確認した上で相談を利用するよう促すものとする。

また、対面による相談対応については、土地の登記事項証明書、地積測量図、登記所備付地図(不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項地図)又は地図に準ずる図面(同条第4項の地図。以下これらを「登記所備付地図等という」 。)の写し、所有者が所有する土地に関する書面(境界確定図、境界確認書等)、現地の状況が分かる写真等の参考資料を持参することも促すものとする。

第3節承認申請者

第1 承認申請者

1 承認申請者は、土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者及び同人が所有権の一部を所有する土地の共有者に限る。)である(法第2条第1項及び第2項)。

承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認することにより判断するものとする。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、原則として、承認申請書への記名押印を求めた上で(規則第2条第1項本文)、押印された印影及び承認申請者等の印鑑に関する証明書(以下「印鑑証明書」という。)の提出を受け(規則第2条第3項本文)、当該印影を照合することによって行うものとする。

ただし、以下の場合は、取扱いに留意する必要がある。

(1) 記名押印を要しない場合

承認申請者等が署名した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合は、当該認証を確認するものとし、記名押印を要しないため、印影の照合をする必要はない(規則第2条第1項ただし書)。

(2) 印鑑証明書の添付を要しない場合

ア 承認申請者が商業登記法(昭和38年法律第125号。以下「商登法」という。)第12条の規定による印鑑を提出している法人である場合において、その会社法人等番号が承認申請書に記載されているときは、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しない(規則第2条第3項第1号)。

この場合には、登記所に提出されている代表者の印鑑と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとする。これに対し、承認申請者が商登法第12条の印鑑の提出をしていない法人である場合には、照合可能な押印がされていないことから、同号の「押印」があったとはいえないこととなるため、印鑑証明書の添付を省略することはできない。

なお、当該法人の代表者個人の住所地に登録されている印鑑を承認申請書に押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合であっても、承認申請者である法人の意思を確認することができないため、必要な印鑑証明書の添付があったとはいえないこととなる。

イ承認申請者等が記名押印した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合には、印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第2号)。

ウ裁判所によって選任された者がその職務上行う承認申請の承認申請書に押印した場合には、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成した証明書の印影と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとし、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第3号)。

(3) その他

承認申請者が未成年である場合において、当該者の法定代理人が承認申請書に記名押印をし、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付したときは、承認申請者本人が記名押印をする必要はなく、本人の印鑑証明書の添付も要しない。また、印鑑の登録をしている未成年者が自ら承認申請書に記名押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合には、その印影を照合するほか、法定代理人の同意を証する書面及び法定代理人の印鑑証明書も併せて添付させ、承認申請の意思を確認する必要がある。

3 上記1及び2で確認する各種証明書については、期限の定めは設けないものとする。なお、各種証明書の住所と承認申請者等の住所が異なる場合には、住所のつながりを明らかにした資料(住民票の写し等)の添付を求めるものとする。

第2 表題部所有者又は所有権の登記名義人でない場合の対応

1 承認申請者が表題部所有者又は所有権の登記名義人でない者であっても、表題部所有者又は所有権の登記名義人から相続等により申請土地の所有権を取得した者であることを証明する書面(不動産登記手続において相続等による所有権の移転の登記の登記原因を証する情報と同程度のものに限る。)を提出した場合は、申請土地の所有者と判断することが可能であることから、承認申請を認めることとしている(規則第3条第1号)。

これに対し、表題部所有者又は所有権の登記名義人から承認申請者に至るまでに相続等以外の原因(以下「売買等」という。)による所有権の移転がある場合には、承認申請者が申請土地の所有者であると確実に判断することができないから、売買等を原因とする所有権の移転の登記が行われない限り、「承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき」(法第4条第1項第1号)に該当するものとして、却下することになる。

2 相続等により申請土地の所有権を取得した者が所在不明となった場合にお

いて、不在者財産管理人(民法(明治29年法律第89号)第25条)、所有者不明土地管理人(民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の民法第264条の2)又は相続財産管理人(民法第952条第1項)が選任されたときは、裁判所の許可を得て、不在者財産管理人、所有者不明土地管理人又は相続財産管理人が申請土地の所有者の法定代理人として承認申請をすることができる。

第3 承認申請者が複数である場合の申請方法

1 申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者の全員が共同して行うときに限り、承認申請をすることができる(法第2条第2項)。

前記第1の1と同様、承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認し、現在の登記名義人や所有権を取得した原因が相続等であることを確認することにより、承認申請者の該当性を判断するものとする。

なお、申請土地が複数人の共有に属する場合、相続等により申請土地の所有権を取得していることは、その共有者のうちの1人について確認すれば足りるが、申請土地の所有者であることは、全ての共有者について確認する必要がある。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、前記第1の2と同様、承認申請書に押印された印影と印鑑証明書等(規則第2条第3項)の印影を照合することによって判断することとする。なお、共有者の場合には、共有者全員の押印及び印鑑証明書の提出が必要となる。

第4節承認申請書類

第1 承認申請書の添付書類

規則第3条各号に規定する添付書類については、それぞれ次に掲げるものを提出させるものとする。

1 「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者であることを証する書面」(第1号関係)

承認申請者が相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者である場合において、登記記録上の登記名義人と一致していないとき(相続を原因とする所有権の移転の登記を行っておらず、登記記録上同一人であることを確認することができない場合等)に、承認申請者が当該者であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを書面上確認できるものである必要があることから、不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「不登令」という。)第7条第1項第5号イに規定する情報と同程度のもの(相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、承認申請者が登記名義人の相続人であることを示す戸籍事項証明書や不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「不登規則」という。)第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写し、遺産分割協議書(押印及び当該印影に係る印鑑証明書の添付)、登記名義人から承認申請者に申請土地を遺贈する旨が記載された遺言書、相続人である承認申請者の住所又は氏名を示す住民票の写しや戸籍の附票の写し等が挙げられる。

なお、申請土地の所有権の登記名義人ではあるが、登記原因が遺贈であり、相続人に対する遺贈かを登記記録上で判断することができない場合や所有権の保存の登記のみである場合には、登記記録のみでは相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを確認することができないので、当該者であることを証する書面の添付が必要である。

また、承認申請者が承認申請書に記載した氏名又は名称及び住所と、登記記録上の氏名又は名称及び住所が合致しない場合には、同一人であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更や誤りがあったことを当該書面において確認することができる必要があることから、不登令別表第23の項添付情報欄に規定する情報と同程度のもの(登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、戸籍事項証明書、住民票の写しや戸籍の附票の写しなどが挙げられる。

なお、住民票コード(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条第13号に規定する住民票コードをいう。)をもってこれらの書面に代えることはできないので留意が必要である。

2 「法定代理人によって承認申請をするときは、戸籍事項証明書その他その資格を証する書面」(第2号関係)法定代理人が承認申請を行う場合に、当該代理人の地位を証する書面の添付が必要である。

具体的には、未成年者の親権者については戸籍事項証明書等が、成年被後見人の成年後見人については成年後見登記事項証明書又は審判書謄本等が挙げられる。また、不在者財産管理人又は相続財産管理人については、裁判所による選任を証する決定書謄本等及び裁判所の許可を証する決定書謄本等が挙げられる。

3 「承認申請者が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面」(第3号関係)

承認申請者に法人が含まれる場合において、当該法人の代表者であることを証する書面の添付が必要である。

具体的には、当該法人の登記事項証明書や代表者資格証明書が挙げられる。

なお、当該法人に係る会社法人等番号が承認申請書に記載されている場合において、管轄法務局の帰属担当者が法第7条の規定に基づき取得した当該法人の登記事項証明書により法人の代表者であることを確認できるときには、当該書面の添付が不要となる。

4 「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(第4号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの位置にあり、また、当該土地の範囲がどのようなものであるかについて、承認申請者の認識を明らかにする書面の添付が必要である。これは、管轄法務局における申請土地の書面調査や実地調査においても基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、登記所備付地図等や、国土地理院が公開している地理院地図などに、承認申請者が認識している土地の位置及び範囲を示したものが必要となる。

なお、法第2条第3項第5号の「境界」とは、公的境界である「筆界」ではなく、「所有権界」を意味し、本図面で表示される土地の範囲も「所有権界」による範囲を意味する。したがって、本図面で表示された土地の範囲が「筆界」と相違することをもって承認申請を却下することはできない。そのため、本図面を作成するに当たり、承認申請者は、自らが認識する「所有権界」による土地の範囲を示せば足り、隣接地との境界について復元測量等を実施することまでは要しない。もっとも、管轄法務局の審査に資することを目的として、あらかじめ復元測量等を実施し、その成果を資料として任意に提出することは差し支えない。

5 「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(第5号関係)

承認申請に当たり、対象土地が現在どのような状況であるかを承認申請者において明らかにする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局において、申請土地上に建物や工作物等が存在するかを確認したり、実地調査の基礎資料としたりするためのものである。

具体的には、申請土地の全景及び近景を撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、申請土地が広大であり、全景を1枚の写真で明らかにすることが困難である場合には、航空写真や全体の関係を明らかにした複数枚の写真によることで差し支えない。このため、承認申請者においてドローン等により土地の全景を撮影することまでは要しないが、これらを使用して作成しても差し支えない。

6 「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(第6号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの境界点で隣接している土地に接しているかを承認申請者において明らかとする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局における土地の隣接関係の書面調査や実地調査において判断するための基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、各境界点を示すもの(境界標、ブロック塀又は道路のへり等の地物、簡易な目印等をいい、審査時及び国庫帰属時において確認可能なものであることを要する。)を明確に撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、境界点を示すものについては、承認申請後の管轄法務局における審査時及び国庫帰属時において現地の確認が可能なものである必要があるが、境界標が存在しない場合に、隣地と境界を確定し、測量に基づく恒久性のある境界標を埋設することまでは要しない点に注意する必要がある。

7 「法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面」(第7号関係)

法第11条第1項の規定により、申請土地が国庫に帰属した場合には、当該土地の所有権が国に移転することとなるため、国が所有者であることを登記記録上で公示することが必要となる。このため、国庫帰属後に管理庁において帰属制度に基づく所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する書面の添付が必要となる。これは、不登令別表第73の項添付情報欄ロに規定する登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報となり得る書面である必要がある。

具体的には、承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合、国庫帰属後に土地を管理する国の機関によって、国の機関への所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する旨が記載されている必要がある。

第2 承認申請書類の提出方法

承認申請書類の提出方法は、書面提出に限るものとする。オンラインによる承認申請や書類提出は認められない。

第3 承認申請書類の提出先

承認申請書類の提出は、管轄法務局長に対して提出する必要がある(規則第1条本文、第22条第1号)。

ただし、同一所有者が所有する隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二以上存在する場合には、そのいずれかの管轄法務局長に対して承認申請書類を提出することができる(規則第1条ただし書)。この場合には、承認申請者が選択したいずれかの管轄法務局が受付以降の手続を担当することになる(以下、これにより管轄以外の土地に係る承認申請書の提出を受けた管轄法務局も含めて特段の指定がない限り、単に「管轄法務局」という。)。

第4 審査手数料

1 承認申請をするときは、手数料を納付しなければならない。なお、手数料については、納付した後は返還しない(法第3条第2項、規則第5条第2項)。

2 手数料の納付は、当該手数料の額に相当する収入印紙を承認申請書に貼付

する方法による(規則第5条第1項)。

手数料の納付がない承認申請は、法第4条第1項第2号により却下される。

3 承認申請時に納付された手数料の額が納付すべき手数料の額に満たない場合は、承認申請者が不足額を追納しない意思を明らかにしているときを除き、手数料の納付がないことを理由として直ちに承認申請を却下するのではなく、納付すべき手数料の額を通知して補正の機会を与えるものとし、この場合の補正期間は2週間を目安とする。

4 手数料が過大に納付された場合には、過大に納付された手数料の額に相当する金額の金銭を償還するものとし、帰属担当者が過大納付を確認した場合

には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。ただし、その額が1,000円未満であり、かつ、承認申請者が放棄する旨を申し出た場合にはこれを認め、償還請求及び払戻手続によることなく、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白に放棄した旨及び金額を記載させるとともに、押印又は署名させるものとする。なお、承認申請者が遠隔地に居住している等により承認申請書に当該記載をすることができない場合には、その旨を記載し、承認申請書に押印した印鑑と同一の印鑑を押印した書面を送付して申し出ることで足りる。

承認申請者が償還を請求する場合には、その旨を書面で提出させ、払戻手続を行うものとする。なお、払戻手続を行った場合には、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白にその旨を記載するものとする。

第5節承認申請の受付

第1 窓口申請

1 管轄法務局に出頭して行う申請(以下「窓口申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が窓口で受け付けるものとする。

なお、窓口申請の受付では事前予約制は採らないが、各局の実情により事前予約を可能とし、事前予約者がいる場合には、当該者の承認申請を優先的に取り扱うものとする。

2 受付時には、承認申請書類が提出すべき管轄法務局に提出されているか、規則第2条第3項本文の印鑑証明書及び第3条各号の添付書類が添付されているか、同一の承認申請書で申請できるものであるか等について確認するとともに、疑義がある場合には必要に応じて承認申請書の提出者に確認を行うものとする。

必要な確認を行った後に承認申請書を受け付けたときは、直ちに、承認申請書に貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 受付時において、承認申請書の提出後は審査手数料が過大に納付された場合における賠償償還請求手続を除き、審査手数料の返還の手続は存在しない(理由を問わず返還することはできない。)ことを承認申請書の提出者に説明し、理解を得るよう努めるものとする。

また、承認申請書及び原本還付をしない添付書面は、提出後は返却することができないので、その旨も併せて説明し、理解を得るよう努めるものとする。

4 受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。

なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるかを明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載するものとする。

承認申請者から、受付がされたことの情報の教示の希望があった場合には、承認申請に係る処分をするまでの間は、口頭で受付番号を伝達する方法のほか、申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、提供することができる。

第2 郵送申請

1 郵送による承認申請(以下「郵送申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が受け付けるものとする。

2 郵送申請の受付時には、第1の2と同様に承認申請書類を確認し、疑義がある場合には、必要に応じて承認申請者に電話で確認を行うものとする。

確認後、承認申請書を受け付けたときは、直ちに、貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 郵送申請において、提出先の管轄法務局を誤って承認申請書類が送付された場合には、誤って送付を受けた法務局等の帰属担当者は、承認申請者に電話で連絡をし、管轄法務局への承認申請書類の転送の希望の有無を確認するものとする。

承認申請者が転送を希望する場合、誤って送付された法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に、承認申請に係る所在地番、承認申請者名及び承認申請書類の転送について事前に連絡した上で、承認申請書類一式を転送するものとする。

転送の希望がない場合や承認申請書類が送付された日から5業務日を過ぎても確認が取れない場合には、承認申請者の住所宛てに承認申請書類一式を返送するものとする。

4 郵送申請を受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及

び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 郵送申請の受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるか明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載する等の措置を講ずるものとする。

郵送申請時において、承認申請者から受付がされたことの情報の教示の希望があった場合は、承認申請に係る処分をするまでの間は、承認申請者が送付料を負担した返信用封筒が同封されているときに限り、承認申請者に申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、返信用封筒を利用して提供することができる。

第3 承認申請主体

1 承認申請は、承認申請者又は法定代理人が行う必要がある(法第2条第1

項及び第2項等)。

ただし、承認申請書類の作成代行については、それを業務とするものでなければ親族等が行うことが許容されている。承認申請書類の作成を業務として代行することができる資格者(報酬を得るか否かに関わりない。)は、弁護士(弁護士法(昭和24年法律第205号)第3条)、司法書士(司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第2号)及び行政書士(行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の2)に限られる。

なお、承認申請の任意代理は、認められない。

2 承認申請書類の窓口申請は、必ずしも承認申請者等が出頭して行う必要はなく、使者による提出も認められることから、窓口での受付時において、承認申請者又は法定代理人本人であることの確認は行わないものとする。

第4 審査主体

1 承認申請に係る審査及び判断は、原則として、管轄法務局長が行うものとする。

2 承認申請に係る管轄法務局の審査を踏まえて法務大臣が自ら承認、不承認又は却下の判断を行う場合は、法務省から管轄法務局にその旨を指示する。

第6節添付書類の原本の還付

1 承認申請者は、規則第10条第1項の規定により添付書類の原本の還付を請求することができる。ただし、規則第2条第3項本文に規定する印鑑証明書及び規則第3条第7号に規定する承諾したことを証する書面については、原本の還付を請求することができない点に注意する必要がある。

なお、承認申請者が相続により土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを証する書面の原本還付を請求する場合に、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、当該書面のうち、戸籍又は除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書に限り、当該相続関係説明図を規則第10条第2項に定める謄本として取り扱うことができる。

2 規則第10条第3項の「承認申請に係る審査の完了後」とは、却下要件及び不承認要件の審査をするために添付書類の原本を留め置く必要がなくなった段階を意味し、審査状況に応じて帰属担当者が判断するものとする。

3 規則第10条第3項後段の原本還付の旨の記載は、同条第2項の謄本の最初の用紙の表面余白に<別記第3号様式>による印版を押印するとともに、帰属担当者が押印してするものとする。

4 原本の還付請求があった添付書類が偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第10条第4項ただし書)。

5 原本の還付は、承認申請者が郵送での還付を希望する場合は、承認申請者が申し出た送付先の住所に郵送で送付することができる。

この場合、書留郵便又はこれと同等のものである信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うことができるものに限られているため、送付可能な郵便切手や法務大臣が指定する証票が同封されている必要があり、規則第10条に規定する方法以外の方法により還付を希望する申出があったとしてもこれに応ずることはできない。

第7節承認申請者に承継があった場合の取扱い

1 負担金が納付されるまでの間に承認申請者から申請土地の所有権の全部又は一部を取得した一般承継者又は所有権の登記名義人として登記された特定承継者は、所有権を取得した日から60日以内に限り、管轄法務局に申出書及び添付書類を提出することにより、承認申請者の地位を承継することができる(規則第12条第1項、同条第2項)。

この際の申出書は、<別記第4号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 帰属担当者は、申出書と同時に提出される添付書類により、申出人が承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、規則第12条第1項に規定する新承認申請権者に該当すること及び法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾していることを確認するものとする。

ただし、特定承継者からの地位承継の申出については、その者が法第2条第2項後段の承認申請権者に該当する場合(他の共有者に相続等によって土地の共有持分を取得した者がいる場合)に限って認められることに注意を要する。

なお、申出書及び添付書類については、承認申請書及び添付書類の取扱いに準ずるものとする。

3 申出人が新承認申請権者であると判断できない場合において、補正等がされないときは、地位承継の申出を却下するものとし、適宜の方法によりその旨を申出人に通知するものとする。

4 承認申請者の死亡など同人が申請土地の所有権を喪失した事実を管轄法務

局が把握した場合であって、喪失した日から60日以内に新承認申請権者から承認申請者の地位を承継する申出がないときは、法第4条第1項第1号の規定により承認申請を却下するものとする。

第8節関係機関への情報提供

1 承認申請の受付後、申請土地の寄附受けや他の制度の活用(以下「寄附受け等」という)の可能性について確認することを目的として、国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体に対し、申請土地に係る情報を提供するものとする。

また、申請土地が所在する法務局等の管轄内にその他の情報提供が有益と考えられる団体(以下、上記の国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体と併せて「情報提供対象機関」という。)が存在する場合には、当該機関に対しても情報提供をするものとする。

2 情報提供の実施に当たっては、情報提供対象機関に情報提供をする旨を承認申請者に対して説明し、承認申請者の同意を得るものとする。なお、承認申請者が情報提供対象機関への情報提供を希望しない場合は実施しないものとする。

3 情報提供対象機関に対する情報提供は、<別記第5号様式>で実施するものとし、申請土地の所在、地番を記載し、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)、「申請土地に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写した書面を添付するものとする。

4 情報提供対象機関に対する確認依頼は、2週間を期限として、<別記第5

号様式>により回答を依頼するものとし、情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があった場合には、承認申請に係る処分を留保するものとする。

なお、期限内に回答がない場合であっても、承認決定までの間に情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があったときは、承認申請に係る処分を留保するものとする。

5 情報提供対象機関から申請土地の寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者にその旨を連絡するものとする。

なお、寄附受け等に関する調整は承認申請者と寄附受け等を希望する情報提供対象機関との間で直接行うものとし、管轄法務局においては連絡調整以外の具体的な内容に関する調整は実施しないが、情報提供対象機関に対しては、定期的に進捗の確認を行うものとする。

6 複数の情報提供対象機関から寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者に対し、それぞれの情報提供対象機関について説明した上で調整を行う相手方の希望を確認し、その結果について寄附受け等を希望する情報提供対象機関に連絡するものとする。

承認申請者と調整を行う情報提供対象機関が決定した後の対応については、上記5と同様とする。

第9節関係機関への資料提供の依頼等

1 関係機関に対する資料提供の依頼は、申請土地の所在及び地番を記載した依頼書<別記第6号様式>により行うものとし、当該依頼書と併せて、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号「承認申請に)、 係る土地と当該土地に隣接する土地との境界

点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書、登記所備付地図等の写しを複写した書面及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付するものとする。

2 関係機関に対する資料提供依頼の内容は、次に掲げる事項を対象とするものとし、可能な限り文書等による回答及び資料提供を求めるものとする。なお、次に掲げる事項以外の事項についても、申請土地の状況に応じて追加して資料提供を依頼することがあり得るので留意が必要である。

(1) 固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)(法第10条第1項関連)

(2) 「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地(法第10条第1項、令第4条第1項第1号、同項

第2号、規則第15条関連)

(3)「農地台帳」に記載のある土地(法第10条第1項関連)

(4)(3)の土地における使用収益権の設定状況(法第2条第3項第2号関連)

(5)地域森林計画の対象となっている土地(法第10条第1項関連)

(6)森林法(昭和26年法律第249号)第11条第1項に規定する森林経営計画の認定の有無(法第2条第3項第2号関連)

(7) 森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(8) 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(昭和41年法律第126号)第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(9) 林地台帳及び林地台帳地図(法第2条第3項第5号関連)

(10)森林簿及び森林計画図(法第2条第3項第5号、令第3条第3項第3号関連)

(11) 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地(法第2条第3項第4号関連)

(12) 「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地(令第2条第2号関連)

(13) 「境内地」に該当する土地(令第2条第3号関連)

(14)「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地(令第2条第4号関連)

(15) 治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定によって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう)の計。 画がある土地(令第3条第3項第1号関連)

(16)森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地(令第

3条第3項第2号関連)

(17) 森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地(令第3条第3項第2号関連)

(18)条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法(昭和24年法律第195号)第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地(令第3条第3項第4号関連)

(19) 条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地(令

第3条第3項第5号関連)

(20)(18)・(19)以外に金銭の支払を求められる可能性がある土地(別荘地等)(令第3条第2項第2号関連)

3 関係機関に対する助言の依頼

法第7条の規定に基づき、関係機関に対して申請土地の審査に当たり、資料の提供、説明、事実の調査の援助その他必要な協力を求める必要がある場合には、申請のあった承認申請書類の写しのほか、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写し

た書面を送付することとする。なお、必要に応じ上記2により収集した資料についても同様に送付するものとする。

また、法第7条の規定に基づき、関係のある公私の団体その他の関係者に協力を求める場合には、関係機関に対する依頼に準じた対応をするものとする。

第10節承認申請の審査

第1 書面調査

承認申請がされた場合には、後記第3に記載する事項を中心に、承認申請書類の記載内容、法第7条の規定に基づき関係機関から取得した資料及び登記所が保有する資料(登記事項証明書及び登記所備付地図等)の内容により調査を行うものとする。

なお、書面調査において却下要件に該当することが確実と判断できる場合には、当該承認申請を却下する方向で処理を進めるものとし、この場合において、法第7条の規定に基づき資料提供依頼を行い、当該依頼に係る回答がされていないものがあるときは、当該依頼に対する回答が不要である旨連絡をするなど、照会先に配慮した適切な措置を講ずるものとする。

第2 実地調査

1 申請土地についての法第6条第2項に規定する実地調査は、原則として管

轄法務局の帰属担当者が実施する。ただし、書面調査において、却下要件に

該当することが明らかな場合であって、補正の見込みもないとき(例えば、登記記録上に抵当権の登記があり、承認申請者が抵当権の登記の抹消を申請する意思がない場合等)においてはこの限りでない。

2 実地調査は、1回かつ1日以内での実施を原則とする。

ただし、申請土地が広大な土地である場合や調査に時間を要する特別な事

情がある場合には、複数回や複数日での実地調査を行うことも差し支えない。

3 実地調査に当たっては、<別記第7号様式>により、立入りを予定している他人の土地の占有者に通知を行うものとする(法第6条第3項及び第4項)。なお、承認申請者については、電話等適宜の方法による連絡で差し支えない。

4 宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合

は、当該土地の占有者にその旨を告げ、その後に立ち入るものとする(法第

6条第5項)。

5 土地の占有者の承諾を得ない限り、日出前又は日没後の立入りはしないも

のとする(法第6条第6項)。

6 立入りをする場合には、法務局長等が発行した帰属担当者の身分証明書を携行し、関係者からの求めがあったときには、当該身分証明書を提示するものとする(法第6条第7項)。

7 実地調査においては、原則として承認申請者の同行は求めないものとする。

ただし、承認申請者の同行がなければ、申請土地に到達することが困難と認められる場合は、実地調査に承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めるものとする。また、以下のような場合にも、必要に応じて承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めることができるものとする。

ア添付書類に示された申請土地の所在位置に疑義がある場合

イ添付書類に示された申請土地の境界(所有権の範囲)に疑義がある場合

ウその他承認申請者の認識を現地で確認する必要がある場合

なお、承認申請者が正当な理由がないにもかかわらず同行に応じない場合には、法第4条第1項第3号の規定により承認申請を却下するものとする。

8 実地調査においては、必要がある場合には、法第7条の規定に基づき、管

理予定庁に同行を求めるものとする。

9 実地調査の終了後は、<別記第8号様式>を用いて、実地調査結果報告書を作成するものとする。

10 実地調査は、主に後記第3に掲げる調査事項を確認するため、申請土地及びその周辺を調査するものとし、必要に応じて隣接地所有者や周辺住民等への聴取も実施するものとする。

第3 調査事項

以下の①から⑱までの項目について、書面調査及び実地調査を行うものと

する。

① 承認申請書に記載された氏名又は名称及び住所(法第3条第1項第1号、規則第2条第1項第1号、同項第3号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

登記記録上の氏名又は名称及び住所と承認申請書の記載事項が一致しない場合には、規則第3条第1号に基づく添付書類により、変更事項(住所変更、氏名変更等)を確認するものとする。なお、申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者全員の確認が必要である(法第2条第2項)。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

② 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

【実地調査】

(1) 申請土地の所在、地番

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)や登記所備付地図等を確認の上、現地に到達することができるか、現地に申請土地が存在するかなどの点を中心に確認を行うものとする。

特に、申請土地の特定(土地の取り違え)に留意する必要がある。

(2) 地目

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地目と同じであるか、異なる

場合はどのような用途で利用されているかを中心に確認するものとす

る。

なお、調査の結果、登記記録上の地目と現況の利用用途が異なっていたとしても、それを理由に承認申請を却下することはできない点に留意する必要がある。

(3) 地積

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地積と著しく相違がないことを確認するものとする。

なお、実地調査において申請土地の測量は実施しない。

③ 申請土地の所有者(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者が所有権の登記名義人となっているかを確認する。申請土地が共有地である場合には、全ての承認申請者について確認する必要がある。

申請土地の登記記録の所有権の登記名義人が承認申請者でない場合には、相続により所有権を取得したことを証する添付書類(遺産分割協議書、戸籍事項証明書等)又は相続人に対する遺贈により所有権を取得していることを証する添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請者が申請土地の所有者であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。これに対し、相続等以外を原因とする所有権の取得(例えば、売買を原因とする場合)については、相続等以外を原因とする所有権の移転の登記を求めるものとし、当該登記がされない場合には承認申請権限を有しないものとして取り扱うものとする。

なお、承認申請者の住所が登記記録上の所有者の住所と異なる場合には、登記記録上の住所に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(住民票の写し等)を、承認申請者の氏名又は名称が登記記録上の氏名又は名称と異なる場合には、登記記録上の氏名又は名称に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(戸籍事項証明書等)を確認し、同一人であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地の所有者以外の者が承認申請者として承認申請していると疑わしい場合を除き、特段の確認は要しないものとする。

④ 所有権の取得原因(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「相続」である場合には、「相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者」(法第2条第1項)と取り扱うものとする(規則第3条第1号)。

相続登記がされていない場合は、相続等を証する添付書面(戸籍事項証明書、遺産分割協議書等)を確認することにより、相続等によって土地の所有権を取得しているかを確認するものとする(規則第3条第1号)。

承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「遺贈」である場合(「相続人」に対する遺贈であるかが判明しない)や、承認申請者を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記があるにとどまる場合には、登記記録のみによっては承認申請権限の有無を確認することができないため、承認申請権限を証する他の添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請権限の有無を判断するものとする(規則第3条第1号)。

なお、申請土地が共有地である場合には、その一人について確認すれば足りる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑤ 建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

【書面調査】

申請土地を底地とする建物の登記が存在するかを確認するものとする。

また、添付書類の写真(申請土地の形状を明らかにする写真(規則第3条第5号)) によって建物の有無を確認するものとする。

滅失した建物の登記記録が存在する場合は、承認申請者に建物滅失登記の申請等をするよう促すものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に建物が存在しないことを確認するものとする。

建物の該当性については、建物の登記の存在の有無及び存在する建築物が「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」(不登規則第111条)に該当するかによって判断するものとする。なお、建物には該当しない廃屋等が存在する場合、当該廃屋等が、土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当するかを判断することとなる。

(2) 実地調査において建物が存在しないことを確認した場合であって、建物の登記が存在するときは、当該建物を管轄する登記所の不動産登記事務担当者に、<別記第8号様式>を用いて作成する実地調査結果報告書の写しを提出し、申請土地に建物が存在しないこと等について情報提供するものとする。

⑥ 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第

2条第3項第2号)

【書面調査】

(1) 申請土地の登記記録を確認し、抵当権等の担保権、又は地上権、地役権、賃借権等の使用及び収益を目的とする権利(以下「使用収益権」という。)の登記の有無について確認するものとする。

なお、登記記録上において、担保権又は使用収益権が存在しない場合には、権利設定の有無について積極的に調査をする必要はないが、農地に係る使用収益権等の設定の有無は、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料の内容も確認するものとする。また、調査の過程でこれらの権利の存在を疑うに足る事情を発見した場合には、承認申請者から事情を聴取した上、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

(2) 入会権や経営管理権が設定されている土地、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地については、登記記録から権利設定の有無が明らかとはならないため、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び承認申請者からの申告内容を確認することとなる。また、調査過程において、これらの権利が設定されていることが判明した場合には、使用収益権が設定されている土地に該当するものと判断することとなる。

(3) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記の有無についても確認するものとする。

なお、これらの登記が存在する場合には、国が所有権を喪失する又は自由な使用収益を害する可能性が高いことから、担保権が設定されている土地や所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地に該当するものと判断することとなる。

【実地調査】

(1) 担保権又は使用収益権((2)から(4)までの場合を除く。)

実地調査においては、特段の確認は要しないものとするが、現地において、これらの権利の存在を疑うに足る事情があるときは、承認申請者、隣接地所有者又は近隣住民に確認をする等の調査を実施するものとする。

(2) 入会権

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(3) 経営管理権、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(4) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記が存在する土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑦ 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条

第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

【書面調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に通路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた墓地の許可に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地が墓地内の土地に該当するかを確認するものとする。

(3) 境内地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた境内地に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた水道用地、用悪水路又はため池に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

【実地調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に通路や道路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。また、森林に存在する林道や登山道については、現に通路の用に供されているかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に通路や道路の用に供されているかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

実地調査においては、特段の調査を要しない。

(3) 境内地

実地調査においては、申請土地が宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号から第7号までに規定される土地であるかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されているかを確認するものとする。

⑧ 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(規則第14条で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により確認するものとする。

なお、提供された資料により汚染されている土地に該当する可能性があると疑われる場合には、承認申請者に対し、法第6条第2項の規定に基づき、特定有害物質により汚染されていないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

上申書の内容を踏まえても汚染されている土地に該当する可能性が払拭されない場合には、承認申請者に対し、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関等による調査報告書の提出を求めるものとする。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地に明らかな異常(土地の変色、異臭等)が存在するかについて確認するものとする。

明らかな異常が認められる場合は、承認申請者に事情を聴取し、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により、人体に有害な物質により汚染されていると認められる場合には、実地調査を省略して差し支えない。

⑨ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

【書面調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地

上記①、③及び④の調査による。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

所有権の範囲については、以下の2点を確認する必要がある。

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が表示されていること添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を確認するものとする。

また、法第7条の規定に基づき収集した申請土地に係る法務局等の保有する資料(登記記録、登記所備付地図等、地積測量図、筆界特定図面等)と添付書面の内容に齟齬がないかを確認するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

(a) 管轄法務局から隣接地所有者に対し、申請土地と申請土地に隣接する土地(以下「隣接土地」という)との境界及び境界紛争の有無を確認するため、承認申請があった旨を記載した通知書に規則第3条第4号から第6号までの書類の写し及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付して、隣接土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に送付するものとする(規則第13条第1項)。

(b) (a)の通知書は、<別添第9号様式>によって作成するものとし、表題部所有者又は所有権の登記名義人の登記記録上の住所地に宛てて送付するものとする(規則第13条第2項)。

(c) 隣接土地の該当性は、登記所備付地図等において申請土地に隣接しているかによって確認するものとし、申請土地と境界点で接している全ての土地について通知をするものとする。

なお、申請土地について、関係機関から林地台帳地図又は森林計画図の写しの提供がある場合には、当該図面も参考にするものとする。

(d) 隣接土地が共有地である場合は、共有者全員の登記記録上の住所地に宛てて通知書を送付するものとする。

(e) 通知書の回答期限は、作成の日から2週間とする。

返信期限までに返信がない場合は、再度通知書を送付するものとし、回答期限は再度の作成の日から2週間とする。

ただし、通知を受ける者が外国に住所を有する場合には、これらの回答期限は4週間とする。

なお、再度の通知に対して正当な理由がなく回答がなかった場合には、異議のないものとして取り扱い、実地調査を行うこととして差し支えない。

(f) 通知に対して「異議はない」旨の回答があった場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(g) 通知に対して「異議がある」旨の回答があった場合には、承認申請者に結果を伝えるとともに、隣接地所有者から異議が提出されている状態では、隣接地所有者との間に境界の争いが存在することになるため、法第2条第3項第5号に該当し承認申請は却下となることを説明し、隣接地所有者との調整や申請の取下げの検討を促すものとする。

この場合の隣接地所有者との調整期限は、2か月を目安とし、調整が整った場合には、該当する規則第3条第4号から第6号までの書面を補正させた上で、関係する隣接地所有者に対して再通知を行うものとする。

なお「異議がある、 」との回答に具体的な理由が記載されていない場合には、具体的な理由を明らかにするよう再通知することとし、それでもなお理由を示さない場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(h) 隣接地所有者に通知が届かなかった場合(宛所不明で返戻された場合)は、実地調査において隣接地の状況を確認し、隣接地所有者や近隣住民等に認識を確認するなどの調査を実施することとなる。

通知書が返戻された場合は、その旨を審査結果報告書に記載し、当該通知書は承認申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。

【実地調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地所有者以外の者が申請土地を不法に占拠している状況が存在しないか、所有権の帰属について争いがある状況が存在しないかを確認するものとする。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が現地で確認できること

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を参考に、現地で境界点の存在と位置を確認し、図面及び写真と齟齬していないかを確認するものとする。

添付書面と現地の状況が明らかに齟齬している場合は、承認申請者に事情を聴取するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

前記書面調査の(2)イにおいて隣接地所有者に送付した通知書に関し、承認申請者が認識している境界に異議がない旨の返信があった場合には、実地調査において当該者に改めて境界の認識を確認する必要はない。

隣接地所有者へ通知を2回送付しても返信がなかった場合、宛先不明で返送された場合及び異議の内容を具体的に明らかとしなかった場合は、隣接土地の状況を確認し、所有者又は占有者が存在し、聴取が可能な場合は境界に関する認識を聴取するものとする。

隣接土地が更地である場合のように所有者又は占有者に境界の認識を聴取することが困難なときにおいては、承認申請者に当該隣接土地に係る境界の争いの有無を確認するとともに、必要に応じて隣接地所有者や近隣住民に対する事情聴取を実施するものとする。

なお、実地調査において、書面調査では確認することができなかった隣接土地が存在する場合には、当該土地の隣接地所有者の境界に関する認識も調査する必要がある。現地で認識を聴取することができればそれで足り、現地で認識について聴取できない場合には、他の隣接地所有者と同様、境界の認識を確認する通知を改めて送付するものとする。

⑩ 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における崖の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地が傾斜地である場合、社会通念に照らして「一個の崖」を認定する。なお、申請土地が崖の一部である場合には、申請土地以外の周辺の土地を含めて「一個の崖」と認定する。

申請土地に令で定める基準に該当する崖がある場合は、所在する人の生命等に被害を及ぼす又は隣接土地に土砂が流れ込むことによって財産的な被害を生じさせる可能性があり、擁壁工事等を実施する必要があることが客観的に認められるかにより、当該要件の該当性を判断するものとする。

当該一個の崖が令で定める基準に該当するかについてはレーザー距離計等の機器を用いて、傾斜がある部分の上端及び下端を特定し、角度及び垂直距離を測定し、勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上であるかを判断するものとする。

(2) (1)の判断に当たっては、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかを判断するものとする。ただし、管轄法務局において容易に判断することができる場合は、この限りではない。

⑪ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における工作物、車両又は樹木その他の有体物の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に存在する有体物の有無を確認し、通常の管理又は処分を阻

害する有体物に該当するかを判断するものとする。

(2) 通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当する主な事例は、以下のとおりである。

ア果樹園の樹木

イ民家、公道、線路等の付近に存在し、放置すると倒木のおそれがある枯れた樹木や枝の落下等による災害を防止するために定期的な伐採を行う必要がある樹木

ウ放置すると周辺の土地に侵入するおそれや森林の公益的機能の発揮に支障を生じるおそれがあるために定期的な伐採を行う必要がある竹

エ過去に治山事業等で施工した工作物のうち、補修等が必要なもの

オ建物には該当しない廃屋

カ放置車両

⑫ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物

が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び必要に応じて収集した地歴調査に関する資料により確認するものとする。

なお、提供を受けた資料から管理を阻害する有体物が地下に存する可能性がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、管理を阻害する有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

【実地調査】

申請土地の状況を確認し、不自然に土地を掘り起こした部分がないかを確認するものとする。

不自然な点がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

⑬ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

【書面調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記所備付地図等により、申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(いわゆる別荘地関連や立木を第三者に販売する契約)が存在する場合は、当該資料も確認する。

【実地調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)申請土地から公道に通じる土地の状況を確認し、通行が妨害されているといった状況の有無について確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)

ア例えば、所有者以外の第三者に不法に占有されている、隣接地から継続的に流水がある、といった土地の使用に支障がある状況にないかを確認するものとする。

イ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、申請土地を特定の管理会社が管理し、管理費用が発生する土地(いわゆる別荘地)に該当する可能性がある場合であって、申請土地についても管理費用の支払を求め、管理費用を国が支払わないと申請土地の利用が阻害されるおそれが明らかであるときは、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

ウ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、立木を第三者に販売する契約を締結している土地であって、申請土地について第三者が立木を伐採するために土地に立ち入る可能性がある場合には、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

⑭ 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(治山事業の計画がある土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地の状況を確認した上、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、申請土地が本要件に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、客観的に通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する土地に該当するかを判断するものとする。ただし、法務局等において容易に判断することができる場合は、この限りでない。

なお、法7条に基づく関係機関から提供を受けた治山事業に関する資料により、土地の崩落などが現に生ずるおそれが高い場合は、実地調査を省略して差し支えない。

(2) 本要件は、災害等の発生の可能性があり、被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)が必要であることについて、具体的かつ客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑮ 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(森林病害虫等防除法第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地若しくは森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 本要件は、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあることについて、具体的な被害情報や具体的に被害が発生する客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑯ 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた森林計画や森林簿により確認するものとする。なお、天然林について、標準伐期齢に達しているかどうかについて、添付書類の写真や森林簿によっても林齢が不明な場合には、承認申請者に対して林齢を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 市町村森林整備計画に適合させるため、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められる森林の例は、以下のとおりである。

ア間伐の実施を確認することができない人工林

イ一定の生育段階に到達するまで更新補助作業が生じる可能性がある標準伐期齢に達していない天然林

⑰ 法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地(令第3条第3項第4号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等)が発生することが確実な土地)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

なお、当該資料によって、金銭債務の支払が発生することが確実な土地と認められる場合には、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑱ 法令の規定に基づく処分により承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属したことに伴い国が法令の規定により当該金銭債務を承継することとなるもの(令第3条第3項第5号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務を承継する土地であることが分かる資料)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

当該資料によって、金銭の支払が承継する土地と認められる場合であって、承認申請者が当該金銭債務を消滅させる意思がないときには、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

第4 承認、却下又は不承認の判断

1 書面調査及び実地調査の結果並びに第9節の3により依頼した事項の回答を踏まえ、申請土地について却下要件及び不承認要件の該当性を検討の上、<別記第10号様式>により審査結果報告書を作成するものとする。

なお、却下要件及び不承認要件は、客観的かつ具体的に認められることが必要であり、要件該当性に疑義がある場合には、当該要件には該当しないと判断する必要がある点に留意する。

2 管轄法務局長が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条第2号、第4号及び第5号、帰) 属担当者は、審査結果報告書について管轄法務局長の判断を仰ぐものとする。

3 法務大臣が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条柱書き)、管轄法務局長は、<別記第11号様式>により、承認申請書類及び審

査の過程で入手した書類の写しを添付して進達するものとする。

4 管轄法務局長が承認申請に対して承認しようとする場合には、その決定前

に、帰属担当者が、申請土地の登記記録(承認申請者が法人の場合は法人の

登記記録を含む。)を確認した上で、電話等により承認申請者等に対し、申

請土地の所有権の移転又は承認申請者住所の変更の有無及び承認をした場合に窓口での通知の受領の希望の有無について確認するものとする。また、承認申請者が複数人である場合には、負担金に係る納入告知書を受領する代表者についても併せて確認するものとする。

この場合において、登記記録以外で承認申請者の情報が変更されていることが判明したときには、当該事実を証する資料の提供を求めることとする。

なお、法務大臣が承認申請に対して承認しようとする場合には、管轄法務局の帰属担当者は、その決定前に前記の内容を確認し、法務省へ報告するものとする。

第5 標準処理期間

法務局長等は、承認申請の件数や事務の処理状況等を考慮の上、承認申請から承認をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局等のホームページに掲載する等の方法により明らかにしておくものとする。

第11節承認申請の却下

1 承認申請が却下事由に該当する場合には、管轄法務局長は、当該承認申請を却下しなければならない。

ただし、当該承認申請の不備が補正することができるものである場合において、承認申請者等に補正を求め、承認申請者等が相当の期間内に補正をしたときは、この限りではない。

承認申請を却下したときには、却下したことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付するものとする(法第4条第2項、規則第6条第1項)。

2 却下したことの通知は、<別記第12号様式>により作成するものとし、却下した理由を明記するものとする。

なお、審査の結果判明した却下の理由が複数の却下要件に該当する場合に

は、全ての理由を記載するものとする。

却下したことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

3 却下したことの通知を送付の方法により行う場合は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする(規則第6条第2項)。

ただし、承認申請者が却下したことの通知をする管轄法務局での交付を希

望する場合は、管轄法務局で交付することができる。この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

4 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請

のために用いられた疑いがある書面である場合には、添付書面は還付することはできない(規則第6条第3項ただし書)。

第12節承認申請の取下げ

1 承認申請の取下げは、承認申請者が承認申請を取り下げる旨を記載した書面を管轄法務局長に提出する方法によってすることができるとされている(規則第7条第1項)ことから、口頭により取下げの申出があったとしても、その取下げを認めることはできない。

なお、取下書は、<別記第13号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 承認申請の取下げは、法第5条第1項の承認がされた後はすることができないとされている。このため、法務大臣又は法務局長等の承認の決定がされた後は、承認申請の取下げを認めることができないので注意する必要がある(規則第7条第2項)。

3 承認申請の取下げがあった場合において、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第7条第3項)。

添付書面の還付の方法は、承認申請者の希望に応じて窓口又は郵送のいずれの方法でも還付することができる。ただし、郵送による還付を希望する場合は、承認申請者が郵送料及び返信用封筒を負担するときに限るものとする。

第13節承認をしたこと又は承認をしないことの通知

第1 承認をしたことの通知

1 承認をしたときは、法務局長等は、承認をしたことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする。

法務局長等が行う承認をしたことの通知の様式は、<別記第14号様式>により作成するものとする。

なお、本通知は、第14節第3の負担金の通知と併せて行うものとする(法第10条第2項、規則第17条第2項)。

2 承認をしたことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。

ただし、承認申請者が管轄法務局での交付を希望する場合は、承認申請書

の余白の適宜の場所に、通知を受領した日及び受領した承認申請者の氏名を

記載させた上で、管轄法務局において交付することができる。

第2 承認をしないことの通知

1 承認をしないこととしたときは、法務局長等は、承認をしない理由を明記した通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする(法第9条、規則第17条第4項)。

承認をしないことの通知は、<別記第15号様式>により作成するものとする。

なお、審査において複数の不承認要件が存在する場合は、全ての理由を記載するものとする。

承認をしないことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

2 承認をしないことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。ただし、承認申請者が承認をしないことの通知をする管轄法務局での交付を希望する場合は、管轄法務局で交付することができる。

この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

3 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合や虚偽の内容を記載した書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第6条、第17条第4項)。

4 審査の結果、却下事由及び不承認事由の双方が存在する場合は、該当する事由を<別記第12号様式>による却下通知に併記するものとする。

第14節負担金

第1 種目の判断

1 負担金を算定するための前提として、申請土地の主な種目が宅地、農用地(田・畑・採草放牧地)、森林又はそれ以外のいずれの種目に該当するかを法務局長等が判断するものとする(規則第22条第18号)。

ただし、承認申請が却下又は不承認となる場合には、種目の判断は不要とする。

2 種目の判断に当たっては、主に農用地又は森林として利用されている土地ではないと明らかに認められる場合を除き、法務局長等から財務大臣及び農

林水産大臣(財務大臣又は農林水産大臣から権限委任がなされている場合は、委任を受けた者。以下同じ。)に対し、書面調査及び実地調査の結果を踏まえた法務局長等の見解を記載した<別記第16号様式>を用いて意見を聴取するものとする(法第8条、規則第18条)。

3 法務局長等は、前記2の意見聴取において財務大臣及び農林水産大臣から提出を受けた意見を考慮の上、種目の最終判断を行うものとする。

第2 負担金の算定

1 法務局長等は、前記第1の3において最終的に判断した種目に基づき、関係機関から提出を受けた資料を踏まえ(例えば、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化区域等の該当性を確認するなどした上で、負担金の金額を) 算定するものとする(令第4条第1項各号)。

2 負担金の算定に用いる申請土地の面積は、登記記録上の地積によるものとする。

なお、承認申請者が登記記録上の地積とは異なる現況面積を主張して負担金の算定を求める場合には、原則として、承認申請前に地積更正又は地積変更の登記をさせるものとする。

第3 負担金の通知

負担金の額の通知は、<別記第14号様式>の様式による書面により行うものとする。

なお、本通知は、第13節第1の1の承認をしたことの通知と併せて行うものとする(規則第17条第2項)。

第4 納入告知書の作成及び送付

1 負担金の納付は、法務局等の歳入徴収官が作成する納入告知書によるものとする(規則第19条)。

2 納入告知書は、負担金の額の通知と併せて交付するものとし、納付期限は負担金の額の通知が到達した日の翌日から起算して30日以内となることに留意するものとする(法第10条第3項)。

なお、承認申請者が複数いる場合には、最初に負担金額の通知書が到達した日の翌日を起算日とする。

3 負担金の納付期限を経過した場合においては、事件を終結するものとする(法第10条第3項)。

4 納付期限後に誤って負担金が納付されたときは、当該納付は無効となるため、納付された負担金の額に相当する金額の金銭を還付する必要がある。

このため、法務局等において期限後の納付を確認した場合には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。

第5 合算負担金の申出

1 令第5条第1項の規定による申出(合算負担金の申出)は、規則第16条第1号から第4号までに規定する事項を記載した申出書を、管轄法務局に提出する方法によってするものとする。

当該申出書の様式は、<別記第17号様式>又はこれに準ずるものとする。

なお、合算負担金の申出書は、承認申請が承認されるまでの間に管轄法務局に提出されている必要がある。

合算負担金の申出要件を欠いている場合には、申出を却下するものとし、適宜の方法により申出人に通知するものとする。

2 隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二つ以上存在する場合には、いず

れかの管轄法務局に対して申出すれば足りる。

3 前記2の場合には、それ以降、原則として、申出がされた管轄法務局において申出に係る全ての土地の審査を担当するものとし、他の管轄法務局は、当該管轄法務局において保有する申出に係る土地に関する承認申請書類を、申出がされた管轄法務局に引き継ぐものとする。

第15節国庫帰属による所有権移転

第1 通知

法務大臣は、負担金が納付され、土地の所有権が国庫に帰属したときは、直ちにその旨を財務大臣又は農林水産大臣に通知しなければならないとされている(法第11条第2項)。

このため、土地の所有権が国庫に帰属したときは、管轄法務局が管理庁に直ちにその旨を一報した上で、<別記第18号様式>によって作成した書面を管理庁に宛てて通知することによって行うものとする(規則第22条第13号)。なお、通知の発出後は、管理庁が当該通知を受領した事実を確認するものとする。

第2 関係資料の送付

前記第1に規定する通知には、国庫帰属地に係る手続書類(承認申請書類及び審査時に収集した資料、負担金の納付に関する書類等)の写しを添付してするものとする(規則第20条)。

この手続書類の写しは、管轄法務局長が原本と相違ない旨を記載した謄本によるものとする。

第3 嘱託登記

管理庁は、前記第2の規定に基づき管轄法務局から送付を受けた書類を確認後、国庫帰属地に係る権利の移転等を公示するため、不動産を管轄する登記所に所有権の移転の登記等の嘱託を行うこととなる。

この場合の嘱託登記における登記原因は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第11条第1項の規定に基づく令和〇年〇月〇日所有権の国庫帰属」とし、登記原因日付は、負担金が納付された日となる。

第4 国庫帰属地の管理又は処分

国庫帰属地の管理又は処分は、管理庁が実施することになる。このため、所有権の移転の登記等の嘱託が完了した後は、国庫帰属の承認の取消し又は国庫帰属地に係る損害賠償請求に係る場面を除き、管轄法務局が国庫帰属地に直接関与することは想定されないが、管理庁から国庫帰属地の管理処分に当たり、承認申請の審査の経緯やその内容等について照会を受けた場合には、これに協力することとする。

第16節承認の取消し

第1 承認の取消し

1 法務大臣は、承認申請者が偽りその他不正の手段により、土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けたことが判明したときは、その承認を取り消すことができるとされている(法第13条第1項)。

この「偽りその他不正の手段」とは、承認申請者が故意をもって行う不正行為の一切をいい、以下のような場合が想定される。

① 虚偽の記載事項を承認申請書に記載し、却下要件又は不承認要件に該当していないかのように装い、その結果、法務大臣又は法務局長等を錯誤に陥れることによって法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

② 偽造された添付書類を提出し、法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

③ 申請土地が却下要件に該当すること又は不承認要件に該当することを認識していたにもかかわらず、その事実を秘匿したまま法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

2 承認の取消しの端緒としては、主に以下のような場合が想定される。

① 管理庁又は管理庁からの土地の所管換等により土地を所管することになった国の機関(以下「管理庁等」という。)が、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことを把握し、法務局等に承認の取消しについて協議の申し入れがあった場合

② 第三者から、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことについて通報があった場合

3 法務局等は、前記2により承認の取消しに係る事案を知ったときには、法務省に速やかに一報するものとする。

4 承認の取消しに関する検討は、原則として、承認申請を処理した法務局等(以下、単に「法務局等」という。以下、本節において同じ。)が実施し、その検討結果を法務省に進達するものとする。

5 法務局等は、管理庁等や第三者から提供があった情報を確認の上、承認申請の審査結果を確認するとともに、承認の取消しの要否について検討を行うものとする。

第2 意見聴取

1 意見聴取は、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第14号)。

なお、法務局等における検討後、管理庁等に、<別記第19号様式>を用いて意見を聴くものとし、当該書面には、法務局等の検討結果を記載するものとする(法第13条第2項、規則第22条第14号)。

2 法務局等による意見聴取は、法務省が実施する場合は、実施しない。

第3 同意の取得

1 前記第2の1の意見聴取の結果を踏まえ、国庫帰属地の所有権を取得した

者又は当該国庫帰属地につき所有権以外の権利の設定を受けた者があるとき

の法第13条第3項の規定に基づく同意の取得は、原則として、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第15号)。

なお、同意の取得については、事前に法務省に確認を得た上で実施するものとする。

2 法務局等による同意の取得については、法務省が実施する場合は、実施し

ない。

3 国庫帰属地の所有権を取得した者又は当該国庫帰属地につき、所有権以外の権利の設定を受けた者から同意を取得することができない場合は、その旨を法務省に報告するものとする。

第4 承認の取消しの通知

法務大臣が承認の取消しを決定したときは、法務局長等は、承認を受けた者に対して、承認を取り消したことを書面で通知するものとする(法第13条第4項、規則第21条、第22条第16号)。

この通知は、<別記第20号様式>により行うものとする。

第5 所有権の移転の登記の抹消

承認の取消しがされたときは、速やかに国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消手続を行う必要がある。

法務局等は、国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消登記が行われていることを把握したときは、その旨を法務省へ報告するとともに、承認の取消しがされた国庫帰属地に係る承認申請書の適宜の場所に付記しておくこととする。

第17節損害賠償責任

国庫帰属地が承認時に法第2条第3項各号又は第5条第1項各号のいずれかに該当する事由があったことによって国に損害が生じた場合において、承認申請者が却下事由又は不承認事由を知りながらその点を明らかにせずに法第5条第1項の承認を受けた者であるときは、その者は、国に対して損害賠償責任を負うものとされている(法第14条)。

この場合において、国が承認申請者に対して行う損害賠償請求に関する事務は、管理庁等が行うことが想定されるところ、管理庁から法務局等に対して、承認申請者に関する情報や承認申請の審査時における承認申請者の却下事由又は不承認事由に関する認識等について情報提供を求められた場合には、法務局等が把握している情報を速やかに管理庁等に提供するものとする。

第18節審査請求

1 帰属制度における行政処分は、以下のとおりである。

① 却下(法第4条第1項)

② 承認(法第5条第1項)

③ 不承認(法第5条第1項)

④ 負担金の額の通知(法第10条第2項)

⑤ 承認の取消し(法第13条第1項)

2 法には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に関する特別の定めがなく、処分庁の最上級行政庁が審査請求先となることから、帰属制度における審査請求先は前記1のいずれの行政処分についても法務大臣となる。

3 処分を行った法務局等に審査請求書が提出された場合には、法務省に一報し、審査請求書を法務省に転送するものとする。併せて、審査請求者に転送した旨を電話等により連絡するものとする。

4 審査請求の手続については、行政不服審査法の規定により行うものとする。

第19節行政文書開示請求及び保有個人情報開示請求

法には、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に関する特別の定めがないことから、帰属制度に関連する文書に対する開示請求の手続等については、各法律の規定に基づいて行うものとする。

第20節帳簿

1 規則第23条第2項の各号に掲げる帳簿の様式は、下記のとおりとする。

① 受付帳別記第21号様式

② 承認申請書類つづり込み帳別記第22号様式

③ 決定原本つづり込み帳別記第23号様式

④ 各種通知簿別記第24号様式

2 承認申請書類つづり込み帳は、管轄法務局において、承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類をつづり込むものとするとされている(規則第23条第4項第1号)。

具体的には、受付番号ごとに、これらの書類等を以下のように分類した上で、つづり込んで作成するものとし、つづり込むに当たっては、<別記第22号様式>による仕切り紙を付すものとし、第2分類には、<別記第22号様式>による目録又はこれに準ずる適宜の様式の目録を、アの最初につづり込むものとする。

なお、同一の承認申請者が二筆以上の土地についての承認申請を同時にした場合には、複数の受付番号の書類等をまとめてつづり込むこととして差し支えない。この場合には、<別記第22号様式>による表紙の適宜の場所にその旨を記載するものとする。

① 第一分類

ア承認申請書

イ添付書類

ウ取下書

エ承認申請者の地位を承継する申出書及び添付書類

オ合算負担金の申出書

② 第二分類

ア関係機関から取得した書面

イ上記以外の審査のために参考とした書面

ウ実地調査結果報告書

エ審査結果報告書

③ 第三分類

ア関係機関への情報提供依頼書

イ関係機関への資料提供の依頼書

ウその他、第一分類及び第二分類に属さない書類

附則

相続土地国庫帰属制度事務処理要領は、令和5年4月27日から施行する。

別記第1号様式(第5節第1の5関係)

年月日受付第  号

別記第2号様式(第5節第1の5関係)

受付証(相続土地国庫帰属申請)

受付年月日令和○年○○月○○日

受付番号令和○年第○○号

受付法務局○○(地方)法務局

土地の所在地番○○県○○市○○番

注意事項

1承認申請の審査中に、国又は地方公共団体等から申請土地の寄附の要望があった場合には、審査途中に法務局の担当者から連絡する

ことがあります。

2 承認申請書類の内容に不明な点がある場合は、法務局の担当者から連絡することがあります。

3 申請された土地の現地を調査するに当たって、現地への案内、立会いを依頼することがあります。

4 承認申請から審査の結果が出るまでには、一定の期間を要します。

※ 当局の標準処理期間は○か月です。

5 結果が出るまでの間は、取下書を提出することにより、承認申請を取り下げることができますが、審査手数料は返還されません。

 上記のとおり、申請を受付しました。

○○(地方)法務局

令和○年○○月○○日

連絡先

 

別記第3号様式(第6節の3関係)

原 本 還 付

別記第4号様式(第7節の1関係)①一般承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、相続の発生(注1)に伴い、新承認申請者として承認申

請者の地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由(注1):令和○年○月○日相続

添付資料(注4):印鑑証明書、承認申請者及び新承認申請権者の戸籍事項証明書、

登記承諾書

(注1)具体的な理由を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第4号様式(第7節の1関係)②特定承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、売買(注1)に伴い、新承認申請者として承認申請者の

地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由:令和○年○月○日売買(注1)

添付資料(注4):印鑑証明書、登記承諾書、登記事項証明書

(注1)具体的な登記原因を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)(注5)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

(注5)法人の場合には、代表者名及び新承認申請者の会社法人等番号も記載してください。

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第5号様式(第8節の3、4関係)

情報提供対象機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請について

下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認申請書が当局に提出されました。

 つきましては、下記1の土地について、貴機関において土地を引き取る可能性や森林経営管理制度などの他の制度を活用する可能性がある場合には、別紙により、下記2の期限までに当局の担当者宛てに御連絡いただきますようお願いいたします。

 なお、上記期限後であっても、土地を引き取る可能性や他の制度を活用する可能性が生じた場合には、随時、御連絡ください。

1 申請土地の表示等

:申請土地の所在地番 ○○市○○町○○番

:受付番号

:承認申請年月日

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

※申請者が認識する土地の範囲を示すものであり、必ずしも筆界と一致

するとは限りませんのでご注意ください

(2)  申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

(別紙)法務局への回答書

回 答 書

土地の所在地番

申請土地の所在地番: ○○県○○市○○町○○番

受付番号: 令和○年第○号

法務局からの照会番号: 令和○年○月○日日記第○号

※ 太枠の部分に回答を記載してください。

□ 寄附受けを希望する。

□ 寄附受けを検討する。

※ 検討結果の回答時期を記載してください。

〔                 〕

□ 以下の制度の活用を検討する。

※ 活用を検討する制度及び回答時期を記載してください。

〔               〕

回答者

情報提供対象機関名

担当者:○○

連絡先:

※ 寄附受け等を希望・検討する場合には、期限までに回答をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)

日 記 第    号

令和○年○月○日

関係機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する承認申請の審査に必要な資料の提供について(依頼)

 下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の申請書が当局に対して提出されました。

 当該申請について、当局の審査のため、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第7条の規定に基づき、申請土地に係る別紙記載事項について情報の提供を依頼しますので、回答及び関連資料の写しを提供していただきますようお願いいたします。

 なお、回答及び関連資料の写しについては、下記2の期限までに当局の担当者宛てに連絡いただきますようお願いいたします。

1 申請土地の表示等

申請土地の所在地番:

承認申請年月日:

受付番号:

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

(2) 申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:令和○年○月○日

 

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

 

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

①固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)

□ 別添のとおり

□ 以下のとおり

・所在地番

・地目(台帳)   (課税)

・地積(台帳)   (課税)

②「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

③ 「農地台帳」に記載のある土地

□ 記載がある

□ 記載はない

④③の土地における「農地台帳」に記載のある土地の使用収益権の設定状況

□ 設定がある

□ 設定はない

⑤地域森林計画の対象となっている土地

□ 対象である

□ 対象ではない

⑥ 森林経営計画の認定の有無

□ 認定されている

□ 認定されていない

⑦森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑧入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑨林地台帳及び林地台帳地図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

⑩ 森林簿及び森林計画図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

⑪土壌汚染対策法第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑫「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地※ 存在する場合は、関連資料の写しの提供をお願いします。

□ 許可区域である

□ 許可区域ではない

⑬ 「境内地」に該当する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑭「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

⑮治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定のよって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう。)の計画がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑯森林病害虫等防除法第7条の5に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地

□ 指定されている

□ 指定されていない

⑰森林病害虫等防除法第7条の10に基づき地区実施計画の対象となっている土地

□ 対象となっている

□ 対象となっていない

⑱条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑲条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑳⑱・⑲以外に金銭の支払いを求められる可能性がある土地(別荘地管理組合等から管理費等の支払を求められる場合など。)

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

※ 送付する関係機関に応じて、照会項目を適宜削除等して差し支えない。

別記第7号様式(第10節第2の3関係)

日 記 第    号

令和○年○○月○○日

○○ ○○ 様

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請の審査における土地への立ち入りについて(通知)

 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請における審査のため、貴殿が占有する土地に立ち入って調査を行う予定としておりますので、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第6条第3項の規定により、通知します。

 なお、現地で立ち会っていただく必要はありません。

 おって、本通知について不明な点がある場合は、下記の担当者宛てご連絡ください。

立入調査を予定している土地の所在地番:〇○県○○市○○町○○番

立入調査の予定日時:令和○年○○月○○日○○時頃

立入調査の実施者:○○(地方)法務局

参考資料

1 立入りを予定している土地の概略図

2相続土地国庫帰属制度の概要資料

※ 管理予定庁が同行する場合は、立入り調査の実施者に同行する管理予定庁及び担当部署を記載すること。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

※ 調査時間は、申請土地の状況により修正して差し支えない。

(注)調査は1時間程度を予定しています。なお、荒天時は日程を延期することがあります。

別記第8号様式(第10節第2の9関係)

実地調査結果報告書

令和 年 月 日○○(地方)法務局担当 :

  以下のとおり、実地調査の結果を報告します。

1 調査対象土地の概要

  • 受付番号令和○年受付第○号

(2) 所在・地番

2 調査実施情報

(1) 実地調査担当者

○○(地方)法務局○○ ○○

(2) 実地調査同行者((地方)法務局以外)

○○省○○ ○○ ○○ ○○

(3) 実地調査実施日時

令和○年○月○日○○時から○○時まで

(4) 承認申請者等の同行

□ 有・□ 無

(有の場合) 同行者 関係 本人 その他

3 調査実施結果

  • 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

□特記事項あり【特記事項】

□特記事項なし

(2)  建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

結果

□該当なし

□該当あり【該当する具体的・客観的理由】【備考】

(3)  担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第2条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(4) 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(5) 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(6)

 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(7) 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(8) 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(9)

 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(10) 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(11) 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(12) 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(13) 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。次条第1項第3号及び第6条第2項において同じ。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

4 調査対象土地の現況、境界の設置状況等

(1) 土地の現況

撮影年月日

備   考

(2) 境界点

点名

境界標

確認の状況

遠景

近景

撮影年月日

備   考

5 補足・特記事項

6 その他参考となる画像情報

3( )関係

撮影年月日

備   考

詳しいサイト 負動産の窓口

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/ordinance/

道垣内弘人『信託法―現代民法別巻―』→『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』第6章委託者、第7章信託の変更・併合・分割、第8章終了・清算・倒産、第9章罰則

道垣内弘人『信託法―現代民法別巻―』2017年、有斐閣と、同氏著『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』2021年、有斐閣の比較です。

『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻』2021年、有斐閣を基準にしています。

誤りなどがあれば、指摘願います。

第6章委託者

第7章信託の変更・併合・分割

P413 追加

 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律に基づいて信託業務を行う受託者が、民法584条の4の定める方法による定型約款の変更を行う場合について、追記。

P416 変更

信託目的に反しない信託の変更(信託法149条)の効果について、曖昧な記述を削除。

P422 追加

委託者の地位を取得しない第三者による追加信託は、贈与と解釈することについて追記。

第8章終了・清算・倒産

P429 追加

 信託法90条1項各号に定める遺言代用信託が、自己信託のかたちで設定され、委託者が第1受益権を有している場合で、委託者の死亡時まで1年以上経過したとき、信託法163条2号に該当するか、整理。

P442 変更

信託法180条の正当性について、限定責任信託と、限定責任信託以外で区別することに変更。

P443 追加

 信託法182条2項の該当要件と、残余財産受益者または残余財産の帰属権利者の地位が相続される場合について、補足。

第9章罰則

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